(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943920
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ガスタービンの排ガス再循環管の洗浄
(51)【国際特許分類】
F01D 25/00 20060101AFI20160621BHJP
F01D 17/00 20060101ALI20160621BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20160621BHJP
F02C 3/34 20060101ALI20160621BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20160621BHJP
F02M 26/00 20160101ALI20160621BHJP
【FI】
F01D25/00 R
F01D17/00 G
F02C3/30 D
F02C3/34
F02C7/00 A
F02M26/00
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-526391(P2013-526391)
(86)(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公表番号】特表2013-538969(P2013-538969A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011063690
(87)【国際公開番号】WO2012028430
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】01424/10
(32)【優先日】2010年9月2日
(33)【優先権主張国】CH
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ストラーテン・フローリス
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン・ユルゲン
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−121476(JP,A)
【文献】
特表2009−501875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/00,25/00
F02C 3/30, 3/34, 6/08
F02M 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(14)の排ガス再循環管(8)を洗浄するための方法において、
前記ガスタービン(14)が洗浄回転数で運転され、圧縮機(2)から吹き出し空気が導出され、この吹き出し空気が洗浄のために前記排ガス再循環管(8)に導入されるものであり、
前記吹き出し空気が前記排ガス再循環管(8)に導入されると、部分流が前記排ガス再循環管(8)の第2端部(17)の方へ案内され、そして第2部分流が前記排ガス再循環管(8)の第1端部(16)の方へ案内されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記吹き出し空気が前記排ガス再循環管(8)の一端でこの排ガス再循環管に導入され、前記排ガス再循環管(8)の他端で導出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吹き出し空気が、前記ガスタービンの前記圧縮機の吸込み管に開口する前記排ガス再循環管(8)の第2端部(17)で導入され、前記ガスタービンの通常運転で再循環流れと反対方向に前記排ガス再循環管(8)を通って流れ、そして前記排ガス再循環管(8)の第1端部(16)から導出されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記吹き出し空気が、前記排ガス再循環管(8)を通って流れた後で前記排ガス再循環管(8)の第1端部(16)から直接的にまたは間接的に煙突に案内されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記排ガス再循環管(8)の前記第2端部(17)に流れる吹き出し空気と、前記排ガス再循環管(8)の前記第1端部(16)に流れる吹き出し空気との比が、調整要素(10)によって調整されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記洗浄のための吹き出し空気の第1部分が前記排ガス再循環管(8)内に案内され、吹き出し空気の第2部分が第2吹き出し管(19)を経てHRSG(23)に供給されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
