特許第5944223号(P5944223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944223
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】暖房システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20160621BHJP
   F24D 3/00 20060101ALI20160621BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301D
   F24D3/00 J
   F24F11/02 103D
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-105821(P2012-105821)
(22)【出願日】2012年5月7日
(65)【公開番号】特開2013-236149(P2013-236149A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大吾
(72)【発明者】
【氏名】西口 一弘
(72)【発明者】
【氏名】高見 均
【審査官】 永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−127860(JP,A)
【文献】 特開2003−009256(JP,A)
【文献】 特開2005−027025(JP,A)
【文献】 特開2004−023423(JP,A)
【文献】 特開2007−183032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00− 3/18
F24F 11/00−11/08
H03J 9/00− 9/06
H04M 3/00
H04M 3/16− 3/20
H04M 3/38− 3/58
H04M 7/00− 7/16
H04M 11/00−11/10
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房循環熱媒から放熱した熱を用いて室内を暖房可能な第1暖房装置と、
温風を用いて前記室内を暖房可能な第2暖房装置と、
前記第1暖房装置と前記第2暖房装置の運転状態を制御するシステム制御装置と、を有する暖房システムにおいて、
前記第1暖房装置は、暖房循環熱媒を用いて放熱する第1放熱体と、暖房循環熱媒を加熱する第1熱源機と、前記第1熱源機を制御する第1制御手段と、を有しており、
前記第2暖房装置は、温風を出力する第2放熱体と、第2熱源機と、前記第2熱源機を制御する第2制御手段と、を有しており、
前記システム制御装置は、第1通信線にて前記第1制御手段に接続され、所定の通信プログラムと無線送受信手段とを有する任意の端末装置から無線にて送信される設定情報を受信可能であり、受信した設定情報に基づいた暖房運転の指示または停止の指示を、前記第1通信線を介して前記第1制御手段に送信可能であり、所定の通信線にて接続された補助コントローラを有し、受信した設定情報に基づいた暖房運転の指示または停止の指示を、前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して前記第2制御手段に送信可能であり、
前記設定情報には、前記第1暖房装置の単独運転を指示する第1入力指示と、前記第2暖房装置の単独運転を指示する第2入力指示と、前記第1暖房装置と前記第2暖房装置の双方を連動させて運転する連動運転を指示する第3入力指示と、暖房運転の停止の指示、のいずれかが含まれており、
前記システム制御装置は、前記端末装置から無線にて送信される設定情報を直接的に受信可能な第1受信手段を有しており、
前記補助コントローラは、前記端末装置から無線にて送信される設定情報を直接的に受信可能な第2受信手段を有しており、受信した設定情報を前記所定の通信線を介して前記システム制御装置に送信し、
前記システム制御装置は、自身の前記第1受信手段にて受信した設定情報、または前記補助コントローラの前記第2受信手段にて受信した設定情報、にて前記第1暖房装置の単独運転が指示されている場合は前記第1通信線を介して前記第1制御手段に前記第1暖房装置の単独運転を指示する制御信号を送信し、受信した前記設定情報にて前記第2暖房装置の単独運転が指示されている場合は前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して前記第2制御手段に前記第2暖房装置の単独運転を指示する制御信号を送信し、受信した前記設定情報にて前記第1暖房装置と前記第2暖房装置の連動運転が指示されている場合は前記第1通信線を介して前記第1制御手段に前記第1暖房装置の連動運転を指示する制御信号を送信して前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して前記第2制御手段に前記第2暖房装置の連動運転を指示する制御信号を送信する、
