特許第5943926号(P5943926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943926
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】用量設定機構及び用量を設定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20160621BHJP
   A61M 5/30 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A61M5/315
   A61M5/30
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-533168(P2013-533168)
(86)(22)【出願日】2011年10月11日
(65)【公表番号】特表2013-539694(P2013-539694A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】EP2011067675
(87)【国際公開番号】WO2012049138
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】11168187.0
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/392,739
(32)【優先日】2010年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シモン・ルイス・ビルトン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・マーティン・リーク
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0275916(US,A1)
【文献】 特表2011−519600(JP,A)
【文献】 特表2006−519074(JP,A)
【文献】 特表2009−518056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/30
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスのための用量設定機構であって:
薬物送達デバイスハウジング(220);
少なくとも部分的にハウジング(220)中に置かれそして用量設定及び用量送達中に回転可能な用量ダイヤル部材(222);及び
ネジ山を有する用量ダイヤル部材(222)とねじ係合にあるインサート、
を含んでなり、
該インサートは、分割ねじ込みインサート(201)であり、用量ダイヤル部材(222)が回転したとき該分割ねじ込みインサート(201)は、ネジ山(208)又はネジ山(208)の一部が開放状態にある第1の構成からネジ山(208)又はネジ山(208)の一部が閉鎖状態にある第2の構成へ変換するように構成され、
分割ねじ込みインサート(201)の第1の構成において、互いに対して動くとき分割ねじ込みインサート(201)と用量ダイヤル部材(222)との間の摩擦が、分割ねじ込みインサート(201)の第2の構成に比べて高い、
上記用量設定機構。
【請求項2】
分割ねじ込みインサート(201)は近位ねじ込み部分(202)及び遠位ねじ込み部分(204)を含む、請求項に記載の機構。
【請求項3】
分割ねじ込みインサート(201)の遠位ねじ込み部分(204)は薬物送達デバイスハウジング(220)に軸方向に対して固定され、そして回転が固定される、請求項に記載の機構。
【請求項4】
分割ねじ込みインサート(204)の近位ねじ込み部分(202)は、分割ねじ込みインサートの遠位ねじ込み部分(204)上の止め具(212)と係合する可撓性フィンガ(210)を含む、請求項又はに記載の機構。
【請求項5】
用量ダイヤル部材(222)は少なくとも1つのピップ(230、240)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の機構。
【請求項6】
可撓性フィンガ(210)は第1のピップ(230)と係合して分割ねじ込みインサート(201)を第1の構成に変換させ、そして/又は可撓性フィンガ(210)は第2のピップ(240)と係合して分割ねじ込みインサート(201)を第2の構成に変換させる、請求項又はに記載の機構。
【請求項7】
近位及び遠位ねじ込み部分(202,204)はねじ山(208)を形成するように嵌め合う、請求項のいずれか1項に記載の機構。
【請求項8】
ねじ山(208)は雄ねじであり、そして雄ねじ(208)は、用量ダイヤル部材(222)が所定の最小設定用量より小さい設定用量に回転しているとき拡大した雄ねじを含み、そして/又は用量ダイヤル部材(222)が所定最小量と同じか又はそれより大きい用量を設定するように回転しているとき縮小した雄ねじを含む、請求項に記載の機構。
【請求項9】
設定用量はねじ(208)が第1の構成にあるとき、用量が送達できない、請求項1〜のいずれか1項に記載の機構。
【請求項10】
用量ダイヤル部材(222)は、第1のピップ(230)及び第2のピップ(240)を含む、請求項のいずれか1項に記載の機構であって、第1のピップと第2のピップ間の距離は所定の最小設定用量に比例する、上記機構。
【請求項11】
分割ねじ込みインサート(201)の雄ねじねじ込み部分は用量ダイヤル部材(222)の外面上に備えられる溝とねじ係合にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の機構。
【請求項12】
用量設定機構は更に、事前に定義された最小用量未満の用量がダイヤルされていることを使用者に知らせる視覚表示を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の機構。
【請求項13】
