(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
四価のアルコールがジグリセリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトールからなる群から選択される四価のアルコールであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のコポリマー。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
<1> 本発明のコポリマーの必須構成単位である疎水性モノマーから誘導される構成単位。
本発明のコポリマーは下記一般式(I)又は一般式(II)で表される疎水性モノマーから誘導される構成単位(以下、単に、「構成単位I」または「構成単位II」と呼ぶこともある)の一種または二種以上を必須構成単位として含有する。
一般式(I)
【化7】
(I)
(一般式(I)中R
1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
2,R
3は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Pは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(II)
【化8】
(II)
(一般式(II)中R
4は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
5,R
6,R
7は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数6〜22のアシル基を表す。Qは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
【0012】
ここで、R
1,R
4で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明において、R
1は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0013】
また、R
2,R
3,R
5,R
6,R
7で表される環構造を含まない、分岐を有する炭素数6〜22のアシル基としては、2−メチルペンタノイル基、3−メチルペンタノイル基、4−メチルペンタノイル基、2−エチルブタノイル基、2−エチルブタノイル基、2,2−ジメチルブタノイル基、3,3−ジメチルブタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、4−メチルヘキサノイル基、5−メチルヘキサノイル基、2,2−ジメチルペンタノイル基、4,4−ジメチルペンタノイル基、2−メチルヘプタノイル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンタノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2,2,3−トリメチルペンタノイル基、2−メチルオクタノイル基、3,3,5−トリメチルヘキサノイル基、2−メチルノナノイル基、4−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、4−エチルオクタノイル基、2−エチルオクタノイル基、2−ブチルヘキサノイル基、2−tert−ブチルヘキサノイル基、2,2−ジエチルヘキサノイル基、2,2−ジメチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ネオデカノイル基、7−メチルデカノイル基、2−メチル−2−エチルオクタノイル基、2−メチルウンデカノイル基、10−メチルウンデカノイル基、2,2ジメチルデカノイル基、2−エチルデカノイル基、2−ブチルオクタノイル基、ジエチルオクタノイル基、2−tert−ブチル−2,2,4−トリメチルペンタノイル基、10−メチルドデカノイル基、3−メチルドデカノイル基、4−メチルドデカノイル基、11−メチルドデカノイル基,10−エチルウンデカノイル基、12−メチルトリデカノイル基、2−ブチルデカノイル基、2−ヘキシルオクタノイル基、2−ブチル−2−エチルオクタノイル基、12−メチルテトラデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、2−ブチルドデカノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、16−メチルヘプタデカノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2−ブチルヘキサデカノイル基、2−ヘキシルドデカノイル基、2,4,10,14−テトラメチルペンタノイル基、18−メチルノナデカノイル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカノイル基、19−メチルエイコサノイル基等を例示することができる。
【0014】
上記一般式(I)又は(II)で表される疎水性モノマーの中でも特に好ましいものとして、下記一般式(IV)又は(V)で表される疎水性モノマーが挙げられる。
一般式(IV)
【化9】
(IV)
(一般式(IV)中R
11は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
12,R
13は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数10〜22のアシル基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Sは三価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
一般式(V)
【化10】
(V)
(一般式(V)中R
14は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
15,R
16,R
