【実施例】
【0055】
以下に本発明の実施例について記載するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0056】
((メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体の製造)
[参考製造例1]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(IPA)
(注1)100gを攪拌下、70〜80℃にて、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)
(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X−24−8201)
(注3)40g、エチルアクリレート(EA)
(注4)31g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)
(注5)27g、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(MAPTAC)
(注6)4g、イソプロパノール
(注1)50gを3〜4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)1gを添加し、70〜80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を87g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した(この生成物は、赤外吸収スペクトルによりジメチルポリシロキサン、アミド結合、エステル結合、アルキル基、水酸基を有するポリマーであることが確認された)。
また、得られたゴム状物を50%溶液となるように99.5%エタノールに加熱溶解(70℃)後、25℃にて析出物がないことを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X−24−8201=2:31:27:40
(注1)IPA 関東化学株式会社製
(注2)V−601 和光純薬工業株式会社製
(注3)X−24−8201 信越化学工業社製
(注4)EA 関東化学株式会社社製
(注5)HEMA 関東化学株式会社社製
(注6)MAPTAC エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製,50%水溶液
【0057】
[参考製造例2]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール
(注1)50gを攪拌下、70〜80℃にて、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X−22−174DX)
(注7)40g、エチルアクリレート
(注4)31g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(注5)27g、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド
(注6)4g、イソプロパノール
(注1)170gを3〜4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)1gを添加し、70〜80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を90g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
また、得られたゴム状物を50%溶液となるように99.5%エタノールに加熱溶解(70℃)後、25℃にて析出物がないことを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X−22−174DX=2:31:27:40
(注7)X−22−174DX 信越化学工業社製
【0058】
[参考製造例3]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール
(注1)100gを攪拌下、70〜80℃にて、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X−22−174ASX)
(注8)40g、エチルアクリレート
(注4)31g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(注5)27g、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド
(注6)4g、イソプロパノール
(注1)50gを3〜4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)1gを添加し、70〜80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を83g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
また、得られたゴム状物を50%溶液となるように99.5%エタノールに加熱溶解(70℃)後、25℃にて析出物がないことを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X−22−174ASX=2:31:27:40
(注8)X−22−174ASX 信越化学工業社製
【0059】
[参考製造例4]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール
(注1)100gを攪拌下、70〜80℃にて、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X−24−8201)
(注3)40.4g、エチルアクリレート
(注4)27.3g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(注5)31.3g、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド
(注6)2g、イソプロパノール
(注1)50gを3〜4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)1gを添加し、70〜80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を86g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
