特許第5943806号(P5943806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943806
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】同軸コネクタおよびコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20160621BHJP
   H01R 12/59 20110101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01R24/38
   H01R12/59
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-229921(P2012-229921)
(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-82119(P2014-82119A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−219437(JP,A)
【文献】 実開平2−167(JP,U)
【文献】 実開平1−74640(JP,U)
【文献】 実開昭63−171973(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 12/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド導体と平板部のおもて面に配置された信号導体とを有する接続対象を保持した状態で、相手側コネクタと嵌合することによって、前記接続対象と前記相手側コネクタとの間を電気的に接続する同軸コネクタであって、
前記接続対象を保持するための導電性のシェルを備え、
前記シェルは、
前記相手側コネクタの相手側シェルに接触するための筒状のシェル接触部を有した第1シェル部と、
前記接続対象の前記グランド導体と接続するためのシェル接続部を有した第2シェル部と、
前記相手側コネクタとの嵌合方向に見た場合に、前記接続対象の前記信号導体の接触部が前記筒状のシェル接触部の内側に位置するように、前記接続対象を位置決めするための位置決め部と、
前記接続対象を固定するための固定部と、
を有していることを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記シェルは、前記シェル接触部を前記第2シェル部に固定するための固定手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記シェルは、前記接続対象が延びる方向において前記接続対象に係合する係合部を有し、
前記係合部は、前記位置決め部としても機能することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記シェルは、前記接続対象が前記位置決め部によって位置決めされた際に前記接続対象の前記平板部の裏面に対向する位置に形成され、前記接続対象の前記接触部を前記相手側コネクタの相手側コンタクト側に向けて押圧するためのバネ部を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記接続対象の前記グランド導体は、前記信号導体の前記平板部の裏面に配置され、
前記バネ部は、前記シェル接続部としても機能することを特徴とする請求項4に記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記シェルは、前記第1シェル部と前記第2シェル部とを連結する連結部を有し、前記連結部により前記第1シェル部と前記第2シェル部とが一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
前記シェル接触部には、前記相手側コネクタの前記相手側シェルに嵌合するための嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の同軸コネクタと、前記接続対象とを備えていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の同軸コネクタと、前記相手側コネクタとを備えていることを特徴とするコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸コネクタおよびコネクタ装置に関し、特に、平板部を有した接続対象の接続に使用できる同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11に示すように、同軸ケーブル150の内部導体151に接続される接続端子120と、同軸ケーブル150の外部導体152に接続される金属製のシェル130と、接続端子120とシェル130との間に介在する絶縁部140とを備える同軸コネクタ110が知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、図11の符号153は、同軸ケーブル150の外部被膜を示し、図11の符号154は、同軸ケーブル150の絶縁体を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−324636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の同軸コネクタ110では、同軸ケーブル150を同軸コネクタ110に接続するにあたり、同軸ケーブル150の外部導体(シールド線)152の結線作業が煩雑であり、組立工数の増加を招いているという問題があった。
