(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通常モードと待機モードとにおいてネットワークからの情報要求データを受信し、前記情報要求データに対する応答データを前記ネットワークに送信可能な応答装置において、
前記通常モードのときに、前記応答データを作成する通常モード応答データ作成手段と、
前記通常モードのときに、前記通常モード応答データ作成手段により作成された前記応答データの情報を、前記待機モードのときに読み出し可能な記憶手段に蓄積する情報蓄積手段と、
前記待機モードのときに、前記情報蓄積手段により前記記憶手段に蓄積された前記応答データの情報から、前記応答データを作成し、前記応答データの情報の応答頻度を記憶する待機モード応答データ作成手段と、
前記通常モードのときに、前記情報蓄積手段により蓄積された前記応答データの情報の容量が、前記記憶手段の記憶容量を超える場合、前記応答頻度が予め定められた閾値より低い前記応答データの情報を削除する蓄積応答データ削除手段とを備え、
前記待機モード応答データ作成手段は、
前記待機モードのときに、前記応答データを作成できなかった前記情報要求データの情報を、前記記憶手段に記憶し、
前記情報蓄積手段は、
前記応答データを作成できなかった前記情報要求データの情報に対応して、前記通常モード応答データ作成手段により作成された前記応答データの情報を、前記応答頻度が低い前記応答データの情報より優先して蓄積する
ことを特徴とする応答装置。
通常モードと待機モードとにおいてネットワークからの情報要求データを受信し、前記情報要求データに対する応答データを前記ネットワークに送信可能により実行されるネットワーク応答方法において、
前記通常モードのときに、前記応答データを作成し、
前記通常モードのときに、作成された前記応答データの情報を、前記待機モードのときに読み出し可能な記憶手段に蓄積し、
前記待機モードのときに、前記記憶手段に蓄積された前記応答データの情報から、前記応答データを作成し、前記応答データの情報の応答頻度を記憶し、
前記待機モードのときに、前記応答データを作成できなかった前記情報要求データの情報を、前記記憶手段に記憶し、
前記通常モードのときに、蓄積された前記応答データの情報の容量が、前記記憶手段の記憶容量を超える場合、前記応答頻度が予め定められた閾値より低い前記応答データの情報を削除し、
前記通常モードのときに、前記応答データを作成できなかった前記情報要求データの情報に対応して、作成された前記応答データの情報を、前記応答頻度が低い前記応答データの情報より優先して蓄積する
ことを特徴とするネットワーク応答方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
〔応答システムXの構成〕
まず、
図1により、本発明の実施の形態に係る応答システムXの構成について、説明する。
応答システムXは、応答装置1と端末2で構成され、応答装置1と端末2は、ネットワーク5で接続されている。
応答装置1は、プリンター、多機能プリンター、多機能周辺装置、又は複合機などのMFPである画像形成装置、又はネットワーク5を経由して情報要求データ131を受信し、情報要求データ131に対する応答データ132を送信するその他の装置である。本実施形態において、応答装置1は、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)エージェントの機能を備えていてもよい。
端末2は、応答装置1に対して情報要求データ131を送信し、情報要求データ131に対する応答データ132を受信するPC(Personal Computer)等のコンピュータである。端末2は、SNMPマネージャーの機能を備えていてもよい。
ネットワーク5は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等の外部ネットワークである。ネットワーク5は、例えば、TCP/IPのパケットを送受信可能である。
【0012】
〔応答装置1の制御構成〕
次に、
図2により、応答装置1の制御構成について説明する。
本発明の実施の形態に係る応答装置1は、コントローラー部10、待機応答部20、及び通信インターフェイス部30を備えている。各部は、通信インターフェイス部30を介してネットワーク5へ接続される。
【0013】
(コントローラー部10の構成)
コントローラー部10は、画像形成装置等の各部を制御する主基板とネットワークカード等の機能を備えたホストコントローラーである。コントローラー部10は、コントローラー制御部100、コントローラー入力部110、コントローラー出力部120、記憶部130、及び電源部140を備えている。
コントローラー部10は、応答装置1が通常モードのときに、情報要求データ131を入力し、応答データ132を出力する。このため、コントローラー部10は、コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110で受信した受信パケットを処理し、コントローラー出力部120へ応答パケットを送信する。
【0014】
コントローラー制御部100は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理手段である。また、コントローラー制御部100は、通常モード応答データ作成部101(通常モード応答データ作成手段)を備えている。この通常モード応答データ作成部101の詳細については後述する。
コントローラー制御部100は、記憶部130のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各手段として動作させられる。これにより、コントローラー制御部100は、例えば、SNMPエージェントとして機能させることが可能である。また、コントローラー制御部100は、図示しない外部の端末や操作パネル部から入力された所定の指示情報に応じて、画像形装置等の装置全体の制御を行う。
【0015】
コントローラー入力部110は、待機応答部20から受信したパケットをコントローラー制御部100へ出力する。言い換えると、コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110を介して、待機応答部20から出力される情報要求データ131を入力する。
より詳しく説明すると、コントローラー入力部110は、通信インターフェイス部30の受信部310から入力され待機応答部20から出力された情報要求データ131を入力する。また、コントローラー入力部110は、これに加え、後述する再帰応答要求部202により再帰的に送信され待機応答部20から出力された情報要求データ131も入力する。
【0016】
コントローラー出力部120は、コントローラー制御部100により作成されたパケットを、待機応答部20へ出力する。言い換えると、コントローラー出力部120は、応答データ132を待機応答部20に出力する。
【0017】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー等の半導体メモリー、又はHDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体を含む記憶手段である。また、記憶部130は、情報要求データ131及び応答データ132を記憶する。
記憶部130のRAMは、待機モードの状態であっても、セルフリフレッシュ等の機能により、記憶内容が保持される。また、記憶部130のROMやHDDには応答装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。これに加えて、記憶部130は、ユーザーのアカウント設定も記憶していてもよい。また、記憶部130には、ユーザー毎の保存フォルダーの領域が含まれていてもよい。
