特許第5944241号(P5944241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5944241連想記憶方式を用いて監視対象システムの健全性を監視するための方法、監視システム、及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944241
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】連想記憶方式を用いて監視対象システムの健全性を監視するための方法、監視システム、及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   G06F11/30 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-140711(P2012-140711)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2013-16162(P2013-16162A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2015年5月19日
(31)【優先権主張番号】13/175,390
(32)【優先日】2011年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】サファー−バッシュ, ローバブ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス, パトリック ニール
【審査官】 多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−152721(JP,A)
【文献】 特開2009−182718(JP,A)
【文献】 特開2000−207018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F11/28−11/36
G05B23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象システムの健全性を監視するための監視システムであって、
監視対象システムに関する複数のセンサデータを受け取り、且つ監視対象システムに関するテキストデータを受け取る受信機モジュール、
センサデータ、テキストデータ及び関連付けられた時間値を格納し、且つセンサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを、センサーデータ及びテキストデータに関連付けられた時刻に基づいて確立する連想メモリ、
センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別する動的変化識別モジュール、並びに
状態の動的変化に近いセンサデータにテキストデータが関連付けられるインスタンスを識別することにより、センサデータとテキストデータとを相関させる相関モジュールを備える監視システム。
【請求項2】
関モジュールが、さらに、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを識別する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
連想メモリが、さらに連想メモリに格納されたセンサデータ上にテキストデータを重ねるマルチレベル連想メモリを含む、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
受信機モジュールがさらにフリーテキストを受け取る、請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する解析モジュールをさらに含む、請求項1に記載の監視システム。
【請求項6】
複数の監視対象システムに共通の一コンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する解析モジュールをさらに含む、請求項1に記載の監視システム。
【請求項7】
センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせるレポート生成モジュールをさらに含む、請求項1に記載の監視システム。
【請求項8】
監視対象システムの健全性を監視する方法であって、
監視対象システムに関する複数のセンサデータを受け取ること、
監視対象システムに関するテキストデータを受け取ること、
連想メモリ内にセンサデータ、テキストデータ及び関連付けられた時間値を保存することであって、センサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを、センサーデータ及びテキストデータに関連付けられた時刻に基づいて確立することを含むこと、
センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別すること、並びに
状態の動的変化に近いセンサデータにテキストデータが関連付けられるインスタンスを識別することにより、センサデータとテキストデータとを相関させること
を含む方法。
【請求項9】
テキストデータがセンサデータに関連付けられているインスタンスを識別することが、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連しているインスタンスを識別することを含み、且つ連想メモリにセンサデータとテキストデータとを格納することが、連想メモリに格納されたセンサデータ上にテキストデータを重ねることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析すること、
複数の監視対象システムに共通の一コンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析すること、並びに
センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、監視対象システムの健全性の監視技術に関し、具体的には、連想記憶方式を用いて監視対象システムの健全性を監視するための方法、監視システム、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
システムとそれを構成するサブシステムの健全性とを評価するために、様々なシステム、例えば、ビークル、風車、エンジンなどのプラットフォームが監視されている。例えば、プラットフォームに関連して、健全性の監視により、プラットフォームは、新規、使用可能、劣化、要修理、修理済みなどの任意の数の所定の状態の一つに分類される。健全性監視は、収集された情報を使用して問題を診断することによりプラットフォームの修理を促進するという診断目的を含め、様々な理由のために実行される。加えて、健全性監視は、問題が大きくなって故障又はその他の重大な問題を引き起こす前に潜在的な問題を特定するという予測目的で実行され、それにより問題の発生を防ぐように、及び/又は整備作業が規則的にスケジューリングされるように、プラットフォームを維持する。
【0003】
