特許第5944101号(P5944101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944101
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】非グリコシル化タンパク質の精製
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/16 20060101AFI20160621BHJP
   C07K 14/555 20060101ALI20160621BHJP
   C07K 14/61 20060101ALI20160621BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20160621BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20160621BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   C07K1/16
   C07K14/555
   C07K14/61
   C12N15/00 A
   C12P21/02 C
   G01N30/88 J
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2010-542579(P2010-542579)
(86)(22)【出願日】2009年1月15日
(65)【公表番号】特表2011-509963(P2011-509963A)
(43)【公表日】2011年3月31日
(86)【国際出願番号】EP2009000192
(87)【国際公開番号】WO2009090056
(87)【国際公開日】20090723
【審査請求日】2010年9月15日
【審判番号】不服2014-12870(P2014-12870/J1)
【審判請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】08000884.0
(32)【優先日】2008年1月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ファルケンシュタイン,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイダンツ,ビルギット
(72)【発明者】
【氏名】ギーセル,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】グライタンナー,シビル
(72)【発明者】
【氏名】グロースマン,アデルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセ,フリーデリーケ
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー,ブリギッテ
(72)【発明者】
【氏名】ポンピアティ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】シャウブマール,アンドレーアス
(72)【発明者】
【氏名】フュールラー,ニコル
【合議体】
【審判長】 中島 庸子
【審判官】 山崎 利直
【審判官】 長井 啓子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−135992(JP,A)
【文献】 特開平7−322887(JP,A)
【文献】 特表2007−533651(JP,A)
【文献】 特表2008−500273(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/041713(WO,A1)
【文献】 Methods,(2004),Vol.32,p.300−312
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィーであり、第2のクロマトグラフィー工程がヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーであり、第3のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィーである、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、E. coli細胞においてリコンビナント製造されたIGF−1アゴニストの精製のための方法。
【請求項2】
第1のクロマトグラフィー工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーであり、第2のクロマトグラフィー工程が陽イオン交換クロマトグラフィーであり、第3のクロマトグラフィー工程が陰イオン交換クロマトグラフィーである、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、E. coli細胞においてリコンビナント製造されたIGF−1アゴニストの精製のための方法。
【請求項3】
第1のクロマトグラフィー工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーであり、第2のクロマトグラフィー工程が陰イオン交換クロマトグラフィー工程であり、第3のクロマトグラフィー工程が陽イオン交換クロマトグラフィーである、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、E. coli細胞においてリコンビナント製造されたIFNα−2aの精製のための方法。
【請求項4】
第3のクロマトグラフィー工程の後に、
d)前記ポリペプチドをPEG化すること
である追加の工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
第3のクロマトグラフィー工程の後に得られたIGF−1アゴニストまたはIFNα−2a溶液におけるエンドトキシン、および/またはE. coli DNA、および/またはE. coli細胞タンパク質の含量が、第1のクロマトグラフィー工程前の含量と比べて減少していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
以下の工程:
a)IGF−1アゴニストまたはIFNα−2aをコードする核酸を含むE. coli細胞をIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aの発現に適した条件で培養すること、
b)培養液または原核細胞からIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aを回収すること、
c)請求項1〜3のいずれか一項記載の方法でIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aを精製すること
を含むことを特徴とする、E. coli細胞におけるIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aのリコンビナント製造のための方法。
【請求項7】
以下の工程:
a)IGF−1アゴニストまたはIFNα−2aの発現およびIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aを含有する封入体の形成に適した条件で、IGF−1アゴニストまたはIFNα−2aをコードする核酸を含むE. coli細胞を培養すること、
b)E. coli細胞から前記封入体を回収すること、
c)前記封入体からIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aを溶解および再生すること、
d)請求項1〜3のいずれか一項記載の方法でIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aを精製すること
を含むことを特徴とする、封入体によるE. coli細胞におけるIGF−1アゴニストまたはIFNα−2aのリコンビナント製造のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリペプチド精製の分野に関する。非グリコシル化ポリペプチドを三つのクロマトグラフィー工程の組合せで精製するための一般法を報告する。
【0002】
発明の背景
タンパク質は、今日の医学ポートフォリオに重要な役割を果たす。ヒトへの応用のために、あらゆる薬物は別個の基準を満たさねばならない。ヒトに対する生物薬剤の安全性を保証するために、重度の危害を加えるであろう核酸、ウイルス、および宿主細胞タンパク質を特に除去しなければならない。規制上の規格を満たすために、一つまたは複数の精製工程が製造プロセスに続かなければならない。とりわけ、純度、処理量、および収率は、適切な精製プロセスの決定に重要な役割を果たす。
【0003】
タンパク質精製のために、好硫黄性リガンド、Cu−キレート、または微生物タンパク質(例えばプロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー)を用いたアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー(例えば陽イオン交換、陰イオン交換、およびミックスモード交換)、好硫黄性吸着、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および電気泳動法(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動)などの異なる方法が十分に確立されており、広く利用されている(Vijayalakshmi, M.A., Appl. Biochem. Biotech. 75 (1998) 93-102)。
【0004】
リコンビナントポリペプチドは、例えばE. coliなどの原核細胞により製造することができる。リコンビナント製造されたポリペプチドは、原核細胞のポリペプチド含量の大部分を占め、原核細胞内で多くの場合に不溶性凝集物として、すなわちいわゆる封入体として沈着する。リコンビナントポリペプチドを単離するためには、細胞を崩壊させなくてはならず、細胞片から封入体を分離後に、その封入体に含まれるリコンビナントポリペプチドを溶解させなければならない。溶解のために、尿素または塩酸グアニジウムなどのカオトロピック剤が使用される。ジスルフィド結合を切断するために、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール、またはβ−メルカプトエタノールなどの還元剤が、特にアルカリ条件で添加される。凝集したポリペプチドを溶解後に、生物学的活性に不可欠な球状構造のリコンビナントポリペプチドを再樹立しなければならない。このいわゆる再生過程の間に、変性剤の濃度は、例えば適切な緩衝液に対する透析によりゆっくりと減少し、それにより、変性ポリペプチドはその生物学的活性構造に再フォールディング可能になる。再生後に、リコンビナントポリペプチドは、意図された使用に許容される純度に精製される。例えば、治療用タンパク質として使用するために、90%を超える純度を樹立しなければならない。E. coliから得られたリコンビナント製造されたポリペプチドは、通常は、核酸、エンドトキシン、産生細胞由来のポリペプチド、および再生されていないリコンビナントポリペプチドを伴う。
