(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の口腔内清掃具を、その好ましい第1実施形態に基づき、図面を参照しながら説明する。
【0011】
第1実施形態の口腔内清掃具1A(以下、「口腔内清掃具1A」ともいう。)は、
図1,
図2に示すように、把持部12と先端部11とを備える口腔内清掃具であって、先端部11の少なくとも一部に発泡体20を備えている。口腔内清掃具1Aは、主に、舌の汚れを取る舌清掃具として使用される。ここで、各図中のY方向は、口腔内清掃具1Aの長手方向を示し、各図中のX方向は、Y方向に直交する方向であり、口腔内清掃具1Aの幅方向を示し、各図中のZ方向は、Y方向及びX方向に直交する方向であり、口腔内清掃具1Aの上下方向を示している。以下、具体的に、口腔内清掃具1Aについて説明する。
【0012】
口腔内清掃具1Aは、
図1に示すように、Y方向に延びる合成樹脂からなる本体10を備えており、本体10は、先端部11、使用時に手で把持する把持部12を備える。本体10の先端部11は、
図1,
図2に示すように、円形の板状に形成されており、Z方向の上方側の平坦な一方の面11aと、下方側の平坦な他方の面11bとを有している。尚、先端部11の形状は、円形に限定されず、一方の面11aを有していれば、一方の面11aの外周形状が、楕円形、カプセル形、矩形等の多角形等でもよいし、板状でなくてもよいが、先端部11の一方の面11aは、発泡体20を強固に固定できる観点から、口腔内清掃具1Aのように、平坦な面を備えることが好ましい。口腔内清掃具1Aにおいては、先端部11の一方の面11aの表面積は、10〜500mm
2であることが好ましく、先端部11の厚みt1(
図3参照)は、Z方向の厚みであり、1〜5mmであることが好ましい。
【0013】
本体10を構成する、先端部11及び把持部12は、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPCTA(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート・イソフタレート)等のポリエステル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の合成樹脂により形成されている。
【0014】
口腔内清掃具1Aは、
図1,
図2に示すように、本体10の先端部11と発泡体20とによって構成された清掃部2を備えている。発泡体20は、先端部11の一方の面11aを覆い固定された板状の基台部21と、基台部21上に一体的に形成された凹凸部22とを備えている。ここで「一体的」とは、基台部21と凹凸部22とが連続しており、一体成形されていることを意味する。発泡体20の基台部21は、先端部11の一方の面11aの少なくとも一部を覆うものであれば良いが、
図2,
図3に示すように、先端部11の一方の面11aの全面を覆うものが好ましい。基台部21の外周の形状は、
図2,
図3に示すように、先端部11の形状に対応するように円形に形成されている。このように、基台部21の形状は、先端部11の形状に対応して形成されるものが好ましい。また、基台部21は、板状であれば湾曲面を備えるものであってもよく、全体が湾曲していてもよいが、平板状であることが好ましい。
【0015】
発泡体20の基台部21は、接着剤等の固定手段を用いて、先端部11の一方の面11aに固定されているが、先端部11の一方の面11a上に嵌合用凹部を設け、嵌合用凹部と発泡体20の基台部21とを嵌合させても良いし、嵌合用凹部において発泡体20を発泡成形することによって一体化させてもよい。このように発泡成形によって、先端部11の一方の面11a上に基台部21とその基台部21上の凹凸部22からなる発泡体20を一体化させることにより、清掃部2のZ方向の厚みを極力抑えることができ、口腔内に導入し易い。
【0016】
発泡体20の基台部21は、先端部11の一方の面11aからの厚みt2(
図3参照)の平均が、0.5〜5mmであり、舌清掃具として使用される口腔内清掃具1Aにおいては嘔吐反射を抑制する観点から、0.5〜3mmであることが好ましく、0.5〜1mmであることが更に好ましい。
【0017】
発泡体20の凹凸部22は、
図2,
図3に示すように、基台部21上に一体的に形成され、Z方向の上方向かって隆起する略均一な厚み(Y方向の厚み)(
図3参照)の複数の凸部221と、隣り合う凸部221同士の間の凹部222とからなる。凸部221は、
図2,
図3に示すように、基台部21のX方向の両端間に亘って連続して延びており、リブ形をなし、Y方向に略同じ間隔(
図3参照)を空けて複数形成されている。尚、凸部221の形状は、前記形状に特に限定されず、Z方向に隆起していれば、略均一な厚みでなくてもよい。また、Z方向の上方に向かって漸次その厚みが薄くなってもよい。また、凸部221の形状は、前記形状に特に限定されず、X方向に平行に延びてなくてもよく、くの字に延びているものでもよいし、又は複数の円柱形、又は角柱形の突部であってもよい。また、隣り合う凸部221同士の間隔は、Y方向に略同じ間隔であるが、同じ間隔でなくてもよい。
【0018】
凹凸部22を構成する凸部221は、基台部21に隣接する基部における厚みt3の平均(複数の凸部221のY方向の厚みの平均)(
図3参照)が0.2〜2mmであることが好ましく、舌清掃具として使用される口腔内清掃具1Aにおいては、清掃効率と突起の耐久性の観点から、0.5〜1mmであることが更に好ましい。
また、凸部221は、基台部21からの高さh1(基台部21の表面からのZ方向の長さ)(
図3参照)が0.5〜8mmであることが好ましく、舌清掃具として使用される口腔内清掃具1Aにおいては、清掃効率と柔らかな使用感を両立させる観点から、1〜5mmであることが更に好ましい。
基台部21の厚みt2の平均に対する凸部221の高さh1の比率(h1/t2)は、舌清掃具として使用される口腔内清掃具1Aにおいては、先端部にしっかりと固定すること及び使用時の嘔吐反射を抑制する観点から、0.3〜10であることが好ましく、1.5〜6であることが更に好ましい。
また、隣り合う凸部221どうしの凸部221の基部における間隔d1(
図3参照)の平均は、0.3〜2mmであることが好ましく、舌清掃具として使用される口腔内清掃具1Aにおいては、清掃効率と柔らかな使い心地を両立させる観点から、0.5〜1mmであることが更に好ましい。
【0019】
発泡体20の基台部21及び凹凸部22は樹脂を発泡成形して得られ、発泡体の気泡タイプとしては、独立気泡タイプ及び連続気泡タイプのいずれも用いることができる。ここで、独立気泡タイプとは、各々の気泡が独立した気泡壁を有するタイプを意味し、連続気泡タイプとは、各々の気泡が連通しているタイプを意味する。より柔らかな感触にできるとともに薬剤を含浸することができる観点から、連続気泡タイプであることが好ましい。
【0020】
発泡体20の構成樹脂としては、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、極性基を導入したポリエチレン等のオレフィン樹脂、アクリル酸エチル等のポリアクリル酸又はポリメタクリル酸系樹脂、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリスチレン系エラストマー等のエラストマー、架橋シリコーンゴム等を使用することができる。なお、発泡体20の構成樹脂は、先端部11、把持部12の構成樹脂に応じて選択することが好ましく、例えば、先端部11と把持部12の構成樹脂がポリプロピレンの場合には、発泡体20の構成樹脂はEVAが好ましく、先端部11と把持部12の構成樹脂がPTCAの場合には、発泡体20の構成樹脂はナイロンエラストマーが好ましい。
