(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱流束示差走査熱量測定法により、前記発泡粒子を、10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで加熱したときに得られるDSC曲線(1回目加熱のDSC曲線)が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に固有の吸熱ピーク(固有ピーク)と、該固有ピークより高温側に1つ以上の吸熱ピーク(高温ピーク)とを有する結晶構造を有し、前記1回目加熱のDSC曲線において、下記式(1)の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子。
(数1)
0.05≦Eh/Et≦0.25・・・・・・(1)
(ただし、上記式中、Etは1回目加熱のDSC曲線の吸熱ピークの全融解熱量(J/g)、Ehは前記高温ピークの融解熱量(J/g)を示す。)
ポリフッ化ビニリデン系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を、密閉容器内において分散媒に分散させると共に、加熱下で発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とした後、前記発泡性樹脂粒子を分散媒と共に密閉容器内から密閉容器内の圧力よりも低圧下に放出して、見かけ密度が25〜150g/Lであり且つ独立気泡率が80%以上である発泡粒子を製造する方法であって、
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の曲げ弾性率が450MPa以上であり、
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが1g/10分以上であることを特徴とするポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、ポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子を、単に「発泡粒子」ということがある。また、該発泡粒子を型内成形して得られるポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子成形体を、単に「発泡粒子成形体」あるいは「発泡成形体」ということがある。また、熱流束示差走査熱量測定法によるDSC曲線を単に「DSC曲線」ということがある。
【0014】
本発明におけるポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子は、曲げ弾性率が450MPa以上であり、230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイト(MFR)が1g/10分以上であるポリフッ化ビニリデン系樹脂を基材樹脂とするものである。
【0015】
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂には、フッ化ビニリデンの単独重合体、またはフッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体であり、かつフッ化ビニリデンを主成分とする共重合体が包含される。ここで、フッ化ビニリデンを主成分とするとは、共重合体中にフッ化ビニリデン成分が少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有することを意味する。また、他の単量体としては、4フッ化エチレンや6フッ化プロピレンなどが例示できる。
【0016】
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、前記の曲げ弾性率とメルトフローレイトの要件とを共に満足することが必要である。メルトフローレイトは、低い見かけ密度の発泡粒子を得る場合に、発泡時の基材樹脂の伸びやすさ、すなわち気泡の成長に関連する。一方、曲げ弾性率は、発泡粒子の気泡膜の強度と関連する。すなわち、いずれか一方が上記範囲を満たさない場合には所期の目的とする、見かけ密度が25〜150g/Lである高発泡倍率の収縮し難い発泡粒子を得ることができないおそれがある。また、寸法安定性、金型再現性等に優れた発泡成形体が得られないおそれがある。
【0017】
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の曲げ弾性率は少なくとも450MPa以上であることが必要である。曲げ弾性率が低すぎる場合には、特に高発泡倍率(低い見かけ密度)の発泡粒子を得ようとする場合、発泡時に気泡が成長する過程において気泡同士が合一したり、気泡が破泡してしまうおそれがある。あるいは、高発泡倍率の発泡粒子は得られるものの、発泡時に気泡膜が延伸配向されにくくなるためか、発泡後の気泡内において発泡剤の逸散や温度の変化に伴う圧力変化が生じると、発泡粒子が収縮し易くなり、発泡粒子の見かけ密度のバラツキが大きくなって見かけ密度のコントロールが難しくなるおそれがある。また、金型再現性や寸法安定性に優れた発泡粒子成形体が得られなくなるおそれがある。前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の曲げ弾性率の上限は、概ね1300MPaである。上記観点から、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の曲げ弾性率は500〜1200MPaであることが好ましく、更に好ましくは600〜1100MPaである。
