特許第5944123号(P5944123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944123
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】電圧非直線性抵抗素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 17/065 20060101AFI20160621BHJP
   H01C 7/112 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01C17/065 110
   H01C7/112
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-161890(P2011-161890)
(22)【出願日】2011年7月25日
(65)【公開番号】特開2013-26545(P2013-26545A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】511180167
【氏名又は名称】株式会社立山科学デバイステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】大坪 恵輔
(72)【発明者】
【氏名】増山 智英
(72)【発明者】
【氏名】高野 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】村田 良一
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−132102(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0010894(KR,A)
【文献】 特開2008−277786(JP,A)
【文献】 特開2007−043133(JP,A)
【文献】 特表2009−529233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02−7/22
H01C 17/00−17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に、酸化亜鉛を主成分とし希土類酸化物を含む添加物から成る機能膜組成物のペーストを所定パターンで印刷し、
前記機能膜組成物のペーストが印刷された前記絶縁基板を、1000℃〜1400℃の温度で焼成して、前記絶縁基板上に、前記酸化亜鉛を主成分とし前記希土類酸化物を含む添加物から成る機能膜を形成するとともに、前記絶縁基板表面と前記機能膜との境界の前記機能膜中に、前記希土類酸化物の化合物層を形成し、
前記絶縁基板の両端部から前記機能膜表面にかけて、電極ペーストを所定形状に印刷し、800℃〜900℃の範囲で焼付けて一対の内部電極を形成し、
前記機能膜表面及び前記機能膜上の前記内部電極を覆うように、保護層を印刷形成し、500℃〜650℃の範囲で焼付けすることを特徴とする電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
【請求項2】
前記機能膜組成物は、前記希土類酸化物に、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化クロムのうち少なくとも1種類から成る添加物Xを、下記のmol%及び質量比の範囲で含み、ガラス成分を有せず、
80.0mol%≦a≦99.0mol%、1.0mol%≦b≦20.0mol%、0.01≦P/X≦3.5
a:酸化亜鉛、b:希土類酸化物と添加物Xの混合物、P:希土類酸化物、X:添加物X、
前記ペーストは、前記機能膜組成物の粉末に有機成分を混合して成り、
前記ペーストを前記絶縁基板上に所定のパターンで印刷して形成する請求項1記載の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
【請求項3】
前記希土類酸化物は、酸化プラセオジムである請求項2記載の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
【請求項4】
前記希土類酸化物の化合物は、前記絶縁基板中の不純物との化合物である請求項3記載の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
【請求項5】
前記機能膜中に形成される前記化合物層は、前記機能膜を焼成して形成する際に、前記機能膜の組成中の主成分の結晶粒界から前記酸化プラセオジムが移動するとともに、前記絶縁基板中の前記不純物が前記機能膜中に侵入して前記酸化プラセオジムと反応して形成される請求項4記載の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印加電圧により抵抗値が非直線性を有して変化する、厚膜構造の抵抗体から成るバリスタ素子等の電圧非直線性抵抗素子製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サージ電圧を吸収するいわゆるバリスタ素子または保護素子として、例えば特許献1,2,3に開示されているようないわゆる厚膜構造の素子があった。この素子は、セラミックス等の絶縁基板上に、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として、Mn・Co・Bi・Sb等の酸化物のいずれかを副成分として含む機能膜が、塗布又は印刷工程及び焼成工程等を経て設けられている。