【0021】
発泡体20の構成樹脂は、柔らかくて使い心地の良い発泡体20を得る観点から、JIS K 6253に準ずるJIS−A硬度の測定値が40〜100であることが好ましい。JIS−A硬度の測定値は、発泡体20の表面のべたつきを防止し、使い心地の観点、成時の金型からの離型の観点から40以上が好ましく、発泡体20が硬くなりすぎることを防止する観点から硬度が100以下であることが好ましい。
【0022】
本発明においては、発泡体20は、気泡の平均セル面積が400〜70000μm
2であり、舌清掃具として使用される口腔内清掃具1Aにおいては、発泡体20が硬くなることを防止し使い心地の向上と耐久性の観点から1900〜40000μm
2であることが好ましく、3000〜25000μm
2であることが更に好ましい。発泡体20は、未発泡部分が少ないことが好ましく、発泡体20の平均セル密度は、1400〜140000個/cm
2の範囲が好ましく、さらに2000〜100000個/cm
2の範囲が好ましく、特に4000〜50000個/cm
2の範囲が好ましい。尚、平均セル面積、平均セル密度は、以下の方法により測定する。
【0023】
<平均セル面積の測定法>
セル面積の測定は、走査型電子顕微鏡(リアルサーフェイス顕微鏡 商品名VE7800;(株)キーエンス製)を用いて測定する。
図2に示す発泡体20を、Y方向にカッターで切断し、走査型電子顕微鏡を用いて、
図4に示すように、基台部21又は凹凸部22の部分の拡大写真を撮影する。そして、この拡大写真から、10個の気泡(セル)を選択し、画像処理ソフト(商品名ウィンルーフ バージョン5.6.2 三谷商事製)を用いて、それぞれの気泡における面積を測定する。それらの結果から各気泡の平均面積を算出し、平均セル面積とする。
【0024】
<平均セル密度の測定法>
平均セル密度も、平均セル面積の測定同様、走査型電子顕微鏡を用いて測定する。基台部21又は凹凸部22の切断面10000μm
2当たりに、気泡が何個含まれているのかを10箇所、目視にて測定し、平均値を求める。この平均値を1cm
2当たりに換算した値を平均セル密度とする。
【0025】
本発明においては、発泡体は、スキン層の平均厚みが100μm以下である。上述したセル面積の範囲とすることに加えて、スキン層の厚みを小さくすることによって、舌の汚れ除去性能が高く、柔らかくて使い心地の良い発泡体20(基台部21及び凹凸部22)を得ることができる。ここで、スキン層とは、実質的に気泡を含まない部分を意味し、気泡があったとしても、そのセル面積が400μm
2よりも小さい気泡を含む領域のことを意味する。言い換えれば、発泡体20の表面から、セル面積が400μm
2以上の気泡が現れるまでの厚みを意味する。スキン層の平均厚みは、上記観点から、0〜100μmであることが好ましく、0〜50μmであることが特に好ましい。また、発泡体20の切断面を含まない表面のスキン層の平均厚みは、1〜80μmであることが好ましく、さらに1〜50μmであることが好ましい。尚、スキン層の平均厚みは、以下の方法により測定する。
【0026】
<スキン層の平均厚みの測定法>
スキン層の平均厚みも、上述した平均セル面積の測定同様、走査型電子顕微鏡を用いて測定する。発泡体20の切断面における基台部21又は凹凸部22の部分の切断面の拡大写真を撮影し、この拡大写真から、スキン層の厚みを10箇所測定し、測定値の平均をスキン層の平均厚みとする。
【0027】
第1実施形態の口腔内清掃具1Aを使用した際の作用効果について説明する。
口腔内清掃具1Aは、
図1〜
図3に示すように、先端部11の少なくとも一部に発泡体20を有し、発泡体20は先端部11の一方の面11aを覆い固定された板状の基台部21と、基台部21上に一体的に形成された凹凸部22とを有し、発泡体20と先端部11によって清掃部2を構成する。このように、先端部11の一方の面11aに基台部21を介して凹凸部22が配されているため、発泡体20を先端部11に強固に固定することができる。従って、口腔内清掃具1Aは、清掃時に清掃部2の発泡体20によって舌の汚れを強く掻き取ることができ、良好な清掃性が得られる。また、このように強く舌の汚れを掻き取っても、口腔内清掃具1Aは、発泡体20が所定の厚みのある基台部21を備えているため、クッション性がよく、所定の発泡特性(スキン層の平均厚み、平均セル面積400〜70000μm
2)を有する基台部21及び凹凸部22を備えているため、舌を傷つけ難い。
【0028】
以下、本発明の口腔内清掃具1Aを製造する方法について説明する。
先ず、口腔内清掃具1Aの発泡体20を製造する方法について説明する。基台部21及び凹凸部22を備える発泡体20は、化学発泡法及び物理発泡法により製造することができる。
化学発泡法としては、熱硬化性樹脂中に、加熱分解とともにガスを発生させる化合物を混合し、熱硬化性樹脂を加熱硬化させて発泡体を得る方法を用いることができる。使用する熱硬化性樹脂としては、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系のものを用いることができ、これらの中でシリコーン系のものが安全性に優れ口腔内の使用に適していることから好ましい。また、熱硬化性樹脂中に水溶性粒子を混合したものを加熱成形し、熱硬化性樹脂を硬化させた後、水溶性粒子を水に溶解させることにより発泡体を得る方法も用いることができる。具体的な水溶性粒子としては、砂糖、マルチトール、エリスリトールなどの糖類、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの塩類を用いることができる。これ以外の化学発泡法としては、樹脂中に、水や酸と反応することによりガスを発生させる化合物を混合して発泡体を得る方法も用いることができる。
【0029】
物理発泡法としては、ペンタン、二酸化炭素や窒素の超臨界流体を樹脂に接触させて含浸させた後に加熱ガス化又は減圧ガス化することにより発泡体を得る方法を用いることができる。化学発泡法及び物理発泡法の中でも超臨界流体を用いた物理発泡法は、口腔内清掃具1Aの発泡体20の基台部21及び凹凸部22に適した微細な気泡を得ることができるとともに人体に対して安全である窒素や二酸化炭素を発泡剤として使用できるので好ましい。超臨界流体を用いた物理発泡法には、バッチ法と連続法とがある。バッチ法とは、圧力容器(圧力室)内に樹脂を仕込んだ後、二酸化炭素や窒素を密閉状態の圧力容器に導入し、二酸化炭素や窒素を臨界点以上の超臨界流体とし、所定時間の間この超臨界流体を樹脂に含浸(拡散浸透)させた後、常圧まで減圧させて超臨界流体がガスになる際の体積膨張を利用して発泡体を得る方法である。連続法とは、射出成形機や押出機のシリンダー部において、溶融混錬されている樹脂中に二酸化炭素や窒素の超臨界流体を導入した後、金型内に射出成形又はダイを通して大気中に押出すことにより発泡体を得る方法である。