暖房システム。
【請求項2】
請求項1に記載の暖房システムであって、
更に、前記第1暖房装置の単独運転を指示する設定情報を送信可能な第1コントローラと、前記第2暖房装置の単独運転を指示する設定情報を送信可能な第2コントローラと、の少なくとも一方を有しており、
前記第1コントローラは、第2通信線にて前記システム制御装置に接続あるいは第3通信線にて前記第1制御手段に接続されており、
前記第2コントローラは、無線にて設定情報を前記第2制御手段と前記補助コントローラに送信可能であり、
前記システム制御装置は、前記第1コントローラからの設定情報を、前記第2通信線を介して前記第1コントローラから取得あるいは前記第1通信線を介して前記第1制御手段から取得することが可能であり、前記第2コントローラからの設定情報を、前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して取得することが可能である、
暖房システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の暖房システムであって、
前記システム制御装置は、情報を無線にて前記端末装置に直接的に送信可能な送信手段を有しており、設定情報を受信した場合、受信した設定情報に基づいた前記第1暖房装置及び前記第2暖房装置の運転状態に関する応答情報を、前記送信手段を介して前記端末装置に送信する、
暖房システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の暖房システムであって、
前記端末装置及び前記通信プログラムは、音声認識機能を有しており、
前記端末装置は、前記通信プログラムを用いて入力された音声に基づいて設定情報を作成し、作成した設定情報を無線にて送信する、
暖房システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の暖房システムであって、
前記端末装置は、気象情報を取得可能であり、取得した気象情報に基づいて設定情報を自動的に作成し、作成した設定情報を無線にて送信する、
暖房システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の暖房システムであって、
前記端末装置は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PHSを含む移動通信端末またはコンピュータである、
暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンや床暖房等の空気調和システムの運転制御指令を携帯電話やパーソナルコンピュータ等の外部端末によって操作する空気調和システムとして、特開2002−243249が知られている。
特開2002−243249では、1台の熱源機と当該熱源機から供給された温水を利用して居室内暖房を行う床暖房や温水式エアコン等の空気調和端末とが集中コントローラで制御されている。集中コントローラは、インターネットに接続されており、外部端末から送信されたメールを取り込んで制御信号に変換し、変換した制御信号に基づいて、エアコンや床暖房等の運転を制御する。これによって、例えば外出先にて外部端末からメールを送信することで床暖房やエアコンを遠隔操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−243249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来技術では、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の外部端末からのメールを利用して遠隔操作を行うために、集中コントローラをプロバイダサーバ経由でインターネットに接続しなければならない。すなわち、プロバイダとのインターネット接続契約が必要である。
近年では、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PHS等の種々の無線送受信手段を備えた移動通信端末またはパーソナルコンピュータが広く普及している。しかし、例えばスマートフォンを所有して当該スマートフォンを用いて通話やインターネットを利用しているが、パーソナルコンピュータを所有しておらずプロバイダとのインターネット接続契約をしていないユーザも多い。このようなユーザの場合、特許文献1に記載の暖房システムを、ユーザ自身が所有しているスマートフォンから操作しようとした場合、新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ばなければならず、手間であるとともに費用がかかるので好ましくない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要が無く、任意の端末装置から無線にてコントロールが可能な暖房システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る暖房システムは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、暖房循環熱媒から放熱した熱を用いて室内を暖房可能な第1暖房装置と、温風を用いて前記室内を暖房可能な第2暖房装置と、前記第1暖房装置と前記第2暖房装置の運転状態を制御するシステム制御装置と、を有する暖房システムである。
