【文献】
MILEWSKI,M. et al,Polish Journal of Chemistry,1998年,Vol.72, No.11,p.2405-2417
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態では、本明細書中前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)Zを表すことを特徴とする、式Iの化合物の製造のための工程が提供され、前記工程は、本明細書中前記で定義したとおりである式IIの化合物またはその保護された誘導体もしくは塩と、本明細書中前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)Zを表す式IIIの化合物との反応を含む。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書中以下で定義される式IIの化合物またはその保護された誘導体もしくは塩と、本明細書中前記で定義したとおりである式IIIの化合物との反応を含み、反応が「ワンポット」法として実施されることを特徴とする、本明細書中前記で定義したとおりである式Iの化合物の製造のための工程が提供される。
【0017】
本発明のもう1つの実施形態では、本明細書中前記で定義したとおりであるが、R
2が−NO
2を表すことを特徴とする、式Iの化合物の製造のための工程が提供され、前記工程は、本明細書中前記で定義したとおりであるが、R
2が−NO
2を表すことを特徴とする、式IIの化合物またはその保護された誘導体もしくは塩と、本明細書中前記で定義したとおりである式IIIの化合物との反応を含む。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態では、工程がアシル化試薬の不在下で実施されることを特徴とする、本明細書中前記で定義したとおりである式Iの化合物の製造のための工程が提供される。たとえば、本発明の工程が式XXIV(本明細書中以下で定義される)の中間体を経て進行する場合、式Iの化合物を形成するペリ環状環化を促進するために、その中間体を、最初は、N−アシル化中間体を形成するアシル化試薬(無水トリフルオロ酢酸またはトリフルオロアセチルトリフラートなど)の存在下で反応させない。
【0019】
本発明の前記実施形態はまた、本明細書では「本発明の工程」とも称される。
【0020】
本発明の工程は、式IIおよびIIIの化合物の塩、溶媒和物または保護された誘導体を使用して実施され得る。それによって生成され得る式Iの化合物は、(たとえば対応する)塩または溶媒和物、またはその保護された誘導体の形態で生成されてもよく、またはそれらの形態で生成されなくてもよい。
【0021】
たとえば、式IIの化合物の保護された誘導体または塩を工程で使用し得ることは前記に明確に記述されている。これに関連して、挙げることができる具体的な塩は、酸性塩、たとえばハロゲン化水素塩(たとえばHCl)を含み、挙げることができる具体的な保護基は、ヒドロキシルアミン部分のための適切な保護基、たとえば式IIAおよびIIB:
[それぞれ、式中、
PG
1は、イミノ保護基(すなわちイミノ官能基を生じさせるアミノ部分のための保護基)、たとえば=C(R
q1)OR
q2(それゆえ、−O−N=C(R
q1)OR
q2である保護されたヒドロキシルアミン基を形成する)[式中、R
q1およびR
q2は、独立して、C
1〜6アルキルを表し、より好ましくはC
1〜3アルキルを表す。最も好ましくは、R
q1はメチルを表し、および/またはR
q2はエチルを表す(それゆえ、たとえば、保護されたヒドロキシルアミン基が−O−N=C(CH
3)OCH
2CH
3である式IIAの化合物を形成する)。本明細書中以下で述べるように、式IIAの化合物は幾何異性体として、すなわちイミノ二重結合についてシスおよびトランス異性体として存在してもよい。]を表し、
PG
2は、アミノ保護基(すなわち第二級アミノ基であるアミノ部分を生じさせる保護基)、たとえば、アミド(たとえばN−アセチル)、N−アルキル(たとえばN−アリルもしくは任意に置換されたN−ベンジル)、N−スルホニル(たとえば任意に置換されたN−ベンゼンスルホニル)または、より好ましくはカルバメートまたは尿素を提供する保護基を表し、
それゆえ、PG
2は、
−C(O)R
t1(式中、R
t1は、好ましくはC
1〜6アルキルまたは任意に置換されたアリールを表す)、
C
1〜6アルキル、前記アルキル基は、任意に置換されたアリールから選択される1またはそれ以上の置換基によって任意に置換されている、
−S(O)
2R
t2(式中、R
t2は、好ましくは任意に置換されたアリールを表す)、または、好ましくは−C(O)OR
t3(式中、R
t3は、好ましくは任意に置換されたアリールまたは、より好ましくはC
1〜6(たとえばC
1〜4)アルキル、たとえばtert−ブチル(それゆえ、たとえば、tert−ブトキシカルボニル保護基、すなわちアミノ部分と一緒になった場合、tert−ブチルカルバメート基を形成する)を表す)
−C(O)N(R
t4)R
t5(式中、好ましくは、R
t4およびR
t5は、独立して、水素、C
1〜6アルキル、任意に置換されたアリールまたは−C(O)R
t6を表し、R
t6は、C
1〜6アルキルまたは任意に置換されたアリールを表す)
を表し得る]
の化合物によって定義されるような、イミノ保護基またはアミノ保護基を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合(たとえばPG
2によって定義されるような保護基に関して)、「任意に置換されたアリール」という用語は、好ましくは、任意置換基が、好ましくはハロ、−NO
2、−OHおよび/または−OC
1〜6アルキルから選択される、「任意に置換されたフェニル」を指す。
【0023】
式IIの化合物の保護された誘導体を本発明の工程において使用する場合、式IIAの化合物を使用することが好ましい。
【0024】
有利には、式IIの化合物の保護された誘導体(たとえば式IIAまたはIIBの化合物)または式IIの化合物の塩(たとえばハロゲン化水素塩のような酸性塩、たとえばHCl)を本発明の工程において使用する場合、式IIの保護されていない化合物へと脱保護する段階、または式IIの化合物の遊離塩基へと中和する段階(たとえば酸性塩の塩基性化によって)を、たとえば本発明の工程の前に、別途に実施する必要がない。そのような段階は、有利には本発明の工程と同じ「ポット」において実施され得る、すなわち本発明の工程の反応も同時に生じつつ脱保護または中和が起こり得、それにより、保護された形態ではないおよび/または塩の形態ではない式Iの化合物が提供される。
【0025】
特に指定のない限り、本明細書で定義されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、または十分な数(すなわち少なくとも3個)の炭素原子が存在する場合は、分枝鎖および/または環状であってもよい。さらに、十分な数(すなわち少なくとも4個)の炭素原子が存在する場合、そのようなアルキル基はまた、部分環状/非環状であってもよい。そのようなアルキル基はまた、飽和であってもよく、または十分な数(すなわち少なくとも2個)の炭素原子が存在する場合は、不飽和であってもよい。
【0026】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、C
6〜10基を含む。そのような基は、単環式、二環式または三環式であってもよく、多環式である場合は、全芳香族または部分芳香のいずれかであってもよい。挙げることができるC
6〜10アリール基は、フェニル、ナフチル等を含む。錯誤回避のため、アリール基上の置換基の結合点は、環系の任意の原子を介してもよい。
【0027】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素、窒素および/または硫黄から選択される1またはそれ以上のヘテロ原子を含む5員〜14員のヘテロアリール基を含む。そのようなヘテロアリール基は、そのうちの少なくとも1つが芳香族である、1、2または3個の環を含んでもよい。ヘテロアリール基上の置換基は、適切な場合、ヘテロ原子を含む環系の任意の原子上に位置してもよい。ヘテロアリール基の結合点は、ヘテロ原子を含む(適切な場合)環系の任意の原子を介してもよい。挙げることができるヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピロリル、キノリニル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、インドリル、ピラジニル、インダゾリル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾイミダゾリルおよびベンズチアゾリルを含む。
【0028】
「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0029】
R
aがオキシ保護基を表し得ることは本明細書で明言される。挙げることができるオキシ保護基は、トリアルキルシリルおよびジアリールアルキル−シリル基(たとえばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、−C(O)R
t1、C
1〜6アルキル(前記アルキル基は、任意に置換されたアリールから選択される1またはそれ以上の置換基によって任意に置換されており、それゆえアルキルアリール基を形成する)、−S(O)
2R
t2、−C(O)OR
t3および−C(O)N(R
t4)R
t5(式中、R
t1、R
t2、R
t3、R
t4およびR
t5、ならびに任意の関連アリール基上の好ましい任意置換基は、本明細書中前記で定義したとおりである)を含む。当業者は、式Iの化合物において、R
aがC
1〜6アルキルを表す場合、これらの基の一部は保護基(たとえばアリル性基)であるとみなされ得ることを認識する。他のオキシ保護基は、塩、たとえば無機金属塩、たとえば第II族または、好ましくは第I族金属塩(たとえばナトリウム塩またはカリウム塩、それゆえ、たとえば−O
−Na
+または−O
−K
+部分を形成する)を含む。
【0030】
最も好ましいオキシ保護基は、好ましくはR
t1がC