なお、記憶部130は、待機モードのときには、待機応答部20から読み出しや書き込みが不可能であってもよい。
【0018】
電源部140は、コントローラー部10のコントローラー制御部100を含む各部に電源を供給する手段である。また、電源部140は、待機応答部20の電源待機応答制御部200からの入力を受けて、コントローラー制御部100の電源を制御する。電源部140は、待機応答部20からの制御により電源がオンされると各部に電力を供給し、またはオフされると各部への電力の供給を停止する。
【0019】
通常モード応答データ作成部101は、通常モードのときに、応答データ132を作成する。通常モード応答データ作成部101は、コントローラー入力部110から情報要求データ131を取得すると、一時的に記憶部130に保存する。
通常モード応答データ作成部101は、この情報要求データ131を参照して、応答が必要な場合は、応答データ132を作成してコントローラー出力部120に出力する。
また、通常モード応答データ作成部101は、記憶部130に予め設定された条件になった場合、通常モードから待機モードに移行させる。通常モード応答データ作成部101は、この予め設定された条件として、例えばユーザーの指示を検知しなくなってから、図示しないタイマーで設定された時間が経過した場合、通常モードから待機モードに移行させる。このユーザーの指示を検知しなくなる条件としては、例えば、印刷データ等を受信せず、操作パネルにユーザーが最後に触れてから設定された時間が経過した場合等の条件を設定可能である。
【0020】
ここで、応答装置1のコントローラー制御部100は、記憶部130に記憶された制御プログラムを実行することで、通常モード応答データ作成部101として機能する。
【0021】
情報要求データ131は、各種プロトコルにより応答装置1の各種情報を要求するためのデータである。情報要求データ131は、コントローラー入力部110から取得され、通常モード応答データ作成部101により一時的に記憶される。
情報要求データ131は、例えば、ARP(Address Resolution Protocol)リクエスト、RARP(Reverse address resolution protocol)、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)、BOOTP(Bootstrap Protocol)等の各種リクエスト(要求)等のデータであってもよい。
また、情報要求データ131は、例えば、SNMPのOID(Object IDentifier)を含む「SNMP−Getリクエスト」や「SNMP−GetNextリクエスト」等の各種リクエストのデータ等を含んでいてもよい。
【0022】
応答データ132は、情報要求データ131に対して、各種プロトコルに従った応答を行うためのデータである。応答データ132は、通常モード応答データ作成部101により作成され、コントローラー出力部120に出力される。
応答データ132は、例えば、情報要求データ131がARPリクエストやRARPリクエストの場合、応答装置1のIPアドレスやMACアドレスであってもよい。
また、応答データ132は、例えば、情報要求データ131がSNMPの各種リクエストであった場合、応答装置1のMIB(Management Information Base)についてOIDを参照して作成された、「SNMP−Getレスポンス」や「TRAP」等の応答のメッセージのデータを含んでいてもよい。
【0023】
(待機応答部20の構成)
待機応答部20は、応答装置1が待機モードのときに、ネットワーク5に対して待機応答を行うASIC等を含んでいる待機応答のための手段である。待機応答部20は、待機応答制御部200、待機応答入力部210、待機応答出力部220、及び記憶部230(記憶手段)を備えている。これらの各部は、各種バスで接続されている。
待機応答部20は、待機モードのときに、通信インターフェイス部30から情報要求データ131を入力し、通信インターフェイス部30へ応答データ132を出力する。
【0024】
待機応答制御部200は、GPP、MPU、又はCPU等の制御手段を備えている。待機応答制御部200は、待機応答入力部210、待機応答出力部220、及び記憶部230に接続されており、各部の制御を行う。また、待機応答制御部200は、コントローラー部10のコントローラー制御部100よりも消費電力が少なくてもよい。
また、待機応答制御部200は、待機モード応答データ作成部201(待機モード応答データ作成手段)、再帰応答要求部202(再帰応答要求手段)、情報蓄積部203(情報蓄積手段)、電源制御部204(電源制御手段)、及び蓄積応答データ削除部205(蓄積応答データ削除手段)を備えている。
【0025】
待機応答入力部210は、通信インターフェイス部30又は再帰応答要求部202から入力されたパケットを、コントローラー部10又は待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201へ出力する。また、待機応答入力部210は、通信インターフェイス部30から出力される情報要求データ131を入力する。
【0026】
待機応答出力部220は、コントローラー部10、又は待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201から入力されたパケットを、情報蓄積部203又は通信インターフェイス部30へ出力する。また、待機応答出力部220は、応答データ132を通信インターフェイス部30と待機応答制御部200の情報蓄積部203に出力する。
【0027】
記憶部230は、RAM、ROM、フラッシュメモリー等の記録媒体を含む記憶手段である。記憶部230の記憶容量は、コントローラー部10の記憶部130より少なくてもよい。
記憶部230は、通常モード及び待機モードのときに、待機応答制御部200から読み出し及び書き込み可能である。
なお、記憶部230は、待機応答制御部200に内蔵されていてもよい。また、待機応答制御部200が実行するプログラム及びデータについてのみ、待機応答制御部200に内蔵されたROM等に記憶されていてもよい。
【0028】
待機モード応答データ作成部201は、応答装置1が待機モードのときに、情報蓄積部203により記憶部230蓄積されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232を用いて、応答データ132を作成する。言い換えると、待機モード応答データ作成部201は、待機応答入力部210から入力されたパケットの応答用のデータを、記憶部230のデータを用いて作成する。
具体的には、待機モード応答データ作成部201は、例えば、受信したARPリクエストやRARPリクエストに対して、記憶部230のアドレス情報231から応答データ132を作成する。
【0029】
また、待機モード応答データ作成部201は、例えば、受信したSNMP−GETリクエストに対して、SNMP応答情報232から、対応するOIDのデータを読み出して、応答データ132を作成する。待機モード応答データ作成部201は、この際、SNMP応答情報232の各OIDのデータの応答頻度を算出して記憶する。なお、待機モード応答データ作成部201は、アドレス情報231についても、応答頻度を算出して記憶してもよい。
