(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0016】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0017】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0018】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
<DC/DCコンバータの回路構成および動作>
図1は、降圧型DC/DCコンバータの回路構成を示す図である。
図1に示すように、降圧型DC/DCコンバータでは、入力端子TE1とグランドGNDとの間にHigh−MOSトランジスタQHとLow−MOSトランジスタQLが直列接続されている。そして、High−MOSトランジスタQHとLow−MOSトランジスタQLとの間のノードNAとグランドGNDとの間にインダクタLと負荷RLが直列接続されており、負荷RLと並列にコンデンサCが接続されている。
【0021】
また、High−MOSトランジスタQHのゲート電極、および、Low−MOSトランジスタQLのゲート電極は、制御回路CCに接続されており、制御回路CCによって、High−MOSトランジスタQHのオン/オフ、および、Low−MOSトランジスタQLのオン/オフが制御される。具体的に、制御回路CCは、High−MOSトランジスタQHをオンする際には、Low−MOSトランジスタQLをオフし、High−MOSトランジスタQHをオフする際には、Low−MOSトランジスタQLをオンするように制御する。
【0022】
ここで、例えば、High−MOSトランジスタQHがオンし、Low−MOSトランジスタQLがオフしている場合、入力端子TE1からHigh−MOSトランジスタQHおよびインダクタLを経由して負荷RLに電流が流れる。その後、High−MOSトランジスタQHがオフし、Low−MOSトランジスタQLがオンすると、まず、High−MOSトランジスタQHがオフすることから、入力端子TE1からHigh−MOSトランジスタQHおよびインダクタLを経由して負荷RLに流れる電流が遮断される。すなわち、インダクタLに流れる電流が遮断される。ところが、インダクタLにおいては、電流が減少(遮断)すると、インダクタLを流れる電流を維持しようとする。このとき、Low−MOSトランジスタQLがオンしていることから、今度は、グランドGNDからLow−MOSトランジスタQLおよびインダクタLを経由して負荷RLに電流が流れる。その後、再び、High−MOSトランジスタQHをオンし、Low−MOSトランジスタQLをオフする。このような動作を繰り返すことにより、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータでは、入力端子TE1に入力電圧Vinを入力すると、負荷RLの両端に入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutが出力されることになる。
【0023】
以下では、上述したスイッチング動作を繰り返すことにより、入力端子TE1に入力電圧Vinを入力した場合、負荷RLの両端に入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutが出力される理由について簡単に説明する。なお、以下では、インダクタLを流れる電流が断続しないものとして取り扱うことにする。
【0024】
まず、High−MOSトランジスタQHは、制御回路CCによる制御により、オン期間T
ONおよびオフ期間T
OFFでスイッチング動作するものとする。この場合のスイッチング周波数は、f=1/(T
ON+T
OFF)となる。
【0025】
ここで、例えば、
図1において、負荷RLと並列に挿入されているコンデンサCは、出力電圧Voutを短時間に大きく変動させない機能を有している。つまり、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータでは、負荷RLと並列に比較的大きな容量値のコンデンサCを挿入するため、定常状態では、出力電圧Voutに含まれるリップル電圧は、出力電圧Voutに比べて小さい値になる。このため、スイッチング動作の1周期内での出力電圧Voutの変動は無視できるものとする。
【0026】
最初に、High−MOSトランジスタQHがオンしている場合を考える。このとき、出力電圧Voutが1周期内で変動しないものと仮定しているため、インダクタLにかかる電圧は、(Vin−Vout)で一定と見なすことができる。この結果、インダクタLのインダクタンスをL1とすると、オン期間T
ONにおける電流の増加分ΔI
onは、式(1)で与えられる。
【0027】
ΔI
on=(Vin−Vout)/L1×T
ON ・・・(1)
次に、High−MOSトランジスタQHがオフしている場合を考える。この場合、Low−MOSトランジスタQLがオンしていることから、インダクタLにかかる電圧は、0−Vout=−Voutとなる。したがって、オフ期間T
OFFにおける電流の増加分ΔI
OFFは、式(2)で与えられる。
【0028】
ΔI
OFF=−Vout/L1×T
OFF ・・・(2)
このとき、定常状態となると、インダクタLを流れる電流は、スイッチング動作の1周期の間に増減しないことになる。言い換えれば、1周期の間にインダクタLに流れる電流が増減する場合、まだ定常状態に達していないことを意味する。したがって、定常状態では、式(3)が成立する。
【0029】
ΔI
on+ΔI
OFF=0 ・・・(3)
この式(3)に式(1)の関係および式(2)の関係を代入すると、以下に示す式(4)を得ることができる。
【0030】
Vout=Vin×T
ON/(T
ON+T
OFF) ・・・(4)
この式(4)において、T
ON≧0、および、T
OFF≧0であることから、Vout<Vinであることがわかる。すなわち、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータは、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力する回路であることがわかる。そして、式(4)から制御回路CCによるスイッチング動作を制御することにより、オン期間T
ONとオフ期間T
OFFを変化させることで、入力電圧Vinよりも低い任意の出力電圧Voutを得ることができることがわかる。特に、オン期間T
ONとオフ期間T
OFFとが一定になるように制御すれば、一定の出力電圧Voutを得ることができる。
【0031】
以上のようにして、
図1に示す降圧型DC/DCコンバータによれば、制御回路CCで、High−MOSトランジスタQHのオン/オフ、および、Low−MOSトランジスタQLのオン/オフを制御することにより、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力できることがわかる。
【0032】
<実施の形態1における半導体装置の実装構成(基本構成)>
上述したDC/DCコンバータに含まれる制御回路CC、Low−MOSトランジスタQL、および、High−MOSトランジスタQHは、例えば、1パッケージ化した半導体装置として製品化される。この1パッケージ化した半導体装置は、
図1に示すインダクタLやコンデンサCを含んでいないため、DC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置であるが、便宜上、DC/DCコンバータを構成する半導体装置と呼ぶこともある。
【0033】
半導体装置は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子を形成した半導体チップと、この半導体チップを覆うように形成されたパッケージから形成されている。パッケージには、(1)半導体チップに形成されている半導体素子と外部回路とを電気的に接続するという機能や、(2)湿度や温度などの外部環境から半導体チップを保護し、振動や衝撃による破損や半導体チップの特性劣化を防止する機能がある。さらに、パッケージには、(3)半導体チップのハンドリングを容易にするといった機能や、(4)半導体チップの動作時における発熱を放散し、半導体素子の機能を最大限に発揮させる機能なども合わせ持っている。
【0034】
半導体装置のパッケージ構造には、例えば、BGA(Ball Grid Array)パッケージやQFP(Quad Flat Package)パッケージやQFN(Quad Flat Non-leaded Package)パッケージなどのように様々な種類がある。このような多様なパッケージ形態のうち、例えば、上述したDC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置は、QFNパッケージで実装構成されている。そこで、以下では、DC/DCコンバータの一部を構成するQFNパッケージからなる半導体装置の実装構成について説明する。
【0035】
図2は、本実施の形態1における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図2において、中央に示されている図は、半導体装置PK1を上面(表面)から見た平面図であり、四方のそれぞれに側面図が示されている。
図2に示すように、本実施の形態1における半導体装置PK1は、矩形形状をした樹脂MRで覆われている。そして、側面図を見てわかるように、半導体装置PK1の側面には、樹脂MRからリードLDが露出していることがわかる。
【0036】
次に、
図3は、本実施の形態1における半導体装置PK1を下面(裏面)から見た平面図である。
図3に示すように、半導体装置PK1の裏面も樹脂MRで覆われているが、この樹脂MRからチップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)の一部(裏面)が露出している。このようにチップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)の一部が半導体装置PK1の裏面から露出していることにより、半導体装置PK1の放熱効率を向上させることができる。また、矩形形状をした半導体装置PK1の外周領域(外周部)には、複数の裏面端子BTEが露出している。この裏面端子BTEは、リードLDの一部を構成している。
【0037】
続いて、半導体装置PK1の内部構造について説明する。
図4は、本実施の形態1における半導体装置PK1の内部構成を示す図である。
図4において、中央に示されている図は、樹脂MRを透視した上面側から半導体装置PK1の内部を見た平面図であり、四方のそれぞれに断面図が示されている。
【0038】
図4の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(L)上に、例えば、シリコンを主成分とするLow−MOSチップCHP(L)が搭載されている。そして、このLow−MOSチップCHP(L)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるソース電極パッドSP(L)およびゲート電極パッドGP(L)が形成されている。なお、ソース電極パッドSP(L)上には、後述するLow−MOSクリップCLP(L)をソース電極パッドSP(L)上に高融点半田HS2を介して電気的に接続させるために、ここではニッケル(Ni)−金(Au)膜が形成されている。
【0039】
チップ搭載部TAB(L)の外側の一部にはリードLDが配置されており、このリードLDとLow−MOSチップCHP(L)のソース電極パッドSP(L)とは、Low−MOSクリップ(Low−MOS金属板、Low−MOS導体板)CLP(L)で電気的に接続されている。つまり、Low−MOSチップCHP(L)のソース電極パッドSP(L)上に、例えば、銅材からなるLow−MOSクリップCLP(L)が搭載されており、このLow−MOSクリップCLP(L)の端部は、リードLDと接続されている。具体的には、
図4の下側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を介してLow−MOSチップCHP(L)が搭載されており、このLow−MOSチップCHP(L)上からリードLD上に跨るように、高融点半田HS2を介してLow−MOSクリップCLP(L)が搭載されている。