プラットフォームの健全性を監視する間に、プラットフォームとその動作とに関する様々なデータが回収される。これに関して、様々な種類のセンサからセンサデータを回収して評価することができる。加えて、例えば整備作業に関して整備士により、プラットフォームに関するテキストデータが提供される。このテキストデータは、形態管理レポート、工学的検討レポート、環境条件、以前の健全性評価、ライフサイクル管理指示、整備行動報告、ミッション報告、部品番号、部品名、及び部品機能の説明、業務公報、仕様及び要件、ソフトウェア機能マッピング、及び/又は供給業者データを含む様々な様式で提供される。
【0004】
プラットフォームの健全性は、統計的解析、センサ信号処理、及び規則に基づくシステムを含む様々な技術により解析される。プラットフォームの健全性監視の間に収集されたデータの統計的解析は、データサンプルを低減し、これらのサンプルを、同プラットフォームを概念的に特徴づける比較的少数の統計的パラメータの組に変換する。統計的推定は、大量のサンプルに基づいているが、このようなサンプルが利用可能なことはあまりない。定義として、統計に基づく技術により、プラットフォームの健全性の解析中に考慮される情報の量は、プラットフォームを特徴づけるのに十分と考えられるもっと管理し易いパラメータの組に減少する。しかしながら、分散分析(ANOVA)のような純粋な統計的解決法は、演算可能な範囲に達する前に検査できる変数の数に関して限界を有している。加えて、統計的解決法は、数値データをテキストデータと相関させることができないので、概ねテキストデータを無関係とみなし、プラットフォームの健全性の統計的分析の間にテキストデータを考慮しない。
【0005】
センサ信号処理に基づくシステムに関し、振動センサのような単一のセンサのフィーチャを抽出し、次いで所定の閾値と比較することにより、プラットフォームの故障又はその他の問題を特定することができる。しかしながら、同じ条件に応答してセンサが供給する信号はプラットフォームによって異なることがあり、このことは、故障の兆候がシステムによって異なって伝播することと併せ、状況によってはセンサ信号処理技術の信頼性がいくらか低下する要因となっている。したがって、整備行動を起こすためにセンサ信号処理システムを直接利用することができない。その代わり、センサ信号処理システムを、オイル介在物監視センサのような他の種類のセンサの出力と合成することにより、故障又はその他の問題の検出率を向上させることができる。他の種類のセンサの出力に連結することによりセンサ信号処理システムの性能を向上させることができるとはいえ、センサ信号処理システムは、作業荷重及び振動特性に依然として感受性であり、これによりこのようなセンサ信号処理システムの性能に望ましくない変化が生じる可能性がある。
【0006】
さらに、規則に基づくシステムは、対象事項の専門家の知識をソフトウェアに基づくシステムに全体的にエンコードする規則を含んでいる。したがって、特定の分野に少なくとも一人の対象事項の専門家がいなくてはならず、複数の専門家が存在する場合、これらの専門家は規則の組について合意し、同じ規則に従わなくてはならない。このような規則に基づくシステムが基礎とする専門家は、また、この分野の分類を明らかにして、この分類についての説明を明らかにすることに全体として同意しなければならず、分類法の変更を受け入れる規則に常に適応しなければならない。プラットフォームの健全性を監視するために規則に基づくシステムを適用するうえで、適切な規則を特定するためには、このプラットフォーム及びそのサブシステムの物理特性が判明していなければならない。しかしながら、プラットフォーム及びそのサブシステムの力学は、時に複雑及び/又は不明であり、それにより規則に基づくシステムをプラットフォームの健全性監視に適用することは非常に困難である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、監視対象システムの健全性を監視するための、改良された監視システム、方法、及びコンピュータプログラム製品が提供される。一実施形態の監視システム、方法、及びコンピュータプログラム製品は、連想記憶方式を利用してセンサデータとテキストデータとの関係を決定するうえで、センサデータとテキストデータの両方を考慮する。センサデータとテキストデータの両方を含め、ロバスト性の高いデータの組を考慮することにより、一実施形態の方法とコンピュータプログラムとは、監視対象システムの健全性の監視方式の信頼性及び総合性を高めることができる。
【0008】
一実施形態では、監視対象システムの健全性を監視するための監視システムが提供され、このシステムは、監視対象システムに関連する複数のセンサデータを受け取り、且つ監視対象システムに関連するフリーテキストなどのテキストデータを受け取る受信モジュールを含む。この実施形態の監視システムは、センサデータ及びテキストデータの格納及び処理を行ってセンサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを確立する連想メモリも含む。さらに、監視システムは、センサデータによって状態の動的変化が示されたインスタンスを識別する動的変化識別モジュールと、状態の動的変化に近いセンサデータにテキストデータが関連付けられるインスタンスを識別することにより、センサデータとテキストデータとを相関させる相関モジュールとを含む。
【0009】
センサデータ及びテキストデータは対応する時刻に関連付けられる。このように、相関モジュールは、さらに、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを識別する。連想メモリは、さらに連想メモリに格納されたセンサデータ上にテキストデータを重ねるマルチレベル連想メモリを含むことができる。一実施形態の監視システムは、監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する解析モジュールを含んでもよい。これに加えて、又は代えて、監視システムは、複数の監視対象システムに共通する一のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する解析モジュールを含んでもよい。一実施形態の監視システムは、センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせるレポート生成モジュールを含んでもよい。
【0010】
別の実施形態では、監視対象システムの健全性を監視する方法が提供され、この方法は、監視対象システムに関連する複数のセンサデータを受け取ること、監視対象システムに関連するフリーテキストのようなテキストデータを受け取ること、並びにセンサデータとテキストデータとを連想メモリに格納することを含む。これに関して、連想メモリ内にセンサデータ及びテキストデータを格納することにより、センサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けが確立される。また、本実施形態の方法は、センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別し、且つ状態の動的変化に近いセンサデータにテキストデータが関連付けられるインスタンスを識別することにより、センサデータとテキストデータとを相関させる。
【0011】