また、待機モード応答データ作成部201は、待機モードのときに、応答データ132が作成できない場合は、コントローラー部10を復帰させる。このため、待機モード応答データ作成部201は、電源制御部204から、復帰命令を電源部140に通知させる。ここで、応答データ132を作成できなかった情報要求データ131がSNMPのリクエストであった場合、待機モード応答データ作成部201は、この情報要求データ131のOIDの情報を、記憶部230に作成不可応答情報233に記憶する。
【0030】
再帰応答要求部202は、通常モードのときに、通常モード応答データ作成部101に対して、他の応答データ132の情報を要求する情報要求データ131を再帰的に送信するリクエスト作成手段である。
再帰応答要求部202は、外部からの情報要求データ131に対応して、通常モード応答データ作成部101により、予め定められた特定の種類の情報を含む応答データ132が作成された場合、他の応答データ132の情報を要求する。
具体的には、再帰応答要求部202は、情報蓄積部203により、IPアドレス及びMACアドレスがアドレス情報231に記憶されたことを検出して、SNMPのMIBのデータをコントローラー部10から再帰的に送信させる。このため、再帰応答要求部202は、例えば、記憶部230からIPアドレス及びMACアドレスを取得して、SNMP−GetNextリクエストのパケットを生成し、待機応答入力部210に入力させる。
【0031】
情報蓄積部203は、通常モードのときに、通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報を、待機モードのときに読み出し可能な記憶部230にアドレス情報231及びSNMP応答情報232として蓄積する。この際、情報蓄積部203は、コントローラー部10から待機応答出力部220を経由して、通信インターフェイス部30に出力される応答データ132の情報を取得して蓄積する。このため、情報蓄積部203は、待機応答出力部220から出力されるパケットを取得して解析し、必要な情報を記憶部230へ記憶する。
具体的には、情報蓄積部203は、ARPやRARPのパケットが入力された場合に、アドレス情報231に、IPアドレスとMACアドレスとを設定し記憶させる。
情報蓄積部203は、同様に、SNMP応答パケットが入力された場合にSNMP応答情報232へOIDと応答データ132とを記憶する。この際、情報蓄積部203は、作成不可応答情報233に対応して、通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報を、応答頻度が低い応答データ132の情報より優先して蓄積する。これにより、情報蓄積部203は、通常モード時に、SNMP応答情報232に、応答装置1のSNMPのMIBのうち、応答頻度が高いOIDのデータを更新しつつ蓄積しておくことができる。
【0032】
また、情報蓄積部203は、通常モードのときに、再帰応答要求部202により再帰的に送信された情報要求データ131に対応して通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報についても蓄積する。
また、情報蓄積部203は、特定の種類の情報を取得した場合、その旨を再帰応答要求部に通知してもよい。たとえば、情報蓄積部203は、ARPやRARPパケットが入力され、アドレス情報231へIPアドレスとMACアドレスを初めて記憶した場合は、その旨を待機応答制御部200の再帰応答要求部202へ通知する(以下、この通知を「アドレス記憶通知」という。)。
【0033】
電源制御部204は、コントローラー部10の電源部140をオンまたはオフに制御する。
電源制御部204は、コントローラー部10からの待機モード移行命令を受信すると、コントローラー部10の電源部140をオフにし、待機応答部20の待機モードでの処理を開始させる。
また、電源制御部204は、待機モード応答データ作成部201により通常モードへ移行する指示を受信すると、電源部140をオンにする。これにより、電源制御部204は、電源部140を介してコントローラー部10の電源を復帰させ、通常モードの処理を開始させる。
【0034】
蓄積応答データ削除部205は、通常モードのときに、情報蓄積部203により蓄積された応答データ132の情報の容量が、記憶部230の記憶容量を超える場合、応答頻度が予め定められた閾値より低い、SNMP応答情報232のOIDのデータを削除する。この予め定められた閾値は、応答装置1の操作パネル部や端末2からユーザーの指示に基づいて設定され、記憶部130又は記憶部230に記憶されていてもよい。また、予め定められた閾値は、記憶部230の容量と各OIDデータの応答頻度に応じて、蓄積応答データ削除部205により調整されてもよい。
【0035】
ここで、応答装置1の待機応答制御部200は、記憶部230に記憶された制御プログラムを実行することで、待機モード応答データ作成部201、再帰応答要求部202、情報蓄積部203、及び電源制御部204として機能する。
【0036】
記憶部230は、情報要求データ131、アドレス情報231、SNMP応答情報232、及び作成不可応答情報233を記憶する。これらの構成については、後述する。
なお、SNMP応答情報232及び作成不可応答情報233は、応答装置1の起動時には、情報が設定されていなくてもよい。
【0037】
(通信インターフェイス部30の構成)
通信インターフェイス部30は、Ethernet(登録商標)等のインターフェイスにおいて、論理信号を実際の電気的な信号に変換する物理層(Physical Layer)のインターフェイスである。通信インターフェイス部30は、ネットワーク5に対応して接続するための着脱可能なLANインターフェイスであってもよい。
通信インターフェイス部30は、受信部310および送信部320を備えている。
【0038】
受信部310は、ネットワーク5から受信したEthernet(登録商標)フレームやパケット等のデータ(以下、「パケット」と呼ぶ。)を、待機応答部20へ出力する。言い換えると、受信部310は、端末2から送信される情報要求データ131のパケットを受信すると、当該情報要求データ131を待機応答部20に出力する。
【0039】
送信部320は待機応答部20から出力されたパケットをネットワーク5へ送信する。具体的には、送信部320は、待機応答部20から応答データ132を入力すると、応答データ132のパケットを端末2に送信する。
【0040】
ここで、上述の応答装置1の各部は、本発明のネットワーク応答方法を実行するハードウェア資源となる。
【0041】
(アドレス情報231、SNMP応答情報232、及び作成不可応答情報233の詳細構成)
次に、
図3により、待機応答部20の記憶部230に記憶されるアドレス情報231、SNMP応答情報232、及び作成不可応答情報233の構成について説明する。
【0042】
まず、
図3(a)に示すアドレス情報231の構成について説明する。アドレス情報231は、応答装置1のIPアドレスとMACアドレスとを記憶するテーブルである。
具体的に説明すると、アドレス情報231には、「IPアドレス」、及び「MACアドレス(Ethernet(登録商標)アドレス)」の項目が設けられている。
「IPアドレス」には、応答データ132に設定される応答装置1のIPアドレスが、情報蓄積部203により取得され格納される。
「MACアドレス」には、応答データ132に設定される応答装置1のIPアドレスに対応するMACアドレスが、情報蓄積部203により取得され格納される。
【0043】
次に、
図3(b)に示すSNMP応答情報232の構成について説明する。SNMP応答情報232は、コントローラー部10のSNMPの応答データ132に用いるMIB等を保持するテーブルであり、OIDおよび応答データ132を記憶する。