排ガスを圧縮機吸込み流(1)に再循環させるためにガスタービンの排ガス管(21、22)を圧縮機吸込み管に接続する排ガス再循環管(8)を備えているガスタービン(14)において、
少なくとも1本の洗浄管(20)が圧縮機吹き出し個所から前記排ガス再循環管(8)に案内されており、
前記ガスタービン(14)の前記排ガス再循環管(8)を洗浄するために、前記ガスタービン(14)が洗浄回転数で運転され、圧縮機(2)から吹き出し空気が導出され、この吹き出し空気が洗浄のために前記排ガス再循環管(8)に導入され、
前記吹き出し空気が前記排ガス再循環管(8)に導入されると、部分流が前記排ガス再循環管(8)の第2端部(17)の方へ案内され、そして第2部分流が前記排ガス再循環管(8)の第1端部(16)の方へ案内されることを特徴とするガスタービン(14)。
【請求項8】
前記排ガス再循環管(8)を吹き出し空気によって洗浄する洗浄質量流量を調整するための洗浄弁(7)が、前記洗浄管(20)内に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のガスタービン(14)。
【請求項9】
圧縮機入口への吹き出し空気の戻し洗浄を制御または中断するために、前記排ガス再循環管(8)への前記洗浄管(20)の開口部と前記圧縮機吸込み管への前記排ガス再循環管(8)の開口部との間において調整要素(10)が排ガス再循環管(8)内に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載のガスタービン(14)。
【請求項10】
第1吹き出し管(18)が前記洗浄管(20)を接続した圧縮機吹き出し個所を前記ガスタービン(14)の排ガス管(21、22)に接続していることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のガスタービン(14)。
【請求項11】
第1吹き出し管(18)に第1吹き出し弁(6)が配置されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のガスタービン(14)。
【請求項12】
第2吹き出し管(19)が第2圧縮機吹き出し個所を前記ガスタービン(14)の排ガス管(21、22)に接続していることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載のガスタービン(14)。
【請求項13】
前記排ガス再循環管(8)内に再循環ブロワ(9)が設けられ、この再循環ブロワがその駆動装置(25)から切り離し可能に配置され、それによって吹き出し中に前記再循環ブロワ(9)がその通常の回転方向と反対方向に自由に回転可能であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載のガスタービン(14)。
【請求項14】
調節可能な案内翼および/または回転翼を備えた再循環ブロワ(9)が前記排ガス再循環管(8)内に配置されているかあるいは再循環ブロワ(9)が駆動装置(25)に連結され、この駆動装置の回転方向が逆転可能であり、それによって吹き出し中に再循環ブロワ(9)が低減された流れ抵抗を生じるかまたは洗浄を補助することを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載のガスタービン(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス再循環を行うガスタービンの排ガス再循環管の洗浄に関する。本発明は排ガス再循環管を洗浄するための方法と、この方法を実施するためのガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンと二酸化炭素分離式複合サイクル発電所の出力低下および効率低下を低減するために、分離の前に二酸化炭素分圧を高めるいろいろな方法が文献で提案されている。
【0003】
