(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944217
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20160621BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20160621BHJP
F21V 7/10 20060101ALI20160621BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20160621BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20160621BHJP
【FI】
F21V33/00 110
F21V7/00 510
F21V7/10
F21S2/00 230
F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-102289(P2012-102289)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-232285(P2013-232285A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100154106
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修一
(72)【発明者】
【氏名】中井 航
(72)【発明者】
【氏名】千葉 陸郎
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−251294(JP,A)
【文献】
特開2010−088596(JP,A)
【文献】
特開2010−264226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
F21S 2/00
F21V 7/00
F21V 7/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、
該LED光源を覆い隠すように配置した半透明のシェードと、
該シェードと対峙させて配置した反射板と、
を備える照明装置であって、
前記LED光源は、前記シェードの先端部内側に、シェード側とは反対側の照明目標に光軸を向けて配置され、
前記反射板は、前記LED光源から漏れる漏れ光を前記シェードに向けて反射し、且つ、前記LED光源を挟んで前記シェードと対峙するように配置されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記漏れ光は、前記LED光源の1/2ビーム角の外側に放射される光である請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記反射板の先端部を、前記LED光源方向に向けた請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記LED光源方向に向けた前記反射板の先端部を、前記LED光源から前記照射目標に向かう照射光の一部が反射可能な位置まで延設する請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記LED光源が、複数のLED素子を光透過性カバーで覆って一体化した棒状の照明モジュールであり、前記反射板の先端部を、前記照明モジュールの前記カバーに接触させる構成とした請求項3又は4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記反射板から前記シェードに向かう反射光の反射空間を密閉空間とした請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記反射板は、シェード側とは反対側に凸の曲面形状とした請求項1〜6のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項8】
前記反射板は、反射率及び拡散反射率の高い反射面を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項9】
商品陳列用の棚を架設した陳列室を有するショーケースに取付ける請求項1〜8のいずれか1つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源を用いた照明装置に関し、より詳しくは、照射目標に向けられたLED光源から漏れる漏れ光を利用して半透明のシェードを照明する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等に設置されるショーケースでは、商品を陳列した庫内とシェードを照らすように照明装置が設けられている。近年、この種の照明装置として、省エネルギーの観点から、蛍光灯に代えてLED光源を使用することが試みられている。LED光源の場合、その指向性が高いために、シェードを照らすLED光源と庫内を照らすLED光源をそれぞれ配置することが考えられるが、部品数の増加等によりコストがかかる。
かかる問題を解消するため、例えば特許文献1に記載されたLED照明装置が提案されている。特許文献1に記載された照明装置は、指向性を有するLED光源で庫内とシェードの双方を照らすために、双方向レンズを取り付けたLED照明装置を、互いに対峙するシェードと反射板との間に配置し、LED光源からの光を双方向レンズにより二方向に指向させ、一方は反射板へ向けて指向させて反射板で反射させてシェードを照射し、もう一方は庫内へ向けて指向させて庫内の商品等を直接照射することで、シェードと庫内の両方を照らすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−88596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、LED照明装置からの光量を単純に2分(シェード側:庫内側=1:1)すると、本来の照射目標である庫内側の最大必要光量に合わせるため、シェード側の光量が過剰となってしまいエネルギーの無駄が生じる。特許文献1に記載されたLED照明装置のように、双方向レンズを用いてLED光源からの光を2方向に分割させる場合、光量比率の異なる専用レンズの使用により光量を調整(シェード側:庫内側=1:2)してシェード側と庫内側へ最適な光量を配分することは可能であるが、ショーケースに応じて光量比率の異なる専用レンズの設計が必要となり、コストアップとなる。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、LED光源の照射目標に向かう照射光の外側に漏れる漏れ光をシェードの照明に有効利用することで、照射目標とシェードの両方を適切な明るさで照らすことができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の照明装置は
