(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スクリーンを巻き取る巻き取りローラと、前記スクリーンの引き出し側縁に取り付けられたフロントフレームと、前記フロントフレームの両端を案内する左右一対のガイドレールと、先端が前記フロントフレームに接続されたロープを巻き取るロープドラムと、前記巻き取りローラの回転を前記ロープドラムに伝える伝達部材と、前記スクリーン及び前記ロープに張力を与える弾性部材を備え、前記伝達部材は、前記ロープドラムを、前記巻き取りローラの送り出し方向への回転に伴い前記ロープを巻き取る方向に回転させると共に前記巻き取りローラの巻き取り方向への回転に伴い前記ロープを送り出す方向に回転させるものであり、前記ロープドラムは巻き取り初期位置の半径が巻き取り終期位置の半径よりも大きなロープ巻き取り部を備えており、前記巻き取り初期位置の半径は前記スクリーンの送り出し初期におけるスクリーン積層体の半径と実質的に同一であり、前記ロープの巻き取りに伴う巻き取り位置の半径の減少量を前記スクリーンの送り出しに伴う前記スクリーン積層体の半径の減少量よりも小さくすることで、前記ロープドラムによる前記ロープの巻き取り量を前記巻き取りローラからの前記スクリーンの送り出し量よりも大きくするものであり、前記フロントフレームを前記ガイドレールに沿って移動させるほど前記弾性部材の変形量が増加して前記スクリーン及び前記ロープに付与する張力が増加することを特徴とするロールスクリーン装置。
【背景技術】
【0002】
ロールスクリーン装置として、巻き取りローラから引き出したスクリーンを左右一対のガイドレールで案内するものがある(特許文献1)。このロールスクリーン装置を
図10〜
図13に示す。ロールスクリーン装置は巻き取りローラ101からスクリーン102を真っ直ぐ下に引き出し、例えば書庫の扉の代わりに使用されるものであり、左右の縦枠103の上端に巻き取りローラ101が取り付けられている。巻き取りローラ101の左右両側には連けい紐104を巻き取る巻き取りプーリ105が当該巻き取りローラ101と同軸上に設けられており、連けい紐104は縦枠103内を通されて下枠106内の案内プーリ107に巻き掛けられて折り返されている。そして、連けい紐104の先端はスクリーン102の引き出し側縁に取り付けられているフロントフレーム108の端に連結されている。
【0003】
巻き取りプーリ105はシャフト109に取り付けられて当該シャフト109と一体回転する。また、巻き取りローラ101はシャフト109に対して相対回転可能になっている。巻き取りローラ101とシャフト109の間には、スクリーン102及び連けい紐104にテンションを与えるコイルスプリング110が設けられている。
【0004】
巻き取りプーリ105の連けい紐巻き取り部は段階的に漸次径が変化する略円錐台形状を成しており、巻き取りローラ101からスクリーン102を送り出した量だけ連けい紐104を巻き取るようにしている。即ち、巻き取りローラ101に巻き取られているスクリーン積層体(巻き取りローラ101でスクリーン102を巻き取ったもの)の太さはスクリーン102を送り出すに従って細くなり、単位回転角度当たりの送り出し量Lsは減少する。そのため、巻き取りプーリ105が連けい紐104を巻き取る位置の径をスクリーン積層体が細くなるのに合わせて小さくし、単位回転角度当たりの連けい紐104の巻き取り量Lrを単位回転角度当たりのスクリーン102の送り出し量Lsに常に一致させるようにしている(
図9のグラフA参照)。
【0005】
