(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下に示す実施の形態は例示であり、本願発明の技術的範囲をこれらに限定するものではない。
【0014】
<第1の実施の形態>
<1−1.電源回路>
図1は、電源回路1の回路図である。電源回路1は、例えば車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)が動作する電圧を供給するために、バッテリ電源(例えば
図1に示すバッテリ電源3)からの入力電圧を降圧して出力する。なお、本実施の形態では、たとえばエンジンの駆動を制御するエンジン制御ECUのマイコンへ一定の電力を供給するための電源回路として採用される。
エンジン始動時は、図示せぬイグニッションスイッチの操作によりバッテリ電源3からの電力が電源回路1に供給される。そして、電源回路1によりバッテリ電源3からの電力が一定電力に変換され、マイコンに動作電源が供給されることにより、マイコンがエンジン制御処理を開始する。これによりエンジン制御ECUの駆動が開始し、エンジンの駆動制御がなされる。
【0015】
次に本実施の形態における電源回路1の機能配置の背景について説明する。エンジン制御ECUを低コスト化するためには、スイッチングレギュレータ10などの構成を1つのICとして統合し、構成を簡略化することが考えられる。
しかしながら、スイッチングレギュレータ10をIC2内に組み込むと、電流能力の制限などもあるので、スイッチングレギュレータ10としては汎用のものを採用し、汎用のスイッチングレギュレータ10をIC2に外付けするのが望ましい。
ただし、汎用のスイッチングレギュレータ10を採用した場合、当該スイッチングレギュレータ10の最低動作電圧が高いため、これをサポートする必要がある。
今回は、そのサポート機能として低電圧駆動する第1シリーズレギュレータを11採用し、低電圧時でも第1シリーズレギュレータ11が駆動し、マイコンへの電力供給がなされるようにしている。
【0016】
電源回路1はバッテリ電源3からの入力電圧が与えられる入力部401と、ECUに降圧した電圧を供給する出力部402との間にスイッチングレギュレータ10、第1シリーズレギュレータ11、第2シリーズレギュレータ12、制御回路13、有極性コンデンサ21、および、コンデンサ22を主に備える。ここで、第1シリーズレギュレータ11と第2シリーズレギュレータ12とは直列に接続され、第1シリーズレギュレータ11とスイッチングレギュレータ10とは並列に接続されている。
【0017】
また、電源回路1の有極性コンデンサ21は、例えば電解コンデンサであり、一端がPNPトランジスタ111のコレクタと、コンデンサ103の一端と、IC2の端子T3を介して抵抗112の一端とに接続されている。有極性コンデンサ21の他端はグランドに接続されている。
【0018】
さらに、コンデンサ22は、例えばセラミックコンデンサであり、一端が有極性コンデンサ21の一端と、後述する第2シリーズレギュレータ12のPNPトランジスタ201のエミッタとに接続されている。コンデンサ22の他端はグランドに接続されている。
【0019】
また、電源回路1はその一部に、IC(Integrated Circuit)2を含んでおり、このIC2の内部の素子は、端子T1〜T6を介してIC2の外部の素子と接続されている。
【0020】
<1−2.スイッチングレギュレータ>
スイッチングレギュレータ10は、バッテリ電源3からの電圧(例えば、直流電圧14V)を入力電圧とし、この入力電圧を降圧して所定の電圧(例えば、直流電圧6.5V)とするよう駆動している。スイッチングレギュレータ10は、スイッチング回路部101、コイル102、コンデンサ103、および、ダイオード104を主に備える。なお、以下で説明する電圧は全て直流電圧である。
【0021】
スイッチング回路部101は、一端がバッテリ電源3と接続され、他端が後述するコイル102の一端と、ダイオード104のカソードとに接続されている。また、スイッチング回路部101はグランドに接続されている。スイッチング回路部101は、バッテリ電源3からの入力電圧をスイッチング回路部101内に設けられたスイッチング素子(例えば、NチャンネルMOS FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor))のスイッチング制御に応じた電圧に変換して出力する。
【0022】
コイル102の一端は、スイッチング回路部101の他端と、ダイオード104のカソードとに接続されている。また、コイル102の他端はコンデンサ103の一端と、後述するPNPトランジスタ111のコレクタとに接続されている。なお、コイル102の他端には、スイッチング回路部101に電圧を出力するフィードバックループが形成されている。
【0023】
コンデンサ103の一端は、コイル102の他端と、PNPトランジスタ111のコレクタとに接続されている。また、コンデンサ103の他端はグランドと接続されている。
【0024】
ダイオード104のアノードはグランドに接続され、カソードはスイッチング回路部101の他端と、コイル102の一端とに接続されている。
【0025】
