特許第5944251号(P5944251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5944251アイテム推薦システム、アイテム推薦方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944251
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】アイテム推薦システム、アイテム推薦方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   G06F17/30 340A
   G06F17/30 120A
【請求項の数】13
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2012-155270(P2012-155270)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-16922(P2014-16922A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
(72)【発明者】
【氏名】清本 晋作
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 龍
(72)【発明者】
【氏名】三宅 優
【審査官】 樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−242966(JP,A)
【文献】 特開2012−058972(JP,A)
【文献】 特開2007−073024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納するデータベースを備え、
利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムであって、
前記情報提供サーバが、
保有する前記データベース内の前記利用者の各アイテムに対する評価値を復元不能に加工した統計情報を生成する統計情報生成手段と、
該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する統計情報送信手段と、
を備え、
前記情報受領サーバが、
前記統計情報を受信する統計情報受信手段と、
保有する前記データベース内の前記利用者の各アイテムに対する評価値と該受信した統計情報とに基づいて、データベース内の欠損値を補完する補完手段と、
該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する判定手段と、
該判定したアイテムの情報を利用者に提示する提示手段と、
を備えたことを特徴とするアイテム推薦システム。
【請求項2】
前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、アイテムが共通するデータベースであって、
前記統計情報生成手段
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、すべてのアイテムのペアに、利用者毎の評価値の差分の総和と該総和算出したときのサンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、
前記補完手段は、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の補完する欠損値に対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第1の総和値保有するデータベースにおいて前記補完する欠損値に対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信した前記サンプル数前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和算出したときのサンプル数を加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものを前記対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるすべてのアイテムとのペアについて算出した上で加算した第3の加算値を算出し、
さらに前記第3の加算値を前記対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるすべてのアイテムとのペア数で除した値と前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完することを特徴とする請求項1に記載のアイテム推薦システム。
【請求項3】
前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、利用者が共通するデータベースであって、
前記統計情報生成手段
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、すべての利用者のペアに、アイテム毎の評価値の差分の総和と該総和算出したときのサンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、
前記補完手段は、
前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の補完する欠損値に対応する利用者と該対応する利用者とは異なる利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、保有するデータベースにおいて前記補完する欠損値に対応する利用者と該対応する利用者とは異なる利用者とのペアにおいて算出したアイテム毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、前記各情報提供サーバから受信した前記サンプル数前記保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものを前記対応する利用者と該対応する利用者とは異なるすべての利用者とのペアについて算出した上で加算した第3の加算値を算出し、
さらに前記第3の加算値を前記対応する利用者と該対応する利用者とは異なるすべての利用者とのペア数で除した値と前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完することを特徴とする請求項1に記載のアイテム推薦システム。
【請求項4】
前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、アイテムが共通するデータベースであって、
前記統計情報生成手段
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、各アイテムに、他の全てのアイテムとのペアについて前記利用者毎の評価値の差分の総和と他の全てのアイテムとのペアについて前記利用者毎の評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、
前記補完手段
前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の前記補完する欠損値に対応するアイテムと前記補完する欠損値に対応するアイテムは異なるすべてのアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、前記補完する欠損値に対応するアイテムと前記補完する欠損値に対応するアイテムは異なるすべてのアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信したサンプル数と前記保有するデータベースにおいて、前記第2の総和値の算出したときのサンプル数とを加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものと前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完することを特徴とする請求項1に記載のアイテム推薦システム。
【請求項5】
前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、利用者が共通するデータベースであって、
前記統計情報生成手段
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、各利用者毎に、他の全ての利用者とのペアについて前記アイテム毎の評価値の差分の総和と、他の全ての利用者とのペアについて前記アイテム毎の評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、
前記補完手段
前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の前記補完する欠損値に対応する利用者と前記補完する欠損値に対応する利用者は異なるすべての利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、前記補完する欠損値に対応する利用者と前記補完する欠損値に対応する利用者は異なるすべての利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信したサンプル数と前記保有するデータベースにおいて、前記第2の総和値の算出したときのサンプル数とを加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものと前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完することを特徴とする請求項1に記載のアイテム推薦システム。
【請求項6】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、