17は同一でも異なっていてもよく、環構造を含まない、分岐を有する、炭素数10〜22のアシル基、または、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基を表す。Tは四価のアルコールからOH基が脱離した基を表す。)
【0015】
ここで、R
11,R
14で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基等が例示できる。本発明において、R
4,R
7は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0016】
R
12、R
13、R
15、R
16、R
17で表される、環構造を含まない、分岐を有する炭素数10〜22のアシル基としては、2−メチルノナノイル基、4−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、4−エチルオクタノイル基、2−エチルオクタノイル基、2−ブチルヘキサノイル基、2−tert−ブチルヘキサノイル基、2,2−ジエチルヘキサノイル基)、2,2−ジメチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ネオデカノイル基)、7−メチルデカノイル基、2−メチル−2−エチルオクタノイル基、2−メチルウンデカノイル基、10−メチルウンデカノイル基、2,2ジメチルデカノイル基、2−エチルデカノイル基、2−ブチルオクタノイル基、ジエチルオクタノイル基、2−tert−ブチル−2,2,4−トリメチルペンタノイル基、10−メチルドデカノイル基、3−メチルドデカノイル基、4−メチルドデカノイル基、11−メチルドデカノイル基,10−エチルウンデカノイル基、12−メチルトリデカノイル基、2−ブチルデカノイル基、2−ヘキシルオクタノイル基、2−ブチル−2−エチルオクタノイル基、12−メチルテトラデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、2−ブチルドデカノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、16−メチルヘプタデカノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2−ブチルヘキサデカノイル基、2−ヘキシルドデカノイル基、2,4,10,14−テトラメチルペンタノイル基、18−メチルノナデカノイル基、3,7,11,15−テトラ−メチルヘキサデカノイル基、19−メチルエイコサノイル基等を例示することができる。
【0017】
また、R
12、R
13、R
15、R
16、R
17で表される、環構造を含まない、2つ以上の分岐を有する炭素数6〜9のアシル基としては、2,2−ジメチルブタノイル基、3,3−ジメチルブタノイル基、2,2−ジメチルペンタノイル基、4,4−ジメチルペンタノイル基、2,2−ジメチルヘキサノイル基、2,2,3−トリメチルペンタノイル基、3,5,5−トリメチルヘキサノイル基等を例示することができる。
【0018】
P,Sで表される、三価アルコールから誘導される基は、三価アルコールから、OH基が離脱した基であれば特に限定されないが、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンからなる群から選択される三価アルコールから、OH基が離脱した基が好適に例示できる。
【0019】
また、Q,Tで表される、四価アルコールから誘導される基は、四価アルコールから、OH基が離脱した基であれば特に限定されないが、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトールからなる群から選択される四価アルコールから、OH基が離脱した基が好適に例示できる。
【0020】
本発明のコポリマーにおける、構成単位I及び/又は構造単位IIの全構成単位に占める割合は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは、5〜35質量%である。下限以下では、得られるコポリマーが形成する被膜の速乾性、柔軟性及び耐水性が不充分な場合があり好ましくない。また、上限以上では得られるコポリマーの溶解性、特に水への溶解性が著しく低下する場合があり、好ましくない。
【0021】
本発明のコポリマーを構成する、一般式(I)で表される疎水性モノマーは例えば、以下の方法で合成することが可能である。
a)三価アルコールをケタール化する。具体的な合成方法としては、例えば、特開2009−136749号公報の製造例1記載の方法が例示できる。
b)aで合成したケタール化された三価アルコールと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとのエステル交換でケタールの(メタ)アクリル酸エステルを合成し、得られたケタールの(メタ)アクリル酸エステルの脱ケトン反応を行い、三価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成する。具体的な合成方法としては、例えば、特開2004−18389号公報の実施例1記載の方法が例示できる。
c)bで得られた三価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルと所定の分岐構造を有するカルボン酸又はその無水物又はそのクロライドとを反応させ、一般式(II)で表される疎水性モノマーを得る。
【0022】
なお、ケタール化された三価アルコールには市販品も存在するので、かかる市販品を利用し、上記ステップb)及びc)により本発明の三価アルコールのエステルを得ることも可能である。このような市販品としては、(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサラン−4−メタノール、(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサラン−4−メタノール(いずれも、東京化成工業(株)製)が例示できる。 さらに、三価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルにも市販品が存在するので、かかる市販品を利用し、上記ステップc)により本発明の三価アルコールのエステルを得ることも可能である。このような市販品としては、「ブレンマーGLM」(グリセリンモノメタクリレート 日本油脂(株)製)が例示できる。