1〜6アルキル基を表し、それゆえアルキルカルボニル基(たとえばメチルカルボニル基およびエチルカルボニル基)およびアルキルアリール基(たとえば、本明細書中前記で定義したように任意に置換されたベンジル)を形成する、−C(O)R
t1基を含む。R
aがオキシ保護基を表す場合、本明細書で定義されるように任意に置換されているが、好ましくは置換されていない、アルキルアリール基、特にベンジル基を表すことが最も好ましい。
【0031】
本明細書で述べる工程において使用されるまたは前記工程によって生成される化合物(すなわち本発明の工程に関与するもの)は、互変異性を示してもよい。したがって本発明の工程は、それらの互変異性体のいずれかまたは何らかのそのような形態の混合物としてのそのような化合物の使用または生成を包含する。
【0032】
同様に、本明細書で述べる工程において使用されるまたは前記工程によって生成される化合物(すなわち本発明の工程に関与するもの)はまた、1またはそれ以上の不斉炭素原子を含んでもよく、したがってエナンチオマーまたはジアステレオ異性体として存在してもよく、光学活性を示してもよい。したがって本発明の工程は、それらの光学異性体またはジアステレオ異性体のいずれかまたは何らかのそのような形態の混合物としてのそのような化合物の使用または生成を包含する。
【0033】
さらに、本明細書で述べる工程において使用されるまたは前記工程によって生成される化合物(たとえば本明細書中前記で定義した式IIAの化合物)は、二重結合を含んでもよく、したがって各々個々の二重結合についてE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在してもよい。すべてのそのような異性体およびそれらの混合物は本発明の範囲内に包含される。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、式IIおよびIIIの化合物(またはその誘導体)の製造のための工程、ならびに式IIおよびIIIの化合物に対する中間体化合物の製造のための工程が提供される。
【0035】
式IIの化合物またはその塩は、当業者に公知の標準的条件下で、式IIAまたはIIBの対応する化合物の脱保護によって製造され得る。たとえば、式IIAの化合物の脱保護のためには、標準的な加水分解条件、たとえば水溶液中の酸(たとえば、HBrまたは、好ましくはHClなどのハロゲン化水素)の存在が使用され得る(酸は、リン酸または硫酸などの無機酸であってもよい)。そのような条件は、式IIの化合物(の保護されていない誘導体)の塩(たとえば関連するハロゲン化水素塩)またはそのような式IIの化合物の遊離塩基形態(たとえば、塩形態が、たとえば塩基性化によって、中和される場合)を生じさせ得る。
【0036】
式IIBまたは、好ましくはIIAの化合物は、式IV:
[式中、L
aは、適切な脱離基、たとえばスルホン酸基(たとえば−OS(O)
2CF
3、−OS(O)
2CH
3もしくは−OS(O)
2PhMe)または、より好ましくはハロ(たとえばブロモ、フルオロもしくは、好ましくはクロロ)を表し、R
1、R
2、R
3およびR
4は、本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物と、式V(式IIAの化合物の製造の場合):
[式中、PG
1は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物、または式VI(式IIBの化合物の製造の場合):
[式中、PG
2は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物との、たとえば標準的な芳香族置換反応条件下での反応によって製造され得る。たとえば、芳香族置換反応は、極性非プロトン性溶媒(ジメチルホルムアミドなど)の存在下で実施され得る。これに関連して、挙げることができる他の極性非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテルおよびジオキサンを含む。しかし、今や、この工程段階は、一方だけが極性非プロトン性溶媒である(他方は非極性溶媒である)、溶媒の混合物中でも実施され得ることが認められた。したがって、本発明のもう1つの態様では、前記で定義した(好ましくはジメチルホルムアミドである)極性非プロトン性溶媒に加えて使用される、非極性非プロトン性溶媒のような非極性溶媒の存在下でのそのような工程が提供される。好ましい非極性非プロトン性溶媒は、トルエンを含むが、式VまたはVIの化合物を抽出する(たとえば本明細書中以下で定義されるような反応混合物から)ために使用され得るいかなる溶媒でもよい。
【0037】
有利には、本発明のこの態様(すなわち式IIAまたはIIBの化合物の製造のための工程)では、式VまたはVIの化合物(どちらを使用する場合も)を含む溶液、たとえば反応混合物からの抽出(式VまたはVIの化合物の製造後に)によって得られる溶液を、溶媒の部分蒸発または完全蒸発によって濃縮する必要がない(すなわち、有利には、溶媒を除去する必要がない)。むしろ、極性非プロトン性溶媒(たとえばDMF)は、好ましくは、たとえば抽出において使用される、いかなる非極性溶媒の完全除去も伴わずに(最も好ましくはいかなる除去も伴わずに)、式VまたはVIの化合物の溶液に直接添加され得る。
【0038】
式IIIの一部の化合物(および/または化合物を得るための工程)は、それ自体新規である。したがって、本発明のさらなる態様では、本明細書中前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)−Zを表す、式IIIの化合物が提供される。好ましくは、そのような式IIIの化合物はまた、Xがブチル(たとえばn−ブチル)を表すものである。新規であり得るそのような中間体は、有利には本発明の工程において使用され得る。
【0039】
Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物は、
(i)式VII:
[式中、Zは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物と、式VIII:
[式中、L
1は、適切な脱離基、たとえばハロ(たとえばブロモ、クロロもしくはヨード)または、より好ましくは−OC
1〜6アルキル(たとえば−OCH
3もしくは、好ましくは−OCH
2CH
3)を表し、Xは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物との、好ましくは適切な塩基、たとえばアルカリ金属水素化物(たとえばKH、CaH
2もしくは、好ましくはNaH)、有機リチウム塩基(たとえばn−、s−またはt−ブチルリチウムもしくは、好ましくはリチウムジイソプロピルアミド)、他のアルカリ金属ベースの塩基(たとえばNa
2CO
3、K
2CO
3、K
3PO
4、t−BuONa、t−BuOKもしくは、好ましくはCH
3ONa)、または塩基の混合物、および(a)適切な溶媒(たとえばテトラヒドロフラン(THF)、トルエンおよび/またはジメチルホルムアミド、THFのような極性非プロトン性溶媒が特に好ましい)の存在下に、標準的な条件下での、たとえば室温または高温、たとえば約65℃での反応、
(ii)式IX:
[式中、Xは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物と、式X:
[式中、ZおよびL
1は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物との、たとえば式IIIの化合物の製造に関して本明細書中前記で述べたような(前記工程段階(i))反応条件下での反応、
(iii)Yが−C(O)−Zを表し、Zが−OHによって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す、式IIIの化合物に関して、式XI:
[式中、Z
aは、−O−C(O)−X(式中、Xは本明細書中前記で定義したとおりである)で置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す]
の対応する化合物と、塩基との、たとえば式IIIの化合物の製造に関して本明細書中前記で定義したような(前記工程段階(i))塩基および反応条件下での反応。錯誤回避のため、式XIの化合物の−O−C(O)−X置換基は、式IIIの化合物の−OH置換基に変換される、
(iv)式XII:
[式中、XおよびZは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物またはその保護された(たとえば−C(O)OH保護された)誘導体(−C(O)OHのエステルなど)の、当業者に公知の標準的な脱カルボキシル化反応条件下での脱カルボキシル化、
(v)式XIII:
[式中、R
s1およびR
s2は、独立して、水素、1もしくはそれ以上のハロ原子によって任意に置換されたC
1〜6アルキルを表すか、またはR
s1とR
s2は連結されて、それらが必ず結合している窒素原子と共に、4員〜8員(たとえば5員もしくは6員)ヘテロシクロアルキル基(任意にさらなるヘテロ原子、たとえばさらなる窒素もしくは酸素ヘテロ原子を含み、ハロもしくはC
1〜6アルキルから選択される1もしくはそれ以上の置換基によって任意に置換されている)、たとえばピペリジニル環またはピロリジニル環を形成し、XおよびZは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物の、標準的な条件下での、たとえば水性酸(たとえばハロゲン化水素の水溶液)の存在下での加水分解、
(vi)Zが、好ましくは、−SR
a3、−N(R
a6)R
a7または、好ましくは−OR
aで置換された(好ましくはオルト位でもしくは、より好ましくはパラ位で)アリール(たとえばフェニル)を表す式IIIの化合物に関して、式XIV:
[式中、Zは、本明細書中前記で定義したとおりであり、好ましくは−SR
a3、−N(R
a6)R
a7または、好ましくは−OR
aで置換された(好ましくはオルト位でもしくは、より好ましくはパラ位で)アリール(たとえばフェニル)を表し、R
a、R
a3、R
a6およびR
a7は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物と、
(A)式XV:
[式中、Xは本明細書中前記で定義したとおりであり、L
1は本明細書中前記で定義したとおりであり、好ましくはハロ(たとえばブロモもしくは、好ましくはクロロ)を表す]
の化合物またはその保護された誘導体(たとえばアセタール)、または
(B)式XVI:
[式中、Xは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物またはその保護された誘導体(たとえばアセタール)のいずれかとの、当業者に公知の標準的な反応条件下での、たとえばフリーデル−クラフツアシル化反応条件下での、たとえばプロトン性酸(たとえば硫酸)または、好ましくはAlCl
3などのルイス酸のような適切な酸の存在下での反応。当業者は、式XVまたはXVIの化合物の保護された誘導体(たとえばアセタール保護された誘導体)を使用する場合、生じる式IIIの化合物を標準的な条件下で脱保護する必要があり得ることを認識する。使用され得る保護基は、存在する任意のカルボニル基を保護し得る、アセタールを含む。挙げることができる式XVまたはXVIの化合物のアセタール誘導体は、式X−C(OR
v1)
2−CH
2−C(O)−L
1およびX−C(OR
v1)
2−CH
2−CN[式中、各々のR
v1は、独立して、C
1〜6アルキルを表すか、または2つのR
v1基が連結されて、それらが必ず結合している酸素原子と共に、4員〜7員(たとえば5員もしくは6員)環(すなわち環式アセタール)を形成してもよい]の化合物を含む。そのようなアセタール保護基は、適切なアルコール(たとえば式HO−R
v1の)または、環式アセタールの形成の場合はジオール(たとえば式HO−R
v1−R
v1−OH[式中、関連するR
v1基は共に連結されている]の)の存在下に、適切な酸または塩基触媒条件下での、式XVまたはXVIの化合物の反応によって導入され得る。そのようなアセタール保護基は、標準的な条件下で、たとえば加水分解によって、たとえば酸の存在下での加水分解によって除去され得る、
(vii)式XVIA:
の化合物または式XVIB:
[式中(両方の場合)、XおよびZは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物の、水性酸の存在下に、標準的な条件下での還元、たとえば、適切な触媒系の存在下で実施され得る水素化分解による還元。触媒は、遷移貴金属、たとえば白金、ルテニウム、ニッケル(たとえばラネーニッケル)または、特にパラジウムであり得る。金属は、そのまま粉末形態で、その酸化物もしくは水酸化物として、または、好ましくは粉炭などの適切な支持体に担持されて使用され得る。典型的には、活性炭担持パラジウムが使用される(たとえば5%Pd/C)。有利には、式IIIの化合物を形成するために還元を必要とする別の基が存在する場合、基本的に2つの段階が「ワンポット」で実施され得る。たとえば、Zが−OR
a[式中、R
aは、水素化分解反応によって開裂しやすい保護基、たとえばベンジル保護基を表す]によって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す場合、そのような基も、イソオキサゾール部分が適切なジケトン(式IIIの)への水素化分解を受けるのと同時に、そのような水素化分解反応によって開裂されて対応する−OH基を形成し得る。
【0040】
PG
1が=C(R
q1)OR
q2を表す式Vの化合物は、ヒドロキシルアミンまたはその塩(たとえばHClなどのハロゲン化水素塩)と、式XVII:
[式中、R
q1およびR
q2は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物との、標準的な反応条件下での反応によって製造され得る。そのような生成物を得るための反応混合物は、非極性溶媒(たとえばトルエン)のような適切な溶媒で抽出され得る。
【0041】
式XIの化合物は、式XVIII:
[式中、Z
bは、−OHで置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す]
の化合物と、前記で定義した式VIIIの化合物との、たとえば式IIIの化合物の製造に関して本明細書中前記で述べたような(前記工程段階(i))、標準的な条件下での反応によって製造され得る。
【0042】
式XIIの化合物は、前記で定義した式Xの化合物と、式XIX:
[式中、Xは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物またはその保護された(たとえば−C(O)OH保護された)誘導体(−C(O)OHのエステルなど)との、たとえば式IIIの化合物の製造に関して本明細書中前記で述べたような(前記工程段階(i))、標準的な反応条件下での反応によって製造され得る。
【0043】
式XIIIの化合物は、式XX:
[式中、Z、R
s1およびR
s2は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物と、本明細書中前記で定義した式VIIIの化合物との、式IIIの化合物の製造に関して本明細書中前記で述べたような(前記工程段階(i))、および好ましくは、塩基が使用される場合、それがNa
2CO
3、K
2CO
3、K
3PO
4、t−BuONa、t−BuOK、好ましくはCH
3ONa、またはそれらの混合物のような弱塩基である、反応条件下での反応によって製造され得る。
【0044】
式XVIAおよびXVIBの化合物は、Yが−C(O)−Zを表す式IIIの対応する化合物とヒドロキシルアミン(またはその塩、たとえばHCl)との、標準的な縮合反応条件下での反応によって製造され得る。そのような工程段階は、式IIIの化合物から出発し、したがってそのような工程段階が前記工程段階(vii)(式IIIの化合物の製造に関して)と共に実施される場合、生じる生成物もまた式IIIの化合物である。そのような一連の段階は、しかし、たとえば式IIIの化合物をより純粋な形態で得るうえで有用である。したがって基本的に、組み合わせて実施されるこれら2つの段階は、式IIIの化合物の精製(この語により、何らかの不純物の除去、たとえば残留反応物を含む不純物の大部分の除去を意味する)のための工程を提供し得る。
【0045】
式XVIIの化合物は、式XXI:
[式中、R
q1は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物と、式XXII:
[式中、R
q2は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物との、標準的な反応条件下での、たとえば、ハロゲン化水素(たとえばHCl)のような酸の存在下での反応によって製造され得る。
【0046】
式XXの化合物は、前記で定義した式VIIの化合物と、式XXIII:
[式中、R
s1およびR
s2は本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物との、標準的な脱水反応条件下での、たとえば、適切な酸触媒(たとえばパラ−トルエンスルホン酸等のような非水性酸)の存在下での反応によって製造され得る。
【0047】
式IV、VI、VII、VIII、IX、X、XIV、XV、XVI、XVIII、XIX、XXI、XXIIおよびXXIII(および一部の他の化合物、たとえば式II、IIIおよびVの一部の化合物)の化合物、ならびにその誘導体(たとえば保護された誘導体)は、市販されているか、文献中で公知であるか、または公知の手法に従い、容易に入手可能な出発物質から適切な試薬と反応条件を使用して、従来の合成手順によって入手し得る。
【0048】
有利には本明細書で述べる工程のいずれもが、組み合わせて(すなわち連続的に)使用され得る。たとえば、式IIAの化合物の製造のための工程は、第一に、本明細書で述べる式Vの化合物の製造のための工程(すなわち式XVIIの化合物とヒドロキシルアミンまたはその塩との反応を含む)、次いで式IIAの化合物の製造のための工程(すなわち式IVの化合物と、そのようにして製造された式Vの化合物との反応を含む)からなり得る。さらに、式IIおよび/またはIIIの化合物(またはその誘導体)の製造のための工程は、有利には本発明の工程と組み合わせて使用され得る。
【0049】
式I、II、IIIの化合物またはそのような化合物に対する何らかの関連中間体化合物(またはその塩、溶媒和物もしくは誘導体)上の置換基、たとえばR
1、R
2、R
3、R
4によって定義される置換、またはZ上の置換基は、前述した工程の前、工程の後または工程の間に、当業者に周知の方法によって1回またはそれ以上修飾されてもよい。そのような方法の例は、置換、還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、ニトロ化、ジアゾ化またはそのような方法の組合せを含む。このようにして式I、IIまたはIIIの一部の化合物(またはその誘導体)は、それぞれ、式I、IIまたはIIIの他の化合物(またはその誘導体)に変換され得る。たとえば、R
2が−NO
2を表す式IVの化合物(この化合物は、式IVの化合物と式Vの化合物との求核芳香族置換反応により適し得る)は、R
2が同様に−NO
2を表す式IIAの化合物を合成するために使用され得る。しかし、そのような−NO
2基は、R
2がアミノを表す式Iの対応する化合物を形成するために本発明の工程の前または後にアミノ基に還元され得る。最初にアミノ置換された式IVの化合物を生成した場合、そのようなアミノ基は前述した求核芳香族置換反応には適さなかったと考えられる。同様に、Zが−NH
2によって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す式IIIの化合物は、反応の工程で使用され得るが、そのアミノ基はジアゾニウム塩に変換され、その後、反応の工程の前または後に、たとえば−OH基に変換され得る。
【0050】
特定官能基が保護され得ることは本明細書で明言される。また、前述した工程において、 中間体化合物の他の官能基が保護基によって保護され得るまたは保護される必要があり得ることも当業者に認識される。
【0051】
いずれの場合も、保護することが望ましい官能基は、ヒドロキシ(たとえばR