なお、前記曲げ弾性率は、JIS K7171(2002年)に準拠して測定することができる。
【0018】
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は1g/10分以上(230℃、荷重2.16kg)である。メルトフローレイトが低過ぎる場合には、発泡する際に局所的な応力集中が起こり連続気泡化し易く、見かけ密度の低く、収縮し難い発泡粒子が得られ難くなるおそれがある。一方、メルトフローレイトの上限に特に制限はないが、発泡時の気泡同士の合一や気泡の破泡を防止する観点から、概ね20g/10分である。前記メルトフローレイトは、1.5〜15g/10分であることがより好ましい。なお、メルトフローレイト(MFR)はASTM D1238に基づき、試験条件:温度230℃、2.16kg荷重で測定することができる。
【0019】
本発明におけるポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂であるポリフッ化ビニリデン系樹脂は、共重合モノマー成分として6−フッ化プロピレンを含有する、フッ化ビニリデン共重合体からなることが好ましい。
【0020】
さらに、前記共重合体は、前述の曲げ弾性率を満足する観点から、共重合モノマー成分として、6−フッ化プロピレン成分を3重量%〜14重量%含有する共重合体であることが好ましい。 さらには、上記観点から、前記共重合体の6−フッ化プロピレン成分の含有量の上限は、12重量%であることが好ましく、11重量%であることが更に好ましい。
【0021】
なお、前記の要件を満足するポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、例えばソルベイソレクシス社から市販されている、Solef 20808、Solef 11008、Solef 11010などが挙げられる。
【0022】
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、無架橋ポリフッ化ビニリデン系樹脂であっても、例えば、従来公知の方法により架橋された架橋ポリフッ化ビニリデン系樹脂であってもよいが、リサイクル性、発泡粒子の生産性などを考慮すると無架橋ポリフッ化ビニリデン系樹脂が好ましい。また、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、2種以上のポリフッ化ビニリデン系樹脂を混合して用いることもできる。前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の密度は、概ね1.7〜1.9g/cm
3である。
【0023】
本発明の発泡粒子には、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で他のポリマー成分や、添加剤を添加することができる。
【0024】
前記、添加され得る他のポリマー成分としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、あるいは、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピレン−1−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴムなどのゴム、スチレン−ジエンブロック共重合体、スチレン−ジエンブロック共重合体の水添物などのスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリ4フッ化エチレン、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリ3フッ化エチレン、3フッ化エチレン−エチレン共重合体、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0025】
本発明の発泡粒子は、熱流束示差走査熱量測定法により、発泡粒子1〜3mgを、10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで加熱したときに得られるDSC曲線(1回目加熱のDSC曲線)が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に固有の吸熱ピーク(固有ピーク)と、該固有ピークの高温側に1つ以上の吸熱ピーク(高温ピーク)とを有する結晶構造を有するものが好ましく、前記1回目加熱のDSC曲線に認められる高温ピークの融解熱量は、2J/g以上であることが好ましい。前記高温ピークを有し、その融解熱量が上記範囲内であれば、見掛け密度の低い発泡粒子をより容易に得ることができる。なお、高温ピークの融解熱量の上限は、型内成形時の発泡粒子の二次発泡性の観点からは概ね30J/gであることが望ましい。さらに、発泡粒子の二次発泡性、発泡粒子同士の融着性を考慮すると、高温ピークの融解熱量は、好ましくは2.5〜15J/g、さらに好ましくは3〜10J/gである。
【0026】
なお、高温ピークが2つ以上現れる場合には、該高温ピークの融解熱量は、全ての高温ピークの融解熱量の合計熱量を意味する。前記高温ピークは、後述する発泡粒子製造時における温度の保持操作により、高温ピークの融解熱量を調整することができる。
【0027】
本発明における発泡粒子の高温ピークの融解熱量の測定方法を、
