(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インナーキャップの筒状壁の外面及び前記オーバーキャップのスカート内面には、それぞれ、互いに螺子係合する螺条が形成されており、これら螺条が前記係合手段として機能すると共に、該筒状壁外面とスカート内面との螺子係合は、前記インナーキャップの筒状壁の内面と容器の口部外面との螺子係合に対して逆螺子の関係にあり、前記ストッパーバンド切り離し後、該オーバーキャップの回転に伴う降下により、前記ICタグの前記回路が、前記突起により破断され、さらにオーバーキャップの回転を続けることにより、前記インナーキャップは開栓方向に回転する請求項2に記載の包装容器。
前記オーバーキャップの頂壁パネルの下面には、下方に突出した突出部が形成されており、前記インナーキャップの頂板の上面には、前記突出部が嵌合し得る凹部が形成されており、該突出部と凹部とが前記係合手段であり、前記ストッパーバンドを切り離して前記オーバーキャップを押し込んだとき、前記ICタグの前記回路が、前記突起により破断されると同時に、前記突出部が前記凹部内に入り込んで係合し、該オーバーキャップによる該インナーキャップの開栓方向への回転が可能となる請求項2に記載の包装容器。
前記オーバーキャップのスカート内面にはカット爪が形成されており、前記インナーキャップの筒状壁外面には、鉛直方向に延びている縦溝と該縦溝の下端から周方向且つ開栓方向に延びている有端のラチェット溝が形成されており、前記ICタグは、少なくとも該ラチェット溝に被さるようにして設けられており、
前記ストッパーバンドが存在している状態において、前記カット爪は、前記縦溝と係合して該オーバーカットの回転が抑止されており、該ストッパーバンドを切り離した状態で、該カット爪が該縦溝を降下して前記ラチェット溝と係合し、これにより、該オーバーキャップの開栓方向への回転が可能となり、該オーバーキャップを開栓方向に回転させたとき、該カット爪が該ラチェット溝を開栓方向に移動し、該ラチェット溝に被さるようにして設けられているICタグの前記回路を破断し、さらに、該オーバーキャップを開栓方向に回転することにより、該カット爪が該ラチェット溝の周端部に当接し、前記インナーキャップを開栓方向に回転せしめる請求項2に記載の包装容器。
前記ICタグのICチップには、情報送受信用アンテナに繋がる回路と開封検出用回路とが接続されており、前記インナーキャップの開栓に際しては、開封検出用回路が選択的に破断される請求項1〜5の何れか記載の包装容器。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の製品には、製造年月日、製造・販売者名、使用期限などの製品情報を表示したバーコードが広く利用されている。ところで、バーコードは、コード化された情報をリーダーで読取るため、バーコードの印刷面を平面とする必要があり、このため、ボトルやキャップなどの包装材料の分野では、バーコードの印刷面が制限され、また、コード化できる情報量も限られたものとなってしまうという問題がある。
【0003】
そこで、最近では、ICタグを用いた情報表示の技術が利用されるようになってきた。ICタグとは、RFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれるものであり、所定の情報が記憶されたICチップを無線アンテナとともに樹脂やガラス等の誘電体材料に埋め込んでタグ(荷札)状に形成した超小型の通信端末である。このようなICタグは、無線通信により、ICチップに記憶された製品情報を読取るものであり、例えばICチップのメモリには、数百バイトのデータを記録することができ、多くの製品情報を記録できるという利点がある。また、ICタグは、非接触で記録された情報を読取ることができ、接触による摩耗などの問題もなく、さらには、商品の形態に併せた形状に加工したり、小型化、薄型化なども可能であるという利点がある。
例えば、特許文献1には、頂板にICタグが埋め込まれたキャップが開示されている。
【0004】
このようなICタグを、容器の開封履歴の表示のために使用することも提案されており、例えば、特許文献2には、キャップを開封したとき、ICタグ中のICチップとアンテナとを結ぶリード線が断線することにより、開封を検出する方法が提案されている。
また、特許文献3には、容器口部に装着されるキャップ本体に連結された上蓋を開封した時、キャップ本体に設けられているアンテナが破断され、これにより、開封の事実を認識できることが開示されている。
【0005】
これら特許文献2及び3の何れも、ICタグが破断されているという事実を外部読み取り装置により検知することにより、開封の事実を認識できるというものであるが、未だ解決すべき課題が残されている。
【0006】
例えば、特許文献2で提案されている技術では、容器本体或いは容器本体に属する部分(具体的には、開封時にキャップから切り取られるタンパーエビデントバンド)にICタグのICチップを設け、容器本体に螺子締結されるキャップにアンテナ及びリード線が設けられ、キャップを開封する際にリード線が破断される。
しかるに、容器本体にICチップを設けるときには、アンテナ及びICチップとアンテナとを接続するリード線は、容器とは別体のキャップに設けることとなるが、このような構成は実施不可能といってよい。即ち、アンテナ及びICチップがリード線で接続されているICタグをキャップに設け、キャップを容器口部に装着した後に、ICチップの部分のみを容器側に張り付けるという手段が採用されることとなるが、ICチップが垂れ下がっている状態でキャップを容器口部に装着しなければならず、その作業(キャッピング)が極めて困難となるし、キャッピング時にICチップの破損やリード線の破断を生じ易い。さらに、キャップから垂れ下がったICチップの容器への貼り付けも容易ではない。
また、開封時にキャップから切り取られるタンパーエビデントバンド(TEバンド)にICチップが設けられるような場合には、TEバンドへのICチップの装着が困難であると同時に、ICチップとアンテナとを結ぶリード線の破断による開封証明を十分に発揮することができない。即ち、かかる態様では、ICタグの破断は、TEバンドの切り離しを示すものであり、TEバンドの切り離しはキャップの開封履歴を示す。このことから理解されるように、ICタグの破断による開封履歴証明がなくとも、TEバンドの切り離しによりキャップの開封履歴は証明されてしまうからである。
【0007】
さらに、特許文献3の手段では、容器口部をシールしている蓋材とは別個に設けられた蓋材にICタグが設けられており、容器口部をシールしている蓋材の開封操作は、ICタグが設けられている蓋材を用いてのICタグの破壊操作とは全く別個に行われる。従って、ICタグが設けられている蓋材を取り外した後、さらに、容器口部をシールしている蓋材を開封しなければならない。換言すると、この態様では、ICタグが取り付けられている蓋材を容器口部のシールに適用することができない。ICタグの破断のために、ICタグが取り付けられる部分には開口が形成されていなければならないからである。
即ち、引用文献3においては、容器口部の開封を行うためには、この操作とは別個に、前もってICタグを破壊するための操作及びICタグが取り付けられている蓋材(外蓋)の取り外しを行う必要があり、容器口部の開封に手間がかかるという欠点があり、さらなる改善が求められている。
【0008】
