(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンを収納するエンジンルームを形成するボンネットと、前記エンジンからの排気ガスを外部に排気する排気路と、その排気路の途中部位にて外気を導入して排気ガスに外気を混合させる外気導入部とを備え、
前記排気路は、前記エンジンルーム内に備えられた内部側流路部位と、前記エンジンルーム外に備えられた外部側流路部位とが備えられ、
前記外気導入部として、前記排気路における前記内部側流路部位に配置され、前記エンジンルーム内の空気を外気として導入する第1外気導入部と、前記排気路における前記外部側流路部位に配置され、前記エンジンルーム外の空気を外気として導入する第2外気導入部とが備えられ、
前記第2外気導入部は、前記第1外気導入部よりも導入させる外気の導入量が多量となるように構成されている作業車の排気装置。
前記エンジンルーム内には、後方側に空気を送風させる冷却ファンが備えられ、前記第1外気導入部は、前記冷却ファンの後方側に配置されている請求項1に記載の作業車の排気装置。
前記第1外気導入部は、第1流通管とその第1流通管よりも流路断面積が大きい第2流通管とを備え、前記第1流通管の下流側端部と前記第2流通管の上流側端部とが、前記第1流通管と前記第2流通管との間に間隙を形成する状態で前記第1流通管を内側とし且つ前記第2流通管を外側とする二重管構造にて構成されており、前記第2外気導入部は、第3流通管とその第3流通管よりも流路断面積が大きい第4流通管とを備え、前記第3流通管の下流側端部と前記第4流通管の上流側端部とが、前記第3流通管と前記第4流通管との間に間隙を形成する状態で前記第3流通管を内側とし且つ前記第4流通管を外側とする二重管構造にて構成されている請求項1又は2に記載の作業車の排気装置。
前記エンジンルーム内には、前記エンジンからの排気ガスを浄化する排気浄化装置が備えられ、前記排気路は、前記排気浄化装置にて浄化された排気ガスを外部に流通させるように構成され、前記ボンネットには、前記排気浄化装置の上部に相当する部位に開口部が備えられている請求項1〜4の何れか1項に記載の作業車の排気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、エンジンからの排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質を捕集除去する排気浄化装置を備えた作業車が提案されている。この排気浄化装置では、捕集した粒子状物質が堆積することによる捕集機能の低下を防止するために、加熱手段により捕集した粒子状物質を加熱して燃焼除去する再生処理を行うように構成されている。よって、再生処理時には排気浄化装置から排出される排気温度が通常の排気温度よりも高温となることから、排気装置としては、その高温となる排気温度を低下させることが求められている。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の排気装置では、排気路の途中部位に間隔を隔てて外気導入部を2つ備えることで、エンジンからの排気ガスに混合させる外気の混合量を増大させ、より高温となる排気ガスでもその排気温度を低下させるようにしている。
しかしながら、特許文献1に記載の排気装置では、2つの外気導入部が排気路において外部に露出した外部側流路部位に備えられている。よって、その外部側流路部位は、2つの外気導入部を備えるだけの長さを有する必要があり、排気路としてはその長さが長くなって、排気路の構成が複雑になる。また、外部側流路部位の長さが長くなると、他の部材との干渉を避けて配置する必要が生じて、その配置位置の調整や支持構成の複雑化を招く虞もある。
【0006】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、排気路の構成の簡素化を図りながら、より高温の排気ガスであってもその排気温度を低下させることができる作業車の排気装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る作業車の排気装置の特徴構成は、エンジンを収納するエンジンルームを形成するボンネットと、前記エンジンからの排気ガスを外部に排気する排気路と、その排気路の途中部位にて外気を導入して排気ガスに外気を混合させる外気導入部とを備え、