【0005】
また、特許文献1の同軸コネクタ110では、相手側コネクタ(図示しない)の相手側コンタクト(図示しない)に接触するための接続端子120を設けているため、この接続端子120の分だけ部品点数が多くなり、製造コストが増加するとともに、同軸コネクタ110の小型化が阻害されるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、部品点数、製造コスト、および組立工数を低減するとともに、同軸コネクタの小型化を実現する同軸コネクタおよびコネクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の同軸コネクタは、グランド導体と平板部のおもて面に配置された信号導体とを有する接続対象を保持した状態で、相手側コネクタと嵌合することによって、前記接続対象と前記相手側コネクタとの間を電気的に接続する同軸コネクタであって、前記接続対象を保持するための導電性のシェルを備え、前記シェルは、前記相手側コネクタの相手側シェルに接触するための筒状のシェル接触部を有した第1シェル部と、前記接続対象の前記グランド導体と接続するためのシェル接続部を有した第2シェル部と、前記相手側コネクタとの嵌合方向に見た場合に、前記接続対象の前記信号導体の接触部が前記筒状のシェル接触部の内側に位置するように、前記接続対象を位置決めするための位置決め部と、前記接続対象を固定するための固定部と、を有していることにより、前述した課題を解決したものである。
【0008】
前記シェルは、前記シェル接触部を前記第2シェル部に固定するための固定手段を有していてもよい。
【0009】
前記シェルは、前記接続対象が延びる方向において前記接続対象に係合する係合部を有し、前記係合部は、前記位置決め部としても機能してもよい。
【0010】
前記シェルは、前記接続対象が前記位置決め部によって位置決めされた際に前記接続対象の前記平板部の裏面に対向する位置に形成され、前記接続対象の前記接触部を前記相手側コネクタの相手側コンタクト側に向けて押圧するためのバネ部を有していてもよい。
【0011】
前記接続対象の前記グランド導体は、前記信号導体の前記平板部の裏面に配置され、前記バネ部は、前記シェル接続部としても機能してもよい。
【0012】
前記シェルは、前記第1シェル部と前記第2シェル部とを連結する連結部を有し、前記連結部により前記第1シェル部と前記第2シェル部とが一体形成されていてもよい。
【0013】
前記シェル接触部には、前記相手側コネクタの前記相手側シェルに嵌合するための嵌合部が形成されていてもよい。
【0014】
本発明のコネクタ装置は、前記同軸コネクタと、前記接続対象とを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0015】
本発明のコネクタ装置は、前記同軸コネクタと、前記相手側コネクタとを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、接続対象と同軸コネクタとの接続時に、同軸ケーブルを用いた場合のような同軸ケーブルのシールド線の結線作業を必要としないため、組立工数を低減できる。
【0017】
また、本発明では、シェルによって保持される接続対象の信号導体の接触部を、相手側コネクタの相手側コンタクトに接触するためのコンタクトとして利用することで、接続対象の信号導体と相手側コネクタの相手側コンタクトとの間を接続するためのコンタクトを別途に設ける必要がないため、部品点数および製造コストを低減でき、同軸コネクタの小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の同軸コネクタの使用態様を示す斜視図である。
図2】同軸コネクタに対する接続対象の取り付けの途中段階を示す斜視図である。
図3】同軸コネクタに対する接続対象の取り付けが完了した状態を示す斜視図である。
図4】同軸コネクタを構成するシェルを示す斜視図である。
図5】接続対象を示す説明図である。
図6】相手側コネクタを示す斜視図である。
図7】相手側コネクタを示す断面図である。
図8】相手側コネクタの変形例を示す断面図である。
図9】本発明の第2実施形態の同軸コネクタに対する接続対象の取り付けの途中段階を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態の同軸コネクタに対する接続対象の取り付けが完了した状態を示す斜視図である。