所定の最小許容用量未満の用量が薬物送達デバイスによって設定されたとき、薬物送達デバイス(100;200)に高摩擦状態を誘発する工程、及び少なくとも所定の最小許容用量が薬物送達デバイスによって設定されたとき、薬物送達デバイス(100;200)に低摩擦状態を誘発する工程を含んでなる、薬剤の少なくとも所定の許容最小用量を設定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、一般的に可能な最小及び/又は最大用量設定を調節する薬物送達デバイスのための用量設定機構、及び薬剤の少なくとも所定の最小用量を設定し送達する方法を対象にする。より具体的には、本特許出願は、一般に、患者が特定の薬剤の少なくともある最小用量の投与を受けてそしてある最大用量を超えないことを治療法が要求する場合の、ペン型薬物送達デバイスなどの薬物送達デバイスを対象にする。そのようなデバイスは多回投与カートリッジからの医薬品の自己投与を備え、そして最小及び/又は最大用量を設定するための用量制限機構を含む。本出願は、使い捨て及び再使用可能型薬物送達デバイスの両方において適用性を見出し得る。しかしながら、本発明の態様は同様に他のシナリオにおいて同等に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
自己投与注射可能薬剤は多くの場合可変用量注射デバイスを用いて送達される。注射に先立って、使用者は、それらがそれらの処方用量、及び/又はそれらの現在の又は予想される今後の身体状況によって必要とする用量を選択する。代表例は、患者の用量がそれらの処方用量並びにそれらの予想食物摂取及び活動レベルによって決まる場合の、糖尿病患者に対するインスリン送達デバイスであり得る。通常そのようなデバイスは、デバイスが送達することができる1単位から最大単位用量までのいずれもの用量、通常はペン型又はシリンジ注射デバイスなど、手動デバイスに対して60単位又は80単位を、使用者が選択することを可能にする。
【0003】
ペン型薬物送達デバイスは、正式な医学訓練をしていない個人による通常の注射を実施するために設計及び開発されている。自己処置はそのような患者がそれらの疾患の効果的な管理を実施するのを可能にする、糖尿病を有する患者の中では、これは益々一般的になっている。医療従事者ではなく、患者はそのような薬物送達デバイスを使用している可能性があることから、1つの必要条件はデバイスが堅固な構造を有することである。薬物送達デバイスはまた、薬物送達デバイス操作及びデバイス動作の理解の点で両方を使いやすくし得る。これは特にインスリン溶液を反復自己注射する必要のある糖尿病患者に当てはまり、そして注射予定のインスリン量は患者によって異なりそして注射剤によっても異なってよい。少なくともこの理由の故に、ある糖尿病患者は、インスリン溶液の同じ又は恐らく異なる事前セット量の連続測定投薬量を、患者が正確にそして最小の器用さの問題で注射することを可能にする薬物送達デバイスを必要とし得る。ある糖尿病患者の場合、使用者は視力を障害している可能性があり、及び/又は器用さの限られた身体虚弱であり得ることから、これは更なる設計課題を提起する。
【0004】
インスリンに加えて、他の薬剤はそれらが治療的に有効になる前に送達すべき最小用量を必要とする。患者が治療的に有効な最小用量未満の用量を送達することが可能な可変用量デバイスは、使用者が用量計算の誤りによるか又は間違った用量を誤って選択することにより無効量を送達し得る可能性をもたらす。同様に、幾つかの薬剤は最大用量を超えないことが必要となる。これは、薬剤の副作用のリスク若しくは重度増加又は過剰若しくは望ましくない作用など、安全対策のためであり得る。現在の可変用量送達デバイスは通常、送達機構が提供することができる最大用量によって制限される最大用量を有し、しかしながら、これは薬剤の最大勧奨又は処方用量に必ずしも関連していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、注射デバイスの使用者が、特定の薬剤の最小有効量未満か又は安全な最大用量より多い用量を設定及び投与し得るリスクを減少又は排除するデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1において定義される用量設定機構で解決される。本発明は少なくとも2つの用途を有する。第1は画成された用量窓内の可変用量となる必要がある単一活性薬剤の送達であり、即ちその用量はある最小用量より多い必要があり、そしてある最大用量を超えてはいけないことである。第2の用途は活性薬剤の組み合わせ製剤の送達に関連し、ここでは少なくとも1つの薬剤は好ましくは可変用量として送達され、そして少なくとも1つの他の薬剤は好ましくは固定用量として送達され、そしてここではこの固定用量は例えば公称固定用量の±10%だけ画成された用量窓内で安全に変動し得る。
【0007】
本開示に基づく最小及び/又は最大用量制限送達デバイスは、それが治療的に有効になる前に送達しようとする最小用量を必要とする薬剤に使用され得るが、ここではある程度の用量調節が必要となり得る。この用量調節は、患者の体重又はそれらの病状の重度に対して用量を調整することを含み、多くの理由で必要となり得る。最小及び最大用量制限送達デバイス(min/maxデバイス)はまた、患者による投薬ミスの可能性を減少させるために、完全可変(即ち0〜max用量)デバイスの代わりに使用され得る。可変用量ペンよりもむしろmin/maxデバイスを用いることは、患者が規定用量窓の外で、即ち高すぎるか又は低すぎる用量を誤って送達し得るリスクを減少させる。
【0008】
本min/maxデバイス有用性の1つの例は、親がmin/max送達デバイスを小児が自己投与することができるように小児に与えることができて、そして親がmin/maxデバイスの最小及び最大レベルは、いずれの過量摂取又は過少摂取の可能な重大性を限定することを知り得る場合である。そのようなデバイスが適用し得る場合の別の例は、長時間作用型インスリンを服用する患者である。通常可変用量ペンは、患者がそれらの目標血中グルコースレベルに達するようにそれらの用量を「調節している」ときに必要とされる。しかしながら、一度目標血中グルコースレベルが実現されると、長時間作用型インスリンの用量は通常比較的長時間にわたって多かれ少なかれ一定の状態である。この期間中、患者のインスリン用量が1日毎の基準で一定であるか又はほんのわずかの単位だけ変化する場合、患者の長時間作用型インスリンニーズは最小及び最大用量制限送達デバイスによって効果的に満たされ得る。
【0009】
