(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態に係る内燃機関の可変動弁装置の詳細を図面に基づいて説明する。
【0015】
〈可変動弁装置の構成〉
図1〜5を用いて本発明の実施の形態に係る可変動弁装置100の構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る可変動弁装置100は、カム軸1と、このカム軸1に固定されたカム2と、カム軸1の側方にカム軸1と平行に配置された支持軸3と、揺動動作に伴って他端部側で吸気バルブ4を開閉させるロッカアーム5と、揺動アーム6と、油圧アクチュエータ20と、アキュムレータとしてのオイルリザーブタンク30と、ソレノイドバルブ40と、エンジンコントロールユニット(ECU)50と、を備える。
【0016】
(吸気バルブ)
吸気バルブ4は、図示しないシリンダヘッド側のバルブガイドで軸方向に進退可能に設けられ、上端がバルブリテーナ17で支持されたバルブスプリングにより引き上げる方向(吸気ポートと燃焼室とを閉じる方向)に付勢されている。
図5に示すように、吸気バルブ4は、閉弁時にシリンダヘッド側に設けられたバルブシート(弁座)18に接触している。
【0017】
(カム)
カム軸1は、図示しないシリンダヘッド側の軸受け部に回転自在に支持され、図示しないチェーンやベルト等により図示しないクランクシャフトと連動して回転するようになっている。カム軸1の回転数は、例えばクランクシャフトの回転数の1/2となるように設定されている。また、本実施の形態において、このカム軸1は、図示しないエンジンの前後方向(
図1および
図2に矢印で示す方向)に沿って延びるように配置されている。
【0018】
カム2は、基礎となるベース円部2Aと、ベース円部2Aより外側へ膨出するように形成されたノーズ部2Bと、を有する。カム2は、ベース円部2Aの中心にカム軸1が圧入、嵌合されて一体に設けられている。したがって、カム2のカム軸1に対する配置状態により、図示しないクランクシャフトの動作に伴って動作する吸気バルブ4のリフト開始のタイミングが規定されている。
【0019】
(ロッカアーム)
ロッカアーム5は、一端部が支持軸3に揺動自在に軸支されている。ロッカアーム5の中央には、揺動アーム6が揺動可能に軸支されている。ロッカアーム5の他端側のアーム先端部5Aには、吸気バルブ4の上端に当接するアジャストスクリュー9が下方に突出するようにロックナット10で締結されている。このアジャストスクリュー9がアーム先端部5Aより下方に突出する長さを調整することにより、吸気バルブ4のバルブクリアランスを適宜調整することができる。なお、ロッカアーム5の一端側には、図示しないシリンダヘッド側に設けられたギャップセンサ7と対向する位置に被検出部5Bが設けられている。
【0020】
(揺動アーム)
揺動アーム6は、中間部が、ロッカアーム5に対して回転軸としての支点アームピン8で軸支されている。なお、支点アームピン8は、抜け止めクリップ8Aで抜けないように固定されている。この揺動アーム6は、一対の中間部で屈曲したアームプレート12を備える。これら一対のアームプレート12の一方の端部同士は、第1接触部としての円筒状の第1入力ローラ15が介在され、この第1入力ローラ15は第1ローラピン16で回転自在に軸支されている。また、一対のアームプレート12の他方の端部同士は、第2接触部としての円筒状の第2入力ローラ13が介在されている。この第2入力ローラ13は、第2ローラピン14で回転自在に軸支されている。第1入力ローラ15は、カム2のカム面が常時接触するように設定されている。第2入力ローラ13は、後述する油圧アクチュエータ20の出没部としてのタペット23に常時接触するように設定されている。
【0021】
(油圧アクチュエータ)
図3に示すように、本実施の形態で用いる油圧アクチュエータ20は、内部に第1油圧室構成管21Aを同軸的に備えるガイド筒21と、第1油圧室構成管21Aにスライド自在に嵌合する第2油圧室構成管22Aを備えたピストン22と、ピストン22を収納した状態でガイド筒21にスライド自在に嵌合する円筒容器状のタペット23と、ガイド筒21とピストン22との間に介在されピストン22およびタペット23をガイド筒21から突出する方向に付勢するリターンスプリング24と、ガイド筒21の上部に設けられ第1油圧室構成管21Aに連通するオイル通路ケース25と、オイル通路ケース25に設けられたチェックバルブ26と、チェックバルブ26を介してオイル通路ケース25に連通するオイル供給通路27と、オイル供給通路27に接続されたオイルポンプ28と、を備えて構成されている。
