(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の伝送方式の情報の伝送が行われる第1の編成と前記第1の伝送方式とは異なる第2の伝送方式の情報の伝送が行われる第2の編成とに各々搭載された車両情報管理装置に適用され前記情報の変換を行う情報変換装置であって、
前記情報変換装置は、
自編成内で伝送される情報を前記第1の編成および前記第2の編成に共用される共用伝送方式の情報に変換して他編成へ送信する第1のデータ変換部と、
他編成内から送信された前記共用伝送方式の情報を自編成の伝送方式の情報に変換して自編成内に伝送する第2のデータ変換部と、
を備え、
前記第1のデータ変換部は、
自編成内で伝送される機器制御情報を前記共用伝送方式の第1のフレームに設定し、かつ、自編成内で伝送される機器状態情報を前記共用伝送方式の第2のフレームに設定して、これらのフレームを前記共用伝送方式の情報として他編成へ送信し、
前記機器制御情報が併結後の編成全体で用いられる制御情報であるか否かを表すフラグを前記第1のフレームに付与して出力することを特徴とする情報変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る情報変換装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態.
図1は、車両情報管理装置の構成を模式的に示す図であり、
図2は、車両情報管理装置を搭載した第1の編成(編成A)内で伝送されるデータと、編成Aの伝送方式とは異なる伝送方式を採用する車両情報管理装置を搭載した第2の編成(編成B)内で伝送されるデータとを説明するための図である。
【0014】
図1に示される列車の編成は、一例として4台の車両から成り、車両TC1、TC2、M1、M2で構成される。車両TC1、TC2は、マスコン3−1を搭載する車両であり、車両M1、M2は、電動機を搭載する車両である。列車の走行時には、車両TC1、TC2のうちの一方が先頭車両となり他方が後尾車両となる。なお、
図1には、端末装置2を各車両に搭載した例が示されているが、例えば、端末装置2が車両TC1、TC2に搭載されていない構成(車両TC1、TC2には中央装置1のみ搭載する構成)でも構わない。
【0015】
先頭車両である車両TC1、TC2にはそれぞれ中央装置1が搭載され、中間車両である車両M1、M2にはそれぞれ端末装置2が搭載されている。中央装置1および端末装置2は、車両間にわたって配設された通信路である基幹伝送路(車両間伝送路4)を介して互いに通信可能に接続されている。車両情報管理装置は、これらの中央装置1および端末装置2から成り、列車の各車両に搭載された空調装置やブレーキなどの車両搭載機器を監視および制御する。
【0016】
車両TC1は、中央装置1と、中央装置1に支線伝送路(車両内伝送路5)を介してそれぞれ接続された車両搭載機器(例えば主幹制御器(マスコン)3−1、保安装置3−2)と、端末装置2に車両内伝送路5を介してそれぞれ接続された車両搭載機器(例えばブレーキ装置3−3)と、中央装置1に車両内伝送路5を介して接続された情報変換装置10とを備える。車両TC2も車両TC1と同様の構成である。なお、保安装置3−2は、例えば、自動列車制御装置(ATC)や自動列車停止装置(ATS)などである。
【0017】
中央装置1は、車両搭載機器の状態に関する車両情報(状態データ)を収集して一括管理すると共に、機器の状態を乗務員などに通知する機能を有する。中央装置1で管理される車両情報としては、例えば、各車両にて検出および収集されたブレーキ装置のBC圧力、速度情報、ドア開指令などである。編成全体で一括管理されるべきこれらの車両情報が、仮に端末装置2によって個々に管理された場合、各車両における動作が揃わない可能性がある。そこで、編成全体で一括管理されるべきこれらの車両情報に関しては、中央装置1において管理することとしている。
【0018】
また、中央装置1は、車両搭載機器をそれぞれ制御するための車両情報(制御データ)を、自編成用の伝送方式のフレームにセットして出力する。例えば、運転台から入力された力行ノッチ情報やブレーキノッチ情報など制御入力情報(マスコン3−1のノッチ情報)は、中央装置1に送信され、中央装置1は、この制御入力情報に基づいて制御データを生成し、このデータを自編成用の伝送方式のフレームにセットする。フレームには宛先情報として例えば各端末装置2のアドレスが付与されているため、このフレームはこの宛先情報に基づいて各端末装置2へ送信される。
