特許第5943983号(P5943983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943983
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ハンガーフック
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   A47G29/00 N
   A47G29/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-209420(P2014-209420)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-77364(P2016-77364A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】池田 力
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−017482(JP,A)
【文献】 特開2005−245554(JP,A)
【文献】 特開2004−183736(JP,A)
【文献】 特開2003−028130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装壁を構成する壁板の前面側に固定されるフックケーシングと、下端側において水平回転軸によりフックケーシングに起立倒伏自在に枢支されるフックと、フックケーシング内に設けられフックを倒伏方向に付勢する付勢手段と、フックケーシング内に設けられフックの回転を抑制するようにフックに結合される回転軸を有する回転ダンパとを具備し、
前記回転ダンパの回転軸は、前記フックの水平回転軸と同軸線上に配置され、かつ歯車を具備し、
前記フックは、その回転に応じて前記回転ダンパの回転軸を回転させるように前記歯車に噛み合う係合歯部を具備することを特徴とするハンガーフック。
【請求項2】
前記フックケーシングは、互いに前後方向に突き合わせて結合される後方のケーシング本体と、前方のケーシングカバーとを具備し、
前記ケーシング本体は、前記壁板と平行に配置される底板部と、この底板部の左右両縁から直角に前方へ起立する左右一対の側板部とを具備し、
前記ケーシングカバーは、前記ケーシング本体の側板部に突き合わされる対応側板部と、前方へ開放する開口部とを具備し、
前記フックは、下端側に、前記ケーシングカバーの開口部から前記ケーシング本体に向かって突出する枢止部を具備し、この枢止部の左右両側面に前記水平回転軸が固着され、
前記ケーシング本体の側板部と前記ケーシングカバーの対応側板部は、相互の突き合わせ状態において前記フックの水平回転軸を枢支する軸受け凹部を具備し、
前記回転ダンパは、前記回転軸の回転を抑制する制動機構を内蔵するダンパケーシングを具備し、
前記ケーシング本体の底板部は、前記ダンパケーシングを前後方向に嵌合させて起立保持する嵌合凹部を具備し、
前記係合歯部は、前記フックが倒伏状態にあるとき、前記回転ダンパの歯車の前面側に噛み合うように配置されることを特徴とする請求項1に記載のハンガー
フック。
【請求項3】
前記フックは、前記水平回転軸より下端側にばね受け部を具備し、
前記フックケーシング内には、前記フックのばね受け部に対向するばね受け部が設けられ、
前記フックのばね受け部と前記フックケーシングの対応ばね受け部との間に、フックを倒伏方向に付勢するコイルばねが介設されることを特徴とする請求項1に記載のハンガーフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や建物の内装壁等を構成する壁板に固定されるハンガーフックに関し、常時は壁面に対して倒伏した状態にあるフックを使用時に起立させることができるハンガーフックに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンガーフックとして特許文献1に記載されたものが知られている。このハンガーフックは、フックとフックを倒伏状態で収納するケーシングとを備え、フックをケーシングから起立させることによって、フックに衣服等を掛けることができるように構成される。フックには、ケーシング側へ倒伏する方向、すなわちケーシングに収納される方向に付勢するばねが係止される。フックの回転軸には、セクタ歯車が形成され、ケーシングには、セクタ歯車にかみ合う制動歯車を有する回転ダンパが取り付けられる。回転ダンパは、ケーシング側に倒伏しようとするフックの回転を抑制し、倒伏までの時間を引き延ばすことにより、使用者に動作の時間的余裕を与え、フックに衣服等を掛けやすくする。
また、特許文献2には、上記ハンガーフックにおいて、フックがケーシングに対して大きく回転したとき、セクタ歯車がケーシングから露出する危惧を利用者に与える問題点を解決し、フックの使用時に歯車が露出することがないハンガーフックが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−245554号公報