前記排気路は、前記エンジンルーム内に備えられた内部側流路部位と、前記エンジンルーム外に備えられた外部側流路部位とが備えられ、
前記外気導入部として、前記排気路における前記内部側流路部位に配置され、前記エンジンルーム内の空気を外気として導入する第1外気導入部と、前記排気路における前記外部側流路部位に配置され、前記エンジンルーム外の空気を外気として導入する第2外気導入部とが備えら
れ、
前記第2外気導入部は、前記第1外気導入部よりも導入させる外気の導入量が多量となるように構成されている点にある。
【0008】
本特徴構成によれば、排気路の内部側流路部位を流通する排気ガスは、まず、第1外気導入部によってエンジンルーム内の空気が導入されて混合される。このとき、内部側流路部位を流通する排気ガスは、高温となっていることから、エンジンルーム内の空気を混合させても、その排気温度を低下させることができる。そして、排気路の外部側流路部位を流通する排気ガスは、第1外気導入部にて排気温度が低下された排気ガスとなる。そこで、第2外気導入部では、エンジンルーム内の空気よりも低温のエンジンルーム外の空気を導入して混合させることで、その排気ガスの排気温度を低下させることができる。このように、第1外気導入部と第2外気導入部との2段階で、外気を導入させて排気ガスに混合させることで、排気ガスの排気温度を効果的に低下させることができる。しかも、第1外気導入部は、エンジンルームを利用して配置することができ、排気路の外部側流路部位に配置されるのは、第2外気導入部のみとなる。よって、排気路の外部側流路部位は、その長さが短くでき、限られたスペースに簡易な構成で配置することができるとともに、他の部材との干渉の問題も発生し難くなる。したがって、排気路の構成の簡素化を図りながら、より高温の排気ガスであってもその排気温度を低下させることができる。
第2外気導入部では、第1外気導入部にて排気温度が低下された排気ガスの排気温度を低下することが求められることから、より多量の外気を導入させて排気ガスに混合させることが望まれる。そこで、本特徴構成では、第2外気導入部は、第1外気導入部よりも導入させる外気の導入量が多量とすることで、この要望に応えることができ、排気温度の低下を効果的に且つより確実に図ることができる。
【0009】
本発明に係る作業車の排気装置の更なる特徴構成は、前記エンジンルーム内には、後方側に空気を送風させる冷却ファンが備えられ、前記第1外気導入部は、前記冷却ファンの後方側に配置されている点にある。
【0010】
本特徴構成によれば、第1外気導入部は、冷却ファンにて送風される空気を外気として積極的に排気路に導入させることができる。よって、第1外気導入部では、外気の導入量を極力多量とし易く、冷却ファンにて送風される比較的低温の空気を導入させることができ、排気温度の低下を的確に図ることができる。
【0013】
本発明に係る作業車の排気装置の更なる特徴構成は、前記第1外気導入部は、第1流通管とその第1流通管よりも流路断面積が大きい第2流通管とを備え、前記第1流通管の下流側端部と前記第2流通管の上流側端部とが、前記第1流通管と前記第2流通管との間に間隙を形成する状態で前記第1流通管を内側とし且つ前記第2流通管を外側とする二重管構造にて構成されており、前記第2外気導入部は、第3流通管とその第3流通管よりも流路断面積が大きい第4流通管とを備え、前記第3流通管の下流側端部と前記第4流通管の上流側端部とが、前記第3流通管と前記第4流通管との間に間隙を形成する状態で前記第3流通管を内側とし且つ前記第4流通管を外側とする二重管構造にて構成されている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、第1外気導入部及び第2外気導入部の両者とも、2つの流通管を二重管構造とする簡易な構造により構成することができる。したがって、第1外気導入部と第2外気導入部との2つの外気導入部を備える場合でも、その構成の簡素化を図りながら、2つの外気導入部にて排気温度の低下を効果的に図ることができる。