SNMP応答情報232には、SNMPの情報要求データ131に対する応答データ132の情報が蓄積される。SNMP応答情報232は、「OID」及び「データ」の項目が設けられている。この「OID」には、SNMPのMIB(Management information base)に格納されている個々の管理情報のオブジェクトを区別するために付される識別子が保存される。このSNMP応答情報232の「OID」は、ツリー状の構造で記憶されていてもよい。また、「データ」には、応答データ132に設定される「OID」に対するデータや応答の管理用データ等が保存される。また、「データ」には、「型」、「データ値」、「最終応答時刻」、及び「応答頻度」の項目が設けられている。この「型」には、「データ値」の型が保存される。例えば、「データ」の型が整数であれば「INTEGER」が保存され、型が文字列であれば「STRING」の値が保存される。また、「データ値」には、実際のデータ値が保存される。「最終応答時刻」には、待機モード及び通常モードにて、一番最近、当該OIDに対応する応答が行われた時刻の情報が、例えば、年月日時分秒のフォーマットで記憶されている。なお、複数回の応答時刻の履歴が記憶されていてもよい。また、「応答頻度」は、予め定められた期間内に、当該OIDに対応する応答が行われた頻度が記憶されている。
図3(c)の例では、単純に、当該予め定められた期間内の応答回数が「応答頻度」として記録される例を示している。なお、この予め定められた期間は、ユーザーにより応答装置1の操作パネル又は端末2から設定されてもよい。また、予め定められた期間は、応答装置1の全体の応答回数や記憶部230の記憶容量等に対応して蓄積応答データ削除部205により調整されてもよい。
【0044】
次に、
図3(c)に示す作成不可応答情報233の構成について説明する。作成不可応答情報233は、待機モード時に受信したSNMPパケットで、応答データ132が作成できなかったOIDを保持するテーブルである。待機モードから通常モードに復帰した際に、作成不可応答情報233に記憶されたOIDの応答データ132の情報は、情報蓄積部203により、優先的にSNMP応答情報232に保存される。
【0045】
〔応答装置1による通常モード処理〕
次に、
図4〜
図6を参照して、本発明の実施の形態に係る応答装置1による通常モード時の動作である通常モード処理の説明を行う。
本実施形態の通常モード処理では、通常モードのときに、情報要求データ131に対して、コントローラー部10が応答データ132を作成して応答する。この際、待機応答部20は、送信されるパケットを取得して、待機モード時の応答に必要な情報を抽出し、記憶部230に記憶する。具体的には、コントローラー部10によりIPアドレス及びMACアドレスを含む応答データ132、SNMPのMIBの応答データ132が送信された場合、待機応答部20は、これを取得する。待機応答部20は、この際、蓄積されたデータから応答頻度の低いものを削除する。また、待機応答部20は、待機モード時に応答できなかった応答データ132を優先的に蓄積する。また、待機応答部20は、IPアドレス及びMACアドレスを含む応答データ132の取得後、コントローラー部10にSNMP−GetNextリクエストを再帰的に送信することで、SNMPの待機応答データ132を蓄積する。
本実施形態の通常モード処理は、主に、コントローラー部10ではコントローラー制御部100が記憶部130に記憶されたプログラムを読み出し、待機応答部20では待機応答制御部200が記憶部230に記憶されたプログラムを呼び出し、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図4のフローチャートを参照して、通常モード処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0046】
(ステップS101)
まず、コントローラー入力部110が、受信処理を行う。
ここでは、まず、通信インターフェイス部30の受信部310で、ネットワーク5からのパケットが受信された場合、待機応答部20の待機応答入力部210へ入力される。また、待機応答制御部200の再帰応答要求部202から再帰的に送信されたパケットについても、待機応答入力部210に入力される。
次に、通信インターフェイス部30の待機応答入力部210に入力されたパケットは、コントローラー部10のコントローラー入力部110へ入力される。
また、後述するように、待機モードのときに応答データ132を作成できなかった場合には、この作成できなかった応答データ132に対応する情報要求データ131のパケットがコントローラー入力部110へ入力される。これにより、作成不可応答情報233に記憶されているOIDと一致するSNMPリクエストが取得される。
コントローラー入力部110は、これらの入力されたパケットを、受信パケットとして、コントローラー制御部100へ出力する。
【0047】
(ステップS102)
次に、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、受信パケットがあるか否かを判定する。コントローラー制御部100は、上述のステップS101で各パケットを入力している場合には、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS101に戻して、パケットを受信するまで待機する。
【0048】
(ステップS103)
受信又は再帰応答のパケットがあった場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、受信パケット対応処理を行う。
コントローラー制御部100は、コントローラー入力部110に入力されたパケットの処理を行う。
コントローラー制御部100は、入力されたパケットが画像形成を含む応答装置1の各種制御に必要なパケットであった場合、取得したパケットに対応する各種プロトコルに従って、必要な処理を行う。
また、コントローラー制御部100は、入力されたパケットが情報要求データ131であった場合には、これを記憶部130に一時的に保存する。
【0049】
(ステップS104)
次に、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、応答データ132の作成が必要か否かを判定する。コントローラー制御部100は、受信パケットが情報要求データ131であり、応答データ132の作成が必要な場合に、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS106に進める。
【0050】
(ステップS105)
応答データ132の作成が必要な場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、応答データ作成処理を行う。
コントローラー制御部100は、一時的に保存された情報要求データ131に対応する応答データ132を作成する。
【0051】
(ステップS106)
ここで、コントローラー制御部100が。通常モード応答データ作成部101として、送信するパケットがあるか否かを判定する。まず、コントローラー制御部100は、応答データ132が作成された場合に、Yesと判定する。また、コントローラー制御部100は、応答装置1の各種制御に必要なパケットにより必要な処理をして、各種プロトコルに対応した送信用の送信パケットを作成した場合にも、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS108に進める。
【0052】
(ステップS107)
送信が必要なパケットがある場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、送信処理を行う。