前記第1暖房装置は、暖房循環熱媒を用いて放熱する第1放熱体と、暖房循環熱媒を加熱する第1熱源機と、前記第1熱源機を制御する第1制御手段と、を有しており、前記第2暖房装置は、温風を出力する第2放熱体と、第2熱源機と、前記第2熱源機を制御する第2制御手段と、を有している。
また、前記システム制御装置は、第1通信線にて前記第1制御手段に接続され、所定の通信プログラムと無線送受信手段とを有する任意の端末装置から無線にて送信される設定情報を受信可能であり、受信した設定情報に基づいた暖房運転の指示または停止の指示を、前記第1通信線を介して前記第1制御手段に送信可能であり、所定の通信線にて接続された補助コントローラを有し、受信した設定情報に基づいた暖房運転の指示または停止の指示を、前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して前記第2制御手段に送信可能である。
そして、前記設定情報には、前記第1暖房装置の単独運転を指示する第1入力指示と、前記第2暖房装置の単独運転を指示する第2入力指示と、前記第1暖房装置と前記第2暖房装置の双方を連動させて運転する連動運転を指示する第3入力指示と、暖房運転の停止の指示、のいずれかが含まれており、前記システム制御装置は、前記端末装置から無線にて送信される設定情報を直接的に受信可能な第1受信手段を有している。
また、前記補助コントローラは、前記端末装置から無線にて送信される設定情報を直接的に受信可能な第2受信手段を有しており、受信した設定情報を前記所定の通信線を介して前記システム制御装置に送信する。
そして、前記システム制御装置は、自身の前記第1受信手段にて受信した設定情報、または前記補助コントローラの前記第2受信手段にて受信した設定情報、にて前記第1暖房装置の単独運転が指示されている場合は前記第1通信線を介して前記第1制御手段に前記第1暖房装置の単独運転を指示する制御信号を送信し、受信した前記設定情報にて前記第2暖房装置の単独運転が指示されている場合は前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して前記第2制御手段に前記第2暖房装置の単独運転を指示する制御信号を送信し、受信した前記設定情報にて前記第1暖房装置と前記第2暖房装置の連動運転が指示されている場合は前記第1通信線を介して前記第1制御手段に前記第1暖房装置の連動運転を指示する制御信号を送信して前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して前記第2制御手段に前記第2暖房装置の連動運転を指示する制御信号を送信する、暖房システムである。
【0006】
この第1の発明によれば、システム制御装置は、任意の端末装置から無線にて送信される設定情報を、第1受信手段にて直接受信する。
このため、システム制御装置をインターネットに接続する必要が無く、新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要が無く、任意の端末装置から無線にてコントロールが可能である。
【0007】
【0008】
また、第1の発明では、システム制御装置に加えて、補助コントローラも、任意の端末装置から無線にて送信される設定情報を直接受信可能な受信手段(第2受信手段)を有している。
このため、システム制御装置に無線信号が届かないような位置であっても、補助コントローラに無線信号が届く位置であれば、端末装置から設定情報を送信することができるので便利である。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る暖房システムであって、更に、前記第1暖房装置の単独運転を指示する設定情報を送信可能な第1コントローラと、前記第2暖房装置の単独運転を指示する設定情報を送信可能な第2コントローラと、の少なくとも一方を有している。
前記第1コントローラは、第2通信線にて前記システム制御装置に接続あるいは第3通信線にて前記第1制御手段に接続されており、前記第2コントローラは、無線にて設定情報を前記第2制御手段と前記補助コントローラに送信可能である。