図1により説明する。熱流束示差走査熱量測定法によって、前記発泡粒子1〜3mgを、30℃から200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱したときに得られるDSC曲線(1回目加熱のDSC曲線)において、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に固有の頂点温度PTmcを有する固有ピークPcが現れる。また、該固有ピークの高温側の温度領域に頂点温度PTmdを有する1以上の吸熱ピークPd(高温ピークPd)が現れる。
【0028】
この高温ピークPdは、上記のようにして測定した1回目加熱のDSC曲線には現れるが、1回目加熱のDSC曲線を得た後、200℃から10℃/分で一旦、30℃付近まで降温し、再び10℃/分で200℃まで昇温したときに得られる2回目加熱のDSC曲線には現れず、2回目加熱のDSC曲線にはポリフッ化ビニリデン系樹脂に固有の吸熱ピーク(固有ピーク)のみが現れるので、固有ピークと高温ピークとを容易に判別することができる。
【0029】
前記高温ピークの融解熱量は、高温ピークPdの面積(D)を定めることにより熱流束示差走査熱量測定法により算出される。前記高温ピークPdの面積は、例えば、以下のように定めることができる。
【0030】
図1に示すように、DCS曲線の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度Teに相当する点βとを結ぶ直線α−βを引く。次に、固有ピークPcと高温ピークPdとの間の谷部にあたるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記直線α−βとの交点をδとする。高温ピークPdの面積(D)は、DSC曲線の高温ピークPdを示すDSC曲線と、線分δ−βと、線分γ−δとによって囲まれる部分(
図1において斜線で示す部分(D))の面積として定められる。なお、前記測定方法において、ベースラインである直線α−βを引くために、DSC曲線上の点αを温度80℃に対応する点とした理由は、80℃に対応する点を始点とし、融解終了温度を終点としたベースラインが、高温ピークの熱量を再現性良く安定して求める上で好適であることによる。
【0031】
本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子は、前記熱流束示差走査熱量測定において得られるDSC曲線における前記1回目加熱のDSC曲線における、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に固有の吸熱ピークよりも高温側の、高温ピークの融解熱量Eh(J/g)と全融解熱量Et(J/g)とが、下記式(1)を満足することが好ましい。
【0032】
(数2)
0.05≦Eh/Et≦0.25・・・・・(1)
(ただし、式中Etは1回目加熱のDSC曲線の吸熱ピークの全融解熱量(J/g)、Ehは高温ピークの融解熱量(J/g)である。)
【0033】
上記式(1)を満足する場合には、発泡粒子製造時に樹脂粒子に存在する結晶成分量が、発泡性や成形性に適するものとなる。すなわち、気泡発生直後に合一したり、気泡成長速度が大きくなり過ぎて気泡が破泡してしまうことがなく、さらに型内成形時に発泡粒子の膨張性に優れたものとなる。
上記観点からEh/Etは、発泡粒子の発泡性と型内成形性の両者から上記の式を満足することが望ましく、さらには下記式(2)を満足することがより望ましく、下式(3)を満足することがさらに好ましい。
【0034】
(数3)
0.08≦Eh/Et≦0.20・・・・・(2)
(数4)
0.10≦Eh/Et≦0.16・・・・・(3)
【0035】
本発明の発泡粒子は、その見かけ密度が、25〜150g/Lと低い場合であっても、収縮率が小さいという特徴を有する。前記見かけ密度は、30〜140g/Lであることがより好ましい。なお、本発明の発泡粒子の見かけ密度は、発泡粒子を空気で加圧処理し、その後、大気圧下にした安定状態(養生後)の見かけ密度であり、発泡時の最大発泡倍率に相当する。具体的には、30℃で0.10MPaの圧縮空気で48時間加圧処理し、その後30℃で240時間放置した後の見かけ密度を測定した値である。なお、上記測定法により得られる見かけ密度を、見かけ密度(A)、回復後の見かけ密度ということがある。
【0036】
なお、見かけ密度が低い発泡粒子を製造する場合、まず見かけ密度100g/L程度の発泡粒子を得た後(一段発泡)、一段発泡によって得た発泡粒子に加圧気体で内圧を付与し、スチーム等で加熱してさらに発泡(二段発泡)させて発泡粒子を得ることもできる。
【0037】
発泡粒子の気泡膜の強度が弱いと、発泡時に最大発泡倍率に到達してから、発泡粒子が過度に収縮してしまうが、本発明の発泡粒子は、上記のように高発泡倍率とした場合でも、収縮が小さいという特徴を有するものである。下記式(4)で表される、発泡粒子の収縮率は、50%以下、好ましくは45%以下である。
【0038】
(数5)
発泡粒子の収縮率=[1−(A/B)]×100 ・・・(4)
(ただし、Aは、上記回復後の発泡粒子の見かけ密度(A)、Bは、発泡後、60℃、1時間乾燥した後の発泡粒子の見かけ密度である。なお、Bの見かけ密度を、上記の見かけ密度(A)と区別するため、見かけ密度(B)ということがある。)
【0039】
本発明の発泡粒子は、平均気泡径が20〜800μmであることが好ましい。上記範囲の気泡径である場合には、外観や機械的物性が良好な発泡粒子成形体を得ることができる。発泡粒子の平均気泡径は、好ましくは30〜500μm、更に好ましくは40〜350μmである。
【0040】