表1(下記に示される)は、単回の1〜80単位可変用量デバイスの代わりに使用し得る、送達デバイスの実例ファミリー、「Pen1」〜「Pen4」を示す。Pen1〜4の各々はほぼ同じ基本機構で設計及び製作されるが、しかし各ペンは異なる最小及び/又は最大用量を設定するために使用される、更なる又は別の部材を含む。患者はそれらの安定な長時間作用型インスリン用量に応じて特定のPenを処方され得る。例えば、表1によれば、1日当り30単位の長時間作用型インスリンを処方された患者は、それぞれ18単位の最小用量及び42単位の最大用量を有する、Pen2を処方され得る。どのような数の機械的部材でも、軸方向及び/又は回転止め具、戻り止め、クラッチ、圧縮フィンガ、又は類似の部材を含んで、これらの所定のmin/max用量を確実にするためのペン設計に使用することができる。1例では、分割ねじ込みインサートが、これらの所定のmin/max用量を確実にするために用量ダイヤル部材に対して構成され得る。
【0010】
糖尿病患者のインスリン用量は経時的に徐々に変わり得る。それ故、用量が増加するにつれてPen間の円滑な移行を可能にするために、Pen間に少量の用量範囲の重複があってよい。例えば、表1によれば、1日当り40単位の長時間作用型インスリンを処方された患者は、患者がそれらの用量を経時的に減少させることを期待する場合はPen2が、又は患者がそれらの用量を経時的に増加させることを期待する場合はPen3が投与され得る。「ファミリー」中のペンの数及び表1中に示される選択用量範囲は一例に過ぎない。本発明のmin/maxデバイスを用いることにより、用量選択のときの潜在的ミスはペンの動作窓内に限定される。用量を上方にダイヤルすること又は用量をペンの用量範囲未満に送達することは可能となり得ず、そしてこれは患者にその誤りを警告し得る。
【0011】
特に用量誤り又は薬物/デバイスの取り違えをもたらし得る類似デバイスとの混同のリスクがある場合、min/maxデバイスはまた他の医薬品の送達に適用し得る。1つのそのような例は速効作用型インスリン及び長時間作用型インスリンであり得る。これらのインスリンはいずれも「単位」で計られ、しかしながら、同じ単位数の各インスリンタイプは非常に異なる効果を有する可能性があり、そして患者には1日を通じて異なる回数で服用しようとする各薬物の異なる用量が処方され得る。長時間作用型及び速効作用型インスリンの取り違えは低血糖症を引き起こし得て、そして潜在的に致死的である。両タイプのインスリンは注射ペンデバイスによって送達され得る。ペンは異なるデザイン、色、形状から成りそして異なるラベルを持っていても、患者がそれらのインスリンペンを取り違えることを知らされている場合、「自動操縦」効果が起こり得るというルーチンベースで患者はそれらの注射を行う。
【0012】
今回提案のmin/maxデバイスはこの取り違え発生を防止するのに資する。例えば、速効作用型及び長時間作用型インスリンの両方が各々表1によるmin/maxデバイスのファミリーを備えると仮定する。患者には、1日当り50単位の長時間作用型インスリン(長時間作用型Pen3を必要とし得る)、及び食事と一緒に15単位の速効作用型インスリン(Pen1を必要とし得る)が処方される。最も危険な取り違えは、患者が長時間作用型インスリンよりもむしろ速効作用型インスリンの50単位を誤って送達する場合に起こり得る。患者がmin/maxデバイスでこれを行うのを試みた場合、次いで患者は速効作用型インスリン(Pen1)を手に取り得て、それらが22単位を超えてダイヤルされ得ないことを見出し得る。このことは、これが正しいインスリンペンではなく、それ故間違ったインスリンタイプであるという事実を患者に警告し、そして間違ったインスリンが送達されるのを防止し得る。
【0013】
min/max概念は使い捨てデバイス及び再使用可能デバイスの両方に同様に提供され得る。
【0014】
ある医薬品はまた、送達デバイス及び針の正しい動作を確認するために使用者が「プライミング」投薬を実施することを必要とする。これは通常2単位の「エアショット」を送達し、そして次に医薬品が針から出るのが見えるのをチェックすることによって達成される。表1に示されるmin/max概念はこれを許容し得ない。プライミング機能性が必要な場合、例えば1〜2単位の範囲の第2の許容「用量窓」もまた各ペン機構内に実装され得る。これが適用可能にし得る方法の例は表2に示される。表1及び2はいずれも偶数単位だけを示すが、これは明確さのためだけに行われ、デバイスは奇数及び偶数単位又は可能な1/2単位を送達するために構成され得る。
【0015】
記述のように、本開示デバイスはまた、活性薬剤の組み合わせ製剤の送達が必要な治療法にも有用であり得て、ここでは少なくとも1つの薬剤は好ましくは可変用量で送達され、そして少なくとも1つの他の薬剤は好ましくは固定用量で送達される。患者が医薬品の組み合わせを必要とする場合、そのときそれらの医薬品は、単一の針を通して1つの注射において単一注射デバイスによる送達のために単一製剤(即ち両方の薬物が事前に定義された割合で混ぜ合わされ、そして1つの一次パックで供給される)として提供することができる場合に利点がある。しかしながら、薬物の1つが使用者選択可能可変用量の送達を必要とし、並びに第2の薬物が治療的に有効になる最小用量より多い用量を必要とし、そして所定の最大用量を超えてはいけない場合に、そのとき薬物送達デバイスは、それがこの範囲外の用量を送達することを防止されるように構成されることは有益である。
【0016】
例えば、患者には、長時間作用型インスリン(通常可変用量デバイスで送達される)及びGLP−1(通常固定用量として送達される)の併用療法が処方され得る。GLP−1はプログルカゴン遺伝子の転写産物から由来するグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)であり、そしてそれが消化管ホルモンとして腸管L細胞により分泌される体内に見出される。GLP−1は、それ(及びそのアナログ)を糖尿病の有力な処置法として広範囲な検討の対象とする幾つかの生理学的性質を有する。患者が2つの注射を行う必要があることを回避するために、2つの医薬品は単一製剤にプレミックスされる。両薬剤は固定比率でプレミックスされるので、GLP−1用量を変えることもなしに長時間作用型インスリン用量を変動させることは可能ではない。しかしながら、GLP−1用量が所定の許容誤差内、例えば公称固定用量前後の±10%で変動することは容認可能である。それ故、それらの間で長時間作用型インスリンの可変用量、及び通常所定の「固定」用量の±10%内に入るGLP−1用量の送達を可能にし得るプレミックスデバイスのファミリーを提供するために、min/max制限デバイスのファミリーを用いることは可能である。
