特許第5944250号(P5944250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社モリタ東京製作所の特許一覧

<>
  • 特許5944250-歯科技工机 図000002
  • 特許5944250-歯科技工机 図000003
  • 特許5944250-歯科技工机 図000004
  • 特許5944250-歯科技工机 図000005
  • 特許5944250-歯科技工机 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944250
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】歯科技工机
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20160621BHJP
   A61C 13/38 20060101ALI20160621BHJP
   A61G 15/14 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A61C13/00 M
   A61C13/38
   A61G15/14
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-152931(P2012-152931)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-14460(P2014-14460A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 俊文
(72)【発明者】
【氏名】島村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮本 幸治
(72)【発明者】
【氏名】大原 康寛
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第19505302(DE,A1)
【文献】 登録実用新案第3050146(JP,U)
【文献】 特開2001−070321(JP,A)
【文献】 特開2000−051246(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3032289(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0073395(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19815588(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19815587(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第03325498(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00
A61C 13/38
A61C 19/00
A61G 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵装置を備える歯科技工机において、義歯切削・研磨用の技工用モータと、前記技工用モータを制御するためのモータ制御部と、
一方に吸い込み口を設け他端が外部の集塵機に接続されたバキュームホースと、該バキュームホースの中間に配置されたエアシャッタと、前記エアシャッタを作動させるためのエアを供給・遮断する電磁弁とからなる集塵装置と、
前記モータ制御部と電気的に接続されていて前記電磁弁を制御する集塵制御部と、
前記モータ制御部に信号を送るためのフットスイッチと
前記技工用モータと前記集塵装置との連動と非連動を切り替えるための切り替えスイッチと、
前記切り替えスイッチが非連動のとき前記集塵装置を単独で制御するバキュームスイッチを備えてなることを特徴とする歯科技工机。
【請求項2】
前記集塵制御部により遅延回路を制御し前記技工用モータが回転を開始すると第1の所定時間遅れて前記集塵装置が作動する請求項1に記載の歯科技工机。
【請求項3】
前記集塵制御部により遅延回路を制御し前記技工用モータが回転を停止すると第2の所定時間遅れて前記集塵装置が停止する請求項1から2のいずれか1項に記載の歯科技工机。
【請求項4】