【0005】
利用可能な異なるクロマトグラフィー法の数に伴い、適切な精製プロセスを見出すために、多数の組合せを試験しなければならなくなる。これらの組合せでは、クロマトグラフィー法の異なる順序および異なる数さえ使用してもよい。したがって、非グリコシル化ポリペプチドの精製のためにクロマトグラフィー工程の適切な順序を決定するための方法が望まれる。
【0006】
国際公開公報第2007/075283号では、ターゲット分子の精製の多工程システムおよび方法が報告されている。関心が持たれるタンパク質を含む化合物を精製するための方法は、国際公開公報第2007/016250号に報告されている。一つまたは少数の手順工程だけを含む、リコンビナントタンパク質を精製するためのプロセスは、国際公開公報第2006/101441号に報告されている。Regeら(Rege, K., Biotechnol. Bioeng. 93 (2006) 618-630)は、リコンビナントタンパク質を精製するための高処理量プロセスの開発を報告している。KR2002/080108では、リコンビナントE. coliからヒト成長ホルモンを精製するためのプロセスが報告されている。
【0007】
発明の概要
本発明の第一の局面は、原核細胞においてリコンビナント製造された非グリコシル化異種ポリペプチドの精製のための方法であり、その方法は、以下の順番で三つのクロマトグラフィー工程:
a) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)疎水性相互作用クロマトグラフィー、
iii)アフィニティークロマトグラフィー、または
iv)イオン交換クロマトグラフィー
より選択される第一のクロマトグラフィー工程、
b) i)陰イオン交換クロマトグラフィー、
ii)陽イオン交換クロマトグラフィー、
iii)ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー、または
v)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー
より選択される第二のクロマトグラフィー工程、
c) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー、
iii)陽イオン交換クロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー
より選択される第三のクロマトグラフィー工程
を含み、
ここで、
− 金属リガンドと相互作用することができるポリペプチドの場合に、第一のクロマトグラフィー工程はアフィニティークロマトグラフィーであり、
− 6.0未満の等電点を有するポリペプチドの場合に、第二のクロマトグラフィー工程はヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程ではなく、
− 低または高等電点を有するポリペプチドについては、第三のクロマトグラフィー工程はフロースルーモードで行うことができ、
− 場合により第三のクロマトグラフィー工程は、ポリペプチドの濃縮のために使用することができ、精製された非グリコシル化異種ポリペプチドは、工程c)の後で得られる。
【0008】
本発明の方法は、少なくとも三つのクロマトグラフィー工程を含むが、ここで、各工程のためのクロマトグラフィー材料は、前工程または後工程について選択されたクロマトグラフィー材料とは独立して選択することができ、その際、与えられた条件だけを考慮しなければならない。したがって、本発明の方法は、非グリコシル化ポリペプチドの精製のための、クロマトグラフィー工程の融通の利く、交換可能な順序を提供するが、ここで、本発明の方法に非グリコシル化ポリペプチドを供した後に得られる純度は、選択されたクロマトグラフィー工程の順序に依存せずに同等である。
【0009】
一態様では、原核細胞はE. coli細胞である。別の態様では、アフィニティークロマトグラフィーは金属キレートクロマトグラフィーである。さらなる態様では、その方法は、工程a)または工程b)または工程c)のいずれかの後に、d)当該ポリペプチドをPEG化するという追加の工程を含む。一態様では、当該工程a)およびb)は、陽イオン交換クロマトグラフィーである。なおさらなる態様では、非グリコシル化異種ポリペプチドは、成長因子のアゴニストもしくはアンタゴニスト、またはインターフェロンもしくはインターフェロン変異体より選択される。
【0010】
本発明の第二の局面は、原核細胞において非グリコシル化異種ポリペプチドをリコンビナント製造するための方法であり、ここで、その方法は以下の工程:
a)異種ポリペプチドをコードする核酸を含む原核細胞を、その異種ポリペプチドの発現に適した条件で培養すること、
b)培養液からまたは原核細胞から異種ポリペプチドを回収すること、
c)本発明の方法で異種ポリペプチドを精製し、それにより非グリコシル化異種ポリペプチドを得ること
を含む。
【0011】
一態様では、本発明の方法は、三つのクロマトグラフィー工程の少なくとも二つの異なる順序が、精製された非グリコシル化異種ポリペプチドを同等の純度でもたらすことを特徴とする。一態様では、低等電点、すなわち6.0以下、または高等電点、すなわち8.0以上を有するポリペプチドについて、第三のクロマトグラフィー工程は、フロースルーモードで行うことができる。
【0012】
発明の詳細な説明
一般的なクロマトグラフィー法およびそれらの使用は、当業者に公知である。例えば、Chromatography, 5th edition, Part A: Fundamentals and Techniques, Heftmann, E. (ed), Elsevier Science Publishing Company, New York, (1992); Advanced Chromatographic and Electromigration Methods in Biosciences, Deyl, Z. (ed.), Elsevier Science BV, Amsterdam, The Netherlands, (1998); Chromatography Today, Poole, C. F., and Poole, S. K., Elsevier Science Publishing Company, New York, (1991), Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982); Sambrook, J., et al. (ed), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989; Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, F. M., et al. (eds)., John Wiley & Sons, Inc., New York;またはFreitag, R., Chromatographical processes in the downstream processing of (recombinant) proteins, Meth. Biotechnol. 24 (2007) 421-453 (Animal cell biotechnology 2nd Edition)を参照されたい。
【0013】
ポリペプチドの精製法は、十分に確立されており、広く使用されている。それらは、単独または組合せで採用される。そのような方法は、例えば、錯体化した金属イオンを有するチオールリガンドを使用したアフィニティークロマトグラフィー(例えばNi(II)−およびCu(II)−アフィニティー材料を用いたもの)または微生物由来タンパク質を使用したアフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー(例えば陽イオン交換(カルボキシメチル樹脂)、陰イオン交換(アミノエチル樹脂)およびミックスモード交換クロマトグラフィー)、好硫黄性吸着(例えばβ−メルカプトエタノールおよび他のSHリガンドを使用したもの)、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー(例えばフェニルセファロース、アザアレーン親和性樹脂、またはm−アミノフェニルボロン酸)、サイズ排除クロマトグラフィー、および調製用電気泳動法(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動など)である(Vijayalakshmi, M.A., Appl. Biochem. Biotech. 75 (1998) 93-102)。
【0014】
本出願に使用される「緩衝」という用語は、酸性または塩基性物質の添加または放出によるpH変化が緩衝物質により同一水準に合わされる溶液を意味する。そのような効果を招く任意の緩衝物質を使用することができる。好ましくは、例えばリン酸もしくはその塩、酢酸もしくはその塩、クエン酸もしくはその塩、モルホリンもしくはその塩、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸もしくはその塩、ヒスチジンもしくはその塩、グリシンもしくはその塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)もしくはその塩などの、薬学的に許容される緩衝物質が使用される。特に好ましいのはリン酸もしくはその塩、または酢酸もしくはその塩、またはクエン酸もしくはその塩、またはヒスチジンもしくはその塩である。場合により緩衝液は、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、クエン酸ナトリウム、またはクエン酸カリウムなどの追加の塩を含みうる。
【0015】
本出願に使用される「メンブレン」という用語は、マイクロ孔またはマクロ孔メンブレンの両者を意味する。メンブレン自体は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド(ナイロン、例えばZetapore(商標)、N66Posidyne(商標))、ポリエステル、酢酸セルロース、再生セルロース、セルロースコンポジット、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、不織布および織布(例えばTyvek(登録商標))、繊維性材料などのポリマー材料から、またはゼオライト、SiO、Al、TiO、もしくはヒドロキシルアパタイトなどの無機材料から構成される。