前記各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、すべてのアイテムのペアに、利用者毎の評価値の差分の総和と該総和算出したときのサンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の補完する欠損値に対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第1の総和値保有するデータベースにおいて前記補完する欠損値に対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信した前記サンプル数前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和算出したときのサンプル数を加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものを前記対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるすべてのアイテムとのペアについて算出した上で加算した第3の加算値を算出し、
さらに前記第3の加算値を前記対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるすべてのアイテムとのペア数で除した値と前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法。
【請求項7】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、すべての利用者のペアに、アイテム毎の評価値の差分の総和と該総和算出したときのサンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の補完する欠損値に対応する利用者と該対応する利用者とは異なる利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、保有するデータベースにおいて前記補完する欠損値に対応する利用者と該対応する利用者とは異なる利用者とのペアにおいて算出したアイテム毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、前記各情報提供サーバから受信した前記サンプル数前記保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものを前記対応する利用者と該対応する利用者とは異なるすべての利用者とのペアについて算出した上で加算した第3の加算値を算出し、
さらに前記第3の加算値を前記対応する利用者と該対応する利用者とは異なるすべての利用者とのペア数で除した値と前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法。
【請求項8】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、各アイテムに、他の全てのアイテムとのペアについて前記利用者毎の評価値の差分の総和と他の全てのアイテムとのペアについて前記利用者毎の評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の前記補完する欠損値に対応するアイテムと前記補完する欠損値に対応するアイテムは異なるすべてのアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、前記補完する欠損値に対応するアイテムと前記補完する欠損値に対応するアイテムは異なるすべてのアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信したサンプル数と前記保有するデータベースにおいて、前記第2の総和値の算出したときのサンプル数とを加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものと前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法。
【請求項9】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、各利用者毎、他の全ての利用者とのペアについて前記アイテム毎の評価値の差分の総和と、他の全ての利用者とのペアについて前記アイテム毎の評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の前記補完する欠損値に対応する利用者と前記補完する欠損値に対応する利用者は異なるすべての利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、前記補完する欠損値に対応する利用者と前記補完する欠損値に対応する利用者は異なるすべての利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信したサンプル数と前記保有するデータベースにおいて、前記第2の総和値の算出したときのサンプル数とを加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものと前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法。
【請求項10】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、すべてのアイテムのペアに、利用者毎の評価値の差分の総和と該総和算出したときのサンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の補完する欠損値に対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第1の総和値保有するデータベースにおいて前記補完する欠損値に対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信した前記サンプル数前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和算出したときのサンプル数を加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものを前記対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるすべてのアイテムとのペアについて算出した上で加算した第3の加算値を算出し、
さらに前記第3の加算値を前記対応するアイテムと該対応するアイテムとは異なるすべてのアイテムとのペア数で除した値と前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、すべての利用者のペアに、アイテム毎の評価値の差分の総和と該総和算出したときのサンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の補完する欠損値に対応する利用者と該対応する利用者とは異なる利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、保有するデータベースにおいて前記補完する欠損値に対応する利用者と該対応する利用者とは異なる利用者とのペアにおいて算出したアイテム毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、前記各情報提供サーバから受信した前記サンプル数前記保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものを前記対応する利用者と該対応する利用者とは異なるすべての利用者とのペアについて算出した上で加算した第3の加算値を算出し、
さらに前記第3の加算値を前記対応する利用者と該対応する利用者とは異なるすべての利用者とのペア数で除した値と前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、各アイテムに、他の全てのアイテムとのペアについて前記利用者毎の評価値の差分の総和と他の全てのアイテムとのペアについて前記利用者毎の評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の前記補完する欠損値に対応するアイテムと前記補完する欠損値に対応するアイテムは異なるすべてのアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、前記補完する欠損値に対応するアイテムと前記補完する欠損値に対応するアイテムは異なるすべてのアイテムとのペアにおいて算出した、利用者毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信したサンプル数と前記保有するデータベースにおいて、前記第2の総和値の算出したときのサンプル数とを加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものと前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記情報提供サーバが保有するデータベースにおいて、各利用者毎、他の全ての利用者とのペアについて前記アイテム毎の評価値の差分の総和と、他の全ての利用者とのペアについて前記アイテム毎の評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップと、
前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップと、
前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップと、
前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値を算出し