【0023】
また、 本発明のコポリマーを構成する、一般式(II)で表される疎水性モノマーは、例えば、以下の方法で合成することが可能である。なお、ステップa)及びb)の具体的な方法に関しては、US特許4,405,798、Anne Buyle Padias, H. K. Hall Jr. Macromolecules 15, 217(1982)等に記載されている。
a)四価アルコールの三つのOH基をエステル化しマスキングする。
b)aで合成し化合物と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸クロライドを反応させる。得られたエステルをさらに加水分解し、四価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成する。
c)bで得られた四価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルと所定の分岐構造を有するカルボン酸又はその無水物又はそのクロライドとを反応させ、一般式(III)で表される疎水性モノマーを得る。
【0024】
以下、一般式(I)及び(II)で表される疎水性モノマーの製造例を示す。
<製造例1>グリセリンモノアクリレートの合成
3Lの4つ口フラスコに、R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(東京化成工業(株)製)79.5g、メチルアクリレート258.0g、テトラメトキシチタン3.7gを仕込んだ。そして、反応液を撹拌し、液中に窒素ガスを導入しながら、105〜110℃で2.5時間エステル交換反応を行った。反応終了後、減圧蒸留による分取によりケタールアクリレート1(中間体1)を得た。
【0025】
3L4つ口フラスコに、水90.2g、カチオン交換樹脂RCP160M(三菱化学製)28.4ml、94.2gの中間体1を仕込んだ。そして、反応液を攪拌し、液中に窒素ガスを導入しながら、24℃で27時間ケタールの脱ケトン反応を行った。反応終了後、反応液からカチオン交換樹脂を濾別し、濾別した反応液をヘキサン100mlで6回洗浄して未反応の原料を除いた後、水層に酢酸エチル200mlを加えて生成物を抽出した。そして、この酢酸エチル抽出液を、減圧下(800Pa)、40℃以下で酢酸エチルおよび水を留去し、グリセリルモノアクリレートを得た。
【0026】
<製造例2>トリメチロールプロパンモノアクリレートの合成
工程(1):カルシウム管、冷却管及びディーン−スターク(Dean−Stark)トラップを装着したナス型フラスコに、トリメチロールプロパン145.7g、アセトン300ml、p−トルエンスルホン酸1水和物3g及び石油エーテル300mLを加え、50℃に設定したオイルバス中で加熱還流させた。12時間後、新たに水分が生成しなくなったことを確認した後、反応混合物を室温まで冷却した。次いで、酢酸ナトリウム3gを加え、更に30分間攪拌した後、エバポレータにより石油エーテル及びアセトンを留去した。得られた粗生成物を減圧蒸留することにより、ケタール化されたトリメチロールプロパン(中間体2)を得た。
【0027】
工程(2):3Lの4つ口フラスコに、工程(1)で得た中間体2を104.8g、メチルアクリレート258.0g、テトラメトキシチタン3.7gを仕込んだ。そして、反応液を撹拌し、液中に窒素ガスを導入しながら、105〜110℃で2.5時間エステル交換反応を行った。反応終了後、減圧蒸留による分取により、ケタール化されたトリメチロールプロパンのアクリル酸エステル(中間体3)を得た。
【0028】
工程(3):3L4つ口フラスコに、水90.2g、カチオン交換樹脂RCP160M(三菱化学製)28.4ml、工程(2)で得られた中間体3を115.3g仕込んだ。そして、反応液を攪拌し、液中に窒素ガスを導入しながら、24℃で27時間ケタールの脱ケトン反応を行った。反応終了後、反応液からカチオン交換樹脂を濾別し、濾別した反応液をヘキサン100mlで6回洗浄して未反応の原料を除いた後、水層に酢酸エチル200mlを加えて生成物を抽出した。そして、この酢酸エチル抽出液を、減圧下(800Pa)、40℃以下で酢酸エチルおよび水を留去し、トリメチロールプロパンモノアクリレートを得た。
【0029】
<製造例3>トリメチロールプロパンモノメタクリレートの合成
製造例2におけるトリメチロールプロパン、メチルアクリレート(アクリレート)、工程(1)で得られる中間体の仕込み量、工程(2)で得られる中間体の仕込み量を表1のように変更した以外は製造例2と同様の操作をおこなって、トリメチロールプロパンモノメタクリレートを合成した。三価のアルコール及びその仕込み量、工程(1)で得られる中間体及びその仕込み量、工程(2)で得られる中間体及びその仕込み量について表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
<製造例4>ペンタエリスリトールモノアクリレートの合成
工程(A)攪拌器、冷却器付3Lの4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール34.0g、オルトギ酸トリエチル(シグマ−アルドリッチ社製)37.0g、フタル酸ジオクチル(東京化成工業(株)製)750ml及びパラトルエンスルフォン酸(東京化成工業(株)製)0.1gをとり攪拌混合した。その後、140℃に加熱し、2.5時間反応を行った。反応終了後、減圧蒸留により精製を行って、中間体6を得た。
【0032】