前記技工用モータの電源投入時に前記技工用モータと前記集塵装置の連動又は非連動の違いを告知する告知手段を備えてなる請求項1からのいずれか1項に記載の歯科技工机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯科技工机、特に吸引式集塵装置を装備した歯科技工机に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸引式集塵装置を装備する歯科技工机では、集塵口を開閉可能に閉塞する蓋体と、蓋体の開閉動作によって作動する集塵機作動スイッチにより集塵機を作動させる方法で、必要なときに集塵することはできた。しかし、実際に集塵が必要なときとは、技工用モータ等を使用し義歯等を切削・研磨することにより粉塵が発生したときであり、蓋体の開閉をするときとは時間的にずれている。このため、真に必要なときだけ集塵するということはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3032289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
義歯等を切削・研磨して集塵が必要なときのみ、集塵装置が作動するようにした歯科技工机を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み本発明者は鋭意実験研究の結果、下記の手段により課題を解決した。
(1)集塵装置を備える歯科技工机において、義歯切削・研磨用の技工用モータと、前記技工用モータを制御するためのモータ制御部と、
一方に吸い込み口を設け他端が外部の集塵機に接続されたバキュームホースと、該バキュームホースの中間に配置されたエアシャッタと、前記エアシャッタを作動させるためのエアを供給・遮断する電磁弁とからなる集塵装置と、
前記モータ制御部と電気的に接続されていて前記電磁弁を制御する集塵制御部と、
前記モータ制御部に信号を送るためのフットスイッチと
前記技工用モータと前記集塵装置との連動と非連動を切り替えるための切り替えスイッチと、
前記切り替えスイッチが非連動のとき前記集塵装置を単独で制御するバキュームスイッチを備えてなることを特徴とする歯科技工机。
(2)前記集塵制御部により遅延回路を制御し前記技工用モータが回転を開始すると第1の所定時間遅れて前記集塵装置が作動する前項(1)に記載の歯科技工机。
(3)前記集塵制御部により遅延回路を制御し前記技工用モータが回転を停止すると第2の所定時間遅れて前記集塵装置が停止する前項(1)から(2)のいずれか1項に記載の歯科技工机。
(4)前記技工用モータの電源投入時に前記技工用モータと前記集塵装置の連動又は非連動の違いを告知する告知手段を備えてなる前項(1)から()のいずれか1項に記載の歯科技工机。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば次のような優れた効果を発揮することができる。
〈1〉請求項1の発明によれば、集塵装置を備える歯科技工机において、
義歯切削・研磨用の技工用モータと、前記技工用モータを制御するためのモータ制御部と、
一方に吸い込み口を設け他端が外部の集塵機に接続されたバキュームホースと、該バキュームホースの中間に配置されたエアシャッタと、前記エアシャッタを作動させるためのエアを供給・遮断する電磁弁とからなる集塵装置と、
前記モータ制御部と電気的に接続されていて前記電磁弁を制御する集塵制御部と、
前記モータ制御部に信号を送るためのフットスイッチと
前記技工用モータと前記集塵装置との連動と非連動を切り替えるための切り替えスイッチと、前記切り替えスイッチが非連動のとき前記集塵装置を単独で制御するバキュームスイッチを備え、
前記切り替えスイッチで「連動」にしたときは、前記フットスイッチから送られる前記信号により前記技工用モータと前記集塵装置を連動して制御できるため、粉塵が発生して真に集塵が必要なときのみ集塵装置を作動させることができ、無駄に作動させることがなく、
また、前記切替スイッチで「非連動」にしたときは、前記集塵装置を単独で制御するバキュームスイッチを手動でONして作動させられるため、粉塵が多く発生する作業等において集塵装置を作動させたままにすることができる。 (根拠0009)
〈2〉請求項2の発明によれば、前記集塵制御部により遅延回路を制御し前記技工用モータが回転を開始すると第1の所定時間遅れて前記集塵装置が作動するため、誤って足がフットスイッチに触れて瞬間的に技工用モータが回ったとき等に集塵装置が作動せず、粉塵がある程度たまって集塵が必要になってから集塵装置を作動させることができる。
〈3〉請求項3の発明によれば前記集塵制御部により遅延回路を制御し、前記技工用モータが回転を停止すると第2の所定時間遅れて前記集塵装置が停止するため、残さず集塵することができる。また、集塵装置が停止するまでに、技工士が飛び散った粉塵を吸引することもできる。
〉請求項の発明によれば、前記技工用モータの電源投入時に前記技工用モータと集塵装置が連動か非連動かを告知する告知手段を設けているため、前記切り替えスイッチが連動又は前記非連動のどちらの状態になっているかを、技工士が即座に判断し速やかに作業を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の歯科技工机の外観斜視図
図2】本発明の集塵装置の外観斜視図
図3】本発明のエアシャッタの外観斜視図
