特許第5944239号(P5944239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ HOYA株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000002
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000003
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000004
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000005
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000006
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000007
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000008
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000009
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000010
  • 特許5944239-内視鏡の噴霧アダプタ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944239
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】内視鏡の噴霧アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160621BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A61B1/00 300B
   A61B1/00 332A
   G02B23/24 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-138901(P2012-138901)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-309(P2014-309A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】平山 哲
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−243081(JP,A)
【文献】 特開平01−181839(JP,A)
【文献】 特開2008−295823(JP,A)
【文献】 特開昭61−168328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送気管と送水管とが内視鏡内に配管されて、上記内視鏡外には、上記内視鏡の観察窓に吹き付けるために上記送水管に供給される水が貯留された給水ボトルと、上記給水ボトル内を加圧すると共に上記送気管に供給される加圧空気を送り出すための外部送気ポンプとが配置され、上記給水ボトルから延出する給気管と給水管の先端に設けられた給気給水コネクタが、上記送気管と上記送水管の基端に設けられた給気給水コネクタ受けに着脱自在に接続されて、上記給気管と上記送気管及び上記給水管と上記送水管が各々接続される構成を備えた内視鏡の送気送水装置に対し、上記給気給水コネクタと上記給気給水コネクタ受けとの間に着脱自在に介挿接続される内視鏡の噴霧アダプタであって、
上記給気管内を通って送られてきた加圧空気を、上記給水管と上記送水管との接続部に流入させることにより、上記給水管内を通ってきた水と混合させて上記送水管に送り込むための噴霧用通気路が設けられて、上記観察窓に吹き付けられる水を空気混じりの噴霧状態にすることができることを特徴とする内視鏡の噴霧アダプタ。
【請求項2】
上記噴霧用通気路が、上記給水管と上記送水管とを接続する管の管壁に穿設された孔である請求項1記載の内視鏡の噴霧アダプタ。
【請求項3】
上記噴霧用通気路が、上記給水管と上記送水管とを接続する管の管壁の外面に形成された溝である請求項1記載の内視鏡の噴霧アダプタ。
【請求項4】
上記噴霧用通気路を外部から開閉操作することができる通気路制御手段が設けられている請求項1ないし3のいずれかの項に記載の内視鏡の噴霧アダプタ。
【請求項5】
上記通気路制御手段により、上記噴霧用通気路の最小流路断面積を調整することができる請求項4記載の内視鏡の噴霧アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内視鏡の外部に配置された給水ボトルから延出する給気給水管と内視鏡内に配管された送気送水管との接続部に、任意に介挿接続して送水動作に噴霧機能を付与することができる内視鏡の噴霧アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内において内視鏡の観察窓の表面に粘液や汚物等が付着して、内視鏡観察が妨げられる場合がある。そこで、内視鏡には一般に、観察窓の表面を水で洗い流すための送水機能が備えられており、その水を貯留する給水ボトルが内視鏡の外部に設けられている。
