【実施例1】
【0011】
(画像形成装置の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置1を示す構成図である。
【0012】
この画像形成装置1は、例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置であり、複数色の現像
器2(例えば、ブラック現像
器2K、イエロー現像
器2Y、マゼンタ現像
器2M、及びシアン現像
器2C)と、複数色の露光装置としての発光ダイオード(以下「LED」という。)ヘッド3(例えば、ブラックLEDヘッド3K、イエローLEDヘッド3Y、マゼンタLEDヘッド3M、及びシアンLEDヘッド3C)とを備えている。各色の現像器2(=2K,2Y,2M,2C)内には、各色のトナーカートリッジ4(=4K,4Y,4M,4C)、各色の帯電ローラ5(=5K,5Y,5M,5C)、各色の供給ローラ6(=6K,6Y,6M,6C)、各色の現像ローラ7(=7K,7Y,7M,7C)、各色の現像ブレード8(=8K,8Y,8M,8C)、各色の感光体ドラム9(=9K,9Y,9M,9C)、及び、各色のクリーニングブレード10(=10K,10Y,10M,10C)が設けられている。
【0013】
各現像器2は、内部の各感光体ドラム
9に接している各帯電ローラ5によって一様に帯電されるようになっている。帯電された各感光体ドラム9は、各LEDヘッド3の発光によって静電潜像が形成される。各供給ローラ6は、現像剤としてのトナーを各現像ローラ7へ供給するものである。各現像ブレード8が、各現像ローラ7の表面に一様にトナー層を形成すると、各感光体ドラム9上にトナー像が現像される構成になっている。各クリーニングブレード10は転写後の残トナーをクリーニングするものである。各トナーカートリッジ4は、各現像器2内に着脱可能に取り付けられ、内部のトナーを各現像器2に供給する構成になっている。
【0014】
各現像器2の下方向には、各色の転写ローラ11(=11K,11Y,11M,11C)、転写ベルト駆動ローラ12、及び転写ベルト従動ローラ13が設けられている。各転写ローラ11は、転写ベルト14の裏面から転写位置に、バイアス電圧(以下単に「バイアス」という。)が印加可能に配置されている。転写ベルト駆動ローラ12及び転写ベルト従動ローラ13は、転写ベルト14を張架し、そのローラ12,13の駆動によって記録媒体(例えば、用紙)が搬送可能な構成になっている。
【0015】
転写ベルト14の近傍には、クリーニングブレード15及びクリーナ容器16が設けられ、更に、その転写ベルト14の下方向に、用紙カセット17が着脱可能に取り付けられている。クリーニングブレード15は、転写ベルト14上のトナーを掻き落とせるようになっていて、その掻き落とされたトナーが、クリーナ容器16に収容される。用紙カセット17内には、用紙17aが積載される。
【0016】
用紙カセット17の先端と転写ベルト駆動ローラ12との間には、給紙ローラ18、用紙ガイド19、及び一対のレジストローラ20,21が配設されている。給紙ローラ18は、用紙カセット17から用紙17aを取り出して、用紙ガイド19へ給紙する。給紙された用紙17aは、用紙ガイド19に沿って搬送され、停止状態の一対のレジストローラ20,21に突き当たってスキュー補正(ずれ補正)される。一対のレジストローラ20,21は、用紙17aのスキュー補正後に所定タイミングで駆動され、その用紙17aを転写ベルト14へ搬送する構成になっている。
【0017】
転写ベルト従動ローラ13の下流側には、定着器22が配設されている。定着器22は、一対の熱定着ローラ23,24を有し、用紙17a上のトナー像を熱と圧力によって定着するものである。この定着器22の下流側には、一対の排出ローラ25,26、用紙ガイド27、及び排紙トレー28が設けられている。用紙17aは、一対の排出ローラ25,26により、用紙ガイド27に沿って搬送され、排紙トレー28にフェースダウンで排出される構成になっている。
【0018】
図3は、
図2の画像形成装置1における制御回路の構成を示すブロック図である。
【0019】
この制御回路は、ホストインタフェース部31を有し、このホストインタフェース部31がコマンド/画像処理部32に対してデータを送受信する。コマンド画像処理部32は、LEDヘッドインタフェース部33に対して画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部33は、プリンタエンジン制御部34によってヘッド駆動パルス等で制御され、LEDヘッド3K,3Y,3M,3Cを発光させる。
【0020】
プリンタエンジン制御部34は、分数分周手段(例えば、高圧制御部)41に対して帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアス等の制御値を送る。高圧制御部41は、帯電バイアス発生部42と、現像バイアス発生部43と、転写バイアス発生部44とに信号を送る。帯電バイアス発生部42、及び現像バイアス発生部43は、ブラック現像器2K、イエロー現像器2Y、マゼンタ現像器2M、及びシアン現像器2Cの各帯電ローラ5K,5Y,5M,5C及び各現像ローラ7K,7Y,7M,7Cに対してバイアスを印加する。高圧制御部41及び転写バイアス発生部44により、本発明の実施例1の高電圧電源装置が構成されている。
【0021】
プリンタエンジン制御部34は、ホッピングモータ51、レジストモータ52、ベルトモータ53、定着器ヒータモータ54、及び各色のドラムモータ55K,55Y,55M,55Cを所定のタイミングで駆動する。定着器ヒータ22bは、サーミスタ22aの検出値に応じてプリンタエンジン制御部34によって温度制御される。
【0022】
(高圧電源装置の構成)
図1は、本発明の実施例1における
図3中の高圧電源装置60の構成を示すブロック図である。
【0023】
この高圧電源装置60は、
図3中の高圧制御部41及び転写バイアス発生部44により構成され、各色の転写ローラ11(=11K,11Y,11M,11C)毎に設けられている。各色の高圧電源装置60は、同一の回路構成であるので、以下、1回路のみ説明する。
【0024】
高圧電源装置60は、プリンタエンジン制御部34の出力ポートOUT1から供給されるオン/オフ信号ON/OFF(以下、単に「信号ON/OFF」という。)と、出力ポートOUT2から供給されるリセット信号RESET(以下、単に「信号RESET」という。)とを入力すると共に、目標値設定手段であるプリンタエンジン制御部34の出力ポートOUT3から8bitの目標値を表す目標データDATAを入力し、DCの高電圧を生成して転写ローラ11としての出力負荷83へ供給する装置である。
【0025】
高圧電源装置60は、圧電トランス駆動装置70、圧電トランス80、
整流手段としての整流回路81、及び出力検出手段としての出力電圧変換手段82等により構成されている。