発泡粒子の平均気泡径は、次のようにして求める。先ず、発泡粒子を略2等分して切断し気泡断面を得る。該断面の顕微鏡にて撮影した拡大写真に基づき、以下の操作によって求めることができる。上記気泡断面の拡大写真において、発泡粒子の表面の一方から他方の表面にわたり、かつ気泡断面の中心部を通る直線を4本、8方向に引く。次いで、前記4本の直線と交わる気泡の数の総数:N(個)を求める。前記4本の各直線の長さの総和:L(μm)を気泡の数の総数:Nで除する(L/N)ことにより求められる値を発泡粒子の平均気泡径とする。
【0041】
また、本発明の発泡粒子の独立気泡率は、80%以上である。独立気泡率が低すぎると、発泡粒子の二次発泡性が劣るとともに、得られる発泡粒子成形体の機械的物性も劣ったものとなりやすい。上記観点から、前記独立気泡率はより好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、独立気泡率の測定は、ASTM−D−2856−70に記載されている手順Cに準拠して求めることができる。
【0042】
本発明の発泡粒子は、型内成形することにより発泡粒子成形体が得られる。前記発泡粒子の型内成形により得られる発泡粒子成形体の形状は、特に制約されず、板状、柱状、容器状、ブロック状はもとより、三次元の複雑な形状のものや、特に厚みの厚いもの等が挙げられる。
【0043】
本発明の発泡粒子を成形用の金型キャビティ内に充填し、加熱媒体により加熱して型内成形を行うことにより得られる発泡粒子成形体の見かけ密度は、概ね15〜150g/L、好ましくは20〜120g/L、更に好ましくは25〜90g/Lである。なお、発泡粒子成形体の見かけ密度が低いほど、燃焼した際に発生するガス(HF)の発生量を低減することが可能となることから、難燃性を要求される用途などより幅広い分野で使用することが可能となる。
【0044】
該発泡粒子成形体の独立気泡率は、前記発泡粒子と同様に、60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。該独立気泡率が低すぎると発泡粒子成形体の圧縮強度等の機械的物性が低下する虞がある。なお、成形体の独立気泡率の測定も、前記発泡粒子と同様に、ASTM−D−2856−70に記載されている手順Cに準拠して求めることができる。
【0045】
発泡粒子成形体の独立気泡率測定は、発泡粒子成形体断面中央部より測定用のサンプルを切出し(成形スキンはすべて切り落とす)、測定用サンプルとする他は、前記発泡粒子の独立気泡率の測定と同様にして求めることができる。
【0046】
また、本発明の発泡粒子は発泡粒子同士の融着性に優れることから、前記発泡粒子成形体の発泡粒子同士の融着率は50%以上、更に60%以上、特に80%以上であることが好ましい。融着率が高い発泡粒子成形体は機械的物性、特に曲げ強度に優れる。なお、該融着率は、発泡粒子成形体を破断した際の破断面における、発泡粒子の材料破壊率を意味する。
【0047】
本発明の発泡粒子を型内成形して得られる発泡粒子成形体は、発泡粒子成形体においても収縮率が小さく、寸法安定性や金型再現性に優れ、外観が良好なものとなる。寸法安定性や金型再現性の観点から、該発泡粒子成形体の収縮率は、5%以下であること好ましく、4%以下であることがより好ましく、3.5%以下であることがさらに好ましい。
【0048】
本発明の発泡粒子の製造には、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を造粒して得られる樹脂粒子と発泡剤とを耐圧密閉容器内で水等の分散媒体中に分散させ、撹拌下加熱して樹脂粒子を軟化させるとともに、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、樹脂粒子の軟化温度以上の温度で密閉容器内から低圧域(通常大気圧下)に、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子を分散媒体と共に放出して発泡させる方法を適用することができる。以下に、発泡性樹脂粒子を分散媒体と共に放出して発泡させる方法について更に詳しく説明する。
【0049】
樹脂粒子は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が溶融する温度に加熱して押出機で混練後、混練物を押出機先端に取付けられた口金の小孔から紐状に押出し、これを適宜の長さに切断して、発泡粒子を製造するのに適した大きさの樹脂粒子に造粒することにより得ることができる。樹脂粒子の1個あたりの平均重量は、通常0.01〜20mgであり、特に0.1〜10mgであることが好ましい。前記樹脂粒子の粒子径は、0.1〜3.0mmであることが好ましく、0.3〜1.5mmであることがより好ましい。さらに、通常、前記樹脂粒子の長さ/直径比が0.5〜3.0となるように調整されることが好ましく、0.8〜2.5となるように調節されることがより好ましい。なお、押出機を用いて樹脂粒子を得る際には、樹脂粒子の粒子径、長さ/直径比や平均質量の調整は、例えば押出機先端に取り付けられた微細な多数の孔を有するダイからポリフッ化ビニリデン系樹脂溶融物を押出し、押出速度、カッタースピードなど、ストランドカット法の場合は引き取り速度を適宜変えて所定の大きさに切断することにより行うことができる。
【0050】
前記樹脂粒子には、通常使用される気泡調整剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、結晶核剤、あるいは充填材等の各種の添加剤を所望に応じて適宜含有させることができる。
【0051】