【0003】
また内視鏡には、体腔内の臓器を観察し易いように膨らませたり、観察窓の表面に残った水滴を吹き飛ばしたりするための送気機能が備えられていて、送気装置の動作源として外部送気ポンプが設けられている。
【0004】
そのような外部送気ポンプから送り出される加圧空気は給水ボトル内に送られ、給水ボトル内の貯留水が加圧される。そして、その圧力により給水ボトル内の貯留水が送水管を通って送り出されるようになっており、一つの外部送気ポンプが送水装置の駆動源にもなっている。
【0005】
また、粘液や汚物等が観察窓に強力に付着すると、送水ノズルから水を吹き付けただけでは容易に洗い流すことができない場合がある。そこで、送水管と送気管を途中で合流させて送水管内に加圧空気を混入させ、噴霧状態にして観察窓に吹き付けることで粘液等を洗い流す洗浄力を向上させたものもある(例えば、特許文献1、2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−52621
【特許文献2】特開平3−215241
【特許文献3】特開平9−294715
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
送水管内に加圧空気を水に対し適切な混合比で混入させて、噴霧状態にしたものを観察窓に吹き付けると、観察窓に強力に付着した粘液等でも洗い流すことができる。しかし、噴霧を可能にした従来の装置においては、送水管と送気管を途中で合流させていたので、噴霧動作の後に送気操作がなされた時、合流部より先端寄りの送気管内に残っていた水や合流部付近に残っていた水が観察窓に向かって吹き出されてしまう。
【0008】
そのため、従来のそのような内視鏡においては、術者が噴霧操作をした後で送気操作をした直後に毎回、術者の意に反して観察窓に水滴が吹き付けられて観察の妨げになり、内視鏡操作のリズムが乱されてしまうという問題が生じる。
【0009】
また、「噴霧」の状態では観察窓に付着した粘液等を洗い流す動作に伴って加圧空気が体腔内に送り込まれるので、噴霧操作を長時間行うと、術者が意図していない多量の空気が体腔内に送り込まれて、被検者に苦痛を与えてしまう場合がある。
【0010】
そのようなことがあるため、一般的な内視鏡では、送水操作時に噴霧状態になる機能は採用されておらず、観察窓の表面に向かって水だけが吹き付けられる単純な送水機能しか組み込まれていない。その結果、内視鏡検査を行う被検部に汚れた粘液等が多く存在する場合等には観察窓の汚れを落とすのに手間取り、内視鏡観察を円滑に行えない場合があった。
【0011】
本発明はそのような事情に鑑みてなされたものであり、送水操作時に噴霧状態になる機能が採用されていない一般的な内視鏡であっても、必要に応じて任意に噴霧機能を付与して、観察窓に強力に付着した粘液等を洗い流すことができるようにする内視鏡の噴霧アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の噴霧アダプタは、送気管と送水管とが内視鏡内に配管されて、内視鏡外には、内視鏡の観察窓に吹き付けるために送水管に供給される水が貯留された給水ボトルと、給水ボトル内を加圧すると共に送気管に供給される加圧空気を送り出すための外部送気ポンプとが配置され、給水ボトルから延出する給気管と給水管の先端に設けられた給気給水コネクタが、送気管と送水管の基端に設けられた給気給水コネクタ受けに着脱自在に接続されて、給気管と送気管及び給水管と送水管が各々接続される構成を備えた内視鏡の送気送水装置に対し、給気給水コネクタと給気給水コネクタ受けとの間に着脱自在に介挿接続される内視鏡の噴霧アダプタであって、給気管内を通って送られてきた加圧空気を、給水管と送水管との接続部に流入させることにより、給水管内を通ってきた水と混合させて送水管に送り込むための噴霧用通気路が設けられて、観察窓に吹き付けられる水を空気混じりの噴霧状態にすることができるようにしたものである。
【0013】
なお、噴霧用通気路が、給水管と送水管とを接続する管の管壁に穿設された孔であってもよく、そのようにすることで構成を極めてシンプルにすることができる。或いは、噴霧用通気路が、給水管と送水管とを接続する管の管壁の外面に形成された溝であってもよい。
【0014】