【0022】
第1油圧室構成管21Aと第2油圧室構成管22Aとで形成される内部空間は、油圧室29を構成している。オイル通路ケース25の上部には、オイル供給通路27に連通する入口部25Aが形成されている。また、オイル通路ケース25の側部には、出口部25Bが形成されている。この出口部25Bには、作動油の流通が可能なオイルリリーフ通路31が連通している。
【0023】
チェックバルブ26は、チェックボール26Aと、チェックボール26Aを保持する中央に流通孔が形成されたすり鉢状の保持板26Bと、チェックボール26Aの下流側に配置されたチェックボールリテーナ26Cと、チェックボールリテーナ26Cとガイド筒21との間に介在されてチェックボールリテーナ26Cを押し上げるように付勢されているチェックボール用リターンスプリング26Dと、備えている。
【0024】
(オイルリザーブタンクおよびソレノイドバルブ)
図4に示すように、オイルリザーブタンク30は、下部にオイルリリーフ通路31が連通するシリンダ32と、このシリンダ32内に収納されたピストン33と、シリンダ32の上部内壁とピストン33との間に介在されピストン22をシリンダ32の下部内壁へ向けて付勢するスプリング34と、備えて構成されている。シリンダ32の上部には、エア抜き孔32Aが形成されている。また、シリンダ32の側壁32Bの所定の高さ位置には、オイルリリーフ孔32Cが形成されている。
【0025】
オイルリリーフ通路31には、ソレノイドバルブ40のプランジャ41が出没することにより、オイルリリーフ通路31の開閉を行うようになっている。なお、ソレノイドバルブ40は、ECU50に格納された制御プログラムおよびロッカアーム5に設けられた被検出部5Bとの距離を検出したギャップセンサ7の出力信号に基づいてECU50により制御されるようになっている。
(可変動弁装置の動作)
次に、本実施の形態に係る可変動弁装置100の動作について説明する。
【0026】
(最大リフト量が選択された場合)
図5は、エンジンの回転数が所定の回転数以上のときに吸気バルブ4の最大リフト量L
MAXの設定が選択された場合の吸気バルブ4の非作動時(バルブリフトが発生していないとき)の状態を示す正面図である。
図6は、吸気バルブ4の最大リフト量の設定が選択された場合において、吸気バルブ4が作動してリフト量が最大となった状態を示している。
【0027】
最大リフト量の設定が選択された場合は、油圧室29内の容積は最大状態となっている。また、
図5に示すように、ソレノイドバルブ40は、オイルリリーフ通路31を閉じた状態であり、かつ作動油はチェックバルブ26で逆流が阻止された状態となっている。したがって、
図3に示すように、この状態では、油圧アクチュエータ20のピストン22と共に動作するタペット23が突出した状態で保持されている。
【0028】
図5に示すように、吸気バルブ4の非作動時の状態では、カム2のベース円部2Aと接触する第1入力ローラ15は、カム2が矢印a方向(図中、時計回り方向)に回転しても第1入力ローラ15は転動するだけでカム2側から押圧力を受けない状態にある。
【0029】
次に、
図6に示すように、カム2の矢印a方向への回転が進むと、第1入力ローラ15にカム2のノーズ部2Bが当接して第1入力ローラ15が押圧されて押し下げられる。第1入力ローラ15が押し下げられると、揺動アーム6は第2入力ローラ13を支点として図中時計回り方向に回動する。揺動アーム6の中間部が支点アームピン8でロッカアーム5に支持されているため、ロッカアーム5は支持軸3を支点として図中時計回り方向に回動する。すると、ロッカアーム5のアーム先端部5Aに設けられたアジャストスクリュー9が吸気バルブ4の上端を押圧して、吸気バルブ4はバルブスプリング11の反発力に抗して最大リフト量L
MAXとなるまで押し下げられる。
【0030】
さらに、
図6に示す状態から、カム2が矢印a方向にさらに回転してノーズ部2Bが第1入力ローラ15を通過して再度ベース円部2Aが第1入力ローラ15に接触すると、揺動アーム6は
