(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、タイヤのトレッド部等にあっては、転がり抵抗の向上を図るために、シリカなどの電気抵抗が高くなる素材を配合している場合がある。このようにトレッド部の電気抵抗が高くなった場合、車両に発生する電荷がタイヤに帯電し地面に逃げ難くなることから、地面と接触するトレッド部のショルダー部からセンター部の間に部分的に電気抵抗の低い材質を配置して、電荷を地面に放電しやすくしている場合がある。この電気抵抗の低い材質は、一般に、タイヤのトレッド部の全周に亘ってリング状に形成される。
しかしながら、上述したタイヤの電気抵抗の低い材質は、サイズや形状などの仕様や、製造上のずれ等によって配置が異なることが多く、また、目視では判断できない場合もある。そのため、タイヤの電気抵抗の検査を自動化しようとした場合には、検査対象となるタイヤのトレッド部における電気抵抗の低い材質が配置される箇所を確認して、外周側の測定子の位置や角度を変更するなど調整工程が必要となり作業者の負担が増加するという課題がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、仕様の異なる被測定タイヤに対して、測定子の調整を行うことなしに安定的に電気抵抗を測定することができるタイヤの電気抵抗測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置は、タイヤの内周部から外周部までの電気抵抗を測定するタイヤの電気抵抗測定装置において、タイヤの内周部から外周部までの電気抵抗を測定するタイヤの電気抵抗測定装置において、
前記タイヤの内周側に配置されて、前記内周部に接触可能な内周側測定子と、前記タイヤの外周側に配置されて、前記外周部に接触可能な外周側測定子と、を備え、前記外周側測定子は、前記タイヤの幅方向で、前記外周部の中央部からショルダー部に至るタイヤ形状にならって湾曲変形可能である。
このようにすることで、
湾曲変形した外周側測定子が、幅方向でタイヤの中央部からショルダー部に亘って同時に接触するため、中央部からショルダー部の間の最も抵抗の小さい箇所に外周側測定子を接触させることができる。
【0007】
さらに、この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置は、上記タイヤの電気抵抗測定装置において、前記外周側測定子の上部が下部よりも前記タイヤの径方向外側に位置するように傾斜配置された線状の導電体であってもよい。
このように構成することで、外周側測定子をタイヤに押し付けるだけで、幅方向におけるタイヤの中央部からショルダー部に亘って導電体を電気的に接触させることが可能となる。
【0008】
さらに、この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置は、上記タイヤの電気抵抗測定装置において、前記外周側測定子が、弾性変形可能であり、弾性変形した状態で前記外周部に接触するようにしてもよい。
このように構成することで、弾性によって外周側測定子がタイヤに押し付けられるため、タイヤと外周側測定子との間に過度な接触力が作用することを抑制できる。
【0009】
さらに、この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置は、上記タイヤの電気抵抗測定装置において、2つの前記外周側測定子と、1つの前記内周側測定子とを備えていてもよい。
このように構成することで、外周側測定子と内周側測定子とによってタイヤを挟み込んだ場合に、タイヤの大きさや形状などに影響されずに3点支持によって安定的に外周側測定子をタイヤの外周部に接触させることができると共に、内周側測定子をタイヤの内周部に接触させることができる。
【0010】
さらに、この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置は、上記タイヤの電気抵抗測定装置において、前記外周側測定子と前記内周側測定子との間の距離を、フローティング状態で変位可能な測定子間隔調整機構を備えていてもよい。
このように構成することで、外周側測定子と内周側測定子との相対変位が可能となり、例えば、外周側測定子が先にタイヤに接触した場合には内周側測定子を外周側測定子に近づくように相対変位させ、また内周側測定子が先にタイヤに接触した場合には外周側測定子を内周側測定子に近づくように相対変位させることができる。そのため、外周側測定子と内周側測定子との間に、タイヤの内周部と外周部とを配置することで、タイヤの位置や径方向寸法に関わらず、外周側測定子と内周側測定子とによって同じ力でタイヤを押圧することができる。
