特許第5943775号(P5943775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943775
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   A47J27/00 103B
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-180926(P2012-180926)
(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公開番号】特開2014-36760(P2014-36760A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(74)【代理人】
【識別番号】100166350
【弁理士】
【氏名又は名称】小銭 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】関根 加津典
(72)【発明者】
【氏名】古山 拓也
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−104669(JP,A)
【文献】 実公昭35−008263(JP,Y1)
【文献】 特開平08−000459(JP,A)
【文献】 特開平08−224176(JP,A)
【文献】 実開昭58−163117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口し内部に内釜を収納する本体部、電力供給を受けて前記内釜を加熱する加熱部、前記加熱部に供給する電力を外部から受電する受電部、及び前記本体部の上面の開口を開閉自在に覆う蓋部を有する炊飯ユニットと、
前記受電部に電力供給する給電部、及び前記給電部が供給する電力を制御する制御部を有する電源ユニットとを備え、
前記炊飯ユニットは、前記電源ユニットの上に着脱自在に装着され、前記電源ユニットの上に装着された状態で前記受電部が前記電源ユニットの前記給電部から電力供給を受け、
前記炊飯ユニット及び前記電源ユニットは、前記電源ユニットに対して前記炊飯ユニットの装着位置を位置決めする位置決め構造を備えた電気炊飯器であって、
前記電源ユニットに設けられ、当該電源ユニットを持ち上げる際に使用者が手を掛けるための第一手掛部と、
前記炊飯ユニットに設けられ、当該炊飯ユニットを持ち上げる際に使用者が手を掛けるための第二手掛部と、
前記電源ユニットの上に装着された前記炊飯ユニットを前記電源ユニットに固定する固定機構とを有し、
前記固定機構は、
前記炊飯ユニットに設けられ、少なくとも固定位置と固定解除位置との間で回動可能に構成された係止片と、
前記電源ユニットに設けられ、前記係止片が前記固定位置にあるときに前記係止片を係止させる係合部とを備え、
前記第二手掛部は、前記係止片が前記固定位置にあるときには前記係止片によって覆われ、前記係止片が固定解除位置にあるときには露出する位置に設けられている
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
上面を開口し内部に内釜を収納する本体部、電力供給を受けて前記内釜を加熱する加熱部、前記加熱部に供給する電力を外部から受電する受電部、及び前記本体部の上面の開口を開閉自在に覆う蓋部を有する炊飯ユニットと、
前記受電部に電力供給する給電部、及び前記給電部が供給する電力を制御する制御部を有する電源ユニットとを備え、
前記炊飯ユニットは、前記電源ユニットの上に着脱自在に装着され、前記電源ユニットの上に装着された状態で前記受電部が前記電源ユニットの前記給電部から電力供給を受け、
前記炊飯ユニット及び前記電源ユニットは、前記電源ユニットに対して前記炊飯ユニットの装着位置を位置決めする位置決め構造を備えた電気炊飯器であって、
前記炊飯ユニットの底面の外周部には、底面の中央部よりも下方に突出した外周凸部が形成されていて、前記外周凸部の内側に前記電源ユニットの上部が収容され、
前記電源ユニットの底面には、凹状の第一手掛部が形成されており、
前記外周凸部の前記第一手掛部と対向する部分は、当該部分に隣接する部分よりも上下方向の長さが短い
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項3】
前記炊飯ユニットは、当該炊飯ユニットを持ち上げる際に使用者が手を掛けるための第二手掛部を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項4】
前記電源ユニットの上に装着された前記炊飯ユニットを前記電源ユニットに固定する固定機構を備えた
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電気炊飯器。
【請求項5】
前記固定機構は、
前記炊飯ユニットに設けられ、少なくとも固定位置と固定解除位置との間で回動可能に構成された係止片と、
前記電源ユニットに設けられ、前記係止片が前記固定位置にあるときに前記係止片を係止させる係合部とを備えた
ことを特徴とする請求項4記載の電気炊飯器。
【請求項6】
前記第二手掛部は、前記係止片が前記固定位置にあるときには前記係止片によって覆われ、前記係止片が固定解除位置にあるときには露出する位置に設けられている
ことを特徴とする請求項3に従属する請求項5に記載の電気炊飯器。
【請求項7】
前記固定機構は、
前記制御部からの電気信号を受けて前記炊飯ユニットと前記電源ユニットとを固定あるいは固定解除する
ことを特徴とする請求項4記載の電気炊飯器。
【請求項8】
前記位置決め構造は、対向する前記炊飯ユニットの底面と前記電源ユニットの上面にそれぞれ形成された、互いに嵌合する凹凸構造である
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の電気炊飯器。
【請求項9】