さらに、特許文献2や3の公知の手段では、開封後には、ICチップに記憶された情報を読み取ることができないため、ICタグの利用が制限されるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、互いに切り離されることがなく且つ一体に成形されているキャップにICタグが取り付けられており、ICタグが取り付けられているキャップのキャッピング等の装着作業を容易に行うことができ、さらに、容器口部をシールしている蓋材の開封作業に際してICタグを破断することができ、容器口部の開封操作を、一連の操作で簡単かつ容易に行うことができ、しかも、ICタグの破断により容器口部が開封されている事実を確実に表示することができるICタグ付き包装容器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、容器の開封後においても、ICタグのICチップに入力されている情報を読み取ることが可能なICタグ付き包装容器を提供することにある。
【0011】
本発明によれば、
螺子係合により容器口部に設けられているインナーキャップと、該インナーキャップに被せて設けられているオーバーキャップと、ICタグとを備えた包装容器において、
前記オーバーキャップは、頂壁パネルと、頂壁パネル周縁から降下したスカートとを有しており、
前記オーバーキャップのスカート下端にはストッパーバンドが設けられており、該ストッパーバンドは、前記インナーキャップの筒状側壁の下端よりも下方に位置し且つ該オーバーキャップの上昇及び/または降下が規制されるように、容器の口部外面と係合しており、
前記インナーキャップは、頂板と、頂板周縁から降下しており且つ内面に容器の口部外面に螺子係合する螺条を備えた筒状壁とを有していると共に、
前記オーバーキャップのスカート内面と、前記インナーキャップの筒状壁外面との間には、該インナーキャップに被せられたオーバーキャップの回転を該インナーキャップに伝達するための係合手段が設けられており、
前記インナーキャップの頂板上面と、該インナーキャップに被せられている前記オーバーキャップの頂壁パネル下面との間には間隔が保持されており、
前記インナーキャップを開栓する過程で生じるオーバーキャップとインナーキャップとの相対的移動により、前記ICタグのICチップに接続されている回路が破断するように前記ICタグが、
前記オーバーキャップの頂壁パネル下面または前記インナーキャップの頂板上面の何れかに取り付けられており、
前記インナーキャップの頂板上面または前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、前記ICタグの前記回路を破断するためのカッターとなる突起が形成されおり、
前記インナーキャップの筒状壁の外面及び前記オーバーキャップのスカート内面には、互いに対応して当接する多面体部が形成されており、これら多面体部が、前記係合手段として機能するものであり、前記オーバーキャップを前記インナーキャップが開栓する方向に回転させたとき、該オーバーキャップの上昇は前記ストッパーバンドにより抑制され、該インナーキャップは開栓方向に回転して上昇し、前記ICタグの前記回路が前記突起により破断され、該回路の破断後に、ストッパーバンドと容器口部との係合が解除され或いは該ストッパーバンドが該オーバーキャップのスカートから切り離されることを特徴とする包装容器が提供される。
本発明によれば、また、螺子係合により容器口部に設けられているインナーキャップと、該インナーキャップに被せて設けられているオーバーキャップと、ICタグとを備えた包装容器において、
前記オーバーキャップは、頂壁パネルと、頂壁パネル周縁から降下したスカートとを有しており、
前記オーバーキャップのスカート下端にはストッパーバンドが該スカート下端から切り離し可能に設けられており、該ストッパーバンドは、前記インナーキャップの筒状側壁の下端よりも下方に位置し且つ該オーバーキャップの上昇及び/または降下が規制されるように、容器の口部外面と係合しており、
前記インナーキャップは、頂板と、頂板周縁から降下しており且つ内面に容器の口部外面に螺子係合する螺条を備えた筒状壁とを有していると共に、
前記オーバーキャップのスカート内面と、前記インナーキャップの筒状壁外面との間には、該インナーキャップに被せられたオーバーキャップの回転を該インナーキャップに伝達するための係合手段が設けられており、
前記インナーキャップの頂板上面と、該インナーキャップに被せられている前記オーバーキャップの頂壁パネル下面との間には間隔が保持されており、
前記インナーキャップを開栓する過程で生じるオーバーキャップとインナーキャップとの相対的移動により、前記ICタグのICチップに接続されている回路が破断するように前記ICタグが、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面または前記インナーキャップの頂板上面の何れかに取り付けられており、
前記インナーキャップの頂板上面または前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、前記ICタグの前記回路を破断するためのカッターとなる突起が形成されていることを特徴とする包装容器が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装容器では、ICタグは、インナーキャップ或いはオーバーキャップの何れかに設けられ、別個の部材にまたがって設けられているわけではなく、さらに、TEバンドのような開封に際して切り離される部分にICタグを設けるものではないため、ICタグの取り付けを容易に行うことができ、インナーキャップの容器口部への装着やオーバーキャップのインナーキャップへの装着に際して、ICタグの破断を生じることもない。
【0013】
また、オーバーキャップの開栓に連動してインナーキャップの開栓が行われ、この操作で生じるオーバーキャップとインナーキャップとの相対的移動により、ICタグのICチップに接続されている回路が破断される。従って、ICタグの回路が破断しているときには、インナーキャップは容器口部から取り除かれている。即ち、このインナーキャップを容器口部のシールに適用すれば、容器口部のシール解除の操作を別個に行う必要はなく、開封操作に手間がかからない。
【0014】
さらに、ICタグは、ICチップと、ICチップに情報送受信するためのアンテナを備えた回路が形成されており(即ち、ICチップとアンテナとがリード線により接続されている)、オーバーキャップによる開栓によって、このアンテナ回路が破断すると、ICチップの情報を外部装置により読み取ることができなくなくなる。即ち、情報の読み取り不能によって、開封の事実を認識することができる。本発明では、ICタグの取り付けやオーバーキャップやインナーキャップのキャッピングに際してのICタグの破断が有効に防止されているため、このような情報の読み取り不能が開封の事実を証明する精度が極めて高く、内容物の品質保証機能やいたずら防止等の機能が著しく高められている。
特に、本発明においては、ICタグは、開封に際して切り取られるTEバンドに設けられているわけではないため、TEバンドの開封履歴証明とは全く独立して、ICタグの破断による開封履歴証明が発揮され、例えば、TEバンドとの併用により、より一層、開封履歴証明能を高めることができる。
【0015】
本発明においては、ICタグに容器の開封を示すための専用の回路(開封検出用回路)が設けられていることが好ましく、例えば、この開封検出用回路が前述したアンテナ回路と並列してICチップに接続されていることが好ましい。即ち、開封に際しては、この開封検出用回路を選択的に破断せしめ、この回路の破断に伴って生じる電気抵抗変化に付随する電圧変化などを外部読み取り装置で読み取り、開封の事実を知ることができる。この態様によれば、ICチップ、アンテナ或いはICチップとアンテナとを結ぶリード線などは破壊されずに、開封表示が行われ、従って、開封された場合においても、ICチップに記憶された情報は、そのまま読み取ることができる。
