(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の放射線吸収部材は、前記コリメータ板の配列方向に、前記コリメータ板の板厚より該板厚の3%〜50%分または0.005mm〜0.1mmだけ広い幅を有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコリメータモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、検出素子の微細化が進み、コリメータ板の板厚や配列ピッチが小さくなってきている。その結果、コリメータ板の設置精度を許容範囲内に抑えることが難しくなってきている。また、X線検出器の検出特性を安定化させるためのヒータの熱により、コリメータ板が熱変形を起こす場合もある。さらに、X線検出器が搭載される走査ガントリの回転速度も高速化が進み、走査ガントリの回転中にコリメータ板に作用する離心力(遠心力)も大きくなってきている。その結果、コリメータ板が移動したり変形したりする場合も多い。
【0005】
コリメータ板の設置精度が悪かったり、コリメータ板が移動・変形したりすると、X線検出素子に入射可能な1次X線の経路が変わり、X線検出器の検出特性が安定しなくなる。
【0006】
このような事情により、コリメータ板の傾斜・移動・変形等に依らず、放射線検出器の検出特性を安定させることができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点の発明は、
所定方向に間隔を置いて配列された複数のコリメータ板であって、それぞれの板面が放射線源からの放射方向に沿うように立設されている複数のコリメータ板と、
前記複数のコリメータ板の放射線入射側に配置されている複数の第1の放射線吸収部材であって、それぞれが、前記コリメータ板の放射線入射側の端部に沿って延びており、前記コリメータ板の配列方向において前記コリメータ板の板厚より幅広に形成されている複数の第1の放射線吸収部材と、
前記複数のコリメータ板の放射線出射側に配置されている複数の第2の放射線吸収部材であって、それぞれが、前記コリメータ板の放射線出射側の端部に沿って延びており、前記コリメータ板の配列方向において前記コリメータ板の板厚より幅広に形成されている複数の第2の放射線吸収部材と、を備えたコリメータモジュールを提供する。
【0008】
第2の観点の発明は、
前記コリメータ板の配列方向が、チャネル方向およびスライス方向の少なくとも一方である上記第1の観点のコリメータモジュールを提供する。
【0009】
第3の観点の発明は、
前記複数のコリメータ板の放射線入射側に配置されている第1の放射線透過部材と、
前記複数のコリメータ板の放射線出射側に配置されている第2の放射線透過部材とをさらに備えており、
前記複数の第1の放射線吸収部材が、前記第1の放射線透過部材に固着されており、
前記複数の第2の放射線吸収部材は、前記第2の放射線透過部材に固着されている上記第1の観点または第2の観点のコリメータモジュールを提供する。
【0010】
第4の観点の発明は、
前記第1および第2の放射線透過部材が、炭素繊維を含む樹脂により構成されている上記第3の観点のコリメータモジュールを提供する。
【0011】
第5の観点の発明は、
前記第1および第2の放射線吸収部材が、前記コリメータ板の配列方向に、前記コリメータ板の板厚より該板厚の3%〜50%分または0.005mm〜0.1mmだけ広い幅を有する上記第1の観点から第4の観点のいずれか一つの観点のコリメータモジュールを提供する。
【0012】
第6の観点の発明は、
前記コリメータ板の板厚が、前記コリメータ板の配列間隔の5%〜50%分である上記第1の観点から第5の観点のいずれか一つの観点のコリメータモジュールを提供する。
【0013】
第7の観点の発明は、
前記コリメータ板の板厚が、0.05mm〜0.5mmである上記第1の観点から第6の観点のいずれか一つの観点のコリメータモジュールを提供する。
【0014】
第8の観点の発明は、
前記第1および第2の放射線吸収部材が、タングステンまたはモリブデンにより構成されている上記第1の観点から第7の観点のいずれか一つの観点のコリメータモジュールを提供する。
【0015】
第9の観点の発明は、