前記位置決め構造は、前記炊飯ユニットの底部と前記電源ユニットの上部のそれぞれに対向配置された、互いに引き合う磁性を有する磁性体である
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の電気炊飯器。
【請求項10】
上からみたときの前記電源ユニットの面積は前記炊飯ユニットの面積よりも小さく、
前記炊飯ユニットの底面に形成された凹部に前記電源ユニットに収容されることにより、前記位置決め構造が構成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項1に従属する請求項8、または請求項1に従属する請求項9に記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器として、本体内部に着脱自在に収容される内釜と、内釜の底部に設けられ内釜を加熱する加熱源と、加熱源を駆動制御する制御部と、本体の上面を開閉可能に覆う蓋体とを備えたものが知られている。このような炊飯器としては、誘導加熱コイルやマイコンにより通電制御されるヒーターを加熱源とする電気炊飯器や、ガスを加熱源とするガス炊飯器がある。
【0003】
炊飯器の使用者は、台所に炊飯器を置いて炊飯を行い、炊飯が終わるとその炊飯器を台所から食卓等へ移動させて食事するという使い方をする場合がある。このように炊飯器を持ち運ぶ際の利便性を考慮したガス炊飯器として、ガスバーナーを有する下ケースと内釜を有する上ケースとが分離可能に構成され、上ケースだけを持ち運び可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−145562号公報(第3頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のガス炊飯器は、ガス管を接続するための下ケースから上ケースを取り外して持ち運ぶことができるものの、この上ケースからは電源コードが突出しており、上ケースを持ち運ぶ際に取り扱いづらいという課題があった。
【0006】
また、広く一般に使用されている電気炊飯器も、上述のように台所から食卓等へ持ち運びされる場合があるが、特許文献1には電気炊飯器については言及されておらず、電気炊飯器の持ち運びの際の利便性の向上が望まれていた。特に近年では、ご飯の炊き上がり状態の向上を目指して内釜の肉厚が増し、重量化している傾向があり、炊飯後の電気炊飯器も重量化している。したがって、炊飯後の電気炊飯器を容易に持ち運ぶことができるように軽量化することが望まれていた。また、電気炊飯器を持ち運ぶ際には電源コードをコンセントから抜く作業が煩わしいという課題もあった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、炊飯物を容易に持ち運ぶことのできる電気炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気炊飯器は、上面を開口し内部に内釜を収納する本体部、電力供給を受けて前記内釜を加熱する加熱部、前記加熱部に供給する電力を外部から受電する受電部、及び前記本体部の上面の開口を開閉自在に覆う蓋部を有する炊飯ユニットと、前記受電部に電力供給する給電部、及び前記給電部が供給する電力を制御する制御部を有する電源ユニットとを備え、前記炊飯ユニットは、前記電源ユニットの上に着脱自在に装着され、前記電源ユニットの上に装着された状態で前記受電部が前記電源ユニットの前記給電部から電力供給を受け、前記炊飯ユニット及び前記電源ユニットは、前記電源ユニットに対して前記炊飯ユニットの装着位置を位置決めする位置決め構造を備えた電気炊飯器であって、前記電源ユニットに設けられ、当該電源ユニットを持ち上げる際に使用者が手を掛けるための第一手掛部と、前記炊飯ユニットに設けられ、当該炊飯ユニットを持ち上げる際に使用者が手を掛けるための第二手掛部と、前記電源ユニットの上に装着された前記炊飯ユニットを前記電源ユニットに固定する固定機構とを有し、前記固定機構は、前記炊飯ユニットに設けられ、少なくとも固定位置と固定解除位置との間で回動可能に構成された係止片と、前記電源ユニットに設けられ、前記係止片が前記固定位置にあるときに前記係止片を係止させる係合部とを備え、前記第二手掛部は、前記係止片が前記固定位置にあるときには前記係止片によって覆われ、前記係止片が固定解除位置にあるときには露出する位置に設けられているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、炊飯ユニットと電源ユニットとが着脱自在に構成されているので、炊飯が終了すると電源ユニットから炊飯ユニットを取り外して炊飯ユニットを持ち運ぶことができる。炊飯物の入った内釜が収容された炊飯ユニットが軽量化されるので、使用者は炊飯物を容易に持ち運ぶことができる。
【0010】
また、炊飯ユニット及び電源ユニットは、電源ユニットに対して炊飯ユニットの装着位置を位置決めする位置決め構造を備えた。このため、使用者は、炊飯ユニットを、電源ユニットの適切な位置に容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る電気炊飯器の概観斜視図である。
図2】実施の形態1に係る電気炊飯器の電源ユニットの概略断面図である。
図3】実施の形態1に係る電気炊飯器の概略断面図である。
図4】実施の形態1に係る電気炊飯器の凹部及び凸部の平面形状の一例を説明する図である。
図5】実施の形態2に係る電気炊飯器の概略断面図である。
図6】実施の形態3に係る電気炊飯器の概略断面図である。
図7】実施の形態4に係る電気炊飯器の概略断面図である。
図8】実施の形態5に係る電気炊飯器の概略断面図である。