【0040】
次に、
図4の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(H)上に、例えば、シリコンを主成分とするHigh−MOSチップCHP(H)が搭載されている。そして、このHigh−MOSチップCHP(H)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるソース電極パッドSP(H)およびゲート電極パッドGP(H)が形成されている。なお、ソース電極パッドSP(H)上には、後述するHigh−MOSクリップCLP(H)をソース電極パッドSP(H)上に高融点半田HS2を介して電気的に接続させるために、ここではニッケル(Ni)−金(Au)膜が形成されている。
【0041】
チップ搭載部TAB(H)と隣り合うようにチップ搭載部TAB(L)が配置されており、このチップ搭載部TAB(L)とHigh−MOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(H)とは、High−MOSクリップ(High−MOS金属板、High−MOS導体板)CLP(H)で電気的に接続されている。つまり、High−MOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(L)上に、例えば、銅材からなるHigh−MOSクリップCLP(H)が搭載されており、このHigh−MOSクリップCLP(H)の端部は、チップ搭載部TAB(L)と接続されている。具体的には、
図4の左側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(H)上に高融点半田HS1を介してHigh−MOSチップCHP(H)が搭載されており、このHigh−MOSチップCHP(H)上からチップ搭載部TAB(L)上に跨るように、高融点半田HS2を介してHigh−MOSクリップCLP(H)が搭載されている。
【0042】
続いて、
図4の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(C)上に、例えば、シリコンを主成分とするドライバICチップCHP(C)が搭載されている。具体的には、
図4の右側あるいは上側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(C)上に高融点半田HS1を介してドライバICチップCHP(C)が搭載されている。このドライバICチップCHP(C)の内部には、
図1に示す制御回路CCが形成されている。そして、ドライバICチップCHP(C)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなる電極パッドPDが形成されている。チップ搭載部TAB(C)の外側の一部にはリードLDが配置されており、このリードLDと、ドライバICチップCHP(C)の表面に形成されている電極パッドPDとが、例えば、金線からなるワイヤWで電気的に接続されている。また、
図4に示すように、Low−MOSチップCHP(L)に形成されたゲート電極パッドGP(L)と、ドライバICチップCHP(C)に形成された電極パッドPDとが、ワイヤWで接続されている。同様に、High−MOSチップCHP(H)に形成されたゲート電極パッドGP(H)と、ドライバICチップCHP(C)に形成された電極パッドPDとが、ワイヤWで接続されている。
【0043】
このように構成されている本実施の形態1における半導体装置PK1においては、DC/DCコンバータの一部を構成していることについて説明する。
図4の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(L)上に搭載されているLow−MOSチップCHP(L)の内部には、
図1に示すLow−MOSトランジスタQL(スイッチング用電界効果トランジスタ)が形成されている。そして、Low−MOSチップCHP(L)の表面には、ソース電極パッドSP(L)が形成されているが、このソース電極パッドSP(L)は、Low―MOSチップCHP(L)の内部に形成されているLow−MOSトランジスタQLのソース領域と電気的に接続されている。また、Low−MOSチップCHP(L)の表面には、ゲート電極パッドGP(L)が形成されており、このゲート電極パッドGP(L)は、Low―MOSチップCHP(L)の内部に形成されているLow−MOSトランジスタQLのゲート電極と電気的に接続されている。さらに、Low−MOSチップCHP(L)の裏面は、Low−MOSトランジスタQLのドレイン領域(ドレイン電極)となっている。
【0044】
同様に、
図4の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(H)上に搭載されているHigh−MOSチップCHP(H)の内部には、
図1に示すHigh−MOSトランジスタQH(スイッチング用電界効果トランジスタ)が形成されている。そして、High−MOSチップCHP(H)の表面には、ソース電極パッドSP(H)が形成されているが、このソース電極パッドSP(H)は、High―MOSチップCHP(H)の内部に形成されているHigh−MOSトランジスタQHのソース領域と電気的に接続されている。また、High−MOSチップCHP(H)の表面には、ゲート電極パッドGP(H)が形成されており、このゲート電極パッドGP(H)は、High―MOSチップCHP(H)の内部に形成されているHigh−MOSトランジスタQHのゲート電極と電気的に接続されている。さらに、High−MOSチップCHP(H)の裏面は、High−MOSトランジスタQHのドレイン領域(ドレイン電極)となっている。
【0045】
ここで、
図4に示すように、Low−MOSチップCHP(L)の裏面(ドレイン電極)がチップ搭載部TAB(L)と電気的に接続されている。そして、このチップ搭載部TAB(L)と、High−MOSチップCHP(H)に形成されているソース電極パッドSP(H)がHigh−MOSクリップCLP(H)で接続されていることになる。このことから、Low−MOSチップCHP(L)のドレイン電極と、High−MOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(H)が電気的に接続されることになり、
図1に示すHigh−MOSトランジスタQHとLow−MOSトランジスタQLの直列接続が実現されていることがわかる。
【0046】
そして、Low−MOSチップCHP(L)の表面に形成されているソース電極パッドSP(L)は、Low−MOSクリップCLP(L)を介してリードLDと電気的に接続されている。このため、Low−MOSクリップCLP(L)と電気的に接続されているリードLDをグランドと接続することにより、
図1に示すLow−MOSトランジスタQLのソース領域をグランドGNDと接続させることができる。
【0047】
一方、High−MOSチップCHP(H)の裏面(ドレイン電極)は、高融点半田HS1を介してチップ搭載部TAB(H)と電気的に接続されている。したがって、チップ搭載部TAB(H)を入力端子TE1と電気的に接続することにより、
図1に示すHigh−MOSトランジスタQHのドレイン領域(ドレイン電極)を入力端子TE1と接続させることができる。以上のようにして、
図4に示す本実施の形態1における半導体装置PK1は、DC/DCコンバータの一部を構成していることがわかる。
【0048】
本実施の形態1における半導体装置PK1では、例えば、
図4に示すように、Low−MOSチップCHP(L)とリードLDとの電気的な接続に、ワイヤを使用せずに、Low−MOSクリップCLP(L)を使用している。同様に、本実施の形態1では、High−MOSチップCHP(H)とチップ搭載部TAB(L)との電気的な接続にも、ワイヤを使用せずに、High−MOSクリップCLP(H)を使用している。
【0049】
これは、本実施の形態1における半導体装置PK1がDC/DCコンバータの構成要素として使用されるものであり、Low−MOSクリップCLP(L)やHigh−MOSチップCHP(H)によって接続される電流経路には大きな電流が流れるため、できるだけオン抵抗を低減する必要があるからである。すなわち、Low−MOSチップCHP(L)やHigh−MOSチップCHP(H)には、大きな電流を流すLow−MOSトランジスタQLやHigh−MOSトランジスタQHが形成されており、これらのトランジスタ(パワートランジスタ)の特性を充分に引き出すため、ワイヤを使用せずに、Low−MOSクリップCLP(L)やHigh−MOSチップCHP(H)が使用されているのである。特に、Low−MOSクリップCLP(L)やHigh−MOSチップCHP(H)は、抵抗率の低い銅材が使用され、かつ、接触面積も大きくすることができるため、Low−MOSトランジスタQLやHigh−MOSトランジスタQHのオン抵抗を低減することができる。
【0050】
さらには、オン抵抗を低減する観点から、チップ搭載部TAB(L)と、このチップ搭載部TAB(L)上に搭載されるLow−MOSチップCHP(L)との接続や、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との接続に、銀ペーストではなく半田が使用されている。同様の観点から、チップ搭載部TAB(H)と、このチップ搭載部TAB(H)上に搭載されるHigh−MOSチップCHP(H)との接続や、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との接続に、銀ペーストではなく半田が使用されている。つまり、銀ペーストは、熱硬化性樹脂の内部に銀フィラーを分散させた構成をしており、電気伝導率や熱伝導率は、金属材料である半田に比べて小さくなる。このことから、オン抵抗の低減が必要とされるDC/DCコンバータに使用される半導体装置PK1においては、銀ペーストよりも電気伝導率の大きな半田が使用され、これによって、Low−MOSトランジスタQLやHigh−MOSトランジスタQHのオン抵抗を低減している。特に、本実施の形態1における半導体装置PK1では、Low−MOSチップCHP(L)の裏面やHigh−MOSチップCHP(H)の裏面にも電流を流すため、銀ペーストから半田に替えることによる接続抵抗の低減は、オン抵抗を低減する観点から重要である。
【0051】
ただし、本実施の形態1における半導体装置PK1が製品として完成した後は、回路基板(実装基板)に実装される。この場合、半導体装置PK1と実装基板の接続には、半田が使用される。半田による接続の場合、半田を溶融させて接続させるため、加熱処理(リフロー)が必要とされる。
【0052】
ここで、半導体装置PK1と実装基板との接続に使用される半田と、上述した半導体装置PK1の内部で使用される半田が同じ材料である場合、半導体装置PK1と実装基板との接続の際に加えられる熱処理(リフロー)によって、半導体装置PK1の内部に使用されている半田も溶融することになる。この場合、半田の溶融による体積膨張で半導体装置PK1を封止している樹脂にクラックが発生したり、溶融した半田が外部へ漏れ出したりする不具合が発生することになる。
【0053】
このことから、チップ搭載部TAB(L)と、このチップ搭載部TAB(L)上に搭載されるLow−MOSチップCHP(L)との接続や、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との接続には、高融点半田HS1や高融点半田HS2が使用される。同様に、チップ搭載部TAB(H)と、このチップ搭載部TAB(H)上に搭載されるHigh−MOSチップCHP(H)との接続や、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との接続には、高融点半田HS1や高融点半田HS2が使用される。この場合、半導体装置PK1と実装基板との接続の際に加えられる熱処理(リフロー)によって、半導体装置PK1の内部に使用されている高融点半田HS1や高融点半田HS2は溶融することはない。したがって、高融点半田HS1や高融点半田HS2の溶融による体積膨張で半導体装置PK1を封止している樹脂にクラックが発生したり、溶融した半田が外部へ漏れ出したりする不具合を防止することができる。
