(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944011
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】凍結防止組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/18 20060101AFI20160621BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20160621BHJP
E01H 5/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
C09K3/18
C09K3/00 102
E01H5/00 Z
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-540404(P2014-540404)
(86)(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公表番号】特表2015-501850(P2015-501850A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2012071678
(87)【国際公開番号】WO2013068299
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年7月2日
(31)【優先権主張番号】11188481.3
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マズロー,ワジル
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング,エドウィン ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】デマー,ルネ ロードヴィーク マリア
【審査官】
▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04824588(US,A)
【文献】
米国特許第06080330(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0128651(US,A1)
【文献】
特開昭62−273280(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0261290(US,A1)
【文献】
国際公開第2004/063154(WO,A1)
【文献】
特表2014−520181(JP,A)
【文献】
特表2008−539308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/18
C09K 3/00
E01H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤、
(ii) 10ppm〜10,000ppmの間のリグニン誘導体、ならびに
(iii)10ppm〜50,000ppmの間のモラセス
を含む、凍結防止組成物。
【請求項2】
前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、請求項1に記載の凍結防止組成物。
【請求項3】
前記凍結防止組成物が、
前記凍結防止組成物の総重量に基づいて少なくとも5重量%の凍結防止剤を含む含水凍結防止組成物、
前記凍結防止組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量%の凍結防止剤を含む固体の凍結防止組成物、または
その飽和濃度を超える量で凍結防止剤を含むスラリー形態の凍結防止組成物
である、請求項1または2に記載の凍結防止組成物。
【請求項4】
前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
【請求項5】
前記凍結防止剤が塩化ナトリウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
【請求項6】
前記リグニン誘導体がリグノスルホナートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の凍結防止組成物を調製するための方法であって、リグニン誘導体およびモラセスを含む処理水溶液を、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤に噴霧するステップを含む、方法。
【請求項8】
前記凍結防止剤が塩化ナトリウムであり、前記リグニン誘導体が、得られる凍結防止組成物中に10ppm〜10,000ppmの間の量で存在し、前記モラセスが、得られる凍結防止組成物中に10ppm〜50,000ppmの間の量で存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
表面の凍結を防止するための方法であって、
(i) 請求項1〜5のいずれか1項に記載の凍結防止組成物を前記表面に散布するステップ、または