aはオキシ保護基を表し得る)を含む。ヒドロキシのための適切な保護基は、トリアルキルシリルおよびジアリールアルキル−シリル基(たとえばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニルおよびアルキルカルボニル基(たとえばメチルカルボニルおよびエチルカルボニル基)を含む。しかし、ヒドロキシのための最も好ましい保護基は、任意に置換されたベンジルなどの、アルキルアリール基を含む。
【0052】
官能基の保護および脱保護は、本明細書中前記で述べた反応段階のいずれかの前または後に実施され得る。
【0053】
保護基は、当業者に周知の、本明細書中以下で述べる手法に従って除去され得る。
【0054】
保護基の使用は、J.W.F.McOmie編集による“Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press(1973)、および“Protective Groups in Organic Synthesis”,3
rd edition,T.W.Greene&P.G.M.Wutz,Wiley−Interscience(1999)に記載されている。
【0055】
当業者は、本発明の工程がO−フェニルオキシム中間体、すなわち式XXIV:
[式中、R
1〜R
4、XおよびYは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物を経て進行してもよく、前記中間体は、次にペリ環状転位を受けて、最終的にベンゾフラン環を形成することを認識する。本発明の1つの実施形態では、本発明の工程がアシル化剤の不在下で実施されることが本明細書中前記で明言されている。この場合、本発明の工程が式XXIVの中間体を経て進行するときは、式XXIVのフェニルオキシム中間体は、最初にアシル化試薬と反応せず、たとえば以下の式XXIVA:
[式中、Q
1は、たとえば、1またはそれ以上のフルオロ原子によって任意置換されたC
1〜6アルキル基を表し(それゆえ、たとえば−CF
3基を形成する)、R
1〜R
4、XおよびYは本明細書中前記で定義したとおりである]
の化合物、またはその別のエナミノ等価物(たとえば、Xがアルキル基を表す場合、エナミノ部分の二重結合はX基に隣接してもよい)によって示されるように、イミノ窒素でN−アシル基を形成する(関連するイミノ官能基はエナミノ官能基に変換される)。
【0056】
むしろ、式XXIVの化合物のペリ環状転位はアシル化試薬の不在下で起こり、したがって式XXIVAの中間体を経て進行しない。むしろ、ペリ環状転位は、本明細書で述べるような反応条件下で、たとえば本明細書で述べる弱有機酸のような酸の存在下で実施される。
【0057】
そのような中間体は、本発明の工程の中で分離(たとえば単離)してもよくおよび/または反応条件をその後変更してもよい。すなわち、最初の反応段階で、本明細書中前記で定義した式IIの化合物は、本明細書中前記で定義した式IIIの化合物と反応して式XXIVの中間体化合物を形成することができ、その後の反応段階で、式XXIVの中間体は、反応(すなわちペリ環状転位反応)を受けて式Iの化合物を形成し得る。したがって、そのような実施形態は基本的に2つの(たとえば異なる/別々の)反応段階からなる。そのような実施形態では、式XXIVの中間体化合物は反応混合物から分離され得る(たとえば抽出され得る、任意に何らかの不純物から単離され得る、および何らかの溶媒が任意に除去され得る)および/またはその後の反応段階が変更された反応条件下で(たとえば異なるまたは「新鮮」溶媒の存在下でおよび/または付加的な試薬の存在下で)実施され得る。
【0058】
しかし、有利には、本発明の工程で形成されるいかなる中間体(式XXIVの中間体など)も、分離する必要がないおよび/またはベンゾフラン形成反応を促進するために反応条件を変更する必要がない。したがって基本的に、反応は「ワンポット」手順として実施し得る。そのような「ワンポット」手順は、YがHを表す式Iの化合物(および/またはR
2が−NO
2を表す式Iの化合物)が必要とされるおよび/または望ましい場合、特に好ましい。
【0059】
したがって、本発明の特定の実施形態では、反応はいかなる中間体の分離(たとえば単離)も伴わずに実施される。本発明の選択的実施形態では、反応は、反応条件の変更を伴わずに実施される。
【0060】
反応が中間体の分離を伴わずに実施されると明言される場合、出発試薬の反応によって形成され得るいかなる中間体も、たとえば精製された状態で(中間体がまだ溶媒および/または残留出発物質または他の不純物の存在下にあるか否かにかかわらず)、単離されないことを意味する。したがってこれに関連して、いかなる中間体も出発物質の反応から抽出されないことが包含される。反応条件を変更する必要がないと明言される場合、溶媒を変更する必要がないおよび/またはさらなる試薬を添加する必要がない反応が包含される。
【0061】
式XXIVの一部の化合物は、それ自体新規である。したがって、本発明のさらなる態様では、本明細書中前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)−Zを表す式XXIVの化合物が提供される。そのような化合物は単離されてもよく、またはインサイチューで(反応して別の生成物、たとえば分子内環化反応を介して式Iの化合物を形成する、中間体として)形成されてもよく、したがって単離されなくてもよい。本発明のさらにもう1つの態様では、本明細書中前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)−Zを表す、式Iの化合物の製造のための工程が提供され、前記工程は、Yが−C(O)−Zを表す式XXIVの化合物の反応、たとえば分子内反応(すなわちペリ環状転位)を含む。そのような反応は、アシル化試薬の不在下で実施してもよく、たとえば本明細書で述べる反応条件下で実施してもよい。
【0062】
本発明の工程(すなわち式IIの化合物と式IIIの化合物とのベンゾフラン形成反応)は、好ましくは酸の存在下で、たとえば弱有機酸(たとえばギ酸もしくは、好ましくは酢酸)および/または無機酸、たとえば任意の適切な鉱酸またはその適切な塩(たとえば硝酸、硫酸もしくはその塩、たとえば硫酸水素ナトリウムもしくは、より好ましくはハロゲン化水素酸、たとえばHBr)の存在下で実施される。酸の混合物、たとえば弱有機酸と無機酸(たとえばHBrと酢酸)の混合物も使用され得る。さらに、酸を使用する場合、その酸は水溶液の成分であってもよい。「弱有機酸」により、有機酸が約2〜約6(たとえば約3〜約5)のpKa(約25℃で)を有することを意味する。
【0063】
本発明の工程は、適切な溶媒、たとえば水または有機溶媒、たとえばトルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたは、好ましくはアルコール(メタノールもしくはエタノールなど)、またはそれらの混合物(水と有機溶媒の混合物などの二相溶媒系を含む)の存在下で実施され得る。しかし、反応混合物中で弱有機酸が使用される場合(それが唯一の酸成分としてであるか、または酸の混合物の成分としてであるかにかかわらず)、その酸は試薬と溶媒の両方としての役割を果たし得る。そのような場合、有利には、反応混合物中の溶媒の別途の使用は回避される(但し、前記で明言したように、前記で定義したそのような有機酸と別の適切な溶媒の混合物は使用してもよい)。特に、比較的低い沸点を有する弱有機酸、たとえば150℃未満の沸点を有する有機酸(たとえばギ酸または、より好ましくは酢酸)は、試薬と溶媒としての役割を果たし得る。たとえば、弱有機酸(たとえば試薬と溶媒としての役割を果たす)が使用される場合、それは溶液(たとえば水中または有機溶媒中の)として使用されてもよく、または、たとえばより好ましくは、「ニート(そのまま)で」使用される。たとえば、酢酸が使用される場合、それは氷酢酸であってもよい。
【0064】
溶媒、または溶媒としての役割を果たす弱有機酸が使用される場合、それは任意の適切な容量で存在し得る。しかし、溶媒/弱有機酸溶媒中の式IIの化合物の濃度は、約0.1M〜約5M、好ましくは約0.5M〜約2M(たとえば約0.6Mから1.5Mの間)であることが好ましい。
【0065】
式IIおよびIIIの化合物が同時に反応混合物に添加される場合、溶媒中の試薬の濃度はより高くなる(反応混合物中の式IIおよびIIIの化合物のモル比に従って、下記参照)。しかし、特に式IIIの化合物においてYがHを表す場合は、式IIIの化合物が式IIの化合物に添加されることが好ましい(後者は好ましくはすでに溶媒または溶媒としての役割を果たす弱有機酸の存在下にある)。しかし、特に式IIIの化合物においてYが−C(O)−Zを表す場合は、式IIの化合物が式IIIの化合物に添加されることが特に好ましい(後者は好ましくはすでに溶媒または溶媒としての役割を果たす弱有機酸の存在下にある)。そのような添加の順序は、初期分子間反応の位置選択性を促進し得る(たとえば、Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物が使用される場合)、および/または反応が式XXIVの中間体化合物を経て進行する場合、この添加の順序はまた、ベンゾフラン環を形成するその後の分子内反応の効率も促進し得る。
【0066】
反応の工程は、任意の適切な反応温度で、たとえば室温または高温で実施され得る。本発明のある好ましい実施形態では、(たとえば反応が弱有機酸と強無機酸の混合物の存在下で起こる場合)反応は室温で(たとえば一定期間、たとえば約6時間)実施され得るか、または(たとえば反応が弱有機酸溶媒の存在下で起こる場合)反応は高温で(たとえば50℃以上、たとえば約60℃〜約80℃で)一定期間(たとえば約3時間、または約25時間までの任意の適切な期間)実施され得、その後、必要に応じて反応温度を上昇させて(たとえば少なくとも80℃に、たとえば約90℃〜約118℃に(たとえば約110℃、たとえば約100℃))、一定期間(たとえば約25時間までの任意の適切な期間、たとえば22時間)実施され得る。
【0067】
当業者は、温度は溶媒系(弱有機酸溶媒を含み得る)の沸点までのみ上昇させ得る、たとえば酢酸が使用される場合、反応温度は約118℃までのみ上昇させ得ることを認識する。したがって、本発明の工程の好ましい温度条件は、反応の工程が酢酸の存在下で実施される場合に特に適用できる。しかし、反応の工程がギ酸のような他の弱有機酸(または別の適切な溶媒)の存在下で実施される場合、当業者は、本明細書で言及される好ましい反応温度条件が、たとえば異なる沸点に応じて、変化し得ることを認識する。