【0054】
ここで、半導体装置PK1と実装基板との接続に使用される半田は、Sn(すず)−銀(Ag)−銅(Cu)に代表される融点が220℃程度の半田が使用され、リフローの際に、半導体装置PK1は、260℃程度まで加熱される。したがって、例えば、本明細書でいう高融点半田とは、260℃程度に加熱しても溶融しない半田を意図している。代表的なものを挙げると、例えば、融点が300℃程度でリフロー温度が350℃程度であり、Pb(鉛)を90重量%以上含んだ半田である。
【0055】
なお、本実施の形態1においては、例えば、チップ搭載部TAB(L)とLow−MOSチップCHP(L)との接続や、チップ搭載部TAB(H)とHigh−MOSチップCHP(H)との接続に使用される高融点半田HS1が存在する。また、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との接続や、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との接続に使用される高融点半田HS2が存在する。基本的に、本実施の形態1では、上述した高融点半田HS1と高融点半田HS2とは同じ材料成分であることを想定しているが、例えば、高融点半田HS1と高融点半田HS2とを異なる材料成分から構成することもできる。
【0056】
<実施の形態1における半導体装置の実装構成(特徴構成)>
続いて、本実施の形態1における半導体装置PK1の特徴構成について説明する。この特徴は、半導体チップ(Low−MOSチップCHP(L)およびHigh−MOSチップCHP(H))と金属板(Low−MOSクリップCLP(L)およびHigh−MOSクリップCLP(H))との接続信頼性を向上させるために施された製造方法の工夫点に基づくものである。つまり、本実施の形態1における半導体装置PK1の特徴構成は、製造方法に工夫を施した結果、生じたものである。言い換えれば、本実施の形態1における半導体装置の特徴構成は、製造方法上の特徴が反映された痕跡ということができる。なお、製造方法の特徴については後述する。
【0057】
図2において、本実施の形態1における半導体装置PK1は、矩形形状をした樹脂MRからなる封止体で覆われている。この封止体は、平面視における形状が矩形形状(例えば、四角形状)であって、上面と、上面とは反対側の下面と、この上面と下面との間に配置された複数の側面(4つの側面)を有している。具体的に、
図2に示すように、4つの側面をそれぞれ側面SD1〜SD4と呼ぶことにすると、これらの側面SD1〜SD4のそれぞれには、樹脂MRからリードLDが露出していることがわかる。さらに、本実施の形態1では、半導体装置PK2の側面から吊りリードHLの断面も露出している。具体的には、側面SD1からは、2つの吊りリードHLが露出し、側面SD2からは、1つの吊りリードHLが露出し、側面SD3からは、1つの吊りリードHLが露出していることがわかる。このように側面SD1〜SD3から吊りリードHLが露出している点が、本実施の形態1における半導体装置PK1の特徴構成(痕跡)である。
【0058】
次に、本実施の形態1における半導体装置PK1の内部構造の特徴について説明する。
図4において、中央に示されている図は、樹脂MRを透視した上面側から半導体装置PK1の内部を見た平面図であり、四方のそれぞれに断面図が示されている。
【0059】
ここで、
図4において、本実施の形態1の特徴は、High−MOSクリップCLP(H)と一体的に吊りリードHLが形成されており、この吊りリードHLが、樹脂MRからなる封止体の外縁部にまで達している点である。同様に、Low−MOSクリップCLP(L)にも、一体的に吊りリードHLが形成されており、この吊りリードHLが、樹脂MRからなる封止体の外縁部にまで達している点に本実施の形態1の特徴点がある。
【0060】
例えば、Low−MOSクリップCLP(L)に着目すると、Low−MOSクリップCLP(L)は、
図4において、Low−MOSチップCHP(L)のソース電極パッドSP(L)と電気的に接続された第1部分FPT(L)、リードLDと電気的に接続された第2部分SPT(L)を有する。さらに、Low−MOSクリップCLP(L)は、第1部分FPT(L)と第2部分SPT(L)とを繋ぐ第3部分TPT(L)、および、前記第3部分TPT(L)に接続され、その端部が、平面視において封止体の外縁に向かって延びた第4部分RPT(L)(吊りリードHL)および第5部分VPT(L)を有する。ここでは、Low−MOSクリップCLP(L)の第4部分RPT(L)は、吊りリードHLのことを示している。すなわち、本明細書では、便宜上、同じ部材を吊りリードHLと呼ぶ場合やLow−MOSクリップCLP(L)の第4部分RPT(L)と呼ぶ場合があるが、どちらの場合も同じ部材を示している。
【0061】
このとき、Low−MOSクリップCLP(L)の第4部分RPT(L)(吊りリードHL)の端面は、封止体の第1側面SD1から露出し、第4部分RPT(L)(吊りリードHL)の端面と封止体の第1側面SD1とが同一平面となっている。また、Low−MOSクリップCLP(L)の第5部分VPT(L)(吊りリードHL)の端面は、封止体の第2側面SD2から露出し、第5部分VPT(L)(吊りリードHL)の端面と封止体の第2側面SD2とが同一平面となっている。
【0062】
同様に、High−MOSクリップCLP(H)に着目すると、High−MOSクリップCLP(H)は、
図4において、High−MOSチップCHP(H)のソース電極パッドSP(H)と電気的に接続された第1部分FPT(H)、チップ搭載部TAB(L)と電気的に接続された第2部分SPT(H)を有する。さらに、High−MOSクリップCLP(H)は、第1部分FPT(H)と第2部分SPT(H)とを繋ぐ第3部分TPT(H)、および、前記第3部分TPT(H)に接続され、その端部が、平面視において封止体の外縁に向かって延びた第4部分RPT(H)(吊りリードHL)および第5部分VPT(H)を有する。
【0063】
このとき、High−MOSクリップCLP(H)の第4部分RPT(H)(吊りリードHL)の端面は、封止体の第1側面SD1から露出し、第4部分RPT(H)(吊りリードHL)の端面と封止体の第1側面SD1とが同一平面となっている。また、High−MOSクリップCLP(H)の第5部分VPT(H)(吊りリードHL)の端面は、封止体の第3側面SD3から露出し、第5部分VPT(H)(吊りリードHL)の端面と封止体の第3側面SD3とが同一平面となっている。
【0064】
<本実施の形態1における半導体装置の製造方法>
本実施の形態1における半導体装置は、例えば、
図4に示すように、DC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置PK1であり、QFNパッケージで実装構成されている。そこで、以下では、DC/DCコンバータの一部を構成するQFNパッケージからなる半導体装置PK1の製造方法を例に挙げて、本実施の形態1における技術的思想について説明する。
【0065】
図5〜
図7は、本実施の形態1における半導体装置PK1の製造フローを示すフローチャートである。また、
図8〜
図19は、本実施の形態1における半導体装置PK1の製造工程を示す図である。
【0066】
まず、
図8に示すように、リードフレームLF1を準備する(
図5のS101)。
図8(A)では、リードフレームLF1の模式的な全体構成が示されており、
図8(B)では、
図8(A)に示すリードフレームLF1の一部分が拡大して示されている。さらに、
図8(C)では、
図8(B)に示すリードフレームLF1の一部分がさらに拡大して示されている。
【0067】
図8(C)に示すように、本実施の形態1におけるリードフレームLF1は、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)と、リードLDとを備えた製品領域PRが行列状(X方向およびY方向)に複数配置されていることがわかる。
【0068】
さらに、本実施の形態1では、
図9に示すようなクリップフレームCLFを準備する。本実施の形態1では、このクリップフレームCLFを使用する点に特徴がある。
図9(A)では、クリップフレームCLFの模式的な全体構成が示されており、
図9(B)では、クリップフレームCLFの一部分が拡大して示されている。
図9(B)に示すように、クリップフレームCLFには、High−MOSクリップCLP(H)とLow−MOSクリップCLP(L)を備える複数の単位領域URが含まれており、複数の単位領域URが行列状(マトリクス状)に配置されている。ここで、High−MOSクリップCLP(H)とLow−MOSクリップCLP(L)は、例えば、銅を材料成分とする金属板から構成される。
【0069】
以下に、
図9(A)および
図9(B)に示すクリップフレームCLFの詳細な構成について説明する。例えば、
図9(B)に示すように、行列状に配置された単位領域URのそれぞれには、High−MOSクリップCLP(H)とLow−MOSクリップCLP(L)が形成されており、High−MOSクリップCLP(H)およびLow−MOSクリップCLP(L)は、ともに、吊りリードHLでクリップフレームCLFの枠体に接続されている。したがって、クリップフレームCLFの全体には、一体的に複数のHigh−MOSクリップCLP(H)と複数のLow−MOSクリップCLP(L)が形成されていることになる。
【0070】
本実施の形態1におけるクリップフレームCLFでは、
図9(A)および
図9(B)に示すように、複数の単位領域URがX方向およびY方向に並ぶように配置されている。つまり、本実施の形態1におけるクリップフレームCLFは、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数の単位領域URが形成されている。例えば、本実施の形態1のクリップフレームCLFは、複数の単位領域URがX方向に第1所定間隔(第1ピッチ)で配置され、かつ、Y方向に第2所定間隔(第2ピッチ)で配置されている。
【0071】
ここで、
図8(A)〜
図8(C)に示すリードフレームLF1に着目すると、例えば、
図8(C)に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRがX方向およびY方向に並ぶように配置されている。つまり、
図8(A)〜
図8(C)に示すリードフレームLF1は、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数の製品領域PRが形成されている。例えば、リードフレームLF1は、複数の製品領域PRがX方向に第1所定間隔(第1ピッチ)で配置され、かつ、Y方向に第2所定間隔(第2ピッチ)で配置されている。
【0072】
すなわち、本実施の形態1においては、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのX方向の配置ピッチと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのX方向の配置ピッチとが同一となっている。また、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのY方向の配置ピッチと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのY方向の配置ピッチとが同一となっている。
【0073】
ここで、クリップフレームCLFに形成されている複数のHigh−MOSクリップCLP(H)やLow−MOSクリップCLP(L)のX方向(第1方向)およびX方向と直交するY方向(第2方向)における配置ピッチを第1ピッチおよび第2ピッチとする。
【0074】
この場合、リードフレームLF1に形成されているチップ搭載部(チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)、チップ搭載部TAB(L))のX方向およびY方向における配置ピッチも第1ピッチおよび第2ピッチとなっているのである。