上記第1の観点から第8の観点のいずれか一つの観点のコリメータモジュールが放射線検出器の放射線入射面側に複数配置された放射線検出装置を提供する。
【0016】
第10の観点の発明は、
上記第9の観点の放射線検出装置を備えている放射線断層撮影装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
上記観点の発明によれば、コリメータ板の放射線入射側および放射線出射側に、コリメータ板の板厚より幅広の放射線吸収部材が設けられる。そのため、コリメータ板の設置精度が悪かったり、コリメータ板が移動・変形したりしても、放射線検出素子に入射可能な1次X線の経路が変わらない。その結果、放射線検出器の検出特性を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】第1の実施形態に係るコリメータモジュールの斜視図である。
【
図4】コリメータモジュールをSL方向に見たときの一部拡大断面図である。
【
図5】コリメータモジュールをI方向に見たときの一部拡大断面図である。
【
図6】トップエンドブロック、ボトムエンドブロックおよび複数のコリメータ板の構成部分を示す四面図である。
【
図7】第1の固定シート、第2の固定シート、複数の第1のサブコリメータ部、および第2のサブコリメータ部の構成部分を示す四面図である。
【
図8】従来のコリメータモジュールにおいてコリメータ板が傾斜して配置された場合の様子を示す図である。
【
図9】従来のコリメータモジュールにおいてコリメータ板が変形して配置された場合の様子を示す図である。
【
図10】従来のコリメータモジュールにおいてコリメータ板が移動した場合の様子を示す図である。
【
図11】従来のコリメータモジュールにおいてコリメータ板が湾曲した場合の様子を示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係るコリメータモジュールにおいてコリメータ板が傾斜して配置された場合の様子を示す図である。
【
図13】第1の実施形態に係るコリメータモジュールにおいてコリメータ板が変形して配置された場合の様子を示す図である。
【
図14】第1の実施形態に係るコリメータモジュールにおいてコリメータ板が移動した場合の様子を示す図である。
【
図15】第1の実施形態に係るコリメータモジュールにおいてコリメータ板が湾曲した場合の様子を示す図である。
【
図16】第2の実施形態に係るコリメータモジュールの構成を示す図である。
【
図17】第3の実施形態に係るコリメータモジュールの構成を示す図である。
【
図18】第4の実施形態に係るコリメータモジュールの構成を示す図である。
【
図19】第5の実施形態に係るコリメータモジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、X線CT装置1の外観図である。
図1に示すように、X線CT装置1は、被検体をスキャン(scan)して投影データ(data)を収集する走査ガントリ(gantry)2と、被検体を撮影空間である走査ガントリ2のボア(bore)に搬送する撮影テーブル(table)3とを有している。さらに、X線CT装置1は、X線CT装置1を構成する各部を制御してスキャンを行ったり、スキャンによって収集された投影データを基に画像を再構成したりする操作コンソール(console)4を有している。
【0021】
撮影テーブル3は、被検体を載せるクレードル(cradle)を有しており、そのクレードルを昇降および水平直線移動させる。
【0022】
操作コンソール4は、操作者からの入力を受け付ける入力装置と、画像を表示するモニタとを有している。また、操作コンソール4は、その内部に被検体の投影データを収集するための各部の制御や3次元画像再構成処理等を行う中央処理装置と、走査ガントリ2で取得したデータを収集するデータ収集バッファ(buffer)と、プログラム(program)やデータ等を記憶する記憶装置とを有している。
【0023】
走査ガントリ2は、被検体をスキャンするためのX線管およびX線検出装置を有している。
【0024】
図2は、X線管およびX線検出装置を示す図である。ここでは、