排ガス再循環はガスタービンにおいていろいろな目的のために使用可能な技術である。排ガス再循環は、例えば反応性の低下した吸込みガス、すなわち通常は新気よりも酸素含有量が低下した吸込みガスを供給することによってNOxエミッションのコントロールのために、あるいは二酸化炭素分離用の排ガス量を低減するために使用可能である。ガスタービンへの排ガスの再循環の際、排ガスの主要な部分が全排ガス流から分岐し、通常は冷却した後で、もし必要であれば浄化した後で、ガスタービンのタービンまたは圧縮機の吸込み流に再び供給される。そのために、再循環された排ガス流は新気と混合され、この混合物は続いて圧縮機に供給される。ガスタービンと排ガス再循環部を備えた発電所は特許文献1によって知られている。
【0004】
設備の作動停止時にHRSG(熱回収蒸気発生器または廃熱タンク(Heat recovery steam generatorまたはAbwaermekessel))とガスタービンの下流の排ガス管には、燃料残渣が集まる。この燃料残渣は設備の新たな始動の前に、いわゆるタンク洗浄によって当該の容積から除去される。この安全手段は、排ガス管とHRSGから残りの燃料と爆発性ガス混合物を取り除き、スタート時に爆発が発生しないようにする。タンク洗浄は、スタート装置によって軸連続体を、低速度でおよび低流量で駆動することによって行われる。それによって、残りの燃料が煙突を経て設備から排出される。
【0005】
排ガス再循環部を備えたガスタービンの場合、設備の作動停止時に、燃料残渣が排ガス再循環管と、排ガス再循環システムの戻し冷却器、水分離器等のような補助設備内に集まる。新たなスタートの前にあるいは点検や修理のためにこの管や補助設備にアクセスする前に、この管や補助設備を例えば新気で洗浄しなければならない。
【0006】
通常の運転の流れ方向と反対方向に排ガス再循環管が洗浄されると有利である。それによって、洗浄空気は普通の煙突から排出される。さらに、場合によって存在する燃料残渣がタンクから排ガス再循環管に達することがなく、洗浄時間を2倍に延長しなければならないかまたは循環を生じる。
【0007】
特許文献2により、排ガス再循環管を洗浄するための方法が提案されている。ここでは、排ガス再循環のために、排ガス再循環管を洗浄することができる付加的なフラップと例えば付加的なブロワが提案されている。多数のフラップと付加的なブロワは多大なコストを必要とし、洗浄過程中のエネルギー需要を増大させる。それによって、このようなCO2分離式設備の競争力が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/072710号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第2060772号明細書
【特許文献3】欧州特許第0718470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、付加的な排ガスブロワを使用せずに、排ガス再循環管を確実に洗浄することができる方法を提供することである。さらに、付加的なブロワを使用せずに、排ガス再循環管を確実に洗浄するのに適したガスタービンを提供すべきである。その際さらに、付加的なフラップ、弁および導管の数を最小限に抑えるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1と請求項15の特徴全体によって解決される。本発明に係る方法は、排ガス再循環管を洗浄するために、圧縮機の吹き出し流が使用されることを特徴とする。
【0011】
定格回転数よりもかなり低い回転数(定格回転数の約20%以下の停止状態)での圧縮機の運転時、例えばスタート時、停止時およびタンク洗浄時に、圧縮機によって吸い込まれた空気の一部を吹き出さなければならない。そのために、部分的に圧縮された空気がプレナムを経て圧縮機から排出され、例えば周囲に直接吹き出されるかまたは管を経てガスタービンの排ガス管に案内され、そして煙突を経て吹き出される。
【0012】
ガスタービンは通常は、タンク洗浄のために定格回転数よりもかなり低い回転数で運転される。すなわち、ガスタービンは圧縮機から空気が吹き出される回転数領域で運転される。これは例えば定格回転数の20〜50%の領域である。大型ガスタービンの場合には、定格回転数は電力周波数に等しい。タンク洗浄のために、発電機は通常は、周波数変換器、一般的にはいわゆるSFC(静的周波数変換器(static frequency converter))によって、ガスタービンを駆動するモータとして運転される。