このように、開封検出用回路が設けられている場合には、ICチップの故障と開封とを明確に区別とができ、その開封履歴証明能は一層高められる。さらに、開封後にもICチップの情報を読み取ることができ、ICチップの情報を、各種キャンペーンなど、種々の目的に利用することができる。
【0016】
本発明の包装容器においては、
前記インナーキャップの頂板上面と、該インナーキャップに被せられている前記オーバーキャップの頂壁パネル下面との間には間隔が保持されており、
前記オーバーキャップの頂壁パネル下面または前記インナーキャップの頂板上面の何れかに前記ICタグが取り付けられており、
前記インナーキャップの頂板上面または前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、前記ICタグの前記回路を破断するためのカッターとなる突起が形成されていること、
という手段を採用することが好ましく、このような手段を採用することにより、種々の手段を採用して、開封に際してのICタグの回路の破断及びインナーキャップの開栓方向への回転による開封を容易に且つ確実に行うことができる。
【0017】
例えば、本発明において、
(1)前記オーバーキャップのスカート下端にはストッパーバンドが設けられており、該ストッパーバンドは、前記インナーキャップの筒状側壁の下端よりも下方に位置し且つ該オーバーキャップの上昇及び/または降下が規制されるように、容器の口部外面と係合していること、
という手段を採用することにより、容器の開封用前のオーバーキャップの移動によるICタグの回路の破断を有効に防止することができる。
【0018】
また、上記のようなストッパーバンドが設けられている包装容器では、
(2)前記インナーキャップの筒状壁の外面及び前記オーバーキャップのスカート内面には、互いに対応して当接する多面体部が形成されており、これら多面体部が、前記係合手段として機能するものであり、前記オーバーキャップを前記インナーキャップが開栓する方向に回転させたとき、該オーバーキャップの上昇は前記ストッパーバンドにより抑制され、該インナーキャップは開栓方向に回転して上昇し、前記ICタグの前記回路が前記突起により破断され、該回路の破断後に、ストッパーバンドと容器口部との係合が解除され或いは該ストッパーバンドが該オーバーキャップのスカートから切り離されること、
という態様を採用することができる。
この態様では、直ちにオーバーキャップを回転させてのICタグの回路破断及び容器の開封を行うことができる。
また、インナーキャップは、オーバーキャップが被せられている状態で容器口部から取り外されるが、オーバーキャップから容易に分離することができ、インナーキャップのみをリシールに容易に利用することができるという利点もある。
【0019】
特に、本発明において、
(3)前記ストッパーバンドが前記オーバーキャップのスカート下端から切り離し可能に設けられていること、
という態様を採用した場合には、ストッパーバンドを切り離した後、ICタグの回路破断及び容器の開封操作が行われるため、ストッパーバンドの存在自体によっても、容器が未開封の状態にあることを確認することができ、いたずら防止機能を高め、容器内容物の品質保証機能をより高めることができる。
【0020】
また、上記のように、ストッパーバンドがオーバーキャップから切り離し可能に設けられている場合には、
(4)前記インナーキャップの筒状壁の外面及び前記オーバーキャップのスカート内面には、それぞれ、互いに螺子係合する螺条が形成されており、これら螺条が前記係合手段として機能すると共に、該筒状壁外面とスカート内面との螺子係合は、前記インナーキャップの筒状壁の内面と容器の口部外面との螺子係合に対して逆螺子の関係にあり、前記ストッパーバンド切り離し後、該オーバーキャップの回転に伴う降下により、前記ICタグの前記回路が、前記突起により破断され、さらにオーバーキャップの回転を続けることにより、前記インナーキャップは開栓方向に回転すること、
という手段を採用することもできる。
この態様は、ストッパーバンドを切り離した後、直ちにオーバーキャップを回転させるという動作のみでICタグの回路破断及び容器の開封を行うことができるので、上記(3)の態様の利点に加え、操作が極めて容易であるという利点がある。
【0021】
さらに、ストッパーバンドがオーバーキャップから切り離し可能に設けられている場合には、
(5)前記オーバーキャップの頂壁パネルの下面には、下方に突出した突出部が形成されており、前記インナーキャップの頂板の上面には、前記突出部が嵌合し得る凹部が形成されており、前記ストッパーバンドを切り離して前記オーバーキャップを押し込んだとき、前記ICタグの前記回路が、前記突起により破断されると同時に、前記突出部が前記凹部内に入り込んで係合し、該オーバーキャップによる該インナーキャップの開栓方向への回転が可能となること、
或いは、
(6)前記オーバーキャップのスカート内面にはカット爪が形成されており、前記インナーキャップの筒状壁外面には、鉛直方向に延びている縦溝と該縦溝の下端から周方向且つ開栓方向に延びているラチェット溝が形成されており、前記ICタグは、少なくとも該ラチェット溝に被さるようにして設けられており、
前記ストッパーバンドが存在している状態において、前記カット爪は、前記縦溝と係合して該オーバーカットの回転が抑止されており、該ストッパーバンドを切り離した状態で、該カット爪が該縦溝を降下して前記ラチェット溝と係合し、これにより、該オーバーキャップの開栓方向への回転が可能となり、該オーバーキャップを開栓方向に回転させたとき、該カット爪が該ラチェット溝を開栓方向に移動し、該ラチェット溝に被さるようにして設けられているICタグの前記回路を破断し、さらに、該オーバーキャップを開栓方向に回転することにより、該カット爪が該ラチェット溝の周端部に当接し、前記インナーキャップを開栓方向に回転せしめること、
という態様も採用することができる。
【0022】
上記(5)の態様では、ストッパーバンドを切り離した後、一旦、オーバーキャップを押し込むという操作が必要となる。このため、幼児などが開封を行い難いという所謂チャイルドレジスタンス性に優れ、特に、内容物が医薬品などの容器に好適に適用される。
また、上記(6)の態様では、ICタグの開封検出用回路の破断を、突起の押し込みではなく、カット爪による切り裂きにより行うため、回路が破断されるような位置へのICタグの取り付け(位置合わせ)が極めて容易であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<ICタグ>
本発明で用いるICタグを示す
図1において、全体として10で示すこのICタグは、フィルム基材1の表面にICチップ3及び金属アンテナ5を含む回路が設けられており、金属アンテナ5は、リード線7により、ICチップ3に電気的に接続されている。さらに、このICタグ10には、開封検出用回路9が金属アンテナ5を含む回路とは並列に設けられており、この回路9もリード線7を介してICチップ3に接続されている。
【0025】
フィルム基材1は、一般に熱溶着可能な熱可塑性樹脂から形成されている。このような熱可塑性樹脂としては特に制限されないが、一般には、このICタグ10が取り付けられるオーバーキャップやインナーキャップ(これらのキャップについては後述する)を構成する樹脂基材と同様の樹脂が使用される。例えば、ポリオレフィン製のキャップにICタグ10を設ける場合には、ポリオレフィンによりフィルム1を形成するのがよい。また、ICチップ3や金属アンテナ5がポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムに設けられた状態で市販されているICタグ10もあるが、このような場合には、適宜、酸変性オレフィン系樹脂などの接着剤を用いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム1の裏面にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂層を積層させておくことが、キャップにICタグ10を取り付ける上で好ましい。