各情報提供サーバから受信した前記統計情報内の前記補完する欠損値に対応する利用者と前記補完する欠損値に対応する利用者は異なるすべての利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第1の総和値と、前記情報受領サーバが保有するデータベースにおいて、前記補完する欠損値に対応する利用者と前記補完する欠損値に対応する利用者は異なるすべての利用者とのペアにおいて算出した、アイテム毎の評価値の差分の総和である第2の総和値とを加算した第1の加算値を算出し、
前記各情報提供サーバから受信したサンプル数と前記保有するデータベースにおいて、前記第2の総和値の算出したときのサンプル数とを加算した第2の加算値を算出し、
前記第1の加算値を前記第2の加算値で除したものと前記平均値とを加算して、前記欠損値を補完する4のステップと、
前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップと、
前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の事業者間で、プライバシ情報となりえる互いが所有する利用者の各アイテムに対する評価値を秘匿しつつ、各事業者が保有する評価値のすべてを考慮したアイテムの推薦を実現するアイテム推薦システム、アイテム推薦方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化技術の発展により、人々は大量の情報を容易に得ることが可能になった。一方で、その大量の情報から自分にとって有用な情報を得ることは困難になった。この状況を解決するために、大量の情報から利用者にとって有用な情報のみを抽出して提示する推薦システムが考案された。推薦システムは、電子商取引やインターネット広告の分野で既に広く普及している。
【0003】
推薦システムにおいて、利用者にとって有用な情報(アイテム)を判別する代表的な手法に、協調フィルタリングがある。協調フィルタリングとは、利用者と嗜好の類似する他の利用者情報を利用して推薦を行う手法である。協調フィルタリングを用いて、利用者にとってより有用な情報(アイテム)を推薦するためには、大量の利用者情報(個人情報や履歴情報などのプライバシ情報を含む)を用いて推薦情報(アイテム)を選択することが有効である。そのため、複数の事業者が互いの利用者情報を提供することで利用者にとって満足度の高い推薦情報(アイテム)を提供可能になることが期待できる。
【0004】
しかしながら、利用者情報を提供する際には、利用者のプライバシの問題が生じる。個人情報の提供は個人情報保護法により制限されており、また個人情報保護法で定められた個人情報に該当しない利用者情報の利用・提供であっても、消費者団体等からプライバシの侵害として訴訟を起こされる事例は国内外で頻繁に生じている。
【0005】
そこで、複数データベース連携プライバシ保護協調フィルタリング手法が提案されている。この手法は、各データベースサーバが所有する、利用者の各アイテムに対する評価値をその他のデータベースに開示することなく、各データベースサーバが所有する評価値すべてを考慮した推薦を行うことを可能にする。
【0006】
既存の手法は大きく分けて、暗号化技術に基づく手法と摂動化に基づく手法に分類される。暗号化技術に基づく手法では、暗号化したままある種の演算が可能な性質を持つ特殊な暗号を利用して、利用者の各アイテムに対する評価値を秘匿する(例えば、非特許文献1参照)。また、摂動化に基づく手法では、提供する利用者の各アイテムに対する評価値に、ある分布に従って生成した乱数を付与することで、元の評価値を求めることを困難にする(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A. Basu, H. Kikuchi, and J. Vaidya, “Privacy and J. Vaidya, ”Privacy−One predictor for Item−based Collaborative Filtering“, Proceedings of the International Workshop on Trust and Privacy in Distributed Information Processing (workshop at the IFIPTM 2011), 2011.
【非特許文献2】H. Polat and W. Du, “Privacy−Preserving Collaborative Filtering on Vertically Partitioned Data”, Knowledge Discovery in Databases: PKDD 2005, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、暗号化技術に基づく手法は、一般に高いプライバシ保護を実現することが可能であるが、処理時間が長く実用的ではない。摂動化に基づく手法は、暗号化技術に基づく手法に比べ、短い処理時間で実行できるが、推薦に必要のない統計情報が明らかになる場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、複数の事業者間で、プライバシ情報となりえる互いが所有する利用者の各アイテムに対する評価値を秘匿しつつ、各事業者が保有する評価値のすべてを考慮したアイテムの推薦を実現するアイテム推薦システム、アイテム推薦方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0011】
(1)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバ(例えば、図1の情報受領サーバ200に相当)と、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバ(例えば、図1の情報提供サーバ100に相当)とからなるアイテム推薦システムであって、前記情報提供サーバが、保有する前記データベース内の前記利用者の各アイテムに対する評価値を復元不能に加工した統計情報を生成する統計情報生成手段と、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する統計情報送信手段(例えば、図2の統計情報送信部120に相当)と、を備え、前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する統計情報受信手段(例えば、図3の統計情報受信部210に相当)と、保有する前記データベース内の前記利用者の各アイテムに対する評価値と該受信した統計情報とに基づいて、データベース内の欠損値を補完する補完手段と、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する判定手段(例えば、図3の判定部230に相当)と、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する提示手段(例えば、図3の提示部240に相当)と、を備えたことを特徴とするアイテム推薦システムを提案している。
【0012】
この発明によれば、情報提供サーバの統計情報生成手段は、保有するデータベース内の利用者の各アイテムに対する評価値を復元不能に加工した統計情報を生成する。統計情報送信手段は、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバの統計情報受信手段は、統計情報を受信する。補完手段は、保有するデータベース内の利用者の各アイテムに対する評価値と受信した統計情報とに基づいて、データベース内の欠損値を補完する。判定手段は、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する。提示手段は、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、保有するデータベース内の利用者の各アイテムに対する評価値を復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。
【0013】
(2)本発明は、(1)のアイテム推薦システムについて、前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、アイテムが共通するデータベースであって、前記統計情報生成手段(例えば、図2の統計情報生成部110に相当)が、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と該総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、前記補完手段(例えば、図3の補完部220に相当)が、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記アイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完することを特徴とするアイテム推薦システムを提案している。
【0014】
この発明によれば、統計情報生成手段は、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、補完手段は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記アイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完する。したがって、情報提供サーバが、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0015】