工程(B)攪拌装置を備えた反応容器中で、工程(A)で得た中間体6を29.2g、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン300mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、アクリル酸クロライド東京化成工業(株)製)18.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して中間体7得た。
【0033】
工程(C)攪拌器、冷却器付の容器中で、40.0gの工程(B)で得た中間体7を水300mlに攪拌溶解した。その後、攪拌を続けながら、70℃で6時間反応を行った後、水を蒸発除去し、乾燥を行って、ペンタエリスリトールモノアクリレートを得た。
【0034】
<製造例5〜7>四価アルコールモノ(メタ)アクリレートの合成
製造例4の工程(A)におけるペンタエリスリトール、工程(B)における工程(A)で得られる中間体の仕込み量及びアクリル酸クロライド、工程(C)における工程(B)で得られる中間体の仕込み量を表2のように変更した以外は製造例4と同様の操作をおこなって、四価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルを合成した。四価のアルコール及びその仕込み量、工程(A)で得られる中間体及びその仕込み量、工程(B)で得られる中間体及びその仕込み量、得られるモノ(メタ)アクリル酸エステルについて表2に示す。
【0035】
【表2】
* 1)東京化成工業(株)製
* 2)東京化成工業(株)製
【0036】
<製造例8>一般式(I)で表される疎水性のモノマーの製造例その1
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、16−メチルヘプタデカン酸(シグマ−アルドリッチ社製)28.4g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、16−メチルヘプタデカン酸クロライドを得た。
【0037】
攪拌装置を備えた反応容器中で、グリセリルモノメタクリレート(「ブレンマーGLM」日本油脂(株)製)16.0g、トリエチルアミン30.0gをテトラヒドロフラン300mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、上記で得た16−メチルヘプタデカン酸クロライド60.6gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(VII)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー1)であることが確認された。
一般式(VII)
【化11】
(VII)
【0038】
<製造例9>一般式(II)で表される疎水性モノマーの製造例その1
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、16−メチルヘプタデカン酸(シグマ−アルドリッチ社製)28.4g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、16−メチルヘプタデカン酸クロライドを得た。
【0039】
攪拌装置を備えた反応容器中で、ペンタエリスリトールモノアクリレート(製造例4で得た化合物)19.0g、トリエチルアミン30.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、上記で得た16−メチルヘプタデカン酸クロライド90.9gをテトラヒドロフラン200mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(VIII)で表される本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー2)であることが確認された。
一般式(VIII)
【化12】
(VIII)
【0040】
<製造例10>一般式(I)で表される疎水性のモノマーの製造例その2
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、19−メチルエイコサン酸(シグマ−アルドリッチ社製)32.7g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、19−メチルエイコサン酸クロライドを得た。
【0041】
攪拌装置を備えた反応容器中で、トリメチロールエタンモノメタクリレート(製造例3で得られた化合物)18.8g、トリエチルアミン30.0gをテトラヒドロフラン300mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、上記で得た19−メチルエイコサン酸クロライド69.0gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(IX)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー3)であることが確認された。
一般式(IX)
【化13】
(IX)
【0042】
<製造例11>一般式(I)で表される疎水性のモノマーの製造例その3
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、2,2−ジメチルオクタン酸(シグマ−アルドリッチ社製)17.2g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、2,2−ジメチルオクタン酸クロライドを得た。
【0043】
攪拌装置を備えた反応容器中で、トリメチロールプロパンモノアクリレート(製造例2で得られた化合物)18.8g、トリエチルアミン30.0gをテトラヒドロフラン300mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、上記で得た2,2−ジメチルオクタン酸クロライド38.2gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(X)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー4)であることが確認された。