テキストデータがセンサデータに関連付けられるインスタンスを識別することが、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを識別することを含むように、センサデータとテキストデータとは、対応する時間に関連付けることができる。一実施形態では、連想メモリにセンサデータとテキストデータとを格納することが、連想メモリ内に格納されたセンサデータにテキストデータを重ねることを含む。また、本方法は、監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析し、及び/又は複数の監視対象システムに共通の一コンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの関連を解析する。一実施形態の方法は、センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせることもできる。
【0012】
さらなる実施形態では、監視対象システムの健全性を監視するための、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体が提供される。この媒体は、コンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分を内部に格納しており、このコンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分は、プロセッサにより実行されると、装置に、監視対象システムに関する複数のセンサデータを受け取らせ、監視対象システムに関するフリーテキストなどのテキストデータを受け取らせ、且つ連想メモリ内にセンサデータとテキストデータとを格納することにより、センサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを確立させる。これに関して、連想メモリ内に格納されたセンサデータ上にテキストデータを重ねることができる。コンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分は、さらに、装置に、センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別させ、及び状態の動的変化に近いセンサデータにテキストデータが関連付けられるインスタンスを識別させることにより、センサデータとテキストデータを相関させる。
【0013】
テキストデータがセンサデータに関連付けられるインスタンスを装置に識別させるコンピュータで読み取り可能ナプログラムコード部分が、さらに、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを装置に識別させるように、センサデータとテキストデータとを、それぞれ対応する時刻に関連付けることができる。一実施形態では、コンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分は、プロセッサにより実行されると、さらに、監視対象システムの複数のコンポーネントに関するセンサデータとテキストデータとの相関を装置に解析させる。これに加えて、又は代えて、コンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分は、プロセッサにより実行されると、さらに、複数の監視対象システムに共通の一のコンポーネントに関するセンサデータとテキストデータとの相関を装置に解析させる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、センサデータ及びテキストデータの両方を相関させて考慮することにより監視対象システムの健全性監視のロバスト性を高めるための、監視システム、方法、及びコンピュータプログラム製品が提供される。しかしながら、上述のフィーチャ、機能、及び利点は、単独で達成することができ、本発明の種々の実施形態は、他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態の詳細は、詳細な説明及び図面を参照して見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
上述では本発明の例示的実施形態を一般的な用語で説明したが、後述では添付図面を参照する。これらの図面は、必ずしも正確な縮尺で描かれていない。
【0016】
図1】本発明の一実施形態による、監視対象システムの健全性を監視する監視システムのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による、監視対象システムの健全性を監視するために実行される工程を示すフロー図である。
図3】本発明の一実施形態によって相互に関連付けたセンサデータとテキストデータとを示すグラフである。
図4】本発明の一実施形態による連想メモリにより識別される関連キーワード及び関連エンティティと共に、センサデータと、相互に関連付けられたテキストデータとを示すグラフである。
図5】本発明の一実施形態により決定された、4つの異なるプラットフォームの各々に搭載された任意の数の同期軸の各々の複数のコンポーネントの各々に関するセンサデータに基づいて検出された状態の動的変化を示すグラフである。
図6】本発明の一実施形態による、複数のプラットフォームの複数のコンポーネントの状態の動的変化を示すグラフであり、状態の動的変化が、プラットフォームの健全性の監視により決定した場合、改善又は劣化のどちらであるかを示唆している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述では、添付図面を参照して本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。添付図面にはすべての実施形態が示されているわけではない。実際、これらの実施形態は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に示された実施形態に限定されるものではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示内容が、適用される法的要件を満足させるように提供されている。全体を通して、同様の参照番号は類似の要素を示している。
【0018】
本発明の例示的実施形態により、センサデータとテキストデータの両方を相関させて考慮することにより監視対象システムの健全性を監視するための監視システム、方法、及びコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を提供する。プラットフォームの健全性、及び場合によってはプラットフォームに搭載されたサブシステムの健全性を評価するために、様々な監視対象システムを監視することができる。例えば、監視対象システムは、ビークル、風車、エンジンといったプラットフォームとすることができ、したがって、監視システム、方法、及びコンピュータで読み取り可能な記憶媒体について、例示を目的としてプラットフォームの健全性の監視という観点から説明するが、これに限定されるものではない。しかしながら、監視対象システムは他の形態をとることができ、例えば、人のような物理系とすることができるので、監視システム、方法、及びコンピュータプログラム製品は、ヘルスケアなど、後述する分野以外にも等しく適用可能である。加えて、監視対象システムの健全性には、その機能性及び/又は動作状態に関する様々な指標が含まれる。
【0019】
後述のように、本発明の例示的実施形態の監視システムは、本明細書に記載される各工程を実行する任意の数のモジュールを含むか、又はそのようなモジュールと通信することができる。別々のモジュールとして示されているが、複数のモジュールによって実行される工程をまとめて、代わりに単一のモジュールにより実行することもできる。また、一のモジュールによって実行される工程を分けて、代わりに複数のモジュールによって実行してもよい。