【0016】
本出願に使用される「クロマトグラフィー材料」という用語は、一方でさらなる改変をせずにクロマトグラフィー材料として使用することのできるヒドロキシルアパタイトまたはアフィニティークロマトグラフィー材料などの固体材料を意味し、また、クロマトグラフィー官能基が好ましくは共有結合により結合しているバルクコア材料を含む材料も意味する。バルクコア材料は、クロマトグラフィープロセスに、すなわち被分離ポリペプチドとクロマトグラフィー材料のクロマトグラフィー官能基との間の相互作用に、関与しないことが理解されている。それは、被分離物質を含有する溶液がクロマトグラフィー官能基に接近できることを保証する、クロマトグラフィー官能基が結合している三次元フレームワークを単に提供している。好ましくは、当該バルクコア材料は固相である。したがって、好ましくは、当該「クロマトグラフィー材料」は、クロマトグラフィー官能基が好ましくは共有結合により結合している固相である。好ましくは、当該「クロマトグラフィー官能基」は、異なるクロマトグラフィー官能基がある種のポリペプチドまたは共有結合した荷電基にのみ結合するために組合される、イオン化可能な疎水基、または疎水基、または錯体基である。
【0017】
「固相」は、非液状物質を意味し、それには、ポリマー、金属(常磁性、強磁性粒子)、ガラス、およびセラミックなどの材料から作られた粒子(微小粒子およびビーズが含まれる);シリカ、アルミナ、およびポリマーゲルなどのゲル物質;ゼオライトおよび他の多孔性物質が含まれる。固相は、充填されたクロマトグラフィー用カラムなどの固定相成分であってもよく、またはビーズおよび微小粒子などの非固定相成分であってもよい。そのような粒子には、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルなどのポリマー粒子;金ナノ粒子および金コロイドなどの金粒子;ならびにシリカ、ガラス、および酸化金属粒子などのセラミック粒子が含まれる。例えば、Martin, C.R., et al., Analytical Chemistry-News & Features, May 1 (1998) 322A-327Aを参照されたい。
【0018】
本出願で互換的に使用できる「疎水性電荷誘導クロマトグラフィー」または「HCIC」という用語は、「疎水性電荷誘導クロマトグラフィー材料」を採用するクロマトグラフィー法を意味する。「疎水性電荷誘導クロマトグラフィー材料」は、一つのpH範囲で被分離物質と疎水性結合を形成しうるクロマトグラフィー官能基を含み、他のpH範囲で正または負のいずれかに荷電しているクロマトグラフィー材料であり、すなわちHCICは、クロマトグラフィー官能基としてイオン化可能な疎水性基を利用する。一般に、ポリペプチドは、中性pH条件で疎水性電荷誘導材料に結合され、その後、pH値の変化により電荷の反発が発生することにより回収される。例示的な「疎水性電荷誘導クロマトグラフィー材料」は、BioSepra MEPまたはHEA Hypercel(Pall Corp., USA)である。
【0019】
本出願で互換可能に使用できる「疎水性相互作用クロマトグラフィー」または「HIC」という用語は、「疎水性相互作用クロマトグラフィー材料」が採用されるクロマトグラフィー法を意味する。「疎水性相互作用クロマトグラフィー材料」は、ブチル基、オクチル基、またはフェニル基などの疎水性基がクロマトグラフィー官能基として結合しているクロマトグラフィー材料である。ポリペプチドは、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料の疎水性基と相互作用できる、それらの表面に露出したアミノ酸側鎖の疎水性に応じて分離される。ポリペプチドとクロマトグラフィー材料の間の相互作用は、温度、溶媒、および溶媒のイオン強度により影響されうる。アミノ酸側鎖の運動が増加し、より低温ではポリペプチド内部に埋もれていた疎水性アミノ酸側鎖がアクセス可能になることから、温度増加は、例えばポリペプチドと疎水性相互作用クロマトグラフィー材料が相互作用することを支持している。また、疎水性相互作用は、コスモトロピックな塩により促進され、カオトロピックな塩により減少する。「疎水性相互作用クロマトグラフィー材料」は、例えばフェニルセファロースCL-4B、6FF、HP、フェニルスペロース(Phenyl Superose)、オクチルセファロースCL-4B、4FF、およびブチルセファロース4FF(全てAmersham Pharmacia Biotech Europe GmbH(ドイツ)から入手できる)であり、それは、バルク材料へのグリシジルエーテルカップリングにより得られる。
【0020】
本出願に使用される「アフィニティークロマトグラフィー」という用語は、「アフィニティークロマトグラフィー材料」を採用するクロマトグラフィー法を意味する。アフィニティークロマトグラフィーでは、ポリペプチドは、クロマトグラフィー官能基への静電相互作用、疎水性結合の形成、および/または水素結合の形成に応じて、それらの生物学的活性または化学構造に基づき分離される。特異的に結合したポリペプチドをアフィニティークロマトグラフィー材料から回収するために、競合体リガンドが添加されるか、または緩衝液のpH値、極性またはイオン強度などのクロマトグラフィー条件が変更されるかのいずれかである。「アフィニティークロマトグラフィー材料」は、ある種のポリペプチドだけと結合させるために、異なる単一のクロマトグラフィー官能基が組合された複合クロマトグラフィー官能基を含むクロマトグラフィー材料である。このクロマトグラフィー材料は、そのクロマトグラフィー官能基の特異性に応じて、ある種のポリペプチドと特異的に結合する。例示的な「アフィニティークロマトグラフィー材料」は、ヘキサヒスチジンタグを有する融合ポリペプチド、または表面に露出した多数のヒスチジン、システイン、および/もしくはトリプトファン残基を有するポリペプチドの結合のための、Ni(II)−NTAまたはCu(II)−NTA含有材料などの「金属キレートクロマトグラフィー材料」、あるいはプロテインAなどの「抗体結合性クロマトグラフィー材料」、あるいはクロマトグラフィー官能基として酵素基質アナログ、酵素補因子、もしくは酵素阻害剤を含むクロマトグラフィー材料などの「酵素結合性クロマトグラフィー材料」、あるいはクロマトグラフィー官能基として多糖、細胞表面レセプター、糖タンパク質、もしくはインタクトな細胞を含むクロマトグラフィー材料などの「レクチン結合性クロマトグラフィー材料」である。
【0021】
本出願に使用される「金属キレートクロマトグラフィー」という用語は、「金属キレートクロマトグラフィー材料」を採用するクロマトグラフィー法を意味する。金属キレートクロマトグラフィーは、クロマトグラフィー官能基としてバルク材料に結合した、Cu(II)、Ni(II)またはZn(II)などの金属イオンと、ポリペプチドの表面に露出したアミノ酸側鎖の電子供与基との間の、特にイミダゾール含有側鎖およびチオール基含有側鎖とのキレート形成に基づく。キレートは、それらの側鎖が少なくとも部分的にプロトン化されていないpH値で形成する。結合したポリペプチドは、pH値の変化により、すなわちプロトン化によりクロマトグラフィー材料から回収される。例示的な「金属キレートクロマトグラフィー材料」は、HiTrap Chelating HP(Amersham Pharmacia Biotec Europe GmbH, Germany)またはFraktogel EMD(EMD Chemicals Inc, USA)である。
【0022】
本出願に使用される「イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、「イオン交換クロマトグラフィー材料」を採用するクロマトグラフィー法を意味する。「イオン交換クロマトグラフィー材料」という用語は、陽イオンが「陽イオン交換クロマトグラフィー」で、「陽イオン交換クロマトグラフィー材料」と交換されるか、または陰イオンが「陰イオン交換クロマトグラフィー」で「陰イオン交換クロマトグラフィー材料」と交換されるかに依存することを包含する。本出願に使用される「イオン交換クロマトグラフィー材料」という用語は、クロマトグラフィー官能基として共有結合した荷電基を保持する、固定化された高分子量固相を意味する。全体的な電荷を中性にするために、共有結合していない対イオンがそれと会合している。「イオン交換クロマトグラフィー材料」は、その共有結合していない対イオンと、周囲の溶液中の類似の荷電したイオンを交換する能力を有する。その交換可能な対イオンの電荷に応じて、「イオン交換クロマトグラフィー材料」は、「陽イオン交換クロマトグラフィー材料」または「陰イオン交換クロマトグラフィー材料」と呼ばれる。さらに、荷電基の性質に応じて、「イオン交換クロマトグラフィー材料」は、例えば、スルホン酸基(S)またはカルボキシルメチル基(CM)を有する陽イオン交換クロマトグラフィー材料の場合のように呼ばれる。荷電基の化学的性質に依存して、「イオン交換クロマトグラフィー材料」を、共有結合した荷電置換基の強度に応じて追加的に強または弱イオン交換クロマトグラフィー材料と分類することができる。例えば、強陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、クロマトグラフィー官能基としてスルホン酸基を有し、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、クロマトグラフィー官能基としてカルボン酸基を有する。例えば、「陽イオン交換クロマトグラフィー材料」は、例えばBio-Rex、Macro-Prep CM(Biorad Laboratories、Hercules, CA, USAから入手可能)、弱陽イオン交換体WCX 2(Ciphergen, Fremont, CA, USAから入手可能)、Dowex(登録商標)MAC-3(Dow chemical company-liquid separations, Midland, MI, USAから入手可能)、Mustang C(Pall Corporation, East Hills, NY, USAから入手可能)、セルロースCM-23、CM-32、CM-52、hyper-D、およびパーティスフィア(Whatman plc, Brentford, UKから入手可能)、Amberlite(登録商標)IRC76、IRC747、IRC748、GT73(Tosoh Bioscience GmbH, Stuttgart, Germanyから入手可能)、CM1500、CM3000(BioChrom Labs, Terre Haute, IN, USAから入手可能)、およびCM-Sepharose(商標)Fast Flow(GE Healthcare-Amersham Biosciences Europe GmbH, Freiburg, Germanyから入手可能)などの複数の会社から異なる名称で入手することができる。