このように、連けい紐104の巻き取り量Lrとスクリーン102の送り出し量Lsを常に一致させることで、スクリーン102と連けい紐104との相対的な位置関係を維持することができ、スクリーン102の引き出し状態に影響されずにコイルスプリング110により付与されるテンションを一定に維持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロールスクリーン装置は、その性質上、スクリーン102の引き出し量が増えれば増えるほど風等の影響を大きく受けるので、スクリーン102がばた付きやすくなる。また、ロールスクリーン装置の設置姿勢を変化させてスクリーン102を水平に引き出すようにした場合、スクリーン102が自重で撓み易くなる。
【0008】
本発明は、スクリーンを大きく引き出した場合や水平に引き出した場合であってもスクリーンをしっかりと張ることができるロールスクリーン装置を提供することと目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1記載のロールスクリーン装置は、スクリーンを巻き取る巻き取りローラと、スクリーンの引き出し側縁に取り付けられたフロントフレームと、フロントフレームの両端を案内する左右一対のガイドレールと、先端がフロントフレームに接続されたロープを巻き取るロープドラムと、巻き取りローラの回転を前記ロープドラムに伝える伝達部材と、スクリーン及びロープに張力を与える弾性部材を備え、伝達部材は、ロープドラムを、巻き取りローラの送り出し方向への回転に伴いロープを巻き取る方向に回転させると共に巻き取りローラの巻き取り方向への回転に伴いロープを送り出す方向に回転させるものであり、
かつロープドラムは巻き取り初期位置の半径が巻き取り終期位置の半径よりも大きなロープ巻き取り部を備えており、巻き取り初期位置の半径はスクリーンの送り出し初期におけるスクリーン積層体の半径と実質的に同一であり、ロープの巻き取りに伴う巻き取り位置の半径の減少量をスクリーンの送り出しに伴うスクリーン積層体の半径の減少量よりも小さくすることで、ロープドラムによるロープの巻き取り量を巻き取りローラからのスクリーンの送り出し量よりも大きくするものであり、フロントフレームをガイドレールに沿って移動させるほど弾性部材の変形量が増加してスクリーン及びロープに付与する張力が増加するものである。
【0011】
また、請求項
2記載のロールスクリーン装置は、ロープドラムが巻き取りローラと同軸上に且つ隣接して配置され、弾性部材を巻き取りローラ内に収容したものである。
【0012】
さらに、請求項
3記載のロールスクリーン装置は、ガイドレールが上下方向に対して交差する方向に沿って設けられているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のロールスクリーン装置では、フロントフレームをガイドレールに沿って移動させてスクリーンを引き出すほど弾性部材の変形量が増加してスクリーン及びロープに付与する張力を大きくすることができるので、スクリーンを大きく引き出して風から受ける影響が大きくなった場合や、スクリーンを水平に引き出して自重により撓み易くなった場合であっても、スクリーンをしっかりと張ることができる。
しかも、本発明のロールスクリーン装置では、ロープドラムのロープ巻き取り部の形状によってロープドラムによるロープ巻き取り量を巻き取りローラからのスクリーンの送り出し量よりも大きくすることができるため、スクリーンの張力を変化させるための特別な機構が不要であり、製造コストを安くすることができると共に、装置を軽量でコンパクトなものにすることができ、しかも故障し難い信頼性の高いものにすることができる。
【0015】
また、請求項
2記載のロールスクリーン装置では、弾性部材が巻き取りローラ内に収容されているので、装置をより一層コンパクトにすることができる。
【0016】
さらに、請求項
