特許第5943958号(P5943958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5943958セラミック断熱材料を金属構造体に接合するための構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943958
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】セラミック断熱材料を金属構造体に接合するための構成
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/02 20060101AFI20160621BHJP
   B23K 1/20 20060101ALI20160621BHJP
   B23K 1/005 20060101ALI20160621BHJP
   B23K 1/19 20060101ALI20160621BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20160621BHJP
【FI】
   C04B37/02 B
   B23K1/20 E
   B23K1/005 A
   B23K1/19 H
   B23K26/00 G
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-82663(P2014-82663)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2014-205612(P2014-205612A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年4月14日
(31)【優先権主張番号】13163603.7
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【復代理人】
【識別番号】100166040
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 智一
(72)【発明者】
【氏名】グレゴワール エティエンヌ ヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヘーベル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ペーター ボスマン
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許発明第102010060944(DE,B3)
【文献】 米国特許第04728257(US,A)
【文献】 特開2006−043771(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0040147(US,A1)
【文献】 特表2005−537934(JP,A)
【文献】 特開2008−024561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/02
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材料から成るセラミック層(1)を金属層(2)に接合するための構成部材(10)において、該構成部材(10)は、前記セラミック層(1)と前記金属層(2)との間に配置された金属材料から形成されたインタフェース層(11)を有し、前記セラミック層(1)は、複数のキャビティ(30)を有し、前記構成部材(10)は、ろう付け層(40)も有し、該ろう付け層によって前記インタフェース層(11)は前記金属層(2)に接合され、
前記セラミック層(1)における前記複数のキャビティ(30)は、金属フィラーによって充填されており、該金属フィラーは前記セラミック層(1)から突出しており、これにより、前記セラミック層(1)と前記インタフェース層(11)との間に金属支柱が形成され、
記セラミック層(1)及び前記インタフェース層(11)の間に規定された間隙をさらに備え、該間隙は、前金属支柱の長さによって規定されていることを特徴とする、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成部材。
【請求項2】
前記インタフェース層(11)は、複数の、壁に近い冷却チャネル(50)を有し、前記セラミック層(1)と、前記冷却チャネル(50)を備えた前記インタフェース層(11)とは、さらに前記金属層(2)にろう付けされている、ガスタービン環境において使用するための、請求項1記載の構成部材。
【請求項3】
断熱材料から成るセラミック層(1)を、金属層(2)に、前記セラミック層(1)と前記金属層(2)との間に配置された、金属材料から形成されたインタフェース層(11)によって接合するための構成部材(10)を得る方法において、前記インタフェース層(11)は、前記セラミック層(1)の複数のキャビティ(30)に結合可能な、前記セラミック層(1)に面した一方の側に複数のインタロッキングエレメント(20)を有し、