図9】実施の形態6に係る電気炊飯器の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電気炊飯器の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において、同一の構成には同一の符号を付している。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電気炊飯器の概観斜視図である。図1に示すように、実施の形態1の電気炊飯器1は、蓋部11と本体部12とを備えた炊飯ユニット10と、炊飯ユニット10の下側に配置される電源ユニット20とを備える。炊飯ユニット10は、電源ユニット20の上に、着脱自在に装着される。
【0014】
本体部12の上面には図示しない開口が形成されており、この本体部12の上面を蓋部11が開閉自在に覆っている。蓋部11は、本体部12に対して蓋部11を支持する図示しない回動軸によって本体部12に取り付けられていてもよいし、本体部12から取り外すことのできる着脱可能な構成であってもよい。また、蓋部11を本体部12に対して固定するための蓋ロック部13が設けられている。蓋ロック部13は、蓋部11が閉じられた状態においては蓋部11を本体部12に対してロックし、蓋ロック部13に対して蓋部11を開けるための操作が加えられると、ロック状態を解除して蓋部11を開放可能にする。
【0015】
また、蓋部11の上面には、表示部18及び操作部19が設けられている。表示部18は、電気炊飯器1の動作状態や時刻等の情報を使用者に報知するための報知部であり、例えば液晶画面やLED等、情報を視覚的に報知するための部材で構成される。なお、表示部18に代えてあるいはこれに加えて、音声により情報を聴覚的に報知するブザーやスピーカを報知部として備えてもよい。操作部19は、電気炊飯器1の動作設定を行うための操作入力を受け付けるための入力装置であり、例えばシートスイッチやタッチパネル等で構成される。なお、表示部18と操作部19の設置場所は蓋部11の上面に限定されず、例えば本体部12の側面や電源ユニット20に表示部18や操作部19を設けてもよい。
【0016】
電源ユニット20は、電源ユニット20内の制御部22(後述する)に商用電源を供給するための電源コード21を備えている。なお、図1では電源コード21が電源ユニット20から引き出された状態を示しているが、後述するようにこの電源コード21は電源ユニット20内に収容可能である。
【0017】
本実施の形態1の炊飯ユニット10及び電源ユニット20は、それぞれ略直方体(略箱型)の外形を有している。また、炊飯ユニット10及び電源ユニット20を一体化した図1に示す状態の電気炊飯器1の外形も、略直方体(略箱型)である。そして、炊飯ユニット10、及び電源ユニット20を一体化した状態において、これらの4つの側面は、略同一面になるように構成されている。このようにすることで、電気炊飯器1を全体として見たときに外形がすっきりして見栄えがよく、また、表面の凹凸を少なくすることで埃等が溜まりにくくなる。なお、本実施の形態1では、隣接する側面により形成される角部を略直角としたデザインの電気炊飯器1を例示したが、側面同士をつなぐ角部を丸めたデザイン、あるいはこの角部を面取りしたデザインとしてもよい。電気炊飯器1の外形が「略直方体(略箱型)」であるというときには、このような角部を丸めたものや面取りしたものも含むものとする。
【0018】
図2は、実施の形態1に係る電気炊飯器の電源ユニットの概略断面図である。図2は、電源ユニット20のコードリール部の構造と冷却構造を中心に説明することを目的としたものであり、図示の関係上、それらに関連する構成を中心に示し、他の構成については図示を省略している。図2に示すように、電源ユニット20内には、電源コード21を巻き取るコードリール部として、内部に収容空間を有する円筒部24と、円筒部24の径方向外側に設けられた巻きバネ25と、巻きバネ25の径方向外側に設けられたコード収納部26とを備える。コード収納部26は水平方向に回転可能に構成されており、コード収納部26の凹みに、電源コード21が巻き付けられている。
【0019】
このコード収納部26は、巻きバネ25によって電源コード21を巻き取る方向に付勢されており、電源コード21を使用しない際には電源コード21はコード収納部26に巻き取られて電源ユニット20内に収納される。このため、電源コード21を使用していない場合、すなわち炊飯を行っていない場合には、電源コード21が外側へはみ出すことがなく、見栄えを良くすることができる。また、電気炊飯器1全体や電源ユニット20を持ち運ぶ際にも、取り扱いが容易となり、使い勝手を向上させることができる。
【0020】
コードリール部の円筒部24の内部には、電気炊飯器1による加熱動作を含め全体的な動作制御を行う制御部22と、冷却ファン29が収容されている。冷却ファン29は、高温化を抑制するために冷却が必要な部品、具体的には制御部22の一部を構成する回路基板や、後述する加熱用給電コイル23、炊飯ユニット10内に設けられた内釜加熱コイル15及び加熱用受電コイル16を冷却するためのものである。本実施の形態1では、このような冷却が必要な部品(以下、被冷却部品と総称する場合がある)が、着脱可能な電源ユニット20と炊飯ユニット10とに分かれて収容されている。このように分かれて配置された部品を冷却するために電源ユニット20と炊飯ユニット10にそれぞれ異なる冷却ファンを設けることも可能であるが、本実施の形態1では以下に説明するように、1つの冷却ファンにて双方の被冷却部品を冷却できるように構成されている。
【0021】
具体的には、電源ユニット20の側面(下面でもよい)の一部には電源ユニット吸気口27が形成され、電源ユニット20内には、炊飯ユニット10が配置されている上方に向かって風を送出するように配置された冷却ファン29が設けられている。冷却ファン29の動作により生成される冷却風の風路上に制御部22が配置あるいは近接するようにして、冷却ファン29と制御部22の位置関係が設定されている。また、冷却ファン29の冷却風の送出側に相対する電源ユニット20の上面には、電源ユニット排気口28が形成されている。また、図2には示さないが、電源ユニット排気口28に相対する本体部12の下面には本体吸気口が形成されており、本体部12と電源ユニット20は、電源ユニット排気口28と本体吸気口とを介して連通している。また、炊飯ユニット10の側面には、図示しない本体排気口が形成されている。