(3)本発明は、(1)のアイテム推薦システムについて、前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、利用者が共通するデータベースであって、前記統計情報生成手段(例えば、図7の統計情報生成部111に相当)が、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と該総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、前記補完手段(例えば、図8の補完部221に相当)が、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完することを特徴とするアイテム推薦システムを提案している。
【0016】
この発明によれば、統計情報生成手段は、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、補完手段は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。したがって、情報提供サーバが、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0017】
(4)本発明は、(1)のアイテム推薦システムについて、前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、アイテムが共通するデータベースであって、前記統計情報生成手段(例えば、図12の統計情報生成部112に相当)が、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、前記補完手段(例えば、図13の補完部222に相当)が、前記保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、前記保有するデータベースにおいて対応する前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、前記欠損値を補完することを特徴とするアイテム推薦システムを提案している。
【0018】
この発明によれば、統計情報生成手段は、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、補完手段は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。したがって、情報提供サーバが、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0019】
(5)本発明は、(1)のアイテム推薦システムについて、前記データベースが、利用者とアイテムとからなり、利用者が共通するデータベースであって、前記統計情報生成手段(例えば、図17の統計情報生成部113に相当)が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、前記補完手段(例えば、図18の補完部223に相当)が、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、前記保有するデータベースにおいて対応する前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、前記欠損値を補完することを特徴とするアイテム推薦システムを提案している。
【0020】
この発明によれば、統計情報生成手段は、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、補完手段は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。したがって、情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0021】
(6)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、前記各情報提供サーバが、保有する前記データベース内のすべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、該総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図6のステップS101に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図6のステップS102に相当)と、前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図6のステップS103に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記アイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップ(例えば、図6のステップS104に相当)と、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図6のステップS105に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図6のステップS106に相当)と、を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法を提案している。
【0022】
この発明によれば、各情報提供サーバは、保有するデータベース内のすべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバは、各統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいてアイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0023】
(7)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、前記各情報提供サーバが、保有する前記データベース内のすべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、該総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図11のステップS201に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図11のステップS202に相当)と、前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図11のステップS203に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップ(例えば、図11のステップS204に相当)と、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図11のステップS205に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図11のステップS206に相当)と、を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法を提案している。
【0024】
この発明によれば、各情報提供サーバは、保有するデータベース内のすべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバは、各統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0025】
(8)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、前記各情報提供サーバが、保有する前記データベースにおいて、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図16のステップS301に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図16のステップS302に相当)と、前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図16のステップS303に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、前記保有するデータベースにおいて対応する前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、前記欠損値を補完する第4のステップ(例えば、図16のステップS304に相当)と、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図16のステップS305に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図16のステップS306に相当)と、を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法を提案している。
【0026】
この発明によれば、各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバが、統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。そして、情報受領サーバが、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0027】