前記インタロッキングエレメント(20)は、レーザ金属成形プロセスによって金属材料の前記インタフェース層(11)に形成され、
前記インタフェース層(11)とインタロックした前記セラミック層(1)は、前記金属層(2)に直接に接合され、これにより、前記セラミック層(1)と、前記金属層(2)を有する前記インタフェース層(11)との固相線を超える温度によるろう付けにより、2つの面の間の規定された距離が保証されることを特徴とする、接合するための構成部材を得る方法。
【請求項4】
前記セラミック層(1)は、オーバハング(3)を有するキャビティ(30)を備えて製造されており、前記セラミック層(1)は、さらに光学装置によってスキャンされ、これにより、部材の数に対応する識別数を有する、各キャビティ(30)の基準位置が保管され、その後、自動化されたレーザ金属成形作業が行われ、その際、粉末及びガス(6)が供給される粉末ノズル(4)が、インタロッキングエレメント(20)が配置されなければならない基準位置に位置決めされ、前記粉末は、焦点レーザビーム(5)によって局所的に再溶融させられ、これにより、局所的に再溶融させられた金属粉末が、形成されるキャビティを充填する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記粉末ノズル(4)の位置決めは、ロボット又はCNC(コンピュータ数値制御)によって行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1のステップにおいて、セラミック層(1)の表面にキャビティ(30)を形成するためにショートパルスレーザ加工作業が行われ、次いで、自動化されたレーザ金属成形作業の第2のステップが行われ、粉末及びガス(6)が供給される粉末ノズル(4)が、インタロッキングエレメント(20)が配置されなければならない基準位置に位置決めされ、粉末が焦点レーザビーム(5)によって局所的に再溶融させられ、局所的に溶融した金属粉末が、形成されたキャビティを充填する、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記インタフェース層(11)のレーザ金属成形プロセスにおいて使用される金属フィラー材料は、高温Niベースろう付け粉末を含む、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記インタフェース層(11)の前記レーザ金属成形プロセスにおいて、超合金とろう付け材料との混合粉末が使用される、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
レーザ粉末溶融作業の閉ループ制御をも含み、前記レーザ粉末ノズル(4)に高温計(7)が組み込まれており、該高温計は、局所的な溶融プールの温度を継続的に測定する、請求項3から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記セラミック層(1)が、前記インタロッキングエレメント(20)を形作る突出した金属フィラー材料を含むように、制御された雰囲気を有する作業チャンバ内における粉末焼結積層造形法(SLM)によって前記セラミック層(1)と前記金属層(2)との間にインタフェース層(11)を形成するために用いられる付加的な製造プロセスのための初期プリフォームとして、前記セラミック層(1)が使用される、請求項3から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適には高温ガス環境において使用される、セラミック断熱材料を金属構造体に接合するための構成に関する。本発明は、このような構成を得るための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
高温ガス環境において作動する場合、セラミック断熱材料を金属構造体に接合することは、セラミック材料の早期故障を回避するためにセラミック断熱材料における応力レベルの十分な制御を要求する。これを達成するために、このようなセラミック材料部材における熱応力は、前記部材における温度勾配に直接に関連しているので、このようなセラミック材料部材における熱応力が減じられるように、セラミック断熱材料の所要の厚さを最小限に減じるために、可能な最も高い温度のためにセラミック材料と金属材料との接合を設計することに関心が持たれている。セラミック層における熱的勾配に関する高温継手の利点は、セラミックと金属基板との熱膨張係数の差により、継手におけるより高い応力レベルにより相殺される。それ以外に、作動中に金属材料の温度が高くなるほど、金属材料の酸化速度が高まるので、継手を構成する金属材料は、高い耐酸化性を有する必要がある。
【0003】
従来技術では、アクティブろう付け、反応性空気ろう付け又はセラミック材料の金属化を用いて、金属部材へのセラミック部材のろう付けによってセラミック断熱材料を金属構造体に接合することが知られている。しかしながら、アクティブ又は反応性空気ろう付けが利用される場合に使用される(Ag又はAuをベースとする)アクティブろう付け合金の低い融点により、又はセラミック材料の金属化が行われるときに使用される金属の不十分な耐酸化性により、全てのこれらの公知の解決手段は温度能力において制限されており、金属化のために使用されるこの金属は通常はMo又はMnである。