コイル102、コンデンサ103、および、ダイオード104は、スイッチング回路部101から出力された電圧を平滑化して、PNPトランジスタ111のコレクタに出力する。例えば、バッテリ電源3からスイッチングレギュレータ10に供給される入力電圧の電圧値が14Vの場合、スイッチングレギュレータ10は、スイッチング制御および平滑化の処理により、スイッチングレギュレータ10から出力される電圧を6.5Vに降圧して出力する。これにより、電源回路1の有極性コンデンサ21、および、コンデンサ22に電荷が溜まり、これらの電位が6.0V〜6.5V前後に保たれる。
【0026】
<1−3.第1シリーズレギュレータ>
第1シリーズレギュレータ11は、PNPトランジスタ111、抵抗112、抵抗113、誤差アンプ114、基準電源115、OR回路116、および、バッファ117を主に備える。PNPトランジスタ111のエミッタはバッテリ電源3と接続され、ベースはIC2の端子T2を介してバッファ117の出力端と接続されている。コレクタはコンデンサ103の一端と、IC2の端子T3を介して抵抗112の一端と、有極性コンデンサ21の一端とに接続されている。
【0027】
抵抗112の一端は、端子T3を介してPNPトランジスタ111のコレクタと、コンデンサ103の一端と、有極性コンデンサ21の一端とに接続されている。抵抗112の他端は、抵抗113の一端と、誤差アンプ114の非反転入力端子とに接続されている。
【0028】
抵抗113の一端は、抵抗112の他端と、誤差アンプ114の非反転入力端子とに接続され、抵抗113の他端はグランドに接続されている。
【0029】
誤差アンプ114はアナログ演算回路であり、非反転入力端子、反転入力端子、および、出力端子を備える。非反転入力端子は抵抗112の他端と、抵抗113の一端とに接続されている。反転入力端子は基準電源115の一端と接続されている。出力端子は、OR回路116の一方の入力端と接続されている。
【0030】
基準電源(例えば、1.25V)115の一端は、誤差アンプ114の反転入力端子と接続され、基準電源115の他端はグランドに接続されている。
【0031】
OR回路116の一方の入力端は、誤差アンプ114の出力端子と接続され、OR回路116の他方の入力端は後述する制御回路13のAND回路306の出力端と接続されている。また、OR回路116の出力端は、バッファ117の入力端と接続されている。
バッファ117の入力端は、OR回路116の出力端と接続され、バッファ117の出力端は、端子T2を介してPNPトランジスタ111のベースに接続されている。
【0032】
ここで、第1シリーズレギュレータ11のPNPトランジスタ111のコレクタと、抵抗112の一端と、コンデンサ103の一端とが接続されている接点CP1における目標電圧(以下、「第1目標電圧」という。)を例えば、6.0Vとする。この場合6.0Vを抵抗112、および、抵抗113で分圧した電圧が、誤差アンプ114の非反転入力端子に印加される。そして、分圧した電圧に対応する接点CP2の電圧と、基準電源115の電圧とが同じ電圧(例えば、1.25V)になるように抵抗112、および、抵抗113の抵抗値が予め設定されている。例えば、抵抗112の抵抗値をRΩとした場合、抵抗113の抵抗値はR/3.8Ωになる。
【0033】
実際に電源回路1を駆動させた場合に、抵抗112および抵抗113で分圧した電圧が基準電源115の電圧よりも低いとき、つまり、接点CP1の電圧が第1目標電圧よりも低いときは、誤差アンプ114の出力端子からOR回路116の一方の入力端にLow信号が出力される。そして、後述する制御回路13のAND回路306の出力端からLow信号が出力されて、OR回路116の他方の入力端にLow信号が入力された場合、OR回路116の出力端からはLow信号が出力される。
【0034】
OR回路116の出力端から出力されたLow信号は、バッファ117、および、端子T2を介して、PNPトランジスタ111のベースに伝達される。これにより、PNPトランジスタ111のエミッタ―コレクタ間に電流が流れ、有極性コンデンサ21、および、コンデンサ22に電荷が溜まり、CP1の電位が第1目標電圧に対応した電位に引き上げられる。
【0035】
また、実際に電源回路1を駆動させた場合に、抵抗112および抵抗113で分圧した電圧が基準電源115の電圧よりも高いとき、つまり、接点CP1の電圧が第1目標電圧よりも高いときは、誤差アンプ114の出力端子からOR回路116の一方の入力端にHigh信号が出力される。そして、後述する制御回路13のAND回路306の出力端からLow信号およびHigh信号のうちいずれか一方の信号が出力されて、OR回路116の他方の入力端に入力されている場合、少なくともOR回路の一方の入力端の信号がHigh信号であるためOR回路116の出力端からはHigh信号が出力される。OR回路116の出力端から出力されたHigh信号は、バッファ117、および、端子T2を介して、PNPトランジスタ111のベースに伝達される。これにより、PNPトランジスタ111のエミッタ―コレクタ間に電流は流れず、有極性コンデンサ21、および、コンデンサ22の電荷が減少し、CP1の電位が第1目標電圧に対応した電位に引き下げられる。
【0036】
ここで、従来技術において、スイッチングレギュレータが正常に駆動して、接点(例えば、接点CP1に対応する部分)の目標電圧が6.0Vで、実際の電圧が例えば、約6.5Vの場合、誤差アンプの非反転入力端子に印加される電圧に対応する接点(例えば、接点CP2に対応する部分)の電圧が基準電源(1.25V)の電圧よりも高い電圧となる。そのため、誤差アンプの出力端子からOR回路の一方の入力端にHigh信号が出力される。