3記載のロールスクリーン装置のように、ガイドレールを上下方向に対して交差する方向に沿って設けても良く、この場合には引き出されたスクリーンに対して重力が当該スクリーンを撓ませる方向に作用することになるが、スクリーン及びロープに付与する張力を大きくすることでスクリーンをしっかりと張ることができる。また、ロールスクリーン装置を、例えば住宅の軒先、サンルームやカーポートや温室やビニールハウス等の屋根裏等への設置に適したものにすることができる。さらに、スクリーンを水平に引き出す場合には、スクリーンの引き出し量が大きくなるほど引き出されたスクリーンの重さによって引き出し操作に大きな力が必要になるのが一般的であるが、本発明ではスクリーンの引き出し量(送り出し量)よりもロープの巻き取り量が大きく設定されているので、スクリーンを引き出すほどスクリーンの引き出し総量とロープの巻き取り総量との差が大きくなり、ロープの巻き取りがスクリーンの引き出しをいわばアシストすることになる。そのため、スクリーンの引き出し操作が容易になると共に、スクリーンの引き出し操作に必要な力が大きく増加するのを防止でき、使い勝手を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のロールスクリーン装置の実施形態の一例を示し、スクリーンを引き出していない状態の平面図である。
【
図2】同ロールスクリーン装置の巻き取りローラ及びフロントフレームの横断面図である。
【
図3】(A)はロープドラム及び巻き取りローラの正面図、(B)はフロントフレームの正面図、(C)は案内プーリの正面図である。
【
図4】ドラムシャフトに巻き取りローラ及びロープドラムを組み付ける様子を示す断面図である。
【
図5】スクリーンを引き出した状態の平面図である。
【
図6】ロープドラムを示し(A)は巻き取り終期位置側から見た側面図、(B)は正面図、(C)は巻き取り初期位置側から見た側面図、(D)は(C)のA−A’線に沿う断面図、(E)は(C)のB−B’線に沿う断面図である。
【
図7】ロープの巻き取りに伴う巻き取り位置の半径の減少量とスクリーンの送り出しに伴うスクリーン積層体の半径の減少量との大小関係を説明するための図である。
【
図8】巻き取りローラ、スクリーン、フロントフレーム、ロープ、ロープドラム及び弾性部材で構成されるエンドレス状構造の概念図である。
【
図9】ロープの巻き取り量Lrとスクリーンの送り出し量Lsとの大小関係を説明するための図である。
【
図10】従来のロールスクリーン装置の要部を示し、スクリーンを引き出していない状態の断面図である。
【
図11】従来のロールスクリーン装置の要部を示し、スクリーンを引き出した状態の正面図である。
【
図12】従来のロールスクリーン装置のスクリーンと連けい紐との関係を示す図である。
【
図13】従来のロールスクリーン装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1〜
図8に本発明のロールスクリーン装置の実施形態の一例を示す。ロールスクリーン装置は、スクリーン1を巻き取る巻き取りローラ2と、スクリーン1の引き出し側縁に取り付けられたフロントフレーム3と、フロントフレーム3の両端を案内する左右一対のガイドレール4と、先端がフロントフレーム3に接続されたロープ6を巻き取るロープドラム5と、巻き取りローラ2の回転をロープドラム5に伝える伝達部材と、スクリーン1及びロープ6に張力を与える弾性部材7を備えている。本実施形態では、弾性部材7が巻き取りローラ2の回転をロープドラム5に伝える伝達部材を兼用している。また、本実施形態では、ロープドラム5及びロープ6の組をスクリーン1の両脇に設けているが、必ずしも両脇に設ける必要はなく、いずれか一方にのみ設けるようにしても良い。または、ロールスクリーン装置の幅方向中央部にロープドラム5及びロープ6の組を設け、中央1箇所のみに設けるようにしても構わない。さらに、本実施形態では、引き出したスクリーン1に対して垂直な方向から見てスクリーン1に重ならない位置にロープドラム5及びロープ6を設けているが、スクリーン1に重なる位置にロープドラム5及びロープ6を設けても良い。
【0020】
本実施形態では、例えば住宅の軒下に設置する場合を例に説明するが、設置場所としては軒下に限られず、例えばサンルームの屋根裏、カーポートの屋根裏等に設置しても良い。