一般式(X)
【化14】
(X)
【0044】
<製造例12>一般式(I)で表される疎水性のモノマーの製造例その4
攪拌装置を備えた反応容器中で、グリセリルモノアクリレート(製造例1で得た化合物)29.2、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、2−エチルヘキサン酸クロライド(シグマ−アルドリッチ社製)65.1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(XI)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー5)であることが確認された。
一般式(XI)
【化15】
(XI)
【0045】
<製造例13>一般式(II)で表される疎水性モノマーの製造例その2
攪拌装置を備えた反応容器中で、ペンタエリスリトールモノメタクリレート(製造例5で得た化合物)40.8g、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、3,5,5−トリメチルヘキサン酸クロライド(シグマ−アルドリッチ社製)106.0gをテトラヒドロフラン200mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(XII)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー6)であることが確認された。
一般式(XII)
【化16】
(XII)
【0046】
<製造例14>一般式(II)で表される疎水性モノマーの製造例その3
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、2−ブチル−2−エチルオクタン酸(シグマ−アルドリッチ社製)22.8g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、2−ブチル−2−エチルオクタン酸クロライドを得た。
【0047】
攪拌装置を備えた反応容器中で、ジグリセリンモノアクリレート(製造例6で得た化合物)22.0g、トリエチルアミン30.0gをテトラヒドロフラン300mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、上記で得た2−ブチル−2−エチルオクタン酸クロライド74.0gをテトラヒドロフラン200mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(XIII)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー7)であることが確認された。
一般式(XIII)
【化17】
(XIII)
【0048】
<製造例15>一般式(II)で表される疎水性モノマーの製造例その4
攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に、19−メチルエイコサン酸(シグマ−アルドリッチ社製)32.7g及び塩化チオニル35.7g(東京化成工業(株)製)、ベンゼン200mlをとり攪拌混合した。攪拌を続けながら、リフラックスを4時間行った後、減圧蒸留による精製を行って、19−メチルエイコサン酸クロライドを得た。
【0049】
攪拌装置を備えた反応容器中で、エリスリトールモノメタクリレート(製造例7で得られた化合物)19.0g、トリエチルアミン50.0gをテトラヒドロフラン300mlに溶解した。得られた溶液を氷冷、攪拌しながら、上記で得た19−メチルエイコサン酸クロライド103.5gをテトラヒドロフラン200mlに溶解してなる溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、生成した白色沈殿を濾過し、濾液からロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフラン及びトリエチルアミンを除去して生成物を得た。NMR測定により、得られた化合物が、一般式(XIV)で表される、本発明のコポリマーの必須構成単位を誘導する疎水性モノマー(疎水性モノマー8)であることが確認された。
一般式(XIV)
【化18】
(XIV)
【0050】
<2> 本発明のコポリマーの必須構成単位である親水性モノマーから誘導される構成単位。
本発明のコポリマーは重合性カルボン酸、その塩又は下記一般式(III)で表されるモノマーからなる群から選択される親水性モノマーから誘導される構成単位の一種または二種以上を必須構成単位として含有する。
一般式(III)
【化19】
(III)
(一般式(III)中R
8は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
9は水酸基を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R
10は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。nは6〜40の整数を表す。)
【0051】
重合性カルボン酸又はその塩としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等が例示できる。これらの中では、重合性が高いことから、アクリル酸、メタクリル酸及びその塩が特に好ましい。本発明の水溶性コポリマーに重合性のカルボン酸の塩から誘導される構成単位を導入する場合は重合性カルボン酸を予め塩となし、重合反応を行っても良いし、重合反応により、重合性カルボン酸から誘導される構成単位をコポリマーに誘導した後、塩基により中和して塩となしてもよい。
【0052】
一般式(III)においてR
8で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、シクロプロピル基が例示できる。本発明において、R
8は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0053】