そして、OR回路からは、制御回路のAND回路からOR回路の他方の入力端に入力される信号の種類にかかわらず、High信号がバッファを介して、PNPトランジスタのベースに伝達される。その結果、PNPトランジスタの制御がオフ状態となり、PNPトランジスタのエミッタ―コレクタ間に電流が流れない。このように従来の技術では、スイッチングレギュレータの処理により、有極性コンデンサ、および、コンデンサに電荷が溜まり、接点の電位が目標電圧に対応した電位に引き上げられる制御が継続して行われていた。
【0037】
そして、スイッチングレギュレータが正常に駆動している場合は、シリーズレギュレータは駆動することなく停止した状態となる。しかし、スイッチング回路部内の断線等の理由で、スイッチングレギュレータが故障して正常に駆動しなくなった場合、接点(例えば、接点CP1に対応する部分)の電圧が目標電圧に対応する電圧を下回る。そのため、スイッチングレギュレータに代わり、シリーズレギュレータが駆動して接点の電圧を目標電圧に対応した電圧とする。この場合、PNPトランジスタのエミッタ―コレクタ間に継続的に電流を流すこととなりエネルギー損失が発生する。
【0038】
そして、バッテリ電源の入力電圧をシリーズレギュレータのみで降圧する処理を継続的に行うと、PNPトランジスタのエネルギー損失の許容範囲を超えるときがある。その結果、PNPトランジスタが故障することで、シリーズレギュレータが駆動せずに、ECUの動作中に当該ECUのマイコンに対して急に電源回路からの電圧供給が停止する場合があり、走行中の車両が停止するなどして、ユーザの安全性を阻害する可能性がある。
【0039】
このような課題を解決すべく、入力電圧の電圧値が、後述する第1基準電圧(例えば、8V)を超える場合に、第1の実施の形態の技術では、制御回路13が第1シリーズレギュレータ11の駆動を停止する。つまり、スイッチングレギュレータ10が入力電圧を降圧する駆動状態にかかわらず(接点CP1の電圧に関係なく)、入力電圧の電圧値が第1基準電圧よりも高ければ、第1シリーズレギュレータの駆動を制御回路13が停止させる。その詳細について以下に説明する。
【0040】
<1−4.制御回路>
制御回路13は、抵抗301、抵抗302、コンパレータ303、基準電源304、インバータ305、および、AND回路306を主に備える。抵抗301の一端は、端子T1を介してバッテリ電源3に接続されている。抵抗301の他端は、抵抗302の一端と、コンパレータ303の非反転入力端子に接続されている。抵抗302の一端は、抵抗301の他端に接続され、抵抗302の他端はグランドに接続されている。
コンパレータ303の非反転入力端子は抵抗301の他端と、抵抗302の一端とに接続されている。また、コンパレータ303の反転入力端子は、基準電源304と接続され、コンパレータ303の出力端子はAND回路306の一方の入力端に接続されている。
【0041】
基準電源(例えば、1.25V)304の一端は、コンパレータ303の反転入力端子と接続され、他端はグランドに接続されている。
インバータ305の入力端は端子T6に接続され、インバータ305の出力端はAND回路306の他方の入力端に接続されている。インバータ305の入力端には端子T6を介してLow信号が入力される。
【0042】
AND回路306の一方の入力端は、コンパレータ303の出力端と接続され、他方の入力端はインバータ305の出力端と接続されている。また、AND回路306の出力端は第1シリーズレギュレータ11のOR回路116の他方の入力端に接続されている。
制御回路13では、例えば入力電圧であるバッテリ電源3の電圧値が8Vの場合に、入力電圧を抵抗301および抵抗302で分圧した接点CP3の電圧が、基準電源304の電圧(例えば、1.25V)と同じ電圧となるように抵抗301および抵抗302の抵抗値が予め設定されている。例えば、抵抗301をRΩとすると、抵抗302の抵抗値はR/5.4Ωとなる。
【0043】
そして、第1シリーズレギュレータ11の駆動を制御する電圧を第1基準電圧(例えば、8V)といい、入力電圧が第1基準電圧を超える場合、第1シリーズレギュレータの駆動は停止される。詳細には、入力電圧が第1基準電圧を超える場合に、抵抗301および抵抗302で分圧した接点CP3の電圧値が1.25Vを超えることとなり、1.25Vを超える電圧がコンパレータ303の非反転入力端子に印加される。そして、コンパレータ303は、非反転入力端子に印加された電圧値と反転入力端子に印加された基準電源304の電圧値とを比較する。その結果、非反転入力端子に印加された電圧値の方が高いため、コンパレータ303の出力端子からはHigh信号が出力され、High信号がAND回路306の一方の入力端に入力される。また、AND回路の他方の入力端にはインバータ305の出力端からのHigh信号が入力されるため、AND回路306の出力端からOR回路116の他方の入力端にHigh信号が出力される。
【0044】
OR回路116の他方の入力端にHigh信号が入力されたことで、OR回路116の一方の入力端に入力される信号がHigh信号およびLow信号のいずれの場合であっても、OR回路116の出力端からはHigh信号が出力される。このHigh信号がバッファ117、および、端子T2を介して、PNPトランジスタ111のベースに伝達される。その結果、PNPトランジスタ111の制御はオフ状態となり、エミッタ―コレクタ間に電流は流れない。
【0045】