(ii) 塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される固体の凍結防止剤を、リグニン誘導体およびモラセスを含む処理水溶液と混合するステップならびにこのように得られた混合物を前記表面に散布するステップ、または
(iii)塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される5重量%から飽和濃度の間の固体の凍結防止剤、リグニン誘導体およびモラセスを含む水溶液を調製するステップならびに前記混合物を前記表面に施用するステップ、または
(iv) 塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される固体形態または含水形態の凍結防止剤を前記表面に散布するステップ、ならびに独立して固体形態または含水形態のリグニン誘導体およびモラセスを前記表面に散布するステップ
を含む、方法。
【請求項11】
前記凍結防止剤が塩化ナトリウムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記表面が、非多孔質のアスファルト道路、アスファルト道路、多孔質のアスファルト道路、コンクリート道路、瀝青道路、レンガ道路、砂利道、敷石道路、未舗装道路および舗装道路からなる群から選択される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記表面1m2当たりに1〜50gの間の凍結防止剤、0.01〜500mgの間のリグニン誘導体および0.01〜2500mgの間のモラセスが導入される、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法に使用するための用品キットであって、
成分(a)として塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む氷結防止組成物、ならびに
成分(b)として(i)0%からその飽和濃度の間の凍結防止剤、10ppmからその飽和濃度の間のリグノスルホナートおよび10ppmからその飽和濃度の間のモラセスを含む水溶液または(ii)リグニン誘導体およびモラセスを含む固体の成分のいずれか
を含む、用品キット。
【請求項16】
成分(b)が、0%からその飽和濃度の間の前記凍結防止剤、10ppmからその飽和濃度の間の前記リグニン誘導体および10ppmから飽和濃度の間の前記モラセスを含む水溶液であり、成分(a)が前記用品キットの60〜99.99重量%を構成し、成分(b)が前記用品キットの0.01〜40重量%を構成する、請求項15に記載の用品キット。
【請求項17】
非多孔質のアスファルト道路、アスファルト道路、多孔質のアスファルト道路、コンクリート道路、瀝青道路、レンガ道路、砂利道、敷石道路、未舗装道路および舗装道路からなる群から選択される表面の凍結防止における、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む凍結防止組成物の効率を改善するための、リグニン誘導体およびモラセスの組み合わせの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結防止組成物および前記凍結防止組成物を調製するための方法に関する。本発明は、さらに表面の凍結を防止するための方法および前記方法に使用するための用品キット(kit of parts)に関する。最後に、本発明は、凍結防止組成物の効率を改善するための、リグニン誘導体およびモラセス(糖蜜)の組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
冬のような気象条件は、道路および交通に雪または黒氷の形で不都合を生じさせる。道路および幹線道路の雪、霜および氷を除去することは、明らかに安全面で非常に利点がある。車道、幹線道路および歩道の雪および氷の形成を抑制するために一般的に塩化ナトリウム(NaCl)が使用される。塩化ナトリウムは、車道の降雪に溶け込み、凝固点を低下させることにより凍結防止剤として働き、これにより氷および雪が溶ける。防氷剤(deicer)として使用できるその他の塩としては、例えば、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムが挙げられる。これらの化合物は、塩化ナトリウムよりも水の凝固点をさらに低温に降下させる。塩化カリウムも防氷剤として使用される場合がある。一般的に知られている道路用塩の別の代替物は酢酸カルシウムマグネシウムである。あまり知られていないその他の防氷剤の塩としては、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムが挙げられる。
【0003】
冬のような気象条件はまた、アスファルト、瀝青およびコンクリートの表面を破損させる。こうした表面は、多孔質構造である。特に、アスファルトは、表面下に多数のチャネルがある。空気/地表温度が十分に低くなると、凍結時にアスファルトのチャネルにある水溶液が膨張することになり、それにより、アスファルトに機械的応力が生じる。特に、凍結および融解が繰り返された後、アスファルトが割れ、結果としてポットホールが生じる。破損した車道および幹線道路を修繕するために毎年大金を費やさねばならないだけでなく、ポットホールにより、交通が危険な状況になることもある。さらに、必要とされる追加の整備により、さらなる交通渋滞が引き起こされることになる。