図2に示すように、X線管5の焦点6からX線7が照射される方向をX線照射方向(I方向)とし、走査ガントリ2の回転軸方向(クレードルの水平移動方向あるいは被検体の体軸方向)をスライス方向(SL方向)、X線7のファン角方向をチャネル方向(CH方向)とする。なお、CH方向、SL方向およびI方向は、それぞれ、
図2の矢印が指示する方向を+(プラス)方向とし、その逆方向を−(マイナス)方向とする。
【0025】
X線検出装置8は、X線7を検出するX線検出器9と、X線管5の焦点6から照射されるX線7をコリメートするコリメータ装置10と、X線検出器9およびコリメータ装置10を基準位置に固定するベース(base)部11とを有している。コリメータ装置10は、X線検出器9のX線入射面側に配置されている。
【0026】
X線検出器9は、CH方向に沿って配列された複数の検出器モジュール12により構成されている。また、コリメータ装置10は、CH方向に沿って配設された複数のコリメータモジュール13により構成されている。ここでは、1つのコリメータモジュール13のX線出射側に対して、1つの検出器モジュール12が取り付けられている。検出器モジュール12は、走査ガントリ2のボア内の被検体を透過したX線7を検出する。なお、検出器モジュール12とコリメータモジュール13とは、1対1で対応している必要はなく、1つのコリメータモジュール13に対して、複数の検出器モジュール12が取り付けられてもよい。
【0027】
検出器モジュール12は、CH方向およびSL方向に2次元的に配列された複数の検出素子(不図示)を有している。検出素子の配列ピッチは、例えば1mmである。検出素子は、例えば、X線7を受けて発光するシンチレータ素子と、光電変換を行うフォトダイオード(photo diode)とから構成されている。
【0028】
ベース部11は、矩形の枠形状であり、一対の円弧状の第1の基底材11aと、これら第1の基底材11aの端部を連結した一対の直線状の第2の基底材11bとを有している。また、第1の基底材11aには、複数のコリメータモジュール13の位置決めをするためのベース側位置決めピンまたは位置決め孔が設けられている。
【0029】
ベース部11の材料としては、例えば、アルミ(aluminum)合金や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等が用いられる。アルミ合金またはCFRPは、軽くて強く、高い耐久性を持っている。そのため、X線管5およびX線検出装置8が高速回転する際に、余計な離心力を生じることなく回転することができる。
【0030】
なお、
図2では、コリメータモジュール13を簡略化して描いているが、実際には、1つのベース部11に数十個のコリメータモジュール13が固定されている。
【0031】
これより、コリメータモジュール13の構造について詳しく説明する。
【0032】
図3は、コリメータモジュール13の斜視図である。また、
図4は、コリメータモジュール13をスライス方向(SL方向)に見たときの拡大断面図であり、
図5は、コリメータモジュール13をX線照射方向(I方向)に見たときの一部拡大断面図である。
【0033】
図3に示すように、コリメータモジュール13は、トップエンドブロック14と、ボトムエンドブロック15と、複数のコリメータ板16とを有している。
【0034】
図6は、トップエンドブロック、ボトムエンドブロックおよび複数のコリメータ板の構成部分を示す四面図である。
【0035】
図6に示すように、トップエンドブロック14とボトムエンドブロック15とは、SL方向に所定の間隔を置くように位置合せされ、配置されている。トップエンドブロック14およびボトムエンドブロック15の互いに対向する面には、それぞれ、コリメータ板16のSL方向における両端部を挿入するための挿入溝14a,15aが複数形成されている。複数の挿入溝14a,15aは、それぞれ、I方向に沿って直線状に延びており、各検出素子を区分するように、検出素子のCH方向における配列ピッチと実質的に同一のピッチで形成されている。挿入溝14a,15aのCH方向における幅は、コリメータ板16の板厚より若干広い程度である。トップエンドブロック14およびボトムエンドブロック15は、例えばアルミ合金やプラスチック樹脂等により構成されており、ワイヤ放電加工法等により精度よく加工・成形される。
【0036】