【0004】
従来技術において公知の別の可能性は、機械的な継手によりセラミック材料と金属材料とを接合することであり、すなわち、この解決手段は、特に材料両立性に対する最小限の制限を有する機能的特性のために用いられる材料の選択を許容する。しかしながら、機械的な継手解決手段が利用される場合、問題は、継手位置において応力集中が生じるということであり、この応力集中が、セラミック材料のき裂形成の局所的なリスクにつながり、このき裂形成は、セラミック材料全体に破壊的に成長する恐れがあり、セラミック材料の早期故障につながる。
【0005】
従来技術において公知のその他の解決手段は、例えば、金属締付システムにセラミックを取り付けることであるが、これは、上述の機械的な接合について述べたような問題を有し、又は、高温セメントを使用することであり、これは、高い応力レベルに曝される、制限された機械的特性を有する脆い接合層の問題を生じ、これは、局所的なき裂を発生する恐れがあり、このき裂は、成長し、セラミック材料の早期故障を生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における前記問題を解決する接合構成を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成であって、高温ガス環境において使用される構成に関する。本発明の構成は、セラミック層と金属層との間に配置された、金属材料から形成されたインタフェース層を有し、このインタフェース層は、セラミック層に面した一方の側において複数のインタロッキングエレメントを有する。本発明の構成によれば、セラミック層は、インタフェース層の対応するインタロッキングエレメントと結合することを目的とする複数のキャビティを有する。本発明の構成は、ろう付け層も有し、このろう付け層によってインタフェース層は金属層に接合される。
【0008】
本発明は、上述のような構成を得るための方法にも関する。本発明の方法は、レーザ金属成形プロセスによって、セラミック層に面した一方の側に複数のインタロッキングエレメントを有するインタフェース層を形成する。
【0009】
本発明の、前記課題、及び付随する利点の多くは、さらに容易に理解されるであろう。なぜならば、それらは、添付の図面に関連して見た場合に以下の詳細な説明を参照することによってさらに理解されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成におけるセラミック層の概略図を示す。
図2】本発明による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成におけるセラミック層及びインタフェース層の概略図を示す。
図3】本発明の第1の実施の形態による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成の概略図を示す。
図4】本発明の第2の実施の形態による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成の概略図を示す。
図5】本発明の第3の実施の形態による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成の概略図を示す。
図6】本発明による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成におけるインタフェース層を形成するための、本発明の方法の概略図を示す。
図7】本発明の第4の実施の形態による、断熱材料から成るセラミック層を金属層に接合するための構成の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、断熱材料から成るセラミック層1を金属層2に接合するための構成10であって、高温ガス環境、典型的にはガスタービン環境において使用される構成10に関する。構成10は、セラミック層1と金属層2との間に配置された、金属材料から形成されたインタフェース層11を有し、このインタフェース層11は、セラミック層1に面した一方の側において複数のインタロッキングエレメント20を有する。本発明の構成によれば、セラミック層1は、インタフェース層11の対応するインタロッキングエレメント20と結合することを目的とする複数のキャビティ30を有する。本発明の構成10は、ろう付け層40も有し、このろう付け層40によって、インタフェース層11は金属層2に接合される。
【0012】
本発明は、上述のような構成10を得るための方法にも関する。後で説明するように、本発明の方法は、レーザ金属成形プロセスによって、セラミック層1に面した一方の側に複数のインタロッキングエレメント20を有するインタフェース層11を形成する。
【0013】