【0026】
圧電トランス駆動装置70は、圧電トランス80を駆動する装置であり、高圧制御部41、発振手段としての発振回路71、フェーズロックループ(以下「PLL」という。)回路72、ループフィルタ73、DC電源74、及び圧電トランス駆動手段としての圧電トランス駆動回路75を有している。発振回路71は、水晶発振子から構成され一定周波数(例えば、25MHz)のクロックCLKを発生する回路であり、この出力側に高圧制御部41が接続されている。
【0027】
高圧制御部41は、例えば、発振回路71から供給されるクロックCLKに同期して動作し、プリンタエンジン制御部34により
制御されて制御パルスS41aを出力する回路であり、クロックCLKを入力するクロック入力ポートCLKIN、プリンタエンジン制御部53の出力ポートOUT1から出力される信号ON/OFFを入力する入力ポートIN11、プリンタエンジン制御部34の出力ポートOUT2から出力される信号RESETを入力する入力ポートIN12、プリンタエンジン制御部34の出力ポートOUT2から出力される目標データDATAを入力する入力ポートIN13、検出値を表す検出信号S82を入力する入力ポートIN14、PLL回路72に対し、制御パルスS41aSを出力する出力ポートOUT11、及びPLL回路72に対し、禁止パルスS41bを出力する出力ポートOUT12を有している。
【0028】
高圧制御部41において、入力される信号ON/OFFにより、出力ポートOUT11からの制御パルスS41a及びOUT12からの禁止パルスS41bにおける出力のON/OFFが制御され、入力される信号RESETにより、
高圧制御部41内のレジスタ類が初期化される。
【0029】
高圧制御部41は、例えば、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路であるエーシック(Application Specific Integrated Circuit、以下「ASIC」という。)により構成されている。
【0030】
高圧制御部41の出力ポートOUT11,OUT12には、制御パルスS41aに同期した駆動パルスS72を出力するPLL回路72が接続されている。PLL回路72は、例えば、半導体メーカ各社から提供されているHC4046等の集積回路(以下「IC」という。)から構成されている。PLL回路72には、ループフィルタ73が接続されている。
【0031】
PLL回路72の出力側には、圧電トランス駆動回路75が接続されている。圧電トランス駆動回路75は、スイッチング素子を用いて駆動電圧S75を出力する回路であり、この出力側に圧電トランス80が接続されている。圧電トランス80は、セラミック等の圧電振動子の共振現象を利用して駆動電圧の昇圧を行い交流(以下「AC」という。)の高電圧であるAC出力電圧S80を出力するトランスであり、この出力側に整流手段(例えば、整流回路)81が接続されている。整流回路81は、圧電トランス80から出力されたAC出力電圧S80をDCの高電圧であるDC出力電圧
S81に変換して出力負荷83へ供給する回路であり、この出力側に出力電圧変換手段82が接続されている。
【0032】
出力電圧変換手段82は、整流回路81が出力する
DC出力電圧S81を低電圧に変換する回路であり、この出力側が高圧制御部41の入力ポートIN14を介して8bitのアナログデジタルコンバータ(以下「8bitADC」という。)91に接続されている。出力電圧変換手段82は、DCの低電圧を検出信号S82として高電圧制御部41内の8bitADC91に出力するものである。
【0033】
なお、
図1の高圧電源装置
60は、各色の転写ローラ11(=11K,11Y,11M,11C)毎、即ち、チャンネル毎に並置されるが、これらの複数のチャンネルに対して一部を共用する構成にしてもよい。例えば、圧電トランス80及び整流回路81等は、複数のチャンネル分必要となるが、発振回路71及び高圧制御部41は、1組で共用できる。この場合、高圧制御部41はチャンネル数分の入出力ポートを備えることになる。又、高圧制御部
41は、高圧電源装置60内に設けられているが、プリンタエンジン制御部34内の大規模集積回路(以下「LSI」という。)中に設けてもよい。
【0034】
図4は、
図1の高圧電源装置
60の構成例を示す回路図である。
発振回路71は、水晶発振子71aを有しており、水晶発振子71aの一端は、コンデンサ71bの一端と
高圧制御部41のクロック入力ポートCLKINとに接続されている。コンデンサ71bの他端は、コンデンサ71cの一端に接続され、コンデンサ71cの他端は、水晶発振子71aの他端と抵抗71dの一端に接続されている。抵抗71dの他端は、抵抗71eの一端と高圧制御部41のクロック出力ポートCLKOUTに接続されている。抵抗71eの他端は、水晶発振子71aの一端とクロック入力ポートCLKINとに接続されている。
【0035】
発振回路71は、水晶発振子71aで定められた周波数で発振し、高圧制御部41にクロックCLKを供給する機能を有している。本実施例1では水晶発振子71aを使用しているが、セラミック発振子等の他の発振子であってもよい。コンデンサ71b,71c及び抵抗71d,71eは、高圧制御部41とのマッチングに応じて定数が決定されている。
【0036】
高電圧制御部41の出力ポートOUT11は、PLL回路72の入力ポートSIGINに接続され、高電圧制御部41の出力ポートOUT12は、PLL回路72の入力ポートINHに接続されている。
【0037】
高圧制御部41は、8bitのパラレル信号で目標データDATAを入力ポートIN13で入力するようになっている。目標データDATAは、8bitに限定されず、例えば、10bit又は12bitで構成してもよいし、シリアル信号であってもよい。高圧制御部41は、8bitADC91において、検出信号S82を入力してこれを8bitのデジタル信号である変換検出信号S91に変換し、信号ON/OFFがハイレベル(以下「H」という。)のときに、目標データDATAと変換検出信号S91が等しくなるように制御パルス41aを制御する機能を有している。高圧制御部41は、PLL回路72の出力を禁止するときには、出力ポートOUT12から禁止パルス
S41bをHにして出力するようになっている。
【0038】
PLL回路72は、DC電源76から5Vの電圧を供給され、PLL回路72において、入力ポートSIGINから入力した制御パルスS41aと、出力ポートVCOOUTから出力される圧電トランス駆動パルス(以下「駆動パルス」という。)S72とが入力ポートCOMPINに入力されて比較され、比較された位相比較信号が出力ポートPC2OUTからループフィルタ63へ出力されるようになっている。入力ポートVCOINは、ループフィルタ73からの平滑化された信号を入力するようになっている。
【0039】