【0020】
一のモジュールは、本発明の例示的実施形態の様々な機能性を実施する様々な手段として具現化することができる。例えば、一のモジュールは、任意で、一又は複数のプロセッサ、メモリ素子、入出力(I/O)インターフェース、通信インターフェース、及び/又はユーザインターフェースを含む。プロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、コプロセッサ、コントローラ、特殊目的集積回路、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)、或いは、ハードウェア加速器、処理回路又はその他類似のハードウェアを含む。例示的な一実施形態によれば、プロセッサは、独立して動作する又は協働する複数のプロセッサ、或いは一又は複数のマルチコアプロセッサとすることができる。マルチコアプロセッサは、単一の物理的パッケージ内での多重処理を可能にする。さらに、プロセッサは、複数のトランジスタ、ロジックゲート、クロック(例えば、オシレータ)、その他の回路などから構成されて、本明細書に記載される機能性の実行を助ける。プロセッサは、一又は複数の付属のデジタル信号プロセッサ(DSP)を含むことができるが、含まなくともよい。DSPは、例えば、プロセッサから独立して、実時間で実世界信号を処理することができる。同様に、付属ASICは、例えば、汎用プロセッサでは容易に実行できない特殊な機能を実行することができる。幾つかの例示的な実施形態では、プロセッサは、記憶装置に格納された命令又はそれ以外の方法でプロセッサにアクセスする命令を実行する。プロセッサは、モジュールに、本明細書に記載されている様々な機能性を実行させるように動作するように、特に構成できる。
【0021】
ハードウェア単体として構成されたものであれ、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体上に格納された命令を介するものであれ、それらの組み合わせによるものであれ、プロセッサは、しかるべく構成されて、本発明の実施形態によるモジュールを具現化しているか、又はそうでない場合もそのようなモジュールの工程を実行するように構成されている装置である。したがって、プロセッサが、ASIC、FPGAなどとして具現化されているか、又はその一部である例示的実施形態では、モジュールは、本明細書に記載の工程を実行するように特に構成されたハードウェアである。別の構成として、プロセッサがコンピュータで読み取り可能な記憶媒体上に格納された命令の実行者として具現化されている例示的実施形態では、これらの命令により、モジュールが、本明細書に記載のアルゴリズムと工程とを実行するように特に構成される。
【0022】
モジュールのメモリ素子は、揮発性及び/又は非揮発性のメモリを含みうる、一又は複数のコンピュータ読み取り可能な固定媒体とすることができる。幾つかの例示的実施形態では、メモリ素子は、動的及び/又は静的RAMを含むランダムアクセスメモリ(RAM)、オンチップ又はオフチップのキャッシュメモリなどを含む。さらに、メモリ素子は、組み込み式の及び/又は取り外し可能な非揮発性メモリを含むことができ、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスクドライブ、磁気テープなど)、光ディスクドライブ及び/又は媒体、非揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)などを含みうる。記憶装置は、データを一時的に格納するためのキャッシュ領域を含むことができる。これに関して、メモリ素子の少なくとも一部又は全部をモジュールのプロセッサ内に含めることができる。
【0023】
さらに、モジュールのメモリ素子は、情報、データ、アプリケーション、コンピュータで読み取り可能なプログラムコード命令などを格納することができ、これにより、モジュールは、本明細書に記載される本発明の例示的実施形態による様々な機能を実行することができる。例えば、メモリ素子は、モジュールのプロセッサによって処理するために、入力データをバファリングすることができる。これに加えて、又は代えて、メモリ素子は、プロセッサによって実行される命令を格納することができる。
【0024】
モジュールのI/Oインターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせに組み込まれて、モジュールのプロセッサを他の回路又はデバイスに結合する何らかのデバイス、回路、又は手段、例えばモジュールの通信インターフェース、及び/又はユーザインターフェスとすることができる。幾つかの例示的実施形態では、プロセッサはI/Oインターフェスを介してメモリ素子と結合する。I/Oインターフェースは、信号及びデータを、プロセッサが理解できる形態に変換することができる。I/Oインターフェースは、入力と出力とのバファリングを行なうことによりプロセッサの動作をサポートすることもできる。幾つかの例示的実施形態によれば、プロセッサ及びI/Oインターフェースは、本発明の例示的な一実施形態の様々な機能性を実行するか、又はモジュールに実行させる単一のチップ又は集積回路上に組み込むことができる。
【0025】
モジュールの通信インターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせに組み込まれて、各モジュールと通信する一又は複数のネットワーク及び/又はいずれかの他のデバイス又はモジュールとのデータの送受信を行う何らかのデバイス、又は手段とすることができる。通信インターフェースは、任意の数の有線又は無線通信規格のいずれかにより通信を行うことができる。モジュールのプロセッサは、例えば、通信インターフェース内に含まれるハードウェアを制御することにより、通信インターフェースを介した通信を助けることもできる。これに関して、通信インターフェースは、例えば、一又は複数のアンテナ、一の送信機、一の受信機、一のトランシーバ、及び/又は例えば通信を可能にするプロセッサを含む支援ハードウェアを含むことができる。一実施例のモジュールは、通信インターフェースを介して他の様々なネットワーク要素と、デバイストゥデバイス(device−to−device)様式で、及び/又は間接通信により、通信することができる。
【0026】
モジュールのユーザインターフェースは、モジュールのプロセッサと通信することにより、ユーザインターフェースを介してユーザ入力を受け取り、及び/又は、例えば、音響的、視覚的、機械的、又はその他出力形式の指標としてユーザに出力を提示することができる。ユーザインターフェースは、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)、マイクロフォン、スピーカ、又はその他の入出力機構を含む。さらに、プロセッサは、ユーザインターフェースの一又は複数の要素の少なくとも幾つかの機能を制御するように構成されたユーザインターフェース回路を含むか、又はそのようなユーザインターフェース回路と通信することができる。プロセッサ及び/又はユーザインターフェース回路は、プロセッサにアクセス可能なメモリ(例えば、モジュールのメモリ素子)上に格納されているコンピュータプログラム命令(例えば、ソフトウェア及び/又はファームウェア)により、ユーザインターフェースの一又は複数の要素の一又は複数の機能を制御することができる。幾つかの例示的な実施形態では、ユーザインターフェース回路は、ディスプレイの使用によりモジュールの少なくとも幾つかの機能のユーザ制御を助け、且つユーザ入力に応答するように構成される。プロセッサは、また、モジュールの少なくとも幾つかの機能のユーザ制御を容易にするユーザインターフェースの少なくとも一部、ディスプレイ、及びディスプレイ回路を含むか、或いはそれらと通信することができる。