【0011】
さらに、この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置は、上記タイヤの電気抵抗測定装置において、前記外周側測定子および前記内周側測定子を前記タイヤに近接および離間させる方向に変位させる変位機構を備えていてもよい。
このように構成することで、例えば、搬送されるタイヤを所定の測定位置で停止させて、外周側測定子および内周側測定子をタイヤに近接させるだけで電気抵抗を測定可能な状態にすることができるため、既設の設備に対して容易に適用することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るタイヤの電気抵抗測定装置によれば、仕様の異なる被測定タイヤに対して、測定子の調整を行うことなしに安定的に電気抵抗を測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明の実施形態におけるタイヤの電気抵抗測定装置について図面に基づき説明する。
図1は、この実施形態の電気抵抗測定装置1の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、電気抵抗測定装置1は、加硫済みのタイヤTの検査ライン(図示せず)に配置され、タイヤTを搬送するローラコンベア2を有している。ローラコンベア2は、自転可能な複数のローラ3を、搬送方向に複数配列して備えるとともに、ローラコンベア2の幅方向(以下、単に幅方向と称する)の両側に離間して備えている。このローラコンベア2は、タイヤTを、そのサイドウォール4が上下方向を向いた状態で搬送可能となっている。
【0015】
また、電気抵抗測定装置1は、タイヤTの電気抵抗を測定するための外周側測定子5aおよび内周側測定子5bを有した測定子ユニット(測定子間隔調整機構)6を備え、この測定子ユニット6の外周側測定子5aおよび内周側測定子5bが、幅方向に離間した上記ローラコンベア2の間から、上方に向かって突出可能となっている。なお、図示都合上、
図1においては、正面から見て測定子ユニット6と重なるローラ3を省略している。
【0016】
上記ローラコンベア2は、フロア8上に立設された架台9上に設置されている。この架台9は、上下方向に延びる複数の脚部10を備え、隣り合う脚部10の間を渡るようにして水平方向に延びる横梁11が取り付けられている。横梁11は、脚部10の上部および下部にそれぞれ設けられ、上側の横梁11には、測定子ユニット6を昇降するための昇降機構(変位機構)12が取り付けられている。昇降機構12は、上下方向に延びるベース部13を備えており、このベース部13は、上下方向の中央部よりもやや上側で図示しないブラケットを介して横梁11に固定されている。
【0017】
ベース部13の上端には、水平方向に延びる上部支持板14が形成されている。また、ベース部13の下端には、上部支持板14と対向する下部支持板15が形成されている。これら上部支持板14と下部支持板15との間には、上下方向に延びる平行な2本のガイド棒16が取り付けられている。これらガイド棒16は、それぞれベース部13の幅方向の両外側に配置されている。
【0018】
ガイド棒16には、ガイド部17が昇降自在に取り付けられている。このガイド部17は、ガイド棒16が挿通される2つのガイド筒18、および、これらガイド筒18の上端部同士を接続するフレーム部19を備えている。また、フレーム部19には、上方に向かって延びる支持アーム20が形成され、この支持アーム20の上端が、上述した測定子ユニット6の下面に固定されている。
【0019】
一方で、上記昇降機構12は、上記測定子ユニット6を昇降させる駆動源として、流体圧シリンダー21を備えている。この流体圧シリンダー21は、上下方向に延びるアウターチューブ22と、アウターチューブ22の上方に延びるインナーロッド23とを備えている。アウターチューブ22は、下部支持板15に固定され、インナーロッド23の上端は、上記測定子ユニット6の下面に固定されている。流体圧シリンダー21は、アウターチューブ22のシリンダー室(図示せず)内へ圧縮流体を供給および排出することで生じる差圧によりインナーロッド23を進退させることが可能となっている。
【0020】