図6に示すように、コリメータ板16は、CH方向を板厚方向とする板状を有している。コリメータ板16の板面は、I方向に略平行な二つの短辺と、SL方向に略平行な二つの長辺とからなる矩形状、または二つの長辺が緩やかに湾曲した扇形状である。コリメータ板16は、X線吸収性が高い部材、例えばタングステンやモリブデン等により構成されており、ワイヤ放電加工法等により精度よく加工・成形される。コリメータ板16は、1つのコリメータモジュール当たり、例えば32〜64枚程度含まれる。ただし、
図6では、簡略化のため、コリメータ板16の枚数を少なくして描いてある。
【0037】
図5,
図6に示すように、コリメータ板16のSL方向における両端部は、トップエンドブロック14およびボトムエンドブロック15に形成されている複数の挿入溝14a,15aに挿入され、位置合せされた状態で固着されている。コリメータ板16の外寸は、例えば、SL方向の長さが150mm、I方向の長さが30mm、CH方向の板厚tが0.2mmである。複数のコリメータ板16のCH方向の配列ピッチpは、例えば1mmである。
【0038】
図3に示すように、コリメータモジュール13は、さらに、第1の固定シート(第1の放射線透過部材)17と、第2の固定シート(第2の放射線透過部材)18と、複数の第1のサブコリメータ部(第1の放射線吸収部材)19と、複数の第2のサブコリメータ部(第2の放射線吸収部材)20とを有している。
【0039】
図7は、第1の固定シート、第2の固定シート、複数の第1のサブコリメータ部、および第2のサブコリメータ部の構成部分を示す四面図である。
【0040】
図7に示すように、第1の固定シート17は、I方向をシート厚方向とするシート状を有している。第1の固定シート17のシート面は、CH方向に略平行な二つの短辺と、SL方向に略平行な二つの長辺とからなる矩形状である。第1の固定シート17のX線出射面側(−I方向側)には、コリメータ板16のX線入射側の端部16cを挿入するための第1の溝17aが複数形成されている。複数の第1の溝17aは、それぞれ、SL方向に沿って直線状に延びており、検出素子のCH方向における配列ピッチと実質的に同一のピッチで形成されている。
【0041】
図3〜
図5に示すように、第1の固定シート17は、トップエンドブロック14、ボトムエンドブロック15、および複数のコリメータ板16のX線入射面側(+I方向側)に設けられている。第1の固定シート17と、トップエンドブロック14、ボトムエンドブロック15および複数のコリメータ板16とは、第1の固定シート17における複数の第1の溝17aに複数のコリメータ板16のX線入射側の端部16cがそれぞれ挿入された状態にて、接着剤により互いに固着されている。
【0042】
第2の固定シート18は、
図7に示す第1の固定シート17と同様の形状を有している。第2の固定シート18のX線入射面側には、コリメータ板16のX線出射側の端部16dを挿入するための第2の溝18aが複数形成されている。複数の第2の溝18aは、それぞれ、SL方向に沿って直線状に延びており、検出素子のCH方向における配列ピッチと略同一のピッチで形成されている。
図3〜
図5に示すように、第2の固定シート18は、トップエンドブロック14、ボトムエンドブロック15、および複数のコリメータ板16のX線出射面側に設けられている。第2の固定シート18と、トップエンドブロック14、ボトムエンドブロック15、および複数のコリメータ板16とは、第2の固定シート18における複数の第2の溝18aに複数のコリメータ板16のX線出射側の端部16dがそれぞれ挿入された状態にて、接着剤により互いに固着されている。
【0043】
第1および第2の固定シート17,18は、炭素繊維強化プラスチックにより構成されている。炭素繊維強化プラスチックは、軽量で、剛性が高く、X線透過性が高い、熱による変形が少ない、といった特徴を有している。
【0044】
図4,