【実施例】
【0027】
図1に示すように、監視システムは受信機モジュール10を含み、受信機モジュールは、上述のように、プラットフォームの健全性、及び/又はプラットフォームに搭載された一又は複数のサブシステムの健全性に関連するデータをプラットフォームから受信するように特に構成されたI/Oインターフェース、通信インターフェース、メモリ、及び/又はプロセッサを含む。受信機モジュール10は、複数のフォーマットを有する複数のソースから様々なデータを受信することができる。図2の工程30に示すように、例えば、受信機モジュール10は、プラットフォームに搭載された一又は複数のセンサからセンサデータを受信する。センサデータは、振動センサ、温度センサ、気流センサ、電流センサなどの様々なセンサによって供給され、同様にプラットフォーム及び/又はプラットフォームに搭載されたサブシステムの任意の数の異なるパラメータを表わすか、又は特徴づける。また、受信機モジュール10は、対応する時間値がセンサデータに供給されない場合、時間値(例えば、受信時刻)をセンサデータと関連付ける。
【0028】
図2の工程32に示すように、受信機モジュール10は、プラットフォームに関連するテキストデータ(例えば、フリーテキスト)も受信する。テキストデータは様々な目的で入力される。例えば、整備士は、プラットフォームに対して行われた修理又はその他の改修を説明するテキストデータを入力することができる。テキストデータは、通常、修理又はその他の改修が行われたコンポーネントなど、テキストデータが関連するコンポーネントの指標、及びテキストデータが入力された時刻、及び/又はコンポーネントの修理又は改修が行われた時刻とともに、受信機モジュール10によって受信される。しかしながら、テキストデータが関連付けられた時間値を含まない場合、受信機モジュール10は、受信機モジュールによってテキストデータが受信された時刻といった時間値と、テキストデータとを、再度関連付けることができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、監視システムは連想メモリ12を含む。連想メモリ12はデータ記憶装置であり、この装置では、名称、アドレス、又は相対位置ではなくその情報センターによって位置が識別されて、そこからデータが取り出される。一実施形態では、連想メモリ12は多層連想メモリである。受信機モジュール10は、プラットフォームの健全性に関して受信されたデータを連想メモリ12に供給することができる。これに関して、受信機モジュール10は、センサデータを、関連付けられた時間情報とともに連想メモリ12に供給し、そこに格納する。図2の工程34を参照されたい。受信機モジュール10は、また、プラットフォームから受信したプラットフォームの健全性を示すテキストデータを連想メモリ12に供給し、連想メモリによって格納されているセンサデータ上に重ねることができる。その結果、連想メモリ12は、テキストデータの少なくとも一部をセンサデータの少なくとも一部と関連付けることができる。図2の工程36を参照されたい。センサデータとテキストデータとは様々な方式で関連付けることができるが、一実施形態の連想メモリ12は、センサデータとテキストデータとを、センサデータ及びテキストデータに関連付けられた時刻に基づいて時間的に関連付けることができる。これについては後述する。これに加えて、或いはこれに代えて、連想メモリは、センサデータとテキストデータとを、センサデータ又はテキストデータが関連するプラットフォームのコンポーネントに基づいて関連付けることができる。
【0030】
監視システムは、また、動的変化識別モジュール14を含むことができ、このモジュール14は、例えば、上述のようなプロセッサを含むことができる。図2の工程38に示すように、動的変化識別モジュール14は、センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別することができる。状態の動的変化は様々に定義づけることができるが、一実施形態では、これは、典型的には所定の時間的閾値未満の時間間隔における、一又は複数のセンサのセンサデータの、少なくとも所定の量にわたる変化として定義される。例えば、振動センサのセンサデータは100を上回り、時間の経過に伴い漸進的に上昇するが、5分未満のスパンで生じる降下により20未満まで急激に降下することがある。状態の動的変化の閾値が、10分以内に生じる少なくとも50%の変化(例えば減少)である場合、振動センサからのデータのこのような変化は動的変化識別モジュール14によって状態の動的変化として識別される。
【0031】
監視システムは、状態の動的変化に近いセンサデータにテキストデータが関連付けられるインスタンスを識別するように特に構成されたプロセッサを備えた相関モジュール16も含むことができる。図2の工程40を参照されたい。例えば、相関モジュール16は、センサデータとテキストデータの両方が同じプラットフォームコンポーネントに関連している結果として、状態の動的変化を呈したセンサデータにテキストデータを関連付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、相関モジュール16は、センサデータとテキストデータとを関連付けるために、センサデータとテキストデータとの間に追加的関係が満足されることを必要とする。これに関して、相関モジュール16は、状態の動的変化を呈したセンサデータにテキストデータを関連付けるためには、センサデータが状態の動的変化を呈した時刻にテキストデータが時間的に近似することを必要とするように構成することができる。 例えば、相関モジュール16は、状態の動的変化を呈したセンサデータにテキストデータを関連付けるためには、テキストデータが、センサデータが状態の動的変化を呈した時刻から所定の時間間隔内にある時間値を有することが必要であるように構成することができる。テキストデータと、センサデータによって表される状態の動的変化との間に時間的近似を必要とすることで、相関モジュール16は、同じイベント(例えば、テキストデータが、センサデータの状態に動的変化を引き起こした作業に関連し、且つこの作業を説明できるインスタンス)に関連するテキストデータとセンサデータが表わす状態の動的変化とを相関させることができる。例えば、テキストデータは、一のプラットフォームコンポーネントの修理、交換、又はその他の改修に関連付けられた作業を記録する整備士により入力される。整備作業の後で蓄積したセンサデータによりコンポーネントが現在適切に機能していることが示されている一方で、整備作業の前に蓄積したセンサデータはコンポーネントが不適切に機能していることを示していることから、このようなコンポーネントの修理、交換、又はその他の改修が、センサデータに反映される状態の動的変化を生じさせたか、又は少なくともそのような状態の動的変化に寄与したことになる。したがって、センサデータによって提示される状態の動的変化とテキストデータとの相関は、状態の動的変化を説明し、さらには、テキストデータの主題である整備作業のような作業が、意図した効果をコンポーネントに、次いでプラットフォームに、及ぼしたかどうかに関するフィードバックを提供することができる。テキストデータとセンサデータとを相関させることによって、一実施形態の監視システムは、テキストデータとセンサデータの供給源が異なることに起因する分野横断的な相関を提供することもできる。