このように入力電圧が第1基準電圧を超える場合に、第1シリーズレギュレータ11の駆動が停止することで、ECUが動作を開始する前に既に電源回路1のスイッチングレギュレータ10が故障等の原因により駆動しない場合に、電源回路1がECUの動作中に当該ECUのマイコンに対して急に電圧の供給を停止することを防止できる。また、この電源回路1を使用する車両システムの安全性を確保できる。さらに、このような制御は、スイッチングレギュレータ10が入力電圧を降圧する駆動状態にかかわらず行われる。つまり、スイッチングレギュレータ10の駆動状態にかかわらず行われるため、スイッチングレギュレータ10が故障などの原因で継続的に駆動しない場合に、第1シリーズレギュレータ11が継続的に駆動して、第1シリーズレギュレータ11が故障することを防止できる。
【0046】
なお、入力電圧が第1基準電圧を下回る場合は、第1シリーズレギュレータ11の駆動が、第1目標電圧に対する接点CP1の電圧値に応じて制御される。詳細には入力電圧が第1基準電圧を下回る場合に、抵抗301および抵抗302で分圧した接点CP3の電圧値が1.25Vを下回ることとなり、1.25Vを下回る電圧がコンパレータ303の非反転入力端子に印加される。そして、コンパレータ303は、非反転入力端子に印加された電圧値と反転入力端子に印加された基準電源304の電圧値とを比較する。その結果、非反転入力端子に印加された電圧値の方が低いため、コンパレータ303の出力端子からはLow信号が出力され、AND回路306の一方の入力端に入力される。また、AND回路の他方の入力端にはインバータ305の出力端からのHigh信号が入力されるため、AND回路306の出力端からOR回路116の他方の入力端にLow信号が出力される。
【0047】
そして、OR回路116の他方の入力端にLow信号が入力されている場合に、OR回路116の一方の入力端にHigh信号が入力されているときは、バッファ117、および、端子T2を介して、PNPトランジスタ111のベースにHigh信号が伝達され、エミッタ―コレクタ間に電流は流れなくなる。また、OR回路116の一方の入力端にLow信号が入力されているときは、バッファ117、および、端子T2を介してPNPトランジスタ111のベースにLow信号が伝達され、エミッタ―コレクタ間の電流は流れる。
【0048】
<1−5.各レギュレータの駆動状態のグラフ>
ここで、
図2を用いてスイッチングレギュレータ10、および、第1シリーズレギュレータ11の入力電圧に応じた駆動状態について説明する。
図2は、各レギュレータの入力電圧に応じた駆動状態を示す図である。
図2に示すグラフの横軸は入力電圧(V)、縦軸は出力電圧(V)を示している。
図2上図は、スイッチングレギュレータ10の入力電圧に応じた駆動状態を示している。スイッチングレギュレータ10は、入力電圧が14V〜8Vまでの間、6.5Vの出力電圧を出力する。そして、入力電圧が8V〜6Vの間、所定の傾きで出力電圧の値が低下し、入力電圧が6V以下の場合は、出力電圧は0Vとなる。
【0049】
図2下図は、第1シリーズレギュレータ11の入力電圧に応じた駆動状態を示している。第1シリーズレギュレータ11は、入力電圧が14V〜8Vの間、出力電圧は0Vである。これは上述の
図1に示した電源回路1の回路図において、制御回路13のAND回路306の出力端から第1シリーズレギュレータ11のOR回路116の入力端にHigh信号が出力され、このHigh信号がPNPトランジスタ111に伝達されることで、PNPトランジスタ111の制御がオフ状態となり、エミッタ―コレクタ間に電流が流れない状態を示している。そして、入力電圧が8Vの場合は、出力電圧が6Vとなり、その後入力電圧が8Vから低下する間は、出力電圧を6Vに保つ。その後入力電圧が更に低下して3Vとなるまでは、出力電圧が6Vから所定の傾きで低下する。そして、入力電圧が3Vを下回った場合は、出力電圧は0Vとなる。
【0050】
このように、スイッチングレギュレータ10、および、第1シリーズレギュレータ11が駆動する入力電圧の範囲はそれぞれ異なる範囲となっており、特に第1シリーズレギュレータ11は、入力電圧が第1基準電圧(8V)を超える場合は駆動しない。
【0051】
<1−6.第2シリーズレギュレータ>
図1に戻り、第2シリーズレギュレータについて説明する。第2シリーズレギュレータ12は、PNPトランジスタ201、抵抗202、抵抗203、誤差アンプ204、基準電源205、バッファ206を主に備える。PNPトランジスタ201のエミッタはコンデンサ22の一端と接続され、ベースはIC2の端子T4を介してバッファ206の出力端と接続されている。また、コレクタはIC2の端子T5を介して抵抗202の一端と、有極性コンデンサ23の一端とに接続されている。
【0052】
抵抗202の一端は、端子T5を介してPNPトランジスタ201のコレクタと、有極性コンデンサ23の一端とに接続されている。抵抗202の他端は、抵抗203の一端と、誤差アンプ114の非反転入力端子とに接続されている。
【0053】
抵抗203の一端は抵抗202の他端と、誤差アンプ204の非反転入力端子とに接続され、抵抗203の他端はグランドに設置されている。
【0054】
誤差アンプ204はアナログ演算回路であり、非反転入力端子、反転入力端子、および、出力端子を備える。非反転入力端子は抵抗202の他端と、抵抗203の一端とに接続されている。反転入力端子は基準電源205の一端と接続されている。出力端子は、バッファ206の入力端に接続されている。