【0022】
このような構成において、制御部22に制御されて冷却ファン29が動作すると、電源ユニット吸気口27から電源ユニット20内に外部の空気が吸い込まれる。電源ユニット20内に入った空気は、冷却ファン29により冷却風として送出され、この過程において制御部22の回路部品等の被冷却部品が冷却される。また冷却風は、電源ユニット排気口28、本体吸気口を介して本体部12内に進入し、本体部12内の被冷却部品の近傍を通過しながらこれらを冷却する。その後冷却風は、本体部12に設けられた排気口から外部へと排気される。このように本実施の形態1では、電源ユニット20に設けられた冷却ファン29のみにより、電源ユニット20と炊飯ユニット10内の被冷却部品を冷却することができる。
【0023】
また、冷却ファン29は、通常は直流電流又は商用電流により駆動されるのに対して、本実施の形態1の加熱部として用いる内釜加熱コイル15(後述する)は高周波電流により駆動されるのが一般的である。したがって、冷却ファン29と内釜加熱コイル15とでは周波数や電圧が異なり、炊飯ユニット10に冷却ファンを別途設けるとすると、内釜加熱コイル15へ給電するための電源供給部の他に、冷却ファン用の電源供給部が必要となってしまう。しかし、本実施の形態1のように構成することで、冷却ファン用の専用の電源供給部が不要となり、部品点数を抑制できる。
【0024】
次に、電気炊飯器1の加熱に関する構造と、着脱可能な炊飯ユニット10と電源ユニット20の位置決めに関する構造を説明する。
図3は、実施の形態1に係る電気炊飯器の概略断面図である。なお、図3は、電気炊飯器1の加熱に関する構造、及び炊飯ユニット10と電源ユニット20の位置決めに関する構造を説明することを目的としたものであり、これらに関連する構成を中心に図示し図2で示した構成の一部については図示を省略している。このことは、後述する図5図9においても同様である。
【0025】
図3に示すように、本体部12の内部の略中央には、上面を開口し内部に内釜17を着脱自在に収容する内釜収容部14が設けられている。内釜収容部14の下側であって内釜17の概ね底部近傍と相対する位置には、内釜17を加熱する加熱部として内釜加熱コイル15が設けられている。内釜加熱コイル15は、電流が流れることにより磁界を発生させ、内釜17を加熱する。
【0026】
炊飯ユニット10の本体部12内の底部には、内釜加熱コイル15に供給する電力を電源ユニット20から受電するための受電部として、加熱用受電コイル16が設けられている。加熱用受電コイル16と内釜加熱コイル15は、電気的に接続されている。
【0027】
電源ユニット20の上部であって、電源ユニット20の上に炊飯ユニット10を載置した状態において加熱用受電コイル16と対向する位置に、炊飯ユニット10への給電部としての加熱用給電コイル23が設けられている。また、電源ユニット20内には、電源コード21を介して供給される商用電流を、例えば20kHz以上の高周波電流に変換して加熱用給電コイル23に供給する回路を含む制御部22を備えている。
【0028】
また、図3には図示しないが、制御部22は、操作部19と電気的に接続されており、操作部19から出力される操作信号に基づいて、加熱用給電コイル23に供給する電流を制御する。また、制御部22は、表示部18と電気的に接続されており、制御部22による加熱制御に関する情報(例えば、実行中の炊飯モードや炊飯の残り時間等の情報)を含む電気炊飯器1の動作状態等を、表示部18に表示させる。
【0029】
また、着脱自在な炊飯ユニット10と電源ユニット20との位置決め構造として、本体部12の底面には凹部101が形成され、電源ユニット20の上面には凹部101に嵌合する凸部102が形成されている。
凹部101及び凸部102の断面形状は、本実施の形態1では略三角形である。なお、凹部101及び凸部102の断面形状を限定するものではなく、例えば矩形や台形、半円形にしてもよい。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る電気炊飯器の凹部及び凸部の平面形状の一例を説明する図である。図4(a)に示すように、複数対の凹部101及び凸部102を設けてもよい。また、図4(b)、(c)に示すように、凹部101及び凸部102の平面形状を例えば環状や角枠状にしてもよい。また、図4(d)、(e)に示すように、凹部101及び凸部102を、平面的に見たときに交差する方向に延びるような形状としてもよい。このように構成することで、炊飯ユニット10と電源ユニット20の前後方向及び左右方向における位置決めが可能となる。
【0031】
次に、実施の形態1に係る電気炊飯器1の作用を説明する。
操作部19に対して炊飯を実行するための操作入力が行われると、操作部19から出力された操作信号が制御部22に伝達され、制御部22から炊飯を行うための電流が加熱用給電コイル23に供給される。加熱用給電コイル23に電流が供給されることで、加熱用給電コイル23の周りに磁界が発生し、磁界中にある導線には、ファラデーの法則により誘導起電力が発生する。これにより、加熱用給電コイル23に近接配置された加熱用受電コイル16に電流が流れ、加熱用受電コイル16と電気的に接続されている内釜加熱コイル15にも電流が流れて、内釜17が誘導加熱される。なお、加熱用給電コイル23と加熱用受電コイル16との間の距離は近い方が送電ロスが少なくなるため、両者を近づけるのが好ましいが、コイルの表面に傷が付くと絶縁不良や感電、ショートにつながりうるため、本体部12の加熱用受電コイル16の下側の下面及び電源ユニット20の加熱用給電コイル23の上側の上面のそれぞれが、各コイルを覆っている。
【0032】