(9)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する1つ以上の情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法であって、前記各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図21のステップS401に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図21のステップS402に相当)と、前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図21のステップS403に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、前記保有するデータベースにおいて対応する前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和(例えば、図21のステップS404に相当)とを加算したものを分母としたときの値を用いて、前記欠損値を補完する第4のステップと、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図21のステップS405に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図21のステップS406に相当)と、を備えたことを特徴とするアイテム推薦方法を提案している。
【0028】
この発明によれば、各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバは、統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0029】
(10)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記各情報提供サーバが、保有する前記データベース内のすべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、該総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図6のステップS101に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図6のステップS102に相当)と、前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図6のステップS103に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記アイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップ(例えば、図6のステップS104に相当)と、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図6のステップS105に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図6のステップS106に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラを提案している。
【0030】
この発明によれば、各情報提供サーバは、保有するデータベース内のすべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバは、各統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいてアイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0031】
(11)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記各情報提供サーバが、保有する前記データベース内のすべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、該総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図11のステップS201に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図11のステップS202に相当)と、前記情報受領サーバが、前記各統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図11のステップS203に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した該統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて前記利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和に前記保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを前記対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、前記欠損値を補完する第4のステップ(例えば、図11のステップS204に相当)と、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図11のステップS205に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図11のステップS206に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0032】
この発明によれば、各情報提供サーバは、保有するデータベース内のすべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバは、各統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0033】
(12)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、アイテムが共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記各情報提供サーバが、保有する前記データベースにおいて、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図16のステップS301に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図16のステップS302に相当)と、前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図16のステップS303に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、前記保有するデータベースにおいて対応する前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、前記特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、前記欠損値を補完する第4のステップ(例えば、図16のステップS304に相当)と、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図16のステップS305に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図16のステップS306に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0034】
この発明によれば、各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバが、統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。そして、情報受領サーバが、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0035】
(13)本発明は、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納し、利用者が共通するデータベースを備え、利用者に対して、アイテムの推薦を行う情報受領サーバと、該利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を前記情報受領サーバに提供する情報提供サーバとからなるアイテム推薦システムにおけるアイテム推薦方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する第1のステップ(例えば、図21のステップS401に相当)と、前記各情報提供サーバが、該生成した統計情報を前記情報受領サーバに送信する第2のステップ(例えば、図21のステップS402に相当)と、前記情報受領サーバが、前記統計情報を受信する第3のステップ(例えば、図21のステップS403に相当)と、前記情報受領サーバが、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、前記保有するデータベースにおいて対応する前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、前記特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信した前記サンプル数の総和(例えば、図21のステップS404に相当)とを加算したものを分母としたときの値を用いて、前記欠損値を補完する第4のステップと、前記情報受領サーバが、該補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する第5のステップ(例えば、図21のステップS405に相当)と、前記情報受領サーバが、該判定したアイテムの情報を利用者に提示する第6のステップ(例えば、図21のステップS406に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0036】