図7示すように、第1の固定シート17のX線入射面側には、複数の第1のサブコリメータ部19が埋め込まれるようにして設けられている。複数の第1のサブコリメータ部19は、それぞれ、SL方向に沿って直線状に延びており、検出素子のCH方向における配列ピッチと略同一のピッチで形成されている。第1のサブコリメータ部19は、I方向を板厚方向とする板状を有している。複数の第1のサブコリメータ部19は、それぞれ、各コリメータ板16のX線入射側の端部16cと対応しており、CH方向において、その中心が、コリメータ板16が配置されるべき基準位置Rに高い精度で位置合せされている。第1のサブコリメータ部19は、CH方向において、コリメータ板16の板厚より幅広であり、その幅w1は、例えばコリメータ板16の板厚tの110%程度である。
【0045】
同様に、第2の固定シート18のX線出射面側には、複数の第2のサブコリメータ部20が埋め込まれるようにして設けられている。複数の第2のサブコリメータ部20は、それぞれ、SL方向に沿って直線状に延びており、検出素子のCH方向における配列ピッチと実質的に同一のピッチで形成されている。第2のサブコリメータ部20は、I方向を板厚方向とする板状を有している。複数の第2のサブコリメータ部20は、それぞれ、各コリメータ板16のX線出射側の端部16dと対応しており、CH方向において、その中心が、コリメータ板16が配置されるべき基準位置に高い精度で位置合せされている。第2のサブコリメータ部20は、CH方向において、コリメータ板16の板厚tより幅広であり、その幅w2は、例えばコリメータ板16の板厚tの110%程度である。
【0046】
第1および第2のサブコリメータ部18,20は、X線吸収性が高い部材、例えばタングステンやモリブデン等により構成されており、例えばエッチング法により、非常に高い精度で上記の基準位置に加工・成形される。
【0047】
これより、上記構成のコリメータモジュールの作用・効果について図を参照しながら説明する。
【0048】
図8〜
図15は、コリメータモジュールの作用・効果を説明するための図であり、いずれもコリメータモジュールをSL方向に見たときの一部拡大断面図である。
【0049】
コリメータモジュールは、微細な構造を有する部品から構成されることから、各部品の加工精度や組立て作業に誤差が生じ易い。そのため、コリメータモジュールにおいて、コリメータ板は、I方向に対して傾斜して固定されたり(
図8の第1の不良コリメータ板31)、変形して固定されたり(
図9の第2の不良コリメータ板32)することがある。また、コリメータ板は、検出素子の検出特性を安定させるためのヒータの熱や、走査ガントリ2が回転する際の離心力(G−Loadという)により、略平行に移動したり(
図10の第3の不良コリメータ板33)、弓形に変形したり(
図11の第4の不良コリメータ板34)することがある。このような場合、これら第1〜第4の不良コリメータ板31〜34のX線入射側およびX線出射側の端部の位置が、CH方向において、本来配置されるべき基準位置Rから微小距離だけずれることになる。微小距離は、例えばコリメータ板の板厚の数%程度に相当する距離、あるいは数μm程度である。その結果、散乱線の除去効果にはあまり影響がないものの、検出素子へ入射可能な1次X線の経路の境界は変化してしまう。例えば、
図8〜
図11のそれぞれにて示すように、X線7が矢印方向に照射される場合、検出素子12iへ入射可能な1次X線の経路の境界は、第1の経路7aから第2の経路7bへと変化してしまう。
【0050】
このように、従来は、コリメータ板のX線入射側およびX線出射側の端部の位置がずれると、検出素子へ入射可能な1次X線の経路も変化してしまう。その結果、各検出素子の実効的な感度が変化し、各検出素子の検出特性が安定しなかった。
【0051】
一方、本実施形態では、コリメータ板16のX線入射側およびX線出射側の端部を、I方向へ見たときにCH方向にて覆うように、第1および第2のサブコリメータ部19,20が設置されている。これら第1および第2のサブコリメータ部19,20は、上述したように、エッチング加工法等により、高精度に位置決めされ、加工・成形される。また、第1および第2のサブコリメータ部19,20は、CH方向において、コリメータ板16の板厚tより幅広である。さらに、第1および第2のサブコリメータ部19,20は、剛性が高く、熱変形が起きにくい炭素繊維強化プラスチック製の第1および第2の固定シート17,18に設けられている。そのため、第1および第2のサブコリメータ部19,20は、ヒータの熱や走査ガントリ2の回転時の離心力によって移動したり変形したりすることがほとんどない。したがって、幾何学的に考えて、コリメータ板16が傾いたり、変形したり、移動したり、湾曲したりしても、検出素子12iへ入射可能な1次X線の経路は、ほとんど変化しない。例えば、