コントローラー制御部100は、送信パケットをコントローラー出力部120から出力させる。
コントローラー出力部120は、送信パケットを、待機応答部20の待機応答出力部220へ出力する。
この送信パケットは、待機応答出力部220により、通信インターフェイス部30の送信部320へ出力される。この送信パケットは、送信部320により、ネットワーク5へ出力される。
また、この送信パケットは、待機応答出力部220から、待機応答部20の待機応答制御部200の情報蓄積部203へも出力される(タイミングT101)。
【0053】
(ステップS201)
ここで、応答データ132を送信した後、待機応答部20の待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、送信パケット取得処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答出力部220から送信パケットを取得して、解析する。
【0054】
(ステップS202)
次に、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、取得したパケットがアドレス情報か否かを判定する。待機応答制御部200は、取得した送信パケットがARPやRARP等の応答データ132のパケットの場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS203に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS204に進める。
【0055】
(ステップS203)
ARPやRARP等の応答データ132のパケットの場合、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、アドレス情報蓄積処理を行う。
図5によると、待機応答制御部200は、当該パケットの送信元のIPアドレスとMACアドレスとを、記憶部230のアドレス情報231に記憶する。つまり、アドレス情報231には、応答装置1のIPアドレスとMACアドレスとが保存される。この際、待機応答制御部200は、アドレス記憶通知を、再帰応答要求部202へ通知する。
【0056】
(ステップS204)
ここで、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、取得したパケットがSNMPのレスポンスであり、このレスポンスが成功していたか否かを判定する。待機応答制御部200は、取得したパケットがSNMP−GetレスポンスやTRAPのレスポンスの応答データ132であり、正常のステータス等であった場合には、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS205に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS210に進める。
【0057】
(ステップS205)
取得したパケットがSNMPのレスポンスであり、レスポンスが成功していた場合、待機応答制御部200が、蓄積応答データ削除部205として、SNMP応答情報232のOIDと同一又は空きがないかについて判定する。待機応答制御部200は、取得した応答データ132のOIDと同一のOIDのデータが、記憶部230のSNMP応答情報232に存在した場合には、Yesと判定する。また、待機応答制御部200は、SNMP応答情報232を記憶する領域の記憶容量に空きがあった場合には、Yesと判定する。待機応答制御部200は、逆に、取得した応答データ132のOIDと同一のOIDがSNMP応答情報232に存在せず、且つ、記憶部230のSNMP応答情報232の領域の記憶容量に空きがない場合にはNoと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS207に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS206に進める。
【0058】
(ステップS206)
SNMP応答情報232に同一のOIDのデータがなく、且つ、SNMP応答情報232を記憶する記憶容量に空きがない場合は、待機応答制御部200が、蓄積応答データ削除部205として、SNMP応答情報削除処理を行う。
図5によると、待機応答制御部200は、SNMP応答情報232のOIDのデータから、記憶部230に記憶された予め定められた閾値(図示せず)より低い応答頻度のものを検索して削除する。待機応答制御部200は、この際、もっとも応答頻度が低いOIDのデータを削除してもよい。
また、待機応答制御部200は、作成不可応答情報233に記憶されているOIDと一致するSNMPリクエストを受信した場合にも、SNMP応答情報232に空きがない場合、同様に応答頻度が低いOIDのデータを削除する。
【0059】
(ステップS207)
ここで、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、SNMP応答頻度情報蓄積処理を行う。
図5によると、待機応答制御部200は、取得したパケット中のOIDと応答データ132をSNMP応答情報232に記憶する。
待機応答制御部200は、この際、OID毎に、パケットを取得した時刻をタイマーから取得し、SNMP応答情報232に記憶する。また、待機応答制御部200は、応答の回数をインクリメントして、応答頻度を算出して記憶する。この頻度としては、例えば、単純に、予め定められた期間における各OIDの応答の回数を算出して記憶してもよい。また、当該機関の全体のOIDの応答の回数と、各OIDの応答の回数から確率分布の頻度のような値を算出して記憶してもよい。
【0060】
(ステップS208)
次に、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、作成不可応答情報233があるか否かを判定する。待機応答制御部200は、後述する待機モードのときに、応答データ132を作成できずに通常モードに復帰したため、作成不可応答情報233にOIDが記憶されている場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、作成不可応答情報233にOIDが記憶されていない場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS209に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS210に進める。
【0061】
(ステップS208)
作成不可応答情報233にOIDが記憶されている場合、待機応答制御部200が、情報蓄積部203として、SNMP応答頻度情報優先化処理を行う。
待機応答制御部200は、作成不可応答情報233のOIDに対応するSNMP応答情報232のOIDのデータの応答頻度等の値を所定値だけ増やす等の処理を行い、優先的に記憶部230に維持され記憶されるようにする。
その後、待機応答制御部200は、作成不可応答情報233の当該OIDを削除してもよい。
【0062】
(ステップS210)
ここで、待機応答制御部200が、再帰応答要求部202として、取得したパケットが予め定められた特定の種類の情報であったか否かを判定する。待機応答制御部200は、例えば、予め定められた特定の種類の情報として、応答データ132の送信元のIPアドレスとMACアドレスとが記憶部230のアドレス情報231に記憶され、情報蓄積部203からアドレス記憶通知を受け取った場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS211に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS213に進める。