【0004】
凍結と融解のサイクルの間に、水または水ベースの溶液の膨張および収縮により生じる車道および幹線道路の破損の問題は、新しい種類のアスファルト、いわゆる、90年代の極めて多孔質のアスファルトの導入以来、さらに増々大きな問題になってきている。この極めて多孔質のアスファルトコンクリートは、最大20%の空洞を含む場合もある。これには、雨および融解した水が直ちにアスファルト表面から表面下のチャネルを通って土壌に流れ去るという利点がある。アスファルト道路表面自体を実質的に水分がない状態に保持することで、大雨の場合であってもつるつるせず、滑らない。この種類のアスファルトの使用は、雨の気象条件において安全性に対して非常に有益な効果がある一方で、冬のような気象条件においては、融解した水とともに道路表面から凍結防止剤も流れてなくなることになるため、冬の間、道路に雪および氷がない状態を維持するためにさらに多くの凍結防止剤が必要とされるという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、凍結防止特性が改善された凍結防止組成物を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、凍結防止剤を施用する頻度を減らすことができ、特に、極めて多孔質の道路表面の破損を低減するように、より長期間にわたって変わらず有効な凍結防止組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、上記の目的は、凍結防止剤に2種類の添加物、すなわち、リグニン誘導体およびモラセスの組み合わせを添加することによって充足される。より詳細には、本発明は、(i)塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤、(ii)リグニン誘導体ならびに(iii)モラセスを含む凍結防止組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】比較例A、B、C、D、E、Hおよび実施例1、2、3および4の結果(表2を参照)
【
図2】比較例A、F、G、H、I、Dならびに実施例4、5、6および7の結果
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による凍結防止組成物は、改善された性能を有することがわかった。モラセスおよびリグニン誘導体を特定の組み合わせで使用することによって、凍結防止剤はさらに長期間にわたって有効であることがわかった。
【0009】
さらに、本発明による凍結防止組成物の使用により、凍結および融解が繰り返された後の道路表面の破損が低減されることがわかった。
【0010】
本発明による凍結防止組成物は、従来の凍結防止組成物よりも腐食性が低いことがわかった。
【0011】
凍結防止組成物のさらに良好な付着性により、凍結防止剤のみを使用した場合と比較して、吹き飛ばされる凍結防止剤が減ることになり、凍結防止剤がさらに長期間道路上に保持されることになる。
【0012】
本発明による凍結防止組成物中に存在する凍結防止剤は、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される。しかしながら、好ましくは、凍結防止剤は塩化物塩であり、すなわち、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび塩化カリウムからなる群から選択される。より好ましくは、本発明による組成物には、凍結防止剤として塩化カルシウムが使用される。最も好ましくは、本発明による組成物には、安価で大量に入手可能であるため、凍結防止剤として塩化ナトリウムが使用される。
【0013】
本発明による凍結防止組成物は、含水形態、固体形態またはスラリー形態であってもよい。
【0014】
凍結防止組成物が含水組成物である場合、凍結防止剤は、(凍結防止組成物の総重量に基づいて)好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも20重量%の量で存在する。好ましくは、そのような含水凍結防止組成物は、最大で飽和濃度の凍結防止剤を含む。
【0015】
本発明による凍結防止組成物は、飽和濃度を超える濃度で凍結防止剤を含むスラリーの形態であってもよい。
【0016】
本凍結防止組成物が固体の形態の場合、例えば、砂のような滑り止め材(gritting material)と混合される場合には、(凍結防止組成物の総重量に基づいて)5重量%程度の凍結防止剤を含んでもよい。しかしながら、本発明による固体凍結防止組成物は、(凍結防止組成物の総重量に基づいて)好ましくは少なくとも50重量%の凍結防止剤、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも96重量%の凍結防止剤を含む。
