特許第5943788号(P5943788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943788
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】カードエッジ型同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20160621BHJP
   H01R 12/75 20110101ALI20160621BHJP
   H01R 13/6473 20110101ALI20160621BHJP
   H01R 24/50 20110101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01R12/72
   H01R12/75
   H01R13/6473
   H01R24/50
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-201563(P2012-201563)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-56758(P2014-56758A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年6月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年7月20日 日本電気株式会社(顧客)に対し資料を用いて商品説明を行う
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】加藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】宮下 敬
(72)【発明者】
【氏名】古勝 数彦
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6468089(US,B1)
【文献】 特開2006−190492(JP,A)
【文献】 特開2008−123944(JP,A)
【文献】 特開2000−353559(JP,A)
【文献】 特開2001−217026(JP,A)
【文献】 特開2011−034838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 〜12/91
H01R 13/646〜13/6599
H01R 24/38 〜24/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルに接続されるケーブル接続部とプリント基板に接続される基板接続部とを備えたカードエッジ型同軸コネクタにおいて、
絶縁性ハウジングを備え、
前記ケーブル接続部は、金属シェル、前記金属シェル内に保持されたインシュレータ、及び前記インシュレータ内に保持されたソケットコンタクトを含み、
前記基板接続部は、前記ソケットコンタクトと一直線に並ぶように前記ソケットコンタクトに一端を取り付けられた弾性を有するシグナルコンタクト、及び前記シグナルコンタクトの両脇にそれぞれ配されかつ前記金属シェルに一端を取り付けられた弾性を有する対のグランドコンタクトを含み、
前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトは前記絶縁性ハウジングに収められ、
前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトの各々の他端は、前記絶縁性ハウジングに引っ掛けられることにより、前記弾性に抗った状態で保持され、
前記絶縁性ハウジングは、同一形状の2つの割部品からなり、前記2つの割部品の間に前記ケーブル接続部及び前記基板接続部が配置されている、
ことを特徴とするカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項2】
前記シグナルコンタクト及び前記対のグランドコンタクトの各々は、前記プリント基板を板厚方向で挟み込む同一形状の2つのバネ部を有し、前記ソケットコンタクト及び前記シグナルコンタクトは第1の方向にのびており、前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトは、前記第1の方向に直交する第2の方向に並べられており、前記2つのバネ部は、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向で互いに対向している、請求項1に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項3】
前記シグナルコンタクトは、前記プリント基板を板厚方向で挟み込む同一形状の2つのバネ部を有する、請求項1に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項4】
前記対のグランドコンタクトの各々は、前記プリント基板を板厚方向で挟み込む同一形状の2つのバネ部を有する、請求項1又は3に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項5】
前記シグナルコンタクトは、前記ソケットコンタクトに圧入構造により取り付けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項6】
前記対のグランドコンタクトの各々は、前記金属シェルに圧入構造により取り付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項7】