図11】従来の同軸コネクタを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の同軸コネクタの複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
本発明の第1実施形態である同軸コネクタ10は、図1に示すように、接続対象としてのFPC60を保持した状態で、相手側コネクタ70と嵌合することにより、FPC60と相手側コネクタ70との間を電気的に接続するものである。
【0021】
同軸コネクタ10は、図1図2に示すように、FPC60を保持するための導電性のシェル20を備えている。
【0022】
シェル20は、導電性金属から形成され、図4に示すように、第1シェル部30と、第2シェル部40と、第1シェル部30と第2シェル部40とを連結する連結部50とを有し、一体形成されている。
【0023】
シェル20の第1シェル部30は、図4に示すように、相手側コネクタ70の相手側シェル72に接触するための筒状のシェル接触部31と、第1シェル部30を第2シェル部40に固定するための第1ロック部32とを有している。
【0024】
シェル接触部31には、図4に示すように、スリット部31aが形成されている。このスリット部31aを形成することにより、シェル接触部31にバネ性が付与される。即ち、相手側シェル72の相手側嵌合部72cによってシェル接触部31が拡がり、相手側コネクタ70との嵌合が完了するとシェル接触部31が元に戻ることによって、シェル接触部31にバネ性が付与される。また、シェル接触部31には、図4に示すように、相手側コネクタ70との嵌合時に相手側コネクタ70の相手側シェル72に形成された相手側嵌合部72cに嵌合する嵌合部31bが、その内周面に形成されている(図6参照)。
【0025】
第1ロック部32は、図3に示すように、第2シェル部40の第2ロック部46に係合することで、第1シェル部30(シェル接触部31)を第2シェル部40に固定する部位である。このように、第1ロック部32および第2ロック部46は、シェル接触部31を第2シェル部40に固定するための固定手段を構成する。
【0026】
シェル20の第2シェル部40は、図4に示すように、本体部41と、側壁部42と、第1バネ部43と、第2バネ部44と、係合部45と、第2ロック部46と、突起部47と、固定部48とを有している。
【0027】
本体部41は、その上面にFPC60を載せる板状の部位である。側壁部42は、図4に示すように、本体部41の幅方向両側において本体部41に対して垂直に形成された板状の部位である。
【0028】
第1バネ部43は、図4に示すように、本体部41によって片持ち梁状に支持され、同軸コネクタ10と相手側コネクタ70との嵌合方向に弾性変形可能に形成されている。第1バネ部43は、FPC60を所定位置に保持した状態の同軸コネクタ10と相手側コネクタ70とを嵌合させた際に、その上面に載せられたFPC60を相手側コネクタ70側に向けて押圧する。これにより、FPC60の接触部62aと相手側コネクタ70の信号用接触部71aとを確実に接触させることができる。また、同時に、第1バネ部43は、FPC60を所定位置に保持した状態の同軸コネクタ10と相手側コネクタ70とを嵌合させた際にFPC60のグランド用接続部63aに接触する位置に形成されており、FPC60のグランド導体63と接続するためのシェル接続部としても機能する。
【0029】
第2バネ部44は、図4に示すように、本体部41上に形成され、シェル20上に設置されたFPC60を固定部48によって固定した際に、FPC60のグランド導体63を上側に向けて押圧する部位である。第2バネ部44は一対の固定部48に対応した位置に一対形成されている。これにより、シェル20とFPC60のグランド導体63とを確実に接触させることができる。このように、第2バネ部44は、FPC60のグランド導体63と接続するためのシェル接続部としても機能する。なお、第2バネ部44は形成されていなくてもよく、この場合には本体部41の一部分41aがシェル接続部として機能する。
【0030】
係合部45は、図4に示すように、一対の側壁部42にそれぞれ形成され、FPC60の切り欠き部66に係合するための部位である。具体的には、係合部45は、図2図3に示すように、FPC60をシェル20上の所定位置に設置した状態で、FPC60の切り欠き部66内に入り込み、FPC60の長手方向においてFPC60に係合する。これにより、係合部45は、FPC60の長手方向におけるFPC60の移動を規制し、シェル20からのFPC60の抜けを防止するとともに、シェル20に対してFPC60を位置決めする。このように、係合部45は、シェル20に対してFPC60を位置決めするための位置決め部としても機能する。
【0031】
第2ロック部46は、図4に示すように、一対の側壁部42にそれぞれ形成され、第1ロック部32に係合することで、第1シェル部30と第2シェル部40とを固定する部位である。
【0032】