【0019】
なお、併結相手の編成が自編成の伝送方式を採用する編成であるか否かを検知する動作に関して補足する。例えば、一方の編成に搭載された中央装置1は、他方の編成に搭載された中央装置1に対してポーリング信号を送信し、他方の編成に搭載された中央装置1は、例えば後述する電気連結器20の接続が検知された時点からの所定期間内に、他編成の中央装置1からのポーリング信号の受信の有無により、他編成には自編成の伝送方式を採用する編成であるか否かを判断する。
【0020】
端末装置2は、車両搭載機器からの状態データを自編成用の伝送方式のフレームにセットする。フレームには宛先情報として中央装置1のアドレスが付与されているため、このフレームはこの宛先情報に基づいて中央装置1へ送信される。また、端末装置2は、中央装置1からの制御データを車両搭載機器へ送信する。例えば、中央装置1からのフレームにブレーキ装置3−3に関する制御データが含まれている場合、このフレームを受信した車両TC1内の端末装置2は、このフレームをブレーキ装置3−3へ送信する。
【0021】
車両M1は、端末装置2と、端末装置2に車両内伝送路5を介してそれぞれ接続された車両搭載機器(例えばブレーキ装置3−3、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)3−4など)とを備える。VVVF3−4は、インバータであり、車両M1および車両M2の両方あるいは何れかに搭載された電動機の電圧および周波数を可変することで車両推進の制御を行う。車両M1に搭載される端末装置2は、中央装置1から出力されたブレーキ装置3−3およびVVVF3−4を制御するための制御データを車両搭載機器へ送信すると共に、ブレーキ装置3−3およびVVVF3−4からの状態データを中央装置1へ送信する。
【0022】
車両M2は、端末装置2と、端末装置2に車両内伝送路5を介してそれぞれ接続された車両搭載機器(例えばブレーキ装置3−3、SIV(Static InVerter)など)3−5とを備える。SIV3−5は、VVVF3−4と同様に架線からの電力を取り込み、電動機以外の車両搭載機器に所望の電力を供給する車両用補助電源装置である。車両M2に搭載される端末装置2は、中央装置1から出力されたブレーキ装置3−3およびSIV3−5を制御するための制御データを車両搭載機器へ送信すると共に、ブレーキ装置3−3およびSIV3−5からの状態データを中央装置1へ送信する。なお、
図1に示される編成には、車両搭載機器として5種類の車両搭載機器が例示されているが、実際の編成には、更に多種および多数の車両搭載機器が搭載されていることは言うまでもない。
【0023】
情報変換装置10は、伝送方式が異なる編成に各々搭載され、各編成に搭載された情報変換装置10は、電気連結器20が接続されたときに電気的に接続される。そして、情報変換装置10は、自編成内の中央装置1において併結相手の編成が異なる伝送方式を採用する編成であることが検知されたとき、中央装置1からのフレームを受信し、このフレームを自編成および他編成に共用される共用伝送方式の情報であるパケットデータ(PD1〜4)に変換し、これらのPD1〜4を所定周期毎に車両間伝送路4を介して他編成へ送信する。
【0024】
また、他編成からのPD1〜4を受信した情報変換装置10は、各PD1〜4を自編成用の伝送方式のフレームに変換し、変換されたフレームを自編成内の中央装置1へ送信する。なお、情報変換装置10の構成およびPD1〜4の内容に関しては後述する。
【0025】
次に、
図2を用いて車両情報管理装置のネットワーク構成について説明する。
図2(a)には、伝送方式が異なる編成A、Bが併結した状態が示されている。説明の便宜上、編成Aの車両情報管理装置では第1の伝送方式が用いられ、編成Bの車両情報管理装置では第2の伝送方式が用いられているものとする。
【0026】
図2(b)には、編成Aの車両TC1を1号車、車両M1を2号車、車両M2を3号車、車両TC2を4号車と見立てた場合に、編成Aの中央装置1と端末装置2との間、あるいは編成Aの端末装置2と端末装置2との間で車両情報の伝送を行うためのフレーム(1号車パケット〜4号車パケット)が示されている。