本発明の口腔内清掃具1Aの発泡体20の備える基台部21及び凹凸部22は、以上に述べた何れの方法を用いても製造することができるが、発泡体20のための発泡前の成形用樹脂を収容する圧力室内において、成形用樹脂を超臨界流体に接触させる工程と、その後に圧力室内を減圧させる工程とを備え、圧力室内を減圧させる工程が、第1減圧工程及び第1減圧工程より後の第2減圧工程を有し、第2減圧工程の減圧スピードが、第1減圧工程の減圧スピードよりも遅い製造方法が好ましい。以下に、超臨界流体用原料として二酸化炭素を用いた物理発泡法であるバッチ法によって発泡体20の基台部21及び凹凸部22を製造する方法を、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図5は、発泡体20の備える基台部21及び凹凸部22の製造に用いられている装置の一例の概略図を示す。装置は、減圧バルブを備えた圧力室100と、圧力室100に超臨界流体用原料である二酸化炭素を供給する、又はこの二酸化炭素の超臨界流体である超臨界二酸化炭素を供給する超臨界流体供給部200とを備えている。以下、
図5に示す装置を用いた基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20の製造方法について具体的に説明する。
【0031】
発泡体20の構成樹脂としては、上述した材料を用いることができる。例えば、ペレット、シート、又はその他の所定形状に加工した発泡体20のための成形用樹脂を
図5に示す圧力室100内に収容する。具体的には、加工された成形用樹脂を、予め金属製容器に収容し、その金属製容器を、圧力室100内に収容する。
【0032】
成形用樹脂を収容する金属製容器300は、
図6に示すように、矩形状の2枚の金属板310,320からなり、金属板310には、成形用樹脂を収容する金型凹部330が形成されている。金属板310,320の形状は、
図2,
図3に示すような基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成される。例えば、
図6には、
図2,
図3に示す基台部21の形状に応じて形成された金型凹部330を備えた金属板310(
図6(a),
図6(b)参照)及び、
図2,
図3に示す凹凸部22の形状に応じて形成された金型凹部330を備えた金属板320(
図6(c),
図6(d)参照)を示している。金型凹部330に成形用樹脂を収容した後、金属板310及び金属板320の四隅をボルトとナットによりボルト締めすることにより一体化し、一体化した金属製容器300を、圧力室100の内部にセットする。尚、金属板320及び金属板310の金型凹部330表面は、発泡後の発泡体の取り出しやすさの観点からテフロン(登録商標)コーティングされていることが好ましい。
【0033】
成形用樹脂を超臨界流体に接触させる工程は、成形用樹脂を収容した金属製容器300を収容した圧力室100を、
図5に示すように、圧力室100の外周に設けられたヒーター110によって加熱しながら、圧力室100の内部に、二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素を流体供給部200から供給する工程を備える。
【0034】
超臨界流体用原料である二酸化炭素は、
図5に示すように、ボンベ210に収容されており、ボンベ210の供給バルブを開いて、冷却器220に供給される。冷却器220により冷却され液化した二酸化炭素を、
図5に示すように、プランジャーポンプ230を用いて圧力室100内に供給する。液化された二酸化炭素は、圧力室100内に供給される前に、
図5に示す加熱器240により加熱されながら圧力室100内に供給される。
【0035】
超臨界流体用原料として二酸化炭素を用いた場合の冷却器220の冷却温度としては、−10℃〜30℃であることが好ましく、−5℃〜5℃であることが更に好ましい。
【0036】
二酸化炭素を冷却器220によって冷却する場合は、プランジャーポンプ230と圧力室100との間に加熱器240を設けることが好ましい。超臨界流体用原料として二酸化炭素を用いた場合の加熱器240の加熱温度としては、臨界温度Tc以上であることが好ましく、発泡体20の構成樹脂が結晶性の場合には、融点近傍がさらに好ましく(例えば融点±20℃、好ましくは±10℃)、非晶性の場合には、ガラス転移温度以上であることがさらに好ましい。
【0037】
成形用樹脂を超臨界流体に接触させる工程では、さらに、成形用樹脂及び二酸化炭素、又は成形用樹脂及び超臨界二酸化炭素が供給された圧力室100の内部を、ヒーター110によって加熱しながら、プランジャーポンプ230によって、二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素を圧力室100内に供給し続け、圧力室100内の圧力を上げ、圧力室100の内部を超臨界二酸化炭素の臨界温度Tc以上とし、さらに超臨界二酸化炭素の臨界圧力Pc以上とする工程を備える。
【0038】
圧力室100の内部温度としては、超臨界二酸化炭素の臨界温度Tc以上であって、さらに、上記成形用樹脂の構成樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ナイロンエラストマー等の結晶性樹脂である場合には、その樹脂の融点近傍の温度が好ましく、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ポリメタクリル酸、ポリウレタンエラストマー等の非結晶性樹脂である場合には、その樹脂のガラス転移温度以上の温度が好ましい。また、EVAのように結晶性樹脂の部分(ポリエチレンの部分)と非結晶性樹脂の部分(ポリ酢酸ビニルの部分)とを持つ共重合体である場合には、非結晶性樹脂のガラス転移温度から結晶性樹脂の融点付近までの温度範囲が好ましい。このように圧力室100の内部温度を設定することにより、未発泡の樹脂部分が発生し難く、発泡体20が硬くなり難い。
【0039】
圧力室100の内部圧力としては、超臨界二酸化炭素の臨界圧力Pc以上であって、さらに、気泡サイズの適正化の観点から、12MPaより高圧が好ましく、19MPaより高圧がさらに好ましく、20MPa以上が特に好ましい。内部圧力の上限は、設備製造の容易さの観点から、50MPa以下であることが好ましい。
【0040】
成形用樹脂を超臨界流体に接触させる工程では、圧力室100内の圧力が臨界圧力Pcを超えて十分に上昇したら、流体供給部200の供給バルブを閉めて、プランジャーポンプ230からの二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素の供給を停止し、圧力室100内を一定の圧力と温度に保つことにより、成形用樹脂を超臨界二酸化炭素に接触させて、超臨界流体を成形用樹脂に拡散浸透(含浸)させる工程を備える。
【0041】
超臨界二酸化炭素を含浸させる時間としては、発泡に必要な量の超臨界二酸化炭素が成形用樹脂に溶解する時間であれば良く、0.5時間(hr)〜3時間(hr)であることが好ましい。超臨界二酸化炭素は、気体のような高い拡散浸透性と低い粘度を有し、特に、液体に近い密度を持つ。このような性質によって、圧力室100内においては、超臨界二酸化炭素が成形用樹脂に拡散浸透し、成形用樹脂内部に均一に分散する。
【0042】
超臨界二酸化炭素を十分に樹脂に拡散浸透させた後、圧力室100内を減圧させる工程を備える。具体的には、圧力室100に設けられた減圧バルブ120を開いて減圧する。基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を得る製造方法は、第1減圧工程と、該第1減圧工程の後に減圧する第2減圧工程とを有しており、前記第2減圧工程の減圧スピードが、前記第1減圧工程の減圧スピードよりも遅いことが好ましい。
【0043】
先ず、第1減圧工程について詳述する。