【0017】
凍結防止組成物中に存在するバイオポリマーであるリグニンは、剛性を与えるセルロースと関連する非晶質ポリマーであり、セルロースと共に植物の木質の細胞壁および細胞壁間の接合材を形成する。一般にリグニンの平均分子量は少なくとも10,000Daである。リグニンは最も一般的には木材において見いだされるが、植物および藻類においても見いだすことができる。リグニンは、モノリグノールであるp−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、およびシナピルアルコールからなる。これらのモノマーは様々な量で含まれている。
【0018】
リグニンは、酸性もしくはアルカリ性条件に曝露することにより、または漂白することにより(例えばH
2O
2または次亜塩素酸塩による処理)水溶性にすることができ、それにより脂肪族および芳香族のヒドロキシルおよびカルボン酸官能基の数が増加するか、またはリグニンが加水分解してより低分子量のフラグメントとなる。中性条件下では、リグニンを亜硫酸パルプ化により親水化することができ、同時にスルホナートまたはスルホン酸官能基が導入される。
【0019】
本明細書の全体を通して使用される「リグニン誘導体」という用語は、前述の手順のうち少なくとも1つを用いてリグニンから得られるあらゆる化合物(塩を含める)であって、25℃での溶解度が水1リットル当たり少なくとも10gであるものを示すことを意味する。他の化学官能基は、全体の水溶性を低下させない限り、存在してもよい。好ましくは、本発明によるリグニン誘導体の分子量は、少なくとも5kDa、より好ましくは、少なくとも10kDaである。より好ましくは、リグニン誘導体はカルボン酸官能基を有するが、最も好ましくは、リグニン誘導体はスルホナートまたはスルホン酸基を有する(すなわちリグノスルホナートである)。
【0020】
本発明によるリグノスルホナートは、バイオポリマーであるリグニンから得られるスルホン化リグニンである。亜硫酸塩の存在下での木材のパルプ化プロセスの間に、リグノスルホナートは副生成物として生成される。生成物を(化学的に)精製し噴霧乾燥してもよいが、これらのステップはいずれも本発明による優れた効果のためには必要とされない。リグノスルホナートの分子量の範囲は非常に幅が広い(非常に多分散性である)。例えば、針葉樹では1,000〜140,000Daの範囲が報告されている。広葉樹ではより低い値のリグノスルホナートが報告されている。
【0021】
本発明による組成物に使用するのに適したリグニン誘導体は、好ましくは、木材、植物または藻類由来のリグニン誘導体である。異なる原料源に由来するリグニン誘導体の混合物を使用することも可能である。木材由来のリグニン誘導体の使用が最も好ましい。あらゆる種類のリグニン誘導体、すなわちNa、K、Ca、MgまたはNH
4塩を含む本発明による組成物に使用できる。
【0022】
リグニン誘導体は、一般に本発明による凍結防止組成物中に少なくとも10ppm、より好ましくは、少なくとも100ppm、最も好ましくは、少なくとも500ppmの量で存在する。タンパク質は、好ましくは、10,000ppm未満の量、より好ましくは、8,000ppm未満の量、最も好ましくは、5,000ppm未満の量で存在する。
【0023】
リグニン誘導体の濃度は、ppmで表され、全凍結防止組成物1kg当たりのmgリグニン誘導体と定義される。
【0024】
本発明による凍結防止組成物中に存在するモラセスとしては、凍結防止用に従来使用されるあらゆるモラセスが可能である。なお、亜硫酸塩、二酸化硫黄、灰分、微生物生命体またはその他の不溶性物質の除去などの1つまたは複数の精製段階を経たモラセスを使用してもよい。これは、こうした混入物の除去が、凍結防止組成物の性能に有害な影響を与えないためである。なお、化学的、生物学的、物理的にまたは別の方法で処理されたモラセスが使用可能であり、例えば、排他的なものではないが、脱糖されたテンサイモラセス、酸/塩基処理されたモラセス、カルボキシル化モラセス(モラセス中に存在する糖は、従来技術によりカルボキシル化されている)および1つまたは複数の添加物を含むモラセスである。好ましくは、モラセスは、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される。
【0025】
「モラセス」という用語には、上記の種類の処理されたまたは未処理のモラセスのすべてが含まれる。
【0026】
モラセスは、好ましくは、20重量%〜80重量%の間の糖類、さらにより好ましくは、40重量%〜60重量%の間の糖類、最も好ましくは、45重量%〜55重量%の間の糖類を含むテンサイまたはサトウキビモラセスである。
【0027】
モラセスは、本発明による凍結防止組成物に、一般に少なくとも10ppm、より好ましくは少なくとも100ppm、最も好ましくは少なくとも500ppmの量で存在する。モラセスは、好ましくは50,000ppm未満の量、より好ましくは10,000ppm未満の量、最も好ましくは5,000ppm未満の量で存在する。
【0028】
モラセスの濃度は、ppmで表され、全凍結防止組成物1kg当たりのmgモラセスと定義される。