すなわち、流体圧シリンダー21のインナーロッド23を圧縮方向に変位させることで、測定子ユニット6がガイド部17を介してガイド棒16に沿って下方に移動することとなる。これにより測定子ユニット6を、ローラコンベア2から離間する下方向に移動させることが可能となっている。また、流体圧シリンダー21のインナーロッド23を伸長方向に変位させることで、測定子ユニット6がガイド部17を介してガイド棒16に沿って上方に移動することとなる。これにより測定子ユニット6を、上方すなわちローラコンベア2に近接する方向に移動させることが可能となっている。
【0021】
測定子ユニット6は、上述したインナーロッド23の上端部が固定されるベースプレート29を備えており、このベースプレート29には、搬送方向に延びるガイド棒30を支持する枠体31が取り付けられている。さらに、この枠体31に支持されたガイド棒30には、第一スライド部32と第二スライド部33とがスライド可能に取り付けられており、第一スライド部32および第二スライド部33には、これらを相対移動させる駆動源として測定子用流体圧シリンダー34が取り付けられている。この測定子用流体圧シリンダー34のインナーロッド35の端部は、第一スライド部32に固定されており、アウターチューブ36のインナーロッド35側の端部は、第二スライド部33に固定されている。
【0022】
さらに、第一スライド部32には、上方に向かって延びる縦フレーム40と、第二スライド部33側へ略水平方向に向かって延びる横フレーム41とからなり略L字状に形成された第一支持金具42が固定されている。この第一支持金具42には、縦フレーム40の端部と横フレーム41の端部との間に亘る線状の導電体からなる2つの外周側測定子5aが取り付けられている。このように、縦フレーム40の端部と横フレーム41の端部との間に亘ることで、外周側測定子5aは、上部が下部よりもタイヤTの径方向外側に位置するように傾斜して配置される。また、第一支持金具42の横フレーム41は、ローラコンベア2の搬送面よりも下方に配置されており、外周側測定子5aは、高さ方向でタイヤTの下側のサイドウォール4よりも下方まで延びて配置される。
【0023】
図2に示すように、2つの外周側測定子5aは、周方向に所定間隔をあけて並んで配置され、内周側測定子5bは、これら2つの外周側測定子5aの間の内周側に配置されている。さらに、
図3に示すように、外周側測定子5aは、絶縁部材iを介して第一支持金具42と電気的に絶縁されている。
【0024】
図1、
図3に示すように、第二スライド部33には、第二スライド部33の上端部から第一スライド部32とは反対側のやや下方に向かって傾斜する第二支持金具47が取り付けられている。この第二支持金具47には、その上面から垂直方向に向かって延びるように内周側測定子5bが立設されている。この内周側測定子5bも、絶縁部材iを介して第二支持金具47と電気的に絶縁されている。
【0025】
つまり、上述した測定子用流体圧シリンダー34を圧縮方向に駆動することで、ガイド棒30に沿って、第一スライド部32および第二スライド部33が近接する方向に相対的に変位して、その結果、外周側測定子5aと内周側測定子5bとが近接する方向に変位する。また、測定子用流体圧シリンダー34を伸長方向に駆動することで、ガイド棒30に沿って、第一スライド部32および第二スライド部33が離間する方向に相対的に変位して、その結果、外周側測定子5aと内周側測定子5bとが離間する方向に変位する。
【0026】
ここで、測定子用流体圧シリンダー34は、インナーロッド35およびアウターチューブ36が共にガイド棒30に沿って変位可能なフローティング状態で支持されている。例えば、外周側測定子5aおよび内周側測定子5bを、タイヤTを挟み込むために、測定子用流体圧シリンダー34を圧縮方向に駆動して、外周側測定子5aおよび内周側測定子5bの何れか一方がタイヤTに当接して停止すると、他方のみがタイヤTに近接する方向に相対移動することとなる。また、反対に外周側測定子5aおよび内周側測定子5bをタイヤTから離間させるために、測定子用流体圧シリンダー34を伸長方向に駆動して、外周側測定子5aおよび内周側測定子5bの何れか一方が枠体31に当接して停止すると、他方のみがタイヤTから離間する方向に移動することとなる。上述のように測定子用流体圧シリンダー34の支持構造がフローティング状態とされることで、タイヤTの搬送位置が僅かにずれていても適正にタイヤTを外周側測定子5aおよび内周側測定子5bによって挟み込むことが可能となっている。
【0027】
また、上記昇降機構12、および、測定子ユニット6の構成を備えていることで、タイヤTの外周側のトレッド部(外周部)70が外周側測定子5a側に配置され、タイヤTの内周側のビード部(内周部)71が内周側測定子5b側に配置されている状態で、流体圧シリンダー21の駆動によって測定子ユニット6を上昇させて、測定子用流体圧シリンダー34の駆動によって外周側測定子5aおよび内周側測定子5bを近接方向に移動させることで、外周側測定子5aおよび内周側測定子5bによりタイヤTを挟み込むことが可能になる。