第1減圧工程の減圧スピードは、50〜1000MPa/分であることが好ましく、100〜800MPa/分であることがさらに好ましい。減圧スピードが50MPa/分より速ければ、発泡体20の気泡サイズが小さく、セル密度が大きくなるので好ましく、減圧スピードが1000MPa/分より遅ければ、他の吸引装置が必要とならず、圧力室100の減圧バルブ120を開放するだけで対応できるので、設備費を低く抑えられるので好ましい。
【0044】
第1減圧工程は、超臨界二酸化炭素の臨界点以上の圧力及び温度の領域にあることが好ましい。即ち、第1減圧工程は、セル密度を大きくするという観点から、第1減圧工程終了時も、圧力室100内の圧力が超臨界二酸化炭素の臨界圧力Pc以上であって、圧力室100内の温度が超臨界二酸化炭素の臨界温度Tc以上であることが好ましい。
【0045】
第1減圧工程終了時の圧力室100の内部の圧力は、超臨界二酸化炭素の臨界圧力Pc以上であることが好ましく、さらに、発泡体20の内部に大きな気泡のかたまりが発生し難く、セル密度が高くなりやすい大きくなり難いとの観点から、19MPa〜11MPaであることが好ましく、18MPa〜12MPaであることがさらに好ましい。また、第1減圧工程における減圧前後の圧力差は、5〜15MPaであることが好ましい。
【0046】
第1減圧工程による圧力室100の減圧後、第2減圧工程により圧力室100の内部の圧力をさらに減圧する。第1減圧工程終了時から、減圧開始までの時間は、0秒(sec)〜2秒(sec)であることが好ましい。中断を2秒以内とすることにより大きな気泡たまりがなくなるので好ましい。
【0047】
次に、第2減圧工程について詳述する。
第2減圧工程の減圧スピードは、0.1〜10MPa/分であることが好ましく、3〜7MPa/分であることがさらに好ましい。減圧スピードが0.1MPa/分より速ければ、生産性が低下することがなく、10MPa/分より遅ければ、圧力室100の内部表面にドライアイスが発生し難いので好ましい。
【0048】
第2減圧工程は、超臨界二酸化炭素の臨界圧力Pcより低い圧力まで減圧することが好ましい。即ち、気泡成長は臨界圧力より低い圧力において行われる。この時の減圧速度を遅くすることにより気泡サイズが小さくなりすぎることなく柔らかな発泡体20となるという観点から、第2減圧工程終了時に、圧力室100内の圧力が、臨界圧力Pcより低いことが好ましい。
【0049】
第2減圧工程終了時の圧力室100の内部の圧力は、超臨界二酸化炭素の臨界圧力Pc(7.13MPa)より低いことが好ましく、超臨界二酸化炭素では7MPa以下であることが好ましく、さらに、製造工程の簡素化の観点から、常圧であることが好ましい。圧力室100内の圧力が3MPa以下であれば第2減圧工程の後に10MPa/分より早い速度で減圧を行っても良い。
【0050】
第2減圧工程終了時の圧力室100の内部の温度は、超臨界二酸化炭素の臨界温度Tc(32℃)以上であることが好ましく、さらに、気泡成長を促進するという観点から、超臨界二酸化炭素を成形用樹脂に含浸させる温度より30℃以内の範囲で低いことが好ましい。
【0051】
第2減圧工程による減圧後に、圧力室100内の圧力を常圧とした後、圧力室100から取り出すことにより、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を製造することができる。また、金属製容器300を用いた場合には、圧力室100から金属製容器300を取り出し、ボルトとナットをゆるめて、金型凹部330から取り出すことにより、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を製造することができる。
【0052】
上述のようにして製造された基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を、予め公知の方法で製造した本体10に取り付ける。具体的には、上述のようにして製造された発泡体20を、本体10の備える円形状に形成された先端部11の形状と同一形状にカットし、カットした発泡体20の基台部21を先端部11の一方の面11aに接着剤等を用いて固定することができる。これにより、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20と先端部11を有する清掃部2を本体10に備える口腔内清掃具1Aを製造することができる。接着剤としては、従来から樹脂の接着に用いられる種々の樹脂接着剤を利用でき、例えば、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂またはエチレンビニル酢酸系樹脂などが利用でき、これらを単独で使用したり、混ぜ合わせて使用することができる。
【0053】
尚、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を、先端部11の一方の面11a上で発泡成形して一体化させることが可能である。例えば、金属板310の金型凹部330の形状を、
図2に示すような本体部10の先端部11の形状に応じて形成し、金属板320の金型凹部330の形状を、
図2,
図3に示すような基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成する。そして、所定の形状に形成された先端部11を備える本体10を準備し、先端部11の一方の面11a上に成形用樹脂を配し、成形用樹脂を、金型凹部330を有する金属板320で覆い、成形用樹脂を配した先端部11を、金属板310及び金属板320の四隅をボルトとナットによりボルト締めすることにより固定し、先端部11の固定された金属製容器300を、圧力室100の内部に収容する。
以降は、上述した製造する方法と同様の工程を経た後、圧力室100から先端部11の固定された金属製容器300を取り出し、ボルトとナットをゆるめて、金型凹部330から取り出すことにより、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20が、先端部11の一方の面11a上に発泡成形により一体化された口腔内清掃具1Aを製造することができる。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態の口腔内清掃具について、
図7〜
図9に基づいて説明する。
第2実施形態の口腔内清掃具1B(以下、「口腔内清掃具1B」ともいう)については、第1実施形態の口腔内清掃具1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、口腔内清掃具1Aと同様であり、口腔内清掃具1Aの説明が適宜適用される。また、
図7〜
図9において、
図1〜
図3と同じ部分には同じ符号を付してある。
【0055】
口腔内清掃具1Bは、
図7〜
図9に示すように、合成樹脂からなる本体10が、先端部11、使用時に手で把持する把持部12、及び把持部12と先端部11の間の首部13とを備える。首部13は、把持部12よりも細くなっている。口腔内清掃具1Bは先端部11と先端部11に配されたブリスル23と発泡体20とから構成された清掃部2を備えている。口腔内清掃具1Bは、ブリッスル23により歯を磨く歯ブラシとして使用されるとともに、発泡体20により舌の汚れを取る舌清掃具として使用される。口腔内清掃具1Bは、先端部11の外形が略矩形状に形成されており、発泡体20の板状の基台部21も、先端部11の形状に対応するように略矩形状に形成されている。口腔内清掃具1Bの清掃部2は、先端部11の一方の面11a側に基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を備え、先端部11の他方の面11b側に突出する複数のブリッスル23を備えている。ブリッスル23は、ナイロン、ナイロン6等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン等の合成樹脂からなり、例えば、5〜15milの太さを有するフィラメント材からなり、ブリッスル23を複数本束ねてなる毛束(タフト)が形成される。
