特許第5944221号(P5944221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5944221画像処理プログラムおよび画像処理装置、画像読取装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944221
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】画像処理プログラムおよび画像処理装置、画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20160621BHJP
   G06T 3/60 20060101ALI20160621BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H04N1/387
   G06T3/60
   G03G15/36
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-104649(P2012-104649)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-232834(P2013-232834A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】508344305
【氏名又は名称】株式会社 下田オー・エー・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】小泉 明
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−191026(JP,A)
【文献】 特開2009−164811(JP,A)
【文献】 特開平03−167679(JP,A)
【文献】 特開2010−103808(JP,A)
【文献】 特開2009−164807(JP,A)
【文献】 特開平05−211604(JP,A)
【文献】 特開2000−004315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
H04N 1/04
G06T 3/60
G03G 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に基づいて生成された画像を処理する画像処理プログラムであって、
未指定を含む原稿サイズの指定に基づいて、前記画像中の矩形図形の輪郭線の一部として該矩形の1辺または2辺を抽出し、該抽出した辺を含む前記矩形画像の輪郭線の全部を特定する輪郭抽出処理と、
前記輪郭抽出処理で特定した前記矩形図形の輪郭線を補正する輪郭線補正処理と、
前記輪郭線補正処理で補正された輪郭線に基づいて前記画像から矩形画像を切り出す画像切出処理と、
前記画像切出処理で切り出された矩形画像を直立させる直立補正処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
原稿に基づいて生成された画像を処理する画像処理装置であって、
未指定を含む原稿サイズの指定に基づいて、前記画像中の矩形図形の輪郭線の一部として該矩形の1辺または2辺を抽出し、該抽出した辺を含む前記矩形画像の輪郭線の全部を特定する輪郭抽出手段と、
前記輪郭抽出手段で特定した前記矩形図形の輪郭線を補正する輪郭線補正手段と、
前記輪郭線補正手段により補正された輪郭線に基づいて前記画像から矩形画像を切り出す画像切出手段と、
前記画像切出手段により切り出された矩形画像を直立させる直立補正手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
原稿台上の原稿に基づいて画像を生成する画像読取装置であって、
原稿サイズの指定を受け付ける指定受付手段と、
前記原稿台と相対する面が黒色であり、該原稿台上に並べられた原稿を押さえる原稿押さえ手段と、
前記原稿台を光学的に走査して、該原稿台上に並べられた原稿に基づく画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段が生成した画像に対して画像処理を施す画像処理手段と
を具備し、
前記画像処理手段は、
前記指定受付手段が受け付けた未指定を含む原稿サイズの指定に基づいて、前記画像中の矩形図形の輪郭線の一部として該矩形の1辺または2辺を抽出し、該抽出した辺を含む前記矩形画像の輪郭線の全部を特定する輪郭抽出手段と、
前記輪郭抽出手段で特定した前記矩形図形の輪郭線を補正する輪郭線補正手段と、
前記輪郭線補正手段により補正された輪郭線に基づいて前記画像から矩形画像を切り出す画像切出手段と、