、LED光源と、該LED光源を覆い隠すように配置した半透明のシェードと、該シェードと対峙させて配置した反射板と、を備え
る照明装置であって、
前記LED光源は、前記シェードの先端部内側に、シェード側とは反対側の照明目標に光軸を向けて配置され、前記反射板は、前記LED光源から漏れる漏れ光
を前記シェードに向けて反射
し、且つ、前記LED光源を挟んで前記シェードと対峙するように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照明装置によれば、
シェードの先端部内側にシェード側とは反対側の照明目標に光軸を向けて配置されたLED光源から漏れる漏れ光をシェードに向けて反射
し、且つ、LED光源を挟んでシェードと対峙するように
、反射板を配置する構成としたので、LED光源の直接光によって照射目標を適切な明るさで照らすと共に、照射目標の照明に寄与しなかったLED光源の漏れ光を利用してシェードを適切な明るさで照らすことができる。従って、LED光源の光の利用効率を高めることができ、延いては、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の照明装置の一実施形態を適用したショーケースの例を示す斜視図。
【
図5】LED光源における1/2ビーム角の説明図。
【
図9】双方向レンズ付きLED光源の場合の別の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を適用したショーケースの例を示す図で、
図1は斜視図、
図2は
図1の側面図、
図3は
図2のA部の拡大図である。
このショーケース1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等に設置される、前面及び側面が開口されたオープンタイプのショーケースである。
【0010】
図に示すように、オープンショーケース1は、天井部2、背面部3及び底部4を有し前面(顧客側、売場側)と両側面が開口した矩形状の本体5を備える。本体5の天井部2と底部4との間の空間に陳列室6が形成され、複数の陳列棚7が上下方向にブラケット8を介して背面部3の内側パネル3aに架設されている。背面部3の内側パネル3a両端部近傍には、ブラケット8の基端が着脱自由に係合される係合孔9が上下方向に複数穿設されており、陳列する商品の高さ等に合わせて陳列棚7の位置を変えられるようになっている。
【0011】
天井部2、背面部3及び底部4の内部には、図示しないが冷気循環ダクトが形成され、底部4の冷気循環ダクトに、冷凍回路の蒸発器と蒸発器用ファンが配設されている。尚、冷凍回路の凝縮器、凝縮器用ファン及び圧縮機等は、図示しない別置き機械室に配設されている。天井部2の前部には、冷気循環ダクト5からの冷気を吐出する下向きに開口した吐出口10が形成され、底部4の前部には、上向きに開口した吸込口11が形成されており、吐出口10から吹き出された冷気は、吸込口11から冷気循環ダクト内に取り入れられ、陳列室6の前面開口に冷気のエアカーテンを形成する。
【0012】
図3に示すように、天井部2の外側パネル2aの前端には、前面側(顧客側、売場側)に凸状に湾曲した半透明板からなるシェード12が取り付けられている。シェード12の先端部内側には、ブラケット13を介してLED光源14が、シェード12によって覆い隠されるように取り付けられている。
【0013】
前記LED光源14は、
図4に示すように、基板14A上に所定の間隔を設けて複数のLED素子14Bを
図4の奥方向に整列して形成した発光部、光透過性(透明又は乳白色)のカバー14Cで覆って一体化した棒状に形成された照明モジュールである。LED光源14は、その光軸(
図4の矢印Xで示す)を、シェード12側とは反対側の照射目標である陳列室6前面の商品群(図示せず)に向けて配置されている。具体的には、LED光源14の1/2ビーム角(光度が最大光度の1/2になる角度)範囲の直接光が
図4に斜線で示すように照明板16及び陳列室6前面の商品に照射するように配置されている。
図5は、LED光源14の指向特性の一例を示したもので、この場合の1/2ビーム角は60度であることを示している。
尚、LED光源としては、配光制御手段(配光制御用レンズ)を設けずLED素子を露出させたような配光制御していないLED照明でもよく、また、カバーのLED素子前面部分に配光制御用レンズを設けてLED光源の1/2ビーム角を絞る構成としたものでもよい。
【0014】
図4に示すように、LED光源14を挟んでシェード12と対峙するように反射板15が配置されている。前記反射板15は、反射率及び拡散反射率の高い反射面を有する例えば白色の微細発砲PETシートで形成され、シェード12側から吐出口10側に斜め下方に延びる照明板16の上端部に当接して取り付けられている。尚、高い反射率及び拡散反射率を有し反射板に好適な素材の他の例としては、例えばアクリル素材やポリカーボネート素材が挙げられる。また、反射板15は、多角形状に折曲形成され、上端部はシェード12に当接し下端部15aはLED光源14に向けてLED光源14近傍まで延設されており、LED光源14から漏れる
図4に太矢印で示す漏れ光を外部に逃がすことなくシェード12に向けて反射する。尚、反射板15は、微細発砲PETシートに限らず、ステンレス鋼等の金属製としても良い。金属製の場合は、鏡面反射に近く(又は鏡面反射)になるため後述するように反射板形状を曲面形状により近く(又は曲面形状に)することが望ましい。ここで、前記漏れ光とは、LED光源14の1/2ビーム角の外側に放射される光である。
【0015】
また、反射板15で反射されてシェード12に向かう反射光の反射空間、即ち、シェード12と反射板15との間の空間は、
図3に示すようにパネル17で塞がれており、反射板15による反射光が前記反射空間の両側方からも漏れないように略密閉空間としている。LED光源14のON/OFF用スイッチ18が、照明板16に取り付けられている。尚、パネル17を取り付けず、前記反射空間の側面が開口していてもよい。
