(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路は三相の回路であって、三つの計器用変圧器をそれぞれ三相の各相間に接続し、前記三つの計器用変圧器のうち二つの計器用変圧器の出力電圧から求まる残り一つの計器用変圧器の出力電圧に対して、当該残り一つの計器用変圧器の実際の出力電圧が大きくなったことに基づいて前記残り一つの計器用変圧器の一次コイルの短絡による内部異常を検出することを特徴とする請求項1記載の計器用変圧器の異常検出方法。
一つの回路に対し、少なくとも二つの計器用変圧器と、前記計器用変圧器に対する電力供給を遮断する遮断器と、前記計器用変圧器の出力電圧に基づいて前記遮断器を操作する操作器と、を接続し、
前記操作器は、前記請求項1から3のいずれか一項記載の計器用変圧器の異常検出方法を用いて前記計器用変圧器の一次コイルの短絡による内部異常を検出した場合に、前記遮断器を操作して、前記内部異常が検出された計器用変圧器に対する電力供給を遮断することを特徴とする回路の保護方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第一実施形態)
まず、
図8を参照して、計器用変圧器の内部に生じる異常について説明する。計器用変圧器は、鉄心に対して巻き数の異なる一次コイルおよび二次コイルを巻回して構成されている。この一次コイルは、一次コイルに入力される高電圧を所定の変圧比で精度よく降圧して二次コイルに出力するため、細い巻線によって二次コイルよりも多くの巻き数に設定されている。
図8に一般的な一次コイル1の巻線態様を示すが、一次コイル1は、
図8(a)の実線矢印Cで示すように、一次巻線2を鉄心3の外周に沿って巻いたものを、鉄心3の所定範囲内において折り返しながら、内周側から外周側へ向かって複数層この場合N層重ねて構成されている。
【0010】
計器用変圧器の内部に生じる異常としては、一次コイル1に生じる絶縁破壊がある。この場合、絶縁破壊は、隣接する二層においてその折返し部分を中心とした両端部、すなわち二層間における巻始めと巻終わり部分で生じ易い。例えば、
図8(a)において、(N−1)層と(N)層との間にあっては、(N−1)層の巻始めとなる端部Aと、(N)層の巻終わりとなる端部Bとの間で絶縁破壊が生じ易い。これは、(N−1)層と(N)層との間では、両端部となる端部Aと端部Bとの間の電位差が最も大きくなるからである。
【0011】
そして一次巻線2は細線で構成されて比較的抵抗が大きいことから、端部Aと端部Bとの間が短絡すると、一次コイル1を流れる電流は、
図8(b)に示すように、(N−1)層および(N)層において両端部A、B間を流れて、太破線Dで示す巻線に循環電流が生じる。この場合、一次コイル1の実質的な層数は、短絡した層数この場合2層分減少したと見なすことができる。つまり、一次コイル1に絶縁破壊が生じていない正常な場合の出力電圧をV0とすると、(N−1)層の端部Aと(N)層の端部Bが短絡した場合の出力電圧V1は、次の(1)式で表わされる。
V1=V0×N/(N−2) …(1)
【0012】
さて、
図1に示すように、第一実施形態の回路10は、図示しない単相交流の電源に接続された配電線11、12に、受変電設備などの負荷13を接続して構成されている。また、この一つの回路10に対して、二つの計器用変圧器すなわち第一計器用変圧器14および第二計器用変圧器15が接続されている。計器用変圧器14、15は、同一構成であり、
図8に示すような一般的な計器用変圧器で構成されている。この計器用変圧器14、15は、それぞれ一次コイル141、151側すなわち入力側が、配電線11、12に接続されている。また、二次コイル142、152すなわち出力側は、図示しない電圧計測器などに接続される。ここで、一次コイル141、151の両端に入力される電圧を入力電圧とし、二次コイル142、152の両端に生じる電圧を出力電圧とする。
【0013】
この構成において、計器用変圧器14、15の内部の異常つまり一次コイル141、151の短絡による異常は、第一計器用変圧器14の出力電圧と第二計器用変圧器15の出力電圧とを比較して、いずれか一方の出力電圧が変動したことに基づいて検出される。すなわち、第一計器用変圧器14および第二計器用変圧器15の両方ともが正常に動作していれば、第一計器用変圧器14の出力電圧および第二計器用変圧器15の出力電圧はほぼ同じ値になる。したがって、第一計器用変圧器14の出力電圧および第二計器用変圧器15の出力電圧はほぼ同じ値を示していれば、第一計器用変圧器14および第二計器用変圧器15は正常に動作していると判断できる。