【0003】
このような電圧非直線性抵抗素子の構造は、例えば図7に示すように、アルミナのセラミック基板1の表面に、一対の内部電極2が形成され、この内部電極2の対向する端部同士のギャップ2a及び内部電極2を覆うようにバリスタ機能膜3が形成されているものである。バリスタ機能膜3は、ガラス等の保護層4により被覆されている。さらに、内部電極2の両端部は、セラミック基板1の両端部及び裏面に設けられた外部電極5に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−266479号公報
【特許文献2】特開2004−40023号公報
【特許文献3】特開2004−6594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電圧非直線性素子を製造する際に、セラミック基板1と機能膜3を密着させるためには、機能膜3を形成する成分のペーストを内部電極2上に印刷形成した後、特許文献3に開示されているようなプレス工程が必要であった。しかし、機能膜3の印刷形成後にプレス工程を行うことは、製造工程が増加しコストがかかることから、これを省略した製造方法も行われている。
【0006】
プレス工程を省略してセラミック基板1と機能膜3を緊密に密着させるには、1000℃以上の高温で焼成し、機能膜3の材料中の結晶粒成長を促進すれば良い。しかし、このような高温で焼成する場合に、一般的な純度96%のアルミナ基板をセラミック基板1として用いると、セラミック基板1中の不純物であるMg、Ca、Na等が内部電極2や機能膜3中に析出して、内部電極2の表面や機能膜3を浸食し、内部電極2や機能膜3の電気抵抗を増加させ電気的特性を低下させるという問題があった。
【0007】
そこで、1000℃未満で焼成しても強固な密着性を得るために、機能膜3を形成する材料中にガラス材料を混合し、低温焼成によってもセラミックス基板1と機能膜3との隙間を埋め密着性を高める製造方法が一般的に用いられている。
【0008】
しかし、機能膜3の材料としてガラス成分を添加することにより、機能膜3に高電圧が印加された際に、機能膜3が発熱し機能膜3自身が破壊する恐れがあった。
【0009】
一方、高温で焼成しても不純物の析出のない高純度のアルミナセラミックスの基板を用いることもできるが、高純度のアルミナセラミック基板は硬度が高く加工しにくく、コストもかかるものであった。
【0010】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みて成されたもので、簡単な構成で、機能膜とセラミック基板との密着性が良く、製造も容易でありコストも掛からない電圧非直線性抵抗素子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、絶縁基板上に、酸化亜鉛を主成分とし酸化プラセオジム等の希土類酸化物を含む添加物から成る機能膜組成物のペーストを所定パターンで印刷し、前記機能膜組成物のペーストが印刷された前記絶縁基板を、1000℃〜1400℃の温度で焼成して、前記絶縁基板上に、前記酸化亜鉛を主成分とし前記希土類酸化物を含む添加物から成る機能膜を形成するとともに、前記絶縁基板表面と前記機能膜との境界の前記機能膜中に、前記希土類酸化物の化合物層を形成し、前記絶縁基板の両端部から前記機能膜表面にかけて、電極ペーストを所定形状に印刷し、800℃〜900℃の範囲で焼付けて一対の内部電極を形成し、前記機能膜表面及び前記機能膜上の前記内部電極を覆うように、保護層を印刷形成し、500℃〜650℃の範囲で焼付けする電圧非直線性抵抗素子の製造方法である。
【0012】
前記機能膜組成物は、前記希土類酸化物に、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化クロムのうち少なくとも1種類を含む添加物Xを、下記のmol%及び質量比の範囲で含み、
80.0mol%≦a≦99.0mol%、1.0mol%≦b≦20.0mol%、0.01≦P/X≦3.5
a:酸化亜鉛、b:希土類酸化物と添加物Xの混合物、P:希土類酸化物、X:添加物X、
ガラス成分を有せず、前記ペーストは、前記機能膜組成物の粉末に有機成分を混合して成り、前記ペーストを前記絶縁基板上に所定のパターンで印刷して形成するものである。
【0013】
前記希土類酸化物は、例えば、酸化プラセオジムである。また、前記希土類酸化物の化合物は、前記絶縁基板中の不純物との化合物である。
【0014】