前記画像切出手段により切り出された矩形画像を直立させる直立補正手段と
を具備する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記画像処理手段が画像処理を施した画像を、前記指定受付手段が受け付けた原稿サイズに応じた用紙に印刷する画像形成手段をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラムおよび画像処理装置、画像読取装置に関し、特に、原稿を読み取ることで生成された画像等を処理する画像処理プログラムおよび画像処理装置、原稿の読み取りを行う画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写装置等による原稿の複製が行われることは一般的であり、また、スキャナ等の画像読取装置で原稿を読み取って生成した画像や、デジタルカメラ等により撮影された画像等を、コンピュータ等の情報処理装置で電子文書として取り扱う機会も増加している。
【0003】
画像読取装置等を利用する際には、これら装置の読み取り面である原稿台に載置する必要がありが、その際には、原稿台の所定の位置(原点)に原稿の角が合致するように原稿を読み取り面に載置することとなる。
【0004】
なお、複写装置や画像読取装置に、原稿の読み取りを容易に行わせるために、自動原稿送り装置を設けた機器も存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−86988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、複写装置や画像読取装置に自動原稿送り装置が設けられていない場合や、自動原稿送り装置に対応しない原稿等を読み取らせる場合には、当該原稿等を原稿台の所定の位置に載置する必要があった。
【0007】
また、原稿等をデジタルカメラ等により撮影する場合には、原稿とカメラの相対位置に注意して撮影を行わなければ、その結果得られる画像を電子文書として利用する場合に、画像の回転やトリミング等の様々な画像処理を施す必要が生じることとなる。
【0008】
そこで、本発明は、原稿台の任意の位置に載置した原稿に対しても、適切な画像化を行うことのできる画像処理プログラムおよび画像処理装置、画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、原稿に基づいて生成された画像を処理する画像処理プログラムであって、未指定を含む原稿サイズの指定に基づいて、前記画像中の矩形図形の輪郭線の一部として該矩形の1辺または2辺を抽出し、該抽出した辺を含む前記矩形画像の輪郭線の全部を特定する輪郭抽出処理と、前記輪郭抽出処理で特定した前記矩形図形の輪郭線を補正する輪郭線補正処理と、前記輪郭線補正処理で補正された輪郭線に基づいて前記画像から矩形画像を切り出す画像切出処理と、前記画像切出処理で切り出された矩形画像を直立させる直立補正処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、原稿に基づいて生成された画像を処理する画像処理装置であって、未指定を含む原稿サイズの指定に基づいて、前記画像中の矩形図形の輪郭線の一部として該矩形の1辺または2辺を抽出し、該抽出した辺を含む前記矩形画像の輪郭線の全部を特定する輪郭抽出手段と、前記輪郭抽出手段で特定した前記矩形図形の輪郭線を補正する輪郭線補正手段と、前記輪郭線補正手段により補正された輪郭線に基づいて前記画像から矩形画像を切り出す画像切出手段と、前記画像切出手段により切り出された矩形画像を直立させる直立補正手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、原稿台上の原稿に基づいて画像を生成する画像読取装置であって、原稿サイズの指定を受け付ける指定受付手段と、前記原稿台と相対する面が黒色であり、該原稿台上に並べられた原稿を押さえる原稿押さえ手段と、前記原稿台を光学的に走査して、該原稿台上に並べられた原稿に基づく画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段が生成した画像に対して画像処理を施す画像処理手段とを具備し、前記画像処理手段は、前記指定受付手段が受け付けた未指定を含む原稿サイズの指定に基づいて、前記画像中の矩形図形の輪郭線の一部として該矩形の1辺または2辺を抽出し、該抽出した辺を含む前記矩形画像の輪郭線の全部を特定する輪郭抽出手段と、前記輪郭抽出手段で特定した前記矩形図形の輪郭線を補正する輪郭線補正手段と、前記輪郭線補正手段により補正された輪郭線に基づいて前記画像から矩形画像を切り出す画像切出手段と、前記画像切出手段により切り出された矩形画像を直立させる直立補正手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記画像処理手段が画像処理を施した画像を、前記指定受付手段が受け付けた原稿サイズに応じた用紙に印刷する画像形成手段をさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原稿を原稿台の任意の位置に載置した場合であっても、該原稿の大きさに応じた原稿の画像化が可能となる。