この発明によれば、各情報提供サーバが、保有するデータベースにおいて、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する。情報受領サーバは、統計情報を受信し、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。したがって、情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数の事業者間で、プライバシ情報となりえる互いが所有する利用者の各アイテムに対する評価値を秘匿しつつ、各事業者が保有する評価値のすべてを考慮したアイテムの推薦を実現するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアイテム推薦システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る情報提供サーバの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る情報受領サーバの構成を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る情報提供サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る情報受領サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るアイテム推薦システムの処理を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る情報提供サーバの構成を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る情報受領サーバの構成を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る情報提供サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る情報受領サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るアイテム推薦システムの処理を示す図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る情報提供サーバの構成を示す図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係る情報受領サーバの構成を示す図である。
図14】本発明の第3の実施形態に係る情報提供サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図15】本発明の第3の実施形態に係る情報受領サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図16】本発明の第3の実施形態に係るアイテム推薦システムの処理を示す図である。
図17】本発明の第4の実施形態に係る情報提供サーバの構成を示す図である。
図18】本発明の第4の実施形態に係る情報受領サーバの構成を示す図である。
図19】本発明の第4の実施形態に係る情報提供サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図20】本発明の第4の実施形態に係る情報受領サーバが保有するデータベースを例示した図である。
図21】本発明の第4の実施形態に係るアイテム推薦システムの処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0040】
以下、図1から図21を用いて、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、情報提供サーバが、単数であるか複数であるかは限定しないが、説明をわかりやすくするために、一部、情報提供サーバが単数として説明を行う。
【0041】
<第1の実施形態>
図1から図6を用いて、本発明の第1の実施形態に係るアイテム推薦システムについて説明する。
【0042】
<アイテム推薦システムの構成>
本発明に係るアイテム推薦システムは、図1に示すように、情報提供サーバ100と、情報受領サーバ200とから構成され、これらは、ネットワークを介して接続されている。ここで、情報提供サーバ100と情報受領サーバ200とは、ともに、利用者と各アイテムの評価値とを関連付けて格納するデータベースを備えており、情報提供サーバ100は、利用者に対して、アイテムの推薦を行うための情報を情報受領サーバ200に提供する。一方、情報受領サーバ200は、情報提供サーバ100から受信した情報を用いて、利用者に対して、アイテムの推薦を行う。
【0043】
<情報提供サーバの構成>
図2を用いて、本実施形態に係る情報提供サーバの構成について説明する。なお、本実施形態においては、情報提供サーバ100および情報受領サーバ200がともに、少なくともアイテムが共通するデータベース、いわゆる水平分割モデルのデータベースを保有している。
【0044】
図2に示すように、情報提供サーバ100は、統計情報生成部110と、統計情報送信部120とから構成されている。ここで、統計情報生成部110は、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する。統計情報送信部120は、統計情報生成部110が生成した統計情報を情報受領サーバ200に送信する。
【0045】
<情報受領サーバの構成>
図3を用いて、本実施形態に係る情報受領サーバの構成について説明する。
【0046】
図3に示すように、情報受領サーバ200は、統計情報受信部210と、補完部220と、判定部230と、提示部240とから構成されている。
【0047】
統計情報受信部210は、統計情報を受信する。判定部230は、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定する。提示部240は、判定したアイテムの情報を利用者に提示する。
【0048】
補完部220は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいてアイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。
【0049】
図4および図5のデータベースを用いて、補完について、具体的に説明する。
いま、情報受領サーバ200のデータベースにおける「Us4」、「It3」に対応する欠損値Val(4、3)のみを補完する場合について説明する。なお、図中、「*」は、欠損値を示す。
【0050】
まず、情報提供サーバ100は、図4において、各アイテムについて、「It3」との評価値の差分の総和を計算する。ただし、いずれかの評価値が欠損値である場合には、計算には含まない。例えば、情報提供サーバ100の持つデータベースの「It3」と「It1」の評価値の差分の総和Sum(3,1,100)は、数1のようになる。
このときのサンプル数Num(3,1,100)=2と表す。
【0051】
【数1】
【0052】
情報提供サーバ100は、各アイテムについての、「It3」との評価値の差分の総和と、総和の算出に用いた利用者数(サンプル数)の対を、情報受領サーバ200に通知する。すなわち、((Sum(3,1,100)、Num(3,1,100))、(Sum(3,2,100)、Num(3,2,100))、(Sum(3,4,100)、Num(3,4,100))を統計情報として、情報受領サーバ200に送る。ただし、全ての欠損値を補完する場合には、全てのアイテムについて、評価値の差分の総和と、総和の算出に用いたサンプル数を通知する必要がある。
【0053】
ここで、
Sum(3,2,100)=0
Num(3,2,100)=0
Sum(3,4,100)=(P3−P2)+(P6−P5)
Num(3,4,100)=2
である。
【0054】
情報受領サーバ200の補完部220は、保有するデータベース(図5)において、補完する欠損値に対応する利用者「Us4」の他のアイテムの評価値の平均値を数2のように、求める。
【0055】
【数2】
【0056】
次に、受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいてアイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。具体的には、数3のようになる。ここで、本実施形態の場合、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数は、(It3、It1)、(It3、It2)、(It3、It4)の3通りとなるため、数3における分数の分母は、「3」となる。なお、他の補完値についても同様の手順で演算を行う。
【0057】
【数3】
【0058】
情報提供サーバが複数存在する場合には、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を全て、保有するデータベースにおいてペアの評価値の差分の総和を全て加算したものに加算し、各情報提供サーバから受信した統計情報内のサンプル数を全て保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数に加算し、以下同様に欠損値を補完する。すなわち、新たに情報提供サーバ101が存在するとき、数4のようになる。ここで、本実施形態の場合、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数は、(It3、It1)、(It3、It2)、(It3、It4)の3通りとなるため、数4における分数の分母は、「3」となる。
【0059】
【数4】
【0060】
<アイテム推薦システムの処理>
図6を用いて、本実施形態に係るアイテム推薦システムの処理について説明する。
【0061】