本発明に係る作業車の排気装置の更なる特徴構成は、前記第1流通管と前記第2流通管との間の間隙の流通断面積よりも、前記第3流通管と前記第4流通管との間の隙間の流通断面積の方が大きく設定されている点にある。
【0015】
本発明に係る作業車の排気装置の更なる特徴構成は、前記エンジンルーム内には、前記エンジンからの排気ガスを浄化する排気浄化装置が備えられ、前記排気路は、前記排気浄化装置にて浄化された排気ガスを外部に流通させるように構成され、前記ボンネットには、前記排気浄化装置の上部に相当する部位に開口部が備えられている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、排気路は、排気浄化装置にて浄化された排気ガスを外部に流通させるので、排気浄化装置からの排気ガスはより高温となるが、上述の如く、第1外気導入部と第2外気導入部とによってその排気ガスの排気温度を効果的に低下させることができる。しかも、ボンネットには、排気浄化装置の上部に相当する部位に開口部が備えられ、その開口部からエンジンルーム内の空気が外部に排出されることから、エンジンルーム内の空気が高温となるのを抑制することができる。これにより、第1外気導入部にてエンジンルーム内の空気を導入させる際に、より低温の空気を導入させることができ、排気温度の低下にも貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る作業車の排気装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る作業車の排気装置を適用した作業車の一例であるトラクタの全体側面を示している。
このトラクタは、車体前部に原動部1を備え、その原動部1の後部で車体中間部に操縦部2を備えており、エンジン搭載フレーム3、クラッチハウジング(図外)、及びミッションケース4を一体的に連結して車体フレーム5を構成している。そして、エンジン搭載フレーム3に原動部1を搭載しており、車体フレーム5が左右一対の前輪6及び後輪7にて支持されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、原動部1には、エンジン搭載フレーム3上に、防振材(図外)で防振支持されたディーゼルエンジンを採用したエンジン8が設けられている。このエンジン8を収納するエンジンルーム9を形成するボンネット10が備えられ、このボンネット10は、その内部にエンジンルーム9を形成する閉状態とそのエンジンルーム9を開放する開状態とに上下揺動自在に備えられている。エンジン8からの動力を、フレーム兼用のミッションケース4に内装した走行用の変速装置(図示せず)等からなる走行伝動系を介して前輪6及び後輪7に伝達するように構成して、四輪駆動型のトラクタが構成されている。また、操縦部2には、ステアリングホイール13や運転座席14等が備えられている。
【0020】
図1に戻り、ミッションケース4の後部には、その後上部に内装した油圧式の昇降シリンダ(図示せず)の作動で上下方向に揺動駆動される左右一対のリフトアーム11や、エンジン動力の外部への取り出しを可能にする動力取出軸12等が備えられている。動力取出軸12には、ミッションケース4に内装した走行伝動系とは別系統の作業用の変速装置(図示せず)や作業クラッチ(図示せず)等からなる作業伝動系を介して、エンジン8からの動力が伝達されている。そして、左右のリフトアーム11には、ミッションケース4の後部に昇降揺動可能に連結装備されるリンク機構(図示せず)が連結され、動力取出軸12には、そのリンク機構に連結されるロータリ耕耘装置などの作業装置(図示せず)に対して動力を伝えるための伝動軸等が接続される。
【0021】
図2及び
図3に示すように、エンジンルーム9内には、機体前後方向の前方側から順に、バッテリ15、ラジエータ16、機体後方側に空気を送風させる冷却ファン17、エンジン8が備えられている。また、エンジンルーム9内には、バッテリ15の上部にエンジン用のエアクリーナ57が備えられ、エンジン8の上部にDOC20(ディーゼル酸化触媒)やDPF21(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)等を収容したマフラ機能付きの排気浄化装置18が備えられている。排気浄化装置18は、その長手方向が機体前後方向となるように前後向きの姿勢で配置されている。そして、エンジン8の上部で排気浄化装置18の横側部、及び、エンジン8の後方側に亘って、燃料タンク41が備えられている。