図5に示した状態(位置)に戻る。この動作に伴い、ロッカアーム5のアーム先端部5Aは上昇して吸気バルブ4がバルブスプリング11の付勢力により上昇して閉じた状態になる。
図14に示す(3)は、最大リフトが選択された場合のリフト量とクランク角との関係(バルブリフト特性)を示している。
【0031】
(最小リフト量が選択された場合)
次に、エンジンの負荷および回転数が所定の運転領域のときに吸気バルブ4の最小リフト量(L
MIN)の設定が選択された場合、吸気バルブ4の非作動時(バルブリフトが発生していないとき)の状態は、
図5に示した状態と同様である。
図7は、吸気バルブ4の最小リフト量の設定が選択された場合において、吸気バルブ4が作動して最小リフト量となったときのバルブリフト状態を示している。
図8は、吸気バルブ4の最小リフト量の設定が選択された場合において、油圧アクチュエータ20、オイルリザーブタンク30、およびソレノイドバルブ40の作動に基づいて吸気バルブ4を閉じた状態を示している。
【0032】
図5に示すように、吸気バルブ4の非作動時の状態(カム2のベース円部2Aが第2入力ローラ15に接触している状態)では、カム2が矢印a方向に回転しても第2入力ローラ15は転動するだけでカム2側から押圧力を受けない状態にある。このとき、
図10に示すように、油圧室29内の容積は最大状態となっており、ソレノイドバルブ40のプランジャ41がオイルリリーフ通路31を閉じた状態であり、かつ作動油はチェックバルブ26で逆流が阻止された状態となっている。したがって、油圧アクチュエータ20のピストン22と共に動作するタペット23が突出した状態で保持されている。
【0033】
次に、
図7に示すように、タペット23が突出した状態で、カム2の矢印a方向への回転が進むと第1入力ローラ15にカム2のノーズ部2Bの基部が当接して第1入力ローラ15を徐々に押圧し始める。したがって、揺動アーム6は第2入力ローラ13を支点として図中時計回り方向に回動する。揺動アーム6の中間部が支点アームピン8でロッカアーム5に支持されているため、このように第2入力ローラ13がタペット23で支持されている状態では、ロッカアーム5は支持軸3を支点として図中時計回り方向に回動する。すると、アーム先端部5Aに設けられたアジャストスクリュー9が吸気バルブ4の上端を押圧し、吸気バルブ4をバルブスプリング11の反発力に抗して押し下げる。
【0034】
そして、カム2のノーズ部2Bの頂部に至る途中の所定位置が第1入力ローラ15に当接するときに、吸気バルブ4は予め設定された最小リフト量L
MINとなる(
図7参照)。最小リフト量が選択されている状態で、ECU50に格納された制御プログラムおよびギャップセンサ7による出力値に基づいて、ECU50は、オイルリリーフ通路31を解放させる制御信号をソレノイドバルブ40に出力してソレノイドバルブ40をオンにするように設定されている。すると、
図8に示すように、ソレノイドバルブ40のプランジャ41は没してオイルリリーフ通路31を開通させる。
【0035】
図11は、吸気バルブ4が最小リフト量となったときにソレノイドバルブ40がオン状態となり、オイルリリーフ通路31が開通した状態を示している。このようにオイルリリーフ通路31が開くと、油圧室29内の作動油がオイルリリーフ通路31を介してオイルリザーブタンク30へ移動可能となる。
【0036】
このとき、バルブスプリング11の付勢力により、ロッカアーム5が支持軸3を支点として図中反時計回り方向に押圧される。これに伴い揺動アーム6は、カム2のカム面に接触する第1入力ローラ15を支点として図中時計回り方向に押圧される。したがって、揺動アーム6の第2入力ローラ13はタペット23を押し上げるように押圧する。タペット23の上昇に伴い、タペット23内のピストン22の第2油圧室構成管22Aが、ガイド筒21側の第1油圧室構成管21Aに嵌合した状態で上昇して油圧室29の容積を縮める。
【0037】
