【実施例1】
【0019】
図1は本発明の建築用木材の加工ライン実施例を示す平面図である。
図2は、その斜視図である。
なお、これから説明する並替装置は、建築に使用される様々な建築用木材を一時的に集積して自動的に並べ替えを行う機能を持つ。並べ替えの対象となるものを集積構造物と呼ぶことにする。集積構造物には、プレカットする前に所定長に切断した木材や、プレカット装置から排出されたプレカット材等がある。この実施例1では、プレカット材を建築用木材12と呼んで説明する。
【0020】
図1には、 プレカット材集積領域14と金物取付作業領域16と梱包領域18とが工程順に表示されている。このラインの前工程には、図示しないプレカット装置が配置されている。プレカット装置から、加工された建築用木材12が、 運搬装置20により運搬されてくる。 プレカット材集積領域14には、建築用木材12の長手方向に直交する向きに平行に並べられた3本の置き台22,24,26が配置されている。3本の置き台はいずれも棒状のものである。
【0021】
第1置き台22と第2置き台24とは、運搬装置20が走行するための幅Wの間隔を空けて平行に配置されている。第2置き台24の横には、上記幅Wよりも狭い幅を空けて、上記第2置き台24と平行に配置された第3置き台26が設けられている。
【0022】
全ての建築用木材12は、運搬装置20によって第1置き台22と第2置き台24の間に運び込まれる。そして、この運搬装置20によって、建築用木材12は、3本の置き台のうちのいずれか2本の置き台にまたがるように、平行に並べて乗せられる。長いサイズの建築用木材12は、第1置き台22と第3置き台26にまたがるように配置される。短いサイズの建築用木材12は、 第2置き台24と第3置き台26にまたがるように配置される。建築用木材12は、いずれも、3本の置き台と交差する方向に向けてこれらにまたがるように並べられる。
【0023】
例えば、運搬装置20には、フォークリフトや電動台車、無人搬送車(AGV)等を使用する。この運搬装置20で建築用木材12を搬送して置き台上に順不同に並べる。木造住宅のための建築用木材12は、例えば、幅が90〜120mm、高さが90〜450mm、長さが0.8〜6mの範囲のものが使用される。第1置き台22と第2置き台24の間隔Wが2200mmとすると、2200mm未満の建築用木材12は、置き台22と24を利用してその上に置くことができない。そこで、第2置き台24の横に700mmの間隔を空けて第3置き台26を配置した。これで、全ての一般的な建築用木材12を運搬装置20で運搬して、いずれかの置き台を利用して、効率よく並べることができる。
【0024】
この実施例で、全ての建築用木材12の中央部分には、識別標識42が取り付けられている。この識別標識42には、図示しないデータ書き込み装置により、全ての建築用木材12を相互に区別するための識別標識が書き込まれている。なお、この識別標識は、建築用木材12に直接印刷等で数字やバーコードを用いて書き込まれていてもよい。
【0025】
この識別標識は、3本の置き台上で、建築用木材12を並べ替える場合に、その配列順を指定するために使用される。例えば、
図2に示した記憶装置50には、図示しない建物設計用のCADデータから抽出した木材データ44や金物データ46や、梱包順データ54やプレカット順データ52等が記憶されている。梱包順データ54とは、建設現場へ建築用木材12を搬出するときの梱包順を示すデータである。プレカット順データ52は、建築用木材12を生産性良くプレカットするための順序を示すデータである。なお、以下の実施例では、梱包順データ54とプレカット順データ52のいずれか一方のみを使用するものと、両方を使用するものとがあり、それぞれ区別して説明する。両方を総称するときは、配列順データと呼ぶことにする。各データの具体例と構造はあとで
図8を用いて説明する。
【0026】
図1と
図2に示したプレカット材集積領域14には、 3本の置き台22,24,26を見下ろすように、一対のコ字状フレームから構成された並替装置28が設けられている。この並替装置28には、 吊上装置30が、矢印Bの方向に自由に移動するように吊り下げられている。一対の腕を持つ吊上装置30により、長さの異なる建築用木材12の両端付近を掴み、上方に持ち上げることができる。また、 並替装置28は、移動装置31により、置き台22,24,26の長手方向(矢印Aの方向)に自由に移動できるように構成されている。
【0027】
この並替装置28は、 吊上装置30を使用して建築用木材12を持ち上げて、3本の置き台22,24,26の上で、自由に移動させることができる。これによって、3本の置き台22,24,26の上に乗せられた多数の建築用木材12を、指定された順番に自動的に並べ変えることができる。
【0028】
並替装置28には、移動装置31によって吊上装置30と一体に移動できるように、読取装置40と読取装置41とが設けられている。どの建築用木材12にも、図示したように、丁度その中央に相当する位置に識別標識42を取り付けるようにした。従って、長尺の建築用木材12の識別標識42は、いずれも第1置き台22と第3置き台26の中心線上に並ぶ。読取装置40はこれらを読み取る位置に配置されている。また、短尺の建築用木材12の識別標識42は、いずれも第2置き台24と第3置き台26の中心線上に並ぶ。読取装置41はこれらを読み取る位置に配置されている。即ち、読取装置40と読取装置41は、移動装置31とともに移動しながら、連続的に建築用木材12の識別標識42を読み取ることができる。