【0075】
この結果、本実施の形態1においては、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれが、平面視において重なるように配置することができる。さらに詳細に述べると、例えば、
図8(C)に示すチップ搭載部TAB(H)と、
図9(B)に示すHigh−MOSクリップCLP(H)が平面的に重なるように配置できるとともに、
図8(C)に示すチップ搭載部TAB(L)と、
図9(B)に示すLow−MOSクリップCLP(L)が平面的に重なるように配置できる。
【0076】
次に、
図10に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田(高融点半田ペースト)HS1を供給する(
図5のS102)。具体的には、例えば、半田印刷法を使用することにより、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を印刷する。
【0077】
ここでいう高融点半田HS1とは、260℃程度に加熱しても溶融しない半田を意図しており、例えば、融点が300℃程度でリフロー温度が350℃程度であり、Pb(鉛)を90重量%以上含んだ半田を挙げることができる。
【0078】
なお、ここでは半田印刷法によりチップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を供給する方法について説明したが、これに限定されない。例えば、シリンジ詰めされた高融点半田HS1を準備し、シリンジ先端に取り付けられた塗布ノズルから、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を塗布供給してもよい。ただし、半田印刷法を用いた方が、半田マスクを用いて一度に複数個所へ高融点半田HS1を供給できるので、本工程の作業時間を短くすることができる。
【0079】
続いて、
図11に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、まず、チップ搭載部TAB(C)上にドライバICチップCHP(C)を搭載(配置)する(
図5のS103)。そして、チップ搭載部TAB(H)上にHigh−MOSチップCHP(H)を搭載し(
図5のS104)、その後、チップ搭載部TAB(L)上にLow−MOSチップCHP(L)を搭載する(
図5のS105)。なお、ドライバICチップCHP(C)、High−MOSチップCHP(H)およびLow−MOSチップCHP(L)の搭載順は、これに限らず、適宜変更することも可能である。
【0080】
その後、リードフレームLF1を位置固定用の専用治具にセットする(
図5のS106)。具体的には、
図13に示すように、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1を専用治具の例えば位置決めピンに挿入することにより、リードフレームLF1の位置決めを行なう。
【0081】
次に、
図13に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、High−MOSチップCHP(H)上に高融点半田(高融点半田ペースト)HS2を供給する(
図5のS107)。その後、Low−MOSチップCHP(L)上に高融点半田HS2を供給する(
図5のS108)。詳細には、High−MOSチップCHP(H)に形成されているソース電極パッド(High−MOSパッド)(図示せず)上に高融点半田HS2を供給するとともに、Low−MOSチップCHP(L)に形成されているソース電極パッド(Low−MOSパッド)(図示せず)上に高融点半田HS2を供給する。さらに、
図13に示すように、チップ搭載部TAB(L)の一部領域上およびリードの一部領域上にも高融点半田HS2を供給する。
【0082】
具体的には、例えば、塗布法を使用することにより、High−MOSチップCHP(H)上、Low−MOSチップCHP(L)上、チップ搭載部TAB(L)の一部領域上およびリードの一部領域上にも高融点半田HS2を塗布する。このとき形成される高融点半田HS2は、上述した高融点半田HS1と同じ材料成分であってもよいし、異なる材料成分であってもよい。
【0083】
その後、
図13に示すように、クリップフレームCLFを位置固定用の専用治具にセットする(
図5のS109)。具体的には、
図13に示すように、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1を挿入した位置決めピンに、さらに、クリップフレームCLFに形成されている開口部OP2を挿入する。これにより、本実施の形態1によれば、リードフレームLF1上にクリップフレームCLFを重ね合わせるように配置することができる。この点に本実施の形態1における特徴点の1つがある。つまり、上述したように、専用治具に設けられた位置決めピンに、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1と、クリップフレームCLFに形成されている開口部OP2を挿入することにより、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれとを平面的に重ね合わせることができるのである。
【0084】
すなわち、本実施の形態1においては、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのX方向の配置ピッチと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのX方向の配置ピッチとが同一となっている。また、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのY方向の配置ピッチと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのY方向の配置ピッチとが同一となっている。
【0085】
この結果、本実施の形態1においては、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれが、平面視において重なるように配置することができる。さらに詳細に述べると、例えば、
図13に示すHigh−MOSチップCHP(H)と、
図13に示すHigh−MOSクリップCLP(H)が平面的に重なるように配置できるとともに、
図13に示すLow−MOSチップCHP(L)と、
図13に示すLow−MOSクリップCLP(L)が平面的に重なるように配置できる。
【0086】
このように本実施の形態1によれば、リードフレームLF1にクリップフレームCLFを重ね合わせるだけで、複数の製品領域PRのそれぞれと、複数の単位領域URのそれぞれとを平面的に重ね合わせることができる。このことは、複数の製品領域PRのそれぞれに形成されているHigh−MOSチップCHP(H)上に、複数の単位領域URのそれぞれに形成されているHigh−MOSクリップCLP(H)を一度に搭載することができることを意味する。同様に、このことは、複数の製品領域PRのそれぞれに形成されているLow−MOSチップCHP(L)上に、複数の単位領域URのそれぞれに形成されているLow−MOSクリップCLP(L)を一度に搭載することができることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、High−MOSクリップCLP(H)とLow−MOSクリップCLP(L)とをHigh−MOSチップCHP(H)上とLow−MOSチップCHP(L)上とにそれぞれ個別に(個々に)搭載する場合に比べて、製造工程の簡略化を図ることができる。これにより、本実施の形態1によれば、半導体装置PK1の製造コストを低減することができる。
【0087】
続いて、高融点半田(高融点半田HS1、高融点半田HS2)に対してリフローを実施する(
図6のS110)。具体的には、高融点半田を含むリードフレームLF1を、例えば、350℃程度の温度(第1温度)で加熱する。これにより、高融点半田は溶融し、High−MOSチップCHP(H)の裏面(ドレイン電極)とチップ搭載部TAB(H)、Low−MOSチップCHP(L)の裏面(ドレイン電極)とチップ搭載部TAB(L)が電気的に接続されることになる。また、High−MOSクリップCLP(H)とHigh−MOSチップCHP(H)の表面のソース電極パッドとチップ搭載部TAB(L)、および、Low−MOSクリップCLP(L)とLow−MOSチップCHP(H)の表面のソース電極パッドと基準電位が供給されるリード、が電気的に接続されることになる。
【0088】
なお、ここでは、
図6に示すS110のリフロー1回で各チップと各クリップの接続を一度に行っているが、リフローは複数回に分けてもよい。つまり、各チップを搭載した後に1回目のリフローを行い、各クリップを搭載した後に2回目のリフローを行ってもよい。ただし、前述のように各チップの搭載を行った後、連続して各クリップの搭載まで行ってからリフローを行った方がリフロー回数は1回で済むので、工程を短縮化することができる。
【0089】
その後、高融点半田に含まれているフラックスを除去するため、フラックス洗浄を実施する(
図6のS111)。そして、その後の工程で行われるワイヤボンディング工程におけるワイヤのボンディング特性を向上させる観点から、リードフレームLF1の表面に対してプラズマ処理を実施することにより、リードフレームLF1の表面を清浄化する(
図6のS112)。
【0090】
なお、
図6に示すS112のプラズマ処理は、必須ではない。
図6に示すS111のフラックス洗浄工程で、その後のワイヤボンディングに支障がない程度にリードフレームLF1の表面の清浄化が保てる場合には、本プラズマ処理工程を割愛することができる。
【0091】
次に、
図14(A)および
図14(B)に示すように、リードフレームLF1の裏面にテープTPを貼り付ける(
図6のS113)。つまり、リードフレームLF1の面のうち、ドライバICチップCHP(C)、High−MOSチップCHP(H)およびLow−MOSチップCHP(L)が搭載された面とは反対側の面にテープTPを貼り付ける。テープTPの一例を挙げると、基材部がポリイミド樹脂で構成され、糊部を備えたテープである。このとき、上述したようにテープTPを貼り付ける工程よりも前の工程で、高融点半田に対する350℃程度の加熱処理(リフロー)が終了しているため、本実施の形態1では、テープTPの糊部の耐熱性が問題として顕在化することはない。
【0092】
続いて、
図15(A)および
図15(B)に示すように、ワイヤボンディング工程を実施する(
図6のS114)。
図15(A)は、リードフレームLF1の裏面にテープTPを貼り付けた後、ワイヤボンディング工程を実施する際のリードフレームLF1を示す図である。ただし、
図15(A)では、実際のワイヤボンディング工程を実施することによる構成要素(ワイヤ)は省略されており、この構成要素(ワイヤ)は、
図15(A)に示される1つの製品領域PRを拡大した図である
図15(B)に示されている。
【0093】
図15(B)において、ドライバICチップCHP(C)に形成されている複数の電極パッドPDと複数のリードLDが複数のワイヤWで接続されていることがわかる。さらに、
図15(B)に示すように、High−MOSチップCHP(H)に形成されているゲート電極パッドGP(H)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されている電極パッドPDがワイヤWで接続されている。同様に、Low−MOSチップCHP(L)に形成されているゲート電極パッドGP(L)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されている電極パッドPDがワイヤWで接続されている。これにより、本実施の形態1によれば、High−MOSチップCHP(H)に形成されているHigh−MOSトランジスタQH(
図1参照)と、Low−MOSチップCHP(L)に形成されているLow−MOSトランジスタQL(
図1参照)が、ドライバICチップCHP(C)に形成されている制御回CC(