前記機能膜中に形成される前記化合物層は、前記機能膜を焼成して形成する際に、前記機能膜の組成中の主成分の結晶粒界から前記酸化プラセオジムが移動するとともに、前記絶縁基板中の前記不純物が前記機能膜中に侵入して前記酸化プラセオジムと反応して形成されるものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の電圧非直線性抵抗素子の製造方法による素子は、厚膜構造の電圧非直線性抵抗素子により、機能膜や内部電極へのセラミック基板からの不純物の析出が阻止され、電気的特性が良好であり、機能膜とセラミック基板との密着性も高い良いものである。これにより、使用中に素子が破壊することが防止され、耐久性の高い素子を提供することができ、安全性も高いものとすることができる。
特に、希土類酸化物を酸化プラセオジムとすることにより、高性能電圧非直線性抵抗素子を高品質に製造することができる。
【0016】
さらに、この発明の電圧非直線性抵抗素子の製造方法によれば、機能膜とセラミック基板との密着性が良い電圧非直線性抵抗素子を、コストをかけずに高品質で製造することができる。特に、高温焼成により機能膜の製造が可能となり、絶縁基板と機能膜との密着性が高いものを容易に製造することができる。厚膜構造の電圧非直線性抵抗素子を高品質に製造することができ、機能膜や内部電極へのセラミック基板からの不純物の析出が阻止され、電気的特性が良好であり、機能膜とセラミック基板との密着性も高い良い素子を容易に製造することができる。さらに、内部電極は、機能膜の焼成後に形成するため、絶縁基板中の不純物が内部電極へ侵入することがない。また、機能膜中にガラス材料を設けないことにより、機能膜に高電圧が印加された際も機能膜が発熱して破壊することがなく、耐久性が高く安全性も高いものとすることができ、電気的特性の劣化もない素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の一実施形態の電圧非直線性抵抗素子の平面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】この発明の一実施形態の電圧非直線性抵抗素子を説明する断面の模式図である。
図4】この発明の一実施形態の電圧非直線性抵抗素子の製造工程を示すフローチャートである。
図5】この発明の電圧非直線性抵抗素子の一実施例の部分縦断面写真である。
図6】この発明の他の実施形態の電圧非直線性抵抗素子の縦断面図である。
図7】従来の電圧非直線性抵抗素子を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について説明する。図1図5は、この発明の一実施形態の電圧非直線性抵抗素子10を示す。この電圧非直線性抵抗素子10は、表面実装型のチップ型バリスタ素子であって、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、酸化プラセオジムと添加物Xを含む組成物粉末から形成されたバリスタ特性を有する機能膜12が、例えば純度96%アルミナセラミックス等の汎用の絶縁基板14上に形成されている。一対の内部電極16は、Ag、Pd、Pt、Auのうち少なくとも1種類を含むペースト化した導電性塗料を用いて、スクリーン印刷により棒状や櫛形、その他所定の形状に形成されている。
【0019】
長方形の絶縁基板14の一対の両端部から機能膜12上にかけて、一対の内部電極16が形成されている。一対の内部電極16の対向する端面は、所定の間隔のギャップ16aを開けて設けられている。
【0020】
絶縁基板14上の機能膜12は、酸化亜鉛を主成分とした組成物粉末に、酸化プラセオジムと添加物X(酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化クロムのうち少なくとも1種類から成る添加物)を下記のmol%及び質量比の範囲で含む。
80.0mol%≦a≦99.0mol% 、 1.0mol%≦b≦20.0mol% 、 0.01≦P/X≦3.5
好ましくは、0.1≦P/X≦1.0
ここで、a:酸化亜鉛、b:酸化プラセオジムと添加物Xの混合物、P:酸化プラセオジム、X:添加物X、である。
【0021】
上記範囲の機能膜成分は、有機バインダ等の有機成分を、機能膜成分50%〜85%、有機成分50%〜15%から成るバインダを加えて、ペースト化したものを、スクリーン印刷により絶縁基板14上に印刷して形成されている。
【0022】
機能膜12と、内部電極16のギャップ16aを覆うように、ガラス及び樹脂から成る保護層18が設けられている。保護層18は、SiO2、Bi2O3、B2O3、ZnO、BaOのいずれか2種類以上からなるガラスセラミックスである。
【0023】
また、絶縁基板14の端面には、内部電極16の端部と接するようにして、各々Ni、Snを用いて電解メッキ法にて形成された外部電極20が設けられている。外部電極20は、電圧非直線性抵抗素子10が面実装可能に、絶縁基板14の表面側から端面及び裏面の端部にまたがって形成されている。
【0024】