【0029】
読取装置40、41が、建築用木材12の識別標識42を読み取ると、
図2に示した並替制御手段48が、梱包順データ54あるいはプレカット順データ52を参照して、建築用木材12の配列順を認識する。そして、並べ替えの手順を計算して、吊上装置30と移動装置31とを制御する。これにより、全ての建築用木材12を、3本の置き台の上に指定された順序に並べ替えることができる。
【0030】
例えば、
図1の実施例では、梱包順に建築用木材12の配列を並べ替えてから、建築用木材12をその順番に金物取付作業領域16に送り込む。金物取付作業領域16では、金物取付作業が行なわれる。図示しない棚にストックされた金物32が、金物供給装置34から自動的に金物取付作業領域16に供給される。 作業者36は金物32を手に取って、指示書に従って建築用木材12に取り付ける。建築用木材12に金物32を取り付ければ、出荷用建材38が完成する。
【0031】
図3は、梱包方法を示す説明図である。
出荷用建材38は、その後梱包領域18に送られる。出荷用建材38は梱包順に送り込まれるから、そのまま積み上げられ、そのまま梱包される。
図3は、出荷用建材38の端面を示しており、金物のための木材間のスペースは無視し図示している。この図の番号を付けた各出荷用建材38がこの順番に梱包領域18に送り込まれれば、この番号の順番に積み上げてそのままバンドで束ねて梱包することができる。
【0032】
建築用木材12を下層から上層に積み上げて、そのまま梱包体を生成できるから、金物取付作業領域16以降に、建築用木材12を一時保管するための広い集積場を必要としない。しかも、ただちに梱包ができるから、作業効率を高められる。
【0033】
図4は、プレカット材集積領域14と金物取付作業領域16を側面から見た説明図である。
先に説明したように、 3本の置き台の上に並べられた建築用木材12は、1本ずつ吊り上げられて、順番に並べ変えられる。従って、建築用木材12は、3本の置き台上で梱包順に並べ替えられた後に、梱包順に、金物取付作業領域16に送り込まれる。
図4(a)はその状態を示している。並替装置28は梱包順に置き台から建築用木材12を吊り上げて、金物取付作業領域16に最も近い場所から順に建築用木材12を並べていく処理を実行する。
【0034】
一方、
図4(b)の例では、3本の置き台の上に並べられた建築用木材12は、そのままの状態で、金物取付作業領域16における金物の取り付けが開始される。この時、並替装置28は、並べられた多数の建築用木材12の中から、最初に梱包される建築用木材12を探し出す。そして、その建築用木材12を、まず金物取付作業領域16に送り込む。その後、梱包順に、建築用木材12を金物取付作業領域16に送り込む。金物取付作業領域16が一杯になったら、並べ替えを一時停止して、金物取付作業の進行と同期させるとよい。
【0035】
また、建築用木材12は、全くランダムに製造されるわけではない。例えば床に使用されるもの、一階の壁に使用されるもの、2階の壁に使用されるもの、小屋組みに使用されるものというように、ある程度使用される場所毎に製造することができる。
【0036】
これらは、工事現場の同じ場所にまとめて搬入される。従って、建築用木材12をグループ単位で認識して、あるグループの建築用木材12が置き台の上に乗ったときに、そのグループ単位で並べ替えを開始するようにしてもよい。従って、例えば、床材のグループのプレカットが終了すると、床材の梱包順に並べ替えを行う。そして、梱包順に金物32取付工程にプレカット材を送り込むとよい。
【0037】
図5は、実施例1の並替装置を使用したラインのブロック図である。
プレカット装置19でプレカットをした建築用木材12をプレカット材集積領域14に集積する。このプレカット材集積領域14が3本の置き台で構成されている。並替装置28は、梱包順データ54を参照しながら建築用木材12の並べ替えを行う。その後に、建築用木材12は、金物取付作業領域16に順次送り込まれて、金物が取り付けられる。その後そのまま梱包領域18に送り込まれて出荷される。なお、この具体的な処理フローは
図9以下で説明する。
【実施例3】
【0039】
図7は、並替装置28を2箇所で使用したラインの例を示すブロック図である。
プレカット装置の特性上、プレカットが効率良くできる順番がある。これは、梱包順とは一致しないこともある。そこで、この実施例では、木材切断装置21で所定長に切断した木材を並替装置28でプレカット順に並べ替える。そして、プレカット装置19でプレカットが終了後に、並替装置28で今度は梱包順に建築用木材12を並べ替える。その後の処理は前述の実施例と同様である。木材切断装置21が別管理になっていて、別の場所にある場合にも同様である。
【0040】
図8(a)は梱包順データのデータ構造例で、(b)は配列順データのデータ構造例で、
(c)は木材データのデータ構造例である。
図8(c)に示すようにCADデータから抽出された木材データ44(
図2)では、各建築用木材12は、「材番」により区別されている。「材番」が木材の識別標識に相当する。