図1参照)によって電気的に制御されることがわかる。
【0094】
ここで、本実施の形態1によれば、ワイヤボンディング工程を実施する前工程で、リードフレームLF1の裏面にテープTPを貼り付けるように構成されている。このため、本実施の形態1によれば、容易にテープTPを貼り付けたリードフレームLF1を真空吸着することができる。この結果、MAPモールド技術(一括モールド技術)に対応したリードフレームLF1であっても、リードフレームLF1を真空吸着で確実に固定しながら、ワイヤボンディング工程を実施することができる。この結果、本実施の形態1によれば、ワイヤボンディング工程における信頼性を向上させることができる。
【0095】
なお、ワイヤボンディング工程は、ワイヤWの接合安定化のため、リードフレームLF1を200℃程度から250℃程度に加熱した状態で実施される。しかし、リードフレームLF1の裏面に貼り付けたテープTPの耐熱性は、250℃程度であるため、ワイヤボンディング工程で加えられる加熱処理に起因して、テープTPの糊部の耐熱性に問題が生じることはないと考えられる。
【0096】
次に、
図16に示すように、リードフレームLF1に形成されている製品領域を一括して樹脂MRで封止(モールド)する(
図6のS115)。言い換えれば、
図15(B)に示すドライバICチップCHP(C)、High−MOSチップCHP(H)およびLow−MOSチップCHP(L)を覆うようにリードフレームLF1内の複数の製品領域PRを樹脂MRで一括封止して封止体を形成する。つまり、本実施の形態1では、半導体チップを樹脂で封止する技術として、キャビティ内に複数の製品領域PRを内包させて、複数の製品領域PRを一括して樹脂で封止する、いわゆるMAPモールド技術と呼ばれる技術を採用している。このMAPモールド技術によれば、製品領域PR毎に樹脂を注入する経路を設ける必要がないので、複数の製品領域PRを密に配置することができる。これにより、MAPモールド技術によれば、製品の取得数を向上させることができ、これによって、製品のコスト削減を図ることが可能となる。
【0097】
このとき、本実施の形態1では、MAPモールド技術による樹脂封止工程(モールド工程)よりも前の工程において、リードフレームLF1の裏面に粘着性を有するテープTPを貼り付けている。このため、本実施の形態1によれば、例えば、
図17に示すように、リードフレームLF1の裏面に形成されている裏面端子(リード)に確実にテープTPを貼り付けることができる。この結果、MAPモールド技術を採用した樹脂封止工程においても、裏面端子とテープTPとの間に隙間が形成されず、裏面端子の裏側への樹脂漏れ(樹脂バリ)を充分に抑制することができる。
【0098】
なお、樹脂封止工程で使用される樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂が使用される。このため、樹脂封止工程は、熱硬化性樹脂を硬化させるため、160℃程度から200℃程度に加熱した状態で実施される。しかし、リードフレームLF1の裏面に貼り付けたテープTPの耐熱性は、250℃程度であるため、樹脂封止工程で加えられる加熱処理に起因して、テープTPの糊部の耐熱性に問題が生じることはないと考えられる。
【0099】
その後、リードフレームLF1の裏面に貼り付けたテープTPをリードフレームLF1から剥離する(
図6のS116)。そして、樹脂MR(封止体)の裏面から露出するチップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)、チップ搭載部TAB(L)および裏面端子BTE(
図3参照)の表面にめっき膜を形成する(
図6のS117)。さらに、樹脂MRからなる封止体の表面にマークを形成する(マーキング工程)(
図6のS118)。
【0100】
続いて、
図18(A)および
図18(B)に示すように、樹脂MRからなる封止体の表面にダイシングテープDTを貼り付ける(
図7のS119)。そして、
図19(A)および
図19(B)に示すように、樹脂MRからなる封止体を製品領域PR毎に切断する(パッケージダイシング)(
図7のS120)。具体的には、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRを区画する区画領域(境界領域)をダイシングブレードにより切断し、各製品領域PRを個片化する。これにより、例えば、
図19(C)に示すような本実施の形態1における半導体装置PK1を取得することができる。このとき、クリップフレームCLFに形成されている吊りリードHLが切断される。この結果、例えば、
図2に示すように、半導体装置PK2の側面から吊りリードHLの断面が露出することになる。
【0101】
その後、個片化された個々の半導体装置PK1は、特性検査によって選別され(
図7のS121)、良品と判定された半導体装置PK1が梱包されて出荷される(
図7のS122)。以上のようにして、本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
【0102】
<本実施の形態1における特徴>
次に、本実施の形態1における半導体装置PK1の製造方法の特徴点について説明する。本実施の形態1における半導体装置PK1の製造方法の特徴点は、
図5に示すステップS106〜ステップS110までの工程に存在する。以下に、この工程の詳細について図面を参照しながら説明する。
【0103】
図20は、ステップS106からステップS109を経ることにより、専用治具にリードフレームLF1およびクリップフレームCLFをセットした状態を示す模式図である。
図20に示すように、治具PED上にリードフレームLF1が配置され、このリードフレームLF1上にクリップフレームCLFが配置されている。
【0104】
具体的に、
図21は、リードフレームLF1上にクリップフレームCLFを搭載する様子を示す図である。
図21に示すように、リードフレームLF1には、開口部OP1(A)および開口部OP1(B)が形成されており、この開口部OP1(A)および開口部OP1(B)に、治具に設けられた位置決めピン(図示せず)を挿入することにより、リードフレームLF1を所定位置に固定することができる。
【0105】
このとき、
図21に示すように、開口部OP1(A)の形状と開口部OP1(B)の形状は異なっている。例えば、開口部OP1(A)は円形状であり、開口部OP1(B)は、長穴形状をしている。この場合、長穴形状をした開口部OP1(B)と、開口部OP1(B)に挿入される位置決めピンとの間に隙間が形成される。このため、例えば、リードフレームLF1に対して加熱処理を施した際、主に銅(Cu)、銅合金、および、42アロイ等で形成されたリードフレームLF1が延びる場合であっても、この隙間によって、リードフレームLF1のたわみが抑制される。すなわち、開口部OP1(A)と開口部OP1(B)の形状が相違するのは、リードフレームLF1に加熱処理が加わった場合のたわみを抑制するためである。
【0106】
また、
図21に示すように、クリップフレームCLFには、開口部OP2(A)および開口部OP2(B)が形成されており、この開口部OP2(A)および開口部OP2(B)に、治具に設けられた位置決めピン(図示せず)を挿入することにより、クリップフレームCLFを所定位置に固定することができる。
【0107】
ここでも、
図21に示すように、開口部OP2(A)の形状と開口部OP2(B)の形状は異なっている。例えば、開口部OP2(A)は円形状であり、開口部OP2(B)は、長穴形状をしている。このように開口部OP2(A)と開口部OP2(B)の形状が相違するのも、クリップフレームCLFに加熱処理が加わった場合のたわみを抑制するためである。
【0108】
以上のようにして、本実施の形態1においては、リードフレームLF1とクリップフレームCLFが同じ位置決めピンによって固定されることになる。
図22は、リードフレームLF1とクリップフレームCLFとを重ね合わせた状態を示す図である。
図22に示すように、本実施の形態1においては、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1(A)および開口部OP1(B)に位置決めピンを挿入するとともに、クリップフレームCLFに形成されている開口部OP2(A)および開口部OP2(B)にも位置決めピンを挿入する。そして、本実施の形態1では、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれのサイズおよび配置間隔と、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれのサイズと配置間隔が同じになっている。このことから、本実施の形態1によれば、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれが、平面視において重なるように配置することができる。
【0109】
次に、
図23は、
図22のA−A線で切断した断面図である。
図23に示すように、治具PED上にリードフレームLF1が配置されている。このリードフレームLF1には、開口部OP1(A)および開口部OP1(B)が形成されており、この開口部OP1(A)および開口部OP1(B)に突起部PJUが挿入されている。すなわち、本実施の形態1では、治具PEDに複数の突起部PJUが設けられており、これらの突起部PJUに、リードフレームLF1に形成された開口部OP1(A)および開口部OP1(B)が挿入されている。このことから、開口部OP1(A)のサイズ(径)および開口部OP2(B)のサイズ(径)は、突起部PJUのサイズ(径)よりも大きくなっていることになる。
【0110】
また、リードフレームLF1には、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)が形成されており、チップ搭載部TAB(H)上には、高融点半田HS1を介してHigh−MOSチップCHP(H)が搭載されている。一方、チップ搭載部TAB(L)上には、高融点半田HS1を介してLow−MOSチップCHP(L)が搭載されている。
【0111】
さらに、本実施の形態1では、治具PEDに設けられた突起部PJU上にクリップフレームCLFが配置されている。具体的には、クリップフレームCLFには、開口部OP2(A)および開口部OP2(B)が形成されており、この開口部OP2(A)および開口部OP2(B)に、突起部PJU上に設けられた位置決めピンPINが挿入されている。すなわち、本実施の形態1においては、治具PEDに突起部PJUが設けられ、この突起部PJU上に位置決めピンPINが設けられている。そして、この位置決めピンPINをクリップフレームCLFに設けられた開口部OP2(A)および開口部OP2(B)を挿入することにより、クリップフレームCLFが固定されている。
【0112】
以上のことから、本実施の形態1では、治具PED上に設けられている突起部PJUのサイズ(径)は、突起部PJU上に設けられている位置決めピンPINのサイズ(径)よりも大きくなるように構成されている、そして、リードフレームLF1に設けられている開口部OP1(A)のサイズ(径)および開口部OP1(B)のサイズ(径)は、突起部PJUのサイズ(径)よりも大きくなっている。一方、クリップフレームCLFに設けられている開口部OP2(A)のサイズ(径)および開口部OP2(B)のサイズ(径)は、位置決めピンPINのサイズ(径)よりも大きく、かつ、突起部PJUのサイズ(径)よりも小さくなっている。この結果、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1(A)および開口部OP1(B)は、突起部PJUに挿入され、リードフレームLF1は、突起部PJUで固定されながら、治具PED上に配置される。
【0113】
また、クリップフレームCLFに形成されている開口部OP2(A)および開口部OP2(B)は、位置決めピンPINに挿入される一方、突起部PJUには挿入されない。この結果、クリップフレームCLFは、位置決めピンPINに挿入され、クリップフレームCLFは、位置決めピンPINに固定されながら、突起部PJU上に配置される。これにより、リードフレームLF1とクリップフレームCLFは、高さ方向に突起部PJUの厚さに相当するスペースを有する状態で支持されることになる。