詳述すれば、作業者が原稿を原稿台に載置する際に、原稿を載置する位置や向きを気にすることなく原稿の読み取りを行った場合でも、原稿の大きさに応じた原稿の画像化が可能であり、原稿が定型のものであれば補正が施された大きさで、原稿が非定型のものであれば当該原稿の大きさで原稿が画像化される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】画像処理装置の概略を説明するための図である。
図2】画像処理装置1の構成例を示した図である。
図3】画像処理装置1の機能的な構成の例を示すブロック図である。
図4】画像処理装置1が処理対象とする画像データ4を説明するための図である。
図5】輪郭線抽出処理を説明するための図である。
図6】輪郭線抽出処理を説明するための図である。
図7】輪郭線の抽出を中止する場合の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像処理プログラムおよび画像処理装置、画像読取装置の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、画像処理装置の概略を説明するための図である。同図に示すように、画像処理装置1は、スキャナ等の画像読取装置2や、デジタルカメラ等の撮影装置3で生成された画像データ4を取得し、取得した画像データ4に対して画像処理を施す。
【0017】
画像処理装置1と画像読取装置2を接続する場合、画像読取装置2が原稿を読み取って生成した画像データ4を画像処理装置1に渡すことができればよいため、USB(Universal Serial Bus)等によるローカル接続や、LAN(Local Area Network)等によるネットワーク接続を利用することができる。
【0018】
また、撮影装置3から画像処理装置1へ画像データ4を渡す際には、各種の記憶メディアを用いることができる。
【0019】
次に、画像処理装置1の構成について説明する。画像処理装置1は、汎用のコンピュータ等の情報処理装置を画像処理プログラムにしたがって動作させることで実現されるものであり、その構成は、例えば、図2に示すようなものとなる。
【0020】
図2に示すように、画像処理装置1は、演算部10と記憶部11、一時記憶部12、外部装置接続部13、記憶装置接続部14、記憶装置15、入力装置接続部16、入力装置17、表示装置接続部18、表示装置19を有している。
【0021】
演算部10は、演算処理を行うもので、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに相当する。記憶部11は、情報等を記憶するもので、例えば、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(Nonvolatile Memory)等のメモリに相当する。一時記憶部12は、情報等を一時的に記憶するもので、例えば、RAM(Random Access Memory)等のメモリに相当する。外部装置接続部13は、画像読取装置2や記憶メディアを接続するインタフェイスとなるもので、例えば、USBのインタフェイス等である。記憶装置接続部14は、記憶装置15を接続するためのインタフェイスである。記憶装置15は、情報等を記憶するもので、例えば、磁気ディスクに相当する。入力装置接続部16は、入力装置17を接続するためのインタフェイスである。入力装置17は、情報等を入力するもので、キーボードやポインティングデバイス等に相当するものである。表示装置接続部18は、表示装置19を接続するためのインタフェイスである。表示装置20は、情報等を表示するもので、モニタディスプレイ等に相当するものである。
【0022】
続いて、画像処理装置1の機能的な構成について説明する。図3は、画像処理装置1の機能的な構成の例を示すブロック図である。
【0023】
同図に示すように、画像処理装置1は、画像取得部100と、前処理部101、サイズ指定受付部102、矩形抽出処理部103、画像切出処理部104、直立補正処理部105、変換処理部106といった各機能部を有している。また、矩形抽出処理部103は、輪郭抽出処理部130と輪郭補正処理部131といった各機能部を有している。