図8(a)に示す梱包順データ54では、各建築用木材12の長さや幅等の寸法を基準に梱包番号が定められている。梱包番号が同一のものが一体に梱包される。このほかに、積み上げる順番等も定められている。積み上げる順番は、順番欄に記述され、
図3の数字に該当する。なお、CADデータからは、このほかに金物データを抽出することができる。金物データは、金物コード、取付位置、取付面、取付後の形状(出寸法)等を含むデータである。金物が取り付かない木材もある。その場合、この部分のデータは空白である。金物データも使用すると、梱包をするときに必要な木材間のスペースも計算することができる。
【0041】
図8(b)のデータは、木材の「材番」とその配列順を対応させたデータである。例えば、置き台22,24,26の一番端の位置を、配列の起点とする。各建築用木材12の配置を100番置きの座標値で表す。図の例では、まず、「材番」が「1002」の建築用木材12を座標「100」の位置に配置するとした。これが先頭になる。その後、座標が「100」「200」「300」・・というように、各建築用木材12の配置を決める。
【0042】
演算処理の順序は、いくつか考えられる。例えば、CADデータから予め木材データ44や金物データ46が抽出されており、配列順データ(梱包順データ54やプレカット順データ52)を予め生成しておくことができる。プレカットされる前に所定長に切断される木材には、それぞれ「材番」(識別標識)が付されている。プレカット後もその「材番」は保持されている。読取装置40がこれを読み取る。並替制御手段48は配列順データを参照して、全ての集積構造物の並べ替え手順を計算する。移動装置31は、並替制御手段48からの指示に従って各集積構造物を吊り上げて移動させ、並べ替えを行う。配列順データの生成処理のタイミングは任意である。配列順データの構造も任意である。
【0043】
図9は実施例1の制御動作フローチャートである。
以下は、並替装置やラインを制御するためのコンピュータの処理手順を説明する。まず、最初のステップS11で、住宅建築用のCADデータの読み取りをする。このCADデータから、ステップS12で、木材データの抽出をする。プレカットの対象になる木材に関するデータのみを抽出する。その後、ステップS13で、梱包順の計算をし、ステップS14で、梱包順データの生成をし、記憶装置50(
図2)に記憶する。なお、先に説明したように、金物データも参照するとさらに実用的な梱包順が計算できる。
【0044】
次に、ステップS15で、プレカット材の受け入れ監視をする。ステップS16では、プレカット材が単位量受け入れ完了かどうかという判断をする。並べ替えの対象になるプレカット材が、実施例1に示した受け台上に受け入れられたかどうかを判断する。この判断の結果がイエスのときはステップS17の処理に移行し、ノーのときは待機する。
【0045】
ステップS17では、識別標識の読み取りをする。即ち、各建築用木材12の識別標識を読み取る。ステップS18では、識別標識に対応する梱包順データの読み取りをする。両者を参照して、
図8(b)に示したようなデータを生成して、ステップS19で並替制御をする。並べ替えが終了すると、ステップS20で建築用木材12を金物取付作業領域へ順送りする。
【0046】
図10は実施例2の制御動作フローチャートである。
ステップS21からステップS24までは、
図9のステップS11からステップS14までの処理と同一の処理である。ステップS25では、木材切断装置21を制御して、木材をプレカット用の所定の長さに切断する。ステップS26では、梱包順データの読み取りをし、ステップS27で木材の並替制御をする。並替制御のための演算処理は、
図9のステップS15からステップS18の処理と同じである。木材の並べ替えが終了すると、ステップS28で、プレカット装置へ木材の送り込み制御をする。プレカットが終了すると、その建築用木材12をステップS29で金物取付作業領域へ送る。このときは、既に梱包順に配列されているから、建築用木材12を順送りすればよい。
【0047】
図11は実施例3の制御動作フローチャートである。
ステップS31とステップS32は、
図9のステップS11及びステップS12と同一の処理である。その後、ステップS33で、プレカット順の計算をする。ステップS34では、プレカット順データの生成をする。ステップS35では、梱包順の計算をする。ステップS36では、梱包順データの生成をする。
【0048】
木材データには、プレカットのために最適な木材の供給順序を専門家が決定したものを含めておいてもよい。さらに木材データには、予め長さや金物の取付位置等を考慮して最適な梱包順を専門家が決定したものを含めておいてもよい。これにより、木材データ抽出後に梱包順やプレカット順の計算をせず、
図8(a)に示したような形式の梱包順データやプレカット順データを生成することもできる。
【0049】
ステップS37では、プレカット用の木材の長さ切断制御をする。ステップS38では、上記のプレカット順データの読み取りをする。ステップS39とステップS40の処理は、ステップS27およびステップS28と同様である。ステップS41からステップS43までの処理は、ステップS18からステップS20までの処理と同様である。このように、2箇所に並替装置を設けるが、ライン全体では、既存のプレカットから梱包までのラインでの集積構造物の一時保管スペースを十分に縮小することができる。また、作業員による集積構造物の運搬負荷も大幅に軽減することができる。