【0023】
本出願に使用される「ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー」という用語は、クロマトグラフィー材料としてある形態のリン酸カルシウムを採用するクロマトグラフィー法を意味する。例示的なヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー材料は、Bio-Gel HT、Bio-Gel HTP、Macro-Prep Ceramic(Biorad Laboratoriesから入手可能)、ヒドロキシルアパタイトI型、II型、HA Ultrogel(Sigma Aldrich Chemical Corp., USA)、ヒドロキシルアパタイトFast FlowおよびHigh Resolution(Calbiochem)、またはTSKゲルHA-1000(Tosoh Haas Corp., USA)である。
【0024】
「ポリペプチド」は、自然に産生したものであろうと合成的に製造されたものであろうと、ペプチド結合により結合したアミノ酸残基のポリマーである。約20アミノ酸残基未満のポリペプチドは、「ペプチド」と呼ばれる。「タンパク質」は、一つまたは複数のポリペプチド鎖を含む分子であって、少なくともその一つが100個以上のアミノ酸残基を含む。ポリペプチドおよびタンパク質は、また、糖基などの非アミノ酸構成要素を含みうる。糖基および他の非アミノ酸構成要素は、ポリペプチドまたはタンパク質が製造される細胞により付加されることがあり、細胞の種類により異なるであろう。ポリペプチドおよびタンパク質は、それらのアミノ酸主鎖の構造により本明細書に定義され、糖基などの置換基は、一般に特定されないが、それにもかかわらず存在しうる。
【0025】
本出願で互換的に使用することができる「抗体」および「免疫グログリン」という用語は、一般に、2本の軽鎖および2本の重鎖を含む分子を意味する。重鎖および軽鎖のそれぞれは、抗原と相互作用する特異的結合領域(CDR、相補性決定領域)を有する可変領域(一般に鎖のアミノ末端部分)を含む。重鎖および軽鎖のそれぞれは、また、免疫系の様々な細胞、いくつかの食細胞および古典的補体系第1成分(C1q)などの宿主の組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介しうる定常領域(一般に鎖のカルボキシル末端部分)を含む。典型的には、免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は、それぞれ本質的に可変領域および完全な定常領域から成る完全な鎖である。一般に、軽鎖は、軽鎖可変ドメイン、ヒンジ領域、および軽鎖定常ドメインを含み、一方で重鎖は、重鎖可変ドメイン、ヒンジ領域、ならびにC1ドメイン、C2ドメイン、C3ドメイン、および場合によりC4ドメインから成る重鎖定常ドメインを含む。抗体は、例えば、Fv、Fab、およびF(ab)ならびに単鎖などの多様な形態で存在しうる(例えばHuston, J.S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988) 5879-5883; Bird et al., Science 242 (1988) 423-426;ならびに一般にHood et al., Immunology, Benjamin N.Y., 2nd edition (1984)およびHunkapiller and Hood, Nature 323 (1986) 15-16)。重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、異なるクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMに割り付けられる。これらのクラスのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、すなわちIgGはIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に、またはIgAはIgA1およびIgA2に分けられる。免疫グロブリンが属する免疫グロブリンクラスにしたがって、免疫グロブリンの重鎖定常領域は、それぞれα(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)、およびμ(IgM)と呼ばれる。
【0026】
本発明に使用される「結合−溶離モード」という用語およびその文法的同等語は、関心が持たれる物質を含有する溶液が固定相と、好ましくは固相とを接触させるクロマトグラフィー法の動作モードを意味し、ここで、関心が持たれる物質は固定相に結合する。結果として、関心が持たれる物質が固定相に保持されるが、関心が持たれない物質は貫流液(flow-through)または上清と共に除去される。関心が持たれる物質は、その後第2工程で固定相から溶離することにより、溶離液と共に固定相から回収される。これは、関心が持たれない物質の100%が必ずしも除去されることを意味せず、関心が持たれない物質の本質的に100%が除去され、すなわち関心が持たれない物質の少なくとも50%が除去され、好ましくは関心が持たれない物質の少なくとも75%が除去され、好ましくは関心が持たれない物質の少なくとも90%が除去され、好ましくは関心が持たれない物質の95%超が除去されることを意味する。
【0027】
本発明に使用される「フロースルーモード」という用語およびその文法的等価物は、関心が持たれる物質を含有する溶液を固定相、好ましくは固相と接触させるクロマトグラフィー法の動作モードを意味し、ここで、関心が持たれる物質は固定相に結合しない。結果として、関心が持たれる物質は、貫流液または上清のいずれかの中に得られる。同様に溶液中に存在した、関心が持たれない物質は、固定相に結合し、溶液から除去される。これは、関心が持たれない物質の100%が必ずしも溶液から除去されることを意味せず、関心が持たれない物質の本質的に100%が除去され、すなわち、関心が持たれない物質の少なくとも50%が溶液から除去され、好ましくは関心が持たれない物質の少なくとも75%が溶液から除去され、好ましくは関心が持たれない物質の少なくとも90%が溶液から除去され、好ましくは関心が持たれない物質の95%超が溶液から除去されることを意味する。
【0028】
本出願に互換的に使用される「連続溶離」および「連続溶離法」という用語は、例えば、溶離、すなわち、クロマトグラフィー材料からの結合した物質の溶解を起こす物質の濃度が連続的に増大または減少する、すなわちその濃度が、溶離を起こす物質の濃度の2%、好ましくは1%の変化をそれぞれ超えない一連の小さな段階により変化する、クロマトグラフィー法を意味する。この「連続溶離」において、一つまたは複数の条件、例えばクロマトグラフィー法のpH、イオン強度、塩濃度、および/または流量を直線的に変化させても、または指数的に変化させても、または漸近的に変化させてもよい。好ましくは、その変化は直線的である。
【0029】
本出願に互換的に使用される「段階溶離」および「段階溶離法」という用語は、例えば溶離、すなわちクロマトグラフィー材料からの結合した物質の溶解を起こす物質の濃度が、一度に、すなわち一つの値/レベルから次の値/レベルに直接的に、増加または減少する、クロマトグラフィー法を意味する。この「段階溶離」では、一つまたは複数の条件、例えばクロマトグラフィー法のpH、イオン強度、塩濃度、および/または流量が、第1の値、例えば出発値から第2の値、例えば最終値に全て一度に変化する。その段階における変化は、溶離を起こす物質の濃度の5%、好ましくは10%の変化よりも大きい。「段階溶離」は、その条件が直線変化に比べて増加的に、すなわち段階的に変化することを意味する。「段階溶離法」では、各増加の後に新しい画分が収集される。各増加の後に溶離法の次の段階まで条件は維持される。
【0030】
「単離されたポリペプチド」は、自然界でポリペプチドに関連する糖質、脂質、または他のタンパク質性不純物などの混入細胞構成要素を本質的に有さないポリペプチドである。典型的には、単離されたポリペプチド調製物は、ポリペプチドを高度に精製された形態で、すなわち少なくとも純度約80%で、少なくとも純度約90%で、少なくとも純度約95%で、純度95%超で、または純度99%超で含有する。特定のタンパク質調製物が単離されたポリペプチドを含有することを示す一方法は、タンパク質調製物のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびゲルのクマシーブリリアントブルー染色後の単一バンドの出現による。しかし、「単離された」という用語は、二量体、誘導体形態、正しくフォールディングされていない形態、正しくジスルフィド架橋していない形態、またはスクランブル形態などの代替的な物理形態で同じポリペプチドが存在することを除外しない。
【0031】
「異種DNA」または「異種ポリペプチド」は、所与の細胞内に自然に存在しない、DNA分子もしくはポリペプチド、またはDNA分子集団もしくはポリペプチド集団を表す。特定細胞に対して異種のDNA分子は、その細胞のDNAが非細胞性DNA(すなわち外因性DNA)と混合されている限り、その細胞種由来のDNA(すなわち内因性DNA)を含有しうる。例えば、プロモーターを含む細胞性のDNAセグメントに作動可能に連結したポリペプチドをコードする非細胞性DNAセグメントを有するDNA分子は、異種DNA分子と見なされる。逆に、異種DNA分子は、外因性プロモーターに作動可能に連結した内因性構造遺伝子を含みうる。非細胞性DNA分子によりコードされるペプチドまたはポリペプチドは、「異種」ペプチドまたはポリペプチドである。
【0032】
本発明の方法を用いて、驚くことに、原核細胞によりリコンビナント製造された非グリコシル化ポリペプチドの精製を行えることが見出された。非グリコシル化リコンビナント製造ポリペプチドを、当該非グリコシル化リコンビナント製造ポリペプチドを治療目的に使用可能にする純度に、精製可能にするクロマトグラフィー精製プロセスを確立するために、最大三つのクロマトグラフィー工程の少しの所定の数だけが必要であること、また、所定の数の異なるクロマトグラフィー法だけを試験しなければならないことが見出された。
【0033】
したがって、本発明は、第1の局面では、以下の順番で以下の工程:
a) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)疎水性相互作用クロマトグラフィー、
iii)アフィニティークロマトグラフィー、または
iv)イオン交換クロマトグラフィー
より選択される第1のクロマトグラフィー工程、
b) i)陰イオン交換クロマトグラフィー、
ii)陽イオン交換クロマトグラフィー、
iii)ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー、または
v)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー
より選択される第2のクロマトグラフィー工程、
c) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー、
iii)陽イオン交換クロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー
より選択される第3のクロマトグラフィー工程
を含む、原核細胞においてリコンビナント製造された非グリコシル化異種ポリペプチドを精製するための方法を提供する。
【0034】
一態様では、精製非グリコシル化異種ポリペプチドは、本発明の方法の工程c)の後に得られる。例えば等電点(Ip)または表面に露出したアミノ酸残基の分布などのポリペプチドの物理特性に応じて、異なるポリペプチドの異なる特性が原因で、全てのクロマトグラフィー法が全てのポリペプチドに適合するわけではない。したがって、以下の条件が、本発明の方法に適用される:
− 金属リガンドと相互作用できるポリペプチドの場合に、第1のクロマトグラフィー工程は、アフィニティークロマトグラフィーまたは疎水性電荷誘導クロマトグラフィーであり、
− 等電点が6.0未満のポリペプチドの場合に、第2のクロマトグラフィー工程は、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程ではなく、
− 低または高等電点を有するポリペプチドについて、第3のクロマトグラフィー工程は、フロースルーモードで行うことができ、
− 場合により、ポリペプチド溶液を濃縮するために、第3のクロマトグラフィー工程を使用することができる。
【0035】
本発明の方法を以下の例示する。これらの実施例は、本発明の方法を例示するためだけに提示されており、添付の特許請求の範囲に提示する本発明の範囲を限定するためではない。
【0036】
IGF−1アゴニスト
第1の例示的なポリペプチドは、例えば国際公開公報第2006/066891号に報告されたIGF−1アゴニストである。
【0037】
IGF−1アゴニストの精製のために、本発明による方法による三つのクロマトグラフィー工程の順序が行われた。その順序は、以下のクロマトグラフィー工程:
1)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(a−i)、
2)ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー(b−iii)、および
3)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(c−i)
を含む。
【0038】
このポリペプチドがヘキサヒスチジンタグおよび6.0を超える等電点を有することから、この順序は、本発明の方法の条件を満たす。
【0039】
出発物質は、純度50%(HPLCにより測定)のIGF−1アゴニストを有した。上に概略したようなクロマトグラフィー工程を用いて本発明の精製法を行った後に、97%超の純度(HPLCにより測定)が得られた。三つのクロマトグラフィー工程の全てを結合−溶離モードで行った。
【0040】
本発明の方法の多用途性を示すために、IGF−1アゴニストは、また、本発明の方法によるクロマトグラフィー工程の異なる順序で精製されたが、それは、
1)疎水性相互作用クロマトグラフィー(a−ii)、
2)陽イオン交換クロマトグラフィー(b−ii)、および
3)陰イオン交換クロマトグラフィー(c−ii)
である。
【0041】
上に概略したようなクロマトグラフィー工程で本発明の精製法を行った後に、97%の純度(HPLCにより測定)が得られた。第1および第2のクロマトグラフィー工程を結合−溶離モードで行い、第3のクロマトグラフィー工程をフロースルーモードで行った。
【0042】
したがって、驚くことに、三つのクロマトグラフィー工程の異なる順序で同じ分子を同等の純度に精製できることが見出された。さらに、異なる溶離モード、すなわち結合−溶離モードまたはフロースルーモードで最終クロマトグラフィー工程を行えることが見出された。また、異なるクロマトグラフィー工程を段階溶離または連続溶離のいずれかで行えることも見出された。
【0043】
したがって、本発明の別の局面は、第1のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィーであり、第2のクロマトグラフィー工程がヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーより選択され、第3のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーより選択される、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、ポリペプチドの、特に国際公開公報第2006/066891号に報告されたようなIGF−1またはIGF−1変異体の精製のための方法である。
【0044】
インターフェロン
第2の例示的なポリペプチドは、例えばEP0 043 980に報告されたようなインターフェロンα−2a(IFNα−2a)である。
【0045】
IFNα−2aの精製のために、本発明の方法による三つのクロマトグラフィー工程の順序を行った。その順序は、以下のクロマトグラフィー工程:
1)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(a−i)、
2)陰イオン交換クロマトグラフィー(b−ii)、および
3)疎水性相互作用クロマトグラフィー(c−iv)
を含む。
【0046】
この順序は、リコンビナント製造されたIFNα−2aが、金属キレートクロマトグラフィー材料と相互作用するためのタグを有さず、6.0超の等電点を有するときに、本発明の方法についての条件を満たす。
【0047】
出発物質は、純度49%(HPLCにより測定)を有した。上に概略したようなクロマトグラフィー工程で本発明の精製法を行った後に、99%超の純度(HPLCにより測定)が得られた。クロマトグラフィー工程を、結合−溶離モードで行った。
【0048】
したがって、本発明の別の局面は、第1のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィー工程であり、第2のクロマトグラフィー工程が陰イオン交換クロマトグラフィー工程であり、第3のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィー工程である、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、IFNα−2aの精製のための方法である。
【0049】
IFNα−2aを、また、以下のクロマトグラフィー工程の異なる順序:
1)疎水性相互作用クロマトグラフィー(a−ii)、
2)陽イオン交換クロマトグラフィー(b−ii)、および
3)疎水性相互作用クロマトグラフィー(c−iv)
で、比較のために精製した。
【0050】
上に概略したクロマトグラフィー工程で精製法を行った後に、97%超の純度(HPLCにより測定)が得られた。
【0051】
したがって、本発明の別の局面は、第1のクロマトグラフィー工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーであり、第2のクロマトグラフィー工程が陽イオン交換クロマトグラフィー工程であり、第3のクロマトグラフィー工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーである、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、IFNα−2aの精製のための方法である。
【0052】
PEG化インターフェロン
本発明の方法は、非グリコシル化リコンビナント製造ポリペプチドに適用可能なだけでなく、さらに、PEG化非グリコシル化ポリペプチドの製造にもより適する。例示的なPEG化インターフェロンについては、例えばEP0 809 996を参照されたい。
【0053】
したがって、本発明の別の局面は、以下の順番で以下の工程:
a) 原核細胞においてリコンビナント製造された非グリコシル化異種ポリペプチドを提供すること、
b) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)疎水性相互作用クロマトグラフィー、
iii)アフィニティークロマトグラフィー、または
iv)イオン交換クロマトグラフィー
より選択される第1のクロマトグラフィー工程、
c) i)陰イオン交換クロマトグラフィー、
ii)陽イオン交換クロマトグラフィー、
iii)ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー
より選択される第2のクロマトグラフィー工程、
d) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー、
iii)陽イオン交換クロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー
より選択される第3のクロマトグラフィー工程
を含む、原核細胞においてリコンビナント製造された非グリコシル化PEG化異種ポリペプチドを製造するための方法であるが、ここで、当該非グリコシル化異種ポリペプチドは、工程d)後にPEG化された後に得られる。
【0054】
例えば等電点(Ip)または表面に露出したアミノ酸残基の分布などの、ポリペプチドの物理特性に依存して、異なるポリペプチドの異なる特性が原因で、全てのクロマトグラフィー法が全てのポリペプチドに適合するわけではない。したがって、以下の条件が、本発明の方法に適用される:
− 金属リガンドと相互作用できるポリペプチドの場合に、第1のクロマトグラフィー工程は、アフィニティークロマトグラフィーまたは疎水性電荷誘導クロマトグラフィーであり、
− 6.0未満の等電点を有するポリペプチドの場合に、第2のクロマトグラフィー工程は、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程ではなく、