また、R
9で表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、1−ヒドロキシ−2−メチルエチレン基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチレン基などが例示できるが、これらのうち、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
【0054】
また、R
10で表される基のうち、炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が例示でき;炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基などが好適に例示でき;炭素数1〜12のアシル基としては、フォルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ラウロイル基などが好適に例示できる。これらのうち、R
5で表される基として好ましくは炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。
【0055】
さらに、一般式(III)におけるnは6〜40の数値範囲であることが重要である。本発明においてnが上記範囲である構成単位IIIをコポリマーに導入することにより、速乾性、柔軟性及び耐水性に優れる被膜を与え、かつ、溶解性、特に水への溶解性に優れるコポリマーを製造することができる。nが6未満の場合は得られるコポリマーの溶解性が著しく低下する場合があり、好ましくない。反対に、nが40より大きすぎるとコポリマーの形成する被膜の速乾性及び耐水性が低下する場合があるので好ましくない。
【0056】
上記一般式(III)で表されるモノマーのうち、R
9がプロピレン基であるモノマーとして具体的には、ポリプロピレングリコール(9)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(13)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(9)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(13)モノメタクリレート等が挙げられる。なお、括弧内の数字はNを表す。これらのポリマーの多くは市販品として入手可能である。これら市販品としては、具体的には、商品名「ブレンマー」AP−400、AP−550、AP−800、PP−500、PP−800(いずれも日本油脂(株)製)等が例示できる。なお、R
4がエチレン基であるモノマーの具体例は後述する。
【0057】
上記一般式(III)で表される親水性モノマーから誘導される構成単位の中でも特に好ましいものとして、下記一般式(VI)で表される親水性モノマーから誘導される構成単位が挙げられる。
一般式(VI)
【化20】
(VI)
(一般式(VI)中R
18は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
19は水素原子、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアシル基を表す。mは6〜40の整数を表す。)
【0058】
このような一般式(III)で表されるモノマーを具体的に例示すれば、ポリエチレングリコール(10)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(8)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(9)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート、オレイロキシポリエチレングリコール(18)メタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(18)アクリレート、ラウロイロキシポリエチレングリコール(10)メタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(30)モノメタクリレート等が挙げられる。なお、括弧内の数字はmの値を示す。
【0059】
なお、一般式(II)において述べたように、一般式(III)においても同様に、速乾性、柔軟性及び耐水性に優れる被膜を与え、かつ、溶解性、特に水への溶解性に優れるコポリマーを製造するためにはmは6〜40の数値範囲であることが重要である。
これら上記の親水性モノマーは、対応するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステルとアクリル酸又はメタクリル酸のクロライド又は無水物とのエステル化反応により高収率で得ることができる。また、既に市販品も多数存在するので、かかる市販品を利用することも可能である。このような市販品としては、具体的に、商品名ブレンマー、AE−400、PE−350、AME−400、PME−400、PME−1000、ALE−800、PSE−1300等(いずれも日本油脂(株)製)等が例示できる。
【0060】
本発明のコポリマーに含まれる親水性のモノマーから誘導される構成単位は1種のみでもよいが、前述の条件を満たすものであれば2種以上の構成単位を組み合わせて含有していてもよい。
【0061】
本発明のコポリマーにおける、親水性のモノマーから誘導される構成単位の全構成単位に占める割合は、30〜95質量%、好ましくは、40〜90質量%である。下限以下では、得られるコポリマーの溶解性が著しく低下する場合があり、好ましくない。コポリマーの溶解性が著しく低下する場合があり、好ましくない。また、上限以上では得られる水溶性コポリマーの速乾性及び耐水性が低下する場合があり好ましくない。
【0062】
<3> 本発明のコポリマーに含まれうるその他の任意の構成単位