【0022】
(ボンネット)
エンジンルーム9を形成するボンネット10は、上部パネル10aと機体横幅方向の左右両側の側部パネル10bと前部パネル10cとを備えた下方側及び後方側が開放された箱状に形成されている。そして、上部パネル10aと左右両側の側部パネル10bと前部パネル10cとを一体のパネル体として形成しており、そのパネル体にてボンネット10が構成されている。
【0023】
上部パネル10aは、原動部1の上部を覆うように機体前後方向に長尺状に形成されている。上部パネル10aには、排気浄化装置18の上部に相当する部位に、エンジンルーム9内の空気を外部に排出可能な開口部23(
図3では一点鎖線で囲んだ部分)が備えられている。開口部23は、排気浄化装置18の前方側部位(排気ガスの排出側部位)の上部に相当する部位に配置されている。その開口部23には、多数の孔部が形成された多孔体24が備えられ、エンジンルーム9内の空気の外部への排出は許容しながら、外部からエンジンルーム9内への異物の侵入を防止するようにしている。側部パネル10bの夫々は、その後方側部位が前方側部位よりも上方側に窪んだ形状に形成されており、その上方側に窪んだ部位には、ボンネット10とは別体のサイドパネル40が備えられている。このサイドパネル40は、多数の孔部が形成された多孔状部位を有しており、エンジンルーム9内の空気を外部に排出可能に構成されている。
【0024】
ボンネット10は、その後端部の機体横幅方向に沿う揺動軸心25を支点として、上下揺動自在に支持されている。揺動軸心25は、エンジンルーム9とその後方側空間とを区画する区画体26から機体前方側に延びる左右一対の支持体27に支持されている。区画体26は、上下方向及び機体横幅方向に幅を有する板状に形成されており、機体前後方向でボンネット10の後端部に近接配置されている。
【0025】
ボンネット10は、その上部パネル10aと機体側との間に配置された付勢部材28によって上方側に揺動付勢されている。ボンネット10を上方側に揺動させて閉状態から開状態とする場合に、付勢部材28の付勢力を利用して容易にボンネット10を上方側に揺動させることができるようになっている。
【0026】
(排気浄化装置)
排気浄化装置18は、エンジン8の排気管19に連結されており、その排気管19を流通した排気ガスを浄化するように構成されている。排気浄化装置18は、その排気ガスの通流方向の上流側から順に、DOC20、DPF21を備えており、機体後方側から供給された排気ガスを浄化し、その浄化された排気ガスを機体前方側に排出するように構成されている。排気浄化装置18は、エンジン8からの排気ガス中に含まれる微粒状物質をDPF21で捕集し、排気ガス中の未燃燃料をDOC20で酸化燃焼させて排気温度を上げることによりDPF21に捕集された微粒状物質を焼却してDPF21の再生処理を行うように構成されている。この再生処理をどのようなタイミングにて行うかを判別するために、DPF21の上流側部位と下流側部位との差圧を検出する差圧センサ22が備えられている。排気浄化装置18を制御する制御部(図示省略)は、差圧センサ22の検出情報に基づいて、DPF21が目詰まりを生じているか等、再生処理を行う必要があるかを判別して、適正なタイミングにて再生処理を行うようにしている。
【0027】
(排気路)
エンジン8からの排気ガスを外部に排気する排気路29が備えられており、その排気路29の途中部位に排気浄化装置18が備えられている。排気路29は、エンジンルーム9内に備えられた内部側流路部位30と、エンジンルーム9外に備えられた外部側流路部位31とが備えられ、排気ガスの通流方向で内部側流路部位30が外部側流路部位31よりも上流側となっている。エンジン8から排気浄化装置18に排ガスを導く排気管19は、内部側流路部位30に含まれている。そして、排気浄化装置18にて浄化された排気ガスの排気温度を低下させるために、排気路29には、その途中部位にて外気を導入して排気ガスに外気を混合させる外気導入部32が備えられている。
【0028】