制御部22は、予め設定された制御シーケンスにしたがって内釜加熱コイル15に供給する電力制御を行い、内釜17内の米を炊き上げる炊飯工程を実行する。また、制御部22は、炊飯工程を実行中には、冷却ファン29を動作させ、制御部22や加熱用給電コイル23、加熱用受電コイル16、及び内釜加熱コイル15に冷却風を送ってこれらを冷却する。このようにすることで、発熱部品の過度な温度上昇を抑制することができる。
【0033】
そして、炊飯工程が終了して米が炊き上がると、制御部22は、表示部18を制御して炊飯が終了したことを報知させる。表示部18に加え、あるいはこれに代えて、ブザーやスピーカ等を用いて音声により炊飯が終了したことを報知してもよい。
【0034】
炊飯が終了すると、使用者は電源ユニット20から炊飯ユニット10を取り外し、炊飯物が収容された炊飯ユニット10だけを食卓等の他の場所へ持ち運ぶことができる。本実施の形態1では、内釜17を加熱する加熱源である内釜加熱コイル15には、ケーブル配線を用いることなく、加熱用給電コイル23と加熱用受電コイル16とを介して電力を供給するようにした。このため、使用者は、炊飯ユニット10を容易に電源ユニット20から取り外すことができ、使い勝手がよい。
【0035】
また、次に炊飯を行う際には、使用者は、炊飯ユニット10を電源ユニット20の上に載置する。取り外された炊飯ユニット10が電源ユニット20の上に載置されると、電源ユニット20の上面の凸部102が炊飯ユニット10の下面の凹部101内にはまり込む。これにより、炊飯ユニット10と電源ユニット20とが平面方向に位置決めされる。このように位置決めされるので、炊飯ユニット10の加熱用受電コイル16と電源ユニット20の加熱用給電コイル23との位置関係も位置決めされ、炊飯を行う際に加熱用給電コイル23から加熱用受電コイル16へ効率よく給電することができる。
【0036】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付す。
図5は、実施の形態2に係る電気炊飯器の概略断面図である。本実施の形態2の電気炊飯器1Aの炊飯ユニット10Aの底面は、中央部に対して外周部が下方に突出した形状となっている。炊飯ユニット10Aの外周部の突出した部分を外周凸部201、中央部を中央凹部202と称する。また、電源ユニット20Aの上面は、中央部に対して外周部が凹んだ形状となっている。電源ユニット20Aの外周部の凹んだ部分を外周凹部203、中央部を中央凸部204と称する。電源ユニット20Aの中央凸部204は、炊飯ユニット10Aの中央凹部202に嵌合し、炊飯ユニット10Aの外周凸部201は、電源ユニット20Aの外周凹部203に嵌合する。すなわち、電源ユニット20Aの上部の外周が、炊飯ユニット10Aの下部外周によって覆われる。このように本実施の形態2では、外周凸部201、中央凹部202、外周凹部203、及び中央凸部204によって、着脱可能な炊飯ユニット10と電源ユニット20との位置決め構造が構成されている。
【0037】
電気炊飯器1Aの動作は、実施の形態1と同様である。
そして、電源ユニット20Bから取り外された炊飯ユニット10Aが電源ユニット20Aの上に載置されると、外周凸部201と外周凹部203との間の嵌合構造、及び中央凹部202と中央凸部204との間の嵌合構造により、炊飯ユニット10Aと電源ユニット20Aとが平面方向に位置決めされる。このように位置決めされるので、炊飯ユニット10Aの加熱用受電コイル16と電源ユニット20Aの加熱用給電コイル23との位置関係も位置決めされ、炊飯を行う際に加熱用給電コイル23から加熱用受電コイル16へ効率よく給電することができる。
【0038】
実施の形態3.
本実施の形態3では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明し、実施の形態1、2と同様の構成については同一の符号を付す。
図6は、実施の形態3に係る電気炊飯器の概略断面図である。本実施の形態3の電気炊飯器1Bの炊飯ユニット10Bの底面、及び電源ユニット20Bの上面は、実施の形態1、2とは異なり、凹凸のない平面である。そして、炊飯ユニット10Bの本体部12内の底面近傍には、第一磁石301が設けられている。また、電源ユニット20B内の上面近傍には、炊飯ユニット10Bが電源ユニット20Bに取り付けられたときに第一磁石301に対向する位置に、第一磁石301と引き合う磁性を有する磁性部302が設けられている。磁性部302としては、第一磁石301と引き合う磁性を有する磁石、あるいは第一磁石301と引き合う磁性を有する鉄板等の金属部材を用いることができる。炊飯ユニット10Bと電源ユニット20Bは、第一磁石301と磁性部302とが引き合うことで上下方向に位置決めされる。
【0039】
また、第一磁石301及び磁性部302を平面的に見たときの配置及び形状は、図4に例示したものを採用することができる。このようにすることで、炊飯ユニット10Bと電源ユニット20Bの前後方向及び左右方向における位置決めも可能となる。
【0040】
電気炊飯器1Bの動作は、実施の形態1と同様である。
そして、電源ユニット20Bから取り外された炊飯ユニット10Bが電源ユニット20Bの上に載置されると、第一磁石301と磁性部302とが引き合うことにより、炊飯ユニット10Bと電源ユニット20Bとが上下方向に位置決めされる。このように位置決めされるので、例えば使用者が電気炊飯器1Bにぶつかって炊飯ユニット10Bに側方から力がかかった場合でも、炊飯ユニット10Bと電源ユニット20Bとが分離しにくい。したがって、炊飯中に誤って炊飯ユニット10Bが電源ユニット20Bから取り外されて電源ユニット20Bから炊飯ユニット10Bに電源供給がされなくなることによる炊飯の失敗を抑制することができる。
【0041】
また、本実施の形態3は実施の形態1又は実施の形態2と組み合わせることができる。このように実施の形態を組み合わせることで、炊飯ユニットと電源ユニットとが、高さ方向及び平面方向(左右方向、前後方向)の両方において位置決めされ、実施の形態1〜3で述べた効果を得ることができる。
【0042】
実施の形態4.