【0055】
基準電源(例えば、1.25V)205の一端は、誤差アンプ204の反転入力端子と接続され、他端はグランドに接続されている。
バッファ206の入力端は、誤差アンプ204の出力端と接続されており、バッファ206の出力端は、PNPトランジスタ201のベースに接続されている。
【0056】
そして、第2シリーズレギュレータ12のPNPトランジスタ201のコレクタと、抵抗202の一端と、有極性コンデンサ23の一端とが接続されている接点CP4における目標電圧(以下、「特定目標電圧」という。)を例えば、5.0Vとする。この場合5.0Vを抵抗202、および、抵抗203で分圧した電圧が誤差アンプ204の非反転入力端子に印加される電圧となる。そして、分圧した電圧に対応する接点CP5の電圧と、基準電源205の電圧とが同じ電圧(例えば、1.25V)となるように抵抗202、および、抵抗203の抵抗値が予め設定されている。例えば、抵抗202の抵抗値をRΩとした場合、抵抗203の抵抗値はR/3Ωとなる。
【0057】
そして、実際に電源回路1を駆動させた場合に、抵抗202および抵抗203で分圧した接点CP5の電圧が基準電源205の電圧よりも低いとき、つまり、接点CP4の電圧が特定目標電圧よりも低いときは、誤差アンプ204の出力端子からバッファ206の入力端にLow信号が出力される。そして、バッファ206の出力端から出力されるLow信号が、端子T4を介してPNPトランジスタ201のベースに伝達される。これにより、PNPトランジスタ201のエミッタ―コレクタ間に電流が流れ、有極性コンデンサ(例えば、電解コンデンサ)23、および、コンデンサ(例えば、セラミックコンデンサ)24に電荷が溜まり、CP4の電位が特定目標電圧に対応した電位に引き上げられる。
【0058】
また、実際に電源回路1を駆動させた場合に、抵抗202および抵抗203で分圧した接点CP5の電圧が基準電源205の電圧よりも高いとき、つまり、接点CP4の電圧が特定目標電圧よりも高いときは、誤差アンプ204の出力端子からバッファ206の入力端にHigh信号が出力される。そして、バッファ206出力端から出力されるHigh信号が、端子T4を介してPNPトランジスタ201のベースに伝達される。これにより、PNPトランジスタ201のエミッタ―コレクタ間に電流は流れず、有極性コンデンサ23、および、コンデンサ24の電荷は減少し、CP4の電位が特定目標電圧に対応した電位に引き下げられる。このように、有極性コンデンサ23、および、コンデンサ24の電位が特定目標電圧に対応する電位に調整され、出力部402から電子装置であるECUが駆動するための電圧が供給される。
【0059】
以上、説明した電源回路1の動作を、エンジンの始動時(ECUのマイコンの処理開始時)から説明する。まず、図示せぬイグニッションスイッチを操作するとバッテリ3からの電力が電源回路1に供給される。もし、始動時にスイッチングレギュレータ10がすでに故障しているとすると、入力電圧が0V〜14Vに上昇しても、スイッチングレギュレータ10からマイコンへ電力供給はなされない。
【0060】
その一方、第1シリーズレギュレータ11においては、
図2の下図に示すように入力電圧が0Vから3Vに到達すると、マイコンへ電力供給を開始(低電圧サポート)するが、入力電圧が所定電圧の8V以上を超えると、制御回路13の作用により、第1シリーズレギュレータ11の駆動が停止され、マイコンへの電力供給が停止する。これにより、第1シリーズレギュレータ11が動作を継続し、故障してしまうのを防止することができる。
更には、エンジン始動時、つまりエンジン制御ECUが実際の走行のための駆動を開始する前に、マイコンへの電力供給が停止され、エンジン駆動の制御が停止するので、スイッチングレギュレータ10が故障したまま車両が走行することを未然に防止でき、低コストECUながら、高い電源供給機能、および、フェールセーフ機能を実現することができる。
【0061】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態と第1の実施の形態との相違点は次のとおりである。第1の実施の形態で説明した電源回路1は第1シリーズレギュレータ11にスイッチングレギュレータ10が並列に接続された構成であった。ここで、第1シリーズレギュレータ11にスイッチングレギュレータ10を並列に接続することで、電源回路1の部品点数が増加し、電源回路1の小型化を阻害する場合がある。そのため、設計時に必要とされる電源回路1のサイズに応じて、次のような回路構成が望ましい。つまり、スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続した電源回路(例えば、
図3に示す電源回路1a)と、スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続しない(スイッチングレギュレータをIC2aに設けない)電源回路(例えば、
図4に示す電源回路1b)とを電源回路1の基本的な回路構成は変更せずに、容易に選択できる技術が必要とされる。
【0062】
以下では、第2の実施の形態として、
図3および
図4に示すIC2aに対してスイッチングレギュレータ10の接続の有無に応じた回路設定の変更が可能な電源回路について説明する。なお、第2の実施の形態における構成は第1の実施の形態と略同一である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0063】