【0032】
一実施形態の監視システムは解析モジュール18も含み、このモジュール18は、専用プロセッサによって構成される。一実施形態では、解析モジュール18は、プラットフォームの一又は複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する。図2の工程42を参照されたい。このような解析に基づいて、様々なコンポーネントの動作間の相互関係が識別される。例えば、第1のコンポーネントに関連付けられたテキストデータにより記述される当該コンポーネントの修理と、第1のコンポーネントに関連するセンサデータにより反映された状態の動的変化とが、プラットフォームの一又は複数の他のコンポーネントの状態の動的変化と同時に起こる場合がある。この場合、第1のコンポーネントの修理が、第1のコンポーネントの性能を向上させたが、他のコンポーネントの性能を低下させたという仮定が成り立つ。したがって、コンポーネント間の相互関係とそれら各々の性能を決定するために、必要に応じてさらなる試験を行うことができる。
【0033】
これに加えて又は代えて、解析モジュール18は、複数のプラットフォームに共通する一のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析することができる。図2の工程44を参照されたい。これに関して、解析モジュール18は、同じコンポーネントが、例えば複数のプラットフォームの各々に位置するコンポーネントのセンサデータにより反映される状態の動的変化により表される特定の整備作業に対して、常に同じように又は同様に応答するかどうかを決定することができる。複数のプラットフォーム上の同じコンポーネントを解析することにより、単に一のコンポーネントの挙動及び整備作業に対するその応答に基づくのではなく、複数のプラットフォームにわたる複数の同じコンポーネントの挙動と同種の整備作業に対するそれらの応答とに基づくことになるので、特定のコンポーネントの挙動と整備作業に対するその挙動として、信頼性及び真実性の高い仮定を作成することができる。
【0034】
一実施形態では、監視システムは、センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせるレポート生成モジュール20を含む。図2の工程46を参照されたい。レポート生成モジュール20は、プロセッサ、I/Oインターフェース、通信インターフェース、ユーザインターフェスなどから構成することができる。レポート生成モジュール20は、ユーザの興味、プラットフォームの種類などに応じて様々な種類のレポートを生成することができる。グラフなどの複数のレポートを図3〜6に示し、限定ではなく例示を目的として後述で説明する。
【0035】
図3は、例として、回転翼機の同期軸の振動センサデータを表わすグラフを示している。これに関して、グラフの左から右へ延びる曲線は、同期軸上の第3センサ及び第9センサ(図中の番号90及び650で示す)の時間の経過に伴うセンサデータの変化を表している。センサデータに加え、垂直な線は、コンポーネントが除去及び交換された時刻を表している。他の実施形態では、コンポーネントが整備を受けた時刻を表わす垂直な線が加わる。加えて、連想メモリ12などにより、テキストデータがセンサデータに関連付けられる。例として、図3テキストデータは、セルフターニング式減衰動吸振器が除去及び交換されたことを示している。テキストデータをセンサデータと関連付けることにより、整備作業に応答してどのようにセンサデータが変化したかを確認するため、すなわち整備作業の有効性を確認するために、テキストデータに近いセンサデータを閲覧することができる。
【0036】
図4は、回転翼機の同期軸上に搭載された二つの振動センサによって供給されるセンサデータを表わすグラフである。上述と同様に、振動センサは番号92及び796で示されている。加えて、テキストデータは、前方ピッチ連結ボルトのトルクチェックに関する注意書きによって表されるセンサデータに関連付けられている。連想メモリ12によって取り出される連想の少なくとも幾つかを示すために、図4は、ユーザによるさらなる検索又は研究を助けるための、関連エンティティ、関連キーワード、及び検索タームも示している。これに関して、ユーザは、図4の左上に特定された検索ターム(bolts、head、link、pitch、rotor、及びupper)に基づいて、連想メモリ12の検索を行った。この検索に基づいて、部品114r3560−16に関するセンサデータを表示することができる。連想メモリ12によって確立された関連付けの結果、センサデータが表示されているコンポーネントに関連するか、又はそのようなコンポーネントに関連付けられている任意の数の他のエンティティが識別される。図示のように、関連エンティティには、表示されている部品(例えば、部品114r3650−16)に関するセンサデータに関連付けられた日付、同期軸番号、センサ値、部品番号、及び/又は機体番号と、センサデータ又は部品を規定するパラメータ(例えば、データ、識別情報など)が含まれる。図示の実施例では、関連エンティティは、関連部品と、関連日2006 w46(例えば、2006年第46週)、2007 w24、fri nov 17 00:00:00 est 2006などとを含んでいる。関連エンティティのさらなる詳細はグラフの右側に示されており、ここでは、2007 w40(関連日)における同期軸の劣化状態に関する情報が、表示対象である部品と相関している。このような相関は、一のコンポーネントに対する整備、修理、又は交換の作業が他のコンポーネントに対して持つ関連性を証拠付ける。例えば、図4に示される、日付2007 w40に基づく前述の相関は、部品114r3650−16の交換により、回転翼機の後端における同期軸の性能が劣化したことが示されている。
【0037】
加えて、連想メモリ12は、関連エンティティに関連付けられている複数のキーワードを識別し、表示されている部品について関連エンティティがセンサデータにどのように関連付けられているかについての簡単な説明を提供することができる。連想メモリ12は、関連エンティティ及びキーワードを抽出した元のコンテクストを供給する一又は複数の関連リソースを識別することもできる。関連リソースを利用して、ユーザは元のデータソースに戻り、主題の専門家に結果が正確であることを確認することができる。
【0038】
さらに、図5は、4つの異なるプラットフォームの各々に搭載された任意の数の同期軸の各々の複数のコンポーネントの各々に関するセンサデータに基づいて検出された、状態の動的変化を示すグラフである。これに関して、水平軸に沿って部品番号により列挙されたコンポーネントは、同期軸のコンポーネントである。加えて、回転翼機などのプラットフォームは、垂直軸に沿って1.0、2.0、3.0などと識別される複数の同期軸を含むことができる。さらに、異なる色によって異なるプラットフォーム(例えば、回転翼機)を識別することができる。各プラットフォームの各同期軸の各コンポーネントについて、状態の動的変化が検出された場合に円が表示されており、円の大きさは状態の動的変化の大きさを表している。このように、対応するプラットフォームの対応する同期軸の対応するコンポーネントについて、円の大きさは、状態の動的変化に比例している。