【0056】
口腔内清掃具1Bにおいては、ブリッスル23は、融着植毛による融着部24にて先端部11に固定されており、融着部24は、先端部11の一方の面11a側の嵌合用凹部の底面に形成されている。詳述すると、
図9に示すように、口腔内清掃具1Bの本体10の先端部11には、複数の植毛穴15が所定の位置に形成されており、毛束(タフト)を形成する各ブリッスル23の一端を、好ましくは一方の面11aの側から先端部11の植毛穴15から挿入し、先端部11の一方の面11aから突出するブリッスル23の他端を溶融して融着部24を形成し、各ブリッスル23を先端部11に固定している。そのため、各ブリッスル23の一端側が先端部11の他方の面11b側から突出している。このように先端部11の一方の面11a側に融着部24は形成されており、口腔内清掃具1Bの基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20は、
図9に示すように、融着部24が形成された嵌合用凹部内に発泡成形して一体化されている。即ち、口腔内清掃具1Bの発泡体20は、接着剤等の固定手段を用いずに、融着部24が形成された嵌合用凹部に発泡成形された発泡体20が一体化されている。なお、基台部21の天面は、嵌合用凹部の天面と面一であっても良いが、凹凸部22の柔軟性と耐久性の観点から、基台部21が嵌合用凹部の天面よりも突出していることが好ましい。
【0057】
口腔内清掃具1Bのブリッスル23の毛丈t4(先端部11の他方の面11b側からの長さ)(
図9参照)は、略均一であり、5〜15mmであることが好ましい。尚、ブリッスル23の毛丈t4は、口腔内清掃具1Bにおいては、略均一であるが、略均一でなくてもよい。
ブリッスル23の毛丈t4に対する凸部221の高さh1の比率(h1/t4)は、歯を磨く歯ブラシとして使用されるとともに、舌の汚れを取る舌清掃具としても使用される観点及び口腔内の取り扱いやすさの観点から、1.5〜20であることが好ましく、5〜12であることが更に好ましい。
基台部の平均厚みt2に対する凸部の高さh1の比率(h1/t2)は、凸部による清掃性と良好な感触の観点、及び先端部にしっかりと固定する観点から、0.3〜10であることが好ましく、0.3〜6であることが更に好ましい。
【0058】
第2実施形態の口腔内清掃具1Bの形成材料について説明する。第2実施形態の口腔内清掃具1Bについては、ブリッスル23以外、第1実施形態の口腔内清掃具1Aの形成材料と同様であり、口腔内清掃具1Aの形成材料が適宜適用される。
【0059】
第2実施形態の口腔内清掃具1Bを使用した際の作用効果について説明する。
第2実施形態の口腔内清掃具1Bの効果については、第1実施形態の口腔内清掃具1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、口腔内清掃具1Aの効果と同様であり、口腔内清掃具1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0060】
第2実施形態の口腔内清掃具1Bにおいては、板状の基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20が、
図9に示すように、先端部11の融着部24を底部に備える嵌合用凹部において発泡成形することにより一体化して形成されている。そのため、清掃部2のZ方向の厚みを極力抑えることができ、口腔内に導入し易い。
【0061】
また、第2実施形態の口腔内清掃具1Bにおいては、
図8に示すように、清掃部2が、先端部11の一方の面11a側に基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を備え、他方の面11b側にブリッスル23を備えているので、歯ブラシとして使用できるとともに、舌清掃具としても使用することができる。
【0062】
以下、本発明の口腔内清掃具1Bを製造する方法について説明する。
第2実施形態の口腔内清掃具1Bは、第1実施形態の口腔内清掃具1Aを製造する方法と同様に、
図5に示す装置を用いて製造することができる。口腔内清掃具1Bを製造する方法については、口腔内清掃具1Aを製造する方法と異なる点について説明する。特に説明しない点は、口腔内清掃具1Aの製造方法と同様であり、口腔内清掃具1Aの製造方法説明が適宜適用される。
【0063】
先ず、先端部11の他方の面11b側から突出する複数のブリッスル23を備えた清掃部2を有する口腔内清掃具を製造する。具体的には、このような構成を備える清掃部2は、例えば、
図10(a)〜(c)に示す製造工程に従って、容易に形成することができる。
図10(a)〜(c)に示す製造工程は、本体10の先端部11を保持治具4上にセットするセット工程(
図10(a)参照)と、各ブリッスル23の一端を先端部11一方の面11a側に形成された嵌合用凹部から植毛穴15に挿入配置する植毛工程(
図10(b)参照)と、先端部11の一方の面11a側から突出するブリッスル23の他端を溶融して固定する溶融工程(
図10(c)参照)とを含んでいる。以下、具体的に説明する。
【0064】
先ず、複数の植毛穴15が所定の位置に形成された先端部11を備える本体10を準備する。
【0065】
次いで、植毛工程において、
図10(b)に示すように、各毛束(タフト)の一端を、合致した植毛穴15に一方の面11a側から各々挿入し、毛束(タフト)を構成するブリッスル23の他端を先端部11の一方の面11a側から上方に突出させた状態で配設する。
【0066】
次の溶融工程において、
図10(c)に示すように、好ましくはレーザーを用いて、先端部11の一方の面11a側から突出する毛束(タフト)を構成するブリッスル23の他端を溶融し、溶融による融着部24を一方の面11a側に形成することにより、ブリッスル23を先端部11に固定する。このように、ブリッスル23は、所謂、融着植毛により植毛することができる。
【0067】
上述のようにして形成されたブリッスル23を固定する融着部24が形成された嵌合用凹部内に、成形用樹脂を配した状態で、圧力室100内に収容し発泡処理を行う。以下、具体的に説明する。
【0068】
ブリッスル23を有する先端部11を固定する金属製容器300は、
図11に示すように、矩形状の2枚の金属板310,320からなり、金属板310は、先端部11の他方の面11b側から突出する複数のブリッスル23が折れ曲がらないように、先端部11の平面視した形状に略一致する貫通穴350を備えている(
図11(a),
図11(b)参照)。また、金属板320の対向面には、成形用樹脂を収容する金型凹部330が形成されており、
図11(c),
図11(d)に示すように、金属板320は、
図7〜
図9に示すような口腔内清掃具1Bの基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成された金型凹部330を備えている。