【0028】
ところで、
図3に示すように、外周側測定子5aは、タイヤTの径方向外側に形成されたトレッド部70に当接し、内周側測定子5bは、タイヤTの径方向内側に形成されたビード部71に当接するようになっている。外周側測定子5aは、タイヤTが押し付けられた際に、タイヤTの幅方向(換言すれば、軸方向)で、トレッド部70の中央部Cから、ショルダー部Sに至るタイヤ形状(換言すれば、タイヤTの外形)にならって弾性変形して湾曲可能な導電性を有したコイルばねBにより形成されている。ここで、上記ショルダー部Sとは、車両が走行する際に地面に接するトレッド部70のうち、幅方向の端部付近の部分を指している。
【0029】
外周側測定子5aがコイルばねBにより形成されることで、外周側測定子5aにタイヤTを相対的に接近させると、始めにタイヤTのショルダー部Sに外周側測定子5aが当接し、その当接した部分から、タイヤTに対する外周側測定子5aの相対移動に伴い、第一支持金具42に接近する側に徐々に撓む。その後、外周側測定子5aが当接する範囲がトレッド部70のセンター部C側に拡大され、最終的に外周側測定子5aは、タイヤTのトレッド部70のうち、センター部Cからショルダー部Sに至る範囲で当接することとなる。
【0030】
一方で、内周側測定子5bは、ビード部71により押圧されるときに変形しない十分な剛性を有した導電性を有する棒状の部材により形成されている。この内周側測定子5bは、その基部よりも端部が、タイヤTの軸中心側に配置されるように僅かに傾斜している。これにより、タイヤTの幅寸法が内周側測定子5bの長さ寸法よりも短い場合などに、測定対象のビード部71とは幅方向反対側のビード部71が内周側測定子5bに接触しないようになっている。
【0031】
外周側測定子5aと内周側測定子5bとには、配線W1、W2を介して抵抗測定器(測定部)60が接続されている。抵抗測定器60は、外周側測定子5aおよび内周側測定子5b間に所定の測定電流を流すとともに、その際の端子間電圧を測定することで、外周側測定子5aおよび内周側測定子5bの間の電気抵抗を計測する。
【0032】
したがって、上述した実施形態の電気抵抗測定装置1によれば、湾曲変形した外周側測定子5aが、タイヤTのセンター部Cからショルダー部Sに亘って同時に接触するため、センター部Cからショルダー部Sの間の最も抵抗の小さい箇所と、ビード部71との間の抵抗値を測定することができる。その結果、仕様の異なるタイヤTに対して、外周側測定子5aの調整を行うことなしに安定的に外周側測定子5aをタイヤTのセンター部Cからショルダー部Sとの間に接触させて電気抵抗を測定することができる。また、シリカ等を配合したトレッド部70を用いている場合には、センター部Cからショルダー部Sの間の何れの位置に部分的に電気抵抗の低い材質の部分が形成されていたとしても、電気抵抗の低い材質の部分と、ビード部71との間の電気抵抗を測定することができる。
【0033】
また、外周側測定子5aをタイヤTに相対的に押し付けるだけで、幅方向におけるタイヤTのセンター部Cからショルダー部Sに亘って外周側測定子5aを電気的に接触させることが可能となる。さらに、弾性によって外周側測定子5aがタイヤTに押し付けられるため、外周側測定子5aとタイヤTとの間に過度な接触力が作用することを抑制できる。
【0034】
さらに、外周側測定子5aと内周側測定子5bとによってタイヤTを挟み込んだ場合に、タイヤTの大きさや形状などに影響されずに3点支持によって安定的に外周側測定子5aをタイヤTのトレッド部70に接触させることができると共に、内周側測定子5bをタイヤTのビード部71に接触させることができる。
【0035】
また、測定子ユニット6によって、外周側測定子5aと内周側測定子5bとの相対変位が可能となり、外周側測定子5aが先にタイヤTに接触した場合には内周側測定子5bを外周側測定子5aに近づくように相対変位させ、また内周側測定子5bが先にタイヤTに接触した場合には外周側測定子5aを内周側測定子5bに近づくように相対変位させることができるため、外周側測定子5aと内周側測定子5bとの間に、タイヤTのビード部71とトレッド部70とを配置することで、タイヤTの位置や径方向寸法に関わらず、外周側測定子5aと内周側測定子5bとによって同じ力でタイヤTを押圧することができる。
【0036】