禁止パルスS41bがローレベル(以下「L」という。)になると、PLL回路72が活性化し、出力ポートVCOOUTから駆動パルスS72が出力される。この駆動パルスS72は、入力ポートSIGINに入力される制御パルスS41aに同期するようになっている。
【0040】
ループフィルタ73は、抵抗73aとコンデンサ73bとを有し、抵抗73aの一端は、PLL回路72の出力ポートPC2OUTに接続され、抵抗73aの他端は、コンデンサ72bの一端とPLL回路72の入力ポートVCOINに接続されている。コンデンサ72bの他端は、グランドGNDに接続されている。
【0041】
PLL回路72の出力ポートVCOOUTには、圧電トランス駆動回路75が接続され、この圧電トランス駆動回路75にDC電源74が接続されている。DC電源74は、例えば、図示しない低圧電源装置から商用電源であるAC1OOVを変圧整流することにより供給されるDC24Vの電源である。
【0042】
圧電トランス駆動回路75は、抵抗75aと、スイッチング素子であるパワートランジスタ(例えば、NチャネルパワーMOSFET、以下「NMOS」という。)75bと、共振回路を構成するインダクタ75c及びコンデンサ75dとを有している。NMOS75bのゲートには、PLL回路72の出力ポートVCOOUTが接続されている。インダクタ75c及びNMOS75bは、DC電源74とグランドGNDとの間に直列に接続され、コンデンサ75dは、NMOS75bに対して並列に、このNMOS75bのドレイン及びソース間に接続されている。
【0043】
この圧電トランス駆動回路75では、PLL回路72から出力される駆動パルスS72が、抵抗75aを介して、NMOS75bのゲートに入力される。すると、NMOS75bにより、DC電源74DC24Vがスイッチングされ、これが共振回路のインダクタ75d及びコンデンサ75cにより共振されて、半波正弦波の駆動電圧S75が出力されるようになっている。
【0044】
本実施例1では、インダクタ75cで説明したが、オートトランス等を用いることも可能である。又、NMOSでなくバイポーラトランジスタでも実現可能である。また負荷が大きく、NMOS75bのドレイン・ソース間に流れる電流が大きい場合には、出力ポートVCOOUTと、NMOS75bとの間にゲートドライブ回路を設けてもよい。
【0045】
共振回路の出力側には、圧電トランス80の1次側の入力端子80aが接続され、この圧電トランス80の2次側の出力端子80bから、NMOS75bのスイッチング周波数に応じて0〜数KVのAC
出力電圧S80が出力される構成になっている。2次側の出力端子80bの出力電圧特性は、
図7に示すように、周波数によって異なり、NMOS75bのスイッチング周波数により昇圧比が決定される。
【0046】
圧電トランス80における2次側の出力端子80bには、AC/DC変換用の整流回路81が接続されている。整流回路81は、圧電トランス80の2次側の出力端子80bから出力されたAC出力電圧S80をDC出力電圧S81に変換して出力する回路であり、ダイオード81a,81b及びコンデンサ81cにより構成されている。本実施例1では整流回路81の出力は、正バイアス出力であるが、ダイオード81a,81bのアノード、カソードの極性を逆方向に実装すれば負極性のバイアスを出力することも容易である。コンデンサ81cによってDC高電圧信号は、平滑され、抵抗84を介して出力負荷83にバイアスが印加される。
【0047】
整流回路81の出力側には、出力電圧変換手段82が接続されている。出力電圧変換手段82は、整流回路81のDC
出力電圧S81を分圧してDC低電圧に変換する分圧抵抗82a,82bと、フィルタ回路を構成する抵抗82c及びコンデンサ82dと、そのフィルタ回路を介してDC低電圧を入力する演算増幅器(以下「オペアンプ」という。)87eとにより構成されている。
【0048】
整流回路81のDC出力電圧
S81は、抵抗82aと抵抗82bとにより分圧され、抵抗82cとコンデンサ82dにより構成されるフィルタ回路によってリップル成分が除去さる。そして、オペアンプ82eによりインピーダンス変換され、高圧制御部41の入力ポートIN14を介して8bitADC91に、検出信号S82として入力される。例えば抵抗82a100MΩ、抵抗82bが100kΩの場合には、DC高電圧は、100/(100+100000)でDC低電圧に変換される。例えばDV高電圧が5000Vのときには、DC低電圧は5Vとなる。ADC91に入力される検出信号S82がFFhex(hex;16進数を示す。)となるように制御した場合には、DC高電圧は、5000Vとなる。例えば、80hexを目標データDATAに設定し、8bitoADC入力値が80hexとなるように制御すれば、DC高電圧は、2510Vとなる。この数値は一例であり、出力電圧範囲に応じて定数を変更しでも構わない。
【0049】
図5は、
図4中のPLL回路72及びループフィルタ73を示す回路ブロック図である。
【0050】
PLL回路72とループフィルタ73とは、パルス出力手段を構成して
いる。パルス出力手段は、制御パルスS41aと、駆動パルスS72とを比較して位相比較信号S72aを出力する位相比較器72aと、位相比較信号S72aを入力してこれを平滑化し、制御電圧S73を出力する
ループフィルタ73と、制御電圧S73に基づいて駆動パルスS72の周波数を変化させる電圧制御発振器(以下「VCO」という。)72bと、を有している。
【0051】
(高圧電源装置内の高圧制御部の構成)
図6は、
図4中の高圧制御部41の構成を示す回路ブロック図である。
図7は、
図4中の圧電トランス80における出力電圧/周波数を示す特性図である。
図8は、
図6中の第2のレジスタとしての誤差保持レジスタ98を示す構成図である。更に、
図9は、
図6中の分周パルスS99周期、誤差保持レジスタ98、第1のレジスタとしての18bitレジスタ96の下位10bitの値、及び加算器入力信号の関係を示す図である。
【0052】
クロックCLKは、発振回路71から入力される25MHzのクロック信号であり、この信号に同期して内部回路が動作する。8ビットADC91は、所定の変換周期で出力電圧変換手段82から入力される検出信号S82である0から5Vのアナログ信号を00hex〜FFhexの8bitのデジタル信号に変換する機能を有している。変換周期は、マイクロ秒(以下「μsec」という。)オーダーで良く、制御周期と同期を取る必要はない。
【0053】
比較器92は、プリンタエンジン制御部34から入力される8bitの目標データDATAと検出信号S82である8bitとを比較し、目標データDATAが検出信号S82より大きい場合には、Hを、大きくない場合にはLを、18bitレジスタ96へ出力する機能を有している。
【0054】
18bitレジスタ96は、タイマ95から入力されるパルスの立ち上がりエッジの入力で比較器92からの信号に応じて18bitレジスタ96の設定値を増減する。
【0055】