【0069】
成形用樹脂を融着部24が形成された嵌合用凹部に配置し、成形用樹脂を、金型凹部330を有する金属板320で覆い、成形用樹脂を配したブリッスル23を有する先端部11を、金属板310及び金属板320の四隅をボルトとナットによりボルト締めすることにより、
図12(a)に示すように、固定し、先端部11の固定された金属製容器300を、圧力室100の内部に収容する。
以降は、口腔内清掃具1Aを製造する方法と同様の工程を経た後、圧力室100から先端部11の固定された金属製容器300を取り出し(
図12(b)参照)、ボルトとナットをゆるめて、金型凹部330から取り出すことにより、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20が、底部に融着部24が形成された嵌合用凹部内で発泡成形することにより先端部11と一体化して形成され、先端部11と、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20と、複数のブリッスル23とから構成された清掃部2を本体10に備えた口腔内清掃具1Bを製造することができる(
図12(c)参照)。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態の口腔内清掃具について、
図13〜
図15に基づいて説明する。
第3実施形態の口腔内清掃具1C(以下、「口腔内清掃具1C」ともいう)については、第1実施形態の口腔内清掃具1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、口腔内清掃具1Aと同様であり、口腔内清掃具1Aの説明が適宜適用される。また、
図13〜
図15において、
図1〜
図3と同じ部分には同じ符号を付してある。
【0071】
口腔内清掃具1Cは、
図13〜
図15に示すように、合成樹脂からなる本体10の先端部11と発泡体20とから構成された清掃部2を備えている。口腔内清掃具1Cは、主に、歯を磨く歯ブラシとして使用され、歯茎のマッサージに使用されるとともに、舌の汚れを取る舌清掃具としても使用される。本体10の先端部11は、口腔内清掃具1Cにおいては、
図13〜
図15に示すように、Z方向に垂直な断面形状が略矩形に形成されており、発泡体20の板状の基台部21も、先端部11の形状に対応するように矩形状に形成されている。
【0072】
口腔内清掃具1Cの発泡体20の基台部21は、先端部11の一方の面11aからの平均厚みt5(
図15参照)は、0.5〜15mmが好ましい。口腔内清掃具1Cは、歯を磨く歯ブラシとして使用され、歯茎のマッサージに使用されるとともに、舌の汚れを取る舌清掃具としても使用する場合の口腔内の取り扱いやすさ、柔らかな感触及び突起部をしっかりと支持する観点から、1〜10mmであることが好ましく、3〜7mmであることが更に好ましい。
【0073】
口腔内清掃具1Cの発泡体20の凹凸部22は、
図13〜
図15に示すように、基台部21上に一体的に形成され、Z方向の上方向かって略均一に隆起する複数の円柱状の凸部221と、隣り合う円柱状の凸部221同士の間の凹部222とからなる。各凸部221は、口腔内清掃具1Cにおいては、
図14に示すように、Z方向から平面視して円状であり、Z方向に一直線状に延びる円柱状に形成されている。尚、凸部221の形状は、前記形状に特に限定されず、Z方向に延びていれば、断面視して、楕円形、十字形、長方形等の多角形等でもよく、Z方向に延びていれば、略均一でなくてもよい。
【0074】
口腔内清掃具1Cの発泡体20の凸部221は、好ましくは1〜6mmの中心間の間隔をおいて、X方向及びY方向に分散配置されている。凸部221の配置密度は、好ましくは30〜90%となっている。ここで、配置密度とは、最外周に配置される凸部221の外側縁部を結んで形成される環状線によって囲まれる領域の面積に対して、各凸部221の面積(Z方向から平面視した場合の面積)の総和の占める割合である。
【0075】
口腔内清掃具1Cの発泡体20の各凸部221の平均の直径(平均厚み)は、清掃効率と耐久性の観点から、0.5〜5mmであることが好ましく、0.7〜4mmであることが更に好ましい。尚、凸部221の直径は、凸部221の基台部21に隣接する基部における厚みである。
口腔内清掃具1Cの発泡体20の各凸部221の丈h2(基台部21の表面からのZ方向の長さ)(
図15参照)は、清掃効率(特に歯間部のように凹んだ部分)の観点から、1〜8mmであることが好ましく、3〜5mmであることが更に好ましい。
【0076】
口腔内清掃具1Cにおいては、発泡体20の基台部21の厚みt5の平均に対する発泡体20の凸部221の丈h2の割合(h2/t5)は、柔らかな感触と凸部を基台部21に支持する観点から、0.5〜12であることが好ましく、0.5〜6であることが更に好ましい。
【0077】
本発明においては、発泡体20は、気泡の平均セル面積が400〜70000μm
2であり、さらに1900〜40000μm
2であることが好ましく、特に3000〜25000μm
2であることが好ましい。発泡体の平均セル密度としては、口腔内清掃具1Cにおいては1400〜140000個/cm
2の範囲が好ましく、さらに2000〜100000個/cm
2の範囲が好ましく、特に4000〜50000個/cm
2の範囲が好ましい。尚、平均セル面積、平均セル密度は、上述した方法により測定する。
【0078】
本発明においては、発泡体20は、スキン層の平均厚みが100μm以下である。上述したセル面積に加えスキン層の厚みを小さくすることによって、歯や舌の汚れ除去性能とマッサージ性を高め、柔らかくて使い心地の良い基台部21及び凹凸部22を得ることができる。スキン層の平均厚みは、上記観点から、口腔内清掃具1Cにおいては、0〜100μmであることが好ましく、0〜70μmであることが特に好ましく、切断面以外の表面のスキン層の平均厚みは1〜80μmが好ましく、さらに1〜50μmが好ましい。尚、スキン層の平均厚みは、上述した方法により測定する。
【0079】
第3実施形態の口腔内清掃具1Cの形成材料について説明する。第3実施形態の口腔内清掃具1Cについては、第1実施形態の口腔内清掃具1Aの形成材料と同様であり、口腔内清掃具1Aの形成材料が適宜適用される。
【0080】
第3実施形態の口腔内清掃具1Cを使用した際の作用効果について説明する。
第3実施形態の口腔内清掃具1Cの効果については、第1実施形態の口腔内清掃具1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、口腔内清掃具1Aの効果と同様であり、口腔内清掃具1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0081】
第3実施形態の口腔内清掃具1Cにおいては、発泡体20が、所定の厚みt5を有する板状の基台部21と所定の丈h2を有する複数の円柱状の凸部221とを備えており、所定の発泡特性(スキン層の平均厚み、平均セル面積400〜70000μm
2)を有する基台部21及び凸部221(凹凸部22)を備えているため、舌や歯茎の表面を傷つけ難いとともに、良好なマッサージ効果が得られる。
【0082】
以下、本発明の口腔内清掃具1Cを製造する方法について説明する。
第3実施形態の口腔内清掃具1Cは、第1実施形態の口腔内清掃具1Aを製造する方法と同様に、