【0029】
本発明は、さらに本発明による凍結防止組成物を調製するための方法に関する。前記方法は、リグニン誘導体およびモラセスを含む処理水溶液を、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤に噴霧することからなる。好ましくは、処理水溶液は、得られる凍結防止組成物が少なくとも10ppm、より好ましくは少なくとも100ppm、最も好ましくは少なくとも500ppmのリグニン誘導体および少なくとも10ppm、より好ましくは少なくとも100ppm、最も好ましくは少なくとも500ppmのモラセスを含むようになる量で凍結防止剤に噴霧される。得られる凍結防止組成物は、リグニン誘導体を、好ましくは10,000ppm以下、より好ましくは8,000ppm以下、最も好ましくは5,000ppm以下含む。得られる凍結防止組成物は、モラセスを、好ましくは50,000ppm以下、より好ましくは10,000ppm以下、最も好ましくは5,000ppm以下含む。
【0030】
上記のとおり、リグニン誘導体は、好ましくは、植物または藻類由来のものである。リグニン誘導体はまた、異なる原料源に由来するリグニン誘導体の混合物であってもよい。モラセスは、好ましくは、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される。
【0031】
本発明はさらに、表面の凍結を防止するための方法に関する。前記表面は、様々な方法で凍結を防止することができる。
【0032】
一実施形態において、本発明による凍結防止組成物は、前記表面に散布される。
【0033】
別の実施形態において、表面の凍結を防止するための方法は、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される固体の凍結防止剤を、リグニン誘導体およびモラセスを含む処理水溶液と混合するステップならびにこのように得られた混合物を前記表面に散布するステップを含む。凍結防止組成物が吹き飛ばされるリスクが大幅に低減されるため、この方法は好適な実施形態である。さらに、凍結防止組成物が道路表面により良好に付着する。
【0034】
さらに別の実施形態において、表面の凍結を防止するための方法は、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される5重量%から飽和濃度の間の固体の凍結防止剤、リグニン誘導体およびモラセスを含む水溶液を調製するステップならびに前記混合物を、例えば、噴霧することによって前記表面に適用するステップを含む。この方法においても凍結防止組成物が吹き飛ばされるリスクが大幅に低減されるため、この方法も好適な実施形態である。さらに、凍結防止組成物が道路表面にさらに良好に付着する。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態において、表面の凍結を防止するための方法は、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される固体形態または含水形態の凍結防止剤を前記表面に散布するステップ、ならびに独立して固体形態または含水形態のリグニン誘導体およびモラセスを前記表面に散布するステップを含む。
【0036】
凍結を防止する表面は、好ましくは、非多孔質のアスファルト道路、アスファルト道路、多孔質のアスファルト道路、コンクリート道路、瀝青道路(bituminous road)、レンガ道路、砂利道、敷石道路(cobbled road)、未舗装道路および舗装道路からなる群から選択される表面である。
【0037】
好ましくは、前記表面1m
2当たりに少なくとも1gの凍結防止剤、少なくとも0.01mgのリグニン誘導体および少なくとも0.01mgのモラセスが導入される。好ましくは、凍結を防止する表面1m
2当たりに50g以下の凍結防止剤が導入される。好ましくは、凍結を防止する表面1m
2当たりに500mg以下のリグニン誘導体および2500mg以下のモラセスが導入される。
【0038】
本発明のさらに別の態様において、本発明は、表面の凍結を防止するための方法に使用するための用品キットに関する。本用品キットは、成分(a)として塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む氷結防止組成物、ならびに成分(b)として0%からその飽和濃度の間の凍結防止剤、10ppmからその飽和濃度の間のリグニン誘導体および10ppmからその飽和濃度の間のモラセスを含む水溶液を含む。好ましくは、成分(a)は、用品キットの60〜99.99重量%を構成し、成分(b)は、用品キットの0.01〜40重量%を構成する(構成成分(a)および(b)を合算して最大100%)。成分(a)は、水溶液、スラリーまたは固体の形態であってもよい(上記参照)。
【0039】