前記ケーブル接続部及び前記基板接続部の組み合せが複数配列されて多極構造となっている、請求項1からのいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【請求項8】
コネクタ要素と、前記コネクタ要素を収容した絶縁性ハウジングとを含み、
前記コネクタ要素は、同軸ケーブルに接続されるケーブル接続部と、プリント基板に接続される基板接続部とを備え、
前記ケーブル接続部は、金属シェルと、前記金属シェル内に保持されたインシュレータと、前記インシュレータ内に保持されたソケットコンタクトとを含み、
前記基板接続部は、前記ソケットコンタクトと一直線に並ぶように前記ソケットコンタクトに一端を取り付けられた弾性を有するシグナルコンタクトと、前記シグナルコンタクトの両脇にそれぞれ配されかつ前記金属シェルに一端を取り付けられた弾性を有する対のグランドコンタクトとを含み、
前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトの各々の他端は、前記絶縁性ハウジングに引っ掛けられることにより、前記弾性に抗った状態で保持され、
前記絶縁性ハウジングは、同一形状の2つの割部品からなり、前記2つの割部品の間に前記ケーブル接続部及び前記基板接続部が配置されている、
ことを特徴とするカードエッジ型同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関し、特に、同軸ケーブルとプリント基板とを接続するコネクタ(ここでは、「カードエッジ型同軸コネクタ」と呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタの一例は特許文献1に開示されている。図12及び図13を用いて、特許文献1に開示されている技術を簡単に説明する。
【0003】
図12において、同軸ケーブル1にプラグコネクタ2が接続されている。プラグコネクタ2は、グランドコンタクト3を一体的に設けた導電性シェル4と、導電性シェル4から絶縁されたシグナルコンタクト5とを含んでいる。グランドコンタクト3及びシグナルコンタクト5はプリント基板6のエッジ部6aに嵌合可能に形成されている。
【0004】
導電性シェル4は、図13に示すようにシェル本体部4aとシェル蓋部4bとを有するように形成されたものである。同軸ケーブル1をプラグコネクタ2に接続するには、まず、同軸ケーブル1をシェル本体部4aに宛がう。具体的には、同軸ケーブル1の外部導体1aを導電性シェル4に接触させると共に、同軸ケーブル1の中心導体1bをシグナルコンタクト5に接触させる。この状態で、シェル蓋部4bをシェル本体部4aに対し折り曲げて同軸ケーブル1に押し当てる。最後に、シェル本体部4aとシェル蓋部4bとによって同軸ケーブル1を挟持させる。
【0005】
この結果、プラグコネクタ2から同軸ケーブル1が引き出される方向7は、プラグコネクタ2をプリント基板6のエッジ部6aに嵌合させる嵌合方向8に対し直角な方向(以下、「横方向」とも呼ぶことがある)となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−171129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1に開示された技術では、プラグコネクタから同軸ケーブルが横方向に引き出されるので、構造的に伝送路全体の対称性が維持されない。即ち、伝送路が直角に曲がった状態となる。これは、伝送路のインピーダンスを不連続に変化させるため、高速伝送特性に悪影響を及ぼす。さらに、複数の同軸ケーブルを備えた所謂多極化を実現することは困難である。
【0008】
また、プリント基板に嵌合するグランドコンタクトはシェルの一部として形成されているので、変位量が大きくかつ変位方向がバラツキやすい。したがって、特に多極化の場合には接触安定性に問題が生じ、またその接触安定性を向上させることが難しい。
【0009】
それ故に本発明の目的は、上述した課題の解決を可能にしたカードエッジ型同軸コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、同軸ケーブルに接続されるケーブル接続部とプリント基板に接続される基板接続部とを備えたカードエッジ型同軸コネクタにおいて、絶縁性ハウジングを備え、前記ケーブル接続部は、金属シェル、前記金属シェル内に保持されたインシュレータ、及び前記インシュレータ内に保持されたソケットコンタクトを含み、前記基板接続部は、前記ソケットコンタクトと一直線に並ぶように前記ソケットコンタクトに一端を取り付けられた弾性を有するシグナルコンタクト、及び前記シグナルコンタクトの両脇にそれぞれ配されかつ前記金属シェルに一端を取り付けられた弾性を有する対のグランドコンタクトを含み、前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトは前記絶縁性ハウジングに収められ、前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトの各々の他端は、前記絶縁性ハウジングに引っ掛けられることにより、前記弾性に抗った状態で保持され、前記絶縁性ハウジングは、同一形状の2つの割部品からなり、前記2つの割部品の間に前記ケーブル接続部及び前記基板接続部が配置されている、ことを特徴とするカードエッジ型同軸コネクタが得られる。
【0011】