この実施形態の電圧非直線性抵抗素子10の機能膜12には、図3の模式図及び図5の顕微鏡写真に示すように、機能膜12と絶縁基板14の境界14a上の機能膜12内に、酸化プラセオジム化合物層22が形成されている。この酸化プラセオジム化合物層22は、機能膜12を焼成して形成する際に、機能膜12の組成中の主成分である酸化亜鉛の結晶粒界から酸化プラセオジムが移動するとともに、絶縁基板14中の不純物14bが機能膜12中に侵入して酸化プラセオジムと反応し、境界14a上の機能膜12中に酸化プラセオジム化合物が形成されるものである。絶縁基板14中の不純物としては、Mg、Ca、Na等がある。
【0025】
次に、この実施形態の電圧非直線性抵抗素子10の製造方法について、図4に基づいて説明する。まず、酸化亜鉛の粉末に、上記所定量の酸化プラセオジムの粉末と添加物Xの粉末を添加し、混合する(S1)。次に、有機バインダを上記の割合で加えて混合し、スクリーン印刷が可能な粘度に調整し、機能膜印刷用の機能膜組成物のペーストを作成する(S2)。この機能膜組成物は、機能膜12の成分割合と同様のもので、酸化亜鉛を主成分とした組成物粉末に、酸化プラセオジムと添加物X(酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化クロムのうち少なくとも1種類から成る添加物)を、下記のmol%及び質量比の範囲で含む。
80.0mol%≦a≦99.0mol%、 1.0mol%≦b≦20.0mol%、 0.01≦P/X≦3.5
好ましくは、0.1≦P/X≦1.0
ここで、a:酸化亜鉛、b:酸化プラセオジムと添加物Xの混合物、P:酸化プラセオジム、X:添加物X、である。
【0026】
この後、スクリーン印刷により、純度96%のアルミナ基板である絶縁基板14上に、機能膜組成物のペーストを印刷形成する(S3)。そして、機能膜組成物のペーストが印刷された絶縁基板14を、1000℃〜1400℃、より好ましくは1050℃〜1250℃の範囲で焼成し、機能膜12を形成する(S4)。次に、機能膜12の上部に一対の内部電極16を形成する。内部電極16も、電極ペーストをスクリーン印刷により所定形状に形成し、800℃〜900℃の範囲で焼付けする(S5)。この後、機能膜12及び機能膜12上の内部電極16を覆うように保護層18を印刷形成し、500℃〜650℃の範囲で焼付けする(S6)。さらに、焼成した多数個取りの絶縁基板14について、所定の単位に分割した後、Ni、Snの電解メッキを施し、外部電極20を形成して、チップ型バリスタ素子である電圧非直線性抵抗素子10を形成する(S7)。
【0027】
この実施形態の電圧非直線性抵抗素子10は、上記組成物による機能膜12を印刷形成して絶縁基板14上に焼成することにより、図3に示す模式図、及び図5に示す実施例の顕微鏡写真のように、機能膜12と絶縁基板14の境界14a上の機能膜12中には、酸化プラセオジム化合物層22が形成されるので、機能膜12を1000℃を超える高温で焼成しても、機能膜12の全体に絶縁基板14中の不純物が析出することはなく、機能膜12の電気的特性の劣化が生じない。しかも高温で焼成するので、機能膜12の絶縁基板14への密着性も良い。内部電極16は、機能膜12の焼成後に形成するため、絶縁基板14中の不純物が内部電極16へ侵入することもなく、内部電極16の電気的特性の劣化もない。また、絶縁基板14との密着性を上げるために、機能膜12にガラスを添加する必要がないので、高電圧が印加された際にも発熱しにくく破壊することもない。その他、絶縁基板14として汎用のアルミナ基板を用いることができ、高純度のアルミナ基板を用いる必要がないので、コストも抑えることができる。
【0028】
なお、この発明の電圧非直線性抵抗素子は上記実施形態に限定されるものではなく、図6に示すように、内部電極16が機能膜12を挟んで対面した構成の電圧非直線性抵抗素子10にも適用できるものである。この場合、絶縁基板14表面に形成された一方の内部電極16には、絶縁基板14中の不純物14bの影響を受けるが、機能膜12には、酸化プラセオジム化合物層22が絶縁基板14との境界14aに形成されるので、機能膜12の電気的特性の劣化は生じない。また、内部電極16への影響も、一方の電極のみであり、良好なバリスタ特性を得ることができる。
【0029】
また、機能膜に添加する酸化プラセオジムは、他の希土類元素であるランタンやイットリウムに置き換えても良い。絶縁基板は、アルミナセラミックス以外にアルミナと二酸化珪素の化合物であるムライトや、アルミナと酸化マグネシウム、二酸化珪素から成るコージュライト等のセラミックス材料の基板を用いても良い。酸化プラセオジム等の希土類酸化物と機能膜中で反応する物質は、絶縁基板中の不純物の他、希土類酸化物と反応させるために絶縁基板中又は表面にMg、Ca、Na等が存在するように絶縁基板を製造したものでも良い。
【符号の説明】
【0030】
10 電圧非直線性抵抗素子
12 機能膜
14 絶縁基板
14a 境界
16 内部電極
18 保護層
20 外部電極
22 酸化プラセオジム化合物層
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図5