成分(b)は、リグニン誘導体およびモラセスの固体混合物であってもよい。したがって、本発明はまた、本発明による表面の凍結を防止するための方法に使用するための用品キットであって、成分(a)として塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む氷結防止組成物、ならびに成分(b)としてリグニン誘導体およびモラセスを含む固体成分を含む、用品キットに関する。好ましくは、成分(a)は、用品キットの90〜99.9重量%を構成し、成分(b)は、用品キットの0.1〜10重量%を構成する(成分(a)および(b)を合算して最大100%)。成分(a)は、水溶液、スラリーまたは固体の形態であってもよい(上記参照)。好ましくは、成分(a)は、固体形態である。
【0040】
最後に、本発明は、表面の凍結を防止する際に、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む凍結防止組成物の効率を改善するための、リグニン誘導体およびモラセスの組み合わせの使用に関する。上記のとおり、これら表面は、好ましくは、非多孔質のアスファルト道路、アスファルト道路、多孔質のアスファルト道路、コンクリート道路、瀝青道路、レンガ道路、砂利道、敷石道路、未舗装道路および舗装道路からなる群から選択される。
【0041】
本発明を、以下の非限定的実施例および比較例によってさらに例示する。
【実施例】
【0042】
実施例1:凍結試験
【表1-1】
【表1-2】
【0043】
サンプル調製
以下のすべての調製において、22重量%NaClブラインを「ブライン」と呼ぶ。生成物中に含まれ得る不純物の割合は、最終的な化合物の濃度計算には含まれない。この濃度は、計量された化合物の量とサンプルの総質量の比率と定義される。
【0044】
化合物の濃度は、ppmで表され、mg化合物/kg全サンプル質量と定義される。
【0045】
原液
全調製をバッチ式で行った。記載の量は、すべてのサンプルを調製した一般的なバッチサイズを表す。
□ブラインを、780gの水に220gのNaClを溶解させることによって調製した。
□リグノスルホナート溶液を、ナトリウムリグノスルホナート粉末を勢いよく撹拌したブラインにゆっくりと添加することによって調製した。ブラインを、マグネチックスターラーによって撹拌した。リグノスルホナート原液には、30,000または3,000または300ppmのいずれかでリグノスルホナートが含まれるものとした。
□RM溶液を、勢いよく撹拌したブラインに注意深く添加することによって調製した。ブラインを、マグネチックスターラーによって撹拌した。この原液には、3,000ppmまたは30,000ppmのいずれかでRMが含まれるものとした。
【0046】
最終溶液
最終的なサンプル溶液は、リグノスルホナートおよび/またはモラセス原液を混合し、ブラインを添加することによって得た。3例:
□1,000ppm LIおよび1,000ppm RMを含むブライン:以下の混合。
〇 10gの3,000ppm LI原液
〇 10gの3,000ppm RM原液
〇 10gのブライン
□1,000ppm LIおよび10ppm RMを含むブライン:以下の混合。
〇 10gの3,000ppm LI原液
〇 0.1gの3,000ppm RM原液
〇 19.9gのブライン
□10,000ppm LIおよび1,000ppm RMを含むブライン:以下の混合。
〇 10gの30,000ppm LI原液
〇 10gの3,000ppm RM原液
〇 10gのブライン
上に例示した方式に従ってすべてのサンプルを調製した。
【0047】
すべてのサンプルは、総重量が正確に30グラムであり、Greinerチューブに入れた(PP、50mL、Greiner BioOne)。
【0048】
実験条件
上記のGreinerチューブを、実験開始まで最大2日間冷凍庫で保存した。実験開始時、これらのチューブを−29℃のフリーザーで保存し、それらの固体含有量について各サンプル5〜10%の確度で目測で評価した。固体含有量の評価を目測で行った。これは、サンプルの全体積に対する固体含有量の概算であることを意味する。すべてのサンプルは3組調製し、表示される固体含有量を全3サンプルの平均として算出する。
【0049】
結果
表1は、異なる濃度で試験したリグノスルホナートおよびモラセスの全組み合わせの行列表示である。リグノスルホナートについては、横向きに配置し、最も左の列はリグノスルホナートを含まないサンプルを示す。未処理モラセスについては、縦に配置し、最上の行はモラセスを含まないサンプルを示す。灰色のバー内において、対応する添加物の濃度をppmで示す(mg/kg)。白色領域内の数字のすべては、24時間後の固体含有量を表す。
【0050】
リグノスルホナートまたはモラセスのいずれかを含む基準サンプルは、常に100%固体ではないが、常に高い固体含有量を示している。しかしながら、さらに長時間経過後には、これらの基準サンプルのすべてが、例外なく完全に凝固した。リグノスルホナートおよびモラセスの両方を含むその他のサンプルはすべて、凝固したとしても完全には凝固していない。あらゆる場合において、固体含有量は、それらの各基準の固体含有量よりはるかに低い。この表から、リグノスルホナートとモラセスとの間に相乗効果があることを導き出すことができる。
【表1-3】
【0051】