突起部47は、図4に示すように、少なくとも一つ以上本体部41上に形成され、シェル20に対するFPC60の取り付け時に、FPC60をガイドするとともに、シェル20に対してFPC60を取り付けた後には、FPC60の位置決め(特に、FPC60の接触部62aの位置決め)を行う部位である。なお、突起部47を一対形成して、一対の突起部47によりFPC60の平板部61の幅方向(FPC60の長手方向と直交する方向)を挟むことによって、FPC60の接触部62aの位置決めが更に確実に行なわれる。
【0033】
固定部48は、図4に示すように、一対の側壁部42にそれぞれ形成され、FPC60をシェル20に固定するための部位である。具体的には、固定部48は、図3に示すように、FPC60をシェル20上の所定位置に設置した後にかしめられ(折り曲げられ)、その先端側がFPC60の平板部61の表面(おもて面)側に被さることで、FPC60をシェル20に固定する。
【0034】
FPC60は、図5に示すように、細長い薄板状に形成された絶縁性の平板部61と、平板部61の表面(おもて面)側に平面状(薄膜状)に形成された信号導体62と、平板部61の裏面側に平面状に形成されたグランド導体63と、信号導体62を部分的に覆うように平板部61の表面側に形成された表側絶縁層64と、グランド導体63を部分的に覆うように平板部61の裏面側に形成された裏側絶縁層65と、FPC60の幅方向の両側に形成された切り欠き部66とを有している。
【0035】
信号導体62は、図5に示すように、相手側コネクタ70の相手側コンタクト71に接触するための接触部62aを有している。接触部62aは、表側絶縁層64によって覆われておらず外部露出している。
【0036】
グランド導体63は、図5に示すように、シェル20のシェル接続部(本実施形態では第1バネ部43、第2バネ部44)と接続するためのグランド用接続部63aを有している。グランド用接続部63aは、裏側絶縁層65によって覆われておらず外部露出している。
【0037】
相手側コネクタ70は、プリント基板(図示しない)やFPC(図示しない)等に搭載され、プラグコネクタとしての同軸コネクタ10と嵌合して電気的に接続するレセプタクルコネクタである。
【0038】
相手側コネクタ70は、図6図7に示すように、FPC60の信号導体62に接続される導電性の相手側コンタクト71と、同軸コネクタ10のシェル20に接続される導電性の相手側シェル72と、相手側コンタクト71および相手側シェル72を保持し相手側コンタクト71と相手側シェル72との間を絶縁する絶縁性の相手側ハウジング73とを有している。相手側シェル72は、相手側コンタクト71の周囲を少なくとも部分的に囲んでいる。
【0039】
相手側コンタクト71は、図6図7に示すように、FPC60の接触部62aに接触するための信号用接触部71aと、プリント基板(図示しない)の電極パッド(図示しない)上にハンダ付け等により接続される信号用接続部71bと、信号用接触部71aと信号用接続部71bとの間に形成されるバネ部71cとを有している。
【0040】
なお、本実施形態では、図7に示すように、相手側コンタクト71にバネ部71cを形成することによって、同軸コネクタ10と相手側コネクタ70との嵌合時に同軸コネクタ10の嵌合方向に信号用接触部71aが弾性変形するようになっている。しかしながら、シェル20の第1バネ部43によって、FPC60の接触部62aと相手側コネクタ70の信号用接触部71aとの間の接触信頼性が確保されていることから、図8に示すように、相手側コンタクト71にバネ部71cを形成することなく、信号用接触部71aを相手側ハウジング73に固定してもよい。
【0041】
相手側シェル72は、図6図7に示すように、シェル20のシェル接触部31に接触するためのグランド用接触部72aと、プリント基板(図示しない)やFPC(図示しない)の電気パッド(図示しない)上にハンダ付け等により接続されるグランド用接続部72bとを有している。グランド用接触部72aには、シェル20のシェル接触部31に形成された嵌合部31b(図4参照)に適合する形状の相手側嵌合部72cが、その外周面に形成されている。
【0042】
つぎに、同軸コネクタ10に対するFPC60の取り付け方法について、以下に説明する。
【0043】
まず、図2に示すように、第1ロック部32と第2ロック部46とを係合させておらず、第2シェル部40に対して第1シェル部30が僅かに浮いた状態で、シェル20に対してFPC60を挿入して設置する。
【0044】
具体的には、シェル20の係合部45がFPC60の切り欠き部66内に入り込むように、かつ、第1シェル部30と第2シェル部40との間(シェル接触部31と第1バネ部43との間)にFPC60の先端部が入り込むように、シェル20に対してFPC60を挿入する。この際、シェル20の側壁部42や突起部47や固定部48等がFPC60をガイドするガイド部として機能する。
【0045】