【0014】
例えば、計器用変圧器14、15の出力電圧はともに変動したが、両者はほぼ同じ値を示している場合、計器用変圧器14、15は、ともに正常に動作していると判断できる。そのため、出力電圧の変動は、回路10の電圧の変動に起因しているものであると判断できる。このように、計器用変圧器14、15の出力電圧を監視することによって、回路10に異常が生じたことを検出することができる。この場合、回路10に生じた異常を修理などにより取り除くことで、回路10を適切に保護することができる。
【0015】
これに対し、計器用変圧器14、15のいずれか一方の出力電圧のみが変動した場合、計器用変圧器14、15のうち少なくとも一方が正常に動作していないと判断できる。この場合、異常の原因が一次コイル141または一次コイル151の短絡によるものであれば、内部異常が生じた計器用変圧器の出力電圧のみが(1)式に準じた傾向で上昇する。そのため、計器用変圧器14、15のうち、出力電圧が上昇した側の計器用変圧器に内部異常が生じたと特定することができる。このように、計器用変圧器14、15の出力電圧を比較することで、その差が所定以上の大きさになった場合に、出力電圧が上昇した方の計器用変圧器に内部異常が生じていると判断することができる。
【0016】
これによれば、計器用変圧器14、15のいずれか一方に、一次コイル141、151の短絡などによる内部異常が生じたことを、迅速かつ精度よく検出することができる。また、異常が生じた計器用変圧器を迅速に特定することができるため、いち早く障害を取り除くことが可能となり、その結果、計器用変圧器14、15の一方に内部異常が生じた場合であっても回路10を適切に保護することができる。
なお、計器用変圧器を三つ以上設ける構成でもよく、この場合、計器用変圧器の出力電圧をそれぞれ比較することで、各計器用変圧器の内部異常を検出することができる。
【0017】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について、
図2を参照して説明する。
この第二実施形態では、第一実形態の構成に加えて、第一計器用変圧器14および第二計器用変圧器15が、互いの出力電圧が打ち消し合うように直列に接続されている。すなわち、計器用変圧器14、15の二次コイル142、152において、互いの高電位側は接続線16によって接続されている。一方、二次コイル142の低電位側には引出線17が接続され、二次コイル152の低電位側には引出線18が接続されている。
このように、第一計器用変圧器14の二次コイル142および第二計器用変圧器15の二次コイル152は反平行に接続されている。そして、直列に接続した二次コイル142、152の両端、すなわち引出線17、18間の電位差を測定し、この電位差が変動したこと、つまり電位差が所定以上の大きさになったことに基づいて、計器用変圧器14、15の内部異常を検出する。
【0018】
この第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、計器用変圧器14、15のいずれか一方の内部異常が、引出線17、18間の電位差となって現れる。そのため、引出線17、18間の電位差を監視することで計器用変圧器14、15の内部異常を検出できることから、簡易な構成とすることができる。
利便性が向上する。
【0019】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について、
図3を参照して説明する。
この第三実施形態では、
図1に示す第一実施形態の構成に加え、回路10に単相回路遮断器19および操作器20が接続されている。単相回路遮断器19は、計器用変圧器14、15に対して図示しない高圧電源側つまり負荷13とは反対側に設けられており、回路10を遮断して計器用変圧器14、15に対する電力供給を遮断する。操作器20は、計器用変圧器14、15の各出力電圧が入力されるとともに、この出力電圧に基づいて単相回路遮断器19を操作する。すなわち、操作器20は、各接続線21によって各二次コイル142、152に接続されて、計器用変圧器14、15の出力電圧が入力される。そして、操作器20は、第一実施形態に示す方法によって、計器用変圧器14、15の内部異常を検出し、その検出結果に基づいて単相回路遮断器19を操作する。
【0020】
この場合、操作器20は、計器用変圧器14、15のいずれか一方の内部異常を検出、つまり、計器用変圧器14、15のいずれか一方に内部異常が生じて出力電圧に差が生じたことを検出すると、単相回路遮断器19を操作すなわちトリップさせる。これにより、回路10を遮断して、計器用変圧器14、15に対する電力供給を遮断する。