そして、前記システム制御装置は、前記第1コントローラからの設定情報を、前記第2通信線を介して前記第1コントローラから取得あるいは前記第1通信線を介して前記第1制御手段から取得することが可能であり、前記第2コントローラからの設定情報を、前記所定の通信線と前記補助コントローラを介して取得することが可能である。
【0010】
この第2の発明では、ユーザが端末装置を所有していない場合や、端末装置が近くに見当たらない場合等であっても、第1コントローラや第2コントローラから設定情報を送信することができるので、便利である。
【0011】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る暖房システムであって、前記システム制御装置は、情報を無線にて前記端末装置に直接的に送信可能な送信手段を有しており、設定情報を受信した場合、受信した設定情報に基づいた前記第1暖房装置及び前記第2暖房装置の運転状態に関する応答情報を、前記送信手段を介して前記端末装置に送信する。
【0012】
この第3の発明では、第1暖房装置及び第2暖房装置の運転状態に関する応答情報を、設定情報を受信したシステム制御装置から端末装置に無線で直接送信するので、ユーザは、システム制御装置が設定情報を正しく受け付けたか否かを容易に判断できるので便利である。
また、システム制御装置と端末装置との間で直接送受信するので、システム制御装置をインターネットに接続する必要が無く、新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要が無い。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明に係る暖房システムであって、前記端末装置及び前記通信プログラムは、音声認識機能を有しており、前記端末装置は、前記通信プログラムを用いて入力された音声に基づいて設定情報を作成し、作成した設定情報を無線にて送信する。
【0014】
この第4の発明では、ユーザは音声にて設定情報を入力することができるので、設定情報の入力が非常に容易である。
【0015】
次に、本発明の第5の発明は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明に係る暖房システムであって、前記端末装置は、気象情報を取得可能であり、取得した気象情報に基づいて設定情報を自動的に作成し、作成した設定情報を無線にて送信する。
【0016】
この第5の発明では、気象情報に基づいて、快適な暖房となる設定情報を自動的に作成するので、手間がかからないとともに、過剰な暖房や暖房不足等を適切に回避することができる。
【0017】
次に、本発明の第6の発明は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明に係る暖房システムであって、前記端末装置は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PHSを含む移動通信端末またはコンピュータである。
【0018】
この第6の発明では、近年では多くのユーザに広く普及しているスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PHSを任意の端末装置として利用する。
これらの端末装置は、予め種々の無線送受信手段(例えば3G回線等の通話・インターネット用の無線送受信手段、Wi−Fi(登録商標)用の無線送受信手段、Bluetooth(登録商標)用の無縁送受信手段、赤外線通信用の無線送受信手段)を備えている。それらの無線送受信手段とシステム制御装置とを直接無線で送受信できる構成としているので、ユーザが所有している端末装置をそのまま利用することが可能であり、新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態における暖房システム1Aの構成を説明する図である。
図2】端末装置80とシステム制御装置50Aの処理手順の例を説明するフローチャートである。
図3】第2の実施の形態における暖房システム1Bの構成を説明する図である。
図4】第3の実施の形態における暖房システム1Cの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、図1図3図4において、点線Rにて囲まれた内部は暖房するべき室内RIを示し、点線Rにて囲まれた内部を除いた周囲は屋外ROを示している。
●●[第1の実施の形態における暖房システム1A(図1図2)]
まず図1を用いて、第1の実施の形態の暖房システム1Aにおける全体構成について説明する。
第1の実施の形態の暖房システム1Aは、第1暖房装置10と、第2暖房装置20と、システム制御装置50Aと、を有している。そして暖房システム1Aのコントローラとして、任意の端末装置80を用いる。
第1暖房装置10はいわゆる床暖房装置であり、流体である暖房循環熱媒(例えば温水)を循環させて室内RIの床を暖房可能な装置である。
また第2暖房装置20はいわゆるエアコンであり、温風を用いて室内RIを暖房可能な装置である。