【0039】
加えて、図6は、4つの異なるプラットフォーム(例えば、回転翼機)に搭載された同期軸の各々について集められた任意の数の異なるコンポーネントを表わすグラフであり、状態が動的に変化した任意の数のこれらコンポーネントについて、性能の改善と劣化とを示している。これに関して、対応するコンポーネントに関連付けられた円の大きさは、性能が改善又は劣化したコンポーネントの数を反映している(例えば、比例している)。図5の場合、円の色は、対応するコンポーネントを有する特定のプラットフォームを示している。
【0040】
図3〜6のグラフのようなレポートの検討に基づいて、複数の異なるコンポーネントの性能を迅速に評価し、様々な整備作業の効果を、テキストデータとセンサデータとの関連付け、特にセンサデータに反映された状態の動的変化に近いテキストデータとの関連付けに基づいて、客観的に決定することができる。このように、本発明の監視システム、方法、及びコンピュータプログラム製品は、診断、予測、又はその他を目的とする健全性監視のロバスト性を向上させることができる。図1及び2は、例示的実施形態による例示的なシステム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品のブロック図である。ブロック図の各モジュール又はブロック、並びに/或いはブロック図内のモジュール又はブロックの組み合わせは、様々な手段により実施することができる。ブロック図のモジュール又はブロック、ブロック図内のモジュール又はブロックの組み合わせ、或いは本明細書に記載する例示的実施形態のその他の機能性を実施する手段には、ハードウェア、並びに/或いは、一又は複数のコンピュータプログラムコード命令、プログラム命令、又は実行可能なコンピュータ読み取り可能なプログラムコード命令を格納するコンピュータ読み取り可能な固定記憶媒体(伝播信号を記載するコンピュータ読み取り可能な伝送媒体とは対照的な)を含むコンピュータプログラム製品が含まれる。これに関して、図1のモジュール及び図2のブロックの工程及び機能、並びに本明細書に記載されるそれ以外の部分を実行するプログラムコード命令は、例示的装置のメモリ素子に格納されてプロセッサにより実行される。言うまでもなく、任意のそのようなプログラムコード命令を、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータ又はその他のプログラム可能装置(例えば、プロセッサ、メモリ素子など)にローディングして、特定のマシンを作製することができ、この特定のマシンが、ブロック図のモジュール及びブロックに特定される機能の実施手段となる。
【0041】
また、これらのプログラムコード命令はコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納することができ、この記憶媒体は、コンピュータ、プロセッサ、又はその他のプログラム可能装置を特定の方式で機能させることにより特定のマシン又は特定の製造品を生成することができる。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納された命令は製造品を生産することができ、この製造品はブロック図のモジュール又はブロックに特定された機能を実施する手段となる。プログラムコード命令をコンピュータで読み取り可能な記憶媒体から取り出してコンピュータ、プロセッサ、又はその他のプログラム可能装置にローディングすることにより、コンピュータ、プロセッサ、又はその他のプログラム可能装置上で実行される、又はコンピュータ、プロセッサ、又はその他のプログラム可能装置により実行される工程を実行するコンピュータ、プロセッサ、又はその他のプログラム可能装置を構成することができる。プログラムコード命令の取り出し、ローディング、及び実行は、一の命令の取り出し、ローディング、及び実行を一度に行いながら、連続して行われる。幾つかの例示的実施形態では、複数の命令をまとめて取り出し、ローディングし、及び/又は実行しながら、取り出し、ローディング、及び/又は実行が並行して行われる。プログラムコード命令の実行により、コンピュータで実施可能なプロセスが生成され、コンピュータ、プロセッサ、又はその他のプログラム可能装置が実行する命令によってブロック図のモジュール又はブロックに特定される機能を実施する工程が提供される。
【0042】
したがって、ブロック図のモジュール又はブロックの工程に関連付けられた命令をプロセッサが実行すること、或いはブロック図のモジュール又はブロックに関連付けられた命令をコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納することは、特定の機能を実行するための工程の組み合わせを支持する。さらに、ブロック図の一又は複数のモジュール又はブロック、及びブロック図内のモジュール又はブロックの組み合わせは、特定の機能を実行する特殊目的ハードウェアに基づくコンピュータシステム及び/又はプロセッサ、或いは特殊目的ハードウェアとプログラムコード命令との組み合わせによって実施することができる。
【0043】
一実施形態では、監視対象システムの健全性を監視する方法が開示される。監視対象システムに関するセンサデータが、監視対象システムに関するテキストデータと共に受け取られる。テキストデータはフリーテキストとすることができる。連想メモリ内のセンサデータ及びテキストデータを格納するとき、センサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを確立する。センサデータによって状態の動的変化が示される場合、センサデータとテキストデータとの間に相関を作成することができる。本方法は、監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析することを含んでもよい。本方法は、監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析することを含むこともできる。本方法はまた、連想メモリに格納されたセンサデータ上にテキストデータを重ねることを含むことができる。本方法は、センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせることを含むこともできる。
【0044】
本明細書において説明した多数の修正例及び他の実施形態は、上述の説明及び添付図面に提示された教示の恩恵を有する、これらの実施形態が関連する分野の当業者であれば想起するであろう。したがって、実施形態は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正例及び他の実施形態は特許請求の範囲に含まれる。さらに、上述の説明及び添付図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的組み合わせの観点から例示的実施形態を説明しているが、特許請求の範囲から逸脱せずに、別の実施形態によって要素及び/又は機能の異なる組み合わせを提供することができる。これに関して、例えば、要素及び/又は機能の、上述に明記したものとは異なる組み合わせも、特許請求の範囲の一部に提示されるように考慮される。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは、一般的及び説明的な意味でのみ使用されているのであって、限定を目的として使用されているのではない。