【0021】
この第三実施形態によれば、計器用変圧器14、15のいずれか一方に内部異常が生じた場合に、その異常を操作器20が検出し、単相回路遮断器19をトリップさせて回路10を遮断することで、計器用変圧器14、15に対する電力供給を遮断することができる。この場合、回路10が遮断されて計器用変圧器14、15に対する電力供給が遮断されるため、一次コイル141、151が循環電流によって焼損に至ることを回避することができる。これにより、計器用変圧器14、15の内部異常による影響の波及を抑制し、回路10を迅速かつ適切に保護することができる。
【0022】
なお、この場合、
図2に示す第二実施形態のように、二次コイル142、152を反平行に接続し、その両端に生じる二次コイル142、152の差電圧を操作器20に直接入力する構成、つまり引出線17、18を操作器20に接続する構成でもよい。この場合、二次コイル142、152の差電圧は、既に比較された状態で引出線17、18から出力されるため、操作器20は、引出線17、18間の電位差を監視するだけでよく、その結果、操作器20を簡易な構成とすることができる。
【0023】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について、
図4を参照して説明する。
この第四実施形態では、
図3に示す第三実施形態の単相回路遮断器19に代えて、互いに同一構成の第一遮断器22および第二遮断器23が回路10に接続されている。この場合、第一遮断器22は、回路10の配電線11、12と、第一計器用変圧器14の一次コイル141との間に接続されている。また、第二遮断器23は、回路10の配電線11、12と、第二計器用変圧器15の一次コイル151との間に接続されている。
【0024】
この構成において、操作器20は、計器用変圧器14、15のうち、いずれか一方の内部異常を検出した場合に、遮断器22または遮断器23をトリップさせて、異常が生じた方の計器用変圧器を回路10から切り離す。つまり、例えば第一計器用変圧器14に内部異常が生じた場合、第一計器用変圧器14の出力電圧のみが上昇する。操作器20は、この出力電圧の変動に基づいて第一計器用変圧器14に内部異常が生じたことを検出し、第一遮断器22をトリップさせる。すると、回路10と第一計器用変圧器14との間が遮断されて、第一計器用変圧器14が回路10から切り離される。これにより、内部異常が生じた第一計器用変圧器14に対する電力供給が遮断される。このとき、第二遮断器23はトリップされないため、第二計器用変圧器15は、回路10から切り離されずに電力供給が継続される。
【0025】
この第四実施形態によれば、計器用変圧器14、15のいずれか一方に内部異常が生じた場合に、その異常を操作器20が検出し、異常が生じた計器用変圧器を遮断器22、23によって回路10から切り離すことができる。この場合、計器用変圧器14、15のうち、内部異常が生じた計器用変圧器に対する電力供給のみが遮断されるため、一次コイル141、151のうち短絡した一次コイルが循環電流によって焼損に至ることを適切に回避することができる。これにより、計器用変圧器14、15の内部異常による影響の波及を抑制し、回路10を迅速かつ適切に保護することができる。
【0026】
さらに、この場合、計器用変圧器14、15のうち、異常が生じた一方の計器用変圧器が回路10から切り離されても、異常が生じていない他方の計器用変圧器は回路10と接続されている。そのため、異常が生じていない他方の計器用変圧器を用いることで、障害を取り除くまでの間であっても、回路10を停止させることなく継続して運転することができる。
【0027】
(第五実施形態)
次に、第五実施形態について、
図5を参照して説明する。
この第五実施形態において、回路30は、図示しない三相交流の高圧電源に接続されたU、V、W相の配電線31、32、33に、受変電設備などの負荷34を接続して構成されている。また、この一つの回路30に対して三つの計器用変圧器、すなわち第三計器用変圧器35、第四計器用変圧器36、および第五計器用変圧器37が接続されている。これら各計器用変圧器35、36、37は、互いに同一構成であり、三相の回路30の各相間に接続されている。
【0028】