本実施の形態4の電気炊飯器1Cは、前述の実施の形態1〜3及びこれ以降で説明する実施の形態と同様に、炊飯ユニットと電源ユニットとが着脱可能な構成であり、炊飯ユニットのみを持ち運ぶことが可能である。しかし、炊飯ユニットと電源ユニットとを組み合わせた状態の電気炊飯器1Cを持ち運びたい場合も想定される。そこで、本実施の形態4では、炊飯ユニットと電源ユニットとを一体にした状態で持ち運び易くするための構成を説明する。本実施の形態4では、実施の形態1〜3との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜3と同様の構成については同一の符号を付す。
【0043】
図7は、実施の形態4に係る電気炊飯器の概略断面図である。なお、図7では、A線を境に紙面左側が電気炊飯器1Cの左右方向の断面を示し、紙面右側が前後方向の断面を示している。
【0044】
まず、電気炊飯器1Cにおける炊飯ユニット10Cと電源ユニット20Cの位置決め構造について説明する。本実施の形態4では、上から見たときの電源ユニット20Cの面積が、炊飯ユニット10Cの面積よりも小さい。また、炊飯ユニット10Cの底面は、中央部に対して外周部が下方に突出した形状となっており、前述の実施の形態2と同様に、外周凸部411と中央凹部412が形成されている。そして、電源ユニット20Cは、炊飯ユニット10Cの中央凹部412の内部に嵌合される。このように本実施の形態4では、炊飯ユニット10Cの平面の面積よりも小さい電源ユニット20C、及びこの電源ユニット20Cが炊飯ユニット10Cの底面の中央凹部412内に収容されるという構成により、炊飯ユニット10Cと電源ユニット20Cとが前後方向及び左右方向に位置決めされる。
【0045】
次に、炊飯ユニット10Cと電源ユニット20Cとを一体化した状態での持ち運び性を改善するための構成を説明する。図7において線Aの紙面左側に示すように、電源ユニット20Cの底部には、使用者が手を掛けることのできる凹状の手掛部420が形成されている。手掛部420は、下側に向かって開口している。なお、手掛部420は、電源ユニット20Cを持ち上げる際に使用者が手を掛けるためのものであり、本発明の第一手掛部に相当する。
また、本実施の形態4では、手掛部420に対向する炊飯ユニット10Cの外周凸部411(図7で符号411aにて示す)は、前後方向における外周凸部411(図7の線Aの紙面右側参照)よりも上下方向の長さが短い。このため、使用者は、炊飯ユニット10Cの外周凸部411の下部と電気炊飯器1Cの載置面との間に形成される隙間に手を挿入し、手掛部420に手を掛けることができる。
【0046】
また、手掛部420の断面形状は、本実施の形態4では角を丸めた形状となっており、使用者に対する手当たりがやわらかくなっている。この手掛部420は、電源ユニット20Cの左右の側壁部にそれぞれ設けられている。
【0047】
電気炊飯器1Cの動作は、実施の形態1と同様である。
炊飯ユニット10Cと電源ユニット20Cを一体化した状態の電気炊飯器1Cを持ち運ぶ際には、使用者は、左右一対の手掛部420に手を掛けて、電源ユニット20C及びその上に装着された炊飯ユニット10Cを一緒に持ち上げることができる。より詳しくは、使用者は、指を手掛部420の中に挿入し、手掛部420の中に挿入した指と掌との間に外周凸部411aと手掛部420の周囲の壁とを挟むようにして、電気炊飯器1Cを把持することができる。炊飯ユニット10Cの一部と電源ユニット20Cの一部を同時に把持できるので、使用者の持ち上げる力が炊飯ユニット10Cと電源ユニット20Cの両方に作用し、電気炊飯器1Cを持ち上げるときの安定性を高めることができる。このため、使用者は容易に電気炊飯器1Cを持ち運ぶことができる。また、本実施の形態4では、電源ユニット20Cの外周が、炊飯ユニット10Cの外周凸部411で囲まれ、前後左右方向に位置決めされている。このため、炊飯ユニット10C及び電源ユニット20Cが一緒に持ち運ばれる際に両者が分離しにくく、使用者は安定的に電気炊飯器1Cを運ぶことができる。
【0048】
なお、本実施の形態4では、電源ユニット20Cの対向する位置に一対の手掛部420を設ける例を示したが、同様の手掛部420を電源ユニット20Cの外周に沿って設けてもよい。このようにすることで、使用者は、手掛部420の位置を気にすることなく手掛部420に手を掛けることができ、持ち運び時の使い勝手を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施の形態4に示した炊飯ユニット10Cと電源ユニット20Cとを一体化した状態での持ち運び性を改善するための構成(手掛部420)は、前述の実施の形態1〜3と組み合わせてもよい。
【0050】
実施の形態5.