このシェル20に対してFPC60を挿入して設置した状態では、同軸コネクタ10と相手側コネクタ70との嵌合方向に見た場合に、FPC60の接触部62aが筒状のシェル接触部31の内側に位置するように、シェル20によってFPC60が位置決めされる。本実施形態では、シェル20の側壁部42や係合部45や突起部47や固定部48等がFPC60を位置決めする位置決め部として機能する。なお、前記位置決め部の具体的態様は、FPC60(特に、接触部62a)を適切に位置決めするものであれば如何なるものでもよい。
【0046】
ここで、シェル20に対してFPC60を位置決めした状態では、筒状のシェル接触部31とFPC60の信号導体62(接触部62a)との間に表側絶縁層64が介在している等、FPC60の絶縁性の平板部61および表側絶縁層64によって、シェル20とFPC60の信号導体62とが絶縁されている。
【0047】
最後に、図3に示すように、第1ロック部32と第2ロック部46とを係合させるとともに、シェル20の固定部48をかしめることで、シェル20に対してFPC60を固定する。
【0048】
なお、上記では、図2に示すように、第1ロック部32と第2ロック部46との係合を解除しておき、第2シェル部40に対して第1シェル部30が僅かに浮いた状態で、同軸コネクタ10に対するFPC60の取り付けを開始するものとして説明した。しかしながら、第1ロック部32と第2ロック部46とを予め係合させ、第2シェル部40に対して第1シェル部30を固定した状態から、同軸コネクタ10に対してFPC60を挿入してもよい。
【0049】
つぎに、FPC60を所定位置に保持した状態の同軸コネクタ10に対して、相手側コネクタ70を接続させる方法について、図1図3図4、および図6を参照して以下に説明する。
【0050】
まず、図1に示すように、相手側コネクタ70の信号用接触部71aとFPC60の接触部62aとを向かい合わせた状態で、シェル20の筒状のシェル接触部31を相手側コネクタ70に嵌合する。
【0051】
この際、筒状のシェル接触部31にはスリット部31aが形成されているため、相手側コネクタ70の挿入によって筒状のシェル接触部31が一旦は拡がって、その後、シェル接触部31の嵌合部31bと相手側シェル72の相手側嵌合部72cとが嵌合すると、筒状のシェル接触部31が元の形に戻る。
【0052】
以上のように、シェル接触部31に対する相手側コネクタ70の挿入という一動作によって、同軸コネクタ10と相手側コネクタ70とを接続することができる。
【0053】
このようにして得られた本実施形態の同軸コネクタ10では、FPC60と同軸コネクタ10との接続時に、同軸ケーブルを用いた場合のような同軸ケーブルのシールド線の結線作業を必要としないため、組立工数を低減できる。
【0054】
また、シェル20によって保持されるFPC60の接触部62aを、相手側コンタクト71に接触するためのコンタクトとして利用することで、FPC60の信号導体62と相手側コンタクト71との間を接続するためのコンタクトを別途に設ける必要がないため、部品点数および製造コストを低減でき、同軸コネクタ10の小型化を実現できる。
【0055】
また、シェル20の係合部45に、シェル20からのFPC60の抜け出しを防止する機能と、シェル20に対してFPC60を位置決めする機能とを併せて担わせることにより、シェル20の構造の簡素化を図ることができる。
【0056】
また、シェル20の第1バネ部43を利用して、FPC60の平面状の接触部62aと相手側コネクタ70の信号用接触部71aとを接触させる構造を採用することにより、同軸コネクタ10と相手側コネクタ70とを嵌合させる嵌合方向における、同軸コネクタ10の低背化を実現できる。
【0057】
また、シェル20の第1バネ部43がFPC60のグランド導体63と接続するためのシェル接続部としても併せて機能するため、接続工数の削減を図ることができるとともに、シェル20の構造の簡素化を図ることができる。
【0058】
また、FPC60の平板部61および表側絶縁層64を、シェル20とFPC60の信号導体62とを絶縁する絶縁物として利用することが可能であるため、シェル20とFPC60の信号導体62との間を絶縁するための絶縁物を別途に設ける必要がない。
【0059】
つぎに、本発明の第2実施形態について、図9および図10に基づいて以下に説明する。なお、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明し、第1実施形態と同様の機能を有する構成部材には、第1実施形態と同一の参照符号を付している。
【0060】
ここで、主な相違点として、第1実施形態と第2実施形態とは、シェル20に対してFPC60を固定する方法が異なる。すなわち、第1実施形態では、図2図3に示すように、FPC60をシェル20上に設置した後、シェル20の固定部48の先端側がFPC60上に直接的に被さるように、固定部48をかしめることにより、FPC60をシェル20に固定する。これに対して、第2実施形態では、図9および図10に示すように、第1シェル部30と第2シェル部40との間にFPC60を挟み込み、シェル20の固定部48’の先端側がシェル20の枠部33に被さるように、固定部48’をかしめることにより、第1シェル部30と第2シェル部40とを固定し、FPC60をシェル20に固定する。