− 低または高等電点を有するポリペプチドについて、第3のクロマトグラフィー工程は、フロースルーモードで行うことができる。
【0055】
例示的なPEG化IFNは、EP0 809 996に報告されている。
【0056】
PEG化IFNの製造のために、本発明の方法による三つのクロマトグラフィー工程の順序を行った。その順序は以下のクロマトグラフィー工程:
1)疎水性相互作用クロマトグラフィー(b−ii)、
2)陽イオン交換クロマトグラフィー(c−ii)、および
3)陰イオン交換クロマトグラフィー(d−ii)
を含み、工程3)の後に精製非グリコシル化非PEG化IFNをPEG化する。
【0057】
出発物質は、純度58%(HPLCにより測定)を有した。上に概略したようなクロマトグラフィー工程で本発明の精製法を行った後に、90%を超える純度(HPLCにより測定)が得られた。全てのクロマトグラフィー工程は、結合−溶離モードで行われた。
【0058】
PEG化ポリペプチドでも本発明の製造法が多用途性であることを示すために、PEG化の前に以下の本発明の方法によるクロマトグラフィー工程のさらなる順序:
1)金属アフィニティークロマトグラフィー(b−iii)、
2)陽イオン交換クロマトグラフィー(c−ii)、および
3)陰イオン交換クロマトグラフィー(d−ii)
でIFNをまた精製し、工程3)の後に、精製非グリコシル化非PEG化IFNをPEG化する。
【0059】
上に概略したようなクロマトグラフィー工程で本発明の精製法を行った後に、90%超の純度(HPLCにより測定)が得られた。全てのクロマトグラフィー工程を、結合−溶離モードで行った。
【0060】
したがって、本発明の別の局面は、第1のクロマトグラフィー工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーまたは金属アフィニティークロマトグラフィーより選択され、第2のクロマトグラフィー工程が陽イオン交換クロマトグラフィーであり、第3のクロマトグラフィー工程が陰イオン交換クロマトグラフィーである、三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、PEG化IFNα−2aの製造のための方法であり、ここで、第3のクロマトグラフィー工程の後に精製非グリコシル化非PEG化IFNをPEG化する。
【0061】
PEG化IFNの製造は、また、三つのクロマトグラフィー工程の異なる順序:
1)疎水性相互作用クロマトグラフィー(b−ii)、
2)陽イオン交換クロマトグラフィー(c−ii)、および
3)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(d−i)
と比較するために行うことができ、工程3)の後に精製非グリコシル化非PEG化IFNをPEG化する。
【0062】
上に概略したようなクロマトグラフィー工程で精製法を行った後に、純度約89%(HPLCにより測定)が得られた。
【0063】
したがって、本発明の別の局面は、第1のクロマトグラフィー工程が疎水性相互作用クロマトグラフィーであり、第2のクロマトグラフィー工程が陽イオン交換クロマトグラフィーであり、第3のクロマトグラフィー工程が疎水性電荷誘導クロマトグラフィーである三つの逐次クロマトグラフィー工程の順序を含む、PEG化インターフェロン、特にIFNα−2aの製造のための方法であり、ここで、第3のクロマトグラフィー工程の後に精製非グリコシル化非PEG化IFNをPEG化する。
【0064】
Escherichia、Salmonella、StreptomycesまたはBacillusは、例えば、原核宿主生物として適する。一態様では、原核細胞はE. coli細胞である。好ましくは、E. coli細胞は、E. coli XLl-blue細胞、またはE. coli BL21(DE3)細胞、またはE. coli K-12細胞である。別の態様では、非グリコシル化異種ポリペプチドは、成長因子のアゴニストもしくはアンタゴニスト、またはインターフェロンもしくはインターフェロン変異体より選択される。
【0065】
本発明の別の局面は、以下の工程:
a)当該異種ポリペプチドの発現に適した条件で、当該異種ポリペプチドをコードしている核酸を含む原核細胞を培養すること、
b)培養液または原核細胞から当該異種ポリペプチドを回収すること、
c)以下の順番で以下の工程:
α) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)疎水性相互作用クロマトグラフィー、
iii)アフィニティークロマトグラフィー、または
iv)イオン交換クロマトグラフィー
より選択される第1のクロマトグラフィー工程、
β) i)陰イオン交換クロマトグラフィー、
ii)陽イオン交換クロマトグラフィー、
iii)ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー、または
v)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー
より選択される第2のクロマトグラフィー工程、
γ) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー、
iii)陽イオン交換クロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー
より選択される第3のクロマトグラフィー工程
を含む方法で当該異種ポリペプチドを精製すること
を含むことを特徴とする、原核細胞における非グリコシル化異種ポリペプチドのリコンビナント製造のための方法である。
【0066】
一態様では、非グリコシル化異種ポリペプチドは、工程c)の後に得られる。例えば等電点(Ip)または表面に露出したアミノ酸残基の分布などの異なるポリペプチドの物理特性に依存した、異なるポリペプチドの異なる特性が原因で、全てのクロマトグラフィー法が全てのポリペプチドに適するわけではない。したがって、以下の条件が本発明の方法に適用される:
− 金属リガンドと相互作用できるポリペプチドの場合に、第1のクロマトグラフィー工程は、アフィニティークロマトグラフィーまたは疎水性電荷誘導クロマトグラフィーであり、
− 6.0未満の等電点を有するポリペプチドの場合に、第2のクロマトグラフィー工程はヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程ではなく、
− 第3のクロマトグラフィー工程は、低または高等電点を有するポリペプチドを用いたフロースルーモードで行うことができる。
【0067】
本出願に使用される「適切な条件で」という用語は、ポリペプチドを発現している細胞の培養に使用される条件であって、当業者に公知であるか、または容易に決定されうる条件を意味する。これらの条件は、培養される細胞の種類および発現されるポリペプチドの種類に応じて変動しうることが、当業者に公知である。一般に、細胞は、例えば20℃から40℃の温度で、効果的に製造するために十分な時間、例えば4〜28日間培養される。
【0068】
一態様では、当該クロマトグラフィー工程は、結合−溶離モードで行われる。本発明に使用される「結合−溶離モード」という用語は、精製されるべき、関心が持たれる物質を含有する溶液を、固定相、好ましくは固相と接触させる、精製法の動作モードを意味し、ここで、関心が持たれる物質は固定相に結合する。結果として、関心が持たれる物質は固定相に保持されるが、関心が持たれない物質は貫流液または上清と共に除去される。関心が持たれる物質は、その後、場合により洗浄工程の後に第二工程で固定相から溶離され、それにより、溶離液と共に固定相から回収される。
【0069】
「PEG化」という用語は、ポリペプチドのN末端および/または内部リシン残基でのポリエチレングリコール残基の共有結合の形成を意味する。タンパク質のPEG化は、当該技術において広く公知であり、例えばVeronese, F.M., Biomaterials 22 (2001) 405-417に総説されている。PEGは、異なる官能基、および異なる分子量を有するポリエチレングリコール、直鎖および分岐PEG、ならびに異なる連結基を使用して連結することができる(Francis, G. E., et al., Int. J. Hematol. 68 (1998) 1-18; Delgado, C, et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Systems 9 (1992) 249-304もまた参照されたい)。活性化PEG誘導体は、当技術分野において公知であり、例えばPEG−ビニルスルホンについてはMorpurgo, M., et al., J. Bioconjug. Chem. 7 (1996) 363-368に記載されている。直鎖および分岐鎖PEG種は、PEG化フラグメントの調製に適する。反応性PEG試薬の例は、ヨードアセチルメトキシ−PEG、またはメトキシ−PEG−ビニルスルホンである。
【0070】
本発明の方法の一態様では、エンドトキシンおよび/またはE. coli DNAおよび/またはE. coli細胞タンパク質の含量は、第1のクロマトグラフィー工程前の含量と比較して、第3のクロマトグラフィー工程後に得られたポリペプチド溶液で減少している。
【0071】
別の態様では、本発明の方法は、封入体による原核細胞における非グリコシル化異種ポリペプチドのリコンビナント製造のための方法であって、以下の工程:
a)当該異種ポリペプチドの発現および当該異種ポリペプチドを含有する封入体の形成に適した条件で、当該異種ポリペプチドをコードする核酸を含む原核細胞を培養すること、
b)原核細胞から当該封入体を回収すること、
c)当該封入体から当該異種ポリペプチドを溶解および再生すること、
d)本発明の第1の局面の方法で当該異種ポリペプチドを精製すること
を含む方法である。
【0072】
一態様では、非グリコシル化異種ポリペプチドは工程d)の後に得られる。封入体は、細胞質に見出され、発現したポリペプチドを水に不溶の凝集形態で含有する。通常は、封入体中のそのようなタンパク質は、変性形態である(例えばランダムに連結したジスルフィド架橋)。これらの封入体は、例えば細胞溶解後の遠心分離により他の細胞構成要素から分離される。本発明により、封入体は変性条件で洗浄される。そのような変性剤は、当該技術において周知であり、例えば、塩酸グアニジウムの高濃縮溶液(例えば約6mol/l)または尿素(例えば約8mol/l)である。変性剤は、好ましくは緩衝溶液として使用される。洗浄後に、封入体は溶解される。
【0073】