上記の気泡調整剤としては、タルク、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ砂、水酸化アルミニウム、カーボン等の無機物、その他リン酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の有機系核剤が挙げられる。これらの各種添加剤の添加量は、それらの添加目的により異なるが、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して好ましくは25重量部以下、より好ましくは15重量部以下であり、5重量部以下が特に好ましい。
【0052】
発泡粒子の製造に際して樹脂粒子を分散させる分散媒体としては、上記した水に限らず、樹脂粒子を溶解させない溶媒であれば使用することが可能である。水以外の分散媒体としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、通常は水が使用される。
【0053】
上記の方法において、分散媒体中には、必要に応じて、樹脂粒子が分散媒体中に均一に分散するように、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルクなどの難水溶性無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤等の分散助剤を添加させることが好ましい。発泡粒子を製造する際に分散媒体中に添加される分散剤(分散助剤を含む)の量は、樹脂粒子の重量と分散剤の重量との比(樹脂粒子の重量/分散剤の重量)を20〜2000、さらに30〜1000とすることが好ましい。また、分散剤の重量と分散助剤の重量との比率(分散剤の重量/分散助剤の重量)を1〜500、さらに5〜100とすることが好ましい。
【0054】
また、前記樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、低圧域に放出することなく冷却して、発泡性樹脂粒子を得ることも可能である。該発泡性樹脂粒子は、加熱することにより発泡させて発泡粒子とすることができる。
【0055】
上記発泡粒子の製造に用いられる発泡剤としては、有機系物理発泡剤や無機系物理発泡剤、あるいはこれらの混合物等を用いることができる。有機系物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロメタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いることができる。また、無機系物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気、水等が挙げられ、これらは2種以上を混合して用いることができる。有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤とを混合して用いる場合、有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤より任意に選択された化合物を組み合わせて用いることができる。
【0056】
前記発泡剤のうち、環境汚染等の点から、無機系物理発泡剤を用いることが好ましく、中でも窒素、空気、二酸化炭素、水が好ましい。発泡粒子を得る際に耐圧密閉容器内に樹脂粒子と共に分散媒体として水を使用する場合には、該樹脂粒子に吸水性物質などを配合したものを使用することにより、分散媒体である水を効率的に発泡剤として使用することができる。
【0057】
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の見かけ密度、または発泡剤の種類等を考慮して決定するが、通常は、樹脂粒子100重量部あたり、有機系物理発泡剤では5〜50重量部、無機系物理発泡剤では0.5〜30重量部を用いることが好ましい。
【0058】
本発明の前記高温ピークを有する発泡粒子は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂粒子と発泡剤とを耐圧密閉容器内で水等の分散媒体に分散させた後、樹脂粒子を軟化させるとともに樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、樹脂粒子の軟化温度以上の温度で密閉容器内から低圧域(通常大気圧下)に、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を分散媒体とともに放出して発泡させる発泡方法により得ることができる。なお、前記の樹脂粒子を密閉容器内で分散媒体中に分散させて撹拌下に加熱する際に、樹脂粒子の融解終了温度Te以上に昇温することなく、樹脂粒子の融点Tmよりも15℃低い温度以上、融解終了温度Te未満の範囲内の任意の温度Taとし、その温度Taで十分な時間、好ましくは10〜60分間程度保持する。その後、樹脂粒子の融点Tmよりも15℃低い温度(Tm−15℃)〜融解終了温度Teよりも5℃高い温度(Te+5℃)の範囲の任意の温度Tbに調節して、その温度で樹脂粒子を分散媒体とともに密閉容器内から低圧域に放出して発泡させる。また、高温ピークを形成するための上記(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での保持は、該温度範囲内で多段階に設定することもでき、また、該温度範囲内で十分な時間を要してゆっくりと昇温することにより該高温ピークを形成することも可能である。
【0059】