【0013】
タンク洗浄の際、圧縮機設計および回転数に応じて、圧縮機吸込み流の大部分が吹き出し弁を経て吹き出される。吹き出し量は圧縮機吸込み流の60%まで、特別な場合にはそれ以上になる。吹き出すべき流量は通常は、全負荷運転時の圧縮機の圧力比に比例し、圧縮機吸込み流は吹き出し回転数に比例する。圧縮機のプレナム内の圧力が周囲圧力よりも高いので、この流量はその全部または一部が排ガス再循環管の洗浄のために利用可能である。そのために、調整要素を備えた少なくとも1本の接続管が圧縮機プレナムから排ガス再循環管まで設けられている。
【0014】
有利な実施形では、吹き出し空気が排ガス再循環管の一端領域でこの排ガス再循環管に導入され、排ガス再循環管の他端で導出される。物理的な理由から、吹き出し空気を排ガス再循環管の端部に直接導入されることは困難である。管の端部での大きな死空間を回避し、明確に定められた流れ方向を保証するためには、端領域での導入、すなわち一般的には管の一端から最大で10〜20%離れた区間での導入が有利である。
【0015】
実施形では、吹き出し空気が、ガスタービンの圧縮機の吸込み管に開口する排ガス再循環管の第2端部で導入される。そこから、吹き出し空気が、ガスタービンの通常運転で再循環流れと反対方向に排ガス再循環管を通って流れ、そして排ガス再循環管の第1端部で排ガス再循環管の第1端部から導出される。排ガス再循環管の第1端部は、排ガス再循環管がガスタービンの排ガス管に接続されている端部である。この接続部は例えば調整フラップのような調整機構と組み合わせられている。
【0016】
洗浄時に、吹き出し空気は、排ガス再循環管を通って流れた後で排ガス再循環管の第1端部から直接的にまたは間接的に煙突に案内される。
【0017】
再循環管から圧縮機の圧縮機吸込み流への吹き出し空気の流れは、吹き出し空気が排ガス再循環管に流れる場所と、排ガス再循環管の第2端部との間に配置された調整要素によって調整される。この調整要素は一般的にはフラップまたは弁である。
【0018】
この調整要素はさらに、排ガス再循環管の第2端部に流れる吹き出し空気と、排ガス再循環管の第1端部に流れる吹き出し空気との比を調節することができる。例えば短い時間の間、吹き出し空気が排ガス再循環管の第2端部を通って圧縮機入口管内に洗浄され、その後排ガス再循環管を通って第1端部の方へ洗浄される。この場合、短い時間とは、二三秒から数分までの時間であると理解される。一般的には、タンク洗浄時間の約10分の1から5分の1までである。
【0019】
他の実施形では、洗浄のための吹き出し空気の第1部分が排ガス再循環管内に案内され、吹き出し空気の第2部分が吹き出し管を経て排ガス管と一般的にはHRSGに供給される。
【0020】
他の実施形では、圧縮機の第1吹き出し個所からの吹き出し空気が、洗浄のために排ガス再循環管内に導入され、圧縮機の第2吹き出し個所からの吹き出し空気が、吹き出し管を経て排ガス管と一般的にはHRSGに供給される。
【0021】
方法のほかに、圧縮機吹き出し空気によって排ガス再循環管の洗浄を可能にする再循環管部を備えたガスタービンが、本発明の対象である。
【0022】
排ガスを圧縮機吸込み流に再循環させるためにガスタービンの排ガス管を圧縮機吸込み管に接続する排ガス再循環管を備えている本発明に係るガスタービンは、少なくとも1本の洗浄管を備え、この洗浄管が圧縮機吹き出し個所を排ガス再循環管に接続している。
【0023】
一般的に、洗浄流量を制御するための洗浄弁がこの洗浄管内に設けられている。これは吹き出し空気によって排ガス再循環管を洗浄する吹き出し流を調整することができる。この洗浄弁は慣用の吹き出し弁と一列に並んで配置可能であるかあるいはこの吹き出し弁と置き換えて、その機能、すなわちガスタービンの普通運転時の吹き出し部の閉鎖と、ガスタービンのスタートおよび停止のための開放を担うことができる。
【0024】
さらに、吹き出し管は洗浄管を接続した圧縮機吹き出し個所を、ガスタービンの排ガス管に接続することができる。これは吹き出し空気の一部を排ガス再循環管の戻し洗浄のために利用し、他の部分を吹き出し管を経て排ガス管に案内することを可能にする。それによって、ガスタービンの停止時あるいは急速停止(トリップ)時に高圧高温のガスが圧縮機から排ガス再循環管に達することが回避される。この場合、洗浄弁は閉じたままであり、吹き出し弁は従来のガスタービンの場合のように停止時に開放される。スタート中も、洗浄後の洗浄弁を閉鎖することが有利であり、起動中に吹き出し管を経て吹き出し空気を吹き出すことが有利である。吹き出しを別個に制御するために、実施形では吹き出し弁が吹き出し管内に配置されている。