接合位置における応力集中を減じるために、多数の接合接点(インタロッキングエレメント20とキャビティ30)を有する、本発明の構成10を備えた頑丈な接合設計が提案され、その他に、継手のジオメトリは残留応力を減じるようなものである。これを達成するために、セラミック層1は、それ自体にキャビティ30を有するように製造され(図1参照)、次いで、インタフェース層11が、これらのキャビティ30を充填するように製造され、セラミック層1とインタフェース層11との間のインタロッキングにつながる。したがって、インタフェース層11の製造は、セラミック層1におけるキャビティ30のそれぞれ1つの形状に正確に適応させられなければならない。これは、複数の可能な方法によって達成することができる。
【0014】
(1)セラミック層1は、オーバハング3などのインタロッキング特徴部を有するキャビティ30を備えて直接に製造される。製造されたそれぞれの部材は、適切な光学装置、例えば3D写真測量スキャナによってスキャンされ、キャビティ30のそれぞれ1つの基準位置が、部材の番号に対応する識別番号とともに、データファイルに保管される。第2のステップでは、自動化されたレーザ金属成形作業が行われ、その際、粉末及びガス6が供給される粉末ノズル4が、インタロッキングエレメント20が配置されなければならない基準位置に位置決めされ、粉末が焦点レーザビーム5によって局所的に再溶融させられ、図6に示したように、局所的に溶融した金属粉末が、形成されたキャビティを充填する。粉末ノズル4の位置決めは、ロボットによって、又はCNC(コンピュータ数値制御)によって行うことができる。
【0015】
(2)別の可能性は、セラミック層1の表面にキャビティ30を形成するためにショートパルスレーザ加工作業が行われる第1のステップを提供することである。好適には、溶融なしに及びセラミック層1におけるき裂形成なしにクリーンなキャビティ30を形成するために、ns又はpsパルスが選択される。第2のステップは、既に上記(1)において記述したものと同様のものであるが、レーザ金属成形ステップのための目標位置として、前の加工位置を直接に利用することができるので、スキャニングは不要である。
【0016】
上述の2つの方法のうちの一方を用いて、図3図7に示された、発明の様々な実施の形態において示されたように、インタロッキングエレメント20として様々な形状を生ぜしめることができる。継手の所要の強度及び構成10の機能的要求に応じて、数、密度、及びインタロッキングエレメント20によるセラミック層1のカバー範囲を調節することができる。別の可能性は、金属フィラーがセラミック層1から突出し、金属ストラットを形成するように、金属で充填されたキャビティ30を有することである。付加的な研削又はフライス削り作業により、金属層2に対する、インタフェース層11を備えたセラミック層1の表面の間の規定されたオフセットを生ぜしめることができ、金属ストラットの低い剛性により、セラミック層1と金属フィラーとの間の接触箇所における減じられた応力により早期故障を回避する。
【0017】
レーザ金属成形材料は、フィラー材料、好適には金属フィラー材料に対して極めてフレキシブルである。例えば、フィラー材料として、市販されているろう付け合金Amdry 915又はAmdry 103などの、高い使用温度能力及び良好な耐酸化性を有する高温Niベースろう付け粉末を選択することができる。レーザ/粉末ノズル4又はセラミック層1を傾けることができるので、インタロッキングエレメント20の形状に関する高い柔軟性がある。
【0018】
代替例(図1参照)として、高強度超合金と、高温ろう付け材料との混合粉末を使用することができる。いずれの場合にも、インタフェース層11とインタロックするセラミック層1を、キャリヤ構造として作用する金属層2に直接に接合することができる。2つの面(インタフェース層11を備えたセラミック層1と金属層2)の間の規定されたオフセットが保証される必要があるので、セラミック層1と、金属層2を備えたインタフェース層11との超固相線ろう付けを考えることができる。この場合、ろう付け温度は、フィラー合金の固体及び液体温度の間の中間値に設定されている。その結果、フィラーの僅かな部分のみが溶融させられ、金属継手(インタロッキングエレメント20)は、それらの形状を維持し、インタフェース層11を備えたセラミック層1と、金属層2との間の正確なオフセットを保証する。
【0019】
好適な実施の形態(図2図3図4図5又は図7参照)として、高温性能を有する超合金がフィラー材料として使用される。局所的な要求に応じて、Amdry 995、Amdry 963、Haynes 230又はInconel 738などの、優れた耐酸化性、耐腐食性、優れた機械的強度、又はこれらの特性の適切な組合せを有する材料を選択することができる。この場合、金属層2と、インタフェース層11に接合されたセラミック層1との間に付加的なろう付け層40が提供されなければならない。しかしながら、インタフェース層11によるセラミック層1の高い被覆面積は、濡れ性を著しく高め、ろう付けを著しくより確実にする。したがって、ろう付け層40を形成するために使用されるろう付け材料に関する柔軟性は、より高くなり、著しくより高い使用温度を有する高温ろう付け箔を選択することができる。セラミック層1とインタフェース層11との間に金属ストラットを形成するようにインタロッキングエレメント20の長さを選択することによって、規定された間隙を形成することができる。これらのストラットは、低い剛性を有し、インタロッキングエレメント20とセラミック層1との間の接触箇所における応力レベルが、室温において又は使用中にセラミック層におけるき裂形成及びき裂成長を回避するのに十分なほどに低くなるよう設計することができる。