ユーザは任意の端末装置80を操作することで、第1暖房装置の単独作動、第2暖房装置の単独作動、第1暖房装置10と第2暖房装置20の連動作動、の少なくとも1つを指示することが可能である。
なお、第1暖房装置10と第2暖房装置20とを連動させて動作させることで、効率良く室内RIを暖房することが可能であるとともに、ユーザの快適性をより向上させることができる。
【0021】
第1暖房装置10は、室内RIの床に配置されて暖房循環熱媒を用いて放熱する第1放熱体12と、屋外ROに配置されて燃焼により暖房循環熱媒を加熱する燃焼熱源機11(第1熱源機に相当)と、にて構成されている。
燃焼熱源機11は、第1制御手段11Aと、燃焼加熱手段11Bと、熱交換器11Cと、循環ポンプ11Pと、弁11Vと、を有している。
第1制御手段11Aは、内部にCPU等を備えており、第1通信線T1にてシステム制御装置50Aと接続されて、システム制御装置50Aとの間で種々の情報を送受信することができる。第1制御手段11Aは、システム制御装置50Aから受信した設定情報に基づいて、燃焼加熱手段11B、循環ポンプ11P、弁11V等を制御する。
燃焼加熱手段11Bは、第1制御手段11Aからの制御信号に基づいて、燃料配管10Gから供給される燃料(例えば都市ガス)を燃焼させて熱交換器11C内の暖房循環熱媒を加熱する。
循環ポンプ11Pは、第1制御手段11Aからの制御信号に基づいて、戻り配管10Rを介して第1放熱体12から放熱した後の暖房循環熱媒を吸い込むとともに熱交換器11Cに向けて暖房循環熱媒を圧送することで暖房循環熱媒を循環させる。
弁11Vは、第1制御手段11Aからの制御信号に基づいて、加熱した暖房循環熱媒を第1放熱体12に供給する供給配管10Qの開度量を調節し、暖房循環熱媒の供給量を調節する。
また第1放熱体12は、供給配管10Qから供給される暖房循環熱媒を用いて室内RIの床に放熱する。また、放熱後の暖房循環熱媒は、戻り配管10Rから燃焼熱源機11に戻される。
【0022】
第2暖房装置20は、室内RIの壁等に取り付けられて温風を用いて室内RIを暖房可能な第2放熱体22と、屋外ROに配置されてヒートポンプ循環熱媒(例えばCO2やR410A(代替フロン冷媒))を加熱する電気ヒートポンプ21(第2熱源機に相当)と、にて構成されている。
第2放熱体22は、受信手段22Aと、第2制御手段22Bを有しており、供給配管20Qから供給される熱媒を用いて室内RIに温風を出力する。また、放熱後の熱媒は、戻り配管20Rから電気ヒートポンプ21に戻される。なお、第2制御手段22Bは、電気ヒートポンプ21に設けられていてもよい。
第2制御手段22Bは、内部にCPU等を備えており、補助コントローラ50Zから送信される設定情報を、受信手段22Aを介して受信することが可能であり、受信した設定情報に基づいて、第2放熱体22、電気ヒートポンプ21等を制御する。
【0023】
システム制御装置50Aは、第1通信線T1にて第1制御手段11Aと接続されて、第1制御手段11Aとの間で種々の情報を送受信することができる。また、システム制御装置50Aは、第4通信線T4にて補助コントローラ50Zと接続されて、補助コントローラ50Zとの間で種々の情報を送受信することができる。
また、システム制御装置50Aは、所定の通信プログラムと無線送受信手段とを備えた任意の端末装置80から無線にて送信される設定情報を直接的に受信可能な第1受信手段51を備えている。
また、システム制御装置50Aは、情報を無線にて端末装置80に直接的に送信可能な送信手段53を備えている。
補助コントローラ50Zは、端末装置80から無線にて送信される設定情報を直接的に受信可能な第2受信手段52を備えている。また、補助コントローラ50Zは、第4通信線T4を介してシステム制御装置50Aから受信した設定情報を、無線にて受信手段22Aに送信することが可能である。
補助コントローラ50Zに第2受信手段を備えているので、端末装置80の位置がシステム制御装置50Aに無線信号が届かない位置であっても、補助コントローラ50Zに無線信号が届く位置であれば、端末装置80から送信した設定情報を受信させることができるので、便利である。
【0024】
端末装置80は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PHS(Personal Handy−phone System)を含む任意の移動通信端末またはコンピュータ(パーソナルコンピュータ)である。
そして端末装置80は、もともと種々の無線送受信手段を備えている。例えばスマートフォンの場合、3G回線等の通話・インターネット用の無線送受信手段、Wi−Fi(登録商標)用の無線送受信手段、Bluetooth(登録商標)用の無線送受信手段、赤外線通信用の無線送受信手段等を有している。