【特許文献2】特開2010−17482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来のハンガーフックとは異なる構成により、フックの使用時における歯車の露出をなくすことができハンガーフックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のハンガーフック1は、壁板Pに固定されるフックケーシング2と、下端側において水平回転軸4によりフックケーシング2に起立倒伏自在に枢支されるフック3と、フックケーシング2内に設けられフック3を倒伏方向に付勢する付勢手段5と、フックケーシング2内に設けられフック3の回転を抑制するようにフック3に結合される回転軸7を有する回転ダンパ6とを具備する。回転ダンパ6の回転軸7は、フック3の水平回転軸4と同軸線上に配置され、かつ歯車8を具備する。フック3は、その回転に応じて回転ダンパ6の回転軸7を回転させるように歯車8に噛み合う係合歯部9を具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のハンガーフック1においては、回転ダンパ6の回転軸7とフック3の水平回転軸4とが同軸線上に配置され、歯部9がフック3と一体に歯車8の周りを回転するので、歯部9や歯車8がフックケーシング2から露出する危惧はない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るハンガーフックの正面図である。
図2図1のハンガーフックの側面図である。
図3図1のハンガーフックの背面図である。
図4図1のハンガーフックの断面図である。
図5図4のV−V断面図である。
図6図4のVI−VI断面図である。
図7図4のVII−VII断面図である。
図8図1のハンガーフックにおけるクサビ駆動部材を組み込んだケーシング本体の正面図である。
図9図1のハンガーフックにおけるフックとクサビ部材を組み込んだケーシングカバーの背面図である。
図10図1のハンガーフックの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図4ないし図6に示すように、ハンガーフック1は、壁板Pに固定される縦長のフックケーシング2と、下端側において水平回転軸4(図6)によりフックケーシング2に起立倒伏自在に枢支されるフック3と、フックケーシング2内に設けられフック3を倒伏方向に付勢する付勢手段であるコイルばね5と、フックケーシング2内に設けられフック3の回転を抑制するようにフック3に結合される回転軸7を有する回転ダンパ6とを具備する。回転ダンパ6の回転軸7は、フック3の水平回転軸4と同軸線上に配置され、かつ歯車8を具備する。フック3は、その回転に応じて回転ダンパ6の回転軸7を回転させるように歯車8に噛み合う係合歯部9を具備する。
【0009】
フックケーシング2は、壁板Pに形成される取り付け開口P1に前後方向に嵌挿される嵌挿部26と、この嵌挿部26の前端部外周に形成される鍔部27と、顎部27に連続してその前部に設けられる包囲壁部21を具備する。鍔部27は、壁板Pへの装着時に取り付け開口P1の周縁の前面に当接する。嵌挿部26は、左右両側面にクサビ突出開口29(図2図5)を具備する。
【0010】
フックケーシング2は、互いに前後方向に突き合わせて結合される後方のケーシング本体10と、前方のケーシングカバー11とで構成される。
【0011】
ケーシング本体10は、壁板Pと平行に配置される底板部12と、この底板部12の左右両縁から直角に前方へ起立する左右一対の側板部13とを具備する。底板部12の下部前面側に、回転ダンパ6を保持する嵌合凹部14(図4,6,8)と、ばね受け突起15が形成される。側板部13の下部の前縁には、フック3の水平回転軸4を受ける円弧状の軸受け凹部16(図2,6,8)が形成される。
【0012】
ケーシング本体10の上部には、クサビ駆動部材32を前後方向に移動自在に収容する受け入れ凹部28(図4,5,10)が形成される。受け入れ凹部28は、後方が開口41によって後面側へ開放し、上下部前方は、開口42によって前方へ開放し、中央部前方は、ねじ受け座部39によって閉じられている。なお、開口41は、クサビ駆動部材32を受け入れ凹部28に嵌合させた後、蓋43によって閉じられる。
【0013】
ケーシングカバー11は、ケーシング本体10の側板部13に突き合わされる対応側板部17(図4,5,10)と、底板部12に対向する前面板部18と、前面板部18の下部において前方へ開放する開口部19(図4,10)とを具備する。側板部17の前方は、壁板Pの前面に当接する鍔部27介して、包囲壁部21に連続する。包囲壁部21は、前方へ膨出してフック3の外周を包囲する。包囲壁部21は、フック3の上端部に対応する位置において切欠しており、この切欠部20によって、倒伏状態にあるフック3の上端部が露出するようになっている。側板部17の下部後縁には、ケーシング本体10の軸受け凹部16に対向してフック3の水平回転軸4を受ける円弧状の軸受け凹部22(図2,9)が形成される。
【0014】
ケーシングカバー11の上部、前面板部18の後面側には、ケーシング本体10の開口42に対向する位置に、クサビ受け凹部44(図4,9)が形成される。クサビ受け凹部44は、クサビ突出開口29(図2,5)によって嵌挿部26の左右側面に開放する。
【0015】