【0021】
巻き取りローラ2は円筒形状を成しており、中心にはドラムシャフト8が貫通している。巻き取りローラ2とドラムシャフト8との間には軸受けが設けられており、巻き取りローラ2はドラムシャフト8に対して回転自在に支持されている。巻き取りローラ2をドラムシャフト8に対して回転自在にすることで、巻き取りローラ2とロープドラム5とは相対回転可能になっている。本実施形態では3つの軸受け9,10,11で巻き取りローラ2を支持しているが、必ずしも3つに限られない。3つの軸受け9,10,11のうち、巻き取りローラ2の軸方向中央位置を支持する軸受け10はその両側をドラムシャフト8に固定された押さえ12,12に挟まれて位置固定されており、両端近傍位置を支持する2つの軸受け9,11は巻き取りローラ2に例えばねじ止めされている。スクリーン1は巻き取りローラ2の外周面に巻き取られる。なお、巻き取りローラ2に巻き取られている状態のスクリーン1をスクリーン積層体13という。スクリーン積層体13はスクリーン1が巻き取りローラ2から送り出される(引き出される)のに従って細くなり(送り出し位置の半径が減少し)、単位回転角度当たりの送り出し量が減少する。
【0022】
ドラムシャフト8は巻き取りローラ2よりも長尺のパイプであり、巻き取りローラ2から突出した両端部にはロープドラム5がそれぞれ取り付けられている。即ち、ロープドラム5は巻き取りローラ2と同軸上に且つ隣接して配置されている。ドラムシャフト8の両端部にはキー14が取り付けられており、一方、キー14に対応してロープドラム5の中心孔にはキー溝15が設けられており、ロープドラム5とドラムシャフト8とは一体となって回転する。
【0023】
ロープドラム5を
図6に示す。ロープドラム5は、巻き取り初期位置16の半径が巻き取り終期位置17の半径よりも大きなロープ巻き取り部5aを備えている。本実施形態のロープドラム5はほぼ円錐台形状を成しており、その周面がロープ巻き取り部5aになっている。ロープ巻き取り部5aにはロープ6を巻き取りながら巻き取り初期位置16から巻き取り終期位置17へと導く螺旋状の案内溝18が形成されている。
【0024】
ロープ巻き取り部5aの巻き取り初期位置16の半径はスクリーン1の送り出し初期におけるスクリーン積層体13の半径Rsと実質的に同一になっている(
図7)。ここで「実質的同一」には厳密に同一の他、若干相違しており厳密には同一とはいえない場合であってもその相違が無視できるときには含まれる。
【0025】
図7に示すように、ロープ巻き取り部5aの巻き取り終期位置17の半径は、スクリーン積層体13のスクリーン送り出し終期の半径ReよりもΔRだけ大きくなっている。そのため、ロープ6の巻き取りに伴う巻き取り位置の半径の減少量は、スクリーン1の送り出しに伴うスクリーン積層体13半径の減少量よりも小さくなり、ロープドラム5によるロープ6の巻き取り量Lrが巻き取りローラ2からのスクリーン1の送り出し量Lsよりも大きくなり、フロントフレーム3をガイドレール4に沿って移動させるほど弾性部材7の変形量が増加してスクリーン1及びロープ6に付与する張力を増加させている。
【0026】
ロープ6はロープドラム5の巻き取り初期位置16側の側面5bに接続されており、側面5bに形成された溝5c内を通されて切り欠き5dから巻き取り部5aへと引き出されている。ロープ6は金属製のワイヤであってもよく、非金属性の硬質素材を用いたワイヤであっても構わない。また、切断や伸びの問題がなければ、布製や革製のロープを使用しても良い。さらに、チェーン等でも良い。要するに、紐状の部材でフロントフレーム3を案内するものであれば良い。
【0027】
本実施形態では、ロープドラム5をその巻き取り終期位置17側を巻き取りローラ1に向けて配置しているが、巻き取り初期位置16側を巻き取りローラ1に向けて配置しても良い。
【0028】