本発明の他の態様によれば、コネクタ要素と、前記コネクタ要素を収容した絶縁性ハウジングとを含み、前記コネクタ要素は、同軸ケーブルに接続されるケーブル接続部と、プリント基板に接続される基板接続部とを備え、前記ケーブル接続部は、金属シェルと、前記金属シェル内に保持されたインシュレータと、前記インシュレータ内に保持されたソケットコンタクトとを含み、前記基板接続部は、前記ソケットコンタクトと一直線に並ぶように前記ソケットコンタクトに一端を取り付けられた弾性を有するシグナルコンタクトと、前記シグナルコンタクトの両脇にそれぞれ配されかつ前記金属シェルに一端を取り付けられた弾性を有する対のグランドコンタクトとを含み、前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトの各々の他端は、前記絶縁性ハウジングに引っ掛けられることにより、前記弾性に抗った状態で保持され、前記絶縁性ハウジングは、同一形状の2つの割部品からなり、前記2つの割部品の間に前記ケーブル接続部及び前記基板接続部が配置されている、ことを特徴とするカードエッジ型同軸コネクタが得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカードエッジ型同軸コネクタは、高速伝送特性に優れ、所謂多極化を容易に実現でき、かつ接触安定性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るカードエッジ型同軸コネクタの外観斜視図。
図2図1のカードエッジ型同軸コネクタの分解斜視図。
図3図1及び図2のカードエッジ型同軸コネクタに含まれたコネクタ要素の分解斜視図。
図4図1のカードエッジ型同軸コネクタの縦断面図。
図5図4のA部のみの拡大図。
図6図1のカードエッジ型同軸コネクタにプリント基板を接続する前の状態を示す斜視図。
図7図1のカードエッジ型同軸コネクタにプリント基板を接続した状態を示す斜視図。
図8図7の状態における正面図。
図9図8のIX−IX線に沿って得られた断面図。
図10図8のX−X線に沿って得られた断面図。
図11】本発明の他の実施形態に係るカードエッジ型同軸コネクタをそれに接続可能なプリント基板と共に示す、図6と同様な斜視図。
図12】特許文献1(特開2011−171129号公報)に開示されているプラグコネクタをプリント基板と共に示す外観斜視図。
図13図12に示したプラグコネクタを同軸ケーブルの接続前の状態で示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るカードエッジ型同軸コネクタ10は、同軸ケーブル(図示せず)とプリント基板(図示せず)とを接続するコネクタであり、コネクタ要素11と、コネクタ要素11を収容した外殻を構成する絶縁性ハウジング12とを含んでいる。コネクタ要素11は、第1の方向A1における一端に同軸ケーブルが接続されるケーブル接続部11aと、ケーブル接続部11aの第1の方向A1における他端からのび、プリント基板に接続される基板接続部11bとを備えている。
【0015】
図2と共に図3をも参照して、コネクタ要素11について説明する。
【0016】
コネクタ要素11のケーブル接続部11aは、金属シェル21と、金属シェル21内に保持されたインシュレータ22と、インシュレータ22内に保持された導電性のソケットコンタクト23を含んでいる。
【0017】
金属シェル21は、本体部21aと、本体部21aから第1の方向A1に突出した筒部21bと、第1の方向A1にのびて筒部21bの内部に連なる断面円形の貫通穴21cと、本体部21aの筒部21bとは反対側の端面に形成した対の圧入溝21dとを有している。筒部21bは、同軸ケーブルの外部導体を接続するための部分である。
【0018】
インシュレータ22は、貫通穴21cに嵌合固定される円柱状部品である。インシュレータ22の中心部には、軸方向に貫通した小孔22aが形成されている。インシュレータ22が電気絶縁物から作られることは勿論である。
【0019】
ソケットコンタクト23は、インシュレータ22の小孔22aに圧入により保持される。ソケットコンタクト23の一端部23aは、金属シェル21の筒部21bの内側に位置し、同軸ケーブル(又は同軸コネクタ)の中心導体と一直線に接続される。
【0020】
金属シェル21に対し各部品を組み付けてから、本体部21aの上面の開口を金属製のキャップ板21eにより塞ぐ。こうして金属シェル21に対しインシュレータ22及びソケットコンタクト23を組み付けてなるケーブル接続部11aには、第1の方向A1にのびたソケットコンタクト23とその周りの金属シェル21とで実質的に同軸的な伝送線路が形成される。したがって、ケーブル接続部11aを同軸部と呼ぶこともできる。
【0021】
一方、コネクタ要素11の基板接続部11bは、実質的に第1の方向A1にのびた弾性を有する導電性のシグナルコンタクト33と、第1の方向A1に直交する第2の方向A2におけるシグナルコンタクト33の両脇にそれぞれ配され、実質的に第1の方向A1にのびた弾性を有する対の導電性のグランドコンタクト34とを含んでいる。この結果、基板接続部11bでは3つの伝送線路が並列に形成される。したがって、基板接続部11bを並列部と呼ぶこともできる。
【0022】
シグナルコンタクト33は、第1の方向A1及び第2の方向A2に直交する第3の方向A3で互いに対向した面対称な同一形状の2つのバネ部33a、33bを有している。シグナルコンタクト33の一端33cはソケットコンタクト23の他端部23bに圧入により固定される。シグナルコンタクト33の他端即ち自由端には爪33d、33eが形成されている。
