特許第5944197号(P5944197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944197
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】無線通信機能を備えたキュービクル
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20160621BHJP
   H02B 1/56 20060101ALI20160621BHJP
   H02B 1/32 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H02B3/00 K
   H02B1/12 A
   H02B1/10 E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-76179(P2012-76179)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207967(P2013-207967A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 隆
(72)【発明者】
【氏名】大島 正稔
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−145126(JP,A)
【文献】 特開平09−312608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
H02B 1/32
H02B 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の筺体に機器収納室と換気室とを形成し、機器収納室に電気機器の動作情報を外部と通信する送受信ユニットを設置し、換気室に筺体外部に開口する通気口と、通気口を通して外部と前記送受信ユニットとの間で電波を中継する空中線とを設け、空中線を通信線により前記送受信ユニットに接続したことを特徴とするキュービクル。
【請求項2】
前記機器収納室と前記換気室とを通気性の隔壁で区画し、前記空中線は前記隔壁通線口に通した通信線により前記送受信ユニットに接続されている請求項1記載のキュービクル。
【請求項3】
前記換気室が筺体のルーフ部に形成され、前記通気口がルーフ部の庇パネルに下向きに開口し、前記空中線が換気室内で庇パネルに添設されている請求項1または2記載のキュービクル。
【請求項4】
前記換気室が筺体のベース部に形成され、前記通気口がベース部の壁パネルに横向きに開口し、前記空中線が換気室内で壁パネルに添設されている請求項1または2記載のキュービクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の動作情報を外部と通信する機能を備えたキュービクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器の動作情報を無線で外部と通信するために、送受信ユニットを筺体の内側に設置したキュービクルが知られている。この種のキュービクルは、内部機器を保護するために筺体が金属板で形成されているため、電波が筺体により遮蔽され、通信に支障を来たすことがある。そこで、電波を中継する空中線を筺体の外部に設けたキュービクルが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図9に示すようなキュービクル51において、筺体52の内部に無線装置(図示略)を設置し、筺体52の外部に支持柱一体型空中線53を立設し、空中線53の通信線(フィーダ線)を筺体52の通線口(図示略)に通して無線装置に接続する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−316713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のキュービクル51によると、既設の受電または送電設備に通信機能を追加する場合に、通線口を筺体52に追加加工する必要があり、筺体52の剛性が低下し、内部機器の保護機能に悪影響を及ぼすという問題点があった。また、筺体52の外部に長大な空中線53が露出するため、キュービクル51の外観の見栄えが悪くなるという不都合もあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、内部機器の保護機能を低下させることなく、既存設備に空中線を見栄えよく簡易に装備できるキュービクルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は次のようなキュービクルを提供する。
(1)金属製の筺体に機器収納室と換気室とを形成し、機器収納室に電気機器の動作情報を外部と通信する送受信ユニットを設置し、換気室に筺体外部に開口する通気口と、通気口を通して外部と送受信ユニットとの間で電波を中継する空中線とを設け、空中線を通信線により前記送受信ユニットに接続したことを特徴とするキュービクル。
【0008】
(2)機器収納室と前記換気室とを通気性の隔壁で区画し、前記空中線は前記隔壁通線口に通した通信線により前記送受信ユニットに接続されていることを特徴とするキュービクル。
【0009】
(3)換気室が筺体のルーフ部に形成され、通気口がルーフ部の庇パネルに下向きに開口し、空中線が換気室内で庇パネルに添設されていることを特徴とするキュービクル。
【0010】
(4)換気室が筺体のベース部に形成され、通気口がベース部の壁パネルに横向きに開口し、空中線が換気室内で壁パネルに添設されていることを特徴とするキュービクル。
【発明の効果】