【0068】
本発明の工程はまた、高温が必要とされるおよび/または望ましい典型的な反応条件に対する選択肢を提供する条件下でも実施され得る。たとえば、マイクロ波照射条件が使用され得る。「マイクロ波照射条件」により、そのような条件が熱誘起反応(たとえば本明細書中前記で述べたような高温での)を促進するおよび/またはそのような条件が非熱誘起反応を促進する(すなわち反応が基本的にマイクロ波によって誘起される)反応を包含する。したがって、そのような反応条件は必ずしも温度の上昇を伴わない。当業者は、そのような反応条件を使用する場合、反応時間の長さが変化し得る(たとえば短縮され得る)ことを認識する(および非発明的に決定することができる)。
【0069】
本発明の工程はまた、加圧下で、たとえば通常の大気圧より高い圧下で、たとえば約5または6バールまでの圧で実施され得る。やはり、当業者は、そのような反応条件を使用する場合、反応時間の長さが変化し得る(たとえば適切に短縮され得る)ことを認識する(および非発明的に決定することができる)。
【0070】
本発明の工程は、任意の量の式IIおよびIIIの化合物の各々の存在下で実施され得る。しかし、好ましくは、約3:2〜約2:3のモル比、最も好ましくは約1.1:1〜約1:1.1(たとえば約1:1)のモル比の式IIおよびIIIの化合物の存在下で実施される。
【0071】
本発明の工程によって製造され得る式Iの好ましい化合物は、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、独立して、水素、ハロ、−NO
2、−CN、−C(O)
2R
x1、−N(R
x6)R
x7または−N(R
x10)S(O)
2R
x11を表し、
XはC
1〜6アルキルを表し、
Zは、ヘテロアリールまたは、好ましくは、−OR
a、−NO
2、−CN、−C(O)
2R
a1および−N(R
a6)R
a7から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって任意に置換されたアリール(たとえばフェニル)を表し、
R
aは、オキシ保護基、水素または、−N(R
b2)R
b3から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって任意に置換されたC
1〜4(たとえばC
1〜3)アルキルを表し、
R
x1、R
x2、R
x3、R
x6、R
x7、R
x8、R
x9、R
x10、R
a1、R
a3、R
a6、R
a7、R
a8、R
a9、R
a10、R
b1、R
b2およびR
b3は、独立して、水素または、1もしくはそれ以上のハロ原子によって任意に置換されたC
1〜4アルキルを表し、
R
x4、R
x5、R
x11、R
x12、R
a4、R
a5、R
a11およびR
a12は、独立して、1またはそれ以上のハロ原子によって任意に置換されたC
1〜4アルキルを表すものを含む。
【0072】
本発明の工程によって製造され得る式Iのさらなる好ましい化合物は、
R
1、R
2、R
3およびR
4のいずれか3つ(好ましくはR
1、R
3およびR
4)は水素を表し、
R
1、R
2、R
3およびR
4の1つ(好ましくはR
2)は、ハロ、−CN、−C(O)
2R
x1、好ましくは−N(R
x10)S(O)
2R
x11または、より好ましくは−NO
2または−N(R
x6)R
x7から選択される置換基を表し、
R
x1は、HまたはC
1〜3アルキル(たとえば、イソプロピルなどのプロピル)を表し、
R
x6、R
x7およびR
x10は、独立して水素を表し、
R
x11はC
1〜2アルキル(たとえばメチル)を表し、
Zがフェニルを表す場合、そのような基は置換されていなくてもよく、または、好ましくは、たとえばオルト位でもしくは、好ましくはパラ位で1もしくは2個(たとえば1個)の置換基によって置換されてもよく、
Z基上の置換基(たとえばZがフェニルを表す場合)は、好ましくは、−CN、−C(O)
2R
a1、好ましくは−NO
2、−N(R
a6)R
a7、ハロ(たとえばヨード)および、より好ましくは−OR
aから選択され、
R
aは、オキシ保護基、水素または、−N(R
b2)R
b3から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって任意に置換されたC
1〜3アルキル(たとえばエチルまたは、好ましくはプロピルまたはメチル)を表し(それゆえ、たとえば−(CH
2)
2−N(R
b2)R
b3または、好ましくは−(CH
2)
3−N(R
b2)R
b3基を形成する)、
R
a1は、HまたはC
1〜3(たとえばC
1〜2)アルキル(たとえば、イソプロピルなどのプロピル)を表し、
R
a6およびR
a7は、独立して水素を表し、
R
b2およびR
b3は、独立してHまたは、好ましくはC
1〜4アルキル(たとえばエチルまたは、好ましくはブチル、たとえばn−ブチル)を表すものを含む。
【0073】
本発明の工程によって製造され得る式Iのさらなる好ましい化合物は、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、独立して水素または−NO
2を表し、
XはC
1〜4アルキル(たとえばブチル)を表し、
Zは、ハロ(たとえばヨード)および、好ましくは−OR
aから選択される1またはそれ以上の置換基によって任意に置換されたアリール(たとえばフェニル)を表し、
R
aは、水素、C
1〜3アルキル(たとえばメチル)またはオキシ保護基(たとえばベンジル)を表すものを含む。
【0074】
本発明の工程によって製造され得る式Iの特に好ましい化合物は、
R
1、R
3およびR
4は、独立して水素を表し、
R
2は−NO
2を表し、
Xはn−ブチルを表し、
Yは−C(O)−Zを表し、
Zは、−O−ベンジル、−OCH
3または、より好ましくは−OHから選択される1またはそれ以上(たとえば1個)の置換基によって置換された(たとえばオルト位でまたは、好ましくはパラ位で)フェニルを表すものを含む。
【0075】
前記で明言したように、本発明の工程によって得られる式Iの化合物は、Yが−C(O)−Zを表すものであることが好ましい。そのような式Iの化合物を生成するための反応(Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物の反応を含む)は、3−アロイル置換されたベンゾフランが必要とされる場合、3−非置換ベンゾフランに関する(不利な)フリーデル−クラフツアシル化段階が回避されるという付加的な利点を有する。本発明の工程のこの好ましい実施形態に関連するさらなる利点は、反応が、YがHを表す式Iの化合物を生成するための対応する反応よりも位置選択的に進行し得るので、Yが−C(O)−Zを表す式Iの化合物がより高い収率で生成され得ることである。本発明のこの実施形態では、Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物が2つのカルボニル部分を含むという事実にも関わらず、式IIの化合物との反応が極めて位置選択的に進行し、Xによって定義される基に隣接する(または基に対してα−である)カルボニルに有利に働く(初期段階の式IIの化合物のヒドロキシルアミノ部分と関連するカルボニル基の間の縮合反応において)。驚くべきことに、この位置選択性は90:10を上回り(たとえば95:5)、99:1の選択性が達成された。
【0076】
本明細書中前記で明言したように、本発明の工程によって得られる式Iの化合物は、R
2が−NO
2を表すものであることが好ましい。R
2が−NO
2である式Iの化合物の形成は、通常、ヒドロキシ−イミン(たとえば2−ヘキサノンオキシム)とクロロフェニル基の反応を介して進行し、これがこの反応を実施する従来の方法である。
【0077】
さらに、本発明の工程によって得られる式Iの特に好ましい化合物は、Zが−OHで置換された(たとえばパラ位で)フェニルを表すものであることも前記で明言されている。本発明のそのような化合物が望ましいおよび/または必要とされる場合(たとえばドロネダロンの合成における中間体として)、関連する−OH基が保護されていないときに本発明の工程が進行することは特に有利である。たとえば、3−非置換ベンゾフラン類のフリーデル−クラフツアシル化に関する、先行技術(たとえば米国特許第5,223,510号、米国特許第5,854,282号および国際出願PCT/EP2007/004984号)で記述されている工程は、すべて3−(4−メトキシベンゾイル)ベンゾフラン類の形成を生じさせる。そのような中間体はドロネダロンの合成において使用され得るが、メトキシ基を「脱保護」しなければならない、すなわちメチル基をメチルアリールエーテルから開裂しなければない。そのような開裂条件はまた、ハロゲン化金属触媒、たとえば第III族金属のハロゲン化物触媒、たとえばBBr
3およびAlCl
3(これらは本明細書で挙げる理由からプロセス化学において不利である、たとえばAlCl
3が使用される場合、毒性の副生成物、たとえばクロロメタンが形成され得るため)を含み得る。したがって、Zが−OHで置換された(たとえばパラ位で)フェニルを表す式Iの化合物を製造する場合に、そのようなメチルアリールエーテルの開裂が回避されることを考慮すると、本発明のこの実施形態は特に好ましい。したがって、本発明の工程に関連する、特に本発明の工程の一部の実施形態に関連するいくつかの環境的な恩恵が存在する。
【0078】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、本発明の工程において、式IIの化合物(好ましくは本明細書中前記で定義したもの)またはその誘導体を、Yが−C(O)Zを表し、Zが−OR
a基[式中、R
aはオキシ保護基(たとえばベンジル)を表す]によって置換された(たとえばパラ位で)アリールまたはヘテロアリール基(好ましくはフェニル)を表す式IIIの化合物と反応させる。本発明のこの実施形態では、そのようにして形成される式Iの化合物は、R
aが同じくオキシ保護基(たとえばベンジル)を表す対応するものであり得るか、または、好ましくはR