フック3は、フックケーシング2の包囲壁部21の内側に沿うように上下方向に延び、倒伏状態において包囲壁部21の内側に収納される。図4に示すように、フック3は、下端側において、ケーシングカバー11の開口部19からケーシング本体10に向かって突出する枢止部23を具備する。枢止部23は、ケーシングカバー11の側板部17と、ケーシング本体10の側板部13の内側面に沿う左右の側板部24(図9)を有する。左右の側板部24の外側面に、水平回転軸4が突設され、一方の側板部24の内側面に係合歯部9が形成される。フック3の下端部には、後方へ突出してフックケーシング2のばね受け突起15に対向するばね受け突起25が形成される。両ばね受け突起15,25間に、フック3を倒伏方向に付勢するコイルばね5が介設される。
【0016】
図6に示すように、回転ダンパ6は、回転軸7の回転を抑制する制動機構を内蔵するダンパケーシング47を具備し、回転軸7を外方へ突出させる。ダンパケーシング47は、ケーシング本体10の底板部12に形成された嵌合凹部14に前後方向に嵌合され、フックケーシング2内に起立保持される。回転軸7に固着された歯車8の前面側に、倒伏状態におけるフック3の係合歯部9が噛み合うように配置される。
【0017】
ケーシングカバー11のクサビ受け凹部44には、左右の一対のクサビ部材30(図5,9,10)が左右方向に移動自在に組み込まれる。一対のクサビ部材30は、引き込みばね31によって、クサビ受け凹部44内に引き込み保持される。
【0018】
図5に示すように、クサビ部材30は、それぞれフックケーシング2の鍔部27との間で壁板Pを挟持するクサビ部34と、クサビ駆動部材32に係合する受動部45とを具備し、クサビ部34をクサビ突出開口29から外側へ出没させるように左右に移動自在である。クサビ部34は、前方に向かって内側へ傾斜した斜面40を有する。クサビ部34を突出させた位置において斜面40と鍔部27との間で壁板Pを挟持する。斜面40とクサビ部34の突出量とにより、所定範囲の壁板Pの厚さ寸法に対応できる。
【0019】
図4,10に示すように、クサビ部材30を動かすクサビ駆動部材32は、クサビ部材30と対向するように、ケーシング本体の受け入れ凹部28(図5)に前後方向に移動自在に組み込まれる。
【0020】
図4,10に示すように、クサビ駆動部材32は、左右一対のクサビ部材30の間に介入する上下一対の駆動部35と、駆動部35間を接続する連結部36とを具備する。駆動部35は、左右のクサビ部材30に接する傾斜した駆動面37を具備する。クサビ駆動部材32が前方に移動すると、駆動部35が左右のクサビ部材30を外方へ押しやることで、各クサビ部34を開口29から外側へ突出させる。連結部36には、前後方向に貫通するねじ孔38が形成される。このねじ孔38に、フックケーシング2のねじ受け座部39を前後方向に貫通する締め付けねじ33が螺合される。ねじ受け座部39は、フック3を起立させた状態で前方に露出する位置に設けられる。したがって、締め付けねじ33は、フックケーシング2の前面側から開口46を介して回転操作可能である。締め付けねじ33を締め付けると、クサビ駆動部材32が前進し、クサビ部材30を左右方向外側へ押し出す。
【0021】
ハンガーフック1を壁板Pに取り付ける場合には、予め壁板Pに形成されている取り付け孔P1にフックケーシング2の嵌挿部26を挿入し、フック3を起立させた状態で、前方から締め付けねじ33を締め付ける。これにより、クサビ部材30を左右方向外側へ押し出し、その斜面40を壁板Pの後面に圧接させ、フックケーシング2の鍔部27との間で壁板Pを締め付ける。壁板Pの前面側からの作業のみでハンガーフック1を壁板Pに取り付けることができる。
【0022】
例えば、コートをハンガーフック2に掛けるときには、一方の手でコートの後ろ襟付近を握り持ちつつ、その手の指をフック3の上端に掛けてフック3をフックケーシング2から引き起こす。フック3は、回転ダンパ6の制動により、ゆっくり倒伏するので、その間に、コートを握った片手でコートをフック3に掛けることができる。あるいは、直接コート等をフック3の先端に掛けながら、これを引き起こすことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ハンガーフック
2 フックケーシング
3 フック
4 水平回転軸
5 コイルばね(付勢手段)
6 回転ダンパ
7 回転軸
8 歯車
9 係合歯部
10 ケーシング本体
11 ケーシングカバー
12 底板部
13 側板部
14 嵌合凹部
15 ばね受け突起
16 軸受け凹部
17 対応側板部
18 前面板部
19 開口部
20 切欠部
21 包囲壁部
22 軸受け凹部
23 枢止部
24 側板部
25 ばね受け突起
26 嵌挿部
27 鍔部
28 受け入れ凹部
29 クサビ突出開口
30 クサビ部材
31 引き込みばね
32 クサビ駆動部材
33 締め付けねじ
34 クサビ部
35 駆動部
36 連結部
37 駆動面
38 ねじ孔
39 ねじ受け座部
40 斜面
41 後方開口
42 前方開口
43 蓋
44 クサビ受け凹部
45 受動部
46 開口
47 ダンパケーシング
P 壁板
P1 取り付け孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10