表2では、表1において概要を示した実験結果の詳細を示す。それぞれの項目について、どの添加物が存在していたか、さらに特定の時間経過後(時間)にサンプル中に存在する固体の体積%について記載する。
【表2-1】
【0052】
さらなる説明のために
図1〜2を添付した。比較例A、B、C、D、E、Hおよび実施例1、2、3および4の結果(表2を参照)については
図1で確認することができる。
【表2-2】
【0053】
比較例A、F、G、H、I、Dならびに実施例4、5、6および7の結果については
図2で確認することができる。
【表2-3】
【0054】
両方の図がリグノスルホナートとモラセスとの間の相乗効果を示している。灰色の破線のすべて(1つの構成成分のみを含むサンプル)は、直ちに上昇して固体含有量が100%になるが、黒の実線のすべて(リグノスルホナートおよびモラセスの混合物を含むサンプル)は、すべての灰色の破線よりも下に留まっている。
【0055】
本発明による組成物が−29℃程度の低い温度で固体にならないという事実には、冬のような気象条件による道路表面の破損が減るという利点がある。結局のところ、本明細書で説明されるように、前記破損は、道路の多孔性構造内部の水性組成物の凍結および融解が繰り返されることにより、そうして作り出された機械的応力によってポットホールが生じるために、引き起こされる。
【0056】
実施例2:霜によるアスファルトの破損の測定
各方向に2車線を有する幹線道路を選択した。両方向のアスファルトの質および交通量は非常に類似しており、気象条件は同一であった。両方向は物理的に分離されており、上記の方法により除氷された。このように、参照組成物および凍結防止組成物を独立に適用し分析した。両側で破損の進展を定量化した:クラックをメートルで測定し、ラベリングを面積パーセントとして表した。この分析を各100mの区間について行った。冬の間のラベリングおよびクラックの進展を表3および4に記す。
項目 詳細
組成物 散布:50重量% 固体NaCl+50重量% ブライン(22重量% NaCl+0.3重量%
LI+0.3重量% RM)。添加剤含有量を乾燥質量で表す。
参照 散布:50重量% 固体NaCl+50重量% ブライン(22重量% NaCl)
期間 冬の1シーズン(12月〜3月)
場所 デンマーク、幹線道路、両方向2車線
アスファルト 緻密なアスファルトコンクリート、既存のラベリングおよびクラックが
いくつもある、10年前のもの。
凍結防止 冬の間にわたって86回の凍結防止の活動を行った
天候 概ね−5〜+5℃の間の温度、ある程度の冬季の降水がある。
区間 51の参照区間および好ましい凍結防止組成物を適用した49区間。
各々の長さは100mで測定。
分析 オランダCROW規格に従い詳細な目視検査によりラベリングおよびクラック
を分析する(CROW出版物146a、2005)。
ラベリング ラベリングを面積割合およびカテゴリー(ゼロ(0)、軽度(L)、中程度(M)及
び重度(S))で定量化する。これらのカテゴリーは上記CROW規格の一部であ
る。
【表3】
【0057】
表3はラベリングの点で劣化した道路表面積の割合を示す。発生する変化は、ラベリングなしから軽度のラベリングへの変化(0−Lと示される、列1)、軽度のラベリングから中程度のラベリングへの変化(L−Mと示される、列2)、ラベリングなしから中程度のラベリングへの変化(0−Mと示される、列3)であった。発生数(100m区間の数)を丸括弧で示す。全体では、15の参照100m区間がラベリングの増大に悩まされたのに対して、凍結防止組成物で処理された100m区間は1つしかラベリングの増大を示さなかった。表3に記載される合計は、凍結防止組成物がラベリングの進行をおよそ4分の1に低減することを示す。
【表4】
【0058】
上記の結果は、本発明による凍結防止組成物が、参照の凍結防止法と比較して霜による破損(ラベリングおよびクラック)を効果的に低減することを示す。
上記の開示によって提供される本願発明の具体例として、以下の発明が挙げられる。
[1] (i) 塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤、
(ii) リグニン誘導体、ならびに
(iii)モラセス
を含む、凍結防止組成物。
[2] 前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、[1]に記載の凍結防止組成物。
[3] 前記凍結防止組成物が、
前記凍結防止組成物の総重量に基づいて少なくとも5重量%の凍結防止剤を含む含水凍結防止組成物、
前記凍結防止組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量%の凍結防止剤を含む固体の凍結防止組成物、または
その飽和濃度を超える量で凍結防止剤を含むスラリー形態の凍結防止組成物
である、[1]または[2]に記載の凍結防止組成物。
[4] 前記リグニン誘導体が、10ppm〜10,000ppmの間の量で存在し、前記モラセスが、10ppm〜50,000ppmの間の量で存在する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
[5] 前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