【0061】
具体的に説明すると、第2実施形態では、図9および図10に示すように、シェル20の第1シェル部30が、筒状のシェル接触部31と、シェル接触部31に連続して形成された枠部33と、枠部33に形成されFPC60の切り欠き部66に係合する係合部34とを有している。係合部34は、第1実施形態の係合部45と同様に機能するため、その説明を省略する。
【0062】
また、第2実施形態では、図9および図10に示すように、シェル20の第2シェル部40が、本体部41と、側壁部42と、第1バネ部43と、固定部48’とを有している。固定部48’は、図10に示すように、第1シェル部30と第2シェル部40との間にFPC60を挟み込んだ後に、その先端側が第1シェル部30の枠部33に被さるようにかしめられることで、第1シェル部30と第2シェル部40とを固定し、FPC60をシェル20に固定する。
【0063】
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、図9に示すように、第1シェル部30と第2シェル部40とを連結する連結部50が設けられ、シェル20が一体形成されている。
【0064】
第2実施形態では、第1バネ部43や、図9において符号41aで示す本体部41の一部分が、FPC60のグランド導体63と接続するためのシェル接続部として機能する。また、固定部48’が、第1シェル部30(シェル接触部31)を第2シェル部40に固定するための固定手段として機能する。また、係合部34や枠部33や側壁部42等が、シェル20に対してFPC60(特に、接触部62a)を位置決めするための位置決め部として機能する。
【0065】
なお、上述した実施形態では、同軸コネクタのシェルによって保持される接続対象が、FPC(Flexible Printed Circuit)であるものとして説明したが、グランド導体と平板部の表面に配置された信号導体とを有するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)であってもよい。また、上記では、接続対象の例として平板部の厚みが薄いFPCやFFCを挙げたが、本発明で対象とする接続対象の平板部の厚みは、如何なるものでもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、接続対象(FPC)の表面に信号導体が形成され、接続対象(FPC)の裏面にグランド導体が形成されているものとして説明したが、グランド導体の形成位置は、シェルとの円滑な接続が図ることができる位置であれば如何なる位置でもよく、例えば、信号導体を形成した接続対象(FPC)の表面にグランド導体が形成されていてもよい。この場合には、第1実施形態の固定部48の先端や第2実施形態の枠部33がシェル接続部として機能する。
【0067】
上述した実施形態では、第1シェル部30と第2シェル部40とは連結部50により一体形成されていたが、連結部50近傍に第1シェル部30と第2シェル部40とを相互に係合するロック部をそれぞれ設けて、第1シェル部30と第2シェル部40とを別体で構成してもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、シェル接触部31とグランド用接触部72aとは円筒形状で構成したが、四角や六角形の多角形の筒状に形成されたものでもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 ・・・ 同軸コネクタ
20 ・・・ シェル
30 ・・・ 第1シェル部
31 ・・・ シェル接触部
31a ・・・ スリット部
31b ・・・ 嵌合部
32 ・・・ 第1ロック部(固定手段)
33 ・・・ 枠部
34 ・・・ 係合部
40 ・・・ 第2シェル部
41 ・・・ 本体部
41a ・・・ 本体部の一部分(シェル接続部)
42 ・・・ 側壁部
43 ・・・ 第1バネ部(バネ部;シェル接続部)
44 ・・・ 第2バネ部(シェル接続部)
45 ・・・ 係合部
46 ・・・ 第2ロック部(固定手段)
47 ・・・ 突起部
48 ・・・ 固定部
48’ ・・・ 固定部(固定手段)
50 ・・・ 連結部
60 ・・・ FPC(接続対象)
61 ・・・ 平板部
62 ・・・ 信号導体
62a ・・・ 接触部
63 ・・・ グランド導体
63a ・・・ グランド用接続部
64 ・・・ 表側絶縁層
65 ・・・ 裏側絶縁層
66 ・・・ 切り欠き部
70 ・・・ 相手側コネクタ
71 ・・・ 相手側コンタクト
71a ・・・ 信号用接触部
71b ・・・ 信号用接続部
71c ・・・ バネ部
72 ・・・ 相手側シェル
72a ・・・ グランド用接触部
72b ・・・ グランド用接続部
72c ・・・ 相手側嵌合部
73 ・・・ 相手側ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11