具体的には、第三計器用変圧器35は、一次コイル351すなわち入力側が、U相の配電線31およびV相の配電線32に接続されている。このため、第三計器用変圧器35の二次コイル352すなわち出力u1、v1には、U相とV相との相間電圧が降圧されて出力される。また、第四計器用変圧器36は、一次コイル361が、V相の配電線32およびW相の配電線33に接続されている。このため、第四計器用変圧器36の二次コイル362すなわち出力v2、w2には、V相とW相との相間電圧が降圧されて出力される。さらに、第五計器用変圧器37は、一次コイル371が、W相の配電線33およびV相の配電線31に接続されている。このため、第五計器用変圧器37の二次コイル372すなわち出力w3、u3には、W相とV相との相間電圧が降圧されて出力される。
【0029】
ここで、三つ計器用変圧器35、36、37のいずれもが正常に動作していれば、計器用変圧器35、36、37の出力電圧を位相差も含めて合成すると、その結果はほぼ0の値を示す。したがって、三つの計器用変圧器35、36、37の各出力電圧を位相差も含めて合成した場合に、その結果がほぼ0の値を示していれば、これら計器用変圧器35、36、37は、いずれも正常に動作していると判断できる。
【0030】
例えば、計器用変圧器35、36、37の出力電圧はそれぞれ変動したが、各出力電圧の位相差を含めた合成の結果がほぼ0の値を示している場合、これら計器用変圧器35、36、37は正常に動作していると判断できる。そのため、出力電圧の変動は、回路30の電圧の変動に起因しているものであると判断できる。この場合、回路30に異常が生じていると判断できることから、その異常を修理などにより取り除くことで、回路30を適切に保護することができる。
【0031】
これに対し、計器用変圧器35、36、37の各出力電圧の合成結果が0ではない値を示した場合、計器用変圧器35、36、37のうち少なくとも一つが正常に動作していないと判断できる。この場合、異常の原因が一次コイル351、361、371のいずれかの短絡によるものであれば、計器用変圧器35、36、37のうち、内部異常が生じた計器用変圧器の出力電圧のみが(1)式に従って上昇する。
【0032】
ここで、計器用変圧器35、36、37が正常に動作していれば、これらの出力電圧の合成結果は0であることから、任意の二つ例えば計器用変圧器35、36の出力電圧から求めた残り一つの計器用変圧器37の出力電圧と、この残り一つの計器用変圧器37の実際の出力電圧とは、ほぼ同じ値を示す。しかし、例えば計器用変圧器37に内部異常が生じてその出力電圧が上昇した場合、計器用変圧器37の実際の出力電圧は、計器用変圧器35、36の出力電圧から求めた計器用変圧器37の出力電圧よりも大きい値を示す。
【0033】
つまり、一の計器用変圧器37の実際の出力電圧が、他の二つの計器用変圧器35、36の出力電圧から算出した一の計器用変圧器37の出力電圧よりも大きい値を示している場合、その一の計器用変圧器37には内部異常が生じていると判断することができる。このように、三相の各相間に接続された三つの計器用変圧器35、36、37のうち、二つの計器用変圧器の出力電圧から求まる残り一つの計器用変圧器に対して、この残り一つの計器用変圧器の実際の出力電圧が大きくなったことに基づいて、この残り一つの計器用変圧器に内部異常が生じたことを検出している。
【0034】
この第五実施形態によれば、三相の回路30に接続された計器用変圧器35、36、37のいずれか一つに内部異常が生じたことを、迅速かつ精度よく検出することができる。また、異常が生じた計器用変圧器を迅速に特定することができるため、いち早く障害を取り除くことが可能となり、その結果、計器用変圧器35、36、36のいずれか一つに内部異常が生じた場合であっても回路30を適切に保護することができる。
なお、計器用変圧器を四つ以上設ける構成であってもよい。この場合、同相に接続された二つの計器用変圧器の出力電圧を互いに比較することによって、この二つ計器用変圧器のうちのどちらか一方の内部異常を検出することもできる。
【0035】
(第六実施形態)
次に、第六実施形態について、
図6を参照して説明する。
この第六実施形態では、第五実施形態の構成に加え、回路30に三相回路遮断器38および操作器39が接続されている。三相回路遮断器38は、計器用変圧器35、36、37に対して図示しない高圧電源側つまり負荷34とは反対側に設けられており、回路30を遮断して計器用変圧器35、36、37に対する電力供給を遮断する。操作器39は、計器用変圧器35、36、37の各出力電圧が入力されるとともに、この出力電圧に基づいて三相回路遮断器38を操作する。すなわち、操作器39は、各接続線40によって、各二次コイル352、362、372に接続されて、計器用変圧器35、36、37の出力電圧が入力される。そして、操作器39は、上記第五実施形態に示す方法によって、計器用変圧器35、36、37の内部異常を検出し、その検出結果に基づいて三相回路遮断器38を操作する。