【0017】
表3は、例えば、20mg±10%に「固定」されるGLP−1用量と併せた22〜76単位からいずれの長時間作用型インスリン用量の送達を可能にする6min/maxペン型注射デバイスのファミリーを示す。ファミリー内の各Penは異なる最小及び最大用量閾値を有してよく、そして2つの医薬品の適切な混合比で充填した薬剤の一次パック又はカートリッジを供給し得る。ペンデバイスのファミリーは、薬剤の適切な混合比カートリッジでプレフィルドされた使い捨て機械デバイスとして供給され得る。あるいは、デバイスのファミリーは再使用可能機械デバイスとして供給し得る。後者の場合には、デバイスは好ましくは特定の混合比カートリッジ専用であり、即ち正しい混合比カートリッジだけが各ペンファミリー部材に装填することができる。
【0018】
第3の別の方法は、最小及び最大用量機能性でプログラミングすることができる、単一電子デバイスを介するペンデバイスの「ファミリー」を提供することである。好ましくは、min/max電子デバイスは、必要な最小及び最大閾値がその特定のカートリッジ及び混合比であり得ることを、デバイスに装填時にデバイスに自動的に伝え得るコード化カートリッジを装填し得る。
【0019】
ペン型デバイスなどの可動用量薬物送達デバイスで最小設定可能用量を実現する1つの特定の手段は、所定の最小用量が設定されるまでデバイスの投薬を防止する状態機構の変化を含むことである。最大用量機構もまた最小用量機構で使用することができる。本発明を組み入れることができるペン型デバイスの例は特許文献1に記載される。特許文献1の出願は、用量設定及び用量デリバリーの両方中の、ペン型注射デバイスの駆動機構の構造及び機能性、特に駆動スリーブ、クラッチ部材、用量ダイヤルスリーブ、ハウジング及びピストンロッドの相互作用を記載する。特許文献1に記載のペン型注射デバイスの完全な説明は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【発明の効果】
【0020】
本明細書に記載の最小用量制限機能は、分割ねじ込みインサートを用いて実現され得る。可能な例示的実施態様によれば、薬物送達デバイスのための用量設定機構は薬物送達デバイスハウジングを含む。用量ダイヤル部材はハウジング中に置かれ、そして例えば特許文献1に記載のように用量設定及び用量デリバリー中に回転することができる。分割ねじ込みインサートは用量ダイヤル部材とねじ係合している。インサートは、用量ダイヤル部材が回転するとき第1の構成から第2の構成へ変換することができる。1つの用量設定機構配置では、第1の構成は分割ねじ形状がギャップによって分離する場合に第1の開放構成を含んでよく、そして第2の構成は分割ねじ形状が閉鎖されギャップがない場合に第2の閉鎖構成を含んでよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】WO2004/078239A1
【0022】
別の例では、薬剤の少なくとも所定の最小用量を送達する方法が提供される。方法は、ハウジングを含んでなる用量設定機構を備え、そしてハウジング中に用量ダイヤル部材を回転自在に位置決めする工程を含む。方法は更に、分割ねじ込みインサートを用量ダイヤル部材の一部分とねじ係合する工程、及び用量ダイヤル部材が回転するとき第1の構成から第2の構成へインサートを変換する工程を含む。
【0023】
別の例では、薬剤の少なくとも所定の許容最小用量を設定する方法が開示される。1つの配置では、この方法は、所定の最小許容用量未満の用量が薬物送達デバイスによって設定されるとき薬物送達デバイス中に高摩擦状態を誘発し、そして少なくとも最小許容用量が薬物送達デバイスによって設定されるとき送達デバイス中に低摩擦状態を誘発する工程を含んでよい。高摩擦状態中では、高摩擦が機構ねじにロックアップをもたらすことから、使用者は用量を送達することができない。その理由は、注射機構が、非常に摩擦感受性であるかけられた軸方向の荷重に因り用量送達中のねじの巻き戻しに依存するためである。しかしながら、ダイヤル作動は軸方向荷重に因りねじの点検を必要としないことから、使用者はデバイスを事前選択最小用量に手動でダイヤルすることができる。高摩擦状態は例えば摩擦係数>0.15で定義され得て、そして低摩擦状態は例えば摩擦係数<0.15で定義され得る。しかしながら、本発明はこれらの純粋な作動摩擦値に限定されない。その上、高摩擦状態においてねじは低摩擦係数でも動かなくなるようにされる。言い換えれば、高摩擦状態においてねじは自由に作動せず、一方で低摩擦状態においてねじは自由に作動している。
【0024】
本min/maxデバイスの例では、使用者は、必要に応じて所定の最小用量と同じ又はそれより大きい用量をダイヤルし、そして次に必要な用量レベルに後退ダイヤルすることによって最小用量機能を手動でオーバーライドすることができる。
【0025】
加えて、最小用量未満の用量カウント数(用量ダイヤル部材の外面に備えられてよい)は、ダイヤル用量が通常の最小用量より小さいことを見分けるように赤色などの異なる色をつけてもよい。
【0026】
本提案の薬物送達デバイスの種々態様のこれら並びに他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0027】
例示的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ペン型薬物送達デバイスの例示的な設計を図示する。
図2図1に図示されるペン型薬物送達デバイスの一部分の横断面図を図示する。
図3】動作工程中の図2に図示される用量設定機構の一部分の透視横断面図を図示する。
図4図1〜3に図示される用量設定機構などの、用量設定機構で使用され得る分割ねじ込みインサートの拡大透視図を図示する。
図5図4に図示される分割ねじ込みインサートの拡大断面図を図示する。
図6図4に図示される分割ねじ込みインサートの別の拡大断面図を図示する。
図7】用量が選択される前に、用量ダイヤル部材に沿って位置する図4〜6に図示される分割ねじ込みインサートの初期位置の透視図を図示する。
図8図7における分割ねじ込みインサートの初期位置及び用量ダイヤル部材の断面図を図示する。
図9図7〜8に図示される分割ねじ込みインサートの拡大図を図示する。