圧電トランス80は、
図7に示すような特性を有している。即ち、圧電トランス80は、
共振周波数fxで最大昇圧比を得、周波数fy付近で昇圧比が最小となる。本実施例1では、開始周波数fstartから共振周波数fxより高い周波数fendの範囲にて、周波数を制御する構成になっている。
【0056】
例えば、本実施例1では、fyが約130kHz、fxが約107kHzであり、駆動周波数範囲を130(fstart)〜108(fend)kHzに設定している。
【0057】
上限値レジスタ93には、108kHz(周期で9.259μsec)に対応した分周値である231.48に1024を乗じた値、237053、16進数に変換すると、39DEBhexが設定されている。
【0058】
下限値レジスタ94には、130kHz(周期で7.692μsec)に対応した分周値である192.3に1024を乗じた値、196915、16進数に変換すると、30133hexが設定されている。
【0059】
タイマ95は、分周器を有しており、クロックCLKを分周してパルスを出力する。このパルス周期が制御周期となる。例えば、10μsecであれば、250クロックサイクル、100μsecであれば2500クロックサイクル周期のパルスを出力する。制御周期は200μsec以下が好ましいが、実装に上って適宜調整される。本実施例1では固定周期となっているが、プリン
タエンジン制御部
34から制御周期を設定する信号を追加し
てもよい。
【0060】
18bitレジスタ96は、分周値を設定するレジスタであり、上位8bitが整数値を格納する整数部であり、下位10bitが小数値を格納する分数部である。(上位8bit)+(下位10bit)/1024が平均分周値となる。信号RESETがHになると18bitレジスタ96には、下限値レジスタ94の18bit値が設定されるようになっている。18bitレジスタ96は、タイマ95から入力されるパルスの立ち上がりエッジの入力で比較器92からの信号に基づいて18bitレジスタ96の設定値を増減するようになっている。
【0061】
この18bitレジスタ96と、加算器97と、誤差保持レジスタ98と、分周器99とは、
分数分周手段としての分数分周器を構成している
。
【0062】
分数分周器は、フラクショナルN分周器であり、誤差保持レジスタ98に分数部の値が累算される。分数部の値の加算値がオーバフローすると、誤差保持レジスタ98は、加算器97に第1論理(例えば、H)のオーバフロー信号を出力し、それ以外の時には第2論理値(例えば、L)
のオーバフロー信号を出力する機能を有している。加算器97は、18bitレジスタ96の整数部である上位8bit値S96bを入力し、誤差保持レジスタ98の出力信号がHの場合は、1を、Lの場合には、0を加算して分周器99に出力する機能を有している。
【0063】
分周器99は、18bitレジスタ96の整数部である8bitの値をN
(但し、Nは整数)とするとN又はN+1を入力し、50%デューティのN又はN+1分周の分周パルスS99を出力するようになっている。
【0064】
図8において、誤差保持レジスタ98は、18bitレジスタ96の下位10bit値S96aの加算結果を保持する誤差保持レジスタ本体98aと、18bitレジスタ96の下位10bit値S96aを入力して誤差保持レジスタ本体98aの値に加算して加算結果を誤差保持レジスタ本体98aに格納する加算器98bとを有している。
【0065】
加算器98bは、誤差保持レジスタ98の下位10bit値S96aを誤差保持レジスタ本体98aの値に加算し、加算結果を誤差保持レジスタ98のbit0−10、及び下位11bitと置き換えるようになっている。加算は、分周器99から出力される
分周パルスS99の立ち上がりエッジをトリガとして行われ、加算と同時にbit10の値がbit11へシフトされる。
bit10は、値がbit11へシフトされた後には、0クリアされるようになっている。
図8中の誤差保持レジスタのbit11は、説明のために設けたが省略してもよい。
【0066】
図9において、分周器パルスS99周期は、分周器99から出力されるパルスのカウントを示す。誤差保持レジスタ98の12bitの値は、初期状態では000hexになっている。18bitレジスタの下位10bit値S96aは、例えば、12Chexとしている。この値は、300/1024=約0.3である。誤差保持レジスタ値は、分周器99が
分周パルスS99を出力する毎に、
図9のように更新され、加算器97に対しては、L、若しくは、Hが出力されるようになっている。分数値は誤差加算され、繰り上がりを発生した場合に、分周値整数部に加算される。それにより平均周波数が18bitレジスタ
96で指示した値に収斂するようになっている。
【0067】
図6において、出力セレクタ100は、信号ON/OFFがHになるとPLL回路72に対して制御パルスS41aを出力する。同時にインバータ101を介して信号ON/OFFを反転した禁止信号S41bがPLL回路71の入力ポートINHに入力される。PLL回路72は、制御パルスS41aに同期した周波数の駆動パルスS72を圧電トランス駆動回路75に出力する。制御パルスS41aは、短い時間で周期がN分周、N+
1分周と切り替わるが、PLL回路72のVCOINポートに入力される信号は、ループフィルタ73により平滑され、PLL回路72からは、18bitレジスタ96に設定されたデジタル値に応じた周波数の駆動パルスS72が出力される。
【0068】
例えば、目標データDATAが300.5、18bitレジスタ96の設定値が220.5×1024=225792、即ち、37200hexの場合、220分周、113.63kHz(25MHz/220)と221分周、113.12kHzのパルスが高電圧制御部41から交互に出力されるが、PLL回路72からは113.38kHzのパルスが圧電トランス駆動回路75へ出力される。
【0069】
本実施例1では、分数部10bit、基準周波数25MHzとしたが、分数部のbit数は任意に取り得るし、基準周波数も任意に選択することが可能である。更に、分数分周器を、フラクショナルN方式で説明したが、複数の分周比を短時間に切り替え可能なら閾値マトリクスを用いてもよいし、乱数を用いてもよい。
【0070】
図10は、
図4中のPLL回路72における周辺回路を示す回路図である。
PLL回路72は、例えば、HC4046等のICである。抵抗73aとコンデンサ73bとは、ループフィルタ73を構成している。本実施例1では、ループフィルタとして、ラグフィルタで説明しているが、ラグリードフィルタ等の他のフィルタであってもよい。DC電源76の入力ポートVccには、DC電源76のパスコンであるコンデンサ73cが接続されている。コンデンサ100、抵抗73d、73eは、VCO72bの発振周波数範囲を決定する素子であり、発振周波数範囲が本実施例1の圧電トランス駆動範囲100〜130kHzを含むように調整されている。VCO72bの発振周波数可変範囲は、100倍以上の範囲を有するので、最低周波数が10kHz程度となるように調整されている。