図5に示す装置を用いて製造することができる。口腔内清掃具1Cを製造する方法については、口腔内清掃具1Aを製造する方法と異なる点について説明する。特に説明しない点は、口腔内清掃具1Aの製造方法と同様であり、口腔内清掃具1Aの製造方法説明が適宜適用される。
【0083】
図5に示す装置を用いた基台部21及び凹凸部22の製造方法について具体的に説明すると、加工された成形用樹脂を、予め
図16に示す金属製容器301に収容し、その金属製容器301を、圧力室100内にセットする。
成形用樹脂を収容する金属製容器301は、
図16に示すように、矩形状の3枚の金属板311,321,331からなり、金属板331には、成形用樹脂を収容する金型凹部330が形成されている。金属板331の金型凹部330の形状は、
図13,
図14に示すような口腔内清掃具1Cの基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成される(
図16(c),
図16(d)参照)。また、2枚の金属板311,321は扁平に形成されている(
図16(a),
図16(b),
図16(e),
図16(f)参照)。金属板331を2枚の金属板311,321で挟むことにより、金属板331の金型凹部330に、口腔内清掃具1Cの基台部21及び凹凸部22の形状が形成されるようになっている。このような金型凹部330に成形用樹脂を収容した後、金属板331を、2枚の扁平な金属板311,321で挟み、3枚の金属板311,321,331の四隅をボルトとナットによりボルト締めすることにより一体化し、一体化した金属製容器301を、圧力室100の内部にセットする。
以降は、口腔内清掃具1Aを製造する方法と同様の工程を経た後、圧力室100から金属製容器301を取り出し、ボルトとナットをゆるめて、金型凹部330から取り出すことにより、基台部21及び凹凸部22からなる口腔内清掃具1Cの発泡体20を製造することができる。
【0084】
上述のようにして製造された基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を、予め公知の方法で製造した本体10に取り付ける。具体的には、上述のようにして製造された基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を、本体10の備える先端部11の一方の面11aに接着剤等を用いて固定することにより、先端部11と、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20とから構成された清掃部2を本体10に備えた口腔内清掃具1Cを製造することができる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0086】
基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20の成形用樹脂としては、厚み0.5mmの東ソー株式会社製の商品名ウルトラセン710(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂)のシート(成形用樹脂シート)を用いた。
【0087】
〔実施例1〕
図6(a)〜(d)に示す、
図1〜
図3に示す口腔内清掃具1Aの基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成され金型凹部330を備えた一対の金属板310,320を用い、テフロン(登録商標)コーティングした上下一対の金属板310,320に上記成形用樹脂シートをセットし、一対の金属板310,320間にネジ締め固定した。続いて、ネジ締め固定した金属製容器300を、
図5に示す発泡処理装置の圧力室100(内容積1L)内に収容した。次に、ボンベ210から超臨界二酸化炭素を冷却器220、プランジャーポンプ230、加熱器240を通して密閉状態の圧力室100に注入した。冷却器220の設定温度は、−5℃とし、ガス状の二酸化炭素を一旦液化させたものをプランジャーポンプ230で送り、設定温度70℃で加熱された加熱器240を通して二酸化炭素を圧力室100に供給し続け、圧力室100内の圧力25MPaになるまでプランジャーポンプ230で二酸化炭素を供給し圧力室100の圧力を上げた。この時圧力室100内の温度が70℃となるようにした。圧力室100内の温度70℃、圧力室100内の圧力25MPaになった後、超臨界流体供給部200の供給バルブを閉めて、その温度及び圧力の状態を1時間保持し、超臨界状態の二酸化炭素を、発泡体20の構成樹脂に含浸溶解させた。続いて、圧力室100の減圧バルブ120を開いて減圧スピード600MPa/分にて減圧し、圧力室100内の圧力を25MPaから15MPaに減圧した(第1減圧工程)。次に、すばやく(2秒以内)再度、圧力室100の減圧バルブ120を開いて減圧スピード4MPa/分にて減圧し、圧力室100内の圧力を15MPaから常圧まで減圧し(第2減圧工程)、発泡体の構成樹脂を発泡させた。続いて圧力室100から金属製容器300を取り出し、冷却後に発泡させた発泡体20を取り出した。この発泡体20の基台部21及び凹凸部22の連続シートを、本体10の備える先端部11の形状と同一形状にカットし、カットした発泡体20を先端部11の一方の面11aに接着剤を用いて固定し、先端部11と、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20とから構成された清掃部2を有する、
図1〜
図3に示す口腔内清掃具を作製した。尚、凸部221は、その高さh1の平均が2mmであり、その厚みt3の平均が0.5mmであった。また、隣り合う凸部221どうしの凸部221の基部における間隔d1の平均は0.5mmであった。基台部21の厚みt2の平均は0.5mmであった。接着剤は、ブチルシアノアクリレートを含有する樹脂接着剤を用いた。
【0088】
〔実施例2〕
公知の射出成形法により、複数の植毛穴が所定の位置に形成された先端部を備える本体を作製した。次に、
図10(a)〜(c)に示す製造工程を経て、ブリッスル23を固定する融着部24が先端部11の一方の面11a側に形成され、ブリッスル23が先端部11に固定されており、ブリッスル23が先端部11の他方の面11b側から突出している先端部11を有する本体を作製した(
図7〜
図9参照)。なおブリッスル23はポリブチレンテレフタレートからなるフィラメント材を用いた。
次に、
図11(a)〜(d)に示す、
図7〜
図9に示す口腔内清掃具1Bの基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成され金型凹部330を備えた金属板320と、貫通穴350を備えた金属板310とを用い、
図12(a)〜(c)に示すように、融着部24が底部に形成された嵌合用凹部に、上記成形用樹脂シートを本体10の先端部11の外形形状にカットしたカット片を2枚配し、金属板310及び金属板320の四隅をボルトとナットによりボルト締めすることにより固定し、先端部11の固定された金属製容器300を、
図5に示す発泡処理装置の圧力室100(内容積1L)内に収容した。
実施例2においては、実施例1において、加熱器240の設定温度及び圧力室100の温度を80℃に変更する以外は実施例1と同様にして発泡処理を行い、
図7〜
図9に示す口腔内清掃具を作製した。尚、凸部221は、その高さh1の平均が1mmであり、その厚みt3の平均が0.5mmであった。また、隣り合う凸部221どうしの凸部221の基部における間隔d1の平均は0.5mmであった。基台部21の厚みt2の平均は2mmであった。
【0089】
〔実施例3〕