図10】最小用量が選択された後に、用量ダイヤル部材に沿って配列される分割ねじ込みインサートの第2の位置の透視図を図示する。
図11図10に図示されるように最小用量が選択された後に、用量ダイヤル部材に沿って配列される分割ねじ込みインサートの第2の位置の断面図を図示する。
図12図10〜11に図示される分割ねじ込みインサートの拡大図を図示する。
図13図10〜12に図示される分割ねじ込みインサートの別の拡大図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照して、例示的なペン型設計配置に基づく薬物送達デバイス100が示される。薬物送達デバイス100は、第1のカートリッジ保持部材102を有するハウジング及び用量設定機構104を含む。薬物送達デバイス100は再設定可能薬物送達デバイス(即ち、再使用可能デバイス)又は代わりに再設定不可能薬物送達デバイス(即ち、再使用不可能デバイス)であってよい。カートリッジ保持部材102の第1の端部及び用量設定機構104の第2の端部は、連結機能によって合わせて固定される。再設定不可能デバイスでは、これらの連結機能は恒久的及び非可逆性であり得る。再設定可能デバイスでは、これらの連結機能は解除可能であり得る。
【0030】
この図示された配置では、カートリッジ保持部材は用量設定機構の第2の端部内に固定される。取り外し可能キャップ(示されず)は、カートリッジ保持部材又はカートリッジハウジングの第2の端部又は遠位端の向こう側に解除可能に保持される。用量設定機構104は用量ダイヤルグリップ112及び窓又はレンズ114を含む。用量ダイヤルスリーブの外面に沿って備えられる用量スケール配置などの、用量スケール配置は窓又はレンズ114を通して見え得る。薬物送達デバイス100内に含まれる薬剤の用量を設定するために、ダイヤル用量が用量スケール配置によって窓又はレンズ114中に見えるようになるように、用量ダイヤルグリップ112は回転することができる。下記により詳細に記載されるように、1つの別の用量設定機構配置では、最小用量未満がダイヤルされる場合、視覚表示が窓又はレンズ114を通して使用者に備えられ得る。例えば、最小用量未満の用量が設定されている場合、赤色が窓/レンズを通して見える。そのような例示的配置では、一度最小用量より大きい用量が設定されると、用量設定の数字目盛が窓/レンズ内に見える。
【0031】
図1は、医療送達デバイス100のダイヤル端118から取り外されるカバーキャップを備えた医療送達デバイス100を図示する。この取り外しはカートリッジハウジング106を露出する。好ましくは、それから多くの用量の医薬品が投薬され得るカートリッジ(示されず)が、カートリッジハウジング106中に備えられる。好ましくは、カートリッジは、例えば1日に一度又はそれ以上の回数、比較的頻繁に投与することができる薬剤のタイプを含む。1つのそのような薬剤は長時間作用型若しくは短時間作用型インスリンか又はインスリンアナログである;しかしながら、いずれの薬剤又は薬剤の組み合わせも可能である。カートリッジは、カートリッジの第2の端部又は近位端の近くに保持される栓又はストッパを含む。薬物送達デバイスは更に、駆動スリーブ及びスピンドル(図1には図示されないが、図2においてそれぞれ要素224及び226として図示される)を含む。
【0032】
薬物送達デバイス100のカートリッジハウジング106は遠位端及び近位端を有する。好ましくは、カートリッジハウジング106の遠位端は、取り外し可能ニードルアセンブリを取り付けるためにハブ108を含む。しかしながら、他のニードルアセンブリ連結機構もまた使用し得る。薬物送達デバイス100が再設定可能デバイスを含む場合、カートリッジの近位端は用量設定機構104に取り外し可能に連結される。1つの好ましい実施態様では、カートリッジハウジングの近位端は、バヨネット連結を介して用量設定機構104に取り外し可能に連結される。しかしながら、当業者には当然のことながら、ねじ、部分ねじ、ランプ及び戻り止め、スナップロック、スナップフィット、及びルアーロックなど他のタイプの取り外し可能連結方法も使用され得る。
【0033】
既述のように、図1に図示される薬物送達デバイスの用量設定機構104は、再使用可能薬物送達デバイス(即ち、用量設定機構を再設定することができる薬物送達デバイス)として利用され得る。薬物送達デバイス100が再使用可能薬物送達デバイスを含む場合、カートリッジはカートリッジハウジング106から取り外し可能である。そのような再使用可能薬物送達デバイスでは、カートリッジは、使用者にカートリッジハウジング106から用量設定機構104を単に連結解除させることによりデバイス100を破壊することなしにデバイス100から取り外し得る。
【0034】
使用中、一度キャップが取り外されると、使用者はカートリッジハウジング106の遠位端に備えられるハブ108に好適なニードルアセンブリを取り付けることができる。そのようなニードルアセンブリは、例えばハウジング106の遠位端上にねじ込まれ得て、又は代わりにこの遠位端上でスナップされ得る。使用後、交換可能キャップがカートリッジハウジング106を再カバーするために使用され得る。好ましくは、交換可能キャップの外側寸法は、デバイスが使用されていないで交換可能キャップがカートリッジハウジング106をカバーする位置にあるときに全一体の印象をもたらすように、用量設定機構104の外側寸法に類似又は同一である。
【0035】
本発明に基づく第1の例示的用量設定機構は図2を参照して記載される。図2は、図1に図示される薬物送達デバイス100と同様に、薬物送達デバイス200の横断面図を図示する。用量設定機構216は、薬物送達デバイスハウジング220及びハウジング220内の内部に置かれる用量ダイヤル部材222を含む。
【0036】
用量ダイヤル部材222は投薬工程中回転可能である。1つの例では、用量ダイヤル部材222は、外面225上に構成されるラセン溝234を有する数字スリーブを含む。あるインディシアは、使用者が用量を設定するために用量ダイヤル部材222を回転させるにつれてインディシアが変わるように、数字、文字、ロゴ、又は色パターンなどこの外面225に沿って備えられ得る。
【0037】
薬物送達デバイス200の用量設定機構216は好ましくは更に駆動スリーブ224を含み、そしてこのスリーブ224は用量ダイヤル部材222中に置かれてよい。回転スピンドルのようなスピンドル(即ち親ねじ)226は駆動スリーブ224内に置かれてよい。