【0016】
本実施形態の照明装置では、
図4に示すようにLED光源14の光軸Xは、照明板16とショーケース1の陳列室6方向に向けられているので、
図4に斜線で示すようにLED光源14の直接光の照射によって、ショーケース1の陳列室6の前面が明るく照らされる。一方、
図4の太矢印で示すようにLED光源14の側方から
図4に斜線領域の外側に漏れる漏れ光は、反射板15によってシェード12側に反射されてシェード12を明るく照らす。
【0017】
このように、本実施形態の照明装置によれば、従来、照射目標であるショーケース1の陳列室6側の照明に寄与しなかった漏れ光をシェード12の照明に利用するので、ショーケース1の陳列室6側をLED光源14の直接光で適切な明るさで照らすと共に、シェード12側を従来無駄に放射されていたLED光源14の漏れ光によって適切な明るさで照らすことができるようになる。また、反射板15で反射した反射光でシェード12を照らすので、LED光源14のLED素子14Bの各々の色味のバラツキが緩和されてシェード12の色ムラを軽減できる。
【0018】
上記実施形態では、反射板15の形状を多角形状としたが、この形状に限るものではないことは言うまでもない。
図6及び
図7に反射板15の種々の形状例を示す。
図6(A)の反射板15は、単純な平板形状で、シェード12の上端部からLED光源14近傍まで垂下する構成である。同図(B)の反射板15は、(A)の平板形状で下端部15aをLED光源14方向に向けて折曲する構成である。かかる構成では、単に垂下した(A)の構成に比べてLED光源14と反射板15との間から照射板16方向に漏れる光の一部をシェード12側に反射させることができる。同図(C)の反射板15は、下端部15aを更に延設してLED光源14のカバー14Cに接触させている。かかる構成では、LED光源14の側方から照射板16方向に漏れる光の全てをシェード12側に反射させることができる。同図(D)は、シェード12に当接させる反射板15の上端部位置を、(A)〜(C)の場合よりもシェード12の前面側に位置させる構成である。かかる構成では、照らす必要性の少ないシェード12の上面部への反射光照射が無くなるので、反射板15の無駄な照射を無くすことができる。
【0019】
図7(E)の反射板15は、
図4の実施形態と同様の多角形状でその下端部15aをLED光源14のカバー14Cに接触させる構成である。
図7(F)の反射板15は、シェード12側とは反対側に凸の曲面形状としてその下端部15aをLED光源14のカバー14Cに接触させる構成である。かかる構成では、反射板15としてステンレス鋼等の鏡面反射となる金属材料を使用した場合でも、シェード12の輝度ムラが生じ難くなる。
図7(G)の反射板15は、平板形状でその下端部15aを、LED光源14から照射目標である陳列室6側に向かう照射光の一部が反射可能な位置まで、即ち、LED光源14の前面の一部とオーバーラップする位置まで延設する構成である。かかる構成では、照射目標である陳列室6側に向けた照射光の一部をシェード12の照明光として利用できるので、LED光源14前面にオーバーラップさせる反射板15の下端部15aのオーバーラップ量を変えることにより、陳列室6側を照射する光量とシェード12側を照射する光量を調節することが可能となる。
尚、
図7(H)に示すように、照明板16の折曲部分(図のB部)を鈍角で折曲するようにすれば、照明板16の折曲部分にも直接光が照射するようになり、折曲部分における影の影響を軽減できる。図中の13′は、LED光源14をシェード12に取り付けるための前述とは別形状のブラケットである。
【0020】
図8は、本発明の別の実施形態を示し、特開2010−88596号公報に記載された双方向レンズを取り付けたLED光源の場合の例である。
図8において、双方向レンズを取り付けたLED光源14′を覆い隠すように配置されたシェード12′と対峙して配置された反射板15′は、下端部15a′をLED光源14′に向けて折曲し双方向レンズにおけるレンズ間の谷部分に向けて延設し、上端部15bは、シェード12′の上端部分に当接させて構成する。
【0021】
かかる構成では、双方向レンズにより二方向に指向されたLED光源14′の光の一方は反射板15′へ向けられて反射板15′で反射してシェード12′を照らし、他方は照射目標であるショーケースの陳列室側に向けられて陳列室側を直接照らす。更に、双方向レンズのレンズ間領域に放射される漏れ光が、反射板15′の折曲した下端部15aによってシェード12′側に反射する。従って、本実施形態によれば、LED光源14′からの直接光に加えて漏れ光の反射光もシェード12′の照明に利用できるので、シェード12′を明るくできる。また、シェード12′を従来と同じ明るさとすれば、双方向レンズにより反射板15′からに指向させる光の光量を抑えることができ、その分陳列室側に向ける光の光量を増やすことができる。
【0022】
図9は、双方向レンズを取り付けたLED光源14′の場合の別の構成例を示す図である。
図9において、シェード12に取り付けたLED光源14′の双方向レンズにおけるレンズ間の谷部分に反射板15の下端部15a′を延設する構成である。また、照明板16の折曲部分を鈍角で折曲する構成である。かかる構成では、
図8の構成と同様の作用効果に加えて、
図7(H)と同様、照明板16の折曲部分にも直接光が照射するようになり、折曲部分における影の影響を軽減できる。
【0023】
上記実施形態では、本発明の照明装置をオープンショーケースに適用した例を説明したが、前面がガラス等の透明板で画成されるリーチインやウォークイン等のクローズドタイプのショーケースにも適用できる。また、照明装置、シェードを、縦方向に配置したり、陳列室の下端部側に配置したりするオープンタイプのショーケースにも適用可能である。
【0024】
また、ショーケースに限らず、照射目標とシェードの二方向を、同一の光源を用いて照らす構成のものであれば、どのようなものでも本発明の照明装置を適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 ショーケース
6 陳列室
7 陳列棚
12、12′ シェード
14、14′ LED光源
14A 基板
14B LED素子
14C カバー
15、15′ 反射板
X LED光源の光軸