ドラムシャフト8の両端に挿入されたシャフトバー20の突出部分にはロープドラム5の脱落を防止するシャフトカラー21が嵌め込まれ、さらにシャフトバー20の先端面にはシャフトカラー21の脱落を防止するシャフトワッシャ22が例えばねじ止めされている。シャフトカラー21は垂木23に取り付けられたブラケット24に支持されている。左右のシャフトカラー21をブラケット24で支持することで、ドラムシャフト8に巻き取りローラ2及びロープドラム5と組み付けたユニットが2本の垂木23間に掛け渡すように取り付けられる。
【0029】
フロントフレーム3はスクリーン1の引き出し側縁とほぼ同じ長さのフレームであり、巻き取りローラ2側の側面にはスクリーン1の引き出し側縁が、反対側の側面の両端部にはロープ6の先端がそれぞれ連結されている。
【0030】
フロントフレーム3の両端には走行用ローラ25を取り付けたホルダプレート26が例えばねじ止めされている。本実施形態ではホルダプレート26に2つの走行用ローラ25が取り付けられているが、取付数は2つに限られない。走行用ローラ25をガイドレール4に沿って走行させてフロントフレーム3を往復移動させることでスクリーン1を巻き取りローラ1から引き出したり巻き取りローラ1で巻き取ったりすることができる。
【0031】
フロントフレーム3には操作用の紐(図示省略)が連結されている。使用者は操作用の紐を引っ張ることで、高い場所に設置されているロールスクリーン装置を操作することができる。ただし、使用者の手がフロントフレーム3に直接届く場合等には操作用の紐を省略しても良く、その場合には、フロントフレーム3に持ち手を設ける事で操作しやすくしても良い。
【0032】
左右のガイドレール4はスクリーン1の幅よりも若干間隔をあけて平行に配置され、例えば垂木23に固定されている。ガイドレール4は上下方向に対して交差する方向に設けられている。本実施形態では、ほぼ水平に設けられている。ただし、必ずしも水平に限られず、斜め下又は斜め上に向けて設けても良い。スクリーン1を真下に向けて引き出す場合にはスクリーン1が重力によって撓むことはないが、水平に引き出したり、斜め下又は斜め上に向けて引き出した場合(上下方向に対して交差する方向に引き出した場合)にはスクリーン1が重力によって撓むことになる。詳しくは後述するように本発明では重力によるスクリーン1の撓みを防止することができるので、重力がスクリーン1を撓ませる方向に作用するような設置の場合に特にその効果が発揮されて有効である。ただし、スクリーン1を真下に向けて引き出す場合にも風によるばた付きを防止することができるという効果が発揮されるので、スクリーン1を真下に引き出すタイプのロールスクリーン装置にも適用可能である。
【0033】
ガイドレール4の前方には、ロープ6を巻き回す案内プーリ27が設けられている。案内プーリ27はホルダプレート28に回転自在に取り付けられ、垂木23に固定されている。ロープドラム5の下側から引き出されたロープ6はフロントフレーム3の下を通り抜けて案内プーリ27へと延びていき、案内プーリ27の下側から上側に向けて巻き掛けられて折り返され、フロントフレーム3に連結される。
【0034】
伝達部材を兼用する弾性部材7はロープドラム5と巻き取りローラ2との間に設けられ、ロープドラム5を巻き取りローラ2の送り出し方向への回転に伴いロープ6を巻き取る方向に回転させると共に、巻き取りローラ2の巻き取り方向への回転に伴いロープ6を送り出す方向に回転させる。本実施形態では弾性部材7としてコイルスプリングを使用し、巻き取りローラ2内に収容している。即ち、弾性部材7はドラムシャフト8の端部の周囲に配置され、その一端はロープドラム5の側面に設けられた小孔5eに、他端は軸受け9の側面に設けられた小孔(図示省略)にそれぞれ挿入されている。本実施形態では、ロープドラム5に3つの小孔5eを設けており、使用する小孔5eの選択により弾性部材7の捻り量を変えて予荷重の調整を可能にしている。
【0035】