【0027】
1号車パケットには、1号車内の中央装置1で収集された状態データ(マスコンデータおよび保安装置データなど)が含まれている。また、その他の1号車パケットとしては、1号車の中央装置1で生成される制御データが含まれるフレームや、1号車の端末装置2が収集した状態データ(ブレーキ装置データ)が含まれるフレームなども存在する。
【0028】
1号車内の中央装置1は、収集した複数の状態データを時系列的に連続したひとまとまりのデータに集約し、第1の伝送方式のフレームにセットして、
図2(b)に示される1号車パケットを生成する。
【0029】
2号車パケットには、2号車内の端末装置2で収集された状態データ(ブレーキ装置データおよびVVVFデータなど)が含まれ、3号車パケットには、3号車内の端末装置2で収集された状態データ(ブレーキ装置データおよびSIVデータなど)が含まれ、4号車パケットには、1号車パケットと同様に、4号車内の中央装置1で収集された状態データ(マスコンデータおよび保安装置データなど)が含まれている。
【0030】
なお、1〜4号車パケットには、それぞれデータの同期をとるタイミングを与えるためのプリアンブル、データ送信先、データ送信元、およびエラー検出用のFCS(フレームチェックシーケンス)が含まれる。
【0031】
図2(c)には、編成Bの車両TC1を1号車、車両M1を2号車、車両M2を3号車、車両TC2を4号車と見立てた場合に、編成Bの中央装置1と端末装置2との間、あるいは編成Bの端末装置2と端末装置2との間で車両情報の伝送を行うためのフレーム(1号車マスコンデータなど)が示されている。
【0032】
例えば、1号車内の中央装置1は、収集された状態データ(マスコンデータおよび保安装置データなど)や中央装置1で生成した制御データを、それぞれ第2の伝送方式のフレームにセットして1号車マスコンデータ、1号車保安装置データ、1号車制御データなどを生成する。
【0033】
1号車内の端末装置2は、収集されたブレーキ装置データを第2の伝送方式のフレームにセットして1号車ブレーキ装置データを生成する。2号車内の端末装置2は、収集されたブレーキ装置データおよびVVVFデータなどを、それぞれ第2の伝送方式のフレームにセットして2号車ブレーキ装置データ、2号車VVVFデータを生成する。3号車内の端末装置2は、収集されたブレーキ装置データおよびSIVデータなどを、それぞれ第2の伝送方式のフレームにセットして3号車ブレーキ装置データ、3号車SIVデータを生成する。
【0034】
4号車内の中央装置1は、収集された状態データ(マスコンデータおよび保安装置データなど)や中央装置1で生成した制御データを、それぞれ第2の伝送方式のフレームにセットして4号車マスコンデータ、4号車保安装置データ、4号車制御データなどを生成する。同様に、4号車内の端末装置2は、収集されたブレーキ装置データを第2の伝送方式のフレームにセットして4号車ブレーキ装置データを生成する。
【0035】
なお、編成Bの中央装置1および端末装置2で生成されるフレームには、それぞれプリアンブル、データ送信先、データ送信元、およびエラー検出用のFCSが含まれる。
【0036】
図3は、情報変換装置10で生成されるパケットデータを説明するための図であり、
図4は、第1の編成と第2の編成との間で伝送されるパケットデータを模式的に示す図である。
【0037】
図3に示されるPD1は、編成A、B内で伝送されるフレーム内の制御データを情報変換装置10が共用伝送方式のフレームへセットして生成されたデータである。この制御データは、
図2(b)、(c)に示される1号車制御データまたは4号車制御データである。
【0038】
図3に示されるPD2は、編成A、B内の一方の中央装置1から出力されたフレーム内の状態データを情報変換装置10が共用伝送方式のフレームへセットして生成されたデータである。この状態データは、
図2(b)、(c)に示される1号車マスコンデータ、1号車保安装置データ、1号車ブレーキ装置データなどである。
【0039】
図3に示されるPD3は、編成A、Bの端末装置2から出力されたフレーム内の状態データを情報変換装置10が共用伝送方式のフレームへセットして生成されたデータである。この状態データは、
図2(b)、(c)に示される2号車ブレーキ装置データ、2号車VVVFデータ、3号車ブレーキ装置データ、および3号車SIVデータなどである。