【0036】
この構成において、操作器39は、計器用変圧器35、36、37のいずれか一つの内部異常を検出した場合、つまり、計器用変圧器35、36、37のいずれか一つに内部異常が生じた場合に、三相回路遮断器38をトリップさせて回路30を遮断することで、計器用変圧器35、36、37に対する電力供給を遮断する。
【0037】
この第六実施形態によれば、三相の回路30において、計器用変圧器35、36、37のいずれか一つに内部異常が生じた場合に、その異常を操作器39が検出し、三相回路遮断器38をトリップさせて回路30を遮断することで、計器用変圧器35、36、37に対する電力供給を遮断することができる。この場合、回路30が遮断されて計器用変圧器35、36、37に対する電力供給が遮断されるため、一次コイル351、361、371が循環電流によって焼損に至ることを回避することができる。これにより、計器用変圧器35、36、37の内部異常による影響の波及を抑制し、回路30を迅速かつ適切に保護することができる。
【0038】
(第七実施形態)
次に、第七実施形態について、
図7を参照して説明する。
この第七実施形態では、
図6に示す第三実施形態の三相回路遮断器38に代えて、互いに同一構成の第三遮断器41、第四遮断器42、および第五遮断器43が回路30に接続されている。この場合、第三遮断器41は、回路30の配電線31、32と、第三計器用変圧器35の一次コイル351との間に接続されている。また、第四遮断器42は、回路30の配電線32、33と、第四計器用変圧器36の一次コイル361との間に接続されている。そして、第五遮断器43は、回路30の配電線33、31と、第五計器用変圧器37の一次コイル371との間に接続されている。
【0039】
この構成において、操作器39は、計器用変圧器35、36、37のいずれか一つに内部異常を検出した場合に、遮断器41、42、43のいずれかをトリップさせて、異常が生じた計器用変圧器を回路30から切り離す。つまり、操作器39は、例えば第五計器用変圧器37に内部異常が生じたことを検出すると、第五遮断器43をトリップさせる。すると、回路30と第五計器用変圧器37との間が遮断されて、第五計器用変圧器37が回路30から切り離される。これにより、内部異常が生じた第五計器用変圧器37に対する電力供給が遮断される。このとき、第三遮断器41および第四遮断器42はトリップされないため、第三計器用変圧器35および第四計器用変圧器36は、回路30から切り離されずに電力供給が継続される。
【0040】
この第七実施形態によれば、三相の回路30において、計器用変圧器35、36、37のいずれか一つに内部異常が生じた場合に、その異常を操作器39が検出し、異常が生じた計器用変圧器を、遮断器41、42、43によって回路30から切り離すことができる。この場合、計器用変圧器35、36、37のうち、内部異常が生じた計器用変圧器に対する電力供給のみが遮断されるため、一次コイル351、361、371のうち短絡した一次コイルが循環電流によって焼損に至ることを適切に回避することができる。これにより、計器用変圧器35、36、37の内部異常による影響の波及を抑制し、回路30を迅速かつ適切に保護することができる。
【0041】
さらに、この場合、計器用変圧器35、36、37のうち、異常が生じた一つの計器用変圧器が回路30から切り離されても、異常が生じていない残り二つの計器用変圧器は回路30と接続されている。そのため、異常が生じていない残り二つの計器用変圧器を用いることで、障害を取り除くまでの間であっても、回路30を停止させることなく継続して運転することができる。
【0042】
以上説明した実施形態における計器用変圧器の異常検出方法によれば、一つの回路に接続された少なくとも二つの計器用変圧器の出力電圧を比較することによって、計器用変圧器の内部異常を検出することができる。これにより、回路に接続された計器用変圧器に内部異常が生じたことを、迅速かつ精度よく検出することができる。さらに、異常が生じた計器用変圧器を迅速に特定することができるため、いち早く障害を取り除くことが可能となる。
【0043】
また、以上説明した実施形態における回路の保護方法によれば、計器用変圧器に内部異常が生じた場合に、操作器および遮断器によって、異常が生じた計器用変圧器に対する電力供給が遮断される。これにより、計器用変圧器に内部異常が生じた場合に、その内部異常による影響の波及を抑制し、回路を迅速かつ適切に保護することができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。