また、噴霧用通気路を外部から開閉操作することができる通気路制御手段が設けられていてもよく、通気路制御手段により、噴霧用通気路の最小流路断面積を調整することができるようにしてもよい。このようにすることにより、噴霧操作による体腔内への過剰送気の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、給水ボトルから延出する給気給水コネクタと内視鏡側の給気給水コネクタ受けとの間に着脱自在に介挿接続される噴霧アダプタに、給気管内を通って送られてきた加圧空気を、給水管と送水管との接続部に流入させることにより、給水管内を通ってきた水と混合させて送水管に送り込むための噴霧用通気路が設けられて、観察窓に吹き付けられる水を空気混じりの噴霧状態にすることができるので、送水操作時に噴霧状態になる機能が採用されていない一般的な内視鏡であっても、噴霧アダプタを取り付けることにより必要に応じて任意に噴霧機能を付与して、観察窓に強力に付着した粘液等を洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施例に係る内視鏡の送気送水装置の全体構成を示す略示図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタ(接続前)の側面断面図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタの図2におけるIII−III断面図である。
図4】本発明の第1の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタの図2におけるIV−IV断面図である。
図5】本発明の第1の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタ(接続後)の側面断面図である。
図6】本発明の第2の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタの側面断面図である。
図7】本発明の第2の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタの図6におけるVII−VII断面図である。
図8】本発明の第3の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタ(単体)の側面断面図である。
図9】本発明の第3の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタ(噴霧状態)の側面断面図である。
図10】本発明の第3の実施例に係る内視鏡の噴霧アダプタ(送水状態)の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施例を説明する。
図1は、内視鏡の送気送水装置の全体構成を略示している。内視鏡1の挿入部2の基端には操作部3が連結されている。その操作部3から延出する連結可撓管4の先端には、図示されていないビデオプロセッサ兼光源装置に接続されるコネクタ部5が設けられている。
【0018】
挿入部2の最先端面7には、観察窓と照明窓が配置されている他、観察窓の表面に向かって空気を吹き付ける送気ノズル8、及び観察窓の表面に向かって水を吹き付ける送水ノズル9等が配置されている。
【0019】
先端が送気ノズル8に接続された送気管11と、送水ノズル9に接続された送水管12とは、共に内視鏡1内に配置されていて、挿入部2内から操作部3内及び連結可撓管4内を通過して、コネクタ部5の側面に配置された給気給水コネクタ受け10に基端が接続されている。
【0020】
23は、内視鏡1の外部に配置された外部送気ポンプである。24は、観察窓の表面を洗い流すための水を貯留する給水ボトルであり、やはり内視鏡1の外部に設けられている。25は、給水ボトル24内の貯留水である。
【0021】
外部送気ポンプ23で加圧されて加圧パイプ26に送り出された加圧空気は、給水ボトル24内に導入され、給水ボトル24内の貯留水25が加圧される。給水ボトル24の上端部からは給気管21が延出し、貯留水25内からは給水管22が延出している。
【0022】
給気管21と給水管22は、図1では二本に分離した状態に図示されているが、実際には給水管22が給気管21内に緩く挿通された二重管構造になっていて、給水管22の外周と給気管21の内周との間の空間が加圧空気の流路になっている。給気管21と給水管22の先端には、内視鏡1の給気給水コネクタ受け10に対し着脱自在に接続される給気給水コネクタ20が取り付けられている。
【0023】
内視鏡1内において、送気管11と送水管12とは全長にわたって互いに交わることなく配置されており、操作部3には、送気管11と送水管12とを各々遮断/開通状態に切り換え操作することができる公知の送気送水操作弁6が配置されている。
【0024】
送気送水操作弁6は、待機状態においては送気管11と送水管12を共に途中で遮断していて、外部送気ポンプ23から給気管21内と送気管11内を通って送られてきた加圧空気が送気送水操作弁6から外部に連続的に放出される。送気送水操作弁6を送気状態にする操作が行われると、送水管12は遮断されたままで、送気管11が開通状態になり、加圧空気が送気ノズル8から放出される。
【0025】
送気送水操作弁6を送水状態にする操作が行われると、送気管11が閉塞されて送水管12が開通状態になる。すると、給水ボトル24内で加圧された水が、給水管22内と送水管12内を通って、送水ノズル9から観察窓の表面に吹き付けられる。
【0026】
ただし本発明においては、図1に示されるように、噴霧アダプタ30が、給気給水コネクタ20と給気給水コネクタ受け10との間に着脱自在に介挿接続できるように設けられている。噴霧アダプタ30が使用されない場合には、給気給水コネクタ20が給気給水コネクタ受け10に直接接続される。
【0027】