「PEG化」という用語は、ポリペプチドのN末端および/または内部リシン残基でのポリエチレングリコール残基の共有結合を意味する。タンパク質のPEG化は、当該技術において広く公知であり、例えば、Veronese, F.M., Biomaterials 22 (2001) 405-417に総説されている。PEGは、異なる官能基、および異なる分子量を有するポリエチレングリコール、直鎖および分岐PEG、ならびに異なる連結基を使用して連結することができる(Francis, G.E., et al., Int. J. Hematol. 68 (1998) 1-18; Delgado, C., et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Systems 9 (1992) 249-304もまた参照されたい)。PEG化は、例えば国際公開公報第00/44785号に記載されたように、一態様では分子量5kDaから40kDaのNHS−活性化直鎖または分岐PEG分子を使用することによって、PEG化試薬を用いて水溶液中で行うことができる。PEG化は、また、Lu, Y., et al., Reactive Polymers 22 (1994) 221-229に準じて固相で行うことができる。ランダムではなく、N末端がPEG化されたポリペプチドは、また、国際公開公報第94/01451号に準じて製造することができる。
【0074】
活性化PEG誘導体は、当技術分野で公知であり、例えば、PEG−ビニルスルホンについてはMorpurgo, M., et al., J. Bioconjug. Chem. 7 (1996) 363-368に記載されている。直鎖および分岐鎖PEG種は、PEG化フラグメントの調製に適する。反応性PEG試薬の例は、ヨードアセチルメトキシ−PEG、またはメトキシ−PEG−ビニルスルホン(mは、好ましくは約450〜約900の整数であり、Rは、メチル、エチル、イソプロピルなどの1〜6個の炭素原子を有する、直鎖または分岐C−C−アルキルであり、ここで、一態様では、R=メチルである):
【0075】
【化1】

である。
【0076】
これらのヨード活性化物質の使用は、当技術分野で公知であり、例えばHermanson, G. T.によってBioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego (1996) p.147-148に記載されている。
【0077】
一態様では、PEG種は、活性化PEGエステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルプロピオネート、またはN−ヒドロキシスクシンイミジルブタノエート、またはPEG−NHSなどのN−ヒドロキシスクシンイミドである(Monfardini, C, et al., Bioconjugate Chem. 6 (1995) 62-69)。一態様では、活性化N−ヒドロキシスクシンイミドエステルは、メトキシ−PEG−N−ヒドロキシスクシンイミド(MW30000;Shearwater Polymers, Inc.)などのアルコキシ−PEG−N−ヒドロキシスクシンイミドを使用する
【0078】
【化2】

[式中、Rおよびmは上記と同義である]である。一態様では、PEG種は、メトキシポリ(エチレングリコール)−酪酸のN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルである。「アルコキシ」という用語は、「アルキル」という用語が最大4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する場合のアルキルエーテル基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、好ましくはメトキシを表す。
【0079】
本発明の一局面は、以下の順番で以下の工程:
a) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)疎水性相互作用クロマトグラフィー、
iii)アフィニティークロマトグラフィー、または
iv)イオン交換クロマトグラフィー
より選択される第1のクロマトグラフィー工程、
b) i)陰イオン交換クロマトグラフィー、
ii)陽イオン交換クロマトグラフィー、
iii)ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー、または
v)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー
より選択される第2のクロマトグラフィー工程、
c) i)疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー、
iii)陽イオン交換クロマトグラフィー、または
iv)疎水性相互作用クロマトグラフィー
より選択される第3のクロマトグラフィー工程
を含むことを特徴とする、原核細胞においてリコンビナント製造された非グリコシル化異種ポリペプチドの精製のための方法であり、
ここで、
− 金属リガンドと相互作用できるポリペプチドの場合に、当該第1のクロマトグラフィー工程は、アフィニティークロマトグラフィーまたは疎水性電荷誘導クロマトグラフィーであり、
− 6.0未満の等電点を有するポリペプチドの場合に、当該第2のクロマトグラフィー工程は、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程ではなく、
− 低または高等電点を有するポリペプチドについて、当該第3のクロマトグラフィー工程はフロースルーモードで行うことができ、
但し、三つのクロマトグラフィー工程の組合せが、
− アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー、
− 疎水性相互作用クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィー、
− 陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー、
− 陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィー、
− 陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー
ではないことを条件とする。
【0080】
本発明の方法の一態様では、非グリコシル化異種ポリペプチドは、第3のクロマトグラフィー工程の後に得られる。
【0081】
本出願に使用される「同等」という用語は、二つの結果が相互に10%以内であることを意味する。例えば純度90%および純度95%は、95%が純度90%の10%以内であることから同等である(90%+90%の10%=90%+9%=99%)。
【0082】
以下の実施例、参照、および図面は、本発明、添付の特許請求の範囲に示される真の範囲の理解を助けるために提供される。本発明の精神を逸脱せずに示される手順に改変を加えられることが了解されている。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】第1のHCICの前(a)および後(b)のIGF−1アゴニストの逆相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図2】ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程の前(a)および後(b)のIGF−1アゴニストの逆相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図3】第2のHCICの前(a)および後(b)のIGF−1アゴニストの逆相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図4】HICの前(a)および後(b)のIGF−1アゴニストの逆相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図5】陽イオン交換クロマトグラフィー工程の前(a)および後(b)のIGF−1アゴニストの逆相HPLCクロマトグラムを示す図である。
図6】陰イオン交換クロマトグラフィー工程の前(a)および後(b)のIGF−1アゴニストの逆相HPLCクロマトグラムを示す図である。
【0084】
実験の部
材料および方法:
特に示さない限り、異なるクロマトグラフィー法は、クロマトグラフィー材料の製造業者のマニュアルに準じて行った。
【0085】
リコンビナントDNA技法:
Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載されたような標準法をDNAの操作に使用した。分子生物試薬は、製造業者の説明書に準じて使用した。
【0086】
タンパク質の測定:
アミノ酸配列に基づき計算したモル吸光係数を使用して、参照波長320nmで280nmの光学的密度(OD)を測定することにより、タンパク質濃度を決定した。
【0087】
サイズ排除HPLC:
クロマトグラフィーは、Tosoh Haas TSK 3000 SWXLカラムを用いてASI-100 HPLCシステム(Dionex, Idstein, Germany)で実施した。UVダイオードアレイ検出器(Dionex)により溶離ピークを280nmでモニターした。濃縮試料を1mg/mlに溶解させた後に、安定したベースラインが達成されるまで、200mMリン酸二水素カリウムおよび250mM塩化カリウムから成る緩衝液(pH7.0)でカラムを洗浄した。流速0.5ml/minを使用した均一濃度条件で分析運転を室温で30分間行った。Chromeleon(Dionex, Idstein, Germany)でクロマトグラムをマニュアル積分した。
【0088】
逆相HPLC(RP−HPLC):
純度をRP−HPLCにより分析する。アッセイは、アセトニトリル/水性TFA勾配をかけてPoroshellカラムで行う。溶離プロファイルは、215nmのUV吸光としてモニターする。溶離した物質の率は、溶離したタンパク質の総ピーク面積に基づき計算する。
【0089】
DNA−閾値システム:
例えばMerrick, H., and Hawlitschek, G., Biotech Forum Europe 9 (1992) 398-403を参照されたい。
【0090】
宿主細胞のタンパク質の測定:
マイクロタイタープレートのウェルの壁を血清アルブミンおよびストレプトアビジンの混合物でコーティングする。HCPに対するヤギ由来ポリクローナル抗体を、マイクロタイタープレートのウェルの壁に結合させる。洗浄工程の後に、マイクロタイタープレートの異なるウェルを、異なる濃度のHCP較正シーケンスおよび試料溶液と共にインキュベーションする。インキュベーション後に、緩衝溶液で洗浄することにより、結合していない試料物質を除去する。検出のためにウェルを抗体ペルオキシダーゼコンジュゲートと共にインキュベートし、結合した宿主細胞タンパク質を検出する。固定されたペルオキシダーゼ活性は、ABTSと一緒のインキュベーションおよび405nmでの検出により検出される。