【0038】
用量設定機構216は更にクラッチ228を含み、そして図示のようにこのクラッチは用量ダイヤル部材222と駆動スリーブ224間に置かれてよい。
【0039】
一般的に、用量設定機構216は、選択用量を投与できる前に、使用者が所定最小用量より多い用量をダイヤルする必要があることを確立するために動作する。これが起こることを確立するために、分割ねじ込みインサート201はハウジング220内に位置する。最小用量未満の用量が選択されるとき、分割ねじ込みインサート201は、ねじ又はその部材がギャップによって即ち開放位置で分離しているように、開放状態にある。そのように、用量ダイヤル部材222が最小用量より小さい用量を選択するのに回転するとき、分割ねじ込みインサート201は、用量ダイヤルスリーブの雌ねじと分割ねじ込みインサート201の雄ねじ間に高摩擦状態又は条件を作り出し、これは用量ダイヤル部材が用量投与工程の試み中に用量ダイヤル部材が用量設定機構216に逆回転することを防止し、それにより用量が投与されることを防止する。
【0040】
本提案薬物送達デバイスの1つの態様は、分割ねじ込みインサート201の状態を閉鎖構成に変えるために、少なくとも所定最小用量が用量ダイヤルスリーブを用いて設定される必要があること、それによって用量送達が用量ダイヤルスリーブの雌ねじと分割ねじ込みインサート201の雄ねじ間で結果として摩擦低下に因り可能となることを特徴とする。言い換えれば、この分割ねじ込みインサート201はダイヤルされる用量に依存して状態(即ち高摩擦状態又は低摩擦状態)を変える。薬物送達デバイス200など本開示薬物送達デバイスは、用量設定及び用量投薬中に部材を回転させ、特に特許文献1に記載のデバイスと同様にデバイスを機能させる薬物化合物又は薬剤を投薬するために使用されるいずれの用量設定/駆動機構にも適用可能である。
【0041】
例えば、図2は、注射デバイス200の用量設定機構216中の分割ねじ込みインサート201の1つの可能な位置を図示する。図2に見られるように、分割ねじ込みインサート201は用量ダイヤル部材又は用量ダイヤルスリーブ222とハウジング220間にとどまる。用量ダイヤル部材222の外面に沿って備えられる外側溝又はねじ234は、分割ねじ込みインサート201の雄部材208とねじ係合する。下記により詳細に説明されるように、ねじ込みインサート201の雄部材208は、近位(図4では上方)ねじ込み部分202及び遠位(図4では下方)ねじ込み部分204を含む。この下方ねじ込み部材204はボディハウジング220に固定されている。用量ダイヤル部材222は、用量設定工程又は用量設定手順中ハウジング220に対して1つの方向に回転する。ダイヤル部材222はまた、用量投薬工程又は用量投薬手順中ハウジング220に対して反対方向に回転する。
【0042】
図3は、動作工程中に図2に図示される用量設定機構の一部分の透視横断面図を図示する。1つの好ましい配置では、投薬量セレクタ250及び用量ダイヤル部材222は用量設定工程中時計回り(CW)232であり、そして投薬中逆時計回り(CCW)236である。用量設定工程又は手順中、使用者はトルクを直接投薬量セレクタ250に適用する。しかしながら、用量投薬工程又は手順中、用量ボタン260は遠位方向に押圧される(図2において矢印214で図示される)。用量ボタン260を押圧することは、用量設定が所定の最小量と同じか又はそれより大きいという条件で、加えた軸方向ボタン力の作動下に用量ダイヤル部材222を巻き戻させる。1つの好ましい配置では、用量ボタン260を押圧することは、矢印236で表示されるように逆時計回り方向に用量ダイヤル部材222を回転させる。
【0043】
図4は、図2に図示される分割ねじ込みインサート201の透視図を図示する。図5は、図4に図示される分割ねじ込みインサート201の拡大断面図を図示し、そして図6は、図4に図示される分割ねじ込みインサートの別の拡大断面図を図示する。図4〜6から見られるように、分割ねじ込みインサート201は上方ねじ込み部分202及び下方ねじ込み部分204を含む。1つの好ましい配置では、分割ねじ込みインサート201は、これら第1及び第2のねじ込み部分202、204間の分割線227が雄のラセンねじ部分208を形成するように構成される。これは図5及び6から見られる。第1及び第2のねじ込み部分202、204は、これらのねじ込み部分202、204間の相対的回転が、上方及び下方部材202及び204間のギャップを広げて/開くか又は狭めて/縮めるのに資するように構成される。下方ねじ込み部分204はボディハウジング220に固定され、一方で上方ねじ込み部分202は固定量だけ回転し得る。上方及び下方ねじ込み部分間のギャップの拡張及び開放は、雄ねじ形208の有効幅が増えることを意味する。そのように、雄ねじ形のこの有効幅は用量ダイヤル部材202と分割ねじ込みインサート201間の摩擦の増加量を導入する傾向となり得て、そしてそれにより用量ダイヤル部材222が用量投与工程中に回転することを防止し得て、それにより用量が送達されるのを防止する。
【0044】
用量を投薬するために、用量ダイヤル部材222は遠位方向において薬物送達デバイス200へと点検して巻き戻す必要がある。例えば、図3では、用量ダイヤルスリーブが矢印236によって表示されるCCW方向に回転する場合の、用量投薬工程が図示される。分割ねじ込みインサート201の上方202と下方204ねじ込み部材間の広いねじ形から生じる高摩擦状態は、用量ダイヤル部材222の巻き戻りを防止するのに十分である。これは用量ダイヤル部材222を試行用量送達中ロックさせる。ねじ込み雄部分208が開放(広いねじ)から閉鎖(狭いねじ)条件に変わる点を調節することにより、次いで投薬機能は可能/不能になる点を調節することができる。所定最小用量限度未満にねじ込み雄部分208をその開放(高摩擦状態)条件に維持することは、用量ダイヤル部材222が投薬を試みるときロックし得て、しかし使用者がゼロ位置にダイヤルを後退させることによって手動で用量を取り消すことを可能にし得ることから、薬物送達デバイス200はこの限度より低い用量を投薬するのに使用することができないことを確実にするのに資する傾向となり得る。
【0045】