まず、各情報提供サーバは、保有するデータベース内のすべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と、総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し(ステップS101)、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する(ステップS102)。情報受領サーバは、統計情報を受信し(ステップS103)、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいてアイテムのペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応するアイテムのペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応するアイテムと他の全てのアイテムとのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する(ステップS104)。
【0062】
そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し(ステップS105)、判定したアイテムの情報を利用者に提示する(ステップS106)。
【0063】
以上、説明したように、本実施形態によれば、各情報提供サーバが、すべてのアイテムのペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0064】
<第2の実施形態>
図7から図11を用いて、本発明の第2の実施形態に係るアイテム推薦システムについて説明する。本実施形態は、第1の実施形態とデータベースの構成が異なり、利用者が共通のデータベースを適用する場合について、説明する。なお、システム構成は、第1の実施形と同様であるため、ここでの詳細な説明は、省略する。
【0065】
<情報提供サーバの構成>
図7を用いて、本実施形態に係る情報提供サーバの構成について説明する。なお、本実施形態においては、情報提供サーバ100および情報受領サーバ200がともに、少なくとも、利用者が共通するデータベース、いわゆる垂直分割モデルのデータベースを保有している。
【0066】
図7に示すように、情報提供サーバ100は、統計情報生成部111と、統計情報送信部121とから構成されている。ここで、統計情報生成部111は、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成する。統計情報送信部121は、統計情報生成部111が生成した統計情報を情報受領サーバ200に送信する。
【0067】
<情報受領サーバの構成>
図8を用いて、本実施形態に係る情報受領サーバの構成について説明する。
【0068】
図8に示すように、情報受領サーバ200は、統計情報受信部210と、補完部221と、判定部230と、提示部240とから構成されている。なお、第1の実施形態と同様の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は、省略する。
【0069】
補完部221は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。
【0070】
図9および図10のデータベースを用いて、補完について、具体的に説明する。なお、本実施形態においては、図9(A)および図10(A)のデータベースのアイテムと利用者とを入れ替えた図9(B)および図10(B)を用いて、補完処理を行う。
いま、情報受領サーバ200のデータベースにおける「Us2」、「It4」に対応する欠損値Val(2、4)を補完する場合について説明する。なお、図中、「*」は、欠損値を示す。
【0071】
まず、情報提供サーバ100は、図9(B)において、各ユーザについて、「Us2」との評価値の差分の総和を計算する。ただし、いずれかの評価値が欠損値である場合には、計算には含まない。例えば、情報提供サーバ100の持つデータベースの「Us2」と「Us1」の評価値の差分の総和Sum(2,1)は、数5のようになる。
【0072】
【数5】
【0073】
このときのサンプル数Num(2,1,100)=2となる。
【0074】
情報提供サーバ100は、各アイテムについての、「Us2」との評価値の差分の総和と、総和の算出に用いたアイテム数(サンプル数)の対を、情報受領サーバ200に通知する。すなわち、((Sum(2,1,100)、Num(2,1,100))、(Sum(2,3,100)、Num(2,3,100))を統計情報として、情報受領サーバ200に送る。ただし、全ての欠損値を補完する場合には、全てのアイテムについて、評価値の差分の総和と、総和の算出に用いたサンプル数を通知する必要がある。
【0075】
ここで、
Sum(2,3,100)=(P24−P22)
Num(2,3,100)=1
である。
【0076】
情報受領サーバ200の補完部221は、保有するデータベース(図10(B))において、補完する欠損値に対応するアイテム「It4」の他の利用者の評価値の平均値を数6のように、求める。
【0077】
【数6】
【0078】
次に、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する。具体的には、数7のようになる。ここで、本実施形態の場合、対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数は、(Us2、Us1)、(Us2、Us3)の2通りとなるため、数7における分数の分母は、「2」となる。なお、他の補完値についても同様の手順で演算を行う。
【0079】
【数7】
【0080】
情報提供サーバが複数存在する場合には、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を全て、保有するデータベースにおいてペアの評価値の差分の総和を全て加算したものに加算し、各情報提供サーバから受信した統計情報内のサンプル数を全て保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数に加算し、以下同様に欠損値を補完する。すなわち、新たに情報提供サーバ101が存在するとき、数8のようになる。ここで、本実施形態の場合、対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数は、(Us2、Us1)、(Us2、Us3)の2通りとなるため、数8における分数の分母は、「2」となる。
【0081】
【数8】
【0082】
<アイテム推薦システムの処理>
図11を用いて、本実施形態に係るアイテム推薦システムの処理について説明する。
【0083】
まず、情報提供サーバは、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として生成し(ステップS201)、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する(ステップS202)。情報受領サーバは、統計情報を受信し(ステップS203)、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和と、保有するデータベースにおいて利用者のペアの評価値の差分の総和を全て加算したものを、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和に保有するデータベースにおいて対応する利用者のペアの評価値の差分の総和を算出したときのサンプル数を全て加算した値で除したものを、対応する利用者と他の全ての利用者とのペアについて総和を計算し、さらに、これを対応する利用者と他の全ての利用者とのペア数で除したものとを加算して、欠損値を補完する(ステップS204)。
【0084】
そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し(ステップS205)、判定したアイテムの情報を利用者に提示する(ステップS206)。
【0085】
以上、説明したように、本実施形態によれば、各情報提供サーバが、すべての利用者のペアについて、各ペアの評価値の差分の総和と総和を算出したときの各サンプル数とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、従来の技術のように、暗号化処理を行わないため、処理速度を向上させることができる。
【0086】
<第3の実施形態>
図12から図16を用いて、本発明の第3の実施形態に係るアイテム推薦システムについて説明する。
【0087】
<情報提供サーバの構成>
図12を用いて、本実施形態に係る情報提供サーバの構成について説明する。なお、本実施形態においては、情報提供サーバ100および情報受領サーバ200がともに、少なくともアイテムが共通するデータベース、いわゆる水平分割モデルのデータベースを保有している。
【0088】
図12に示すように、情報提供サーバ100は、統計情報生成部112と、統計情報送信部122とから構成されている。ここで、統計情報生成部112は、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する。統計情報送信部122は、統計情報生成部112が生成した統計情報を情報受領サーバ200に送信する。
【0089】
<情報受領サーバの構成>
図13を用いて、本実施形態に係る情報受領サーバの構成について説明する。
【0090】
図13に示すように、情報受領サーバ200は、統計情報受信部210と、補完部222と、判定部230と、提示部240とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は、省略する。
【0091】
補完部222は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。
【0092】