【0023】
このように、同軸ケーブル又は同軸コネクタに一直線に接続するソケットコンタクト23に、対称な二つのバネ部33a、33bを有するシグナルコンタクト33を圧入して中心の伝送線路を形成しているので、伝送線路全体の対称性がよく、高速伝送特性に悪影響を与えない。
【0024】
対のグランドコンタクト34の各々も、第3の方向A3で互いに対向した面対称な同一形状の2つのバネ部34a、34bを有している。対のグランドコンタクト34は、金属シェル21の対の圧入溝21dにそれぞれ一端34cを圧入により固定される。対のグランドコンタクト34の各々の他端即ち自由端には爪34d、34eが形成されている。
【0025】
図1及び図2に戻り、説明を続ける。
【0026】
絶縁性ハウジング12は2つの割部品12a、12bを重ね合わせて構成されたものである。2つの割部品12a、12bは、プラスチックなどの電気絶縁性材料から作られた互いに面対称な同一形状の部品である。2つの割部品12a、12bの間に、コネクタ要素11が挟みこまれるように配置されかつ固定される。
【0027】
2つの割部品12a、12bの互いに重ね合わせる面の各々には、ケーブル接続部11aを受け入れる凹部41と、シグナルコンタクト33のバネ部33a、33bを受け入れる溝部42と、対のグランドコンタクト34のバネ部34a、34bを受け入れる対の溝部43とが形成されている。溝部42の端部には突起42a、42bが形成され、対の溝部43の各々の端部には突起43a、43bが形成されている。また、2つの割部品12a、12bの境界には、プリント基板を挿入するための基板挿入孔44が形成されている。
【0028】
図2及び図3に加えて図4及び図5をも参照して、カードエッジ型同軸コネクタ10の内部構造について言及する。
【0029】
カードエッジ型同軸コネクタ10の組み立てに際し、爪33d、34dを一方の割部品12aの突起42a、43aに引っ掛けると共に、爪33e、34eを他方の割部品12bの突起42b、43bに引っ掛けながら、コネクタ要素11を割部品12a、12bの間に挿入する。しかる後に、割部品12a、12bをしっかりと合わせることで、絶縁性ハウジング12が構成される。このように、組立容易なためコストダウンも可能である。
【0030】
組み立てられたカードエッジ型同軸コネクタ10において、シグナルコンタクト33の爪33d、33eは絶縁性ハウジング12の突起42a、42bにそれぞれ引掛けられている。この状態では、シグナルコンタクト33がその弾性に抗った状態で保持される。こうして、シグナルコンタクト33は第3の方向A3において矢印46a、46bで示す向きにプリロード(予負荷)を与えられている。
【0031】
図4及び図5には表されていないが、シグナルコンタクト33の場合と同様な構造でグランドコンタクト34の爪34d、34eも絶縁性ハウジング12の突起42a、42bにそれぞれ引掛けられている。したがって、グランドコンタクト34もそれらの弾性に抗った状態で保持され、矢印46a、46bで示す方向にプリロードを与えられている。
【0032】
上述したカードエッジ型同軸コネクタ10は、図6に示すようなプリント基板51のエッジ部51aに嵌合可能である。即ち、プリント基板51のエッジ部51aを基板挿入孔44に挿入して図7の状態を得ると、プリント基板51のエッジ部51aがシグナルコンタクト33及びグランドコンタクト34に接触する。具体的には、図8から図10に示すように、シグナルコンタクト33及びグランドコンタクト34の各々がプリント基板51のエッジ部51aを板厚方向で挟み込む。こうして、カードエッジ型同軸コネクタ10にプリント基板51を接続することができる。
【0033】
シグナルコンタクト33及びグランドコンタクト34には、それらの端部を絶縁性ハウジング12に引っ掛けてプリロードをかけ、閉じようとするコンタクトを無理やり広げているので、コンタクトの変位量が小さく、変位方向のバラツキは少ないので、接触安定性がよい。
【0034】
なお、カードエッジ型同軸コネクタ10に対する同軸ケーブル又は同軸コネクタの接続は、金属シェル21の筒部21bを利用して容易に行うことができる。
【0035】
図11を参照すると、本発明の他の実施形態に係るカードエッジ型同軸コネクタ60は、外殻を構成する絶縁性ハウジング12に上述したコネクタ要素11を複数個、並列に収容したものである。換言すると、絶縁性ハウジング12の二つの基板挿入孔44にそれぞれ対応する位置に、ケーブル接続部及び基板接続部の組み合せが二つ並列配置されている。この結果、カードエッジ型同軸コネクタ60は2極構造とされている。したがって、プリント基板61の二つのエッジ部61aを二つの基板挿入孔44にそれぞれ挿入して、同時に2極の接続を得ることができる。この場合、カードエッジ型同軸コネクタ10に接続される同軸ケーブル又は同軸コネクタは直線状に並ぶので、多極化が容易である。
【0036】
勿論、一つの絶縁性ハウジング12内にケーブル接続部及び基板接続部の組み合せを三つ以上配列した多極構造のカードエッジ型同軸コネクタを作ることもできる。
【0037】
なお、本発明は上記の実施形態に限られることはなく、またその一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るがそれらには限られない。
【0038】
(付記1)
同軸ケーブルに接続されるケーブル接続部11aとプリント基板に接続される基板接続部11bとを備えたカードエッジ型同軸コネクタにおいて、
絶縁性ハウジング12を備え、