また、得られたゴム状物を50%溶液となるように99.5%エタノールに加熱溶解(70℃)後、25℃にて析出物がないことを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X−24−8201=1:27.3:31.3:40.4
【0060】
[参考製造例5]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール
(注1)50gを攪拌下、70〜80℃にて、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X−24−8201)
(注3)40g、エチルアクリレート
(注4)26g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(注5)30g、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド
(注6)8g、イソプロパノール
(注1)120gを3〜4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
(注2)1gを添加し、70〜80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を83g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
また、得られたゴム状物を50%溶液となるように99.5%エタノールに加熱溶解(70℃)後、25℃にて析出物がないことを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X−24−8201=4:26:30:40
【0061】
(化粧料)
実施例1〜8及び比較例1〜5:日焼け止め乳液
表1に示す組成及び下記製法にて日焼け止め乳液を調整した。得られた日焼け止め乳液の「化粧持ち効果(耐水性)」、「負担感のなさ」、「べたつきのなさ」、「洗浄性」、「経時安定性(分離)」について下記の方法により評価し、結果を併せて、表1、2に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
(製造方法)
A:成分(1)、(2)、(5)、(7)、(8)、(12)〜(14)を加温溶解する。
B:Aに成分(3)、(4)を添加して均一膨潤する。
C:Bに成分(6)、(9)〜(11)を添加して混合溶解する。
D:成分(15)〜(18)を加温溶解する。
E:Dに成分(19)〜(23)を添加して均一分散させる。
F:CにEを添加して乳化し、水中油乳化型の日焼け止め乳液を得た。
【0065】
(評価方法1:化粧持ち効果)
専門評価パネル20名により、実施例1〜8及び比較例1〜5の各試料を顔に塗布し、日常生活の2時間後に「化粧くずれのなさ」を目視にて評価し、下記(a)評価基準にて4段階評価し判定した。
(a)4段階評価基準
(評価) (判定)
20名中16名以上が良好と回答した :◎
20名中12名以上が良好と回答した :○
20名中6名以上が良好と回答した :△
20名中6名未満が良好と回答した :×
【0066】
(評価方法2:肌への負担感のなさ)
専門評価パネル20名により、実施例1〜8及び比較例1〜5の各試料について、肌への負担感のなさについて、下記(b)評価基準にて4段階評価し判定した。
(b)4段階評価基準
(評価) (判定)
負担感なし :◎
やや負担感なし :○
やや負担感あり :△
負担感あり :×
【0067】
(評価方法3:べたつきのなさ)
専門評価パネル20名により、実施例1〜8及び比較例1〜5の各試料について、後肌のべたつきのなさについて、下記(c)評価基準にて4段階評価し判定した。
(c)4段階評価基準
(評価) (判定)
べたつきなし :◎
ややべたつきなし :○
ややべたつきあり :△
べたつきあり :×
【0068】
(評価方法4:日焼け止め料を肌から落とす際の洗浄性)
専門評価パネル20名により、実施例1〜8及び比較例1〜5の各試料を塗布し、2時間後に固形石鹸を使用して水洗し、落とし易さについて、下記(d)評価基準にて4段階評価し判定した。
(d)4段階評価基準
(評価) (判定)
20名中16名以上が良好と回答した :◎
20名中12名以上が良好と回答した :○
20名中6名以上が良好と回答した :△
20名中6名未満が良好と回答した :×
【0069】
(評価方法5:経時安定性(分離))
実施例1〜8及び比較例1〜5の日焼け止め乳液を6号規格ビンに充填した試料を作成し、試料を安定性加速試験として50℃恒温下にて2週間放置後、25℃に戻した試料の「分離」についての状態評価を、下記(e)評価基準により判定した。
(e)4段階評価基準
(評価) (判定)
変化なし :◎
外観に僅かに変化があるが、使用性には問題なし :○
微量の透明層あり :△
かなり透明層あり :×
【0070】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜8の日焼け止め乳液は、いずれも化粧持ち効果に優れながらも、肌への負担感のなさ、べたつきのなさに優れ、さらに日焼け止め料を肌から落とす際の洗浄性に優れ、また経時での安定性にも優れたものであった。
これに対して、成分(A)を含有しない比較例1は、化粧持ち効果に劣り、べたつきを感じるなど感触でも劣るものであった。成分(A)の代わりにポリビニルピロリドン、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、トリメチルシロキシケイ酸を用いた比較例2〜5は、負担感のなさ、洗浄性に劣り、経時で分離が見られるなど安定性上でも問題のあるものであった。
以上の結果から、本発明の成分(A)〜(C)を組み合わせることにより、化粧持ち効果に優れながらも、肌への負担感のなさ、べたつきのなさに優れ、さらに日焼け止め料を肌から落とす際の洗浄性に優れ、また経時での安定性にも優れた水中油乳化型日焼け止め料を得られることが示された。
【0071】
実施例9 日焼け止め乳液
以下に示す組成の日焼け止め乳液を下記の方法により製造した。
(成分) (%)
1.精製水 残量
2.アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体(注1) 1.5