【0114】
ここで、
図23に示すように、クリップフレームCLFには、High−MOSクリップCLP(H)およびLow−MOSクリップCLP(L)が形成されている。このHigh−MOSクリップCLP(H)は、High−MOSチップCHP(H)上に高融点半田HS2を介して搭載されているとともに、チップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を介して搭載されている。つまり、High−MOSクリップCLP(H)は、High−MOSチップCHP(H)上からチップ搭載部TAB(L)上に跨るように配置されている。
【0115】
具体的には、
図23に示すように、High−MOSクリップCLP(H)は、Highg−MOSチップCHP(H)の電極パッドに接続される第1部分FPT(H)と、チップ搭載部TAB(L)に接続される第2部分SPT(H)と、第1部分FPT(H)および第2部分SPT(H)を繋ぐ第3部分TPT(H)とを有するように構成されている。特に、第1部分FPT(H)の高さ位置は、第2部分SPT(H)の高さ位置よりも高くなっており、この第1部分FPT(H)と第2部分SPT(H)とが、折り曲げられた第3部分TPT(H)で接続されていることになる。
【0116】
同様に、Low−MOSクリップCLP(L)は、Low−MOSチップCHP(L)上に高融点半田HS2を介して搭載されているとともに、リードLD上に高融点半田HS1を介して搭載されている。つまり、Low−MOSクリップCLP(L)は、Low−MOSチップCHP(L)上からリードLD上に跨るように配置されている。
【0117】
具体的には、
図23に示すように、Low−MOSクリップCLP(L)は、Low−MOSチップCHP(L)の電極パッドに接続される第1部分FPT(L)と、リードLDに接続される第2部分SPT(L)と、第1部分FPT(L)および第2部分SPT(L)を繋ぐ第3部分TPT(L)とを有するように構成されている。特に、第1部分FPT(L)の高さ位置は、第2部分SPT(L)の高さ位置よりも高くなっており、この第1部分FPT(L)と第2部分SPT(L)が、折り曲げられた第3部分TPT(L)で接続されていることになる。
【0118】
以上のように本実施の形態1では、治具PED上にリードフレームLF1が配置され、治具PEDに設けられた突起部PJU上にクリップフレームCLFが配置される。このとき、
図23に示すように、突起部PJUの高さ寸法は、リードフレームLF1のフレーム厚と、高融点半田HS1の接着厚と、High−MOSチップCHP(H)のチップ厚(Low−MOSチップCHP(L)のチップ厚)との合計厚さよりも高くなっている。つまり、リードフレームLF1とクリップフレームCLFとの間の間隔(距離)は、リードフレームLF1のフレーム厚と、高融点半田HS1の接着厚と、High−MOSチップCHP(H)のチップ厚(Low−MOSチップCHP(L)のチップ厚)との合計厚さよりも大きい関係になっていることが分かる。その結果、
図23の一部を拡大した
図24に示すように、本実施の形態1では、High−MOSチップCHP(H)の上面と、High−MOSクリップCLF(H)の下面との間に第1空間SPC1を有することになり、この第1空間SPC1に高融点半田HS2が充填されていることになる。同様に、Low−MOSチップCHP(L)の上面と、Low−MOSクリップCLF(L)の下面との間に第1空間SPC1を有することになり、この第1空間SPC1に高融点半田HS2が充填されていることになる。
【0119】
すなわち、本実施の形態1では、
図24に示すように、High−MOSクリップCLP(H)の第1部分FPT(H)とHigh−MOSチップCHP(H)の電極パッドとの間に第1空間SPC1を有しながら、高融点半田HS2が第1空間SPC1内でHigh−MOSクリップCLP(H)の第1部分FPT(H)とHigh−MOSチップCHP(H)の電極パッドとに接触するようにリードフレームLF1上にクリップフレームCLFが搭載されることになる。さらに言えば、Low−MOSクリップCLP(L)の第1部分FPT(L)とLow−MOSチップCHP(L)の電極パッドとの間に第1空間SPC1を有しながら、高融点半田HS2が第1空間SPC1内でLow−MOSクリップCLP(L)の第1部分FPT(L)とLow−MOSチップCHP(L)の電極パッドとに接触するようにリードフレームLF1上にクリップフレームCLFが搭載されることになる。
【0120】
本実施の形態1では、
図23および
図24に示す状態で、高融点半田HS1および高融点半田HS2を加熱する加熱処理(リフロー)が実施される。つまり、本実施の形態1では、治具PED上にリードフレームLF1を配置し、かつ、突起部PJU上にクリップフレームCLFを配置した状態で、加熱処理(リフロー)が実施されることになる。この点が本実施の形態1における半導体装置の製造方法の特徴点である。この場合、
図24に示すように、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の間に第1空間SPC1が形成され、かつ、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)の間に第1空間SPC1が形成された状態で、この第1空間SPC1に充填された高融点半田HS2が溶融することになる。
【0121】
このとき、本実施の形態1では、治具PED上にリードフレームLF1が配置され、かつ、突起部PJU上にクリップフレームCLFが配置されているため、上述した第1空間SPC1は、高融点半田HS2が溶融したとしても、第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)が変化することなく、第1空間SPC1が一定に保持される。このことは、第1空間SPC1に充填される高融点半田HS2が溶融しても、第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)が固定されていることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、第1空間SPC1の高さ寸法によって、高融点半田HS2の厚さを確保することができる。このように、本実施の形態1によれば、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の間に介在する高融点半田HS2の厚さを充分に確保できる結果、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との接続信頼性を向上することができる。同様に、本実施の形態1によれば、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)の間に介在する高融点半田HS2の厚さを充分に確保できる結果、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との接続信頼性を向上することができる。
【0122】
例えば、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の関係に着目する。特に、複数のHigh−MOSクリップCLP(H)が、本実施の形態1のようにクリップフレームCLFに一体的に形成されているのではなく、個々のHigh−MOSクリップCLP(H)として、High−MOSチップCHP(H)上に搭載されている場合を考える。この場合、High−MOSクリップCLP(H)はいずれにも支持されていないことになる。
【0123】
この状態で、加熱処理(リフロー)によって、高融点半田HS2が溶融すると、個々にHigh−MOSチップCHP(H)上に搭載されたHigh−MOSクリップCLP(H)はどこにも支持されていないことから、High−MOSクリップCLP(H)自体の自重によって、溶融した高融点半田HS2に圧力が加わることになる。この結果、例えば、溶融した高融点半田HS2上に配置されているHigh−MOSクリップCLP(H)が傾くなどによって第1空間SPC1が変形する可能性がある。これにより、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間の第1空間SPC1が狭まることになり、この結果、第1空間SPC1に充填されている高融点半田HS2の厚さを確保できなく場合が生じると考えられる。このようにして、高融点半田HS2の厚さが薄くなると、温度サイクルによる高融点半田HS2の膨張と収縮が繰り返される場合、高融点半田HS2に半田クラックが発生する。この結果、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との接続抵抗が上昇することになり、半導体装置の電気特性の劣化が生じることになる。
【0124】
この点に関し、高融点半田HS2の厚さを確保する手段として、例えば、High−MOSクリップCLP(H)の裏面(下面)に突起を設け、この突起をHigh−MOSチップCHP(H)に押し当てることにより、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間に介在する高融点半田HS2の厚さを確保することが考えられる。
【0125】
ところが、半導体装置の小型化に伴って、High−MOSチップCHP(H)およびHigh−MOSクリップCLP(H)のサイズも小さくなってきており、この結果、小さなサイズのHigh−MOSクリップCLP(H)に突起を形成することが困難になってきているとともに、High−MOSクリップCLP(H)に形成される突起の数も充分に確保できなくなるおそれがある。この結果、今後、半導体装置の小型化が推進されると、High−MOSクリップCLP(H)の裏面(下面)に突起を設ける構造では、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間に介在する高融点半田HS2の厚さを充分に安定して確保することが困難になる。
【0126】
そこで、High−MOSクリップCLP(H)に突起を設けることなく、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間に介在する高融点半田HS2の厚さを確保できる技術が望まれており、本実施の形態1における技術的思想は、この要望に応えるものである。
【0127】
すなわち、本実施の形態1では、High−MOSクリップCLP(H)がクリップフレームCLFに形成されており、このクリップフレームCLFによって支持されている。そして、本実施の形態1では、治具PED上にリードフレームLF1が配置され、かつ、突起部PJU上にクリップフレームCLFが配置されている。このことから、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の間に形成されている第1空間SPC1は、高融点半田HS2が溶融したとしても、第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)が変化することなく、第1空間SPC1が保持される。なぜなら、High−MOSクリップCLP(H)がクリップフレームCLFに支持されており、このクリップフレームCLFによる支持は、加熱処理(リフロー)時も持続しているからである。
【0128】
したがって、本実施の形態1によれば、上述した第1空間SPC1に充填される高融点半田HS2が溶融しても、第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)が固定されていることから、第1空間SPC1の高さ寸法によって、高融点半田HS2の厚さを確保することができる。このように、本実施の形態1によれば、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の間に介在する高融点半田HS2の厚さを充分に確保できる。これにより、高融点半田HS2の加熱処理(リフロー)時に、高融点半田HS2の厚さが薄くなることを抑制することができる。この結果、温度サイクルによる高融点半田HS2の膨張と収縮が繰り返される場合であっても、高融点半田HS2に半田クラックが発生することを抑制することができる。この結果、本実施の形態1によれば、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間の接続抵抗の上昇を抑制することができ、これによって、半導体装置の電気特性の劣化を防止することができる。