また、フィルム基材1としては、紙を使用することもできる。
【0026】
ICチップ3は、フリップチップ実装などにより、上記のアンテナ3に導通するように設けられるものであり、このICタグ10が取り付けられる製品に関する情報が記憶されるものであり、上記のアンテナ3を介しての信号の送信により、所定の情報が記憶され、またアンテナ3を介してICタグ10に記憶された情報が読み取られるものである。
【0027】
尚、上記のICチップ3は、一般に、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂などの電気絶縁性の硬化樹脂等により、封止されて保護されている。さらに、紙の貼り合わせによりICチップ3を封止することもできる。
【0028】
このようなICチップ3には、既に述べた通り、包装容器に充填されている内容物に関する情報(例えば生産者、製造業者、生産年月日、出荷日時など)や容器に関する情報などが入力されており、開封を示す電圧変化などの情報も入力されている。このような情報の入力や出力は、高周波信号により行われ、一般に900MHz付近のUHF帯や13.56MHzの周波数帯が主として利用される。
【0029】
ICチップ3への信号の送受信のために使用されるアンテナ5は、使用される信号の周波数に応じた共振長さなどを有する。
また、開封検出用回路9は、これが切断したときの抵抗変化によりICチップ3での電圧変化などをもたらすものであればよい。
【0030】
上記のようなアンテナ5や開封検出用回路9、及びこれらをICチップ3に接続するリード線7は、通常、アルミニウム、銅、銀、金などの低抵抗金属の薄膜(厚みが5乃至50μm程度)からなるものであり、例えば金属箔の貼り合わせやメッキ、エッチング、銀ペーストなどの導電性インキを用いての印刷により形成することができる。
【0031】
尚、フィルム基材1の厚みは、その表面にICチップ3を実装する作業やアンテナ5、開封検出用回路9及びリード線7を形成するためのメッキ作業などを行い得る程度の強度を示すようなものであればよく、後述するキャップへの装着形態に応じて適宜の厚みとすることができる。例えば、フィルム基材1の裏面(ICチップ等が設けられていない側の面)或いは表面の金属製アンテナが存在しない部分でのヒートシールによりキャップに装着する場合には、比較的薄肉でよいが、嵌め込みなどによりキャップに装着する場合には、比較的厚肉とすることが必要である。このような観点から、フィルム基材1の厚みは、一般に、5乃至1000μm程度の範囲とし、この範囲内で、装着形態に応じた厚みとすることが好適である。
また、
図1では、フィルム基材1は円板形状を有しているが、その取り付け形態や回路の破断位置などに応じて適当な形状を有していればよく、円形である必要はない。
【0032】
上述したICタグ10が取り付けられる本発明の包装容器は、その開封形式及びICタグの破断形式に応じて、スライド型、逆螺子型、嵌合型及びラチェット型の4つのタイプに大きく分けられる。
【0033】
<スライド型包装容器>
図2乃至
図4を参照して、このタイプの包装容器では、ボトル等の容器の口部(全体として20で示す)に、螺子係合によりインナーキャップ(全体として30で示す)が装着されており、このインナーキャップ30の上に、オーバーキャップ(全体として40で示す)が被せられている。
【0034】
容器口部20の外面には、上方に螺条21が形成され、その下方に顎部23が形成され、さらにその下方には、最も径の大きい突出部であるサポートリング25が形成されている。
このような容器口部20の外面は、タイプの異なる他の包装容器でも基本的には同じである。
【0035】
インナーキャップ30は、頂板(top plate)31と、頂板周縁から降下している筒状壁32とを有しており、筒状壁32の内面には、
図2に示されているように、螺条33が設けられている。即ち、この螺条33と容器口部20の外面の螺条21との螺子係合により、インナーキャップ30は、容器口部20に保持されている。
【0036】
また、上記の筒状壁32の下端には、インナーキャップ20をがっちりと保持するための保持バンド34が筒状壁32と一体に設けられている。即ち、この保持バンド34は、
図2に示されているように、容器口部20の外面の顎部23の下側にまで延びており、その内面には、顎部23の下側の面と係合している係合突起(或いはフラップ片)34aが形成されており、かかる係合突起34aと顎部23との係合により、インナーキャップ20ががっちりと容器口部20の外面に保持されるようになっている。
【0037】
さらに、
図3から理解されるように、筒状壁32の外面は多面体形状となっており、この面が、後述するオーバーキャップ40と係合するようになっている。
【0038】
一方、インナーキャップ30の頂板31の下面の周縁部分には、前記筒状壁32と間隔をおいて、インナーリング35が設けられている(
図2参照)。即ち、容器口部20の上端は、筒状壁32とインナーリング35との間の空間に入り込んでおり、インナーリング35の外面が容器口部20の上端部分の内面に密着することにより、容器内部の密封性が確保されるようになっている。
【0039】
また、頂板31の上面には、その中心部分に、カッターとなる突起36が形成されており、この突起36により、オーバーキャップ40に取り付けられているICタグ10の開封検出用回路9を破断するようになっている。
【0040】
上述したインナーキャップ20に被せて固定されるオーバーキャップ40は、頂壁パネル(top panel)41と、頂壁パネル41の周縁から降下したスカート42とを有している。
【0041】
スカート42の内面の上部には、
図4に示されているように、前述したインナーキャップ30の筒状壁32の外面の多面体に対応する多面体部43が形成されている。即ち、この多面体部43が、インナーキャップ30の筒状壁32の外面の多面体と係合することにより、オーバーキャップ40の回転によってインナーキャップ30を回転させることが可能となる。
また、スカート42の外面には、オーバーキャップ40の回転を容易にするためのローレット42aが形成されている。
【0042】
また、スカート42の下端には、
図2に示されているように、ストッパーとなるバンド部44が形成されており、この内面には、係合突起44aが形成されており、この係合突起44aが、容器口部20の外面のサポートリング25の下面と係合することにより、オーバーキャップ40の上昇が規制されるようになっている。この場合、係合突起44aは、サポートリング25の下面に強く係合し、その係合力は、インナーキャップ30の保持バンド34(係合突起34a)と顎部23との係合力よりも強くなるように設定されている。
さらに、スカート42の下端とバンド部44との境界部には、その内面に段差45が形成されている。即ち、この段差45がサポートリング25の上面と係合することにより、オーバーキャップ40の降下が規制されるようになっている。
【0043】
さらに、頂壁パネル41の下面には、その中心部分に、インナーキャップ30の頂板31の上面に設けられている突起36を受け入れ可能な凹部46が設けられている。また、この下面には、
図3に示されているように、前述したICタグ10が取り付けられている。尚、
図4では、このICタグ10は省略されている。