【0040】
図3に示されるPD4は、編成A、B内の他方の中央装置1から出力されたフレーム内の状態データを情報変換装置10が共用伝送方式のフレームへセットして生成されたデータである。この状態データは、
図2(b)、(c)に示される4号車マスコンデータ、4号車保安装置データ、4号車ブレーキ装置データなどである。
【0041】
なお、本実施の形態では、一例としてPDの数を4つとした場合における情報変換装置10の構成を説明しているが、パケットデータの数は4つに限定されるものではなく、例えばPD2、4を一つのパケットデータに集約して全体として3つのPDとしてもよいし、例えばPD2、3、4を一つのパケットデータに集約して全体として2つのPDとしてもよい。すなわち少なくとも、制御データを含むパケットデータと状態データを含むパケットデータとを生成するように構成してもよい。
【0042】
このように、本実施の形態にかかる情報変換装置10は、自編成内の中央装置1からのフレームに含まれる車両情報を共用伝送方式のフレームであるPD1〜4にセットして他編成へ送信するようにしたので、情報変換装置10における変換処理(自編成用の伝送方式と共用伝送方式とを相互に変換処理)が容易化される。
【0043】
次に、
図4を用いて本実施の形態にかかる情報変換装置10の動作を具体的に説明する。ここでは、情報変換装置10がそれぞれ搭載された編成A、Bが併結し、併結後の編成全体の進行方向が編成Aの1号車側であると仮定して説明する。(1)編成A、Bの併結後に、例えば編成Aの1号車の運転台に運転キーが挿入されたとき、この運転台に搭載されるマスコン3−1は、運転キーが挿入されたことを示す情報を状態データとして出力する。また編成Aの1号車に搭載される中央装置1は、このマスコン3−1から状態データをトリガーとして制御データを生成する。そして、この制御データは、編成Aの1号車に搭載された中央装置1において、第1の伝送方式のフレームにセットされた後に情報変換装置10へ送信される。そして、中央装置1からのフレームを受信した情報変換装置10は、このフレームに含まれる制御データを共用伝送方式のフレームであるPD1にセットする。
【0044】
(2)ここで、情報変換装置10は、このPD1を生成した際、1号車の中央装置1から送信された制御データが併結後の編成全体で用いられる制御データであるか否かを表すフラグ(制御データ有効フラグ)に「1」を付与する。このフラグは、例えば後述する第1のデータ変換部12によって、PD1のヘッダに付与される。
【0045】
さらに、情報変換装置10は、PD2〜4を生成して、生成されたPD1〜4を所定周期(後述するT2)毎に編成Bの情報変換装置10へ送信する。なお、PD1〜4の所定周期を50msと仮定した場合、1秒あたりの伝送されるPD1〜4は80PPS(4パケット*20)となる。
【0046】
なお、編成Aの4号車に搭載される中央装置1は、編成Aの1号車に搭載される中央装置1からの制御データを受信し、かつ、同4号車内のマスコン3−1から状態データ(運転キーが挿入されたことを示す情報)が出力されていないことを検知したときに、制御データの生成を中断する。従って、編成Aの1号車側で生成される制御データと編成Aの4号車側で生成される制御データとが競合することはない。
【0047】
(3)編成B内の情報変換装置10は、編成AからのPD1〜4を受信したとき、このPD1〜4を第2の伝送方式のフレームに変換する。例えば、情報変換装置10は、PD1に含まれる1号車制御データを、第2の伝送方式のフレームにセットして
図2(c)に示される1号車制御データを生成する。PD2〜4に含まれる状態データに関しても同様の変換処理がなされる。そして、これらのフレームは、編成B内の中央装置1に送信される。
【0048】
ここで、編成B内の情報変換装置10は、PD1の制御データ有効フラグが「1」の場合、編成B内の情報変換装置10で生成されたPD1の制御データ有効フラグを「0」にする。編成A内の情報変換装置10は、編成BからのPD1〜4を受信したとき、このPD1〜4を第1の伝送方式のフレームに変換する。例えば、情報変換装置10は、PD1に含まれる1号車制御データを、第1の伝送方式のフレームにセットして