aが水素を表すもの(すなわち本発明の工程の間に脱保護が起こる)であり得る。したがって、本発明のこの実施形態は、実施される必要がある全体的な(別々の)工程段階の数を低減し得るので、特に好ましいと考えられる。そのような実施形態では、本明細書中前記で定義したような無機酸を、本明細書中前記で定義したような弱有機酸に加えて使用してもよい。
【0079】
本発明の工程によって得られる式Iの化合物は、標準的な手法によって、たとえばクロマトグラフィー、結晶化、溶媒の蒸発および/またはろ過によって分離および/または単離され得る。
【0080】
有利には、本発明の工程は、溶液から式Iの化合物を結晶化する付加的な段階をさらに含み、この場合溶媒は、好ましくは非ハロゲン化溶媒である。そのような結晶化は、式Iの化合物を提供する本発明の工程の反応混合物への溶媒の添加によって実施され得るか(たとえば式Iの化合物の事前の分離、たとえば単離(たとえば抽出による)を伴わずに)、またはそのような結晶化は、式Iの化合物が分離された(たとえば、任意にその後の溶媒の除去を伴う、抽出によって)または単離された後に実施され得る。
【0081】
好ましくは、結晶化混合物/溶液(これに関連して、本発明の工程後であるが分離前の反応混合物中の式Iの化合物、ならびに分離されて、その後溶媒が添加された式Iの化合物を含む)は、溶媒の添加後に冷却される。好都合には、混合物は約−5℃〜約15℃(たとえば、使用される最適温度は約+5℃〜約15℃である)に冷却される。好ましい「結晶化」温度は約−5℃である(摂氏−5度)。混合物は任意の適切な手段、たとえば氷浴または当業者に周知である、たとえば熱交換器を含む冷却システムを用いて冷却され得る。
【0082】
「結晶化」溶媒はまた、結晶化した生成物を洗浄するためにも使用でき、前記溶媒は、好ましくは予備冷却される。溶媒を予備冷却し得る可能な温度は、約−5℃〜約5℃(または、選択的に、温度は約+5℃〜約15℃であり得る)である。洗浄溶媒が予備冷却されない場合は、収率が低下し得る。最も好ましい温度は約−5℃である。
【0083】
「結晶化」溶媒は、好ましくはハロゲン化されていないもの、たとえば水であるか、またはメタノール、エタノール、イソプロパノールおよび1−プロパノールなどのアルコールでもよい。最も好ましい「結晶化」溶媒はメタノールであり得る。挙げることができる他の好ましい結晶化溶媒は、弱有機酸、たとえばカルボン酸(ブタン酸、プロパン酸、好ましくはギ酸または、より好ましくは酢酸など)を含む。そのような弱有機酸は、結晶化共溶媒を形成するために水と混合してもよい。結晶化が反応混合物への溶媒の添加からなる場合、その溶媒は水でもよい。
【0084】
本発明の工程により、そのようにして形成される式Iの精製された化合物は、前記で特定されたもの以外の物質も含み得ることが認識されるべきである。
【0085】
この生成物は、さらなる結晶化、蒸留、相分離、たとえば分子ふるいおよび/または活性炭を使用した吸着、ならびに洗浄を含む、任意の適切な分離/精製手法または手法の組合せを用いてさらに精製され得る。
【0086】
本発明のさらなる態様では、ドロネダロン:
(またはその塩、たとえば塩酸塩)を製造するための工程が提供され、前記工程は、本明細書で述べる工程(たとえば、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランまたは2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの製造のための工程)を工程段階として含むことを特徴とする。
【0087】
したがって、本明細書で述べる式Iの化合物の製造のための工程(たとえば、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランまたは2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの製造のための工程)と、それに続いて、必要な/要求される場合、
1)必要な場合(すなわち2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの場合)、「4−メトキシ」部分の「4−ヒドロキシ」部分への変換(たとえば、標準条件下でのメチルフェニルエーテル部分の開裂による、たとえばBBr
3およびAlCl
3を使用することによる)、ならびに
2)ニトロ(−NO
2)基のメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)
2CH
3)基への変換(たとえば、ニトロ基のアミノ(−NH
2)基への変換と、それに続くCH
3−S(O)
2−L
a[式中、L
aはハロ、好ましくはクロロを表す]との反応による)、
3)−OH基の、関連するオキシ−アルキルアミノアルキル(たとえば−O−(CH
2)
3−N(C
4H
9)
2)基への変換、
4)必要な/要求される場合、そのようにして形成されたドロネダロンの何らかの遊離塩基の塩(塩酸塩など)への変換を含む、ドロネダロンまたはその塩の製造のための工程が提供される。
【0088】
そのような段階は当業者に公知の標準的な段階であり、段階は、本明細書で開示される参考文献などの先行技術で記述されている手法に従って実施され得る。たとえば、ドロネダロン(またはその塩)は、米国特許第5,223,510号に記載されているような、ベンゾフランの誘導体を合成する任意の標準的な経路を使用して式Iの関連化合物から製造され得る。当業者は、変換の個々の段階(たとえば前記の段階(2)および(3)によって概説されるされるもの)が任意の適切な順序で実施され得ることを認識する。
【0089】
段階(3)
たとえば、式Iの化合物が2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランである場合、そのような化合物は、前記段階(3)に示すように反応させてもよく、その反応は、式XXV:
[式中、L
1a1は、適切な脱離基、たとえばスルホン酸基(たとえばトリフラートまたはスルホネート)、ヨード、ブロモまたは、好ましくはクロロである]
の化合物の存在下に、たとえば米国特許第5,223,510号(実施例1(e)参照)に記載されているような、標準的なアルキル化反応条件下で実施して、式XXVI:
のドロネダロン中間体化合物を形成し得る。
【0090】
あるいは、段階(3)は2つの異なる段階で実施してもよく、たとえば、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランと、式XXVIA:
[式中、各々のL
1a1は、独立して適切な脱離基、たとえばヨード、クロロまたは、好ましくはブロモを表す]
の化合物を反応させ、それにより式XXVIB:
[式中、L
1a1は本明細書中前記で定義したとおりである(好ましくはブロモである)]
のドロネダロン中間体を形成して、この中間体を、次に、たとえば中国特許公報第101153012号に記載されているような反応条件下で、HN(n−ブチル)
2(ジ−n−ブチルアミン)と反応させて、式XXVIのドロネダロン中間体を形成してもよい。
【0091】
段階(2)
式XXVIの中間体化合物を、次に、前記段階(2)に示すように反応させてもよく、その反応は、異なるサブ段階:
(i)たとえば米国特許第5,223,510号(実施例1(f)参照)または国際公開第02/48132号に記載されているような、標準的な反応条件下での、−NO
2基の−NH
2基への還元、たとえばH
2(たとえば水素雰囲気または発生期水素、たとえばギ酸アンモニウム)および貴金属触媒(たとえばPtO
2またはPd/C)の存在下に、適切な溶媒(たとえばアルコール、たとえばエタノール)の存在下で水素化し、それにより式XXVI:
の中間体化合物を形成する、
(ii)式XXVIIのドロネダロン中間体化合物を、次に、式XXVIII:
[式中、L
1a2は適切な脱離基、たとえばブロモ、ヨードまたは、好ましくはクロロを表す]
の化合物との、米国特許第5,223,510号(実施例3(a)参照)に記載されているような反応条件下での反応によってメシル化し得ることからなってもよい。
【0092】
段階(4)
前記(段階(4))で明言したように、ドロネダロンは、たとえば米国特許第5,223,510号(実施例3(b)参照)に記載されているように、たとえばドロネダロンとHClをエーテル中で会合させることによって、または米国特許第6,828,448号(実施例4などの、実施例参照)に記載されているように、たとえばドロネダロン、塩酸(たとえば約30〜40%)およびイソプロパノールなどのアルコール性溶媒を会合させることによって、塩酸塩などの塩に変換してもよい。
【0093】
前記で明言したように、前記段階は任意の実施可能な順序で実施し得る。したがって、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランを、最初に段階(2)に示すように反応させ、続いて段階(3)に示すように反応させてもよい。したがって、ドロネダロンの製造は、以下の式XXIXおよびXXX:
の中間体化合物を経て進行してもよく(段階2)、および、式XXXI:
[式中、L
1a1は本明細書中前記で定義したとおりである]
の中間体化合物を経て進行してもよい(2−2工程として実施される場合、段階(3))。
【0094】
当業者は、式XXVI、XXVIB、XXVII、XXIX、XXXおよびXXXIの中間体化合物もまた式Iの化合物であり得ることを認識する。したがって、式Iのそのような化合物(本発明の工程から直接製造され得る)の変換は、ドロネダロンまたはその塩(たとえばHCl塩)を与えるために前記で概説した工程段階(またはサブ工程段階)(すなわち段階(1)、(2)、(3)および(4))の必ずしもすべてを必要しない場合があり得る。そのような場合、適切な変換のために前記段階のいずれが必要であるかは当業者に直ちに明白である。
【0095】
本明細書中前記で述べた工程段階と、それに続くドロネダロンまたはその塩の形成を導く1またはそれ以上の工程段階を含む、ドロネダロン(またはその塩、たとえば塩酸塩)の中間体の製造のための工程がさらに提供される。たとえば、そのようなさらなる工程段階は、前記で概説した段階(1)(必要な/要求される場合)および/または前記の段階(2)、(3)および(4)で開示される工程段階のいずれか1つまたはそれ以上を任意の実施可能な順序で含み得る(それにより式XXVI、XXVIB、XXVII、XXIX、XXXまたはXXXIの中間体を形成する)。当業者は、段階(2)、(3)および(4)が、各々、実施されるべき関連する変換のために複数の別個の反応段階を必要とし得ることを認識する。