【0044】
ICタグ10は、先にも述べた通り、ICタグ10の樹脂フィルム1の大きさを調整しての嵌め込みにより、頂壁パネル41の下面に取り付けられていてもよいし、さらに、接着剤或いはヒートシールなどにより、取り付けられていてもよい。
この場合、凹部46上に位置する部分が突起36により破断される箇所となるため、この位置にICタグ10の開封検出回路9が位置するように、ICタグ10が取り付けられる。
【0045】
図2に示されているように、容器口部20に装着されているインナーキャップ30に被せての打栓によりオーバーキャップ40を設けたとき、スカート42の下端とバンド部44の係合突起44aは、容器口部20の外面のサポートリング25の下側に位置するが、バンド部44とスカート42との境界部の段差45がサポートリング25の上面に係合するため、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面とインナーキャップ30の頂板31の上面との間に一定の間隔が確保され、この結果、ICタグ10(開封検出用回路9)は破断されずに保持されている。
【0046】
上記のような構造を有する本発明の包装体では、オーバーキャップ40を開栓方向に回転すると、スカート42の内面の多面体部43とインナーキャップ30の筒状壁32の外面(多面体面)とが係合するため、インナーキャップ30も開栓方向に回転することとなる。
従って、インナーキャップ30は、螺子係合の解除により、容器口部20の外面に沿って上昇し、係合突起34aは、容器口部20の外面に形成されている顎部23を乗り越えることとなる。一方、オーバーキャップ40では、バンド部44の係合突起44aが容器口部20のサポートリング25に強く係合しているため、その上昇は制限されている。従って、オーバーキャップ40の開栓方向への回転を続けていくと、インナーキャップ30の頂板31に設けられている突起(カッター)36がオーバーキャップ40の頂壁パネルに取り付けられているICタグ10の開封検出用回路9を突き破り、さらに回転を続けていくと、オーバーキャップ40はインナーキャップ30により上方に押され、従って、バンド部44の係合突起44aが容器口部20のサポートリング25を乗り越え、インナーキャップ30と共に上昇し、インナーキャップ30に被せられたまま、容器口部20から取り外されることとなる。
【0047】
このようにして容器口部20から取り外されたインナーキャップ30及びオーバーキャップ40は、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールに供することもできるし、オーバーキャップ40を外してインナーキャップ30のみをリシールに供することもできる。
【0048】
上述した説明から理解されるように、インナーキャップ30が一旦容器口部20から取り外されて容器が開封されると、オーバーキャップ40に設けられているICタグ10中の開封検出用回路9が破断するが、ICチップ3やアンテナ5及びリード線7は破壊されていないため、外部読み取り装置によってICチップ3に入力されている情報を読み取ることができ、この情報の中には、開封検出用回路9が破断されているという情報も含まれる。
従って、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールされていた場合にも、一般の需要者は、例えば携帯電話などを用いてICチップ3の情報を読み取ることにより、開封の事実を正確に読み取り、認識することができる。このことから、このような包装体は、いたずら防止機能に優れ、また内容物入れ替えなどの不正使用も、開封事実を認識することにより有効に防止することができる。
【0049】
尚、かかるスライド式包装容器において、ICタグ10は、インナーキャップ30の頂板31の上面に取り付けることも可能であり、この場合には、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面にカッターとなる突起36を設け、頂板部31の上面の中心に突起36を受ける凹部46を形成することとなる。
【0050】
このようなスライド式包装容器では、オーバーキャップを開栓方向に回転させるという単純な操作のみで、ICタグ10(開封検出用回路9)の破壊及びインナーキャップ30の容器口部20から取り外し(開封)をおこなうことができる。
【0051】
<逆螺子型包装容器>
図5乃至
図8を参照して、このタイプの包装容器も、前述したスライド式包装容器と同様、容器の口部20に、螺子係合によりインナーキャップ30が装着されており、このインナーキャップ30の上に、オーバーキャップ40が被せられている。
【0052】
即ち、容器口部20の外面には、上から順に、螺条21、顎部23及びサポートリング25が形成されている。
【0053】
インナーキャップ30は、頂板31と、頂板周縁から降下している筒状壁32とを有しており、筒状壁32の内面には、
図5に示されているように、容器口部20の外面の螺条21と螺子係合する螺条33が設けられており、この螺子係合により、インナーキャップ30は、容器口部20に保持されている。
【0054】
また、インナーキャップ30の頂板31の下面の周縁部分には、前記筒状壁32と間隔をおいて、インナーリング35が設けられている(
図5参照)。即ち、前述したスライド式包装容器と同様、容器口部20の上端は、筒状壁32とインナーリング35との間の空間に入り込んでおり、インナーリング35の外面が容器口部20の上端部分の内面に密着して密封性が確保される。
【0055】
この逆螺子型包装容器においても、頂板31の上面には、その中心部分に、カッターとなる突起36が形成されており、この突起36により、オーバーキャップ40に取り付けられているICタグ10の開封検出用回路9を破断するようになっている。
【0056】
かかる逆螺子型包装容器では、インナーキャップ30の筒状壁32の外面には、オーバーキャップ40と螺子係合する螺条37が設けられている。
また、筒状壁32の下方部分は裾広がり部32aとなっている。
【0057】
一方、オーバーキャップ40は、頂壁パネル41と、頂壁パネル41の周縁から降下したスカート42とを有している。
【0058】
スカート42の内面には、インナーキャップ30の筒状壁32の外面の螺条37と螺子係合する螺条47が設けられているが、この螺子係合は、インナーキャップ30の内面と容器口部20の外面の螺子係合(螺条21と螺条33との螺子係合)とは逆螺子の関係にある。即ち、オーバーキャップ40とインナーキャップ30との螺子係合が開放される回転方向は、インナーキャップ30は、容器口部20との螺子係合が締まる回転方向となり、オーバーキャップ40をインナーキャップ30との螺子係合が締まる回転方向は、インナーキャップ30と容器口部20との螺子係合が開放される回転方向となる。
また、スカート42の内面の下端は、若干内包に突出した段差部48となっており、この段差部48が、インナーキャップ30の筒状壁32の裾広がり部32aの下端に係合しており、これにより、オーバーキャップ40のすっぽ抜けが有効に防止されている。
【0059】
さらに、スカート42の下端には、ストッパーバンド50が、引き裂き可能な橋絡部51を介して連結されており、このバンド50の外面には、これを引き剥がす際の摘み53設けられている。即ち、このストッパーバンド50は、摘み53を周方向に引っ張ることにより、橋絡部51が引き裂かれ、スカート42から容易に引き剥がされる。
尚、
図7では、ストッパーバンド50が引き剥がされた状態のオーバーキャップ40が示されている。
【0060】
さらに、ストッパーバンド50の内面には、若干凹んだ凹面50aが形成され、その下端には、係合突起55が形成されている。