ここで、巻き取りローラ2とロープドラム5は同軸上に並んで配置されており、巻き取りローラ2がスクリーン1を送り出す位置とロープドラム5がロープ6を巻き取る位置とはドラムシャフト8に対し径方向反対側になっているので(
図2では、巻き取りローラ2がスクリーン1を送り出す位置:上側、ロープドラム5がロープ6を巻き取る位置:下側)、弾性部材7は巻き取りローラ2とロープドラム5とを同方向に回転させるように設けられている。弾性部材7は予荷重をかけた状態で設けられており、スクリーン1及びロープ6に常時張力を与えている。
【0036】
本実施形態では、ロープドラム5を巻き取りローラ2の左右両側に設けているのに対し、弾性部材7は巻き取りローラ2の片側にのみ設けられている。即ち、スクリーン1の引き出しによる巻き取りローラ2の回転は弾性部材7を介して片方のロープドラム5に伝えられ、当該ロープドラム5からドラムシャフト8を介してもう片方のロープドラム5に伝達される。ただし、弾性部材7を巻き取りローラ2の両側に設けて同時に左右の巻き取りローラ2に回転を伝えるようにしても良い。また、片側にのみ設ける場合には、左右のいずれに設けても良い。
【0037】
なお、本実施形態では弾性部材7としてコイルスプリングを使用していたが、コイルスプリングに限られない。また、弾性部材7を巻き取りローラ2内に収容しなくても良い。
【0038】
次に、ロールスクリーン装置の使用について説明する。使用者がフロントフレーム3をガイドレール4に沿って移動させると、巻き取りローラ2からスクリーン1が引き出される。巻き取りローラ2の回転は弾性部材7を介して片方のロープドラム5に伝えられ、当該ロープドラム5からドラムシャフト8を介してもう片方のロープドラム5に伝えられる。したがって、左右のロープドラム5の回転は同一になり、左右のロープ6の巻き取り量は同一になり、フロントフレーム3は真っ直ぐに移動する。また、移動させたフロントフレーム3を巻き取りローラ1側に戻す場合も同様に、左右のロープ6の送り出し量は同一になり、フロントフレーム3は真っ直ぐに移動する。
【0039】
予荷重が掛けられている弾性部材7はスクリーン1及びロープ6に常時張力を与えている。巻き取りローラ2→スクリーン1→フロントフレーム3→ロープ6→ロープドラム5→弾性部材7→巻き取りローラ2のように構成されるエンドレス状構造に縮まろうとする張力を常時与えているので、フロントフレーム3を任意の位置で止めてスクリーン1の引き出し量を任意量に調節することができる。
【0040】
スクリーン1の送り出しに伴ってスクリーン積層体13は細くなり、スクリーン1の送り出し位置の半径は減少する。また、ロープ6の巻き取りに伴ってロープドラム5の巻き取り部5aにおけるロープ6巻き取り位置が巻き取り初期位置16から巻き取り終期位置17へと移動し、ロープ6巻き取り位置の半径も減少する。これらの半径の減少に伴い、単位回転角度当たりのスクリーン1の送り出し量Lsやロープ6の巻き取り量Lrは減少する。
【0041】
ここで、
図9のグラフAのようにスクリーン1の送り出し量Lsとロープ6の巻き取り量Lrとが常に一致する場合には弾性部材7の変形量は変化せず、スクリーン1及びロープ6に付与する張力を変化させることはできない。
【0042】
これに対し、本発明のロールスクリーン装置では、ロープ6の巻き取りに伴う巻き取り位置の半径の減少量を、スクリーン1の送り出しに伴うスクリーン積層体13の半径(スクリーン1の送り出し位置の半径)の減少量よりも小さくし、
図9のグラフBに示すように、ロープ6の巻き取り量Lrをスクリーン1の送り出し量Lsよりも大きくしているので、スクリーン1を引き出せば引き出すほど巻き取りローラ2の回転とロープドラム5の回転との間に差が生じ、弾性部材7の変形量が増加するので、スクリーン1及びロープ6に与える張力を徐々に大きくすることができる。本実施形態では、例えば、(Ls:Lr)=(1:1.03)としているが、大小関係はこれに限られず適宜設定可能である。