本実施の形態5では、炊飯ユニットと電源ユニットとを固定するための構成を説明する。また、本実施の形態5では、内釜17の加熱部、及び内釜17の加熱部への給電に係る構造の他の構成例を説明する。以下、実施の形態1〜4との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜4と同様の構成については同一の符号を付す。
【0051】
図8は、実施の形態5に係る電気炊飯器の概略断面図である。
まず、内釜17の加熱部について説明する。本実施の形態5では、前述の内釜加熱コイル15に代えて、電力供給を受けて発熱する電気ヒーター15Dを備えている。この電気ヒーター15Dとしては、例えばアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属で作られた平板の内部に、電気ヒーターが埋設されたものを用いることができる。電気ヒーター15Dを、内釜収容部14に収容された内釜17の底面等に接触するように配置することで、内釜17を効率よく加熱することができる。
【0052】
次に、内釜17の加熱部である電気ヒーター15Dへの給電に係る構成を説明する。本実施の形態5では、前述の加熱用受電コイル16に代えて受電端子16Dを備え、加熱用給電コイル23に代えて送電端子23Dを備えている。受電端子16Dは電気ヒーター15Dに電気的に接続され、送電端子23Dは制御部22に電気的に接続されている。受電端子16Dは、送電端子23Dとの接触面が、炊飯ユニット10Dの底面から露出し、かつ炊飯ユニット10Dの底面と略同一平面をなすようにして、炊飯ユニット10D内の底部に設けられている。また、送電端子23Dは、受電端子16Dとの接触面が、電源ユニット20Dの上面から露出し、かつ電源ユニット20Dの上面と略同一平面をなすようにして、電源ユニット20D内の上部に設けられている。炊飯ユニット10Dが電源ユニット20Dの上に装着された状態において、送電端子23Dと受電端子16Dが電気的に接合され、制御部22から送られる電力は、送電端子23D及び受電端子16Dを介して電気ヒーター15Dに供給される。
【0053】
次に、炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとを固定するための構成を説明する。図8に示すように、炊飯ユニット10Dの本体部12の対向する側壁には、それぞれ、鉤状の係止片511が軸部512によって回動可能に軸支されている。また、電源ユニット20Dの側壁には、係止片511の先端部分が挿入される凹状の係合部513が形成されている。係止片511は、バネや材料の弾性特性により、係止する方向(図8の紙面右側の係止片511であれば右回り方向)に付勢されており、係合部513内に係止される。このような構成により、炊飯ユニット10Dが電源ユニット20Dに対して固定される。なお、図8では、係合部513は断面略コ字状であって電源ユニット20Dの側方に向けて開口した形状であるが、係止片511を係止することのできる形状であれば、例えば下面に向けて開口した形状であってもよい。
【0054】
また、係止片511は、上述のように軸部512によって回動可能に軸支されており、係止片511の付勢方向に反して係止片511の上部に力が加えられることで、軸部512を軸として回動する。炊飯ユニット10Dの側壁には、回動した係止片511の上部が入り込むことのできる凹部514が形成されている。このため、使用者が係止片511の上部に押し込む力を加えると、係止片511が回動して係止片511の先端部が係合部513から抜け、炊飯ユニット10Dを電源ユニット20Dから取り外すことができるようになる。なお、係止片511の回動可能な範囲は、少なくとも、係止片511が係合部513に係止されて炊飯ユニット10Dが電源ユニット20Dに対して固定される固定位置と、係止片511が係合部513から外れて炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとの固定が解除される固定解除位置との間の範囲を含んでいる。
【0055】
次に、炊飯ユニット10Dを持ち運び易くするための構成について説明する。図8に示すように、炊飯ユニット10Dの凹部514の上面には、上方に向かって凹んだ手掛部520が形成されている。手掛部520は、炊飯ユニット10Dを持ち上げる際に使用者が手を掛けるためのものであり、本発明の第二手掛部に相当する。手掛部520は、使用者が手を掛けることのできる大きさ及び形状である。本実施の形態5では、手掛部520の断面形状は角を丸めた形状となっており、使用者に対する手当たりがやわらかくなっている。また、この手掛部520は、係止片511を押す力を加えた使用者の手先(指先)がはまり込む位置に設けられている。なお、図8では、使用者の手530を併せて図示している。
【0056】
このような構成において、操作部19に対して炊飯を実行するための操作入力が行われると、操作部19から出力された操作信号が制御部22に伝達され、制御部22から炊飯を行うための電流が送電端子23Dと受電端子16Dを経由して電気ヒーター15Dに供給される。これにより、電気ヒーター15Dが発熱し、その熱が内釜17に伝わって内釜17が加熱される。電気炊飯器1Dのそのほかの動作は、実施の形態1と同様である。
【0057】
炊飯が終了すると、使用者は電源ユニット20Dから炊飯ユニット10Dを取り外すことができる。具体的には、使用者が炊飯ユニット10Dの対向する側面に設けられた係止片511の上部を押し込むと、係止片511が回動して係止片511の先端部が係合部513から外れる。係止片511が係合部513から外れると手掛部520が使用者の手530に対して露出し、使用者の手が手掛部520に触れることができるようになる。そして、使用者は、係止片511の上部を押し込んだ手を手掛部520に掛けることで、炊飯ユニット10Dを把持することができる。さらに、把持した炊飯ユニット10Dを使用者が持ち上げると、係止片511が係合部513から外れていて炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとの固定状態が解除されているので、電源ユニット20Dから炊飯ユニット10Dを取り外すことができる。
【0058】
このように本実施の形態5では炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとを固定するための固定機構を備えたので、例えば使用者が電気炊飯器1Dにぶつかって炊飯ユニット10Dに側方から力がかかった場合でも、炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとが分離しにくい。したがって、炊飯中に誤って炊飯ユニット10Dが電源ユニット20Dから取り外されて電源ユニット20Dから炊飯ユニット10Dに電源供給がされなくなることによる炊飯の失敗を抑制することができる。
【0059】
また、本実施の形態5では炊飯ユニット10Dに手掛部520を設けたので、使用者は炊飯ユニット10Dを容易に、また安定的に持ち運ぶことができる。
また、本実施の形態5の電気炊飯器1Dでは、炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとの固定を解除するための操作(係止片511の上部を押し込む操作)と炊飯ユニット10Dを把持するための操作(手掛部520に手を掛ける操作)を、一連の操作として行うことができる。このため、炊飯ユニット10Dを電源ユニット20Dから取り外して持ち運ぶ際の使い勝手がよい。
【0060】
なお、炊飯ユニット10Dを電源ユニット20Dから取り外した状態において、係止片511は倒伏し、炊飯ユニット10Dの底面から係止片511が突出することはないので、炊飯ユニット10Dを食卓等に載置する際に係止片511が邪魔になることがない。
【0061】
本実施の形態5で示した内釜17の加熱部(電気ヒーター15D)、内釜17の加熱部への給電に係る構造(送電端子23Dと受電端子16D)、及び炊飯ユニットと電源ユニットとを固定するための構成(係止片511、軸部512、係合部513、及び凹部514)と手掛部520は、それぞれ、前述の実施の形態1〜4に適用することができる。
【0062】
実施の形態6.