本発明は、新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要が無く、ユーザが所有している端末装置80がもともと備えている無線送受信手段を利用して、当該端末装置80を暖房システム1Aのコントローラとして利用するものである。
ユーザは、所有している任意の端末装置80(例えばスマートフォン)に、所定の通信プログラム(この場合、暖房システム1Aをコントロールするためのアプリケーションソフト)をダウンロード及びインストールすることで、当該端末装置80を、暖房システム1Aのコントローラとして利用することができる。
なお、端末装置80が備えているいずれの無線送受信手段を利用してもよいが、例えば所定の通信プログラムは、Wi−Fi(登録商標)用の無線送受信手段、またはBluetooth(登録商標)用の無線送受信手段を利用するようにプログラムされている。
なお、端末装置80が、所定の通信プログラムで利用する無線送受信手段を備えていない場合、当該無線送受信手段を備えたアダプタを用意して、当該アダプタを端末装置80に接続して利用するようにしてもよい。例えば、所定の通信プログラムが赤外線通信を利用するプログラムであり、端末装置80が赤外線通信用の無線送受信手段を備えていない場合、赤外線通信用の無線送受信手段を備えたアダプタを端末装置80に接続して利用するようにしてもよい。
【0025】
●[端末装置80とシステム制御装置50Aの処理手順(図2)]
以下、ユーザが端末装置80を用いて暖房システム1Aの動作を指示する際における、端末装置80の処理手順とシステム制御装置50Aの処理手順と、を図2に示すフローチャート、及び図1に示した設定情報画面82A、応答情報画面83Aを用いて説明する。
【0026】
まず端末装置80の処理手順について説明する。
ステップS10にて、端末装置80は、所定の通信プログラムが起動されたか否かを判定する。起動されていない場合(No)はステップS10に戻り、起動された場合(Yes)はステップS20に進む。
ステップS20に進んだ場合、端末装置80は、図1に示すように表示画面81に設定情報画面82A(設定情報入力画面)を表示して入力待ち状態となる。
設定情報画面82Aにおける運転入力部82Bは、床暖房(第1暖房装置)の単独運転を指示する第1入力指示と、エアコン(第2暖房装置)の単独運転を指示する第2入力指示と、床暖房(第1暖房装置)とエアコン(第2暖房装置)の双方を連動させて運転する連動運転を指示する第3入力指示と、の少なくとも1つの指示が入力可能に構成されている。
また設定情報画面82Aにおけるレベル入力部82Cは、暖房レベル(暖房温度または暖房強度に関する情報)を入力可能に構成されている。図1の設定情報画面82Aの例では、1〜5の数字で暖房レベルを設定する例を示しているが、弱・中・強にて設定可能としてもよいし、暖房温度を数字で設定するようにしてもよい。
【0027】
そしてステップS30では、端末装置80は、表示している設定情報画面82Aにおいて、ユーザから運転入力部82Bの入力指示があり、ユーザからレベル入力部82Cの入力があり、ユーザからの送信ボタン82Dの操作の有無を判定する。送信指示がない場合(No)はステップS30に戻ってユーザの入力を待つ。送信指示がある場合(Yes)はステップS40に進む。
ステップS40に進んだ場合、端末装置80は、設定情報画面82Aから入力された指示に基づいて設定情報を作成し、作成した設定情報を無線にてシステム制御装置50Aに送信し、ステップS50に進む。
【0028】
ステップS50では、端末装置80は、システム制御装置50Aからの応答情報を無線にて受信したか否かを判定する。無線で応答情報を受信していない場合(No)はステップS50に戻り、応答情報の受信を待つ。無線で応答情報を受信した場合(Yes)はステップS60に進む。
ステップS60に進んだ場合、端末装置80は、図1に示すように、受信した応答情報に基づいた応答情報画面83Aを、表示画面81に表示する。そしてユーザから応答情報画面83Aの表示を終了する操作が行われると処理を終了する。
なお応答情報は、設定情報を受信したシステム制御装置50Aが、受信した設定情報に基づいて暖房運転をどのような状態に制御したか、をユーザに知らせるものである。
図1の例に示すように、設定情報画面82Aから設定情報を入力して送信したユーザは、応答情報画面83Aを確認することで、自身が入力指示した内容にて暖房運転が開始されたことを知ることができる。
【0029】
次にシステム制御装置50Aの処理手順について説明する。
ステップS110にて、システム制御装置50Aは、端末装置80から設定情報を、システム制御装置50Aの第1受信手段51にて受信したか否かを判定する。設定情報を受信した場合(Yes)はステップS130に進み、設定情報を受信していない場合(No)はステップS120に進む。