【0096】
本明細書で述べる工程は、バッチプロセスとして操作されてもよくまたは連続プロセスとして操作されてもよく、任意の規模で実施され得る。
【0097】
一般に、本明細書で述べる工程は、先行技術で開示される工程と比較して、式Iの化合物がより少ない試薬および/または溶媒を使用して、および/またはより少ない反応段階(たとえば異なる/別々の反応段階)しか必要とせずに、生成され得るという利点を有し得る。
【0098】
本発明の工程はまた、先行技術で開示される手順と比較して、式Iの化合物がより高い収率で、より高い純度で、より高い選択性(たとえばより高い位置選択性)で、より少ない時間で、より好都合な(すなわち取り扱いやすい)形態で、より好都合な(すなわち取り扱いやすい)前駆体から、より低いコストで、および/または材料(試薬および溶媒を含む)のより少ない使用および/または廃棄で生成されるという利点を有し得る。さらに、ハロゲン化溶媒の使用の回避のような(たとえば、フリーデル−クラフツ反応または、先行技術の工程によって実施されるいくつかの段階のために必要とされ得る、たとえば−OCH
3基の−OH基への脱保護を実施する必要を回避する場合)、本発明の工程のいくつかの環境的恩恵が存在し得る。
【実施例】
【0099】
以下の実施例は、本明細書で述べる本発明の工程の単なる説明例である。
【0100】
使用したすべての装置、試薬および溶媒は、標準的な実験装置、たとえばガラス器具、加熱装置およびHPLC装置であった。
【0101】
実施例A
実施例1
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
(a)4−ベンジルオキシアセトフェノン(10g)およびペンタン酸エチル(1.2当量)を、DMF(6.5g)を含むトルエン(30g)に溶解した。混合物を65℃に加熱し、NaOMe(3当量)を少しずつ3時間半かけて添加した。4時間後に採取した試料の分析は、97%の変換を示した。反応混合物を水(30ml)に添加することによってクエンチングした。これに続いて、塩酸で酸性化し、トルエン(40ml)で抽出した後、溶媒をMeOH(100ml)に交換した。冷却後に結晶化する生成物をろ過によって収集し、メタノールで洗浄して、減圧下で乾燥した。1−(4−ベンジルオキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオンの収量8.04g。
(b)1−(4−ベンジルオキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン(4g、前記段階(a)参照)をトルエン(20ml)に溶解し、Pd/C(3%、80mg)を添加した。水素が取込まれなくなるまで混合物を室温で撹拌した。触媒のろ過後、溶媒を蒸発させて、1−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン2.84gを100%の収率で得た。
(c)O−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン(1.0g)を酢酸(10ml)に懸濁し、1−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン(1.36g、前記段階(b)参照)を添加した。混合物を70℃で3時間、次に100℃でさらに22時間撹拌した。混合物を室温に冷却させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの収率80%。
【0102】
実施例2
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン(191mg、実施例1(a)参照)をHBr/酢酸1mlに懸濁し、O−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン100mgを添加した。混合物を室温で6時間撹拌した。水でクエンチングし、EtOAcで抽出して、溶媒を蒸発させた後、表題化合物約125mgを含む粗物質を得た。収率約59%。
【0103】
実施例3
2−ブチル−3−(4−メトキシシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
O−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン(100mg)を酢酸0.5mlに懸濁し、1−(4−メトキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオンを添加した。混合物を70℃で3時間、次に100℃でさらに14時間撹拌した。混合物を室温に冷却させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの収率70%。
【0104】
実施例4
ドロネダロンの合成
ドロネダロンは、先行技術(および本明細書中の参考文献)で述べられている標準的な合成工程を使用し、本明細書で述べる工程のいずれか、たとえば実施例A(前記実施例1〜3)で述べる中間体2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランおよび2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランへの工程を組み込んで合成される。ドロネダロンは、ニトロ(−NO
2)基をメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)
2CH
3)基に変換し(たとえばアミノ(−NH
2)基を経て)、−OH(または−OH
3)基を何らかの関連するオキシ−アルキルアミノアルキル(たとえば−O−(CH
2)
3−N(C
4H
9)
2)基に変換するための任意の標準的な経路を使用してこれらの中間体から作製できる。さらに、関連化合物の塩(塩酸塩など)も製造され得る。そのような段階は当業者に公知の標準的な段階であり、段階は、本明細書で開示される参考文献などの、先行技術で記述されている手法に従って実施され得る。
【0105】
実施例B
実施例1
エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート
4−クロロニトロベンゼン136.2gおよびエチルN−ヒドロキシアセトイミデート111.4gをDMF216mlに溶解する。温度を30℃に調整し、温度を30〜35℃に保持しながら固体NaOH41.6gを8回に分けて添加する。1時間後、温度を40〜45℃に調整し、混合物を1時間半撹拌する。冷却し、水520mlを、温度を約40℃に保持する速度で供給する。形成されたスラリーを17℃に冷却し、ろ過する。フィルターケーキをエタノール/水 90/10(V/V)175ml、次いで水175mlで洗浄する。乾燥エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート192gに相当する湿潤生成物、214.5gを単離する。収率98.5%。
【0106】
実施例2
エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート
トルエン976g中のエチルN−ヒドロキシアセトイミデート549gの溶液に、DMF1267g、Aliquat336 39.9gおよび4−クロロニトロベンゼン799gを添加する。温度を30℃に調整し、固体NaOH223gを、10〜15分ごとに25〜30gずつに分けて添加する。添加が完了したとき、ジャケット温度を40℃に設定し、反応が完了するまで3〜4時間、混合物を撹拌する。ジャケット温度を50℃に調整し、約80%のトルエンを減圧で揮散させる。温度を最大45℃に保持しながら水3040gを添加する。形成されたスラリーを効率よく撹拌し、残留トルエンを減圧で揮散させる。15℃に冷却した後、生成物をろ過し、EtOH/水90/10(V/V)1080g、次いで水1080gで洗浄する。乾燥エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート1080gに相当する湿潤生成物、1188gを得る。収率95%。
【0107】
実施例3
O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン
湿潤エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート、781g(乾燥重量)をアセトニトリル2100gに溶解し、温度を約25℃に調整する。37%塩酸515gを、温度を30℃未満に保持する速度で添加する。反応が完了するまで約2時間、混合物を25〜30℃で撹拌する。次に12%NaOH(水溶液)2090gを25〜30℃で添加し、混合物を約30分間撹拌する。減圧を適用し、アセトニトリルの約85%を100ミリバール、50℃のジャケット温度(内部温度25〜30℃)で揮散させる。水2090gを添加し、スラリーを60分間撹拌する。生成物をろ過し、水505gで洗浄して、次に40℃で減圧下にて乾燥する。O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン560gを得る。収率94%。
【0108】
実施例4
1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン
ナトリウムtert−ブトキシド、1270gをTHF1390g中にスラリー化し、混合物を還流温度に加熱する。THF1390g中の4−ヒドロキシアセトフェノン580gおよび吉草酸エチル555gの溶液を30分間かけて添加する。反応が完了するまで約4時間半、溶液を還流温度で撹拌し、その後反応混合物に37%HCl1270gを添加してクエンチングする。THFを減圧で蒸留することによって混合物を濃縮し、残留物にトルエン900gを添加する。水相を分離し、トルエン相を10%NaCl水溶液900gで洗浄する。トルエンを減圧で揮散させ、残留オイルを酢酸850gで希釈する。溶液を8℃に冷却し、水850mlを緩やかに添加する。形成されたスラリーを5〜8℃で90分間撹拌し、次にろ過して、20%酢酸水溶液608gで洗浄する。40℃で減圧下にて乾燥し、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン608gを得る。収率65%。