【0025】
他の実施形では、第2圧縮機接続個所の少なくとも1個の第2吹き出し管が設けられ、この第2圧縮機接続個所が第2吹き出し管をガスタービンの排ガス管に接続している。
【0026】
一般的に、排ガス再循環部を備えたガスタービンの排ガス再循環管内に、再循環ブロワが設けられている。この再循環ブロワは圧縮機吸込み流内への排ガスの再循環を補助する。洗浄過程の間、流れ方向が通常運転の流れ方向と反対向きであり、再循環ブロワは圧力降下を高めることになる。この付加的な圧力降下を避けるために、再循環ブロワは一実施形ではクラッチを介して駆動装置に連結されている。このクラッチは洗浄過程中に再循環ブロワを切り離すことができるので、通常の回転方向と反対方向に自由に回転可能であり、それによってその圧力損失が低減される。
【0027】
他の実施形では、再循環ブロワが調節可能な案内翼および/または回転翼によって形成されている。この翼は、流れ抵抗を低減するために開放可能である。その代わりに、再循環ブロワが通常の流れ方向と反対向きに作動し、洗浄を補助するように、翼を切り換えることができる。
【0028】
一般的に、大きな再循環ブロワは制御可能なモータによって駆動される。他の代替的な実施形では、モータを通常の回転方向と反対方向に駆動する制御が可能であるので、再循環ブロワは洗浄中に低減された流れ抵抗を生じるかまたは洗浄を補助する。
【0029】
本発明の他の実施形は、洗浄過程が再循環ブロワによって行われることを特徴とする。排ガス再循環管を洗浄するために、再循環ブロワが普通の流れ方向と反対方向に作動し、それによって排ガス再循環管が普通の流れ方向と反対方向に、圧縮機の吸込み管から分岐される空気によって洗浄されるように、調節可能な案内翼および/または回転翼が切り換えられる。その代わりに、再循環ブロワのモータが制御されて、その通常の回転方向と反対方向に駆動可能であるので、排ガス再循環管が普通の流れ方向と反対方向に、圧縮機の吸込み管から分離される空気によって洗浄される。この実施形のために、洗浄管と、排ガス再循環管への圧縮機の吹き出しを省略することができる。
【0030】
次に、実施の形態に基づいてかつ概略図と関連して本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】HRSGと、排ガス再循環部と、排ガス再循環管を洗浄するための排ガス再循環管内への吹き出し管とを備えたガスタービンを示す。
【
図2】HRSGと、排ガス再循環部と、排ガス再循環管を洗浄するための排ガス再循環管内への吹き出し管と、HRSGに通じる吹き出し管を備えたガスタービンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
HRSGと排ガス再循環部を備えたガスタービンが
図1に概略的に示してある。さらに、排ガス再循環管を洗浄するために圧縮機空気をこの排ガス再循環管内に吹き出すための管および調節機構が示してある。
【0033】
ガスタービンは圧縮機2(コンプレッサ)と燃焼室3とタービン4を備えている。圧縮機2内で圧縮された燃焼空気は燃焼室3に供給されてそこで燃焼し、続いて高温の燃焼ガスがタービン4内で膨張する。タービンで発生した有用エネルギーは例えば同じ軸上に配置された発電機5によって電気エネルギーに変換される。
【0034】
タービン4から出る排ガスは、その中に含まれるエネルギーの最適利用のために、蒸気タービン用または他の設備用の蒸気を発生する目的で、HRSG23((熱回収蒸気発生器)Hear recovery steam generator)または廃熱蒸気発生器で使用される。
【0035】
圧縮機2のための圧縮機吸込み流1は通常は流入通路を経て供給される。その際、新鮮な吸込み空気は先ず最初に入口に配置された空気フィルタを経て案内される。この空気フィルタの下流において、消音器を圧縮機吸込み流1の案内通路内に配置することができる。フィルタと消音器を備えた空気供給部は以降において、簡略化して圧縮機吸込み管と呼ぶ。
【0036】