【0011】
本発明のキュービクルによれば、空中線を筺体の換気室に内装し、換気室の通気口を通して電波を中継するとともに、隔壁の通線口に通した通信線によって空中線を送受信ユニットに接続するので、筺体に既設の穴あき部材を利用し、内部機器の保護機能を低下させることなく、空中線を見栄えよく簡易に装備できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1を示すキュービクルの斜視図である。
図2】通信形態を示す図1のキュービクルの側面図である。
図3】空中線と通信線の配線構造を示す筺体ルーフ部の斜視図である。
図4】換気室、通気口および空中線を示す筺体ルーフ部の断面図である。
図5】本発明の実施例2を示すキュービクルの斜視図である。
図6】通信形態を示す図5のキュービクルの側面図である。
図7】空中線と通信線の配線構造を示す筺体ベース部の斜視図である。
図8】換気室、通気口および空中線を示す筺体ベース部の断面図である。
図9】従来のキュービクルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1図4は、空中線12が筺体2のルーフ部4に装備された実施例1のキュービクル1を示す。図5図8は、空中線12が筺体2のベース部5に装備された実施例2のキュービクル21を示す。各図において、同一の符号は同一または類似する部材を示す。
【実施例1】
【0014】
図1図2に示すように、実施例1のキュービクル1は金属製の筺体2を備えている。筺体2は、機器収納室3aを形成する本体部3と、上側換気室4aを形成するルーフ部4と、下側換気室5aを形成するベース部5とから構成されている。そして、機器収納室3aに、受電または送電用の各種電気機器(図示略)と、電気機器の動作情報を外部ユニット6と無線で通信する送受信ユニット7とが収納されている。
【0015】
図3図4に示すように、ルーフ部4は本体部3の上端に接続され、上側換気室4aと機器収納室3aとが通気性の隔壁8で上下に区画されている。ルーフ部4には庇部4bが筺体2の前面扉9よりも前方に張り出すように形成され、庇部4bの下面に庇パネル10が設けられている。庇パネル10には複数のスリット状の通気口11が下向きに開口するように形成され、上側換気室4a内の暖気が通気口11を通って筺体2の外部に放出される。
【0016】
上側換気室4aの内側において、庇パネル10には空中線12が通気口11に臨むように添設されている。空中線12は、隔壁8に既設の通線口13に挿通された通信線14によって送受信ユニット7に接続され、通気口11を通して電波を外部ユニット6と送受信ユニット7との間で中継する。なお、空中線12としては、使用する電波の周波数に応じた種類の空中線を選択できる。通線口13としては、ボルト挿通孔や通気用スリットなど、隔壁8に既設の穴を利用できる。
【実施例2】
【0017】
図5図8に示す実施例2のキュービクル21では、空中線12がベース部5の下側換気室5aに設けられている。図7図8に示すように、本体部3はベース部5上に据え付けられ、機器収納室3aと下側換気室5aとが通気性の隔壁(床パネル)22で上下に区画されている。ベース部5の前側の壁パネル23には複数の通気口24が横向きに開口するように形成され、外気が通気口24を通って下側換気室5a内に流入する。
【0018】
下側換気室5aの内側において、空中線12は通気口24に臨むように壁パネル23に添設されている。そして、隔壁22の通線口25に通信線14が挿通され、通信線14によって空中線12が送受信ユニット7に接続され、通気口24を通して電波を外部ユニット6と送受信ユニット7との間で中継するようになっている。なお、通線口25としては、実施例1と同様に、隔壁22に既設の穴を利用できる。
【0019】
この実施形態のキュービクル1,21によれば、次のような作用効果が得られる。
(a)送受信ユニット7と空中線12を互いに分離した状態で設けたので、空中線12を小型に製作して、上側または下側の換気室4a,5aにコンパクトに内装できる。
(b)送受信ユニット7を筺体本体部3の内側に設置し、該ユニット6に電気機器の動作情報を容易に提供できるとともに、電源を安定的に供給できる。
【0020】
(c)空中線12を換気室4a,5aに内装したので、従来(図9参照)と比較し、キュービクル1,21の外観上の見栄えが向上する。
(d)空中線12を筺体2に既設の通気口11,24に臨ませ、また、通信線14を筺体2に既設の隔壁8,22の穴(通線口13,25)を利用して配線したので、筺体2に追加の穴を加工する必要がなく、筺体2の剛性を維持し、内部機器を安全に保護できる。
【0021】
(e)空中線12をルーフ部4に設けた実施例1の場合は、特に、空中線12を雨水から確実に保護できるうえ、キュービクル1の前面側で操作される外部ユニット6と的確に交信できる利点がある。
(f)空中線12をベース部5に設けた実施例2の場合は、特に、筺体2の下部で通信線14を容易に引き回すことができる利点がある。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、空中線を上側換気室と下側換気室の両方に内装したり、筺体2の背面、側面等に配置したりするなど、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
1,21 キュービクル
2 筺体
3a 機器収納室
4 ルーフ部
4a 上側換気室
5 ベース部
5a 下側換気室
7 送受信ユニット
8,22 隔壁
10 庇パネル
11,24 通気口
12 空中線
13,25 通線口
14 通信線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9