図6は、分割ねじ込みインサート201の別の横断面図を図示する。図6から見られるように、上方ねじ込み部材202は更に、上方ねじ込み部材の内壁面203に沿って備えられる可撓性フィンガ210を含む。加えて、止め具212は下方ねじ込み部材204の内壁面205に備えられる。可撓性フィンガ210は、止め具212を押すことにより開放又は閉鎖位置のどちらかにあるように上方ねじ込み部分202を付勢するために作動する。
【0046】
図7は、用量が選択される前に、用量ダイヤル部材に沿って位置する図4〜6に図示される分割ねじ込みインサートの初期位置の透視図を図示する。図示されるように、用量ダイヤル部材222は更に、用量ダイヤル部材222の外面225に沿って置かれる複数のピップ(pips)を含む。図7は初期位置における用量ダイヤル部材を図示する。図7に図示されるように、用量ダイヤル部材は、ダイヤル部材222の外面225に沿って備えられる第1のピップ230及び第2のピップ240を含む。下記でより詳細に論じられるように、第1及び第2のピップ230、240は、ねじ込みインサート201の可撓性フィンガ210を、用量ダイヤル部材222の回転の方向に応じて止め具212のどちらか側に付勢するように資する。
【0047】
図7は、用量ダイヤル部材222並びにピップ230及び240と併せた上方ねじ込み部材202を図示する。初期に、用量ダイヤル部材が用量設定機構216に巻き戻るとき、第1のピップ230は、可撓性フィンガ210を止め具の右に押し進め又は再設定するように作動し、それ故ねじを開放するのに資する逆時計回り方向に上方ねじ込みスリーブ202を付勢する。既述のように、これらのねじの開放は高摩擦条件又はロッキング構成を誘発するのに資する。この初期状態では、投薬量セレクタを介して用量ダイヤル部材に加えられたトルクはダイヤル方向(即ち、図3における矢印232によって図示される時計回り方向で)においてこの摩擦に耐えるのに十分であることから、使用者は尚用量ダイヤル部材222を用量設定機構216から外へ近位に巻き得る。
【0048】
デバイスの用量設定工程中、用量ダイヤル部材222は時計回り近位方向(CW)において用量設定機構から外へ巻かれる。好ましい配置では、用量ダイヤル部材222は、用量設定機構が分割ねじ込みインサート201と用量ダイヤル部材222間でねじ込みインターフェイスによって画成されるラセン経路を従動するにつれて、時計回り近位方向(CW)において用量設定機構から外へ巻かれる。
【0049】
用量投薬時に、用量ダイヤル部材222はボタン260(図2及び3に図示される)に加えられた軸方向荷重によって点検され、そしてこれは、薬物送達デバイス内に含まれる薬物が投薬されると、用量ダイヤル部材222を逆時計回り(CCW)方向(軸方向)に用量設定機構216へ逆に回転させる。用量ダイヤル部材−分割ねじ込みインサート201係合での高摩擦は、この点検及びそれ故投薬機能を防止し得ることから、逆時計回り(CCW)方向(即ちねじを開けること)において上方ねじ込みインサート202を回転させることは、高摩擦を誘発し得てそしてそれ故、投薬機能性を不能にし得る。ねじ込みインサート202を時計回り(CW)に回転させることは摩擦を低減し、低摩擦状態をもたらし従って完全投薬機能性を可能にする。このように、分割ねじ込みインサート201内でのねじギャップの調節は投薬状態を調節し得る。
【0050】
薬物送達デバイス200の動作に関する分割ねじ込みインサート201の特定の動作、及び絶対最小用量に適合するか超える用量の設定は、図7〜13を参照して次のように説明することができる。例えば、図7は開放位置における組み合わせねじ部分208を図示する。そのような開放位置は、薬物送達デバイス200が第1の用量を設定するために使用される直前に、又はその代わりに薬剤の用量の投与直後に存在し得る。また、そのような開放位置は、ピップ230及び240の適切な位置決めを介する用量設定動作において複数の点で誘発され得る。図8は、図7に図示される薬物送達デバイスの切断図を図示し、組み合わせねじ部分208が第1の構成:溝234にとどまる開放位置にとどまることを図示する。
【0051】
初期には、第1のピップ230は上方ねじ込み部分の可撓性フィンガ210を図7に示されるように右に押し進める。結果として、これはまた下方ねじ込み部分204上で止め具212の右にそれを押し進める。そのように、上方ねじ込み部分202は逆時計回り(CCW)方向に付勢され、そして、これはねじを開放位置に押し進める傾向をもたらし得る。開放位置では、システムは用量設定のためにダイヤルアウトされ得るが、しかし所定最小用量又はより大きい用量が選択されていなければ、用量を投薬するためにロックされる。図9は、溝234にとどまっているこの開放構成におけるねじ込み部分208の拡大図を図示する。図9から見えるように、ギャップ209は上方ねじ込み部分202と下方ねじ込み部分204間にとどまる。
【0052】
用量設定の工程中、使用者は投薬量セレクタ250を介して用量ダイヤル部材222を直接、外へ巻く。これは、用量ダイヤル部材のねじ形208と外側溝234間でいずれの更なるねじ摩擦にも耐える。しかしながら、選択用量を投薬の際には、システムは過剰のねじ摩擦に敏感である。結果として、選択用量が最小許容用量より小さい場合、システムは点検中又はハウジングへ後退する用量ダイヤル部材の逆巻きをロックアップする(即ち、用量投薬工程中)。
【0053】
図10は、薬物送達デバイスが最小所定用量を選択するのに使用され、そして用量ダイヤル部材が薬物送達デバイスからダイヤルアウトされている場合の状況を図示する。例えば、この状況では、用量ダイヤル部材222が時計回り方向に回転するにつれて、第2のピップ240はダイヤル部材に沿って回転する。用量ダイヤル部材が回転し続けると、そして一度ある最小の確立用量が適合され又は超えると(薬物送達デバイスレンズ又は窓によって可視化し得ると)、第2のピップ240は可撓性フィンガ210上で作動する。
【0054】
図11は、図10に図示されるように最小用量が選択された後に、用量ダイヤル部材に沿って配列した分割ねじ込みインサートの第2の位置の横断面図を図示する。図12図10〜11に図示される分割ねじ込みインサートの拡大図を図示し、そして図13図10〜12に図示される分割ねじ込みインサートの別の拡大図を図示する。
【0055】