外気導入部32として、排気路29における内部側流路部位30に配置され、エンジンルーム9内の空気を外気として導入する第1外気導入部33と、排気路29における外部側流路部位31に配置され、エンジンルーム9外の空気を外気として導入する第2外気導入部34とが備えられている。
【0029】
(第1外気導入部)
第1外気導入部33は、
図2、
図4、
図5(A)に示すように、上流側流通管35(第1流通管に相当する)とその上流側流通管35よりも流路断面積が大きい中間流通管36(第2流通管に相当する)とを備えている。第1外気導入部33は、上流側流通管35の下流側端部と中間流通管36の上流側端部とが、上流側流通管35と中間流通管36との間に間隙K1を形成する状態で上流側流通管35を内側とし且つ中間流通管36を外側とする二重管構造にて構成されている。
【0030】
上流側流通管35は、排気浄化装置18の排出部37に連結されており、その途中に前方側に湾曲する湾曲部位35aを有し、上方側から下方側に延びるように構成されている。中間流通管36は、上方側から下方側に延びる上流側部位36aと、その上流側部位36aに連続して排気ガスの流通方向を上下方向から機体前後方向に変えるように機体前方側に湾曲する下流側部位36bとを備えている。そして、上流側流通管35、及び、中間流通管36の上流側端部からその途中部位までが、内部側流路部位30となっている。上流側流通管35及び中間流通管36は、ともに流路断面が円形状に形成されており、中間流通管36の内径を上流側流通管35よりも大径とすることで、流路断面積の大小関係が形成されている。中間流通管36の支持については、上流側流通管35と中間流通管36とを連結する連結体38が備えられており、この連結体38による連結によって、中間流通管36が上流側流通管35に固定支持されている。連結体38は、上流側流通管35及び中間流通管36の周方向において、連結体38同士の間に外気を流通させる隙間を形成するように間隔を隔てて複数備えられており、上流側流通管35と中間流通管36との間の間隙K1における外気の流通を極力阻害しないように構成されている。また、中間流通管36は、機体側に連結された機体側連結体59にも連結されている。
【0031】
第1外気導入部33は、上流側流通管35から中間流通管36への排気ガスの流入によるエジェクタ作用によって、上流側流通管35と中間流通管36との間の間隙K1からエンジンルーム9内の空気を中間流通管36に導入させて排気ガスに混合させ、排気ガスの排気温度を低下させるようにしている。間隙K1は、上流側流通管35の周方向の全周に亘って形成されており、その径方向の幅が同一となっている。第1外気導入部33は、冷却ファン17の後方側に配置されており、冷却ファン17にて機体後方側に通風される空気を積極的に外気として導入できるように構成されている。また、第1外気導入部33は、機体横幅方向でサイドパネル40における多孔状部位に近接配置されている。これにより、サイドパネル40の多孔状部位からエンジンルーム9の外部に排出される比較的低温の空気を外気として第1外気導入部33にて導入し易く、排気温度の低下を行い易くなっている。
【0032】
(第2外気導入部)
第2外気導入部34は、
図2、
図4、
図5(B)に示すように、中間流通管36(第3流通管に相当する)とその中間流通管36よりも流路断面積が大きい下流側流通管39(第4流通管に相当する)とを備えている。第2外気導入部34は、中間流通管36の下流側端部と下流側流通管39の上流側端部とが、中間流通管36と下流側流通管39との間に間隙K2を形成する状態で中間流通管36を内側とし且つ下流側流通管39を外側とする二重管構造にて構成されている。この実施形態では、特許請求の範囲における第2流通管と第3流通管とが、単一の中間流通管36にて兼用されている。
【0033】