図2(b)に示される1号車パケット(1号車制御データを含むパケット)を生成する。PD2〜4に含まれる状態データに関しても同様の変換処理がなされる。そして、これらのパケットは、編成A内の中央装置1に送信される。なお、編成BからのPD1には制御データ有効フラグ「0」が付与されているため、編成B内の中央装置1で生成された制御データが無効になり、編成Aで生成された制御データと編成Bで生成された制御データとの競合が回避される。
【0049】
図5は、情報変換装置10の主たる機能構成を示すブロック図であり、本実施の形態に係るデータ変換処理を実現するために必要な機能を示したものである。情報変換装置10は、主たる構成として、バッファ11、第1のデータ変換部12、第2のデータ変換部13、第1のデータ送受信部14、第2のデータ送受信部15、および監視部16を有して構成されている。
【0050】
以下、情報変換装置10の動作を具体的に説明する。自編成内の中央装置1から出力されたデータ(上述したフレーム)は、第1のデータ送受信部14を介して第1のデータ変換部12に入力される。第1のデータ変換部12では、受信したデータが共用伝送方式のPD1〜4に変換され、PD1〜4はバッファ11に一次的に記憶される。バッファ11に記録されたPD1〜4は、第2のデータ送受信部15によって読み出され、所定周期毎に他編成へ送信される。
【0051】
他編成から送信されたPD1〜4は、第2のデータ送受信部15を介して第2のデータ変換部13に入力される。第2のデータ変換部13では、受信したPD1〜4が自編成の伝送方式のデータ(フレーム)に変換され、変換されたデータは、バッファ11に一次的に記憶される。バッファ11に記録されたデータは、第1のデータ送受信部14によって読み出され、所定周期毎に自編成へ送信される。
【0052】
なお、監視部16は、第1のデータ変換部12、第2のデータ変換部13、第1のデータ送受信部14、および第2のデータ送受信部15の生存監視を行い、異常が発生している場合には中央装置1へ異常発生を通知する機能を有する。
【0053】
図6は、情報変換装置10で受信されるデータと情報変換装置10から送信されるパケットデータをと模式的に示す図である。
図6の左側に示される複数の矢印は、第1のデータ送受信部14で受信される自編成からのデータを表しており、実線の矢印は、自編成内の中央装置1から所定周期T1で送信されるデータが第1のデータ送受信部14で正常に受信されている状態を表し、点線の矢印は、このデータが正常に受信されていない状態を表している。例えば中央装置1と情報変換装置10との間で伝送不良が生じたことによって中央装置1からのデータが欠落した場合、第1のデータ送受信部14ではPD1〜4にこのデータ(制御データおよび/または状態データ)を組み込むことができないため、バッファ11には、制御データおよび/または状態データが欠落したPD1〜4が記録される。
【0054】
図6の右側に示される複数の矢印は、それぞれ第2のデータ送受信部15から他編成に送信されるPD1〜4の組を表している。例えば、バッファ11から読み出されたPD1〜4に制御データおよび/または状態データが正常にセットされている場合、第2のデータ送受信部15ではこれらのPD1〜4にそれぞれPD有効フラグ「1」が付与される。PD有効フラグは、前述した制御データ有効フラグとは異なるフラグであり、例えば各PD1〜4のヘッダに個別に付与される。一方、バッファ11から読み出されたPD1〜4に制御データおよび/または状態データが正常にセットされていない場合、第2のデータ送受信部15ではこれらのPD1〜4にPD有効フラグ「0」が付与される。
【0055】
PD有効フラグ「1」または「0」が付与されたPD1〜4は、所定周期T2毎に他編成に送信され、他編成内の情報変換装置10(第2のデータ送受信部15)で受信される。なお、第1のデータ送受信部14および第2のデータ変換部13は独立して動作するため、所定周期T1、T2は各々異なる周期である。
【0056】
従来技術では、自編成用の伝送方式と他編成用の伝送方式とが異なる場合、自編成側の車両情報管理装置において他編成用の伝送方式と自編成用の伝送方式との変換処理を行うことによって、異なる伝送方式の編成が併結した後の編成全体でのデータ伝送を実現している。ただし、従来技術は、併結相手となる編成の伝送方式の種類が多くなるほど、自編成側のデータベースなどに伝送方式変換用の新たな情報を登録するなどの措置が必要なため多大な労力を要すると共に、他編成からのデータを受信した際の変換処理の負荷が増加する。一方、