【0071】
(実施例1の画像形成装置の全体の動作)
図2及び
図3を参照して、本実施例1における画像形成装置全体の概略の動作を説明する。
【0072】
図2の画像形成装置1において、
図3中のホストインタフェース部31は、図示しない外部機器から、PDL(Page Description Language、ページ記述言語)等で記述された印刷データを入力する。入力された印刷データは、コマンド/画像処理部32によってビットマップデータに変換され、LEDヘッドインタフェース部33及びプリンタエンジン制御部34へ出力される。そして、プリンタエンジン制御部34により、LEDヘッドインタフェース部33、モータ制御部35、及び高圧制御部36等が制御される。プリンタエンジン制御部34は、定着器22に設けられたサーミスタ22aの検出信号に応じて定着器ヒータ22bを制御することにより、定着器22内の一対の熱定着ローラ23,24を所定温度にした後、印字動作を開始する。
【0073】
プリンタエンジン制御部34で制御されるホッピングモータ51により、給紙ローラ18が駆動すると、用紙カセット17内に積載された用紙17aが1枚ずつ取り出され、用紙ガイド19へ給紙される。給紙された用紙17aは、用紙ガイド19に沿って搬送され、停止状態の一対のレジストローラ20,21に突き当てられてレジストモータ52の駆動によりスキューが補正される。次に、用紙17aの通過が図示しない用紙検出センサで検出され、この検出信号がプリンタエンジン制御部34へ送られ、プリンタエンジン制御部34の制御により、画像形成動作に同期したタイミングでベルトモータ53、定着器ヒータモータ54、及び複数の感光体ドラム
9(=9K,9Y,9M,9C)を駆動する複数のドラムモータ55K,55Y,55M,55Cが駆動を開始する。同時に、LEDヘッドインタフェース部33の動作により、複数のLEDヘッド3(=3K,3Y,3M,3C)が駆動を開始し、高圧制御部41により制御される帯電バイアス発生部42及び現像バイアス発生部43の動作により、複数の現像器2(=2K,2Y,2M,2C)が駆動を開始し、更に、高圧制御部41により制御される転写バイアス発生部44の動作により、複数の転写ローラ11(=11K,11Y,1h1M,11C)が駆動を開始する。
【0074】
前記ベルトモータ53の駆動が開始されると、一対のレジストローラ20,21によって用紙17aが転写ベルト14上へ搬送される。
【0075】
各現像器2(=2K,2Y,2M,2C)は、電子写真プロセスにより、内部の各感光体ドラム9(=9K,9Y,9M,9C)にトナー像を形成する。この時、前記ビットマップデータに応じて各LEDヘッド3(=3K,3Y,3M,3C)が点灯される。各転写ローラ11(=11K,11Y,11M,11C)に印加された転写バイアスにより、各現像器2(=2K,2Y,2M,2C)で現像された4色のトナー像が、転写ベルト14上を搬送される用紙17aに転写される。4色のトナー像が転写された用紙17aは、定着器22によってその4色のトナー像が加圧及び加熱されて定着された後、一対の排出ローラ25,26により、用紙ガイド27に沿って搬送され、排紙トレー28へフェースダウンで排出される。
【0076】
(実施例1の高圧電源装置の動作)
図1の高圧電源装置90における概略の動作を説明する。
【0077】
なお、本実施例1における転写バイアスは、画像形成装置1の4色、即ち高電圧出力4チャンネルをそれぞれ独立に制御するが、各制御の構成及び動作が同一であるので、以下、1チャンネルについてのみ動作を説明する。
【0078】
プリンタエンジン制御部34は、図示しない用紙検出センサによる用紙検出信号を基準として、所定のタイミングで、4色(K,Y,M,C)の転写バイアスを順次オン、即ち出力ポートOUT1から出力する信号ON/OFFをHにして転写バイアスをオンにする。転写バイアスオフのタイミングは、用紙検出センサによる用紙検出信号を基準として、用紙17aが各色の転写ローラ11(=11K,11Y,11M,11C)上を通り抜けたタイミングとする。転写バイアス印加に当たっては、プリンタエンジン制御部34の出力ポートOUT2から高圧制御部
41の入力ポートIN12へLの信号RESETを出力し、高圧制御部
41内の諸々の設定を初期化する。
【0079】
次にプリンタエンジン制御部34は、出力ポートOUT3から、高圧の
DC出力電圧S81に対する8bitの目標データDATAを高圧制御部
41の入力ポートIN13へ出力する。
【0080】
プリンタエンジン制御部34は、出力ポートOUT3から目標データDATAを出力した後、転写バイアスを印加するタイミングで、出力ポートOUT1から出力する信号ON/OFFをLからHにする。
【0081】
高圧制御部41は、8bitADC91において、検出信号S82を入力してこれを8bitのデジタル信号である変換検出信号S91に変換し、信号ON/OFFがHのときに、目標データDATAと変換検出信号S91が等しくなるように制御パルスS41aを制御する。高圧制御部41は、PLL回路72の出力を禁止するときには、出力ポートOUT12から禁止パルス
S41bをHにして出力する。PLL回路72から出力される
駆動パルスS72は、圧電トランス駆動回路75へ入力される。
【0082】
圧電トランス駆動回路75は、DC電源74から供給されるDC24Vをスイッチングし、正弦半波電圧の駆動電圧S75を圧電トランス80の1次側入力端子80aに印加する。圧電トランス80は、1次側入力端子
80aに駆動電圧S75が入力されると、振動して駆動周波数に応じて昇圧した高圧のAC出力電圧S80を、2次側出力端子80bから整流回路81へ出力する。整流回路81は、入力された高圧のAC出力電圧S80を整流して、正極性の高圧のDC出力電圧S81を出力し、出力負荷83及び出力電圧変換手段82へ供給する。
【0083】
出力電圧変換手段82は、高圧のDC出力電圧S81を0〜5.0Vの範囲のDC変換電圧に変換し、検出信号S82として高圧制御部41の入力ポートIN14を介してADC91へ出力する。
【0084】
(実施例1の高圧電源装置の詳細な動作)
図4の高圧電源装置
60の動作を詳細に説明する。
【0085】
発振回路71で生成された25MHzのクロックCLKが、高圧制御部41のクロック入力ポートCLKINに入力される。高圧制御部41は、プリンタエンジン制御部34から入力ポートIN12に入力される信号RESETH
がLになった時、内部回路の諸々の設定を初期化する。高圧制御部41は、プリンタエンジン制御部34から入力ポートIN11に入力される信号ON/OFFがLからHになると、整数値及び小数値からなる分周値により、クロックCLKを分数分周して制御パルスS41aを、出力ポートOUT11から出力する。
【0086】