本発明のコポリマーは、上記の構成単位I及び構成単位IIから選択される一種又は二種以上の必須構成単位、親水性モノマーから誘導される必須構成単位以外に、通常共重合体で使用されるモノマーから誘導される単位を、発明の効果を損なわない範囲で任意の構成単位として含有することができる。かかる任意の構成単位としては、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸モノアルキルアミド、メタクリル酸モノアルキルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシル、メタクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸の環状アルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等のモノマーから誘導される構成単位が例示できる。これらのモノマーの殆どは市販品として入手可能である。
【0063】
<4>本発明のコポリマー
本発明のコポリマーは、上記構成単位I及び/又は構成単位II及び親水性のモノマーから誘導される必須構成単位、並びに必要に応じて任意の構成単位を、その骨格中に含有する共重合体である。また、本発明のコポリマーは通常はその構成単位がランダムに結合したランダム共重合体であるが、ブロック共重合体又はグラフト共重合体であってもよい。
【0064】
本発明のコポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば各構成単位を誘導するモノマーを溶媒中で混合し、アクリル系モノマーの重合で通常用いられる方法に従って重合反応を行う方法により得ることができる。
【0065】
また、本発明のコポリマーは、活用にあたって、ハンドリングが容易であることから、水溶性であることが好ましい。ここでいう水溶性コポリマーとは25℃において、コポリマーの20質量%水溶液の透過率が90%以上あるコポリマーと定義される。このようなポリマーを得るためには、上記重合方法の中でも前記モノマー混合物を、水溶液と25℃で水と任意の割合で混和する水性溶媒との混合溶媒中で、ラジカル重合する重合方法が特に好ましい。また、重合反応後の残存モノマーの量が少ないことから、水の替わりに緩衝溶液を用いる重合法がさらに好ましい。この方法で使用する緩衝作用を有する水溶液としては、通常使用される緩衝溶液であれば特に限定されないが、具体的には、塩化カリウム−塩酸溶液、フタル酸水素カリウム−塩酸溶液、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム溶液、クエン酸水素カリウム−クエン酸溶液、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム溶液等が例示できる。また、開始剤のイオンと緩衝溶液を形成するような塩類、酸或いは塩基類の水溶液を用い、開始剤を添加した時点で緩衝溶液をとなしてもよい。さらに、この方法で用いる25℃で水と任意の割合で混和する水性溶媒としては、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等のジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、テトラヒドロフラン等が例示できる。これらの水性溶媒の中では、重合反応が進行しやすいことから、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜3のアルコールが特に好ましい。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0067】
<実施例1>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、疎水性モノマー1(製造例8)30.0g、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−1000」)90.0g、イソプロピルアルコール300ml、りん酸塩緩衝溶液(pH6.8)(ナカライテスク(株)製)300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、本発明のコポリマー1の水溶液を得た。
【0068】
<実施例2>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、疎水性モノマー2(製造例9)18.0g、メトキシポリエチレングリコール(23)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−1000」)90.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)12.0g、イソプロピルアルコール300ml、りん酸塩緩衝溶液(pH6.8)(ナカライテスク(株)製)300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、60℃で18時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、本発明のコポリマー2の水溶液を得た。
【0069】
<実施例3>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに疎水性モノマー5(製造例12)36.0g、アクリル酸(東京化成工業(株)製)84.0g、エチルアルコール300mlと0.05M炭酸ナトリウム水溶液30ml及び0.1M炭酸水素ナトリウム溶液270mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、60℃で20時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを除去し、本発明のコポリマー3の水溶液を得た。
【0070】