【0043】
巻き取りローラ1から引き出されている量が大きくなるほどスクリーン1は自重によって撓みやすくなるが、スクリーン1の引き出しに伴ってスクリーン1及びロープ6の張力が増加するので、スクリーン1の撓みを防いでしっかりと張ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、ロープドラム5のロープ巻き取り部5aの形状によってロープ6の巻き取り量Lrをスクリーン1の送り出し量Lsよりも大きくしているので、スクリーン1及びロープ6の張力を増加させるための特別な機構が不要であり、製造コストを安くすることができると共に、装置を軽量でコンパクトなものにすることができ、しかも故障し難い信頼性の高いものにすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、弾性部材7が巻き取りローラ2内に収容されているので、装置をより一層コンパクトにすることができる。
【0046】
さらに、スクリーン1を水平に引き出す場合には、スクリーン1の引き出し量が大きくなるほど引き出されたスクリーン1の重さによって引き出し操作に大きな力が必要になるのが一般的であるが、本発明では、スクリーン1の送り出しLs(引き出し量)よりもロープ6の巻き取り量Lrが大きく設定されているので、スクリーン1を引き出すほどスクリーン1が引き出し総量とロープ6の巻き取り総量との差が大きくなり、ロープ6の巻き取りがスクリーン1の引き出しをいわばアシストすることになる。そのため、スクリーン1の引き出し操作が容易になると共に、スクリーン1の引き出し操作に必要な力が大きく増加するのを防止でき、使い勝手を良くすることができる。
【0047】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0048】
例えば、上述の説明では、ロープドラム5のロープ巻き取り部5aに螺旋状の案内溝18を設けて当該案内溝18によってロープ6を案内するようにしていたが、例えば釣り用のリールのようにロープ6巻き取り位置を自動的にずらすことができる場合等には案内溝18を設けなくても良い。なお、案内溝18を設けない場合には巻き取り部5aを傾斜面にして連続的に径を変えるようにしても良いし、階段状に径を変えるようにしても良い。
【0049】
また、上述の説明では、巻き取りローラ2をドラムシャフト8に対して相対回転可能にすると共に、ロープドラム5をドラムシャフト8に対して相対回転不能にすることで、巻き取りローラ2とロープドラム5とを相対回転可能にしていたが、逆に、巻き取りローラ2をドラムシャフト8に対して相対回転不能にすると共に、ロープドラム5をドラムシャフト8に対して相対回転可能にすることで、巻き取りローラ2とロープドラム5とを相対回転可能にしても良い。
【0050】
また、上述の説明では、巻き取りローラ2の回転をロープドラム5に伝える伝達部材を弾性部材7によって兼用していたが、弾性部材7とは別に伝達部材を設けても良い。例えば、巻き取りローラ2とロープドラム5の両方をドラムシャフト8に対して相対回転不能にすることで、ドラムシャフト8を伝達部材としても良い。この場合、弾性部材7はエンドレス状構造の別の位置、例えばフロントフレーム3とロープ6との間、又はフロントフレーム3とスクリーン1との間に設けることが好ましい。この場合にも、スクリーン1を引き出せば引き出すほど弾性部材7の変形量が増加するので、スクリーン1及びロープ6に与える張力を徐々に大きくすることができ、スクリーン1の撓みを防いでしっかりと張ることができる。
【0051】
また、上述の説明では、スクリーン1の送り出し量Lsとロープ6の巻き取り量Lrとの大小関係を一定にしていたが、LsとLrとの大小関係を変化させても良い。例えば、
図9のグラフCのように、スクリーン1送り出しの前半には(Ls:Lr)=(1:1)とし、途中から(1:1+α)にしても良い。