図16(a)〜(f)に示す、
図13〜
図15に示す口腔内清掃具1Cの基台部21及び凹凸部22の形状に応じて形成され金型凹部330を備えた金属板331と、2枚の扁平な金属板311,321と用い、金属板331の金型凹部330に、上記成形用樹脂シートを本体10の先端部11の外形形状にカットしたカット片を6枚配し、金属板331を、2枚の扁平な金属板311,321で挟み、3枚の金属板311,321,331の四隅をボルトとナットによりボルト締めした。続いて、ネジ締め固定した金属製容器301を、
図5に示す発泡処理装置の圧力室100(内容積1L)内に収容した。
実施例3においては、実施例1において、加熱器240の設定温度及び圧力室100の温度を85℃に変更する以外は実施例1と同様にして発泡処理を行い、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20を作製し、この発泡体20を先端部11の一方の面11aに接着剤(ブチルシアノアクリレートを含有する樹脂接着剤)を用いて固定し、先端部11と、基台部21及び凹凸部22からなる発泡体20とから構成された清掃部2を備えた、
図13〜
図15に示す口腔内清掃具を作製した。尚、凸部221は、その丈h2の高さ平均が5mmであり、その直径の平均が1mmであった。また、隣り合う凸部221どうしの中心間の間隔の平均は2mmであった。基台部21の厚みt5は平均5mmであった。
【0090】
〔比較例1〕
厚み1.5mmの東ソー株式会社製の商品名ウルトラセン710(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂)のシートを用いた。実施例1と同様に、
図6(a)〜(d)に示す一対の金属板310,320を用い、金型凹部330に前記シートをセットし、発泡せずに、温度150℃にて加熱プレスし、未発泡のシートを作製した。この未発泡シートを、本体の備える先端部の形状と同一形状にカットし、カットしたカット片を先端部の一方の面に接着剤(ブチルシアノアクリレートを含有する樹脂接着剤)を用いて固定し、比較例1の口腔内清掃具を作製した。尚、比較例1の口腔内清掃具は、発泡していないこと以外、実施例1の口腔内清掃具同じであった。具体的には、比較例1の口腔内清掃具の有する凸部の大きさ及び基台部の大きさは、実施例1の口腔内清掃具の有する凸部の大きさ及び基台部の大きさと同じであった。
【0091】
〔比較例2〕
厚み1.0mmの東ソー株式会社製の商品名ウルトラセン710(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂)のシートを用いた。実施例1と同様に、
図6(a)〜(d)に示す一対の金属板310,320を用い、金型凹部330に前記シートをセットし、温度150℃にて加熱プレスした。冷却後、一対の金属板310,320間にネジ締め固定した。続いて、ネジ締め固定した金属製容器300を、
図5に示す発泡処理装置の圧力室100(内容積1L)内に収容した。
比較例2においては、実施例1において、加熱器240の設定温度及び圧力室100の温度を50℃に変更する以外は実施例1と同様にして発泡処理を行い、発泡させた発泡体のシートを取り出した。この発泡体の基台部及び凹凸部の連続シートを、実施例1と同様に、先端部の形状と同一形状にカットし、カットした発泡体20を先端部の一方の面に接着剤(ブチルシアノアクリレートを含有する樹脂接着剤)を用いて固定し、基台部及び凹凸部からなる発泡体20を有する清掃部2を備えた比較例2の口腔内清掃具を作製した。
尚、比較例2の口腔内清掃具は、後述するように、発泡体のスキン層の平均厚みが大きく、平均セル面積が小さいこと以外、実施例1の口腔内清掃具同じであった。具体的には、比較例1の口腔内清掃具の有する凸部の大きさ及び基台部の大きさは、実施例1の口腔内清掃具の有する凸部の大きさ及び基台部の大きさと同じであった。
【0092】
〔比較例3〕
図17に示す清掃具を比較例3の口腔内清掃具とした。比較例3の口腔内清掃具は、
図17に示すように、把持部と、清掃部を構成する先端部を備えている。先端部は、
図17に示すように、X方向に長い楕円形状に形成され、先端部の一方の面からZ方向の上方に向かって隆起する3本の凸部からなる。3本の凸部は、
図17に示すように、先端部のX方向の両端間に亘って連続して延びており、Y方向に略同じ間隔を空けて形成されている。
尚、3本の凸部は、Z方向への隆起高さが1.5mmであり、3本の凸部の中のY方向の両側に位置する2本の凸部のX方向の長さは25mmであり、該2本の凸部で挟まれた残りの凸部のX方向の長さは30mmであった。また、把持部も3本の凸部を備える清掃部も、その材質がポリスチレンであり発泡成形されていない。また、把持部のY方向の長さは135mmであった。
【0093】
〔比較例4〕
図18に示す清掃具を比較例4の口腔内清掃具とした。比較例4の口腔内清掃具は、
図18に示すように、把持部と、清掃部を構成する先端部を備えている。先端部は、
図18に示すように、へら状に形成され、先端部の一方の面から突出する複数の毛束を有している。複数の毛束は、
図18に示すように、先端部の外端に円弧状に整列している。清掃部を構成する先端部の各毛束は、
図18に示すように、複数本のブリッスルを束ねて形成されている。
尚、毛束の個数は21個であり、各毛束の直径は1.5mmであった。また、各ブリッスルの毛丈は5.5mmであり、直径は0.08mmであった。把持部の材質はポリプロピレンであり、各ブリッスルの材質はナイロンであった。また、把持部のY方向の長さは175mmであった。
【0094】
〔発泡体の気泡状態の評価〕
実施例1、2及び3並びに比較例1、2、3及び4の口腔内清掃具の有する基台部及び凹凸部からなる発泡体について、スキン層の平均厚み、平均セル面積及び平均セル密度を、上述した方法により測定した。その結果を、表1に示す。
【0095】
〔舌の傷付き性の評価〕
実施例1、2及び3並びに比較例1、2、3及び4の口腔内清掃具を用いて、舌の傷付き性を測定した。具体的には、80℃の水に伊那食品工業社製の寒天(商品名:ウルトラ寒天AX200)を濃度3%となるように溶解させたものを室温まで冷却して寒天ゲルシート(厚み2cm)を作製し、この寒天ゲルシートの表面上を、荷重を負荷した状態で、各口腔内清掃具を移動させた場合に、寒天ゲルシートの表面に目視にて傷が発生しはじめる際の荷重を求め、この荷重を傷付き性の尺度として舌の傷付き性を測定した。その結果を、表1に示す。
【0096】
〔舌の清掃性の評価〕
実施例1、2及び3並びに比較例1、2、3及び4の口腔内清掃具を用いて、舌の清掃性を測定した。具体的には、株式会社ニッシン製の舌モデル(商品名:ゼツZ−1)の表面に、人工汚れ(花王(株)社製の商品名「ホーミングクレンザー」)0.5gを均一となるように塗布し、人工汚れの上を、50g荷重を負荷した各口腔内清掃具にて10回往復させ、使用前後での人工汚れの除去率を測定した。汚れ除去率の測定は、清掃後の舌モデル表面を写真撮影し、画像処理ソフト(商品名「ウィンルーフ」 バージョン5.6.2 三谷商事製)を用いて、残存汚れ面積率を求め、この値を汚れ除去率とした。その結果を、表1に示す。
【表1】
【0097】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1、2及び3の口腔内清掃具は、比較例1、2、3及び4の口腔内清掃具に比べて、舌の表面を傷つけ難いとともに、良好な清掃性が得られることがわかった。