前記ケーブル接続部は、金属シェル21、前記金属シェル内に保持されたインシュレータ22、及び前記インシュレータ内に保持されたソケットコンタクト23を含み、
前記基板接続部は、前記ソケットコンタクトと一直線に並ぶように前記ソケットコンタクトに一端を取り付けられた弾性を有するシグナルコンタクト33、及び前記シグナルコンタクトの両脇にそれぞれ配されかつ前記金属シェルに一端を取り付けられた弾性を有する対のグランドコンタクト34を含み、
前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトは前記絶縁性ハウジングに収められ、
前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトの各々の他端は、前記絶縁性ハウジングに引っ掛けられることにより、前記弾性に抗った状態で保持されている、
ことを特徴とするカードエッジ型同軸コネクタ10。
【0039】
(付記2)
前記シグナルコンタクト及び前記対のグランドコンタクトの各々は、前記プリント基板を板厚方向で挟み込む同一形状の2つのバネ部33a、33b、34a、34bを有し、前記ソケットコンタクト及び前記シグナルコンタクトは第1の方向A1にのびており、前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトは、前記第1の方向に直交する第2の方向A2に並べられており、前記2つのバネ部は、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向A3で互いに対向している、付記1に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【0040】
(付記3)
前記シグナルコンタクトは、前記プリント基板を板厚方向で挟み込む同一形状の2つのバネ部33a、33bを有する、付記1に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【0041】
(付記4)
前記対のグランドコンタクトの各々は、前記プリント基板を板厚方向で挟み込む同一形状の2つのバネ部34a、34bを有する、付記1又は3に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【0042】
(付記5)
前記シグナルコンタクトは、前記ソケットコンタクトに圧入により取り付けられている、付記1から4のいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【0043】
(付記6)
前記対のグランドコンタクトの各々は、前記金属シェルに圧入により取り付けられている、付記1から5のいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【0044】
(付記7)
前記絶縁性ハウジングは、同一形状の2つの割部品12a、12bからなり、前記2つの割部品の間に前記ケーブル接続部及び前記基板接続部が配置されている、付記1から6のいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ。
【0045】
(付記8)
前記ケーブル接続部及び前記基板接続部の組み合せが複数配列されて多極構造となっている、付記1から7のいずれか一項に記載のカードエッジ型同軸コネクタ60。
【0046】
(付記9)
コネクタ要素11と、前記コネクタ要素を収容した絶縁性ハウジング12とを含み、
前記コネクタ要素は、同軸ケーブルに接続されるケーブル接続部11aと、プリント基板に接続される基板接続部11bとを備え、
前記ケーブル接続部は、金属シェル21と、前記金属シェル内に保持されたインシュレータ22と、前記インシュレータ内に保持されたソケットコンタクト23とを含み、
前記基板接続部は、前記ソケットコンタクトと一直線に並ぶように前記ソケットコンタクトに一端を取り付けられた弾性を有するシグナルコンタクト33と、前記シグナルコンタクトの両脇にそれぞれ配されかつ前記金属シェルに一端を取り付けられた弾性を有する対のグランドコンタクト34とを含み、
前記シグナルコンタクト及び前記グランドコンタクトの各々の他端は、前記絶縁性ハウジングに引っ掛けられることにより、前記弾性に抗った状態で保持されている、
ことを特徴とするカードエッジ型同軸コネクタ。
【符号の説明】
【0047】
1 同軸ケーブル
1a 外部導体
1b 中心導体
2 プラグコネクタ
3 グランドコンタクト
4 導電性シェル
4a シェル本体部
4b シェル蓋部
5 シグナルコンタクト
6 プリント基板
6a エッジ部
7 方向
8 嵌合方向
10 カードエッジ型同軸コネクタ
11 コネクタ要素
11a ケーブル接続部
11b 基板接続部
12 絶縁性ハウジング
12a 割部品
21 金属シェル
21a 本体部
21b 筒部
21c 貫通穴
21d 圧入溝
21e キャップ板
22 インシュレータ
22a 小孔
23 ソケットコンタクト
23a 一端部
23b 他端部
33 シグナルコンタクト
33a バネ部
33c 一端
33d 爪
34 グランドコンタクト
34a バネ部
34c 一端
34d 爪
41 凹部
42 溝部
42a 突起
43 溝部
43a 突起
44 基板挿入孔
46a 矢印
51 プリント基板
51a エッジ部
60 カードエッジ型同軸コネクタ
61 プリント基板
61a エッジ部
A1 第1の方向
A2 第2の方向
A3 第3の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13