3.参考製造例2の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 0.2
4.1,3−ブチレングリコール 10
5.エタノール 10
6.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.1
7.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
8.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 0.5
9.ジメチコン 3
10.シクロメチコン 3
11.トリエトキシカプリリルシラン(25%)処理微粒子酸化チタン 3
12.架橋型メチルポリシロキサン混合物(注6) 1
13.香料 適量
(注6)KSG−16(信越化学工業社製)
【0072】
(製造方法)
A:成分(1)、(2)を均一膨潤する。
B:Aに成分(3)〜(6)を添加して混合溶解する。
C:成分(7)、(8)を均一に加温溶解する。
D:Cに成分(9)〜(13)を添加して均一分散させる。
E:BにDを添加して乳化し、水中油型の日焼け止め乳液を得た。
実施例9の日焼け止め乳液は、化粧持ち効果に優れながらも、肌への負担感のなさ、べたつきのなさに優れ、さらに日焼け止め料を肌から落とす際の洗浄性に優れ、また経時での安定性にも優れたものであった。
【0073】
実施例10:日焼け止めクリーム
以下に示す組成の日焼け止めクリームを下記の方法により製造した。
(成分) (%)
1.精製水 残量
2.アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸共重合体(注2) 3
3.参考製造例3の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 1.2
4.1,3−ブチレングリコール 15
5.エタノール 10
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1
7.メチルパラベン 0.1
8.トリエトキシカプリリルシラン(25%)処理微粒子酸化亜鉛 20
9.酸化鉄 0.8
10.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
11.ジメチコン 10
12.シクロメチコン 10
13.酢酸トコフェロール 0.1
【0074】
(製造方法)
A:成分(1)、(2)を均一膨潤する。
B:Aに成分(3)〜(7)を添加して混合溶解する。
C:成分(8)〜(13)を均一分散させる。
D:BにCを添加して乳化し、水中油型の日焼け止めクリームを得た。
実施例10の日焼け止めクリームは、化粧持ち効果に優れながらも、肌への負担感のなさ、べたつきのなさに優れ、さらに日焼け止め料を肌から落とす際の洗浄性に優れ、また経時での安定性にも優れたものであった。
【0075】
実施例11:日焼け止めクリーム
以下に示す組成の日焼け止めクリームを下記の方法により製造した。
(成分) (%)
1.精製水 残量
2.カラギーナン(注7) 1
3.乳酸カルシウム 0.2
4.ジイソステアリン酸デカグリセリル 0.8
5.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 9
6.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
7.イソノナン酸イソトリデシル 5
8.セタノール 3
9.ベヘニルアルコール 1.5
10.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン(2%)処理酸化亜鉛 3
11.塩化ナトリウム 0.1
12.精製水 10
13.1,3−ブチレングリコール 4
14.エタノール 5
15.参考製造例4の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 0.5
16.香料 適量
(注7)ソアギーナMV−201(エムアールシー ポリサッカライド社製);イオタ型
【0076】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を70℃で加熱溶解する。
B:成分(5)〜(9)を70℃で加熱溶解する。
C:Bに成分(10)を添加して均一分散させる。
D:AにCを添加して70℃で乳化後、室温まで冷却する。
E:Dに成分(11)〜(16)を添加混合し、水中油型の日焼け止めクリームを得た。
実施例11の日焼け止めクリームは、化粧持ち効果に優れながらも、肌への負担感のなさ、べたつきのなさに優れ、さらに日焼け止め料を肌から落とす際の洗浄性に優れ、また経時での安定性にも優れたものであった。
【0077】
実施例12:リキッドファンデーション
以下に示す組成のリキッドファンデーションを下記の方法により製造した。
(成分) (%)
1.精製水 残量
2.アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体(注1) 1.5
3.参考製造例5の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 1
4.1,3−ブチレングリコール 10
5.エタノール 10
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2
7.メチルパラベン 0.1
8.トリエトキシカプリリルシラン(25%)処理酸化チタン 8
9.酸化鉄 1.5
10.部分架橋型ラウリル変性シリコーン混合物(注8) 1.5
11.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10
12.ジメチコン 3
13.シクロメチコン 5
14.香料 適量
(注8)KSG−43(信越化学工業社製)
【0078】
(製造方法)
A:成分(1)、(2)を均一膨潤する。
B:Aに成分(3)〜(7)を添加して混合溶解する。
C:成分(8)〜(14)を均一分散させる。
D:BにCを添加して乳化し、水中油型のリキッドファンデーションを得た。
実施例12のリキッドファンデーションは、化粧持ち効果に優れながらも、肌への負担感のなさ、べたつきのなさに優れ、さらにリキッドファンデーションを肌から落とす際の洗浄性に優れ、また経時での安定性にも優れたものであった。