【0063】
(ステップS211)
取得したパケットが特定の種類の情報であった場合、待機応答制御部200が、再帰応答要求部202として、記憶部230のSNMP応答情報232を記憶する領域に空きがあるか否かを判定する。待機応答制御部200は、SNMP応答情報232のテーブルに空きがあった場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、SNMP応答情報232のテーブルに空きがなかった場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS213に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS212に進める。
【0064】
(ステップS212)
SNMP応答情報232のテーブルに空きがあった場合、待機応答制御部200が、再帰応答要求部202として、情報要求データ再帰的送信処理を行う。
図6によると、待機応答制御部200は、SNMP−GetNextリクエストのパケットを作成し、待機応答入力部210に入力させる。待機応答制御部200は、この際、初回のOIDを「root」としてもよい(タイミングT201)。
その後、待機応答制御部200は、処理をステップS201に戻す。
以降、待機応答制御部200は、直前に取得したSNMPレスポンス中のOIDを使用して、GetNextリクエストの送信を行う。
【0065】
(ステップS108)
再び、コントローラー部10の処理について説明する。
ここで、コントローラー部10のコントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、待機モードへ移行するか否かを判定する。コントローラー制御部100は、予め設定された条件になった場合に、Yesと判定する。コントローラー制御部100は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS109に進める。
Noの場合、コントローラー制御部100は、処理をステップS101に戻して、ホストコントローラーの処理を含む各種処理を続ける。
【0066】
(ステップS109)
待機モードに移行する場合、コントローラー制御部100が、通常モード応答データ作成部101として、待機モード移行処理を行う。
コントローラー制御部100は、この際に、待機応答部20に、待機モード移行命令を送信する(タイミングT102)。
この待機モード移行処理の詳細は後述する。
これにより、通常モード処理のコントローラー部10の処理を終了する。
【0067】
(ステップS211)
再び、待機応答部20の処理について説明する。
ここで、待機応答部20の待機応答制御部200は、コントローラー部10が待機モードに移行するまで待機している。
待機応答部20の待機応答制御部200は、コントローラー部10から待機モード移行命令を受信すると、電源制御部204として、待機モード待機応答開始処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答部20における待機モードでの処理を開始する。
この待機モード待機応答開始処理の詳細についても後述する。
その後、待機応答制御部200は、通常モード処理における待機応答部20による処理を終了する。
以上により、本発明の実施の形態に係る通常モード処理を終了する。
【0068】
次に、
図7により、
図4のステップS109の待機モード移行処理、及びステップS211の待機モード待機応答開始処理の詳細について説明する。
【0069】
(ステップS121)
まず、コントローラー部10のコントローラー制御部100が、セルフリフレッシュ適用処理を行う。
コントローラー制御部100は、各種ステート等を記憶部130のHDDやフラッシュメモリー等の記録媒体に保存する。コントローラー制御部100が所定時間アクセスしないと、記憶部130のRAM等は、セルフリフレッシュの状態になる。
【0070】
(ステップS122)
次に、コントローラー制御部100が、待機モード移行命令送信処理を行う。
コントローラー制御部100は、待機応答部20の待機応答制御部200に、待機モードに移行したことを伝える待機モード移行命令を送信する(タイミングT102)。
以上により、コントローラー部10の待機モード移行処理を終了する。
【0071】
(ステップS221)
次に、待機モード移行命令を受信した、待機応答部20の待機応答制御部200が、受信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答入力部210の出力を待機モード応答データ作成部201へ切り換える。
【0072】
(ステップS222)
次に、待機応答制御部200が、送信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答出力部220の出力を、通信インターフェイス部30の送信部320と、待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201との両方に切り換える。
【0073】
(ステップS223)
次に、待機応答制御部200が、電源制御処理を行う。
待機応答制御部200は、コントローラー部10の電源部140を制御して、電源供給をオフにさせる。
また、待機応答制御部200は、待機モードで実行するための制御プログラムを記憶部230のHDDやフラッシュメモリー等からRAMへ読み出して、下記で説明する待機モード処理を実行開始する。
以上により、待機応答部20の待機モード待機応答開始処理を終了する。
【0074】
〔応答装置1による待機モード処理〕
次に、
図8〜
図9を参照して、本発明の実施の形態に係る応答装置1による待機モード処理の説明を行う。
本実施形態の待機モード処理は、待機モード時に、待機応答部20が、情報蓄積部203により記憶部230に記憶されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232により、応答データ132を作成して応答を行う。この際、応答ができないパケットであった場合は、コントローラー部10を通常モードに復帰させて対応させる。この際に、待機応答部20は、応答できないパケットがSNMPリクエストであった場合は、OIDを記憶する。
本実施形態の待機モード処理は、主に、待機応答部20の待機応答制御部200が、記憶部230に記憶されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図8のフローチャートを参照して、待機モード処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0075】
(ステップS211)
まず、待機応答部20の待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、受信処理を行う。
図9によると、まず、受信部310にて、ネットワーク5からパケットを受信した場合、受信されたパケットが、待機応答入力部210へ入力される。この入力されたパケットは、待機応答制御部200の待機モード応答データ作成部201へ入力される。
【0076】
(ステップS212)
次に、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、受信されたパケットがあったか否かを判定する。待機応答制御部200は、受信されたパケットがあった場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS213に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS211に戻して、パケットを受信するまで待機する。