【0024】
これら各機能部は、コンピュータ等の情報処理装置を画像処理プログラムにしたがって動作させることで実現される。この画像処理プログラムは、記録媒体に記録して配布したり、ネットワーク等を利用した通信により配信することが可能なものである。
【0025】
画像取得部100は、画像読取装置2を動作させて画像データ4を取得するか、記憶メディア等から画像データ4を読み出す、LAN等を介して受信して記憶装置15に記憶された画像データ4をを読み出す等の処理を行い、画像データ4を処理対象として取得する。
【0026】
前処理部101は、画像取得部100が取得した画像データ4複製する。
【0027】
サイズ指定受付部102は、入力装置17から入力された抽出すべき画像のサイズ指定を受け付ける。受け付けるサイズ指定は、「A4」、「A5」、「B5」等の定型サイズの名称、「A4縦」、「A4横」等の定型サイズの名称と向き、縦と横のそれぞれの長さ、縦と横の一方の長さ及び縦横の比率等の抽出すべき画像のサイズを特定できるパラメータであり、これらのいずれかの指定を受け付ける。もちろん、受け付け可能なパラメータの種別は、設計時等に決定することができ、全ての種類のパラメータを受け付けるようにしてもよく、いずれか1つの種類、または、複数種類のパラメータを受け付けるようしてもよい。なお、サイズ指定受付部102が抽出すべき画像のサイズ指定を受け付けなかった場合でも、画像処理装置1は動作可能である。
【0028】
矩形抽出処理部103は、前処理部101が複製した画像データから、抽出すべき矩形の画像を抽出する。
【0029】
輪郭抽出処理部130は、前処理部101が複製した画像データから、当該画像中の輪郭線を抽出する。また、輪郭抽出処理部130は、輪郭線の一部を抽出したことで、サイズ指定受付部102が受け付けた抽出すべき画像のサイズ指定に基づいて前処理部101が複製した画像データから当該画像中の輪郭線を特定可能となった場合には、以後の輪郭線の抽出を中止する。
【0030】
輪郭補正処理部131は、輪郭抽出処理部130が抽出した輪郭線に囲まれた図形をサイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定に基づいて補正する。また、サイズ指定受付部102がサイズ指定を受け付けなかった場合でも、輪郭抽出処理部130が抽出した輪郭線に囲まれた図形が定型サイズに近いものであった場合、例えば、予め定めた閾値内の図形を定型サイズに補正することもできる。もちろん、サイズ指定受付部102がサイズ指定を受け付けなかった場合には、補正を行わないようにすることもでき、これらの判断は、設計時の決定または登録された設定に従うようにすることができる。
【0031】
画像切出処理部104は、前処理部101が複製した画像の元となる元画像、つまり、画像取得部100が取得した画像データ4から、矩形抽出処理部103が抽出した矩形の輪郭線にしたがって、部分画像を切り出す。
【0032】
直立補正処理部105は、画像切出処理部104が切り出した部分画像を、当該部分画像が直立するように補正する。
【0033】
変換処理部106は、直立補正処理部105が補正した部分画像を予め指定された形式に変換し、その結果をファイルとして記憶装置15に保存する。また、記憶装置15に保存したファイルに基づいて、外部装置接続部13に接続されたプリンタ等の画像形成装置から部分画像の印刷出力を行ってもよい。
【0034】
次に、画像処理装置1の各機能部による処理の詳細を、画像処理装置1による画像処理の流れとともに説明する。
【0035】
最初に、画像処理装置1が処理対象とする画像データ4について説明する。画像読取装置2で原稿を読み取って画像データ4を生成する場合、図4(a)に示すように、画像読取装置2の原稿台(ガラス台)20の任意の位置に原稿40を載置する。原稿40を載置する位置は任意であるため、従来、原稿の位置合わせに用いていた原点21は無視しても良い。
【0036】
また、画像データ4を生成する画像読取装置2は、原稿40の読取時に原稿40を押さえる役割を果たす原稿台カバー22のうち、少なくとも原稿台20と相対する面23は、特定の色、例えば、黒色である構成となっている。この特定の色は、原稿40の下地色と異なる色であれば他の色であってもよい。
【0037】
この図4(a)に示した画像読取装置2で原稿40を読み取った結果、画像データ4は、図4(b)に示すような画像を示すデータとなる。
【0038】
なお、原稿台カバー23の原稿台20と相対する面23が特定の色である画像読取装置2を用いる代わりに、一般の画像読取装置を用い、その画像読取装置の原稿台に原稿を載置し、その上に当該原稿よりも大きな特定色のシートを重ねて当該画像読取装置を動作させることでも、画像データ4を生成することが可能である。