図5から理解されるように、サポートリング25が、この凹面50a内に入り込むことにより、前述したスカート42の内面の下端の段差48と筒状壁32の裾広がり部32aとの係合と相俟って、オーバーキャップ40の上昇が規制され、係合突起55が容器口部20の外面のサポートリング25の下面と係合することにより、オーバーキャップ40の降下が規制されている。
【0061】
さらに、頂壁パネル41は、スライド式包装容器と全く同様、その下面の中心部分に、インナーキャップ30の頂板31の上面に設けられている突起(カッター)36を受け入れ可能な凹部46が設けられている共に、ICタグ10が取り付けられている(
図5参照)。尚、
図7では、このICタグ10及び前述した係合片42aは省略されている。
【0062】
このICタグ10も、その大きさに応じて嵌め込み等の機械的手段で頂壁パネル41の下面に取り付けられていてもよいし、接着剤或いはヒートシールなどにより取り付けられていてもよい。
また、凹部46上に位置する部分にICタグ10の開封検出回路9が位置するように、ICタグ10が取り付けられる。
【0063】
このような包装体は、容器口部20に装着されているインナーキャップ30に被せての打栓によりオーバーキャップ40を設けたとき、上述したストッパーバンド50(凹部50a及び係合突起55)と容器口部20(サポートリング25)との係合により、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面とインナーキャップ30の頂板31の上面との間に一定の間隔が確保され、ICタグ10(開封検出用回路9)が破断されないように、オーバーキャップ40が保持されている。
【0064】
上記のような構造を有する本発明の逆螺子型包装体の開封操作では、先ず、摘み53を持っての引き剥がしを行い、ストッパーバンド50をオーバーキャップ40(スカート42)から切り離し、これにより、オーバーキャップ40は、上昇可能となる。
次いで、
図8に示されているように、オーバーキャップ40をインナーキャップ30が容器口部20から解放される方向(開栓方向、図中、矢印で示す)に回転すると、スカート42の内面の螺条47とインナーキャップ30の螺条37との螺子係合により(キャップ30と容器口部との螺子係合に対して逆螺子の関係にある)、オーバーキャップ40はインナーキャップ30に対して相対的に締まる方向に降下するが、インナーキャップ30は、開栓方向に回転し、容器口部20との螺子係合が解除されていき、容器口部20に対して上昇していく。
従って、オーバーキャップ40の開栓方向への回転を続けていくと、インナーキャップ30の頂板31に設けられている突起(カッター)36がオーバーキャップ40の頂壁パネルに取り付けられているICタグ10の開封検出用回路9を突き破り、さらに回転を続けていくと、オーバーキャップ40はインナーキャップ30と共に上昇し、インナーキャップ30に被せられたまま、容器口部20から取り外されることとなる。
【0065】
このようにして容器口部20から取り外されたインナーキャップ30及びオーバーキャップ40は、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたままの打栓により、容器口部20に装着してリシールに供することもできるし、オーバーキャップ40を外してインナーキャップ30のみをリシールに供することもできる。
【0066】
上述したように、この逆螺子型包装容器においても、インナーキャップ30が一旦容器口部20から取り外されて容器が開封されると、オーバーキャップ40に設けられているICタグ10中の開封検出用回路9が破断するが、ICチップ3やアンテナ5及びリード線7は破壊されていないため、外部読み取り装置によってICチップ3に入力されている情報を読み取ることができ、この情報の中には、開封検出用回路9が破断されているという情報が含まれている。
従って、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールされていた場合にも、一般の需要者は、例えば携帯電話などを用いてICチップ3の情報を読み取ることにより、開封の事実を正確に読み取り、認識することができる。このことから、このような包装体は、いたずら防止機能に優れ、また内容物入れ替えなどの不正使用も、開封事実を認識することにより有効に防止することができる。
【0067】
尚、このような逆螺子型包装容器においても、ICタグ10は、インナーキャップ30の頂板31の上面に取り付けることも可能であり、この場合には、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面にカッターとなる突起36を設け、頂板部31の上面の中心に突起36を受ける凹部46を形成することとなる。
【0068】
かかる逆螺子型包装容器は、ストッパーバンド50を切り離さないと開封操作を行うことができないため、ICタグ10(開封検出用回路9)の破断とストッパーバンド50の切り離しとの両方で開封を検出することができるため、内容物の品質保証機能に極めて優れている。
【0069】
<嵌合型包装容器>
図9乃至
図11を参照して、嵌合型包装容器においても、容器の口部20に、螺子係合によりインナーキャップ30が装着されており、このインナーキャップ30の上に、オーバーキャップ40が被せられている。
【0070】
容器口部20の外面は、前述したスライド型及び逆螺子型の包装容器と同様であり、上から順に、螺条21、顎部23及びサポートリング25が形成されている。
【0071】
インナーキャップ30は、頂板31と、頂板周縁から降下している筒状壁32とを有しており、筒状壁32の内面には、
図5に示されているように、容器口部20の外面の螺条21と螺子係合する螺条33が設けられており、この螺子係合により、インナーキャップ30は、容器口部20に保持されている。
また、筒状壁32の外面には、その上部に、インナーキャップ30のリシール時の開栓や閉栓に際しての手での回転を容易に行えるようにローレットが形成されている。
また、筒状壁32の下方部分は裾広がり部32aとなっている。
【0072】
インナーキャップ30の頂板31の下面の周縁部分には、前記筒状壁32と間隔をおいて、インナーリング35が形成されており(
図9参照)、容器口部20の上端が、筒状壁32とインナーリング35との間の空間に入り込み、インナーリング35の外面が容器口部20の上端部分の内面に密着して密封性が確保されている。
【0073】
また頂板31の上面には、その中心部分に、カッターとなる突起36が形成されており、この突起36により、オーバーキャップ40に取り付けられているICタグ10の開封検出用回路9を破断するようになっている。
【0074】
さらに、この嵌合型包装容器では、
図10に示されているように、頂板31の上面の周縁部には、適当な間隔を置いて、嵌合用切り欠き部60が形成されており、この切り欠き部60にオーバーキャップ40が係合せしめることにより、オーバーキャップ40を回転することにより、インナーキャップ30を回転させることができる。
【0075】
一方、オーバーキャップ40は、頂壁パネル41と、頂壁パネル41の周縁から降下したスカート42とを有しているとともに、スカート42の内面の下端は、若干内包に突出した段差部48となっている。即ち、この段差部48が、インナーキャップ30の筒状壁32の裾広がり部32aの下端に係合しており、これにより、オーバーキャップ40のすっぽ抜けが有効に防止されている。
【0076】
また、スカート42の下端には、前述した逆螺子型包装容器と同様、ストッパーバンド50が、引き裂き可能な橋絡部51を介して連結されており、このバンド50の外面には、これを引き剥がす際の摘み53設けられている。