図2(c)に示されるようなデータ(フレーム)が他編成へ送信された場合、これらのデータが送信される毎にヘッダやフッダなども送信されることとなる。従って、従来技術では、車両搭載機器が増加するほど他編成に送信されるフレーム数が増加するため、データ伝送効率の低下を招くと共に、他編成側の車両情報管理装置における処理負担の増加を招くこととなる。
【0057】
本実施の形態にかかる情報変換装置10は、自編成用の伝送方式のフレームを、自編成および他編成で共用される伝送方式のフレーム(PD1〜4)に変換して他編成へ送信すると共に、他編成から送信されたPD1〜4を受信したときには受信したPD1〜4を自編成用の伝送方式のフレームに変換して、この変換されたフレームを自編成内に送信するように構成されている。従って、情報変換装置10における変換処理としては、併結相手の編成の伝送方式の種類に拘わらず、自編成用の伝送方式と共用伝送方式との変換処理のみとなり、従来技術のように他編成側の伝送方式(第2の伝送方式)に関する情報を自編成内のデータベースに予め登録する必要がなく、また第2の伝送方式を用いての変換処理も不要となる。その結果、自編成の車両情報管理装置における処理負荷が軽減されると共に、既存の編成用の伝送方式や新たに導入される編成用の伝送方式には変更を加えることなく、伝送方式が異なるあらゆる編成同士間におけるデータの相互伝送を実現可能である。
【0058】
また、本実施の形態にかかる情報変換装置10によれば、自編成内で伝送されるデータが他編成に伝送される際、例えばPD1〜4に集約されるため、
図2(c)に示されるようなデータ(フレーム)を他編成へ個別に送信した場合に比べて、単位時間あたりのデータ伝送量が低減される。従って、データ伝送効率の低下を抑制できると共に、これらのデータを受信する他編成側の車両情報管理装置における処理負担の増加を抑制することが可能である。
【0059】
以上に説明したように本実施の形態にかかる情報変換装置10は、第1の伝送方式の情報(第1の伝送方式のフレーム)の伝送が行われる第1の編成(編成A)と第1の伝送方式とは異なる第2の伝送方式の情報(第2の伝送方式のフレーム)の伝送が行われる第2の編成(編成B)とに各々搭載された車両情報管理装置(例えば中央装置1および端末装置2)に適用される情報変換装置10であって、情報変換装置10は、自編成内で伝送される情報を第1の編成および第2の編成に共用される共用伝送方式の情報(PD1〜4)に変換して他編成へ送信する第1のデータ変換部12と、他編成内から送信された共用伝送方式の情報(PD1〜4)を自編成の伝送方式の情報に変換して自編成内に伝送する第2のデータ変換部13と、を備えるようにしたので、併結相手の編成の伝送方式の種類に拘わらず自編成用の伝送方式と共用伝送方式との変換処理のみとなり、その結果、自編成の車両情報管理装置における処理負荷が軽減されると共に、既存の編成用の伝送方式や新たに導入される編成用の伝送方式には変更を加えることなく、伝送方式が異なるあらゆる編成同士間におけるデータの相互伝送を実現可能である。
【0060】
また、第1のデータ変換部12は、自編成内で伝送される機器制御情報(制御データ)を共用伝送方式の第1のフレーム(PD1)に設定し、かつ、自編成内で伝送される機器状態情報(状態データ)を共用伝送方式の第2のフレーム(PD2〜4)に設定して、これらのフレームを共用伝送方式の情報として他編成へ送信するようにしたので、自編成と他編成との間で送受信されるデータは、制御データを含むパケットデータと状態データを含むパケットデータのみとなり、情報変換装置10における変換処理が容易化される。
【0061】
また、第1のデータ変換部12は、機器制御情報が併結後の編成全体で用いられる制御情報(制御データ)であるか否かを表すフラグ(制御データ有効フラグ)を第1のフレーム(PD1)に付与して出力するようにしたので、自編成で生成された制御データと他編成で生成された制御データとの競合が回避される。
【0062】
なお、本発明の実施の形態に係る情報変換装置10は、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略するなど、変更して構成することも可能であることは無論である。