【0020】
全ての場合において、過熱は局所的なき裂又はその他の損傷を生じる恐れがあるので、セラミック層1への過剰な熱入力が回避されなければならない。これを確実にするために、レーザ粉末溶融作業の閉ループ制御を行うことができる(図6参照)。この場合に、高温計7がレーザ粉末ノズル4に組み込まれており、高温計7は、局所的な溶融プールの温度を継続的に測定する。温度値は、リアルタイムで分析され、レーザ粉末制御ユニットへフィードバックされ、レーザパワー制御ユニットは、パワーレベルを自動的に調節して、溶融プロセスの最適な温度を維持する。好適には、サブミリメートルのレーザスポット直径を生ぜしめるビーム成形光学系8がこの目的のために使用される。熱入力のより良好なバランスのために、ビーム成形光学系8に組み込まれたガルバノメータスキャナを使用することによって付加的な迅速ビーム振動を行うことができる。
【0021】
発明の別の実施の形態では、セラミック層1は、インタロッキングエレメント20を成形する突出した金属フィラー材料を有する。このセラミック層1は、付加的な製造プロセスのための初期プリフォームとして使用され、この付加的な製造プロセスは、セラミック層1と金属層2との間にインタフェース層11を形成するために使用することができる。特に、この作業は、制御された雰囲気を有する作業チャンバ内において粉末焼結積層造形法(Selective Laser Melting、SLM)によって行うことができる。このために、セラミック層1は、粉末堆積平面に対して平行にSLMチャンバに導入される。インタフェース層11から始めて新たな材料が形成されるように、選択的レーザ溶融は行われる。特に興味深い選択肢として、図7に示したように、等角の(壁に近い)冷却チャネル50を、セラミック層1と金属層2との間の高温インタフェースの近傍に導入することができる。その結果として提供されるバイブリッドセラミック/金属複合材料は、次いで、上述のように金属層2にろう付けされる。
【0022】
上述の製造シーケンス又はステップのうちの1つを用いて、本発明の構成10を有する、大量の標準化されたセラミック層1/インタフェース層11エレメントを製造することができ、このエレメントは、次いで、例えばガスタービンにおける燃焼器ライナなどの大型の金属層2に確実に結合される。
【0023】
レーザ金属成形/選択的レーザ溶融プロセスを利用する本発明の方法の主な利点は、セラミック層1において極めて低い残留応力及び最小限の応力集中を有する、セラミック層1と金属層2(キャリヤ構造)との間の機械的継手を形成することができるということである。この継手設計は、セラミック層1を構成するセラミック絶縁材料と、金属層2との間の熱的な不適合によるひずみを解消することができる。目標とする作動範囲において十分な延性を有するフィラー材料を選択することによって、付加的なひずみコンプライアンスを導入することができる。
【0024】
その他に、少なくとも本発明の方法の1つの実施の形態では、セラミック層1は、接合の前に機械加工を必要とせず、製造公差、又はセラミック材料が成形される前に(グリーンセラミック材料と称される)セラミック材料を焼結する間の制御されない収縮のようなその他の効果による、セラミック形状のばらつきが、3Dスキャニングと組み合わされたフレキシブルなレーザ金属成形ステップによって補償される。金属継手の形成中の局所的な加熱は、製造中のセラミック層1における熱衝撃強さも減じる。全てのこれらの利点は、インタフェース層11を備えたセラミック層1と、金属層2との接合中におけるセラミック材料の予備き裂形成の可能性を減じる。さらに、本発明のプロセスは、高温作動中のき裂形成、及び過渡的荷重を減じる。これは、セラミック材料の早期故障の可能性を減じる。
【0025】
本発明は、好適な実施の形態に関して完全に説明されたが、本発明の範囲に変更が加えられてよく、本発明をこれらの実施の形態によって限定されるものと考えず、しかし以下の請求項の内容による。
【符号の説明】
【0026】
10 セラミックと金属とを接合する構成
1 セラミック層
2 金属層
11 インタフェース層
20 インタロッキングエレメント
30 セラミック層におけるキャビティ
40 ろう付け層
3 インタロッキングエレメントのオーバハング
4 レーザ粉末ノズル
5 焦点レーザビーム
6 粉末及びガス
7 高温計
8 ビーム成形光学系
50 冷却チャネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7