図11〜13から見られるように、可撓性フィンガ210で作動するとき、第2のピップ240はフィンガ210を左へ回転するようにさせて、上方ねじ込み部材202を時計回り(CW)方向に回転させる。そのように上方ねじ込み部材202は時計回り(CW)方向で付勢される傾向になり得る。これは、ねじを閉鎖位置に押し進める。例えば、図12から見られるように、分割ねじ込みインサートのこの拡大図は、この閉鎖又は第2の構成では上方ねじ込み部材202と下方ねじ込み部分204間にもはやギャップがないことを図示する。この閉鎖構成では、2つの部分は、これで溝234内を本質的にフリー走行(即ち、小さくなったねじ摩擦)するように用量ダイヤル部材222を備える。これは、薬物送達デバイス200がこれである事前に定義された最小用量より大きい用量を投薬することができること、及び用量ダイヤル部材222が用量投与中に用量設定メカニズム216のハウジング220へ遠位方向に点検/逆戻しすることができることを意味する。必要に応じて、投薬量セレクタ250によって用量ダイヤル部材を用量設定機構から外へ手動で巻くことにより、より高用量が設定及び投薬され得る。
【0056】
用量ダイヤル部材が図7〜9に図示されるようにその初期位置に戻っているときの投薬ストロークの終わりに、第1のピップ230は可撓性フィンガ210を始動位置に逆に戻し又は再設定する。この作動は、分割ねじ込みインサート201を本明細書に既述した初期の開放又は拡大構成に再設定する。第2のピップ240は、それが戻り方向(即ち投薬すること)に面取りをするので投薬中可撓性フィンガ210を右に押さない。
【0057】
本開示薬物送達デバイス設計の1つの利点は、薬物送達デバイスの基本動作が、最小用量がダイヤルされない場合に機能的に起こるロックアウトを除いて不変のままであることである。これに加えて、デバイスがロックされて、そして最小用量がダイヤルされていないという使用者への直接力フィードバックは非常に有利となる。加えて、「ロックされる」か、又は「投薬しようとする」デバイスの状態の更なる視覚フィードバックは、上方ねじ込み部材202の相対的位置がそれを通して観察することができるボディハウジング220中に窓(示されず)を備えることにより、使用者に与えられ得る。例えば、上方ねじ込み部材202の緑色部分は「閉鎖」位置では窓を通してだけ見え得て、一方「開放」位置では赤色部分が見える。
【0058】
好ましい実施態様では、多回用量、使用者選択可能デバイス内に含まれるインスリンなどの基本薬物化合物は、単回用量の二次薬剤及び単回投薬インターフェイスを含む単回使用、使用者交換可能モジュールで使用することが可能である。一次デバイスに連結したとき、二次化合物は一次化合物の投薬時にアクティブにされ/送達される。
【0059】
本出願は、特にインスリンを記載するが、2つの可能な薬物組み合わせとして、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1アナログ、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれかの上記薬物の組み合わせも、本発明で使用し得る。
【0060】
本明細書に使用される用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで1つの実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症の治療、及び/又は予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン3又はエキセンジン4、若しくはエキセンジン3又はエキセンジン4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0061】
本明細書に開示のように、用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はインスリンアナログ又は誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログは、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで置換され、そして、B29位において、Lysは、Proで置換されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0062】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0063】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0064】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
【0065】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0066】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0067】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン若しくはその誘導体、又は硫酸化された、例えば、上記多糖類のポリ硫酸化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0068】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基性塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基、場合により置換されるC2〜C6アルケニル基、場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A., 1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical
Technologyに記載されている。
【0069】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
本薬物送達デバイスの例示的な実施態様が記載されている。しかしながら、当業者には当然のことながら、変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される本提案薬物送達デバイスの真の範囲及び精神から逸脱することなくこれらの実施態様に対して行われてよい。
図1
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