図12〜
図15のそれぞれにて示すように、X線7が矢印方向に照射される場合、検出素子12iへ入射可能な1次X線の経路の境界は、第1および第2のサブコリメータ部19,20の位置で決まるため、変化しない。その結果、各検出素子の実効的な感度の変化を抑えて、各検出素子の検出特性を安定させることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
発明は、SL方向に配列された複数のコリメータ板にも適用することができる。例えば、
図16に示すような2次元コリメータモジュールを考えることができる。本例の2次元コリメータモジュール13′は、CH方向に配列された複数のCHコリメータ板161と、SL方向に配列された複数のSLコリメータ板162とを有しており、これらが格子状に組み合わされている。CHコリメータ板161については、そのX線入射側およびX線出射側の端部をCH方向にて覆うように、CHコリメータ板161の板厚より幅広の第1および第2のCHサブコリメータ部191、201が設けられている。また、SLコリメータ板162については、そのX線入射側およびX線出射側の端部をSL方向にて覆うように、SLコリメータ板162の板厚より幅広の第1および第2のSLサブコリメータ部192,202が設けられている。
【0053】
なお、当然ながら、SLコリメータ板162についてのみ、そのX線入射側およびX線出射側の端部をSL方向にて覆うように、SLコリメータ板162の板厚より幅広の第1および第2のSLサブコリメータ部192,202を設けるようにしてもよい。
【0054】
(第3の実施形態)
図17に示すように、第1および第2のサブコリメータ部19,20は、第1および第2の固定シート17,18上に盛り付けるように設けてもよい。第1および第2のサブコリメータ部19,20の加工・成形には、例えばエッチング法を用いることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
図18に示すように、第1および第2の固定シート17,18は、第1および第2の溝17a,18aを有しないものとし、コリメータ板16のX線入射側およびX線出射側の端部16c,16dを、第1および第2の固定シート17,18のシート面に、直接、固着するようにしてもよい。
【0056】
(第5の実施形態)
図19に示すように、第1および第2のサブコリメータ部19,20が設けられた第1および第2のシート部材21,22を別途用意し、これら第1および第2のシート部材21,22を第1および第2の固定シート17,18上に貼り付けるようにしてもよい。第1および第2のシート部材21,22は、例えば炭素繊維強化プラスチック等により構成される。
【0057】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明の実施形態は、上記の実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加・変更が可能である。
【0058】
例えば、第1および第2のサブコリメータ部は、コリメータ板の実際の設置精度や移動・変形によるずれ量を考慮すると、コリメータ板の配列方向に、コリメータ板の板厚よりその板厚の3%〜50%分または0.005mm〜0.1mmだけ広い幅を有するものが望ましい。
【0059】
また、例えば、コリメータ板の板厚は、検出素子における放射線検出効率等を考慮すると、コリメータ板の配列ピッチの5%〜50%分であることが望ましい。
【0060】
また、例えば、コリメータ板の板厚は、コリメータ板の必要な剛性等を考慮すると、0.05mm〜0.5mmであることが望ましい。
【0061】
なお、発明の実施形態の例は、コリメータモジュールだけでなく、このようコリメータモジュールがX線検出器のX線入射面側に複数配置されているX線検出装置、さらに、このようなX線検出装置を備えたX線CT装置もまた発明の実施形態の例である。
【0062】
また、発明の実施形態は、X線用に限定されず、他の放射線、例えばSPECT装置が扱うようなγ(ガンマ)線用にも適用可能である。