【0039】
一方、デジタルカメラ等の撮影装置3で画像データ4を生成する場合には、机上等に黒色等の特定の色のシートを載置し、そのシート上に原稿を載置して、これを撮影装置3で撮影することで、図4(b)に示すような画像を示す画像データ4を生成することができる。もちろん、壁等に黒色等の特定の色のシートと原稿を貼り付け、これを撮影することでも同様の画像データ4を生成することができる。
【0040】
続いて、画像取得部100が取得した画像データ4に対して、前処理部101が、前処理を施す。前処理部101が施す前処理は、画像取得部100が取得した画像データ4を複製する処理である。なお、以下では、便宜上、画像取得部100が取得した画像データ4を元画像と称し、前処理部101が複製した画像を複製画像と称する。
【0041】
次に、前処理部101が複製した複製画像に対して、矩形抽出処理部103が当該複製画像から矩形部分を抽出する矩形抽出処理を行う。
【0042】
矩形抽出処理では、まず、輪郭抽出処理部130が抽出する矩形の輪郭線を抽出する処理を行う。輪郭抽出処理部130は、輪郭線の抽出に先立ち、まず、複製画像を各画素が1ビットで表現される2値画像に変換する。そして、輪郭抽出処理部130は、2値化した複製画像から外枠を除去する外枠除去処理を行う。外枠とは、画像読取装置2の枠消し機能等により生じる白枠であり、外枠除去処理は、この白枠の各画素を、黒画素に変換するものである。続いて、輪郭抽出処理部130は、外枠除去処理が施された複製画像から、当該画像中に存在する原稿40の輪郭線に相当する矩形の輪郭線、つまり、白画素の塊の輪郭線を抽出する。
【0043】
ここで、輪郭線抽出処理について説明する。図5および図6は、輪郭線抽出処理を説明するための図である。ここでは、輪郭線抽出処理を施す複製画像は、図5(a)に示す8×8画素のもので、白画素の塊が1つ存在するものとする。なお、図5および図6中の斜線を施した正方形は黒画素を示し、他の正方形は、白画素を示す。また、正方形内に円を描画しているものは、輪郭線として抽出された画素を示すものである。
【0044】
輪郭線抽出処理では、輪郭抽出処理部130は、まず、ラスタスキャンによる白画素の有無の確認、つまり、図5(a)中の左上の画素P11から画素P12の方向に順に画素P18まで白画素の有無を確認し、画素P18までに白画素が無ければ、次段の画素P21から、同様に白画素の有無を確認する。その結果、画素P25が白画素であるので、この画素P25を始点として、輪郭線の追跡を開始する。
【0045】
輪郭線の追跡では、処理対象の画素の周りの8画素を反時計方向に順に確認する。処理対象が画素P25である場合には、その周りの8画素のうち、直前に処理対象であった画素P24から反時計方向に隣接する画素P34を始点として白画素の確認を行う(図5(b)参照)。そして、最初に白画素であることが確認された画素、この場合、画素P34を輪郭線の進行方向とする。
【0046】
続いて、画素P34を処理対象として、その周りの8画素のうち、直前に処理対象であった画素P25から反時計方向に隣接する画素P24を始点として白画素の確認を行う(図5(c)参照)。この場合、画素P24、画素P23、画素P33、画素P43の順に白画素であるか否かの確認を行い、最初に白画素であることが確認された画素P43を輪郭線の進行方向とする。
【0047】
そして、同様の処理を行い、画素P43における輪郭線の進行方向を画素P52(図5(d)参照)、画素P52における輪郭線の進行方向を画素P62(図5(e)参照)、画素P62における輪郭線の進行方向を画素P73(図6(a)参照)、画素P73における輪郭線の進行方向を画素P74(図6(b)参照)、といったように、輪郭線の追跡を行い、輪郭線の進行方向として特定した画素が始点であった画素P25となった場合に、輪郭線の追跡を終了する(図6(c)参照)。
【0048】
ところで、前述したように、輪郭抽出処理部130は、輪郭線の一部を抽出したことで、サイズ指定受付部102が受け付けた抽出すべき画像のサイズ指定に基づいて輪郭線の全体を特定可能となった場合には、以後の輪郭線の抽出を中止する。
【0049】