また、昇降機構12を備えることで、搬送されるタイヤTを所定の測定位置で停止させて、外周側測定子5aおよび内周側測定子5bをタイヤTに近接させるだけで電気抵抗を測定可能な状態にすることができるため、既設の設備に対して容易に適用することができる。
【0037】
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、外周側測定子5aとしてコイルばねBを用いる場合について説明したが、タイヤTの幅方向で、トレッド部70のセンター部Cからショルダー部Sに至るタイヤ形状にならって湾曲変形可能であればよく、コイルばねに限られるものではない。例えば、第1変形例として
図4(a),(b)に示すように、外周側測定子5aとして可撓性を有した線状の導電体Dを用いても良い。この
図4に示す場合も、上述した実施形態と同様に、タイヤTを外周側測定子5aに押し付けることで、トレッド部70の外形にならって湾曲変形可能となる。線状の導電体Dとしては、可撓性を有した針金、ワイヤー、および、少なくとも表面に導電性を有した糸などを用いることができる。
【0038】
さらに、第二変形例として
図5に示すように、可撓性を有した線状の導電体DをタイヤTの周方向に複数並べて配置してもよい。また、外周側測定子5aに用いる導電体Dは、線状に限られず、シート状の導電体であってもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、外周側測定子5aに弾性を持たせるべく、コイルばねBを用いる場合を一例に説明したが、弾性変形可能で伸縮性を有する導電材料はコイルばねBに限られるものではない。また、例えば、第三変形例として
図6(a),(b)に示すように、可撓性を有する導電体Dの一部にコイルばねBなどの弾性変形可能で伸縮性を有する導電材料を介在させるようにしてもよい。
【0040】
さらに、実施形態ならびに各変形例として外周側測定子5aを全体的に湾曲可能とする場合について述べたが、部分的に湾曲変形可能なようにしてもよい。具体的には、第四変形例として
図7(a)に示すように、横フレーム41側にコイルばねBを設けて、縦フレーム40側に撓み変形しない棒状の導電体D1を設けてもよい。このようにすることで、
図7(b)に示すように、トレッド部70のセンター部C付近の平面区間に導電体D1が当接するとともに、コイルばねBが湾曲変形してショルダー部Sに当接して、結果として、少なくともトレッド部70のセンター部Cからショルダー部Sに亘って外周側測定子5aを弾性的に接触させることが可能となる。なお、
図7(a),(b)においては、横フレーム41側にコイルばねBを用いる場合について説明したが、コイルばねBに代えて上述した可撓性を有する線状の導電体Dを用いてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態ならびに各変形例においては、外周側測定子5aが線状、シート状、および、コイル状の導電体の場合について説明したが、第五変形例として
図8(a)に示すように、タイヤTに接触する面とは反対側の面に、タイヤTの周方向に沿って延びる複数のスリットSrを長さ方向に所定間隔で並べて形成した板状の導電体D2を用いるようにしてもよい。この導電体D2を備える外周側測定子5aも、上述した実施形態ならびに各変形例の外周側測定子5aと同様に、湾曲変形可能であるため、タイヤTの少なくともセンター部Cからショルダー部に亘って安定的に接触させることができる。
【0042】
さらに、上述した実施形態ならびに各変形例では、外周側測定子5aの上端部がタイヤTのセンター部Cと高さ方向でやや高い位置に配置されていたが、外周側測定子5aの上端部は、被検査対象として想定されるタイヤTのセンター部Cのうち、最も高い位置にあるセンター部C以上の高さ位置に配置されていればよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、コイルばねBを備える外周側測定子5aを周方向に2つ並べて配置する一例を説明したが、1つだけ配置するようにしても良く、また、内周側測定子5bを1つだけ配置する場合について説明したが、内周側測定子5bを周方向に複数並べて設けるようにしても良い。
さらに、上述した実施形態では、内周側測定子5bを傾斜配置する場合について説明したが、鉛直上方に延びるように配置したり、必要に応じて傾斜角度を変更可能にしたりしても良い。
【0044】
また、上述した実施形態では、測定子ユニット6を昇降機構12によって上下方向に変位させる場合について説明したが、測定子ユニット6を変位させる方向は上下方向に限られるものではなく、タイヤTの搬送時の姿勢に応じた方向であればよい。