下流側流通管39は、エンジン搭載フレーム3の横側部に機体側連結体60にて固定支持されており、2つのコ字状部材を組み合わせることで、その流路断面形状が多角形(例えば、6角形)に形成されている。そして、中間流通管36の途中部位から下流側端部まで、及び、下流側流通管39が、外部側流路部位31となっている。第2外気導入部34は、ボンネット10の下方でエンジン搭載フレーム3の横側部に配置されている、第2外気導入部34は、中間流通管36から下流側流通管39への排気ガスの流入によるエジェクタ作用によって、中間流通管36と下流側流通管39との間の間隙K2からエンジンルーム9外の空気を下流側流通管39に導入させて排気ガスに混合させ、排気ガスの排気温度を低下させるようにしている。間隙K2は、中間流通管36の周方向の全周に亘って形成されており、その径方向の幅は上下方向よりも機体横幅方向の方が大きくなるように構成されており、その機体横幅方向からより多くの外気を導入できるようになっている。
【0034】
ここで、第2外気導入部34における中間流通管36と下流側流通管39との間の間隙K2は、第1外気導入部33における上流側流通管35と中間流通管36との間の間隙K1よりもその断面積が大きくなるように構成されている。これにより、第2外気導入部34は、第1外気導入部33よりも導入させる外気の導入量が多量となるように構成されており、第1外気導入部33にて排気温度が低下された排気ガスに多量の外気を混合させて、その排気温度を効果的に低下させることができる。このようにして、排気温度が低下された排気ガスが、下流側流通管39を流通して機体前方側に排出されている。
【0035】
下流側流通管39は、上流側流通管35及び中間流通管36よりもその長さが短いので、排気路29における外部側流路部位31の長さを極力短くすることができる。これにより、エンジン搭載フレーム3の横側部の限られたスペースであっても、他の部材との干渉を避けて適切に配置しながら、排気温度の低下という効果を得ることができる。
【0036】
(燃料タンク)
燃料タンク41は、
図3、
図6、
図7に示すように、前方側が幅狭で後方側が幅広の平面視でL字状に形成されており、燃料タンク支持体42によって支持されている。燃料タンク支持体42は、燃料タンク41の底部を載置支持する底部43と、燃料タンク41の前端部に近接位置する前壁部44と、燃料タンク41の左横側部に近接位置する横壁部45とを備えている。
【0037】
底部43は、
図6に示すように、最上位に位置する前端側部位43aと、段部を挟んで前端側部位43aよりも1段低く形成された中間部位43bと、段部を挟んで中間部位43bよりも1段低く形成された後端側部位43cとを有する3段状の板状体にて構成されている。底部43は、燃料タンク41の底部との間に弾性支持部材46を介在させて燃料タンク41の底部を載置支持するように構成されている。機体横幅方向で燃料タンク41の外周部に形成された溝部41aに嵌合されて燃料タンク41の移動を規制する移動規制部材58が備えられ、その移動規制部材58の両端部が底部43に締結自在に構成されている。
【0038】
前壁部44は、
図7に示すように、底部43の前端部から上方側に延びる板状体にて構成されており、燃料タンク41の前面部を覆うように形成されている。前壁部44には、燃料タンク41の前面部に備えられた係合部47(例えば、突起部)を係合させる被係合部48(例えば、係合孔部)が形成されている。これにより、燃料タンク41の係合部47を前壁部44の被係合部48に係合させることで、燃料タンク41の機体横幅方向の移動を規制するように構成されている。また、燃料タンク41の横側部が横壁部45に当接することによっても、燃料タンク41の機体横幅方向の移動を規制することができる。
【0039】
横壁部45は、底部43の左端部から上方側に板状体にて構成されており、燃料タンク41と排気浄化装置18とを機体横幅方向及び機体前後方向で仕切るように構成されている。つまり、エンジンルーム9は、横壁部45によって、排気浄化装置18側の空間と燃料タンク41側の空気とに区画されており、排気浄化装置18の熱の影響が燃料タンク41に及ばないようにしている。そして、横壁部45において機体前後方向で燃料タンク41と排気浄化装置18とで仕切る部位が、燃料タンク41に当接することで、燃料タンク41の機体前後方向での移動を規制している。また、燃料タンク41の機体前後方向での移動の規制については、上述の移動規制部材58によっても規制されている。
【0040】
(ボンネットの付勢部材)
上述の如く、