ここで、輪郭線の抽出を中止する場合の例を説明する。例えば、図7(a)に示すような輪郭線を抽出する場合、サイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定が、「A4」、「A5」、「B5」等の定型サイズの名称、「A4縦」、「A4横」等の定型サイズの名称と向き、縦と横のそれぞれの長さのいずれかである場合、図7(b)に示すように、矩形のうちの1辺を抽出した段階で輪郭線の抽出を中止する。これは、サイズ指定されたパラメータによって、矩形の長辺の長さと短辺の長さの両者を特定できるからである。また、サイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定が、縦と横の一方の長さ及び縦横の比率である場合に、図7(b)に示した矩形の1辺の長さが指定された長さと一致する場合にも、矩形のうちの1辺を抽出した段階で輪郭線の抽出を中止する。
【0050】
サイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定がその他の場合や、サイズ指定受付部102がサイズ指定を受け付けなかった場合には、図7(c)に示すように、矩形のうちの2辺を抽出した段階で輪郭線の抽出を中止する。
【0051】
なお、画像データ4が撮影装置3で撮影されたものである場合には、サイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定が「A4」等であったとしても、画像データ4中の矩形が原寸であるとは限らないため、矩形のうちの2辺を抽出した段階で輪郭線の抽出を中止することになる場合もある。
【0052】
次に、輪郭抽出処理部130が抽出した輪郭線に対して、輪郭補正処理部131が輪郭補正処理を施す。
【0053】
輪郭線補正処理部131は、輪郭抽出処理部130が抽出した輪郭線に対して直線化の処理を施す。具体的には、輪郭線上または輪郭線の近傍に黒色等の特定色の画素が残存していた場合に、当該画素の色を原稿の下地色に変換する処理を施す。
【0054】
なお、輪郭線補正処理部131は、画像データ4が撮影装置3で撮影されたものである場合等で、サイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定と矩形の大きさが異なる場合には、画像に対して拡縮処理を施すようにしてもよい。
【0055】
矩形抽出処理部103による矩形抽出処理が終了すると、画像切出処理部104が、元画像(画像データ4)から矩形抽出処理部103が抽出した矩形画像に相当する部分を部分画像として切り出す。
【0056】
続いて、直立補正処理部105が、画像切出処理部104が切り出した部分画像に対して直立補正処理を施す。この直立補正処理は、矩形の長辺または短辺が水平方向となるように、部分画像に回転処理を施す処理である。なお、長辺と短辺のいずれかを水平方向に一致させるかは予め定めた設定にしたがって行うものとするが、サイズ指定受付部102が受け付けたサイズ指定が、「A4縦」、「A4横」等の定型サイズの名称と向き、縦と横のそれぞれの長さのいずれかであった場合、当該サイズ指定にしたがって長辺と短辺のいずれかを水平方向に一致させるように部分画像に回転処理を施す。
【0057】
最後に、変換処理部106が、直立補正処理部105で直立補正処理が施された画像を、指定された画像ファイルの形式に変換してその結果を記憶装置15に保存する。
【0058】
なお、前述したように、画像処理装置1は、汎用のコンピュータ等の情報処理装置を画像処理プログラムにしたがって動作させることで実現するものであるが、同様のプログラム、つまり、図3に示した各機能部を実現するプログラムを、画像読取装置の画像処理部で動作させ、前述した画像処理装置1の機能を有する画像読取装置を実現することができる。この場合、当該画像読取装置の原稿台カバーを黒色等の特定の色にするか、任意の色に変更可能な構成とすることで、原稿に特定の色のシートを重ねる等の作業を行う必要もなくなる。
【0059】
同様に、図3に示した各機能部を実現するプログラムを、複写装置の画像処理部で動作させ、前述した画像処理装置1の機能を有する複写装置を実現することができる。この場合、当該複写装置の原稿台カバーを黒色等の特定の色にするか、任意の色に変更可能な構成とすることで、原稿に特定の色のシートを重ねる等の作業を行う必要もなくなる。
【符号の説明】
【0060】
1 画像処理装置
2 画像読取装置
3 撮影装置
10 演算部
11 記憶部
12 一時記憶部
13 外部装置接続部
14 記憶装置接続部
15 記憶装置
16 入力装置接続部
17 入力装置
18 表示装置接続部
19 表示装置
20 原稿台
21 原点
22 原稿台カバー
23 原稿台カバーの原稿台との相対面
40 原稿
100 画像取得部
101 前処理部
102 サイズ指定受付部
103 矩形抽出処理部
104 画像切出処理部
105 直立補正処理部
106 変換処理部
130 輪郭抽出処理部
131 輪郭補正処理部
P11〜P74 画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7