このような設備において、HRSG23の後方で、排ガスの一部が制御可能な流れ分割器11において排ガス再循環管8内に案内され、この排ガス再循環管8を経て圧縮機吸込み流1に再循環される。そのために、再循環排ガスは排ガス再循環管8の第2端部17から圧縮機吸込み流1に流れ、新鮮な吸込み空気と混合され、そして圧縮機2の吸込み側に供給される。排ガスの分岐されない部分は通常は二酸化炭素分離ユニットに案内されるかまたは煙突12を経て大気に放出される。
【0037】
再循環排ガス流は排ガス戻し冷却器13内でまたは凝縮器を備えることができる熱交換器内で、周囲温度を幾らか超える温度まで冷却される。この排ガス戻し冷却器13の下流に再循環ブロワ9を配置することできる。この再循環ブロワは例えばクラッチ24を介して駆動装置25によって駆動される。この駆動装置は通常は電動機である。
【0038】
標準運転では、圧縮機2の手前で吸込み空気が再循環排ガスと混合される。その際、標準運転では第1吹き出し弁6と洗浄弁7が閉じている。さらに、圧縮機吸込み管に至る排ガス再循環管8の出口を閉じることができる制御要素10が開放されている。
【0039】
排ガス再循環管8の洗浄を可能にするために、圧縮機2の吹き出し個所から排ガス再循環管8の第2端部17まで洗浄管20が設けられている。排ガス再循環管8の第2端部まで直接案内されないで、制御要素10によって圧縮機吸込み管から分離される。洗浄流を制御するために、洗浄弁7が設けられている。ガスタービン14の排ガス管21への吹き出しは第1吹き出し管18によって可能である。排気ガス管21への吹き出しの制御のために吹き出し弁6が設けられている。
【0040】
洗浄のために、ガスタービン14の回転数を洗浄回転数にする。そのために、一般的に、ガスタービンはモータとして運転される発電機5によって駆動される。排ガス再循環管8を洗浄するために、洗浄弁7が開放される。吹き出し空気が圧縮機2から洗浄弁7を経て排ガス再循環管8を通って煙突12に吹き出され、それによって排ガス再循環管8を洗浄する。吹き出し空気が圧縮機吸込み流内に流れないようにするために、制御要素10は洗浄時間の少なくとも一部の間閉鎖される。
【0041】
第1吹き出し弁6は、排ガス再循環管を洗浄する部分と、排ガス管21に供給する部分とに、吹き出し流を分割することを可能にする。さらに、第1吹き出し弁6は例えば設備のトリップ中多量の高温空気を吹き出すことを可能にする。吹き出しが排ガス再循環管8を経て行われる場合には、この排ガス再循環管を高温空気に合わせて設計しなければならない。
【0042】
排ガス再循環管8の容積と吹き出し空気量に応じて、排ガス空気の一部だけしか排ガス再循環管8を洗浄するために必要としない。例えば、圧縮機2の低圧部分の後の第1プレナムからの空気が、排ガス再循環管8を洗浄するために使用される。これに対して、例えば圧縮機2の中間圧力部分の後の第2プレナムからの空気が、第2排ガス弁15と第2排ガス管19を経てガスタービン14の排ガス管21に直接戻される。このような設備が
図2に概略的に示してある。
【0043】
上述のすべての利点は、その都度記載した組み合わせにおいてだけでなく、本発明の範囲を逸脱せずに他の組み合わせまたは単独で利用可能である。例えば
図1と
図2に示すような吹き出し個所からの吹き出し空気の使用の代わりに、圧縮機2の複数の吹き出し個所からの吹き出し空気を集めて排ガス再循環管8を洗浄するために使用することができる。
【0044】
弁またはフラップの制御は簡単化して記載してある。この制御は制御または調整の代表的なものである。さらに、例えばフラップまたは弁のような種々の適当な制御要素が専門家に知られている。
【0045】
圧縮機の吹き出し個所は一般的には、タービンおよび/または燃焼室冷却のための冷却空気を圧縮機から取り出すことができる個所である。洗浄管20は圧縮機から直接分岐しないで、慣用の吹き出し管または冷却管から分岐していてもよい。例は簡単な燃焼室を備えたガスタービン14を示している。本発明は例えば特許文献3によって知られているようなシーケンシャル燃焼式ガスタービンに適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 圧縮機吸込み流
2 圧縮機
3 燃焼室
4 タービン
5 発電機
6 第1吹き出し弁
7 洗浄弁
8 排ガス再循環管
9 再循環ブロワ
10 制御要素
11 流れ分割器
12 煙突/CO2分離のための管
13 排ガス戻し冷却器
14 ガスタービン
15 第2吹き出し弁
16 第1端部
17 第2端部
18 第1吹き出し管
19 第2吹き出し管
20 洗浄管
21、22 吹き出し管
23 HRSG
24 クラッチ
25 駆動装置