【0091】
封入体の単離、溶解および再生のための一般法:
引用された刊行物で行われた方法に加えて、封入体の調製は、例えばRudolphら(Rudolph et al., Folding Proteins, T.E. Creighton (ed.): Protein function: A Practical Approach, 57 (1996))による方法に準じて行うことができる。封入体は−70℃で保存した。封入体の溶解は、同様に、Rudolphら(Rudolph et al., Folding Proteins, T.E. Creighton (ed.): Protein function: A Practical Approach, 57 (1996))による方法に準じて行うことができる。
【0092】
実施例1
IGF−1アゴニストの精製
ポリペプチドをE. coliで発現させた。ポリペプチドを最初にHCICカラムに、次にヒドロキシルアパタイトカラムに、最終的に第2のHCICカラムに適用する。
【0093】
クロマトグラフィー条件は以下の通りであった:
第1のカラム:
樹脂:一段階溶離としてMEP-Hypercel(Pall Corporation, USA)を用いたHCIC
ロード:カラム容積1mlあたり10mgのポリペプチド
緩衝液A:pH9.0に調整した25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液
緩衝液B:pH5.0に調整した10mM酢酸ナトリウム緩衝液
【0094】
IGF−1アゴニストを含有する溶液を第1工程で疎水性電荷誘導クロマトグラフィー材料(MEP-Hypercel、Pall Corporation製)の入ったカラムに適用した。
【0095】
図1にHCIC前後のIGF−1アゴニストの逆相クロマトグラムを示す。
【0096】
第2のカラム:
樹脂:ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー(Biorad Laboratories, USA)
ロード:カラム容積1mlあたり6.5mgのポリペプチド
緩衝液A:pH6.5に調整された5mMリン酸カリウム緩衝液
緩衝液B:pH6.5に調整された1M塩化ナトリウムを補充した10mM MES緩衝液
【0097】
図2に、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー工程の前後の逆相クロマトグラムを示す。
【0098】
第3のカラム:
樹脂:HEA-Hypercel(Pall Corporation, USA)を用いたHCIC
ロード:カラム容積1mlあたり20mgのポリペプチド
緩衝液A:pH4.0に調整された20mM酢酸ナトリウム緩衝液
【0099】
図3に、第2のHCIC工程前後の逆相クロマトグラム示す。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例2
IGF−1アゴニストの精製 − 実施例1の比較実施例
ポリペプチドを、最初にHICカラムに、続いて陽イオン交換クロマトグラフィーに、最後にフロースルーモードで運転された陰イオン交換クロマトグラフィーに適用する。
【0102】
第1のカラム:
樹脂:Super Butyl Toyopearl(Tosoh Haas Corp., USA)を用いたHIC
ロード:カラム容積1mlあたり5mgのポリペプチド
緩衝液A:pH8.0に調整された、1M塩化カリウムを補充された50mMリン酸カリウム緩衝液
緩衝液B:pH4.0に調整された、5〜10%(w/v)の2−プロパノール
【0103】
30カラム容にわたり0%(v/v)〜100%(v/v)の緩衝液Bの直線勾配をかけて溶離を行った。
【0104】
図4は、HIC工程前後の逆相クロマトグラムを示す。
【0105】
第2のカラム:
樹脂:CM-Sepharose FF(GE-Healthcare., USA)を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり4.1mgのポリペプチド
緩衝液A:pH5.8に調整された50mM酢酸
緩衝液B:pH9.5に調整された、1M塩化ナトリウムを補充された100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液
【0106】
溶離を以下のように行った:
開始時に15%(v/v)緩衝液Bに取り換え、15%(v/v)の緩衝液Bを5カラム容の間維持し、その後55%(v/v)緩衝液Bまで20カラム容にわたり直線勾配をかけ、最終的に55%(v/v)緩衝液Bを10カラム容の間維持する。
【0107】
図5に、陽イオン交換クロマトグラフィー工程前後の逆相クロマトグラムを示す。
【0108】
第3のカラム:
樹脂:Q-Sepharose(GE-Healthcare., USA)をフロースルーモードで用いた陰イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり20mgのポリペプチド
緩衝液A:pH9.5に調整された25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液
緩衝液B:10mM酢酸(pH3.6)
【0109】
図6に、陰イオン交換クロマトグラフィー工程前後の逆相クロマトグラムを示す。
【0110】
【表2】
【0111】
実施例3
インターフェロンの精製
ポリペプチドを最初にHICカラムに、次に陰イオン交換カラムに、最終的に陽イオン交換カラムに適用する。
【0112】
クロマトグラフィー条件は以下の通りであった:
第1のカラム:
樹脂:一段階溶離としてブチルセファロース(GE-Healthcare, USA)を有するHIC
ロード:カラム容積1mlあたり8mgのポリペプチド
緩衝液A:pH8.0に調整された20mMリン酸カリウム緩衝液
【0113】
第2のカラム:
樹脂:Q-Sepharose FF(GE-Healthcare, USA)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり1.5mgのポリペプチド
緩衝液A:pH5.9に調整された30mM酢酸アンモニウム
緩衝液B:pH3.5に調整された1.8mM酢酸アンモニウム
【0114】
以下のように溶離を行った:
開始時に15%(v/v)緩衝液Bに取り換え、15%(v/v)緩衝液Bを3カラム容の間維持し、その後90%(v/v)緩衝液Bまで37.5カラム容にわたり直線勾配をかける。
【0115】
第3のカラム:
樹脂:一段階溶離としてSP-Sepharoseを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり2.84mgのポリペプチド
緩衝液A:pH9.0に調整された、250mM塩化ナトリウムを補充された50mMホウ酸緩衝液
【0116】
【表3】
【0117】
実施例4
インターフェロンの精製 − 実施例3の比較実施例
ポリペプチドを最初にHICカラムに、次に陽イオン交換カラムに、最終的に陰イオン交換カラムに最初に適用する。
【0118】
クロマトグラフィー条件は以下の通りであった:
第1のカラム:
樹脂:ブチルセファロース(GE-Healthcare, USA)を用いたHIC
ロード:カラム容積1mlあたり8mgのポリペプチド
緩衝液A:pH8.0に調整された、2mM塩化カリウムを補充された20mMリン酸カリウム緩衝液
緩衝液B:pH8.0に調整された20mMリン酸カリウム緩衝液
【0119】
第2のカラム:
樹脂:CM Toyopearl(Tosoh Hass Corp., USA)を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり5mgのポリペプチド
緩衝液A:平衡化:pH4.0に調整された75mM酢酸ナトリウム
洗浄:pH5.5に調整された15mM酢酸ナトリウム
緩衝液B:pH7.0に調整された30mM酢酸ナトリウム
【0120】
第3のカラム:
樹脂:Q-Sepharoseを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり3mgのポリペプチド
緩衝液A:pH6.8に調整された30mM酢酸アンモニウム緩衝液
緩衝液B:1)pH6.5に調整された25mM酢酸アンモニウム、
2)pH4.5に調整された、3mM酢酸を補充された1.8mM酢酸アンモニウム
【0121】
【表4】
【0122】
実施例5
インターフェロンの精製 − 実施例3および4の比較実施例
最初に金属キレートカラムに、次に陽イオン交換カラムに、最終的に陰イオン交換カラムにポリペプチドを適用する。
【0123】
クロマトグラフィー条件は以下の通りであった:
第1のカラム:
樹脂:一段階溶離としての銅キレートセファロース(GE-Healthcare, USA)
ロード:カラム容積1mlあたり51mgのポリペプチド
緩衝液A:平衡化:pH6.45に調整された、150mM塩化ナトリウムおよび20mMリン酸ナトリウム緩衝液を補充された300mM塩酸グアニジウム
洗浄:pH4.95に調整された、100mM塩化ナトリウムを補充された50mM酢酸
緩衝液B:pH3.9に調整された、100mM塩化ナトリウムを補充された50mM酢酸
【0124】
第2のカラム:
樹脂:一段階溶離としてCM Toyopearl(Tosoh Hass Corp., USA)を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり5mgのポリペプチド
緩衝液A:平衡化:pH4.0に調整された75mM酢酸ナトリウム
洗浄:pH5.5に調整された15mM酢酸ナトリウム
緩衝液B:pH7.0に調整された30mM酢酸ナトリウム
【0125】
第3のカラム:
樹脂:Q-Sepharoseを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー
ロード:カラム容積1mlあたり3mgのポリペプチド
緩衝液A:pH6.8に調整した30mM酢酸アンモニウム緩衝液
緩衝液B:1)pH6.5に調整した25mM酢酸アンモニウム
2)pH4.5に調整された、3mM酢酸を補充された1.8mM酢酸アンモニウム
【0126】
以下のように溶離を行った:開始時に10%(v/v)緩衝液Bに取り換え、15%(v/v)の緩衝液Bを3カラム容の間維持し、その後90%(v/v)緩衝液Bまで27.5カラム容にわたり直線勾配をかける。
【0127】
【表5】
図1a)】
図1b)】
図2a)】
図2b)】
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
図5a)】
図5b)】
図6a)】
図6b)】