図4】本発明の歯科技工机の概略説明ブロック図の一例
図5】本発明の歯科技工机の概略説明ブロック図の他の一例
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための最良の形態を以下実施例の図に基づいて順次説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の歯科技工机の外観斜視図である。
1は歯科技工机、2は机、3は棚、4はメインスイッチ、5はバキュームスイッチ、7はライト、11は技工用モータ、12はモータ制御部で内部に前記技工用モータのモータ制御回路(図示せず)が設けられている。12aは前記モータ制御部に設けられたスイッチで前記モータ制御部のON、OFFを制御する。13はフットスイッチ、21は集塵装置、22は2の下方に設けられた引き出し、23はバキュームマウス、24は防塵カバー、25はバキュームホースである。
36は、前記集塵装置21に設けられている電動弁35(詳細は後記)の動作を制御する集塵制御部であり前記モータ制御部と電気的に接続されている。前記集塵制御部36の内部には、集塵制御回路36a(詳細は後記)、遅延回路37(詳細は後記)が設けられている。
前記フットスイッチ13は、前記モータ制御部に回転の開始・回転数調整・回転停止の信号を送り、技工用モータ11の回転開始13a、回転数調整13b、回転停止13cを制御するものである。
技工士は、歯科技工机1の前に置かれた椅子に座り、メインスイッチ4をオンにし、必要に応じてライト7を点灯させて作業を行う。技工用モータ11を使用する際は、モータ制御部12に設けられたスイッチ12aを操作してスタンバイ状態とし、フットスイッチ13を足で操作して前記技工用モータ11の回転開始、回転数調整、及び停止を行う。
本実施例では、技工用モータ11と集塵装置21(詳細は後記)の連動と非連動を切り替える切り替えスイッチ(詳細は後記)と、前記切り替えスイッチ6が非連動のとき集塵装置21を単独で制御するバキュームスイッチ5を備えている。
切り替えスイッチで「連動」にしたときは、フットスイッチ13を操作することにより、技工用モータ11と集塵装置21が連動して作動する。
また、切り替えスイッチを「非連動」にしたときは、フットスイッチ13を操作しても技工用モータ11のみが作動し、集塵装置21は作動しない。
この切り替えスイッチ6が「非連動」の状態の時に、集塵装置21を作動させたいときは、手動でバキュームスイッチ5をONにする。これにより、粉塵が多く発生する作業等において集塵装置21を作動させたままにすることができる。
さらに本実施例では、技工用モータ11の電源投入時に前記切り替えスイッチ6の連動又は非連動の違いを告知する告知手段が設けられている。前記告知手段は、例えば、ブザーを用いて連動のときはブザーを鳴らすことで技工士が即座にどちらの状態か判断できる。
【0010】
図2は、本発明の集塵装置の外観斜視図である。
6は、前記モータ制御部12と前記集塵制御部の間に配設されて、前記モータ制御部と前記集塵制御部とを接続して連動させ、又は切り離して非連動とする切り替えスイッチ、26は吸込み口、31はエアシャッタ、32はエアシリンダ、35は電磁弁である。
切り替えスイッチ6は、集塵装置21と技工用モータ11の連動、非連動の違いを告知する告知手段の操作を兼ねている。
前記告知手段は、例えば、ブザーを用いて連動のときはブザーを鳴らすことで連動、非連動を告知するものである。
本図は、集塵装置21を机2から取り出した状態である。吸込み口26又はエアシャッタ31が見やすいように、図1とは反対方向から見た図である。切り替えスイッチ6は、本実施例では使用頻度が少ないことを想定し、引き出し22の奥に設置されており、使用する際は引き出しを開けて操作する。
集塵装置21は、引き出し22内にバキュームホース25を通し、バキュームホース25の端部に吸込み口26の付いたバキュームマウス23が付き、バキュームマウス23を粉塵が発生する手元付近に配置して使用する。この引き出しの反対側にはエアシャッタ31を備え、その先にはさらにバキュームホース25が接続され、外部の集塵機38に接続されている。集塵機のスイッチは外部に設けられており、作業中は作動させたままとする。
集塵装置21を技工用モータと連動させて作動させるときはフットスイッチ13、集塵装置21を技工用モータと非連動させて作動させるときはバキュームスイッチ5からの信号が、机2の幕板43の裏側に装着されている集塵制御部36(点線で図示している)に入る。
集塵制御部36には集塵制御回路36aが設けられていて、前記フットスイッチ13又は前記バキュームスイッチ5からの信号により電磁弁35を作動させてエアシャッタ31(詳細は後記)を開の状態とする。また集塵制御回路36aは、遅延回路37に後記する時間設定を行う。