<実施例4>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、疎水性モノマー4(製造例11)24.0g、メトキシポリエチレングリコール(9)メタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPME−400」)72.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)24.0g、イソプロピルアルコール300ml、0.2M塩化カリウム水溶液75ml、0.2N塩酸15.8ml及び水209.2mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、70℃で14時間反応を行った。反応終了後、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを除去し、本発明のコポリマー4の水溶液を得た。
【0071】
<実施例5>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、疎水性モノマー3(製造例10)9.0g、ポリエチレングリコール(10)モノアクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーAE−400」)45.0g、メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)6.0g、エチレングリコールモノメチルエーテル180ml及び0.002N塩酸120mを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム1.0gを水10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルを除去し、本発明のコポリマー5の水溶液を得た。
【0072】
<実施例6>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、疎水性モノマー6(製造例13)24.0g、メトキシポリエチレングリコール(9)アクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーAME−400」)90.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)6.0g、イソプロピルアルコール300ml、りん酸塩緩衝溶液(pH6.8)(ナカライテスク(株)製)300mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、65℃で16時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールを除去し、本発明の水溶性コポリマー6の水溶液を得た。
【0073】
<実施例7>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに疎水性モノマー8(製造例15)12.0g、アクリル酸(東京化成工業(株)製)100.8g、エチルアルコール300mlと0.05M炭酸ナトリウム水溶液30ml及び0.1M炭酸水素ナトリウム溶液270mlを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過硫酸アンモニウム2.0gを水20mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、60℃で20時間反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、ロータリーエバポレーターでエチルアルコールを除去し、本発明のコポリマー7の水溶液を得た。
【0074】
<実施例8>
窒素導入管、冷却器及び攪拌装置を備えたフラスコに、疎水性モノマー7(製造例14)15.0g、ポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名「ブレンマーPE−400」)45.0g、酢酸エチル180ml及びエチルアルコールを採り攪拌混合した。攪拌を続けながら、1時間窒素ガス置換を行った。これに過酸化ベンゾイル0.5gをエチルアルコール10mlに溶解した溶液を加え、更に攪拌を続けながら、8時間、リフラックスを行った。反応終了後、水300mlを添加し、ロータリーエバポレーターで酢酸エチル及びエチルアルコールを除去し、本発明のコポリマー8の水溶液を得た。
【0075】
<比較例1>
特開2005−213448号公報実施例1と同様の操作をおこなって、コポリマー9の水溶液を得た。ただし、1,3−ブチレングリコールは添加しなかった。
【0076】
<比較例2>
特開H10−101742号公報実施例1と同様の操作をおこなって。コポリマー10を得た。
【0077】
<試験例1>塗膜の速乾性評価
下記、表3の組成でモデル水性塗料を作成し、スライドグラス上に均一に塗布した。塗布後、スライドグラスを60℃で4時間乾燥し、形成された塗膜の状態を肉眼で観察した。また、赤外線水分計(FD−800 (株)ケット化学研究所製)で塗膜中の残存水分量を測定した。結果を表4に示す。なお、表3中の数字は質量%を意味する。
【0078】
【表3】
【0079】
<試験例2>塗膜の耐水性評価
試験例1で作成した塗膜を流水下、指で塗擦しながら、被膜が完全に消失するまでの塗擦回数を求め、耐水性を評価した。塗擦回数が多いほど耐水性に優れることを示す。結果を表4に示す。
【0080】
<試験例3>塗膜の柔軟性評価
試験例1で作成したモデル水性塗料を厚さ0.2mmのスチレンフィルム上に塗布し、40℃で16時間乾燥して、試験用塗膜とした。この試験用塗膜を折り曲げたり伸ばしたりする作業を繰り返し、スチレンフィルム上のコーティング面に亀裂が生じるまでの折り曲げ回数を求めた。結果を表3に示す。コーティング膜に亀裂が生じるまでの回数が多いほどその塗膜の柔軟性が高いことを示す。結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
表4から明らかなように、本発明のコポリマーは水性組成物の被膜剤として使用した場合、速乾性に優れ、柔軟で耐水性に優れた被膜を与えることが実証された。