【0129】
つまり、本実施の形態1によれば、High−MOSチップCHP(H)の上面と接続されるHigh−MOSクリップCLP(H)の裏面(下面)に突起を設けることなく、平坦性を確保しながら、第1空間SPC1に存在する高融点半田HS2の厚さを確保することができるのである。
【0130】
以上のように、本実施の形態1の技術的思想は、単体のHigh−MOSクリップCLP(H)をHigh−MOSチップCHP(H)上に搭載するのではなく、High−MOSクリップCLP(H)をクリップフレームCLFとして構成している点に本質がある。これにより、例えば、
図23に示すように、クリップフレームCLFは、治具PED上に設けられた所定の高さ寸法を有する突起部PJU上に配置することができる。この結果、本実施の形態1によれば、
図24に示すように、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間に第1空間SPC1を設けることができるとともに、この第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)を保持することができるのである。すなわち、本実施の形態1によれば、加熱処理(リフロー)による高融点半田HS2の溶融に関係なく、第1空間SPC1の高さ寸法を保持することができるのである。したがって、本実施の形態1によれば、高融点半田HS2の溶融に左右されることなく第1空間SPC1の高さ寸法を確保することができるので、高融点半田HS2の厚さを充分に確保することができるのである。
【0131】
上述したように、本実施の形態1における技術的思想は、High−MOSクリップCLP(H)およびLow−MOSクリップCLP(L)をクリップフレームCLFとして取り扱う点に特徴点があるが、このクリップフレームCLFを構成することにより、本実施の形態1では、以下に示す副次的な効果も得ることができる。
【0132】
すなわち、本実施の形態1によれば、リードフレームLF1にクリップフレームCLFを重ね合わせるだけで、複数の製品領域PRのそれぞれと、複数の単位領域URのそれぞれとを平面的に重ね合わせることができる。このことは、複数の製品領域PRのそれぞれに形成されているHigh−MOSチップCHP(H)上に、複数の単位領域URのそれぞれに形成されているHigh−MOSクリップCLP(H)を一度に搭載することができることを意味する。同様に、このことは、複数の製品領域PRのそれぞれに形成されているLow−MOSチップCHP(L)上に、複数の単位領域URのそれぞれに形成されているLow−MOSクリップCLP(L)を一度に搭載することができることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、製造工程の簡略化を図ることができ、これによって、半導体装置PK1の製造コストを低減することができるのである。
【0133】
つまり、例えば、個片化されたHigh−MOSクリップCLP(H)を使用する場合には、個々のHigh−MOSクリップCLP(H)を個々のHigh−MOSチップCHP(H)上に搭載しなければならず、この搭載工程が煩雑となり、製造コストの低減を図ることが難しくなる。これに対し、本実施の形態1によれば、複数のHigh−MOSクリップCLP(H)が一体的にクリップフレームCLFに形成されているため、このクリップフレームCLFをリードフレームLF1上に配置することにより、一括して複数のHigh−MOSチップCHP(H)上にHigh−MOSクリップCLP(H)を搭載することができ、大幅な製造コストの削減を図ることができるのである。
【0134】
さらに、本実施の形態1では、
図23に示すように、治具PED上にリードフレームLF1を配置し、かつ、突起部PJU上にクリップフレームCLFを配置した状態で、加熱処理(リフロー)を実施している。この場合、
図24に示すように、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の間に第1空間SPC1が形成され、かつ、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)の間に第1空間SPC1が形成された状態で、この第1空間SPC1に充填された高融点半田HS2が溶融することになる。
【0135】
このとき、本実施の形態1では、例えば、
図24に示すように、High−MOSクリップCLP(H)とチップ搭載部TAB(L)の間に第2空間SPC2が形成され、この第2空間SPC2に高融点半田HS1が充填されるように構成することが望ましい。同様に、Low−MOSクリップCLP(L)とリードLDの間に第2空間SPC2が形成され、この第2空間SPC2に高融点半田HS1が充填されるように構成することが望ましい。詳細に言えば、High−MOSクリップCLP(H)の第2部分SPT(H)とチップ搭載部TAB(L)の表面との間に第2空間SPC2が介在し、かつ、Low−MOSクリップCLP(L)の第2部分SPT(L)とリードLDの表面との間に第2空間SPC2が介在するように、治具PED上にリードフレームLF1を配置し、かつ、突起部PJU上にクリップフレームCLFを配置することが望ましい。
【0136】
具体的には、High−MOSクリップCLP(H)の第2部分SPT(H)の高さ位置と、Low−MOSクリップCLP(L)の第2部分SPT(L)の高さ位置が、リードフレームLF1の厚さよりも大きくなる位置に配置されるように構成することが望ましい。なぜなら、例えば、High−MOSクリップCLP(H)とチップ搭載部TAB(L)の間にも高融点半田HS1が充填されており、上述した構成により、第2空間SPC2の高さ寸法を維持して、高融点半田HS1の厚さを確保することにより、高融点半田HS1に半田クラックが発生することを抑制できるからである。同様に、例えば、Low−MOSクリップCLP(L)とリードLDの間にも高融点半田HS1が充填されており、上述した構成により、第2空間SPC2の高さ寸法を維持して、高融点半田HS1の厚さを確保することにより、高融点半田HS1に半田クラックが発生することを抑制できるからである。
【0137】
ここで、例えば、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間や、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との間に設けられる第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)と、上述した第2空間SPC2のサイズ(特に、高さ寸法)を同じサイズに構成することができる。なぜなら、例えば、高融点半田HS1と高融点半田HS2は、同じ材料から構成され、半田クラックの発生を抑制できる厚さが同じと考えられるからである。ただし、上述した第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)と第2空間SPC2のサイズ(特に、高さ寸法)とを異なるように構成することもできる。例えば、高融点半田HS1の成分と、高融点半田HS2の成分が異なる場合も想定され、この際、半田クラックが発生しやすい厚さも異なる場合があると考えられるからある。したがって、上述した第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)や第2空間SPC2のサイズ(特に、高さ寸法)は、半田クラックの発生を抑制する観点から、適宜設定することができる。
【0138】
なお、本実施の形態1では、例えば、
図23に示すように、治具PED上に突起部PJUが設けられ、この突起部PJU上に位置決めピンPINが設けられる構成について説明している。ただし、本実施の形態1における技術的思想の構成は、これに限らず、例えば、突起部PJUと位置決めピンPINとを平面視において、別々の場所に設けるように構成することもできる。
【0139】
続いて、
図25は、
図23の一部を拡大して示す断面図である。以下では、
図25を参照しながら、各部材の具体的な寸法の一例について説明する。
図25において、クリップフレームCLFの厚さ、言い換えれば、クリップフレームCLFの厚さは、いずれの場所でも均一としているので、High−MOSクリップCLP(H)の厚さ、あるいは、Low−MOSクリップCLP(L)の厚さ(クリップの厚さという)をT1とする。また、高融点半田HS2の厚さ(半田の厚さ)をT2とし、High−MOSチップCHP(H)の厚さ、あるいは、Low−MOSチップCHP(L)の厚さ(半導体チップの厚さという)をT3とする。さらに、高融点半田HS1の厚さ(半田の厚さ)をT4とし、リードフレームLF1の厚さをT5とする。また、突起部PJUの高さ寸法をHとする。
【0140】
この場合、
図25に示すように、クリップの厚さT1は、0.125mmであり、半田T2の厚さは、0.025mmである。また、半導体チップの厚さT3は、0.16mmであり、半田の厚さT4は、0.025mmである。さらに、リードフレームの厚さT5は、0.2mmであり、突起部の高さHは、0.41mmとなっている。
【0141】
このことから、半田の厚さT2および半田の厚さT4は、ともに、クリップの厚さT1や半導体チップの厚さT3やリードフレームの厚さT5よりも小さくなっていることがわかる。これは、半田の厚さT2や半田の厚さT4が、半田クラックの抑制の観点からは厚い方が望ましいが、あまり厚くなりすぎると、半導体装置の厚さが厚くなり、薄型化に支障が生じてしまう。このため、例えば、半田の厚さT2や半田の厚さT4は、クリップの厚さT1や半導体チップの厚さT3やリードフレームの厚さT5よりも小さくなっている。一方、半田の厚さT2や半田の厚さT4を薄くしすぎると、半田クラックが発生しやすくなるため、例えば、0.025mm程度の厚さが確保されている。
【0142】
また、本実施の形態1では、
図25に示すように、突起部の高さH(=0.41mm)が、リードフレームの厚さと半田の厚さT4と半導体チップの厚さT3を合わせた合計(=0.2mm+0.025mm+0.16mm=0.385mm)よりも厚くなっている。これにより、本実施の形態1によれば、例えば、
図25に示すように、治具PED上にリードフレームLF1を配置し、クリップフレームCLFを、治具PED上に設けられた所定の高さ寸法を有する突起部PjU上に配置することができる。この結果、本実施の形態1によれば、
図24に示すように、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間に第1空間SPC1を設けることができるとともに、この第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)を保持することができるのである。同様に、本実施の形態1によれば、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との間に第1空間SPC1を設けることができるとともに、この第1空間SPC1のサイズ(特に、高さ寸法)を保持することができる。したがって、本実施の形態1によれば、加熱処理(リフロー)による高融点半田HS2の溶融に関係なく、第1空間SPC1の高さ寸法を一定に保持することができるのである。このことから、本実施の形態1によれば、高融点半田HS2の溶融に左右されることなく第1空間SPC1の高さ寸法を確保することができるので、高融点半田HS2の厚さを充分に確保することができる。
【0143】
この結果、温度サイクルによる高融点半田HS2の膨張と収縮が繰り返される場合であっても、高融点半田HS2に半田クラックが発生することを抑制することができる。このため、本実施の形態1によれば、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間の接続抵抗や、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との間の接続抵抗の上昇を抑制することができる。これにより、半導体装置の電気特性の劣化を防止することができる。