【0077】
(ステップS213)
受信されたパケットがあった場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、受信パケット解釈処理を行う。
待機応答制御部200は、受信されたパケットのプロトコルや送信先の情報等により、応答装置1により応答が必要か、その場合は、待機応答部20で応答可能か、又はコントローラー部10による応答が必要か等について解釈を行う。
また、待機応答制御部200は、受信されたパケットが情報要求データ131であった場合は、記憶部230に一時的に記憶する。
【0078】
(ステップS214)
次に、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、応答データ132の作成が必要か否かを判定する。待機応答制御部200は、応答装置1により応答が必要なパケットであった場合に、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS215に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS211に戻して、パケットの受信を続ける。
【0079】
(ステップS215)
応答が必要なパケットの場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、応答データ132の作成が可能か否かを判定する。待機応答制御部200は、記憶部230を参照し、アドレス情報231とSNMP応答情報232から応答データ132を作成可能な場合は、Yesと判定する。待機応答制御部200は、応答データ132を作成できない場合には、Noと判定する。この応答データ132が作成できない場合の具体例として、アドレス情報231にIPアドレス及びMACアドレスが記憶されていない、SNMP応答情報232のデータが不足している、又はまたはARPやSNMPのパケットではない等の場合が挙げられる。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS216に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS218に進める。
【0080】
(ステップS216)
応答データ132の作成が可能な場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、応答データ作成処理を行う。
図9によると、待機応答制御部200は、アドレス情報231とSNMP応答情報232に蓄積されたデータに基づいて、受信されたパケットに対応する応答用の応答データ132のパケットを作成し、記憶部230に一時的に保存する。
【0081】
(ステップS217)
次に、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、送信処理を行う。
待機応答制御部200は、待機モード応答データ作成部201から入力された応答データ132として送信するパケットを、通信インターフェイス部30の待機応答出力部220に出力する。
この送信するパケットは送信部320から、ネットワーク5へ送信される。
【0082】
(ステップS218)
応答が必要にもかかわらず、応答データ132を作成できない場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、SNMP応答情報232のデータが不足しているか否かを判定する。待機応答制御部200は、例えば、受信されたパケットがSNMPリクエストのパケットであり、アドレス情報231にIPアドレス及びMACアドレスが記憶されているものの、SNMP応答情報232にOIDのデータが記憶されていないため応答データ132を作成できなかった場合には、Yesと判定する。待機応答制御部200は、それ以外の場合はNoと判定する。
Yesの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS219に進める。
Noの場合、待機応答制御部200は、処理をステップS220に進める。
【0083】
(ステップS219)
SNMP応答情報232のデータが不足している場合、待機応答制御部200が、待機モード応答データ作成部201として、作成不可応答情報記録処理を行う。
図10によると、待機応答制御部200は、受信したSNMPリクエストのパケットのOIDを作成不可応答情報233に書き込む。
【0084】
(ステップS220)
ここで、待機応答制御部200が、電源制御部204として、通常モード移行処理を行う。
待機応答制御部200は、コントローラー部10を復帰させて、受信したパケットに対応する応答データ132を作成させる。
この通常モード移行処理の詳細については後述する。
以上により、本実施形態の待機モード処理を終了する。
【0085】
次に、
図11により、
図8のステップS218の通常モード移行処理の詳細について説明する。
【0086】
(ステップS231)
まず、待機応答制御部200が、電源オン処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答制御部200が、電源制御部204を介してコントローラー部10の電源をオンにする。
【0087】
(ステップS232)
次に、待機応答制御部200が、コントローラー制御部復帰処理を行う。
待機応答制御部200は、コントローラー制御部100をリセット等する。
これにより、コントローラー制御部100が記憶部130にアクセスすると、セルフリフレッシュ状態が解除される。
コントローラー制御部100は、
図7のステップS121でHDD等の記録媒体に記憶させた各種ステート等を記憶部のRAM等に書き戻す。
【0088】
(ステップS233)
次に、待機応答制御部200が、受信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答入力部210の出力を、待機モード応答データ作成部201から、コントローラー部10のコントローラー入力部110へ切り換える。
待機応答制御部200は、この際に、コントローラー入力部110に、待機応答入力部210で受信したパケットを送信する。これにより、通常モードに移行した後で、応答できなかったパケットに対して、
図4のステップS101にてコントローラー制御部100に受信処理を行わせ、その後の応答の処理をさせる。
【0089】
(ステップS234)
次に、待機応答制御部200が、送信出力切り換え処理を行う。
待機応答制御部200は、待機応答出力部220の出力を、通信インターフェイス部30の送信部320と待機応答制御部200の情報蓄積部203との両方とから、送信部320と、情報蓄積部203とになるよう切り換える。
以上により、通常モード移行処理を終了する。