ステップS120に進んだ場合、システム制御装置50Aは、端末装置80から設定情報を、補助コントローラ50Zの第2受信手段52にて受信したか否かを判定する。設定情報を受信した場合(Yes)はステップS130に進み、設定情報を受信していない場合(No)はステップS110に戻る。
【0030】
ステップS130に進んだ場合、システム制御装置50Aは、受信した設定情報に基づいて暖房運転の指示または停止の指示を行い、ステップS140に進む。システム制御装置50Aは、設定情報にて例えば第1暖房装置の単独運転が指示された場合、第1通信線T1を介して第1制御手段11Aに単独運転を指示する制御信号を送信する。また例えば第2暖房装置の単独運転が指示された場合、単独運転を指示する制御信号を、第4通信線T4及び補助コントローラ50Zを介して第2制御手段22B(受信手段22A)に送信する。また例えば第1暖房装置と第2暖房装置の連動運転が指示された場合、連動運転を指示する制御信号を、第1通信線T1を介して第1制御手段11Aに送信し、第4通信線T4及び補助コントローラ50Zを介して第2制御手段22B(受信手段22A)に送信する。
そしてステップS140では、システム制御装置50Aは、受信した設定情報に基づいた第1暖房装置及び第2暖房装置の運転状態に関する応答情報を作成し、作成した応答情報を、送信手段53を介して端末装置80に無線にて送信し、処理を終了してステップS110に戻る。
【0031】
以上の説明では、システム制御装置50Aに第1受信手段51、送信手段53を備え、補助コントローラ50Zに第2受信手段52を備えた例を説明した。
しかし、補助コントローラ50Zを省略し、ステップS120を省略してもよい。また、送信手段53を省略し、ステップS140、ステップS50、ステップS60を省略してもよい。
【0032】
以上、第1の実施の形態では、無線送受信手段を有している任意の端末装置80を暖房システム1Aのコントローラとして利用することができるので、専用のコントローラを用意する必要が無く、プロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要も無いので、非常に便利である。
【0033】
●●[第2の実施の形態における暖房システム1B(図3)]
次に図3を用いて、第2の実施の形態の暖房システム1Bについて説明する。
第2の実施の形態の暖房システム1Bは、図1に示す第1の実施の形態の暖房システム1Aに対して、第1コントローラ30及び第2コントローラ40が追加されている点が異なり、他は第1の実施の形態と同じである。
以下、相違点について主に説明する。
【0034】
第1コントローラ30は、第1暖房装置10の単独運転及び第1暖房装置10と第2暖房装置20の連動運転を指示することが可能なコントローラであり、暖房システム1Bの電源のON/OFFスイッチや暖房レベル(暖房温度を含む)設定手段等を備えており、第2通信線T2にてシステム制御装置50Aと接続されている。
第2コントローラ40は、第2暖房装置20の単独運転及び第2暖房装置20と第1暖房装置10の連動運転を指示することが可能なコントローラであり、暖房システム1Bの電源のON/OFFスイッチや暖房レベル(暖房温度を含む)設定手段等を備えている。
【0035】
第1コントローラ30は、ユーザから入力指示された設定情報を、第2通信線T2を介してシステム制御装置50Aに送信する。
システム制御装置50Aは、受信した設定情報が第1暖房装置の単独運転の指示であった場合、第1通信線T1を介して第1制御手段11Aに単独運転を指示する制御信号を送信する。また例えば第1暖房装置と第2暖房装置の連動運転が指示された場合、連動運転を指示する制御信号を、第1通信線T1を介して第1制御手段11Aに送信し、第4通信線T4及び補助コントローラ50Zを介して第2制御手段22B(受信手段22A)に送信する。
第2コントローラ40は、ユーザから入力指示された設定情報を、無線にて第2制御手段22B(受信手段22A)及び補助コントローラ50Zに送信する。
システム制御装置50Aは、補助コントローラ50Z及び第4通信線T4を介して受信した設定情報が第2暖房装置の単独運転の指示であった場合、特に何もしない(第4通信線T4及び補助コントローラ50Zを介して第2制御手段22Bに単独運転を指示する制御信号を送信してもよい)。また例えば第1暖房装置と第2暖房装置の連動運転が指示された場合、連動運転を指示する制御信号を、第1通信線T1を介して第1制御手段11Aに送信し、第4通信線T4及び補助コントローラ50Zを介して第2制御手段22B(受信手段22A)に送信する。
【0036】
なお、システム制御装置50Aは、端末装置80から設定情報を(無線で)受信した場合、受信した設定情報に基づいた運転状態に関する応答情報を作成し、作成した応答情報を端末装置80に(無線で)送信する(図2のステップS110〜ステップS140参照)。