制御パルスS41aは、PLL回路72内の入力ポートSIGINに入力される。PLL回路72は、DC電源
76から5Vの電圧を供給され、入力ポートSIGINから入力した制御パルスS41aと、出力ポートVCOOUTから出力される駆動パルスS72とが入力ポートCOMPに入力されて比較され、比較された位相比較信号S72aが出力ポートPC2OUTからループフィルタ73へ出力される。ループフィルタ73は、位相比較信号S72aを平滑化してPLL回路72の入力ポートVCOINに出力する。PLL回路72は、禁止パルスS41bがLになると、活性化して出力ポートVCOOUTから駆動パルスS72を出力する。この駆動パルスS72は、PLL回路72によって、入力ポートSIGINに入力される制御パルスS41aに位相同期する。
【0087】
駆動パルス72は、圧電トランス駆動回路75の抵抗55aを介してNMOS75bのゲートに印加され、このNMOS75bがオン/オフ動作する。NMOS75bのオン/オフ動作により、インダクタ75c、及びコンデンサ75dにより構成される
共振回路が駆動され、正弦半波電圧の駆動電圧S75が圧電トランス80の1次側入力端子80aに印加されて、この圧電トランス80が振動する。これにより、圧電トランス80の2次側の出力端子80bから、高圧のAC出力電圧S80が出力される。
【0088】
高圧のAC出力電圧S80は、整流回路81内の整流ダイオード81a,81b及びコンデンサ81cにより整流されて、正極性バイアスである高圧のDC出力電圧S81が出力される。出力された高圧のDC出力電圧S81は、抵抗84を介して出力負荷84に供給される。
【0089】
整流回路81の出力側に接続された出力電圧変換手段82は、例えば、100MΩの抵抗82aと100kΩの抵抗82bとにより、高圧のDC出力電圧SS81を約1000分の1に分圧し、抵抗82c及びオペアンプ145のボルテージフォロアを介して検出信号S82としてADC91へ供給する。
【0090】
(実施例1の高圧制御部の動作)
図7、
図8及び
図9を参照しつつ、
図6の
高圧制御部41の動作を説明する。
【0091】
図6の高圧制御部41は、
図4中の発振回路71から出力される25MHzのクロックCLKに同期して動作する。入力ポートIN11から入力される信号ON/OFFがLからHになると、比較器92が動作すると共に、その信号ON/OFFを選択信号Selectとして出力セレクタ100が分周器99側に切り換えられ、その出力セレクタ99から制御パルスS41aが出力される。選択信号Selectは、同時にインバータ101で反転されて禁止信号S41bとしてPLL回路72に出力される。
【0092】
高圧制御部41は、プリンタエンジン制御部34から出力されるLの信号RESETを入力ポートIN12から入力する。
【0093】
8ビットADC91は、所定の変換周期で出力電圧変換手段82から入力される検出信号S82である0から5Vのアナログ信号を00hex〜FFhexの8bitのデジタル信号である変換検出信号S91に変換する。
【0094】
比較器92は、プリンタエンジン制御部34から入力される8bitの目標データDATAと変換検出信号S91とを比較し、目標データDATAが変換検出信号S91より大きい場合には、Hを、大きくない場合にはLを、18bitレジスタ96へ出力する。
【0095】
18bitレジスタ96は、タイマ95から入力されるパルスの立ち上がりエッジの入力で比較器92からの信号に応じて18bitレジスタ96の設定値を増減する。
【0096】
18bitレジスタ96は、分周値を設定するレジスタであり、上位8bitが整数値を示し、下位10bitが分数値を示す。(上位8bit)+(下位10bit)/1024が平均分周比となる。信号RESETがHになると18bitレジスタ96には、下限値レジスタ94の18bit値が設定される。18bitレジスタ96は、タイマ95から入力されるパルスの立ち上がりエッジの入力で比較器92からの信号に基づいて18bitレジスタ96の設定値を増減する。
【0097】
誤差保持レジスタ98に分数値が累算される。分数値の加算値がオーバフローすると、誤差保持レジスタは、加算器97にHを出力し、それ以外の時にはLを出力する。加算器97は、18bitレジスタ96の整数部である上位8bit値S96bを入力し、誤差保持レジスタ98の出力信号がHの場合は、1を、Lの場合には、0を加算して分周器99に出力する機能を有している。
【0098】
分周器99は、18bitレジスタ96の整数部である8bitの値をNとするとN又はN+1を入力し、50%デューティのN又はN+1分周のパルスを出力する。50%デューティ値は、8bitの値を1bit右シフトした7bitの値により算出する。
【0099】
図8において、加算器98bは、誤差保持レジスタ98の下位10bit値S96aを誤差保持レジスタ本体98aの値に加算し、加算結果を誤差保持レジスタ98のbit0−10、及び下位11bitと置き換える。加算は、分周器99から出力される
分周パルスS99の立ち上がりエッジをトリガとして行われ、加算と同時にbit10の値がbit11へシフトされる。
bit10は、値がbit11へシフトされた後には、0クリアされる。
【0100】
出力セレクタ100は、信号ON/OFFがHになるとPLL回路72に対して制御パルスS41aを出力する。同時にインバータ101を介して信号ON/OFFを反転した禁止信号S41b
をPLL回路71の入力ポートINHに出力する。
【0101】
図9において、18bitレジスタ下位10bitには、12Chexが設定されている。分周パルスS99周期が0のときには、オーバフローが発生しないので、加算器98bには、Lのオーバフロー信号が入力される。
図9においては、Lを0、Hを1で表している。分周パルスS99周期が1のときには、18bitレジスタ下位10bit信号S96aの値が誤差保持レジスタ98に累算されて12Chexになる。その結果、オーバフローが発生しないので、加算器98bには、Lのオーバフロー信号が入力される。同様に、分周パルスS99周期が1〜3のときには、オーバフローが発生しない。
【0102】
分周パルスS99周期が4のときには、18bitレジスタ下位10bit
値S96aの値が誤差保持レジスタ98に累算されて4B0hexになる。その結果、オーバフローが発生して、加算器98bには、Hのオーバフロー信号が入力される。
【0103】
図11は、
図6中の高圧制御部41の動作を示すフローチャートである。
高電圧制御部41は、ASICで構成されており、論理記述言語により記述されたハード
ウェアで実現されている。但し、本実施例1の構成はハードウェアでなくソフトウェアによっても実現可能である。
【0104】
信号RESETがHになると本処理が開始される。