【0109】
実施例5
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン、697gを酢酸2532gに溶解する。O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン、488gを約20℃で少しずつ添加する。形成されたスラリーを酢酸739gで希釈し、混合物を115℃に加熱して、3時間撹拌する。暗色溶液を冷却し、温度を70〜80℃に保持しながら水1635gを添加する。温度を60℃に調整し、種結晶を添加する。結晶化が開始したとき、スラリーを4℃に冷却し、ろ過して、67%酢酸水溶液870g、次いで水580gで洗浄する。70℃で減圧にて乾燥し、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン736gを得る。収率69%。
【0110】
実施例6
1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン−3−[O−(4−ニトロフェニル)オキシム]
1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン、1121gを酢酸4070gに溶解する。O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン、784gを、温度を約20℃に保持しながら少しずつ添加する。形成されたスラリーを3時間撹拌し、15℃に冷却して、ろ過し、酢酸1590gで洗浄する。乾燥1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン−3−[O−(4−ニトロフェニル)オキシム]1596gに相当する湿潤ケーキ1944gを得る。収率88%。
【0111】
実施例7
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
実施例6で得た湿潤1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン−3−[O−(4−ニトロフェニル)オキシム]、1944gを酢酸4900g中にスラリー化する。スラリーを115℃に加熱し、3時間撹拌する。形成された暗色溶液を冷却し、温度を70〜80℃に保持しながら水2630gを添加する。温度を60℃に調整し、種結晶を添加する。結晶化が開始したとき、スラリーを4℃に冷却し、ろ過して、67%酢酸水溶液1400g、次いで水930gで洗浄する。70℃で減圧にて乾燥し、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン1182gを得る。収率78%。
【0112】
実施例8
ドロネダロンの合成
ドロネダロンは、先行技術(および本明細書中の参考文献)で述べられている標準的な合成工程を使用し、本明細書で述べる工程のいずれか、たとえば前記実施例B(実施例1〜7)で述べた中間体2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランおよび2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランへの工程を組み込んで合成される。ドロネダロンは、ニトロ(−NO
2)基をメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)
2CH
3)基に変換し(たとえばアミノ(−NH
2)基を経て)、−OH(または−OCH
3)基を何らかの関連するオキシ−アルキルアミノアルキル(たとえば−O−(CH
2)
3−N(C
4H
9)
2)基に変換するための任意の標準的な経路を使用してこれらの中間体から作製できる。さらに、関連化合物の塩(塩酸塩など)も製造され得る。そのような段階は当業者に公知の標準的な段階であり、段階は、本明細書で開示される参考文献などの、先行技術で記述されている手法に従って実施され得る。
【0113】
実施例C
ドロネダロンは、たとえばMultaq(登録商標)の商標名で市販されている製品を形成するための、標準的な手順を使用して医薬的に許容される剤形に製剤され得る。
【0114】
たとえば、本明細書中前記で定義した工程を工程段階として含むことを特徴とする、ドロネダロンまたはその塩(たとえば塩酸塩)を含有する医薬製剤を製造するための工程が提供される。当業者は、そのような医薬製剤が含有する/構成される物質(たとえば、有効成分(すなわちドロネダロンまたはその塩)と医薬的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤および/または担体の混合物)を認知する。
【0115】
ドロネダロンまたは医薬的に許容されるその塩(本明細書中前記で述べた工程によって形成され得る)を、医薬的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤および/または担体と組み合わせることを含む、ドロネダロン(またはその塩、たとえば塩酸塩)を含有する医薬製剤(この製剤はMultaq(登録商標)であり得る)の製造のための工程がさらに提供される。
【0116】
当該技術分野で記述されている(たとえば米国特許第5,985,915号(実施例3参照)、米国特許出願公開第2004/0044070号(実施例1〜5参照)、米国特許第7,323,439号、米国特許出願公開第2008/0139645号および/または中国特許公報第101152154号において)、ドロネダロン(またはその塩、たとえば塩酸塩)を含有する医薬製剤の製造のための工程がさらに提供され、前記工程は、ドロネダロン(またはその塩、たとえば塩酸塩)を関連製剤のその他の成分と組み合わせることを含む。たとえば、ドロネダロン塩酸塩を、トウモロコシデンプン、滑石、無水コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトース(米国特許第5,985,915号の実施例3参照)、マンニトール、無水リン酸二水素ナトリウムおよび、任意に水(米国特許第5,985,915号の実施例5参照)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、無水リン酸一ナトリウムおよびマンニトール(米国特許出願公開第2004/0044070号の実施例1参照)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、無水リン酸二水素ナトリウム、マンニトールおよび、任意に水(米国特許出願公開第2004/0044070号の実施例2および3参照)、β−シクロデキストリンのメチル化誘導体の混合物、マンニトールおよび、任意に水(米国特許出願公開第2004/0044070号の実施例4参照)と組み合わせ得る。前述した製剤は、経口錠剤形態または注射用形態であり得る(たとえば米国特許出願公開第2004/0044070号は注射用形態を説明し得る)。
【0117】
特に、ドロネダロン(またはその塩、本明細書で述べる工程に従って製造される)を、ポロキサマー(たとえばポロキサマー407、Synperonic(登録商標)PE/F127)から選択される医薬的に許容される非イオン性親水性界面活性剤と、任意に1またはそれ以上の医薬賦形剤と組み合わせて、たとえば米国特許第7,323,493号に記載されているように、組み合わせることを含む、医薬製剤の製造のための工程がさらに提供され得る。たとえば、ドロネダロン塩酸塩を、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース一水和物、加工トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、Synperonic(登録商標)PE/F127および、任意に無水コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよび水のいずれか1つまたはそれ以上(米国特許第7,323,493号の錠剤Aおよび実施例1〜3参照)、加工トウモロコシデンプン、ラクトース一水和物、滑石、無水コロイド状シリカおよびステアリン酸マグネシウム(たとえば米国特許第7,323,493号のゼラチンカプセル参照)、微結晶セルロース、無水コロイド状シリカ、無水ラクトース、ポリビニルピロリドン、Synperonic(登録商標)PE/F127および、任意にマクロゴール6000およびステアリン酸マグネシウムの1つまたはそれ以上(米国特許第7,323,493号の実施例4〜6参照)、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、Synperonic(登録商標)PE/F127、無水コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトース一水和物(米国特許第7,323,493号の実施例7および8参照)と組み合わせ得る。当業者は、たとえば成分の前記リストにおいて、あらゆる単一成分が製剤中に存在する必要はない(したがって、製剤を製造するための工程は、ドロネダロンを前記で挙げた成分の一部とだけ組み合わせることを含み得る)ことを認識する。さらに成分が言及される場合、当業者は、それが、同じ機能を果たす別の等価物または類似の成分によって置き換えられてもよい(たとえばSynperonic(登録商標)PE/F127は別の適切な界面活性剤で置き換えてもよく、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびトウモロコシデンプンは、適切な崩壊剤または生体接着促進剤等のような別の成分で置き換えてもよい)ことを認識する。
【0118】
本明細書で医薬製剤に言及する場合、それは、摂取のための適切な投与形態(たとえば錠剤形態または注射用形態)の製剤を包含する。したがって、ドロネダロンまたはその塩を含有する医薬製剤の製造のための工程に関連する、本明細書で言及されるいかなる工程も、適切な投与形態(および/または投与形態の適切な包装)への適切な変換をさらに含み得る。たとえば米国特許第7,323,493号は、ゼラチンカプセルであり得る、適切な錠剤形態への工程を説明し得る(実施例1〜8参照)。