そして、噴霧アダプタ30が給気給水コネクタ20と給気給水コネクタ受け10との間に介挿接続されると、給気管21内を通って送られてきた加圧空気が、給水管22と送水管12との接続部内に流入することにより、給水管22を通ってきた水と混合されて送水管12内に送り込まれ、観察窓に吹き付けられる水が空気混じりの噴霧状態になる。
【0028】
図2は、そのような噴霧アダプタ30を示しており、給気給水コネクタ20側の給水接続管20Wと給気給水コネクタ受け10側の給水受管10Wとに各々接続される給水側接続管31と送水側接続管32とが真っ直ぐに連通して配置されていて、その内側の空間が送水路になっている。なお、給水側接続管31と送水側接続管32は本来一つの部品として形成されてよいものであるが、加工上及び組立上等の理由により二つの部品に分けて形成されている。
【0029】
また、給気給水コネクタ20側の給気コネクタ20Aと給気給水コネクタ受け10側のコネクタ受環10Aとに各々接続される給気側コネクタ受環33と送気コネクタ34とが真っ直ぐに連通して配置されている。
【0030】
給気側コネクタ受環33と送気コネクタ34は、給水側接続管31及び送水側接続管32に対して径方向に隙間をあけて配置されていて、給水側接続管31及び送水側接続管32の外周と給気側コネクタ受環33及び送気コネクタ34の内周との間の空間が送気路になっている。
【0031】
III−III断面を図示する図3、及びIV−IV断面を図示する図4に示されるように、給水側接続管31及び送水側接続管32と給気側コネクタ受環33及び送気コネクタ34との間を連結する構成部材には、通気路を確保するために各々複数の通気孔35,36が穿設されている。また、送気コネクタ34の外周面には、内視鏡1側のコネクタ受環10Aに対してクリック係合させるためのCリング37が取り付けられている。
【0032】
そのように構成された噴霧アダプタ30の送水側接続管32の中間部分には、給気管21内を通って送られてきた加圧空気を送水側接続管32内に流入させて、給水管22を通って送られてきた水と混合させるための噴霧用通気孔39が形成されている。この実施例の噴霧用通気孔39は、送水側接続管32の筒状の壁部に軸線に対して垂直に穿設された単純孔である。
【0033】
図5は、噴霧アダプタ30が給気給水コネクタ20と給気給水コネクタ受け10との間に介挿接続された状態を示している。なお、各部材の断面のうち噴霧アダプタ30において送気路及び送水路を形成する部材の断面にのみ斜線を付してある。
【0034】
このように噴霧アダプタ30が給気給水コネクタ20と給気給水コネクタ受け10との間に介挿接続されると、給気給水コネクタ20側の給気管21と給気給水コネクタ受け10側の送気管11、及び給気給水コネクタ20側の給水管22と給気給水コネクタ受け10側の送水管12とが、噴霧アダプタ30の各部材を介して各々連通接続された状態になり、各接続部は周囲に対し各々Oリング等により漏れなくシールされた状態になる。
【0035】
具体的には、給気給水コネクタ20の給気コネクタ20Aが噴霧アダプタ30の給気側コネクタ受環33と接続され、給水接続管20Wが給水側接続管31と接続される。また、給気給水コネクタ受け10のコネクタ受環10Aが噴霧アダプタ30の送気コネクタ34と接続され、給水受管10Wが送水側接続管32と接続される。
【0036】
その結果、操作部3に設けられている送気送水操作弁6が送水操作されると、給水ボトル24から送り出された水が、給水管22から噴霧アダプタ30の給水側接続管31及び送水側接続管32を経由して内視鏡1の送水管12に送られる。
【0037】
そして、それと同時に、給気管21内を経由して噴霧アダプタ30に達している加圧空気が、噴霧用通気孔39を通って送水側接続管32内に送り込まれ、給水管22を通って送られてきた水と送水側接続管32内の合流部Mで合流する。
【0038】
送水側接続管32内の水圧は、給水ボトル24内の加圧空気の圧力より、給水管22内での減圧分だけ低下している。したがって、送水側接続管32内の水が噴霧用通気孔39を通って送水側接続管32外の送気路側に押し出されることはない。
【0039】
その結果、送水側接続管32内の合流部Mで合流した加圧空気と水が混合されて送水管12に送られ、送水ノズル9から観察窓に吹き付けられる水が空気混じりの噴霧状態になり、観察窓に粘液等が強力に付着していても、短時間で洗い流すことができる。
【0040】
ただし、送水ノズル9から噴射される水が適切な噴霧状態になるには、噴霧用通気孔39の最小流路断面積Pが噴霧用通気孔39より上流側の給水路(給水管22、給水側接続管31、送水側接続管32)の最小流路断面積Qに対して適切な比率であることが必要である。実験の結果によれば、P/Qが1/20〜1/10の範囲にあることが望ましく、少なくとも、1/40〜1/5の範囲にあることが必要である。
【0041】
また本発明においては、内視鏡1内の送気管11と送水管12とが全長にわたって交わることなく分離して配置されていることにより、送気管11内に送水管12側の水が全く混入しないので、送気送水操作弁6を送水操作した後に送気操作を行ったときには、送気ノズル8から空気だけが噴出され、術者の内視鏡操作のリズムが乱されない。