発泡粒子の高温ピークの形成、および高温ピークの熱量の大小は、主として、発泡粒子を製造する際の樹脂粒子に対する前記温度Taと前記温度Taにおける保持時間、及び前記温度Tb、ならびに(Tm−15℃)〜(Te+5℃)の範囲内での昇温速度に依存する。発泡粒子の上記高温ピークの熱量は、温度Taまたは温度Tbが上記各々の温度範囲内において低い程、(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での保持時間が長い程、そして(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での昇温速度が遅い程、大きくなる傾向を示す。なお、前記昇温速度は通常0.5〜5℃/分が採用される。一方、温度Taまたは温度Tbが前記各々の温度範囲内において高い程、(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での保持時間が短い程、そして(Tm−15℃)以上、Te未満の範囲内での昇温速度が速い程、Te〜(Te+5℃)の範囲内での昇温速度が遅い程、小さくなる傾向を示す。これらの点を考慮して予備試験を行うことにより所望の高温ピーク熱量を示す発泡粒子の製造条件を知ることができる。なお、上記高温ピークの形成に係る温度範囲は、発泡剤として無機系物理発泡剤(例えば二酸化炭素)を使用した場合の適切な温度範囲である。したがって、発泡剤が例えば有機系物理発泡剤に変更された場合には、その種類や使用量に応じてその適切な温度範囲は、上記温度範囲よりもそれぞれ低温側に0〜30℃程度シフトする。
【0060】
なお、発泡粒子を製造するために耐圧密閉容器内の内容物を密閉容器から低圧域に放出する際には、使用した発泡剤あるいは窒素、空気等の無機物の気体で密閉容器内に背圧をかけて該容器内の圧力が急激に低下しないように圧力を保ちながら内容物を放出することが、得られる発泡粒子の見かけ密度の均一化の観点から好ましい。
【0061】
上述のように、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を密閉容器内から低圧下に放出して発泡させること(一段発泡)により、発泡粒子を得ることができる。さらに、高発泡倍率の発泡粒子を得ることを目的とした場合、一段発泡によって得た発泡粒子に内圧を付与した後、スチーム等で加熱して発泡(二段発泡)させた発泡粒子を得ることもできる。
【0062】
具体的には、上記した方法によって密閉容器内から低圧域に放出されることにより得られた発泡粒子に、放出後に通常行なわれる養生工程を行った後、加圧用密閉容器に充填され発泡粒子(一段発泡)を空気等の加圧気体により加圧処理して発泡粒子内の圧力を0.01〜0.9MPa(G)に調整し、該発泡粒子を該容器から取り出して、水蒸気や熱風等の加熱媒体を用いて加熱することにより、より低い見かけ密度の発泡粒子(二段発泡)とすることができる。
【0063】
本発明の発泡粒子成形体は、加熱及び冷却が可能であり且つ開閉し密閉できる従来公知の熱可塑性樹脂発泡粒子型内成形用の金型のキャビティ内に発泡粒子を充填し、飽和蒸気圧が0.05〜0.48MPa(G)、好ましくは0.08〜0.42MPa(G)の飽和水蒸気を供給して金型キャビティ内で発泡粒子を加熱して膨張させ、発泡粒子相互を融着させて発泡粒子成形体を形成し、次いで得られた発泡粒子成形体を冷却して、キャビティから取り出すバッチ式型内成形法(例えば、特公平4−46217号公報、特公平6−49795号公報等に記載されている成形方法)を採用して製造することができる。
【0064】
なお、型内成形を行うに際して、上記した二段発泡における操作と同様の、発泡粒子内の圧力を高める操作を行い、発泡粒子内の圧力を0.01〜0.3MPa(G)に調整した発泡粒子を型内に充填して、成形することができる。また、圧縮充填法を採用することもできる。
【0065】
型内成形法における飽和水蒸気による加熱の方法としては、一方加熱、逆一方加熱、本加熱などの加熱方法を適宜組合せる従来公知の方法を採用することができるが、特に、予備加熱、一方加熱、逆一方加熱、本加熱の順に発泡粒子を加熱する方法が好ましい。ここで、一方加熱とは、雄型又は雌型のいずれか一方の金型の内部(チャンバー)に加熱媒体を供給することによりキャビティを加熱し、次いで加熱媒体を雄型又は雌型(加熱媒体を供給した型に対し他方の型)のチャンバーから排出させることをいう。上記一方加熱の場合とは加熱媒体が供給される側の金型と加熱媒体が排出される側の金型とが逆になる場合を、上記一方加熱に対して逆一方加熱という。なお、発泡粒子成形時の上記0.05〜0.48MPa(G)の飽和蒸気圧は、型内成形工程において、金型内に供給される水蒸気の飽和蒸気圧の最大値である。
【0066】
なお、前記発泡粒子成形体は、例えば、特開平9−104026号公報、特開平9−104027、及び特開平10−180888号公報等に記載された連続式成形方法によっても製造することができる。
【実施例】
【0067】
実施例により本発明を具体的に説明する。
【0068】
(i)発泡粒子の評価方法を以下に示す。
【0069】
(イ)見かけ密度
本発明における、発泡粒子の見かけ密度(A)は、得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、30℃で、0.1MPaの圧縮空気により48時間加圧処理した後、放圧して30℃の大気圧下で240時間放置する操作を行った後の発泡粒子について、重量を予め測定した発泡粒子群をメスシリンダー中の水中に金網を使用して沈め、その水位上昇分から求められる発泡粒子群の体積
で発泡粒子群の重量
を除してg/Lに単位換算することにより求めた。
なお、二段発泡粒子(二段発泡により得られた発泡粒子)の見かけ密度を見かけ密度(A2)とした。
一方、見かけ密度(B)は、樹脂粒子を発泡させた後、60℃に設定したギアオーブン内で乾燥操作のみを1時間行った後の発泡粒子について、重量を予め測定した発泡粒子群をメスシリンダー中の水中に金網を使用して沈め、その水位上昇分から求められる発泡粒子群の体積