即ち、このストッパーバンド50は、摘み53を周方向に引っ張ることにより、橋絡部51が引き裂かれ、スカート42から容易に引き剥がされる。
【0077】
また、ストッパーバンド50の内面には、凹んだ凹面50aが形成されている。
図9から理解されるように、サポートリング25が、この凹面50a内に入り込んでおり、オーバーキャップ40のさらなる降下が規制されている。
【0078】
さらに、頂壁パネル41は、スライド式包装容器と全く同様、その下面の中心部分に、インナーキャップ30の頂板31の上面に設けられている突起(カッター)36を受け入れ可能な凹部46が設けられている共に、ICタグ10が取り付けられている(
図9参照)。
図11では、このICタグ10は省略されている。
【0079】
このICタグ10も、その大きさに応じて嵌め込み等の機械的手段で頂壁パネル41の下面に取り付けられていてもよいし、接着剤或いはヒートシールなどにより取り付けることもできる。
また、凹部46上に位置する部分にICタグ10の開封検出回路9が位置するように、ICタグ10が取り付けられる。
【0080】
さらに、頂壁パネル41の下面には、その周縁部に、前述したインナーキャップ30の嵌合用切り欠き部60に対応するように、嵌合用凸部62が形成されている(
図11参照)。
即ち、この包装体においては、オーバーキャップ40が被せられているインナーキャップ30の打栓により、これらのキャップ30,40が容器口部20に装着されるが、このとき、嵌合用凸部62が嵌合用切り欠き部60上に位置するように設定されている。また、上述したストッパーバンド50(凹部50a)と容器口部20(サポートリング25)との係合により、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面とインナーキャップ30の頂板31の上面との間には、ICタグ10(開封検出用回路9)が破断されないように一定の間隔が確保されている。
【0081】
このような構造を有する嵌合型包装体の開封操作においても、前述した逆螺子型包装容器と同様、先ず、摘み53を持っての引き剥がしを行い、ストッパーバンド50をオーバーキャップ40(スカート42)から切り離し、これにより、オーバーキャップ40は、降下可能となる。
次いで、このオーバーキャップ40を押し込むことにより、嵌合用凸部62が嵌合用切り欠き部60内に嵌め込まれると同時に、インナーキャップ30の頂板31に設けられている突起(カッター)36がオーバーキャップ40の頂壁パネルに取り付けられているICタグ10の開封検出用回路9を突き破り、凹部46内に侵入することとなる。
この後、オーバーキャップ40を開栓方向に回転させると、嵌合用凸部62が嵌合用切り欠き部60内に嵌め込まれているため、インナーキャップ30も開栓方向に回転し、容器口部20との螺子係合が解除されていき、オーバーキャップ40が被せられたまま、インナーキャップ30が容器口部20から取り外されることとなる。
【0082】
このようにして容器口部20から取り外されたインナーキャップ30及びオーバーキャップ40は、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールに供することもできるし、オーバーキャップ40を外してインナーキャップ30のみをリシールに供することもできる。
【0083】
上述したように、この嵌合型包装容器においても、インナーキャップ30が一旦容器口部20から取り外されて容器が開封されると、オーバーキャップ40に設けられているICタグ10中の開封検出用回路9が破断するが、ICチップ3やアンテナ5及びリード線7は破壊されていないため、外部読み取り装置によってICチップ3に入力されている情報を読み取ることができ、この情報の中には、開封検出用回路9が破断されているという情報が含まれている。
即ち、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールされていた場合にも、一般の需要者は、例えば携帯電話などを用いてICチップ3の情報を読み取ることにより、開封の事実を正確に読み取り、認識することができる。このことから、このような包装体は、いたずら防止機能に優れ、また内容物入れ替えなどの不正使用も、開封事実を認識することにより有効に防止することができる。
【0084】
尚、このような嵌合型包装容器においても、ICタグ10は、インナーキャップ30の頂板31の上面に取り付けることも可能であり、この場合には、オーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面にカッターとなる突起36を設け、頂板部31の上面の中心に突起36を受ける凹部46を形成することとなる。
また、嵌合用切り欠き部60に相当する凹部や溝をオーバーキャップ40の頂壁パネル41の下面に形成し、嵌合用凸部62をインナーキャップ30の頂板31の上面に設けることも可能である。
【0085】
かかる嵌合型包装容器の開封には、ストッパーバンド50を切り離し、さらにオーバーキャップ40を押し込んでの回転という操作が必要であり、従って、幼児が簡単に開封を行ってしまうという不都合を有効に防止することができ、チャイルドレジスタンス性に優れている。
また、ICタグ10(開封検出用回路9)の破断とストッパーバンド50の切り離しとの両方で開封を検出することができるため、内容物の品質保証機能に極めて優れている。
【0086】
さらに、上述した嵌合型包装容器においては、インナーキャップ30及びオーバーキャップ40を容器口部20に位置ずれなく正確に装着するために、オーバーキャップ40のスカート42の外面に、位置決め用の縦リブを適宜の数設けることが好ましい。
即ち、この包装容器では、始めにオーバーキャップ40をインナーキャップ30に被せるが、このとき、嵌合用凸部62が嵌合用凹部60の間に位置するように、位置決めリブを用いて設定する。これにより、オーバーキャップ40(嵌合用凸部62)が深く降下してのICタグ10の破断を確実に防止することができる。
また、上記のようにしてオーバーキャップ40が被せられているインナーキャップ30は、容器口部20に打栓され、次いで、オーバーキャップ40を閉栓方向に回転させ、先に述べた位置決めリブの位置を利用して、嵌合用凸部62が嵌合用凹部60上に位置するように設定することにより、
図9に示されている構造の嵌合式包装容器が組み立てられる。
【0087】
<ラチェット型包装容器>
図13乃至
図15を参照して、ラチェット型包装容器も、容器の口部20に、螺子係合によりインナーキャップ30が装着されており、このインナーキャップ30の上に、オーバーキャップ40が被せられている。
【0088】
容器口部20の外面も、前述した各種のタイプの包装容器と同様であり、上から順に、螺条21、顎部23及びサポートリング25が形成されている。
【0089】
インナーキャップ30は、頂板31と、頂板周縁から降下している筒状壁32とを有しており、筒状壁32の内面には、
図13に示されているように、容器口部20の外面の螺条21と螺子係合する螺条33が設けられており、この螺子係合により、インナーキャップ30は、容器口部20に保持されている。
【0090】
頂板31の下面の周縁部分には、前記筒状壁32と間隔おいて、インナーリング35が形成されており、容器口部20の上端が、筒状壁32とインナーリング35との間の空間に入り込み、インナーリング35の外面が容器口部20の上端部分の内面に密着して密封性が確保されている。
【0091】
また、