<2−1.ICの新規構成>
図3は、第2の実施の形態の電源回路1aの回路構成を示す図である。
図4は、第2の実施の形態の電源回路1bの回路構成を示す図である。
図3および
図4の電源回路1a、および、電源回路1bと、
図1の電源回路1との構成の違いは、次のようなものである。
図3および
図4では、まずIC2aを基本の回路構成とする。そして、IC2aに含まれる第1シリーズレギュレータ11aに対してスイッチングレギュレータ10を並列に接続する場合(
図3に示す電源回路1a)と、スイッチングレギュレータ10をIC2aに設けない場合(
図4に示す電源回路1b)を基本回路構成であるIC2aの回路内の設定を変更(モード設定を変更)することで実現するために、
図1の構成と比べて
図3および
図4において新たな構成が設けられている。
【0064】
具体的には、
図3および
図4におけるIC2aの第1シリーズレギュレータ11aは、抵抗113a、抵抗113b、および、スイッチ118を新たに備える。また、制御回路13aは、抵抗311、抵抗312、コンパレータ313、基準電源314、インバータ315、および、AND回路316を新たに備える。このようにIC2a内に新たに設けられた回路素子を用いて、スイッチングレギュレータ10が接続されるか否かに応じたIC2aの回路内のモード設定が行われる。
【0065】
<2−2.モードの説明>
ここで、スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続するか否かに応じて、IC2aの回路設定を変更するための構成を詳細に説明する前に、それぞれのモードの機能的な違いについて説明する。スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続する場合を、例えば「低損失モード」という。この「低損失モード」は、
図3に示すようにスイッチングレギュレータ10が第1シリーズレギュレータ11aと並列に接続され、通常はスイッチングレギュレータ10が、バッテリ電源3からの入力電圧を降圧して、接点CP1の電圧が第1目標電圧(例えば、6V)となるように駆動する。そして、スイッチングレギュレータ10に降圧された電圧を第1シリーズレギュレータ11aと直列に接続された第2シリーズレギュレータ12の駆動により、接点CP4の電圧が特定目標電圧(例えば、5V)となるよう降圧してECUのマイコンに電圧を供給する。
【0066】
なお、第1シリーズレギュレータ11aはスイッチングレギュレータ10の降圧処理をサポートするものであり、この場合の電源回路1における降圧処理は主にスイッチングレギュレータ10の駆動により実現される。そのため、第1シリーズレギュレータ11a、および、第2シリーズレギュレータ12のみにより降圧処理の駆動させる場合と比較して、スイッチングレギュレータ10を用いた降圧処理は、各レギュレータのエネルギー損失が少ないことから、このように第1シリーズレギュレータ11aにスイッチングレギュレータ10を接続して降圧処理するモードを「低損失モード」という。なお、モードを「低損失モード」に設定する場合は、後述するように設定時にインバータ305の入力端にLow信号が入力されるよう設定される。
【0067】
次に、スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続しない場合(スイッチングレギュレータ10をIC2aに設けない場合)を、例えば「熱分散モード」という。このモードは、
図4に示すようにスイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続せずに、第1シリーズレギュレータ11aと第2シリーズレギュレータ12のみが直列に接続された構成である。
【0068】
上述の「低損失モード」では、スイッチングレギュレータ10が接点CP1の電圧を第1目標電圧(例えば、6V)とするよう駆動し、第2シリーズレギュレータ12が接点CP4の電圧を特定目標電圧(例えば、5V)とするよう駆動していた。これに対して、「熱分散モード」は、入力電圧であるバッテリ電源3の電圧に対して、第2基準電圧(例えば、11V)を設定し、入力電圧が第2基準電圧を超える場合は、第1シリーズレギュレータ11aが、接点CP1の電圧を第2目標電圧(例えば、10V)とするよう駆動し、第2シリーズレギュレータ12が接点CP4の電圧を特定目標電圧(例えば、5V)とするよう駆動する。
【0069】
また、「熱分散モード」において、入力電圧が第2基準電圧を下回る場合は、第1シリーズレギュレータ11aが、接点CP1の電圧を第1目標電圧(例えば、6V)とするよう駆動し、第2シリーズレギュレータ12が接点CP4の電圧を特定目標電圧(例えば、5V)とするよう駆動するものである。
【0070】
これにより、入力電圧が第2基準電圧を超える場合、例えば入力電圧14Vの場合は、第1シリーズレギュレータ11aは、入力電圧14Vを降圧して10Vとし(電流が100mAの場合、エネルギー損失(消費電力)は0.4W)、第2シリーズレギュレータ12は10Vを降圧して5Vとする(電流が100mAの場合、エネルギー損失(消費電力)は0.5W)。
【0071】