で発泡粒子群の重量
を除してg/Lに単位換算することにより求めた。
【0070】
(ロ)発泡粒子の収縮率
前記(イ)における、発泡粒子の見かけ密度(A)と見かけ密度(B)から、下式により発泡粒子の収縮率を求めた。
【0071】
(数6)
発泡粒子の収縮率=1−(見かけ密度(A)/見かけ密度(B))×100・・・(5)
なお、発泡粒子の収縮率は倍率によっても異なるため、一段発泡後の発泡粒子を用いて収縮の状態を評価した。
【0072】
(ハ)発泡粒子の独立気泡率は、下記により測定した。
得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、30℃で、0.1MPa の圧縮空気により48時間加圧処理し、放圧して30℃の大気圧下で10日間放置した。次いで、発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置し養生した。次に同恒温室内にて、10日間放置した嵩体積約20cm
3の発泡粒子を測定用サンプルとし下記の通り水没法により正確に見かけの体積Vaを測定した。見かけの体積Vaを測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン株式会社製「空気比較式比重計930」により測定される測定用サンプルの真の体積の値Vxを測定した。そして、これらの体積値Va及びVxを基に、下記の式により独立気泡率を計算し、サンプル5個(N=5)の平均値を発泡粒子の独立気泡率とした。
【0073】
(数7)
独立気泡率(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ)・・・(6)
ただし、
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積、即ち、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和(cm
3)
Va:発泡粒子を、水の入ったメスシリンダーに沈めて、水位上昇分から測定される発泡粒子の見かけの体積(cm
3)
W:発泡粒子測定用サンプルの重量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm
3)
【0074】
(ii)発泡粒子成形体の物性測定方法、評価方法を具体的に説明する。
【0075】
(ニ)成形体の見かけ密度
発泡粒子成形体の成形表皮を有しない部分から50mm×50mm×50mmの試験片を切り出し、その容積V2(L)と重量W2(g)から求めた。
【0076】
(ホ)成形体の発泡粒子相互の融着性
縦200mm、横250mm、厚み50mmの金型キャビティで成形した成形体の縦150mm、横60mmの表面の一方の面に、カッターナイフで該成形体の長さを2等分するように、他方向に約10mmの切り込みをいれた後、切り込み部から成形体を折り曲げて破断する破壊テストにより、破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(m)の比(m/n)の値を算出した。
なお、(m/n)の値が大きいほど、発泡粒子間の融着率が高く、曲げ強度や引張強度といった機械的物性が良好発泡成形体となる。上記発泡粒子の個数(n)は発泡粒子間で剥離した発泡粒子の個数と、発泡粒子内で材料破壊した発泡粒子の個数(m)の総和である。
【0077】
(へ)成形体の収縮率
横の長さ250mmの金型寸法と、成形後80℃で24時間養生した該金型寸法に対応する発泡粒子成形体の長さ(X)とを基に下記式により発泡成形体の収縮率を算出し、評価した。
【0078】
(数8)
発泡成形体の収縮率(%)=[(250−X)/250]×100・・・(7)
【0079】
(ト)耐熱性(加熱寸法安定性)
発泡粒子成形体の加熱寸法安定性は以下により評価した。
JIS K6767(1999年)に記載されている熱的安定性(高温時の寸法安定性・B法)に準拠して測定した。得られた発泡粒子成形体の中央部分から、成形表皮を残した長さ150mm、幅150mm、成形体厚み(厚み50mm)の試験片を切り出した。該表皮部分の縦および横方向について、それぞれ3本の線の長さを測定し、その平均値を求めて、加熱前の寸法とし、次に、100℃に保ったギアオーブン内に試験片を入れ22時間加熱を行った後取り出し、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室に1時間放置し、加熱前後の寸法より下式を用いて加熱後の寸法を測定し、加熱寸法変化率を求めた。
【0080】
(数9)
加熱寸法変化率(%)=(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法 ×100・・・(8)
【0081】
(チ)成形体外観
成形体の外観を以下の基準により評価した。
○:表面に凹凸、収縮による皺が殆ど認められない。
×:表面全体に凹凸、収縮による皺が認められる。
【0082】
実施例1
(樹脂粒子の製造)
表1に示すポリフッ化ビニリデン系樹脂(樹脂1)を用い、気泡調整剤PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対し0.15重量部添加するとともに、内径40mmの単軸押出機で溶融混練し、該混練物を押出機先端部に取付けられた口金の小孔からストランド状に押出し、ストランドを冷却後切断して樹脂粒子重量が略1.3mgの樹脂粒子を得た。
【0083】
(発泡粒子の製造)