【0045】
本出願により、以下の実施形態が開示される。
1.監視対象システムの健全性を監視するための監視システムであって、
監視対象システムに関する複数のセンサデータを受け取り、且つ監視対象システムに関するテキストデータを受け取る受信機モジュール、
センサデータ及びテキストデータを格納し、且つセンサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを確立する連想メモリ、
センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別する動的変化識別モジュール、並びに
テキストデータが状態の動的変化に近いセンサデータに関連付けられることによりセンサデータとテキストデータとが相関しているインスタンスを識別する相関モジュール
を備える監視システム。
【0046】
2.センサデータ及びテキストデータがそれぞれ対応する時刻に関連付けられており、相関モジュールが、さらに、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを識別する、実施形態1に記載の監視システム。
【0047】
3.連想メモリが、さらに連想メモリに格納されたセンサデータ上にテキストデータを重ねるマルチレベル連想メモリを含む、実施形態1に記載の監視システム。
【0048】
4.受信機モジュールがさらにフリーテキストを受け取る、実施形態1に記載の監視システム。
【0049】
5.監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する解析モジュールをさらに備える、実施形態1に記載の監視システム。
【0050】
6.複数の監視対象システムのコンポーネントに共通の一コンポーネントついてセンサデータとテキストデータとの相関を解析する解析モジュールをさらに備える、実施形態1に記載の監視システム。
【0051】
7.センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせるレポート生成モジュールをさらに備える、実施形態1に記載の監視システム。
【0052】
8.監視対象システムの健全性を監視する方法であって、
監視対象システムに関する複数のセンサデータを受け取ること、
監視対象システムに関するテキストデータを受け取ること、
連想メモリ内にセンサデータ及びテキストデータを保存することであって、センサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを確立することを含むこと、
センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別すること、並びに
テキストデータが状態の動的変化に近いセンサデータに関連付けられることによりセンサデータとテキストデータとが相関しているインスタンスを識別すること
を含む方法。
【0053】
9.センサデータ及びテキストデータがそれぞれ対応する時間に関連付けられ、テキストデータがセンサデータに関連付けられるインスタンスを識別することが、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを識別することを含む、実施形態8に記載の方法。
【0054】
10.連想メモリにセンサデータとテキストデータとを格納することが、連想メモリ内に格納されたセンサデータにテキストデータを重ねることを含む、実施形態8に記載の方法。
【0055】
11.テキストデータを受け取ることがフリーテキストを受け取ることを含む、実施形態8に記載の方法。
【0056】
12.監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析することをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0057】
13.複数の監視対象システムに共通の一コンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析することをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0058】
14.センサデータとテキストデータとの相関からレポートを生じさせることをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0059】
15.監視対象システムの健全性を監視するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、中にコンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分を格納しているもので、プロセッサにより実行されると、装置に
監視対象システムに関する複数のセンサデータを受け取らせ、
監視対象システムに関するテキストデータを受け取らせ、
連想メモリ内にセンサデータ及びテキストデータを格納させて、センサデータの少なくとも一部とテキストデータとの関連付けを確立させ、
センサデータによって状態の動的変化が示されるインスタンスを識別させ、且つ
テキストデータが状態の動的変化に近いセンサデータに関連付けられることによりセンサデータとテキストデータとが相関しているインスタンスを識別させる、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0060】
16.センサデータ及びテキストデータがそれぞれ対応する時間に関連付けられており、装置に、テキストデータがセンサデータに関連付けられているインスタンスを識別させることが、テキストデータが状態の動的変化に時間的に関連付けられるインスタンスを識別させることをさらに含む、実施形態15に記載の方法。
【0061】
17.装置に、連想メモリにセンサデータとテキストデータとを格納させることが、連想メモリ内に格納されたセンサデータにテキストデータを重ねさせることをさらに含む、実施形態15に記載の方法。
【0062】
18.装置に、テキストデータを受け取らせることが、フリーテキストを受け取らせることをさらに含む、実施形態15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0063】
19.コンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分が、プロセッサにより実行されると、装置に、さらに監視対象システムの複数のコンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析させる、実施形態15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0064】
20.コンピュータで読み取り可能なプログラムコード部分が、プロセッサにより実行されると、装置に、さらに複数の監視対象システムに共通の一コンポーネントについてセンサデータとテキストデータとの相関を解析させる、実施形態15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6