本実施の形態6では、前述の実施の形態5と同様に、炊飯ユニットと電源ユニットとを固定するための構成を説明する。実施の形態5と異なるのは、前述の実施の形態5は使用者の手動操作により炊飯ユニット10Dと電源ユニット20Dとの固定状態が解除されるものであったのに対し、本実施の形態6のものは電気的な信号により固定/解除がなされる点である。本実施の形態6では、実施の形態1〜5との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜5と同様の構成については同一の符号を付す。
【0063】
図9は、実施の形態6に係る電気炊飯器の概略断面図である。図9に示すように、電源ユニット20Eの外周部近傍には、ソレノイド601が設けられている。ソレノイド601は、制御部22に電気的に接続されており、制御部22からの信号に基づいてシャフトを径方向に進出、後退させる。
【0064】
上から見たときの電源ユニット20Eの面積は、炊飯ユニット10Eの面積よりも小さい。また、炊飯ユニット10Eの底面は、中央部に対して外周部が下方に突出した形状となっており、外周凸部602と中央凹部603が形成されている。そして、電源ユニット20Eは、炊飯ユニット10Eの中央凹部603の内部に嵌合される。このような構成により、炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとが前後方向及び左右方向に位置決めされる。
【0065】
炊飯ユニット10Eの外周凸部602には、電源ユニット20Eのソレノイド601のシャフトと対向する位置に、ソレノイド601のシャフトを挿入可能な嵌合穴604が形成されている。
【0066】
このような構成において、炊飯を行っていないときには、ソレノイド601のシャフトは後退していて嵌合穴604から抜けた状態となっている。そして、操作部19に対して炊飯を実行するための操作入力が行われると、操作部19から出力された操作信号が制御部22に伝達され、制御部22は、ソレノイド601に制御信号を送ってソレノイド601のシャフトを進出させる。これにより、ソレノイド601のシャフトが嵌合穴604に入り、炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとが固定される。また、炊飯が終了すると、制御部22はソレノイド601に制御信号を送ってソレノイド601のシャフトを後退させる。これにより、ソレノイド601のシャフトが嵌合穴604から抜け、炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとの固定が解除される。電気炊飯器1Eのそのほかの動作は、前述の実施の形態1と同様である。
【0067】
このように本実施の形態6では炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとを固定するための固定機構を備えたので、例えば使用者が電気炊飯器1Eにぶつかって炊飯ユニット10Eに側方から力がかかった場合でも、炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとが分離しにくい。したがって、炊飯中に誤って炊飯ユニット10Eが電源ユニット20Eから取り外されて電源ユニット20Eから炊飯ユニット10Eに電源供給がされなくなることによる炊飯の失敗を抑制することができる。
【0068】
また、本実施の形態6では、電気的な信号により動作するソレノイド601を、炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとを固定する固定機構とした。このため、炊飯動作に連動してソレノイド601を動作させることで、炊飯中には炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとが外れないように自動的に固定することができる。したがって、炊飯中に誤って炊飯ユニット10Eが取り外されるのをさらに抑制でき、より安全性を高めることができるとともに炊飯の失敗を抑制することができる。
また、シャフトの方向の異なる複数のソレノイド601を設けることで、炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eの固定の確実性を高めることができる。
【0069】
なお、本実施の形態6で示したソレノイド601は、電気的な信号に基づいて炊飯ユニット10Eと電源ユニット20Eとを固定するための具体的構成の一例であり、同様の機能を発揮できるものであればソレノイド601以外のものを採用してもよい。
【0070】
本実施の形態6で示した構成は、前述の実施の形態1〜4に適用することができる。また、実施の形態6と実施の形態5を組み合わせてもよい。このようにすることで、炊飯中には実施の形態6で説明した効果が得られ、炊飯中でないときには実施の形態5で示した効果が得られる。
【0071】
また、実施の形態1〜6及び図面で示した具体的形状や大きさは一例であり、目的に反しない範囲で適宜変形することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 電気炊飯器、1A 電気炊飯器、1B 電気炊飯器、1C 電気炊飯器、1D 電気炊飯器、1E 電気炊飯器、10 炊飯ユニット、10A 炊飯ユニット、10B 炊飯ユニット、10C 炊飯ユニット、10D 炊飯ユニット、10E 炊飯ユニット、11 蓋部、12 本体部、13 蓋ロック部、14 内釜収容部、15 内釜加熱コイル、15D 電気ヒーター、16 加熱用受電コイル、16D 受電端子、17 内釜、18 表示部、19 操作部、20 電源ユニット、20A 電源ユニット、20B 電源ユニット、20C 電源ユニット、20D 電源ユニット、20E 電源ユニット、21 電源コード、22 制御部、23 加熱用給電コイル、23D 送電端子、24 円筒部、25 巻きバネ、26 コード収納部、27 電源ユニット吸気口、28 電源ユニット排気口、29 冷却ファン、101 凹部、102 凸部、201 外周凸部、202 中央凹部、203 外周凹部、204 中央凸部、301 第一磁石、302 磁性部、411 外周凸部、411a 外周凸部、412 中央凹部、420 手掛部、511 係止片、512 軸部、513 係合部、514 凹部、520 手掛部、530 手、601 ソレノイド、602 外周凸部、603 中央凹部、604 嵌合穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9