【0042】
このようにして、本発明においては、送水操作時に噴霧状態になる機能が採用されていない一般的な内視鏡であっても、必要に応じて付加的に噴霧アダプタ30を取り付けるだけで噴霧機能を付与し、観察窓に強力に付着した粘液等を洗い流すことができる。
【0043】
図6は、本発明の第2の実施例の噴霧アダプタ130が給気給水コネクタ20と接続された状態を示している。なお、噴霧アダプタ130の給水側接続管31の断面のみに斜線が付されている。
【0044】
この実施例では、第1の実施例の噴霧用通気孔39に代えて、給水側接続管31の外周面に軸線と平行方向に噴霧用通気溝139(噴霧用通気路)が形成されている。送水側接続管32の壁部に孔の類は形成されていない。その他の構成は第1の実施例と同じであり、その説明は省略する。
【0045】
噴霧用通気溝139は、VII−VII断面を図示する図7にも示されるように、給水側接続管31の外周面の給水接続管20W内に差し込み接続される部分に、給水側接続管31の上流側端部に至る範囲まで形成されている。
【0046】
その結果、操作部3の送気送水操作弁6が送水操作をされると、給気管21内を送られてきた加圧空気が、噴霧用通気溝139を通って給水接続管20W内に送り込まれ、給水ボトル24から送り出されて給気給水コネクタ20の給水接続管20Wから給水側接続管31内を通過する水と合流部Mで合流し、送水ノズル9から観察窓に吹き付けられる水が空気混じりの噴霧状態になる。このように、第1の実施例の噴霧用通気孔39に代えて噴霧用通気溝139を形成した場合でも、第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
図8は、本発明の第3の実施例の噴霧アダプタ230を示している。なお、ここでは給水側接続管31とその端部に取り付けられたパッキン40の断面のみに斜線が付されている。
【0048】
この実施例では、給気給水コネクタ20の給水接続管20Wに差し込まれる給水側接続管31の差し込み部が、給水接続管20Wの内径に対して噴霧用通気路を形成するのに適当な隙間が生じる程度に細く形成されて、その突端部に弾力性のあるパッキン40が取り付けられている。
【0049】
また、給気側コネクタ受環33と送気コネクタ34とが、相対的に螺動自在にねじ係合部41で螺合している。その結果、給気側コネクタ受環33と送気コネクタ34とは、相対的に軸線周り方向に回転させることにより、相対的に軸線方向に移動して、送気コネクタ34側に支持されている給水側接続管31とその先端のパッキン40の位置が、給気側コネクタ受環33に対して軸線方向に移動する。
【0050】
図9図10は、給気給水コネクタ20と噴霧アダプタ230が接続された状態を示している。図9に示されるように、パッキン40が給水接続管20Wの内壁面から離れた状態で操作部3の送気送水操作弁6が送水操作をされると、第2の実施例と同様にして、給水ボトル24から送り出されて給気給水コネクタ20の給水接続管20Wから給水側接続管31内を通過する水に、加圧空気が給水側接続管31と給水接続管20Wとの間の隙間(噴霧用通気路239)を通って給水接続管20W内の合流部Mで合流し、送水ノズル9から観察窓に吹き付けられる水が空気混じりの噴霧状態になる。
【0051】
そして、給気側コネクタ受環33と送気コネクタ34とを相対的に回転させて、図10に示されるようにパッキン40が給水接続管20Wの内壁面に密着した状態にすると、噴霧用通気路239がパッキン40で閉塞された状態になるので、送水ノズル9から水だけが観察窓に吹き付けられる単純な送水状態になる。
【0052】
また、給気側コネクタ受環33と送気コネクタ34とを軸線周り方向に相対的に適宜に回転させれば、噴霧用通気路239の最小流路断面積が変化することにより、噴霧状態での水に対する加圧空気の混合量が制御され、噴霧の状態を術者が望む所望の状態に調節することができる。
【0053】
このように、パッキン40とねじ係合部41は、噴霧用通気路239を外部から開閉操作することができると共に、噴霧用通気路239の最小流路断面積を調整して噴霧状態を調節することもできる通気路制御手段である。
【0054】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の詳細な説明に具体的には記載されていない各種の実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0055】
1 内視鏡
6 送気送水操作弁
8 送気ノズル
9 送水ノズル
10 給気給水コネクタ受け
11 送気管
12 送水管
20 給気給水コネクタ
21 給気管
22 給水管
23 外部送気ポンプ
24 給水ボトル
30 噴霧アダプタ
31 給水側接続管
32 送水側接続管
33 給気側コネクタ受環
34 送気コネクタ
39 噴霧用通気孔
40 パッキン(通気路制御手段)
41 ねじ係合部(通気路制御手段)
139 噴霧用通気溝
239 噴霧用通気路
M 合流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10