【0090】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、特許文献1の技術では、通常モードから待機モードへの移行に時間がかかるという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、通常モードと待機モードとにおいてネットワークからの情報要求データ131を受信し、情報要求データ131に対する応答データ132をネットワーク5に送信可能であり、通常モードのときに、応答データ132を作成する通常モード応答データ作成部101と、通常モードのときに、通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報を、待機モードのときに読み出し可能な記憶部230にアドレス情報231及びSNMP応答情報232として蓄積する情報蓄積部203と、待機モードのときに、情報蓄積部203により記憶部230に蓄積されたアドレス情報231及びSNMP応答情報232から、応答データ132を作成し、アドレス情報231又はSNMP応答情報232の応答頻度を記憶する待機モード応答データ作成部201と、通常モードのときに、情報蓄積部203により蓄積された応答データ132の情報の容量が、記憶部230の記憶容量を超える場合、応答頻度が予め定められた閾値より低い、SNMP応答情報232のOIDのデータを削除する蓄積応答データ削除部205とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、待機モードのときに応答データ132を作成するための情報が通常モードのときに蓄積され、待機モードのときに蓄積された情報を転送することなく、蓄積された情報から応答データ132を作成することができる。つまり、通常モードのときに、待機モードで応答データ132を作成するための情報を記憶部230に蓄積することができる。このため、通常モードから待機モードへの移行時に、いちいちコントローラー部10から待機応答部20へデータを転送する必要がなくなり、通常モードから待機モードへの移行を従来よりも高速化できる。
また、待機モードのときに応答するためのSNMP応答情報232のOIDのデータのうち、応答頻度の低い応答データ132のOIDのデータを削除することで、応答頻度が高いものが記憶部230に維持されるため、待機モード時にSNMPに応答できずに復帰し、消費電力が低下しない状況を防ぐことができる。
【0091】
また、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、通常モード時に待機応答部20の側で自身の送信パケットを取得し、待機モード時の応答に必要な情報を抽出し記憶しておき、待機モードのときには蓄積した情報を用いてネットワーク応答を行う。つまり、本実施形態の応答装置1の待機応答部20は、通常時は、通信インターフェイス部30から受信したパケットをコントローラー部10へ、またコントローラー部10が送信するパケットは通信インターフェイス部30へ送信する。その際、送信パケットのチェックを行い、待機時の応答に必要な情報を蓄積する。
このため、待機応答部20に対する特別な応答の設定が不要となり、コントローラー部10の開発工数削減が期待できる。
【0092】
また、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、待機モード応答データ作成部201が、待機モードのときに、応答データ132を作成できなかった情報要求データ131の情報を、記憶部230に作成不可応答情報233として記憶し、情報蓄積部203が、応答データ132を作成できなかった情報要求データ131の情報に対応して、通常モード応答データ作成部101により作成された応答データ132の情報を、応答頻度が低い応答データ132の情報より優先してアドレス情報231及びSNMP応答情報232として蓄積することを特徴とする。
このように構成することで、復帰した際のSNMPリクエストOIDを作成不可応答情報233に記憶してコントローラー部10を復帰し、コントローラー部10で作成された応答データ132を取得し、待機モード時に応答できなかったOIDとその応答データ132をSNMP応答情報232に蓄積する記憶する。これにより、待機時に応答するためのデータは、応答頻度が高いものが待機応答データとして記憶部230に保持され、待機応答できずにコントローラー部10を待機モードから復帰させる頻度を低下させることができる。このため、省電力効率を高めることができる。
【0093】
また、本発明の実施の形態に係る応答装置1は、情報要求データ131は、ARPまたはSNMPの要求のデータであり、応答データ132は、ARP又はSNMPの応答のデータであることを特徴とする。
これにより、待機モード時にネットワークからの応答が必要である主要な情報を蓄積することができ、省電力効率を高めることができる。
【0094】
また、本実施形態の応答装置1によれば、待機応答部20がコントローラー部10にパケットを再帰的に送信することで、待機モード時の応答データ132を収集できる。
これにより、待機時に応答するためのデータが自動的に待機応答部20内に蓄積され、また待機モード時の応答データ132も短時間で作成することができる。このため、待機モードへの移行後、SNMP応答情報232から、必要な応答データ132を作成できる可能性を高めることができる。よって、初回の通常モードから待機モードへの移行時に、応答データ132を作成できず、すぐにコントローラー部10を復帰させなければならないというケースが生じる可能性を低くすることができる。このため、消費電力削減が期待できる。
【0095】
なお、本発明の実施の形態においては、SNMPマネージャー等がインストールされている一台の端末2がネットワーク5に接続されている例で説明した。しかしながら、
図1に示したように、ネットワーク5には複数の端末2が接続され、応答装置1は複数の端末2から情報要求データ131のパケットを受信することができる。
【0096】
また、上述の実施の形態では、情報蓄積部203が蓄積する情報をARPとSNMPに対する応答データ132を作成するための例で説明したが、これに限定されず、情報要求に対する応答として返信されるデータであれば各種情報を蓄積することができる。
このように構成することで、ARPやSNMP以外の応答を行うことができる。
【0097】
また、上述の実施の形態では、通常モードにおいて通信インターフェイス部30が出力する情報要求データ131を、待機応答部20を経由してコントローラー部10が入力している例を示した。しかしながら、待機応答部20を経由せずに通信インターフェイス部30が出力する情報要求データ131をコントローラー部10が直接入力することも可能である。
このように構成することで、通常モード時の待機応答部20の処理負担を軽減でき、コストを削減できる。
【0098】
また、上述の実施の形態では、記憶部130と記憶部230とを別々の構成として示したものの、記憶部130と記憶部230とで同一の記憶媒体、共有メモリーのRAM等を用いて構成してもよい。この場合でも、コントローラー制御部100と待機応答制御部200とで別々のメモリー空間で排他的にアクセスされてもよい。
このように構成することで、応答装置1のコストを削減することができる。
【0099】
また、上述の実施の形態では、記憶部230に空きがない場合のみSNMP応答情報232の各OIDのデータを削除するように記載した。
しかしながら、予め定められた期間で、SNMP応答情報232の各OIDのデータの応答頻度の回数等を減算し、数が例えば0以下等の値になったOIDとデータを削除するように構成してもよい。
このように構成することで、記憶部230の空き領域を増やし、記憶部230のコストを削減することができる。
【0100】
また、本発明は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。つまり、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー等を用いる構成であってもよい。
【0101】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。