ここで、オイル通路ケース25の入口部25Aでは、チェックバルブ26で逆流が阻止されているため、作動油がオイル通路ケース25の出口部25Bからオイルリリーフ通路31へ送り出される。そして、オイルリリーフ通路31に作動油が送り出されることにより、オイルリザーブタンク30ではスプリング34の付勢力に抗してピストン33を押し上げてピストン33の下のシリンダ32との間の空間に作動油を貯める。なお、オイルリザーブタンク30において、ピストン33の上昇に伴い、シリンダ32内の空気はエア抜き孔32Aから排出され、ピストン33が下降するときにはエア抜き孔32Aから空間がシリンダ32内へ流入するようになっている。
【0038】
なお、オイルリザーブタンク30においては、ピストン33がオイルリリーフ孔32Cよりも上昇すると作動油がオイルリリーフ孔32Cから排出、回収されるようになっている。このようにオイルリリーフ通路31を開くことにより、油圧アクチュエータ20のタペット23を急に上昇させることができる。したがって、
図14の(1)の線で示すように、吸気バルブ4を速やかに閉じることが可能となり、ポンプ損失の低減効果を高めることができる。
【0039】
なお、このように吸気バルブ4が速やかに上昇してバルブシート18に速い速度で衝突することを防止するため、
図14の(1)のタイミングチャートにおいて一点鎖線の楕円で示すような制御を行っている。すなわち、
図9に矢印bで示すように、タペット23の上昇に伴い揺動アーム6の第2入力ローラ13が上昇すると、ロッカアーム5が支持軸3を支点として図中反時計回り方向に回動する。そして、ロッカアーム5の被検出部5Bがギャップセンサ7に対して所定距離まで近づくと、ギャップセンサ7はECU50へ検出信号を出力する。なお、
図14にはギャップセンサ7の出力値として、ギャップセンサ7と被検出部5Bとの距離に基づきバルブリフト位置を算出して示している。
【0040】
このとき、ECU50では、ギャップセンサ7からの出力信号に基づいてソレノイドバルブ40をオフにする制御信号を出力する。この結果、
図12に示すように、ソレノイドバルブ40のプランジャ41が突出してオイルリリーフ通路31を閉じる。このようにオイルリリーフ通路31を閉じると、油圧室29とこれに連通するオイルリリーフ通路31内に封止された作動油がピストン22の上昇を抑えるように作用する。すなわち、第2入力ローラ13の速やかな上昇が緩和される。これに伴い、ロッカアーム5の
図9において反時計回り方向への揺動の速度が緩和され、延いては吸気バルブ4の速やかな上昇が緩和される。したがって、吸気バルブ4がバルブシート18へ急激に衝突することを防止できる。なお、本実施の形態では、作動油の温度、油圧、エンジン回転数等の条件に応じてソレノイドバルブ40をオフにするタイミングの設定値を補正することが可能である。
【0041】
図14の(1)の一点鎖線の楕円で示すように、吸気バルブ4のバルブシート18への着座時には、ECU50から制御信号が出力され、ソレノイドバルブ40をオン状態に切り換えプランジャ41が没した状態となり、オイルリリーフ通路31が開いた状態となる。
図8の状態から
図9に示すように、カム2が矢印a方向の回転が進んで第1入力ローラ15をノーズ部2Bが通過する際に第1入力ローラ15が押し下げられる。これに伴い、揺動アーム6は支点アームピン8を支点にして図中時計回り方向に押圧される。
【0042】
このとき、ロッカアーム5は、揺動アーム6から押圧されて、支点アームピン8を支点として図中時計回り方向に回動するように押圧される。しかし、バルブスプリング11の荷重が、リターンスプリング24とスプリング34とを合わせた荷重よりも大きく設定されているため、
図9に示すように、ロッカアーム5は図中時計回り方向に回動することはなく、揺動アーム6が支点アームピン8を支点として図中時計回り方向に回動し、第2入力ローラ13がタペット23を押し上げる動作を行う。したがって、第1入力ローラ15をカム2のノーズ部2Bが通過しても、吸気バルブ4がリフトされることはない。
【0043】
そして、
図14に示すように、(1)の最小リフト量のリフト動作終了後であって、カム2が最大リフト量の場合(3)のリフト動作が終了する角度まで回転した後は、
図13に示すように、油圧アクチュエータ20のリターンスプリング24がタペット23を押し下げる。この際、油圧室29が拡張し、オイルリザーブタンク30内の作動油がオイルリリーフ通路31を通して油圧室に流入する。その後、オイルリリーフ通路31を閉じて、オイルポンプ28からチェックバルブ26を介して油圧室29内に作動油を供給してタペット23が最大に突出した状態にして保持しておく。次のバルブリフト工程の前にタペット23を突出させておくことにより、再度吸気バルブ4の最小リフト量または最大リフト量での吸気バルブ4の動作が可能になる。