また、入力電圧が第2基準電圧を下回る場合、例えば入力電圧8Vの場合は、第1シリーズレギュレータ11aは、入力電圧8Vを降圧して6Vとし(電流が100mAの場合、エネルギー損失(消費電力)は0.2W)、第2シリーズレギュレータ12は6Vを降圧して5Vとする(電流が100mAの場合、エネルギー損失(消費電力)は0.1W)。このように主に2つのシリーズレギュレータで降圧処理するモードを「熱分散モード」といい、この構成により各シリーズレギュレータのエネルギー損失を略均等となるように分散できる。なお、モードを「熱分散モード」に設定する場合は、後述するように設定時にインバータ305の入力端にHigh信号が入力されるよう設定される。
【0072】
<2−3.ICの回路構成の詳細>
次に、スイッチングレギュレータ10を並列に接続するか否かに応じた回路構成の詳細を
図3および
図4を用いて説明する。
図3および
図4の第1シリーズレギュレータ11aの抵抗113aの一端は、抵抗112の他端に接続され、抵抗113aの他端は抵抗113bの一端に接続されている。また、抵抗113bの一端は、抵抗113aと接続され、抵抗113bの他端はグランドに接続されている。
スイッチ118の一端は、抵抗113aの他端と抵抗113bの一端との間に接続されている。また、スイッチ118の他端は、抵抗113bの他端とグランドとの間に接続されている。
【0073】
ここで、抵抗113aと抵抗113bとの合成抵抗値は例えば、第1の実施の形態で説明した抵抗113と同じ抵抗値であり、抵抗112の抵抗値をRΩとした場合、抵抗113aおよび抵抗113bの合成抵抗値はR/3.8Ωとなる。
【0074】
次に、IC2aに設定されるモードの種類に応じてスイッチ118のオン/オフを制御する制御回路13aの説明を行う。
図3、および、
図4に示す制御回路13aの抵抗311の一端は、抵抗301の一端と接続されている。抵抗311の他端は、抵抗312の一端と、コンパレータ313の非反転入力端子とに接続されている。抵抗312の一端は、抵抗311の他端に接続され、抵抗312の他端はグランドに接続されている。
コンパレータ313の非反転入力端子は、抵抗311の他端と、抵抗312の一端とに接続されている。またコンパレータ313の反転入力端子は、基準電源314と接続され、コンパレータ313の出力端子は、AND回路316の一方の入力端に接続されている。
【0075】
基準電源(例えば、1.25V)314の一端は、コンパレータ313の反転入力端子と接続され、他端はグランドに接続されている。
インバータ315の入力端は、インバータ305の出力端に接続され、インバータ315の出力端はAND回路316の他方の入力端に接続されている。ここで、スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに接続する「低損失モード」にモードを設定する場合は、設定時にインバータ305の入力端にLow信号が入力されるよう設定される。また、スイッチングレギュレータ10を第1シリーズレギュレータ11aに接続せずに「熱分散モード」にモードを設定する場合は、設定時にインバータ305の入力端にHigh信号が入力されるよう設定される。
【0076】
AND回路316の一方の入力端はコンパレータ313の出力端と接続され、AND回路316の他方の入力端は、インバータ315の出力端と接続されている。また、AND回路316の出力端は第1シリーズレギュレータのスイッチ118に信号を出力する構成となっている。
【0077】
制御回路13aの抵抗311および抵抗312の抵抗値は、抵抗311と抵抗312とが分圧するバッテリ電源3からの入力電圧が第2基準電圧(例えば、11V)の場合に、11Vを抵抗301および抵抗302で分圧した接点CP6の電圧が、基準電源314の電圧(例えば、1.25V)と同じ電圧となるように予め設定されている。例えば、抵抗311をRΩとすると、抵抗312の抵抗値はR/7.8Ωとなる。
【0078】
そして、スイッチングレギュレータ10が第1シリーズレギュレータ11aに接続される「低損失モード」に設定された場合は、インバータ305の入力端にはLow信号が入力され、インバータ305の出力端からのHigh信号がインバータ315の入力端に入力される。そして、インバータ315の出力端からはLow信号がAND回路316の他方の入力端に入力されることで、AND回路316の出力端からは、スイッチ118にLow信号が出力され、スイッチ118はオフ状態となる。
【0079】
その結果、第1シリーズレギュレータ11aは、接点CP1の電圧を第1目標電圧(例えば、6V)に対応させて、抵抗112と、抵抗113aおよび抵抗113bの合成抵抗とで6Vを分圧したときに、接点CP2の電圧が基準電源115の電圧と同じ1.25Vが得られるように、接点CP1の電圧を分圧する抵抗素子の抵抗値(抵抗112の抵抗値をRΩとすると、抵抗113aおよび抵抗113bの合成抵抗値がR/3.8Ω)を設定する。
【0080】
また、スイッチングレギュレータ10が第1シリーズレギュレータ11aに接続されない「熱分散モード」に設定された場合には、インバータ305の入力端にはHigh信号が入力され、インバータ305の出力端からのLow信号がインバータ315の入力端に入力される。そして、インバータ315の出力端からはHigh信号がAND回路316の他方の入力端に入力される。また、抵抗311および抵抗312で分圧する接点CP6の電圧がコンパレータ313の一方の入力端に入力される。さらに、基準電源314の電圧がコンパレータ313の他方の入力端に入力され、接点CP6の電圧と基準電源314の電圧とをコンパレータ313が比較する。そして、入力電圧が第2基準電圧を超えるときは、接点CP6の電圧が基準電源314の電圧を超えることとなり、コンパレータ313の出力端からAND回路316の一方の入力端にHigh信号が出力される。その結果AND回路316の出力端からはHIgh信号がスイッチ118に出力され、スイッチ118はオン状態となる。