前記樹脂粒子1kgを分散媒の水3リットルと共に撹拌機を備えた5リットルの耐圧密閉容器内に仕込み、さらに分散媒中に、樹脂粒子100重量部に対し、分散剤としてカオリン0.3重量部、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004重量部、および硫酸アルミニウム0.01重量部を添加した。撹拌下に、表2記載の発泡温度より5℃低い温度まで昇温して、該密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を表2に示す該密閉容器内圧力より0.2MPa(G)低い圧力となるまで圧入し、その温度で15分間保持した。次いで表2に示す発泡温度まで昇温した後、表2に示す密閉容器内圧力となるように二酸化炭素を圧入し、所定の高温ピーク吸熱量が得られるように表2に示す発泡温度で15分間保持した。
その後、窒素にて背圧を加えて容器内圧力が一定になるように調整しつつ、分散媒体と共に発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子を大気圧下に放出して表2に示す発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子について、前述の見かけ密度(A)、見かけ密度(B)、高温ピークの吸熱量(高温ピーク熱量)、独立気泡率、平均気泡径などの諸物性を測定、評価した結果を表2に示す。
【0084】
(発泡粒子成形体の成形)
縦200mm、横250mm、厚さ50mmの平板成形金型を取付けた汎用の発泡粒子成形機を使用し、前記で得られた発泡粒子を、表2に示す内圧を付与した後、前記平板形成用金型のキャビティ内に充填し、表2に示すスチーム加熱による型内成形を行って板状の発泡粒子成形体を得た。該発泡粒子成形体を80℃のオーブン中にて12時間養生してポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
【0085】
実施例2
表2に示す条件を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして樹脂粒子、発泡粒子を得た(一段発泡)。さらに、表3に示す内圧を付与した後、表3に示す条件で二段発泡を行い、さらに低い見かけ密度の発泡粒子を得た。該発泡粒子に表3に示す内圧を付与し、該発泡粒子を前記平板形成用金型のキャビティ内に充填し、表3に示す蒸気圧でスチーム加熱による型内成形を行って、実施例1と同様に板状の発泡粒子成形体を得た。該発泡粒子成形体を80℃のオーブン中にて12時間養生してポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子成形体を得た。
【0086】
実施例3
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、表1に示す樹脂2を用いた以外は実施例2と同様にして、樹脂粒子を得、表3に示す一段発泡粒子及び二段発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を、実施例2と同様に、表3に示す条件で型内成形して発泡粒子成形体を得た。
【0087】
実施例4
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、表1に示す樹脂3を用いた以外は実施例2と同様にして、樹脂粒子を得、表3に示す一段発泡粒子及び二段発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を、実施例2と同様に、表3に示す条件で型内成形して発泡粒子成形体を得た。
【0088】
比較例1
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、表1に示す樹脂4を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子を得、表2に示す発泡粒子を得た。さらに、得られた発泡粒子を実施例1と同様に、表2に示す条件で型内成形して発泡粒子成形体を得た。
比較例1においては、基材樹脂であるポリフッ化ビニリデン系樹脂の曲げ弾性率が低いことから、発泡粒子の収縮率が大きいものであった。更に、発泡粒子成形体は、成形体収縮率が大きく、金型形状の再現性や寸法安定性に劣ることが分かる。
【0089】
比較例2
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、表1に示す樹脂4を用いた以外は実施例2と同様にして樹脂粒子を得、表3に示す一段発泡粒子及び二段発泡粒子を得た。さらに、得られた発泡粒子を実施例2と同様に表3に示す成形条件で、型内成形して発泡粒子成形体を得た。
比較例2においては、比較例1と同様、基材樹脂であるポリフッ化ビニリデン系樹脂の曲げ弾性率が低いことから、発泡粒子の収縮率が大きいものであった。更に、得られた発泡粒子成形体は、成形収縮率が大きく、金型形状の再現性や寸法安定性に劣ることが分かる。
【0090】
比較例3
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、表1に示す樹脂5を用いた以外は実施例2と同様にして樹脂粒子を得、表3に示す一段発泡粒子及び二段発泡粒子を得た。さらに、得られた発泡粒子を実施例2と同様に表3に示す成形条件で、型内成形して発泡粒子成形体を得た。 比較例3においては、樹脂のメルトフローレイトが小さく、独立気泡率の高い発泡粒子が得られず、発泡粒子成形体の収縮率が大きいものであった
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】