【0044】
図14における(2)は、本実施の形態に係る可変動弁装置100を用いたバルブリフトの変形例を示すものであり、最大リフト量のリフト後バルブを早閉じさせた場合のバルブリフト特性を示している。また、
図14における(4)は比較例であり、ロストモーション機構を用いた可変動弁装置のバルブリフト特性を示している。
【0045】
上述の本実施の形態に係る可変動弁装置100では、吸気バルブ4のバルブリフト量とバルブ作用角を小さくする際に、バルブリフト量とバルブ作用角を最大とした場合と同じ時期に吸気バルブ4を開くとともに、吸気バルブ4が閉じる時期だけを早めることができる。このため、吸気バルブ4のバルブリフト量とバルブ作用角を小さくする際に、従来のロストモーション機構を用いた可変動弁装置よりも同一吸入空気量において吸気バルブ4を早く閉じることができ、内燃機関のポンプ損失を低減できる。
【0046】
本実施の形態に係る可変動弁装置100では、吸気バルブ4のバルブリフト量とバルブ作用角を小さくする際に、従来のロストモーション機構を用いた可変動弁装置よりも同一吸入空気量においてバルブ作用角を小さくしつつバルブリフト量を大きくできるため、内燃機関のポンプ損失を低減できる。
【0047】
本実施の形態の係る可変動弁装置100では、吸気バルブ4をリフトさせるときに、油圧通路による油圧駆動系を用いないため、油圧駆動に伴う圧力損失が発生せず、可変動弁装置100全体の駆動損失を低減できる。
【0048】
本実施の形態に係る可変動弁装置100では、吸気バルブ4をリフトさせる前に、オイルポンプ28から供給される作動油で油圧室29を拡張させるともに、吸気バルブ4をリフトさせる際に油圧室29の圧力上昇でチェックバルブ26を閉じ、吸気バルブ4を最大リフトさせたときを同じバルブリフト特性でリフトさせることができる。
【0049】
本実施の形態に係る可変動弁装置100では、ソレノイドバルブ40によりオイルリリーフ通路31を任意のタイミングで解放(開通)させることで、吸気バルブ4を即座に閉じることが可能となる。
【0050】
本実施の形態に係る可変動弁装置100では、カム2の回転によりノーズ部2Bが第1入力ローラ15を最大に押し下げる位置を通過した後、リターンスプリング24によって油圧室29を拡張させ、ピストン22で第2入力ローラ13を押して揺動アーム6を揺動させ、第1入力ローラ15をカム2のカム面に常時押し付けることができる。したがって、本実施の形態の係る可変動弁装置100によれば、揺動アーム6のがたつきや不安定な動作が発生することを防止できる。また、リターンスプリング24によって油圧室29の容積が拡大する場合に、オイルリザーブタンク30に貯えた作動油を油圧室29に供給することができ、作動油を効率よく使うことができ、オイルポンプの負担を低減することもできる。
【0051】
本実施の形態に係る可変動弁装置100では、油圧室29内に所定量の作動油を溜める構成であるため、作動油が緩衝材として機能して吸気バルブ4がバルブシート18に着座する際の衝撃を緩和することができる。
【0052】
[その他の実施の形態]
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0053】
例えば、上記実施の形態では、最小リフト量が選択されているときに、ギャップセンサ7と被検出部5Bとの距離に基づいてオイルリリーフ通路31を開くタイミングを予め決定しておく構成としたが、カム2の配置状態(カム作用角の角度状態)に基づいてソレノイドバルブ40を制御してオイルリリーフ通路31を開くようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、第2入力ローラ13に接触する出没部が、油圧アクチュエータ20のタペット23であったが、ピストン22を直接接触させる構成としてもよい。
【0055】
さらに、上記実施の形態では、最小リフト量が選択された場合に、吸気バルブ4の閉じ動作完了後に再度オイルリリーフ通路31を解放するように制御したが、閉じ動作完了直前に再度オイルリリーフ通路31を解放するようにしてもよい。