ステップST1において、下限値レジスタ94の設定値を18bitレジスタ96にセットする。ステップST2において、信号RESETがLか否かが判定される。Hのときには(N)、ステップST1へ戻り、Lのときには(Y)、ステップST3へ進む。
【0105】
ステップST3において、タイマ95の立ち上がりエッジを検出したか否かを判定する。検出したときには(Y)、ステップST4へ進み、検出しなかったときには(N)
、ステップST3へもどる。ステップST4において、ADC91が出力する変換検出信号S91が目標データDATAより小さいか否かが判定される。変換検出信号S91が目標データDATAより小さいときには(Y)、ステップST5へ進み、小さくないときには(N)、ステップST2へ戻る。
【0106】
ステップST5において、18bitレジスタ96の値が上限値レジスタ93に等しいか否かが判定される。等しいときには(Y)、ステップST2へ戻り、等しくないときには(N)、ステップST6へ進む。ステップST6において、18bitレジスタ96の値を1だけ加算する。ステップST7において、18bitレジスタ96の値が下限値レジスタ94に等しいか否かが判定される。等しいときには(Y)、ステップST2へ戻り、等しくないときには(N)、ステップST8へ進む。ステップST8において、18bitレジスタ96の値を1だけ減算する。
【0107】
本実施例1では分周値の設定値である18bitレジスタ96の値を1ずつ加減算しているが、目標値との差分に応じて加減算量を変更する等して周波数制御時の周波数変化量の可変幅を変更してもよい。周波数制御方法については公知文献等により種々提案されている。
【0108】
(比較例と実施例1との比較)
図12は、比較例における圧電トランスに印加される駆動電圧を示す波形図である。
図13は、比較例における圧電トランスに印加される駆動電圧を説明する模式図である。更に、
図14は、本発明の実施例1における
図4の圧電トランスに印加される駆動電圧を示す波形図である。
【0109】
図12において、上段の波形は、駆動電圧S75の波形であり、下段の波形は、駆動パルスS72の波形である。駆動電圧S75の波形では、1目盛が20.0Vを表し、駆動パルスS72の波形では、1目盛が5.00Vを表している。横軸は、時間軸で1目盛が10.0μsecを表している。
図13においても同様の表記になっている。
【0110】
圧電トランス80の入力端子80aには、駆動電圧S75が印加される。圧電トランス80の駆動パルスS72が圧電トランス
80の振動に対して僅かながら位相差を有するために、駆動電圧S75の波高が不均一となっている。圧電トランス80は、機械的振動をするために、分周値の異なるパルスにより駆動しても平均周波数で振動する。しかしながら、平均周波数の振動に対して整数分周値での駆動により個々のパルスに対する位相差が生じ、
図12のように共振波形のピーク電圧に変動が生じる。
【0111】
図13に示す模式図のように、1次側駆動波形(駆動電圧S75)が昇圧され、2次側にAC出力電圧S80が出力される。出力されたAC出力電圧S80は整流されるが、
図13に示す整流波形(DC出力電圧S81)の波形のように駆動周波数のリップルとは別の低周波のリップルが生じる。圧電トランス80の駆動電圧S75の駆動周波数は、100kHz程度と高く、リップルの周期は10μsec程度であるので、例えば300mm/secの速度で用紙が搬送される画像形成装置であってもリップル周期は、
300/10
5=0.003mm
であり、画像上で認識されることはない。しかしながら、低周波のリップルは、画像に縞状のムラとして認識されてしまう。前記低周波のリップルは、従来の分数分周器を使用した場合、分数部のビット数をNビットとした場合に
(駆動周波数周期)×2
N
を最大周期として、駆動周波数周期の整数倍の周期で現れる。
【0112】
本発明の実施例1によれば、個々のパルスの位相差をループフィルタ73により打ち消して駆動するので、
図14に示すように、低周波のリップルを低減することが可能となった。
【0113】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、制御パルスS41aを出力する高圧制御部41の出力側にPLL回路72及びループフィルタ73を設け、制御パルスS41aに位相同期し、周波数が制御パルスS41aの平均周波数に一致する駆動パルスS72を出力するようにした。この駆動パルスS72により、圧電
トランス駆動回路75を駆動するようにしたので、圧電トランス80から
整流回路81を介して出力される高圧のDC出力電圧S81の低周波のリップルを低減するという効果がある。
【0114】
更に、制御パルスS41aの平均周波数と駆動パルスS72の周波数が等しいため、周波数可変周期を10μsec〜数100μsecとすることが可能となった。そのため、立ち上がり時間の速い高圧電源装置60を実現することができた。
【実施例2】
【0115】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2では、
図2の画像形成装置1が実施例1と同様であり、
図15中の高圧制御部41A及び転写バイアス発生部44Aの構成が実施例1と異なっている。
【0116】
図15は、本発明の実施例2における制御回路の構成を示すブロック図であり、実施例1を示す
図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0117】
図15において、高圧制御部41A及び転写バイアス発生部44Aの構成が実施例1と異なっており、その他の構成は、実施例1と同様である。
【0118】
図16は、
図15中の高圧電源装置60Aの構成例を示すブロック図であり、実施例1を示す
図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0119】
図16において、高圧制御部41Aの構成が実施例1と異なっており、実施例1のPLL回路72が高圧制御部41Aに一体化されて構成されている。その他の構成は、実施例1と同様である。高圧制御部
41Aは、例えば、ASIC1260が用いられている。
【0120】
図17は、
図16の高圧電源装置60Aの構成例を示す回路図であり、実施例1を示す
図4中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0121】
図17において、ループフィルタ73Aの構成が、実施例1と異なっている。ループフィルタ73Aは、実施例1のループフィルタ73の構成に加え、一端がコンデンサ73bに接続され、他端がグラウンドGNDに接続された抵抗73fを有している点が実施例1と異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0122】
図18は、
図17中の高圧制御部41Aの構成を示す回路ブロック図であり、実施例1を示す
図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0123】