図6に示すように、ボンネット10を上方側に揺動付勢する付勢部材28が備えられている。この付勢部材28は、例えば、ガススプリングにて構成されており、機体横幅方向の中央部に備えられている。付勢部材28は、ボンネット10側に連結された筒状部材49と、その筒状部材49に対して挿脱自在な棒状部材50とを備えている。付勢部材28は、棒状部材50が筒状部材49に対して挿脱することで伸縮自在となっており、伸縮側に付勢されていることで、ボンネット10を上方側に揺動付勢している。棒状部材50の端部を機体側に取り付けるために、燃料タンク支持体42の底部43には、その機体横幅方向の中央部に、板状の第1支持部位51とその第1支持部位51から上方側に延びる板状の第2支持部位52とを一体的に有する付勢部材用支持体53が備えられている。そして、棒状部材50の端部は、第2支持部位52を挟み込む状態で横軸心周りに揺動自在に取り付けられている。このようにして、付勢部材用支持体53の第1支持部位51を燃料タンク支持体42の底部43に締結し、付勢部材用支持体53の第2支持部位52に付勢部材28の一端部を揺動自在に取り付けるだけで、付勢部材28の一端部を燃料タンク支持体42に揺動自在に取り付けることができる。よって、付勢部材28の取り付け作業の簡素化を図ることができるとともに、燃料タンク支持体42の底部43を、付勢部材28を揺動自在に支持するための部材としても用いることができる。また、付勢部材28は、燃料タンク支持体42の横壁部27を挟んで排気浄化装置18とは機体横幅方向で反対側に配置されている。つまり、機体横幅方向で付勢部材28と排気浄化装置18との間には横壁部27が存在することになり、付勢部材28は、排気浄化装置18の熱の影響が及び難い箇所に配置されている。
【0041】
(排気浄化装置の差圧センサ)
上述の如く、排気浄化装置18には、
図3及び
図6に示すように、DPF21が目詰まりを生じているか等を判別するために差圧センサ22が備えられている。この差圧センサ22は、排気浄化装置18の熱の影響が及び難い箇所に配置されている。燃料タンク支持体42の前壁部44には、その上部から前方側に突出するセンサ支持体54が備えられており、そのセンサ支持体54の先端部に差圧センサ22が配設されている。差圧センサ22には、DPF21の上流側部位と連通する上流側連通部55、及び、DPF21の下流側部位と連通する下流側連通部56が連結されており、DPF21の上流側部位と下流側部位との差圧を検出するように構成されている。このように、差圧センサ22は、燃料タンク41と排気浄化装置18とを仕切る燃料タンク支持体42の横壁部45よりも、機体横幅方向で排気浄化装置18から離れる側に配置されており、排気浄化装置18の熱の影響を受け難い。また、このような位置に差圧センサ22を配置するために、燃料タンク41を支持するための燃料タンク支持体42の前壁部44を利用することができる。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1外気導入部33にて二重管構造の外側に配置する流通管と第2外気導入部34にて二重管構造の内側に配置する流通管とを、同一の中間流通管36としているが、第1外気導入部33にて二重管構造の外側に配置する流通管と第2外気導入部34にて二重管構造の内側に配置する流通管とを別の流通管とすることもできる。
【0043】
(2)上記実施形態において、上流側流通管35、中間流通管36、下流側流通管39の形状については適宜変更が可能であり、例えば、全ての流通管の流路断面を、円形状、あるいは、下流側流通管39のように多角形状とすることもできる。
【0045】
(
3)上記実施形態において、第1外気導入部33及び第2外気導入部34を二重管構造としたが、この二重管構造に限るものではない。例えば、外気導入部は、上流側流通管と下流側流通管とを備え、下流側流通管の途中部位等に開口部を形成し、その開口部に上流側流通管から排気ガスを流入させることで、その排気ガスの流入によるエジェクタ作用によって、上流側流通管の周囲から開口部を通して外気を下流側流通管に導入させて排気ガスに混合させるように構成することもできる。
【0046】
(
4)上記実施形態では、作業車としてトラクタを例示したが、例えば、コンバインや建機等、その他各種の作業車を適応することができる。