エアシャッタ31が開きの状態では、吸込み口から吸われたエアがバキュームホース25の中を通り外部の集塵機まで流れる。また、集塵装置21を停止させるときは、同様に、連動のときはフットスイッチ13、非連動のときはバキュームスイッチ5からの信号が、集塵制御部36に入り、内部に設けられている集塵制御回路36からの信号により電磁弁35を作動させエアシャッタ31を閉の状態とする。そのときは、外部の集塵機までのエアの流れが遮断されるので、吸込み口からエアが吸われることはない。
本実施例では、技工用モータ11が回転を開始すると集塵制御部に設けられている遅延回路37により第1の所定時間(例えば、0.5〜3秒程度)遅れて集塵装置21が作動するため、誤って足がフットスイッチ13に触れて瞬間的に技工用モータ11が回ったとき等に集塵装置が無駄に作動することがなく、粉塵がある程度たまって集塵が必要になってから集塵装置を作動させることができる。第1の所定時間(例えば、0.5〜3秒程度)は、その範囲で集塵制御回路においてあらかじめ設定できる。
また、技工用モータ11が回転を停止すると集塵制御部に設けられている遅延回路37により第2の所定時間(例えば、1〜10秒程度)遅れて集塵装置21が停止するため、残さず集塵することができる。また、集塵装置21が停止するまでに、技工士が飛び散った粉塵を吸引することもできる。第2の所定時間(例えば、1〜10秒程度)は、その範囲で集塵制御部においてあらかじめ設定できる。
前記集塵制御部の36の内部には、集塵制御回路36a、遅延回路37が設けられている。
そして前記集塵制御回路36aは、遅延回路37を制御し、第1の所定時間(例えば、0.5〜3秒程度)および前記第2の所定時間(例えば、1〜10秒程度)前記集塵装置21の作動・停止を制御する。
なお前記第1の所定時間は、前記技工用モータ11の回転で粉塵が発生するまでの時間である。また、前記第2の所定時間は、前記吸引装置21が前記技工用モータ11の回転で発生した粉塵を残らず吸引するまでの時間である。
【0011】
図3は、本発明のエアシャッタの外観斜視図である。
33はシャッタ、34はホース接続口である。電磁弁35は本図では裏側になるため見えない。
前記シャッタ33は、集塵装置21を技工用モータと連動させて作動させるときはフットスイッチ13からの信号を受けて、技工用モータと非連動させて作動させるときはバキュームスイッチ5からの信号を受けて、集塵制御部から電磁弁35へ信号が送られる。
その信号により電磁弁35が作動し、エアシリンダ32へ送るエアのオンオフを行い、それに合わせてエアシリンダ32が作動する。
エアシリンダ32が作動すると同時に、それに接続された長方形の板状でホース接続口34の内径と同じ径の穴(図示せず)が開けられたシャッタ33が左右に動き、ホース接続口34の開閉を行う。前記穴が、ホース接続口34と重なったときがシャッタ33が開で、完全にずれたときがシャッタ33が閉である。シャッタ33が開のときは、ホース接続口34に接続されるバキュームホース25内に吸込み口26からエアが吸われ、外部の集塵機まで流れていくので集塵装置21が作動状態となり、閉のときはエアの流れが遮断されるのでエアが吸込み口26から吸われなくなり、集塵装置21は停止状態となる。
【0012】
図4は、本発明の歯科技工机の概略説明ブロック図の一例である。
38は集塵装置21の排出側に設けられたバキュームホース25に接続された外部の集塵機、42は電源である。
【0013】
図5は、本発明の歯科技工机の概略説明ブロック図の他の例である。
6は、前記モータ制御部11と電気的に接続されている集塵制御部との間に設けられた切り替えスイッチであり、該切り替えスイッチ6を連動側、非連動側に切り替えることで前記フットスイッチによる前記技工用モータと前記集塵装置を連動制御する。
37は、集塵制御部36に設けられている遅延回路で、技工用モータ11の回転開始から所定時間遅れて集塵装置21を作動し、技工用モータ11の回転停止から所定時間遅れて集塵装置21の作動を停止させるための回路である。
39は集塵装置21と技工用モータ11の連動、非連動を告知する告知手段、40は告知手段の例を示すブザーである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の歯科技工机は、歯科技工分野に限らず、工業分野でも利用可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 歯科技工机
2 机
3 棚
4 メインスイッチ
5 バキュームスイッチ
6 切り替えスイッチ
7 ライト
11 技工用モータ
12 モータ制御部
13 フットスイッチ
21 集塵装置
22 引き出し
23 バキュームマウス
24 防塵カバー
25 バキュームホース
26 吸込み口
31 エアシャッタ
32 エアシリンダ
33 シャッタ
34 ホース接続口
35 電磁弁
36 集塵制御部
37 遅延回路
38 外部の集塵機
39 告知手段
40 ブザー
42 電源
43 机の幕板
図1
図2
図3
図4
図5