【0144】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、ドライバICチップCHP(C)と、High−MOSチップCHP(H)と、Low−MOSチップCHP(L)とを封止体で封止した半導体装置について説明したが、前記実施の形態1における技術的思想は、例えば、High−MOSチップCHP(H)とLow−MOSチップCHP(L)を封止体で封止した半導体装置にも適用することができる。
【0145】
図26は、本実施の形態2におけるリードフレームLF2およびクリップフレームCLF2の構成を示す平面図である。
図26に示すように、本実施の形態2におけるリードフレームLF2でも、製品領域PRが行列状(マトリクス状)に配置されており、各製品領域PRには、High−MOSチップCHP(H)とLow−MOSチップCHP(L)が搭載されている。一方、本実施の形態2におけるクリップフレームCLF2でも、単位領域URが行列状(マトリクス状)に配置されており、各単位領域URには、Low−MOSクリップCLP(L)が配置されており、このLow−MOSクリップCLP(L)は、吊りリードHLで支持されている。このように本実施の形態2では、クリップフレームCLF2の単位領域URにLow−MOSクリップCLP(L)だけが形成されている。
【0146】
このように構成されているリードフレームLF2とクリップフレームCLF2とを重ね合わせて配置する。
図27は、本実施の形態2におけるリードフレームLF2上にクリップフレームCLF2を配置した状態を示す平面図である。具体的に、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、治具上にリードフレームLF2が配置され、治具に設けられた突起部上にクリップフレームCLF2が配置される。このとき、本実施の形態2でも、Low−MOSチップCHP(L)の上面と、Low−MOSクリップCLF(L)の下面との間に第1空間を有することになり、この第1空間に高融点半田が充填されていることになる。
【0147】
本実施の形態2でも、
図27に示す状態で、高融点半田を加熱する加熱処理(リフロー)が実施される。つまり、本実施の形態2でも、治具上にリードフレームLF2を配置し、かつ、突起部上にクリップフレームCLF2を配置した状態で、加熱処理(リフロー)が実施されることになる。この場合、前記実施の形態1と同様に、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)の間に第1空間が形成された状態で、この第1空間に充填された高融点半田が溶融することになる。
【0148】
このとき、本実施の形態2でも、治具上にリードフレームLF2が配置され、かつ、突起部上にクリップフレームCLF2が配置されているため、上述した第1空間は、高融点半田が溶融したとしても、第1空間のサイズ(特に、高さ寸法)が変化することなく、第1空間が保持される。このことは、第1空間に充填される高融点半田が溶融しても、第1空間のサイズ(特に、高さ寸法)が固定されていることを意味する。この結果、本実施の形態2でも、第1空間の高さ寸法によって、高融点半田の厚さを確保することができる。
【0149】
このことから、本実施の形態2でも、高融点半田の溶融に左右されることなく第1空間の高さ寸法を確保することができるので、高融点半田の厚さを充分に確保することができる。この結果、温度サイクルによる高融点半田の膨張と収縮が繰り返される場合であっても、高融点半田に半田クラックが発生することを抑制することができる。このため、本実施の形態2でも、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との間の接続抵抗の上昇を抑制することができる。これにより、半導体装置の電気特性の劣化を防止することができる。
【0150】
<変形例>
次に、本実施の形態2の変形例2について説明する。実施の形態2では、High−MOSチップCHP(H)とLow−MOSチップCHP(L)を封止体で封止した半導体装置に関する技術において、Low−MOSクリップCLP(L)だけを使用する例について説明した。本変形例では、High−MOSチップCHP(H)とLow−MOSチップCHP(L)を封止体で封止した半導体装置に関する技術において、High−MOSクリップCLP(H)とLow−MOSクリップCLP(L)を使用する例について説明する。
【0151】
図28は、本変形例におけるリードフレームLF2およびクリップフレームCLF2の構成を示す平面図である。
図28に示すように、本変形例におけるリードフレームLF2でも、製品領域PRが行列状(マトリクス状)に配置されており、各製品領域PRには、High−MOSチップCHP(H)とLow−MOSチップCHP(L)が搭載されている。一方、本変形例におけるクリップフレームCLF2では、単位領域URが行列状(マトリクス状)に配置されており、各単位領域URには、Low−MOSクリップCLP(L)およびHigh−MOSクリップCLP(H)が配置されており、これらのLow−MOSクリップCLP(L)およびHigh−MOSクリップCLP(H)は、吊りリードHLで支持されている。このように本変形例では、クリップフレームCLF2の単位領域URにLow−MOSクリップCLP(L)とHigh−MOSクリップCLP(H)が形成されている。
【0152】
このように構成されているリードフレームLF2とクリップフレームCLF2とを重ね合わせて配置する。
図29は、本変形例におけるリードフレームLF2上にクリップフレームCLF2を配置した状態を示す平面図である。具体的に、本変形例においても、前記実施の形態1と同様に、治具上にリードフレームLF2が配置され、治具に設けられた突起部上にクリップフレームCLF2が配置される。このとき、本変形例でも、Low−MOSチップCHP(L)の上面と、Low−MOSクリップCLF(L)の下面との間に第1空間を有することになり、この第1空間に高融点半田が充填されていることになる。同様に、本変形例では、High−MOSチップCHP(H)の上面と、High−MOSクリップCLF(H)の下面との間に第1空間を有することになり、この第1空間に高融点半田が充填されていることになる。
【0153】
本変形例でも、
図29に示す状態で、高融点半田を加熱する加熱処理(リフロー)が実施される。つまり、本変形例でも、治具上にリードフレームLF2を配置し、かつ、突起部上にクリップフレームCLF2を配置した状態で、加熱処理(リフロー)が実施されることになる。この場合、前記実施の形態1と同様に、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)の間に第1空間が形成され、かつ、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)の間に第1空間が形成された状態で、この第1空間に充填された高融点半田が溶融することになる。
【0154】
このとき、本変形例でも、治具上にリードフレームLF2が配置され、かつ、突起部上にクリップフレームCLF2が配置されているため、上述した第1空間は、高融点半田が溶融したとしても、第1空間のサイズ(特に、高さ寸法)が変化することなく、第1空間が保持される。このことは、第1空間に充填される高融点半田が溶融しても、第1空間のサイズ(特に、高さ寸法)が固定されていることを意味する。この結果、本変形例でも、第1空間の高さ寸法によって、高融点半田の厚さを確保することができる。
【0155】
このことから、本変形例でも、高融点半田の溶融に左右されることなく第1空間の高さ寸法を確保することができるので、高融点半田の厚さを充分に確保することができる。この結果、温度サイクルによる高融点半田の膨張と収縮が繰り返される場合であっても、高融点半田に半田クラックが発生することを抑制することができる。このため、本変形例でも、Low−MOSチップCHP(L)とLow−MOSクリップCLP(L)との間の接続抵抗や、High−MOSチップCHP(H)とHigh−MOSクリップCLP(H)との間の接続抵抗の上昇を抑制することができる。これにより、半導体装置の電気特性の劣化を防止することができる。
【0156】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、ドライバICチップCHP(C)と、High−MOSチップCHP(H)と、Low−MOSチップCHP(L)とを封止体で封止した半導体装置について説明したが、前記実施の形態1における技術的思想は、例えば、パワーMOSFET(スイッチング用電界効果トランジスタ)が形成されている単体の半導体チップを封止体で封止した半導体装置にも適用することができる。
【0157】
図30は、本実施の形態3におけるリードフレームLF3およびクリップフレームCLF3の構成を示す平面図である。
図30に示すように、本実施の形態3におけるリードフレームLF3でも、製品領域PRが行列状(マトリクス状)に配置されており、各製品領域PRには、単体の半導体チップCHP3が搭載されている。一方、本実施の形態3におけるクリップフレームCLF3でも、単位領域URが行列状(マトリクス状)に配置されており、各単位領域URには、クリップCLP3が配置されており、このクリップCLP3は、吊りリードHLで支持されている。
【0158】
このように構成されているリードフレームLF3とクリップフレームCLF3とを重ね合わせて配置する。
図31は、本実施の形態3におけるリードフレームLF3上にクリップフレームCLF3を配置した状態を示す平面図である。具体的に、本実施の形態3においても、前記実施の形態1と同様に、治具上にリードフレームLF3が配置され、治具に設けられた突起部上にクリップフレームCLF3が配置される。このとき、本実施の形態3でも、半導体チップCHP3の上面と、クリップCLF3の下面との間に第1空間を有することになり、この第1空間に高融点半田が充填されていることになる。
【0159】
本実施の形態3でも、
図31に示す状態で、高融点半田を加熱する加熱処理(リフロー)が実施される。つまり、本実施の形態3でも、治具上にリードフレームLF3を配置し、かつ、突起部上にクリップフレームCLF3を配置した状態で、加熱処理(リフロー)が実施されることになる。この場合、前記実施の形態1と同様に、半導体チップCHP3とクリップCLP3の間に第1空間が形成された状態で、この第1空間に充填された高融点半田が溶融することになる。
【0160】
このとき、本実施の形態3でも、治具上にリードフレームLF3が配置され、かつ、突起部上にクリップフレームCLF3が配置されているため、上述した第1空間は、高融点半田が溶融したとしても、第1空間のサイズ(特に、高さ寸法)が変化することなく、第1空間が保持される。このことは、第1空間に充填される高融点半田が溶融しても、第1空間のサイズ(特に、高さ寸法)が固定されていることを意味する。この結果、本実施の形態3でも、第1空間の高さ寸法によって、高融点半田の厚さを確保することができる。
【0161】
このことから、本実施の形態3でも、高融点半田の溶融に左右されることなく第1空間の高さ寸法を確保することができるので、高融点半田の厚さを充分に確保することができる。この結果、温度サイクルによる高融点半田の膨張と収縮が繰り返される場合であっても、高融点半田に半田クラックが発生することを抑制することができる。このため、本実施の形態3でも、半導体チップCHP3とクリップCLP3との間の接続抵抗の上昇を抑制することができる。これにより、半導体装置の電気特性の劣化を防止することができる。
【0162】
最後に纏めると、これまで説明してきたいくつかの特徴の主なものは、複数チップと複数のクリップとで構成される半導体装置に限らず、1チップと1クリップとで構成される半導体装置にも適用できる。
【0163】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。