[6] 前記凍結防止剤が塩化ナトリウムである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
[7] 前記リグニン誘導体がリグノスルホナートである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の凍結防止組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の凍結防止組成物を調製するための方法であって、リグニン誘導体およびモラセスを含む処理水溶液を、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤に噴霧するステップを含む、方法。
[9] 前記凍結防止剤が塩化ナトリウムであり、前記リグニン誘導体が、得られる凍結防止組成物中に10ppm〜10,000ppmの間の量で存在し、前記モラセスが、得られる凍結防止組成物中に10ppm〜50,000ppmの間の量で存在する、[8]に記載の方法。
[10] 前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、[8]〜[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11] 表面の凍結を防止するための方法であって、
(i) [1]〜[6]のいずれか1項に記載の凍結防止組成物を前記表面に散布するステップ、または
(ii) 塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される固体の凍結防止剤を、リグニン誘導体およびモラセスを含む処理水溶液と混合するステップならびにこのように得られた混合物を前記表面に散布するステップ、または
(iii)塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される5重量%から飽和濃度の間の固体の凍結防止剤、リグニン誘導体およびモラセスを含む水溶液を調製するステップならびに前記混合物を前記表面に施用するステップ、または
(iv) 塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される固体形態または含水形態の凍結防止剤を前記表面に散布するステップ、ならびに独立して固体形態または含水形態のリグニン誘導体およびモラセスを前記表面に散布するステップ
を含む、方法。
[12] 前記凍結防止剤が塩化ナトリウムである、[11]に記載の方法。
[13] 前記モラセスが、トウモロコシ(シロップ)由来のモラセス、テンサイ由来のモラセス、サトウキビ由来のモラセスおよびブドウ由来のモラセスからなる群から選択される、[11]または[12]に記載の方法。
[14] 前記表面が、非多孔質のアスファルト道路、アスファルト道路、多孔質のアスファルト道路、コンクリート道路、瀝青道路、レンガ道路、砂利道、敷石道路、未舗装道路および舗装道路からなる群から選択される、[11]〜[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15] 前記表面1m2当たりに1〜50gの間の凍結防止剤、0.01〜500mgの間のリグニン誘導体および0.01〜2500mgの間のモラセスが導入される、[11]〜[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16] [11]〜[15]のいずれか1項に記載の方法に使用するための用品キットであって、
成分(a)として塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む氷結防止組成物、ならびに
成分(b)として(i)0%からその飽和濃度の間の凍結防止剤、10ppmからその飽和濃度の間のリグノスルホナートおよび10ppmからその飽和濃度の間のモラセスを含む水溶液または(ii)リグニン誘導体およびモラセスを含む固体の成分のいずれか
を含む、用品キット。
[17] 成分(b)が、0%からその飽和濃度の間の前記凍結防止剤、10ppmからその飽和濃度の間の前記リグニン誘導体および10ppmから飽和濃度の間の前記モラセスを含む水溶液であり、成分(a)が前記用品キットの60〜99.99重量%を構成し、成分(b)が前記用品キットの0.01〜40重量%を構成する、[16]に記載の用品キット。
[18] 非多孔質のアスファルト道路、アスファルト道路、多孔質のアスファルト道路、コンクリート道路、瀝青道路、レンガ道路、砂利道、敷石道路、未舗装道路および舗装道路からなる群から好適に選択される表面の凍結防止における、塩化ナトリウム、酢酸カルシウムマグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムからなる群から選択される凍結防止剤を含む凍結防止組成物の効率を改善するための、リグニン誘導体およびモラセスの組み合わせの使用。
【0059】
上記の結果は、本発明による凍結防止組成物が、参照の凍結防止法と比較して霜による破損(ラベリングおよびクラック)を効果的に低減することを示す。