【0081】
以上のように、制御回路13aは、接点CP1の電圧を第1目標電圧よりも高い電圧値である第2目標電圧(例えば、10V)に対応させて、抵抗112と抵抗113aとで10Vを分圧したときに、接点CP2の電圧が基準電源115の電圧と同じ1.25Vが得られるように接点CP1の電圧を分圧する抵抗素子の抵抗値(抵抗112の抵抗値をRΩとすると、抵抗113aおよび抵抗113bの合成抵抗値がR/7Ω)を設定する。
【0082】
このようにスイッチ118をオン状態とすると、スイッチ118がオフ状態の場合に抵抗113aおよび抵抗113bを流れていた電流は、抵抗113bを介さずに抵抗113aを流れた後、スイッチ118がオン状態となった経路を流れてグランドに流れ込むこととなる。このため、抵抗113aおよび抵抗113bは、スイッチ118のオン/オフにより合成抵抗値が変化する一種の可変抵抗であるともいえる。
【0083】
また、「熱分散モード」に設定された場合には、インバータ305の入力端にはHigh信号が入力され、インバータ305の出力端からのLow信号がインバータ315の入力端に入力される。そして、インバータ315の出力端からはHigh信号がAND回路316の他方の入力端に入力される。また、抵抗311および抵抗312で分圧する接点CP6の電圧がコンパレータ313の一方の入力端に入力される。さらに、基準電源314の電圧がコンパレータ313の他方の入力端に入力され、接点CP6の電圧と基準電源314の電圧とをコンパレータ313が比較する。そして、入力電圧が第2基準電圧を下回るときは、接点CP6の電圧が基準電源314の電圧を下回ることとなり、コンパレータ313の出力端からAND回路316の一方の入力端にLow信号が出力される。その結果、AND回路316の出力端からはLow信号がスイッチ118に出力され、スイッチ118はオフ状態となる。
【0084】
以上のように、制御回路13aは、接点CP1の電圧を第1目標電圧(例えば、6V)に対応させて、抵抗112と抵抗113aおよび抵抗113bとで6Vの電圧を分圧したときに、接点CP2の電圧が基準電源115の電圧と同じ1.25Vが得られるように抵抗素子の抵抗値(抵抗112の抵抗値をRΩとすると、抵抗113aおよび抵抗113bの合成抵抗値がR/3.8Ω)を設定する。これにより、基本的な回路構成を変更することなく必要に応じた設計が可能となり、IC2aの汎用性を向上させられる。
【0085】
このように、制御回路13aは、第1シリーズレギュレータ11aに対してスイッチングレギュレータ10が並列に接続されるか否かに応じて、第1シリーズレギュレータ11aのアナログ演算回路である誤差アンプ114の入力端子に接続された抵抗素子(抵抗113aおよび抵抗113b)の抵抗値(抵抗113aおよび抵抗113bの合成抵抗値)を設定する。
【0086】
つまり、スイッチングレギュレータ10が第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続される場合は、抵抗素子を用いて分圧する電圧の第1目標電圧に対応させて、抵抗素子の抵抗値を設定し、スイッチングレギュレータ10が第1シリーズレギュレータ11aに並列に接続されない場合は、入力電圧に応じて、抵抗素子を用いて分圧する電圧の第1目標電圧、および、第1目標電圧よりも高い電圧値である第2目標電圧のいずれか一方の目標電圧に対応させて、抵抗素子の抵抗値を設定する。これにより、基本的な回路構成を変更することなく必要に応じた設計が可能となり、IC2aの汎用性を向上させられる。
【0087】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。なお、上記実施の形態で説明した形態、および、以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0088】
上記実施の形態において、第1目標電圧(6.0V)、第2目標電圧(10V)、および、基準電源115(1.25V)等の電圧値は一例であり、他の電圧値であってもよい。
【0089】
また、上記実施の形態において、PNPトランジスタ111、および、PNPトランジスタ201はスイッチング素子の一例を示したものであり、回路構成を変更して他のスイッチング素子(例えば、NPNトランジスタ)に変更してもよい。
【0090】
また、上記実施の形態において、誤差アンプ114、および、誤差アンプ204はアナログ演算回路の一例を示したものであり、回路構成を変更して他のアナログ演算回路に変更してもよい。
【0091】
また、上記実施の形態において、
図2で説明した示した各レギュレータの駆動に対応する入力電圧および出力電圧の電圧値は一例であり、各レギュレータの入出力電圧の特性が保たれれば他の電圧値に変更してもよい。
【0092】
また、上記実施の形態において、
図2で説明した入力電圧に応じた駆動状態は、ヒステリシスを用いてもよい。例えば、
図2下図の第1シリーズレギュレータの駆動状態における入力電圧8Vの出力電圧の変化にヒステリスを適用して、8Vを境とした頻繁な出力電圧の変動が行われないようにしてもよい。