図14に示されているように、筒状壁32の外面には、その上端から鉛直方向下方に延びている縦溝70が形成されており、この縦溝70の下端からは、インナーキャップ30の開栓方向に向かって周方向に延びている有端のラチェット溝73が形成されている。即ち、ラチェット型包装容器では、ラチェット溝73を利用しての係合により、オーバーキャップ40によるインナーキャップ30の開栓が行われる。
【0092】
さらに、
図14から理解されるように、このタイプの包装容器では、ICタグ10は、インナーキャップ30の頂板31の上面から筒状壁32の外面にかけて、接着剤などを用いて貼り付けられており、特に、ラチェット溝73に被さるようにして設けられている。即ち、ICタグ10は、以下に述べるカット爪75がラチェット溝73を通るときに破断するものであり、従って、開封検出用回路9がラチェット溝73上に位置するようにICタグ10は取り付けられている。
従って、この態様においては、ICタグ10の形状は、一般に矩形である。
【0093】
一方、オーバーキャップ40は、頂壁パネル41と、頂壁パネル41の周縁から降下したスカート42とを有しており、スカート42の下端には、前述した逆螺子型包装容器と同様、ストッパーバンド50が、引き裂き可能な橋絡部51を介して連結されており、このバンド50の外面には、これを引き剥がす際の摘み53が設けられている。
即ち、このストッパーバンド50は、摘み53を周方向に引っ張ることにより、橋絡部51が引き裂かれ、スカート42から容易に引き剥がされる。
【0094】
ストッパーバンド50の内面には、凹んだ凹面50aが形成されている。
図13から理解されるように、サポートリング25が、この凹面50a内に入り込んでおり、オーバーキャップ40のさらなる降下が規制されている。
【0095】
また、
図15に示されているように、スカート42の内面の下端部には、上向きのフラップ片75が形成されている。
図13から理解されるように、上記フラップ片75がインナーキャップ30のスカート32の下端面に係合しており、これにより、インナーキャップ30の頂板31とオーバーキャップ40の頂壁パネル41との間には一定の間隙が形成されているが、オーバーキャップ40がすっぽ抜けないようになっている。
【0096】
さらに、
図15に示されているように、このオーバーキャップ40のスカート42の内面の上方部分には、カット爪77が設けられている。即ち、このカット爪77は、前述したインナーキャップ30の筒状壁32の外面に形成されている縦溝70内に嵌め込まれている。
【0097】
即ち、この包装体は、容器口部20に装着されているインナーキャップ30に被せての打栓によりオーバーキャップ40が装着されるが、このとき、オーバーキャップ40は、カット爪77が縦溝70と係合するように位置合わせされる。この位置合わせを正確に行うために、例えば、オーバーキャップ40のスカート42の外面に、カット爪77の位置に対応させて位置決め用の縦リブなどを形成しておくことができる。
また、カット爪77が縦溝70内に保持されているときは、カット爪77の移動によるICタグ10の破断が生じることは無い。
【0098】
このような構造を有するラチェット型包装体の開封操作も、摘み53を持ってのストッパーバンド53の引き剥がしから開始される。即ち、ストッパーバンド50をオーバーキャップ40(スカート42)から切り離し、これにより、オーバーキャップ40が降下可能となり、オーバーキャップ40を押し込むことにより、カット爪77が、開栓方向に延びているラチェット溝73内に侵入する。
従って、この状態でオーバーキャップ40を開栓方向に回転させると、カット爪77がラチェット溝73内を開栓方向に旋回しながらオーバーキャップ40は空回りする。このようにして、カット爪77がICタグ10が被せられている部分を通過するときに、ICタグ10(開封検出用回路9)の破断が生じるわけである。
この後、オーバーキャップ40をさらに、開栓方向に回転させると、カット爪77がラチェット溝73の端部73aに当接し、これにより、インナーキャップ30もオーバーキャップ40と一体となって開栓方向に回転し、容器口部20との螺子係合が解除されていき、オーバーキャップ40が被せられたまま、インナーキャップ30が容器口部20から取り外されることとなる。
【0099】
このようにして容器口部20から取り外されたインナーキャップ30及びオーバーキャップ40は、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールに供することもできるし、オーバーキャップ40を外してインナーキャップ30のみをリシールに供することもできる。
【0100】
上述したラチェット式包装容器においても、ICチップ3やアンテナ5及びリード線7を破壊せず、開封検出用回路9を選択的に破壊される。従って、インナーキャップ30にオーバーキャップ40が被せられたまま、容器口部20に装着してリシールされていた場合にも、一般の需要者は、例えば携帯電話などを用いてICチップ3の情報を読み取ることにより、開封の事実を正確に読み取り、認識することができる。このことから、このような包装体は、いたずら防止機能に優れ、また内容物入れ替えなどの不正使用も、開封事実を認識することにより有効に防止することができる。
【0101】
また、ラチェット式包装容器においても、ICタグ10(開封検出用回路9)の破断に加えて、ストッパーバンド50の切り離しが開封の事実を明示するため、内容物の品質保証機能に極めて優れている。
【0102】
尚、上述した
図2〜
図15に示されている包装容器では、ICタグ10に開封を検出するための専用の開封検出用回路9が形成されており、開封に際して、この回路9が破断される構造となっているが、このような回路9を省略することもできる。即ち、このような場合には、アンテナ5を含む回路(例えばリード線7)は開封に際して破断されるように、オーバーキャップ40(或いはインナーキャップ30)の所定位置に配置すればよい。この場合には、容器口部20の開封により、ICチップ3からの情報の読み取りが不能となり、これにより、容器口部20が開封された事実を認識することができる。
【0103】
本発明の包装容器では、ICタグ10は、オーバーキャップ40或いはインナーキャップ30に取り付けられ、別個の部材にまたがるようにして設けられるものではなく、また、開封に際して切り取られてしまうバンド部にICタグ10が取り付けられることはなく、従って、ICタグ10の取り付け作業、インナーキャップ30やオーバーキャップ40のキャッピング作業も容易に行うことがで、これらの作業に際してのICタグの破断も有効に防止されている。
また、オーバーキャップ40の開栓と連動して容器口部20をシールしているインナーキャップ30の開栓が行われる為、容器口部の開封に手間がかからない。
【0104】
さらに、上述した本発明の包装容器は、既存の包装容器にも効果的に適用することができる。例えば、
図16に示されているように、内容物が充填され且つ口部にキャップ100が装着されている既存の包装容器105のノズル部に、これを取り囲むように、前述した容器口部20に対応する外面を有する割型110,110を嵌め込む。この状態で、前述した各種タイプのインナーキャップ30及びオーバーキャップ40を設けることにより、本発明を既存の包装容器105に適用することが可能となる。
この場合、インナーキャップ30及びオーバーキャップ40を前述した方法で除去した後、割型110,110を取り外し、さらに、キャップ100を常法にしたがって取り外すことにより、容器内容物を取り出すことができる。
【0105】
尚、上述した各種タイプのインナーキャップ30やオーバーキャップ40は、熱可塑性樹脂の圧縮成形、射出成形等により製造されるものであり、このような熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂或いはポリカーボネート等が使用される。