これと同様に、システム制御装置50Aは、第1コントローラ30または第2コントローラ40から設定情報を(有線または無線で)受信した場合、受信した設定情報に基づいた運転状態に関する応答情報を作成し、作成した応答情報を端末装置80に(無線で)送信することもできる。
【0037】
以上、第2の実施の形態の暖房システム1Bでは、第1の実施の形態の暖房システム1Aに対して、第1コントローラ30、第2コントローラ40が追加されているので、端末装置80を有していないユーザの場合や、端末装置80が近くに見つからない場合であっても、第1コントローラ30や第2コントローラ40から暖房運転の指示(設定情報の送信)を行うことができるので、便利である。
なお、第1コントローラ30と第2コントローラ40の少なくとも一方を設けるように構成してもよい。
【0038】
●●[第3の実施の形態における暖房システム1C(図4)]
次に図4を用いて、第3の実施の形態の暖房システム1Cについて説明する。
第3の実施の形態の暖房システム1Cは、図3に示す第2の実施の形態の暖房システム1Bに対して、第1コントローラ30が第3通信線T3にて第1制御手段11Aに接続されている点が異なり、他は第2の実施の形態と同じである。
以下、相違点について主に説明する。
【0039】
第1コントローラ30は、第2の実施の形態と同様に、第1暖房装置10の単独運転及び第1暖房装置10と第2暖房装置20の連動運転を指示することが可能なコントローラであり、暖房システム1Cの電源のON/OFFスイッチや暖房レベル(暖房温度を含む)設定手段等を備えている。なお、第2の実施の形態に対して、第3通信線T3にて第1制御手段11Aと接続されている。
このため、システム制御装置50Aは、第1コントローラ30から送信された設定情報を、第1制御手段11A及び第1通信線T1を介して受信する点が異なるが、他は第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
第2コントローラ40は、第2暖房装置20の単独運転及び第2暖房装置20と第1暖房装置10の連動運転を指示することが可能なコントローラであり、暖房システム1Cの電源のON/OFFスイッチや暖房レベル(暖房温度を含む)設定手段等を備えており、第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0040】
以上、第3の実施の形態の暖房システム1Cでは、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態の暖房システム1Aに対して、第1コントローラ30、第2コントローラ40が追加されているので、端末装置80を有していないユーザの場合や、端末装置80が近くに見つからない場合であっても、第1コントローラ30や第2コントローラ40から暖房運転の指示(設定情報の送信)を行うことができるので、便利である。
なお、第1コントローラ30と第2コントローラ40の少なくとも一方を設けるように構成してもよい。
【0041】
以上、第1〜第3の実施の形態にて説明した暖房システム1A〜1Cでは、ユーザが新たにプロバイダとのインターネット接続契約を結ぶ必要が無く、任意の端末装置80から無線にてコントロールが可能な暖房システムを実現することができる。
なお本実施の形態の説明では、端末装置80から入力する設定情報の例として、図1の設定情報画面82Aから入力する例を説明したが、端末装置80及び所定の通信プログラムに音声認識機能を備えさせ、ユーザからの音声にて設定情報を入力できるように構成することもできる。この場合、設定情報の入力が、非常に容易となる。
また、例えば端末装置80がスマートフォン等である場合、インターネット等から気象情報(天気、気温、湿度等の情報)を取得可能である。そして端末装置80に、取得した気象情報に基づいて快適な暖房運転となる設定情報を自動的に作成させてユーザに送信操作のみを行わせるようにすることや、自動的に作成させた設定情報を自動的に送信させることも、可能である。この場合、過剰な暖房運転や、暖房不足等を適切に回避して、より快適な暖房を期待できる。
【0042】
本発明の暖房システム1A〜1Cは、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、処理等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1A〜1C 暖房システム
10 第1暖房装置
11 燃焼熱源機
11A 第1制御手段
11B 燃焼加熱手段
11C 熱交換器
11P 循環ポンプ
11V 弁
12 第1放熱体
20 第2暖房装置
21 電気ヒートポンプ
22 第2放熱体
22A 受信手段
22B 第2制御手段
30 第1コントローラ
40 第2コントローラ
51 第1受信手段
52 第2受信手段
53 送信手段
50A システム制御装置
50Z 補助コントローラ
80 端末装置
RI 室内
RO 屋外
T1〜T4 第1通信線〜第4通信線

図1
図2
図3
図4