図18において、18bitレジスタ96Aと、加算器97Aと、比較器98Aと、分周器99Aとの構成が実施例1と異なっており、カウンタ102と、位相比較器103と、VCO104と、1/4分周器105とが追加されている。他の構成は、実施例1と同様である。このうち、位相比較器103と、VCO104と、1/4分周器105とは、実施例1のPLL回路72に相当するPLL回路を構成している。
【0124】
VCO104の出力信号である駆動パルス
S72は、出力セレクタ100を介して、圧電トランス駆動回路
75へ出力されると同時に1/4分周器105へ入力されて4分周されるようになっている。本実施例2では4分周としたが、18bitレジスタ96Aに設定される目標データDATAを可変にする制御周期より1/4分周器105の出力パルスの周期が短くなるように設計すれば良く、他の分周値であってもよい。タイマ95により、周波数指示値可変周期が決定されるが、指示値可変に対して、VCO104の出力周波数がリニアに追随するには、
タイマ95の出力パルス周期≧1/4分周器の出力パルス周期
である必要がある。両周期は同期が取れている必要はない。
【0125】
位相比較器103に入力されるパルスは、駆動パルス
S72の周波数の1/4の周波数となり、108〜130kHの駆動周波数に対して27〜32.5kHzとなる。18bitレジスタ96Aは、整数部10bit、小数部8bitなので設定値が実施例1に等しくなる。本実施例2における分数分周は、実施例1と異なり閾値マトリクスを用いている。分周器99Aの動作は実施例1の分周器99と同様であるが、分周器99A
から出力される分周パルスS99Aがカウンタ102によりカウントされる。カウンタ102は、8bitのカウンタで00〜FFhexまでカウントする機能を有している。FFhexまでカウントすると、00hexに戻るようになっている。
【0126】
図19は、
図18中のカウンタ、18bitレジスタ下位8bit、及び比較器を示す図である。
【0127】
図19において、カウンタ102の値はbit7→bi0、bit6→bit1、bit5→bit2、bit4→bit3、bit3→bit4、bit2→bit5、
bit1→bit6、
bit0→bit7と入れ替えられてカウンタ入替値が比較器98Aに入力されるようになっている。比較器98Aにおいて、カウンタ入替出力は、18bitレジスタ96Aの分数部である下位8bitと比較される。
下位8bitの値≧カウンタ入替値
となったとき、比較器98Aは、加算器97Aに対してHを出力し、そうでない場合には、Lを出力するようになっている。
【0128】
図20は、
図19中の分周パルスS99A周期、カウンタ入替出力8bit、18bitレジスタの下位10bitの値、及び加算器入力信号の関係を示す図である。
【0129】
カウンタ入替値が閾値マトリクスを構成し、小数部の値と比較し、N分周、N+
1分周を選択する。本実施例2では
分周パルスS99Aをカウントするカウンタ102を用いたが、8bit×256のテーブルとして閾値マトリクスを構成してもよい。分周器99Aから出力される
分周パルスS99Aの4逓倍されたパルスがVCO104から出力されるように
なっている。
【0130】
(実施例2の動作)
本実施例2において、画像形成装置1の全体の動作は実施例1と同様であるので、
図18、
図19及び
図20を用いて、実施例1とは異なる高圧制御部41Aの動作を説明する。
【0131】
VCO104の出力信号は、出力セレクタ100を介して、圧電トランス駆動回路80へ出力されると同時に1/4分周器105へ入力されて4分周される。タイマ95により、周波数指示値可変周期が決定されるが、指示値可変に対して、VCO104の出力周波数がリニアに追随するには、
タイマ95の出力パルス周期≧1/4分周器の出力パルス周期
である必要がある。両周期は同期が取れている必要はない。
【0132】
位相比較器103に入力されるパルスは、圧電トランス
駆動回路75の駆動パルス72の周波数の1/4の周波数となり、108〜130kHの駆動周波数に対して27〜32.5kHzとなる。18bitレジスタ96Aは、整数部10bit、小数部8bitであり、実施例1と同様の設定値が設定される。分数分周は、実施例1と異なり閾値マトリクスを用いる。分周器99Aの動作は、実施例1の分周器99と同様である。分周器99A
から出力される分周パルスS99Aは、カウンタ102によりカウントされる。カウンタ102は、8bitのカウンタで00〜FFhexまでカウントする。FFhexまでカウントすると、00hexに戻る。
【0133】
図19において、カウンタ102の値はbit7→bi0、bit6→bit1、bit5→bit2、bit4→bit3、bit3→bit4、bit2→bit5、
bit1→bit6、
bit0→bit7と入れ替えられてカウンタ入替値が比較器98Aに入力される。比較器98Aにおいて、カウンタ入替値は、18bitレジスタ96Aの分数部である下位8bitと比較される。
下位8bitの値≧カウンタ入替値
となったとき、比較器98Aは、加算器97Aに対してHを出力し、そうでない場合には、Lを出力するようになっている。
【0134】
図20は、
図19中の分周器パルスS99A周期、カウンタ入替出力8bit、18bitレジスタの下位10bitの値、及び加算器入力信号の関係を示す図である。
【0135】
カウンタ入替値が閾値マトリクスを構成し、小数部の値と比較し、N分周、N+
1分周を選択する。
【0136】
本実施例2では、
分周パルスS99Aをカウントするカウンタ102を用いたが、8bit×256のテーブルとして閾値マトリクスを構成してもよい。VCO104からは、分周器99Aから出力される
分周パルスS99Aの4逓倍されたパルスが出力される。
【0137】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、VCO104の出力パルスを1/4に分周して位相比較することにより
、制御パルスS41aの周波数を下げることが可能となった。そのため、同一分解能で小数値のビット数を減ずる
ことが可能となるので
、制御パルスS41aのノイズを減じることが可能となった。
【0138】
更に、精度の高い駆動パルス
S72を得ることが可能となり、且つ、分数分周によりPLL回路に入力するパルスの周波数を極端に低下させることもないので
、必要な制御周期も確保可能となった。
【0139】
(変形例)
実施例1、2では、圧電トランス80を駆動する圧電トランス駆動装置70、70A、それを使用した高圧電源装置、及びそれを使用した電子写真方式のカラー画像形成装置1について説明したが
、これに限定されない。例えば、カラープリンタやカラー複写機、ファクシミリ装置、又はそれらの機能を併せ持つカラー複合機等の種々の画像形成装置に適用が可能である。