図14および図15のデータベースを用いて、補完について、具体的に説明する。
いま、情報受領サーバ200のデータベースにおける「Us4」、「It3」に対応する欠損値Val(4、3)を補完する場合について説明する。なお、図中、「*」は、欠損値を示す。
【0093】
まず、情報提供サーバ100は、図14において、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値を計算する。例えば、情報提供サーバ100の持つデータベースについて、「It1」と他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値Sum(1,100)は、数9のようになる。
【0094】
【数9】
【0095】
このときのサンプル数Num(1,100)=6と表す。
【0096】
情報提供サーバ100は、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、このときのサンプル数を復元不能に加工した統計情報として通知する。すなわち、((Sum(1,100)、Num(1,100)、(Sum(2,100)、Num(2,100)、(Sum(3,100)、Num(3,100)、(Sum(4,100)、Num(4,100))を統計情報として、情報受領サーバ200に送る。ここで、上記、それぞれの情報は、数10のようになる。
【0097】
【数10】
【0098】
情報受領サーバ200の補完部222は、保有するデータベース(図15)において、補完する欠損値に対応する利用者「Us4」の他のアイテムの評価値の平均値を数11のように、求める。
【0099】
【数11】
【0100】
次に、情報受領サーバ200の保有するデータベース(図15)において、「It3」と他のアイテムとの差分の総和Sum(3、200)を数12のように求める。
【0101】
【数12】
【0102】
このとき、Num(3,100)=4である。
【0103】
そして、数11の演算結果、数12から得られるSum(3、200)、Num(3,100)、受信したSum(3,100)およびNum(3,100)を用いて、数13から補完値を求める。なお、他の補完値についても同様の手順で演算を行う。
【0104】
【数13】
【0105】
情報提供サーバが複数存在する場合には、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応するアイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値を加算し、各情報提供サーバから受信したサンプル数を全て加算し、以下同様に欠損値を補完する。すなわち、新たに情報提供サーバ101が存在するとき、数14のようになる。
【0106】
【数14】
【0107】
<アイテム推薦システムの処理>
図16を用いて、本実施形態に係るアイテム推薦システムの処理について説明する。
【0108】
まず、情報提供サーバは、各アイテムについて、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全てのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し(ステップS301)、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する(ステップS302)。情報受領サーバは、統計情報を受信し(ステップS303)、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応する利用者の他のすべてのアイテムの評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定のアイテムと他のすべてのアイテムとのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する(ステップS304)。
【0109】
そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し(ステップS305)、判定したアイテムの情報を利用者に提示する(ステップS306)。
【0110】
以上、説明したように、本実施形態によれば、各情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0111】
<第4の実施形態>
図17から図21を用いて、本発明の第4の実施形態に係るアイテム推薦システムについて説明する。本実施形態は、第3の実施形態とデータベースの構成が異なり、少なくとも利用者が共通するデータベースを適用する場合について、説明する。なお、システム構成は、第1の実施形と同様であるため、ここでの詳細な説明は、省略する。
【0112】
<情報提供サーバの構成>
図17を用いて、本実施形態に係る情報提供サーバの構成について説明する。なお、本実施形態においては、情報提供サーバ100および情報受領サーバ200がともに、少なくとも利用者が共通するデータベース、いわゆる垂直分割モデルのデータベースを保有している。
【0113】
図17に示すように、情報提供サーバ100は、統計情報生成部113と、統計情報送信部123とから構成されている。ここで、統計情報生成部113は、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成する。統計情報送信部123は、統計情報生成部113が生成した統計情報を情報受領サーバ200に送信する。
【0114】
<情報受領サーバの構成>
図18を用いて、本実施形態に係る情報受領サーバの構成について説明する。
【0115】
図18に示すように、情報受領サーバ200は、統計情報受信部210と、補完部223と、判定部230と、提示部240とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は、省略する。
【0116】
補完部223は、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する。
【0117】
図19および図20のデータベースを用いて、補完について、具体的に説明する。なお、本実施形態においては、図19(A)および図20(A)のデータベースのアイテムと利用者とを入れ替えた図19(B)および図20(B)を用いて、補完処理を行う。
いま、情報受領サーバ200のデータベースにおける「Us2」、「It4」に対応する欠損値Val(2,4)を補完する場合について説明する。なお、図中、「*」は、欠損値を示す。
【0118】
まず、情報提供サーバ100は、図19(B)において、各利用者について、他の全ての利用者と他の利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値を計算する。例えば、情報提供サーバ100の持つデータベースについて、「Us1」と他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらを全て足し合わせた値Sum(1、100)は、数15のようになる。
【0119】
【数15】
【0120】
このときのサンプル数Num(1,100)=4と表す。
【0121】
情報提供サーバ100は、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、このときのサンプル数を復元不能に加工した統計情報として通知する。すなわち、((Sum(1,100)、Num(1,100)、(Sum(2,100)、Num(2,100)、(Sum(3,100)、Num(3,100))を統計情報として、情報受領サーバ200に送る。これらの情報は、数16のようになる。
【0122】
Sum(2,100)=(P50−P53))+(P52−P54)+(P56−P54)
Num(2,100)=3
Sum(3,100)=Sum3=(P51−P55)+(P52−P56)+(P54−P56)
Num(3,100)=3
【0123】
情報受領サーバ200の補完部223は、保有するデータベース(図19(B))において、補完する欠損値に対応するアイテム「It4」の他の利用者の評価値の平均値を数16のように、求める。
【0124】
【数16】
【0125】
次に、情報受領サーバ200の保有するデータベース(図20(B))において、「Us2」と他の利用者との差分の総和Sum(2、200)を数17のように求める。
【0126】
【数17】
【0127】
このとき、Num(2,200)=3である。
【0128】
そして、数16の演算結果、数17から得られるSum(2、200)、Num(2,100)、受信したSum(2、100)およびNum(2,100)を用いて、数18から補完値を求める。なお、他の補完値についても同様の手順で演算を行う。
【0129】
【数18】
【0130】
情報提供サーバが複数存在する場合には、各情報提供サーバから受信した統計情報内の欠損値に対応する利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値を加算し、各情報提供サーバから受信したサンプル数を全て加算し、以下同様に欠損値を補完する。すなわち、新たに情報提供サーバ101が存在するとき、数19のようになる。
【0131】
【数19】
【0132】
<アイテム推薦システムの処理>
図21を用いて、本実施形態に係るアイテム推薦システムの処理について説明する。
【0133】
まず、各情報提供サーバは、保有するデータベースにおいて、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として生成し(ステップS401)、生成した統計情報を情報受領サーバに送信する(ステップS402)。情報受領サーバは、統計情報を受信し(ステップS403)、保有するデータベースにおいて、補完する欠損値に対応するアイテムの他のすべての利用者の評価値の平均値と、保有するデータベースにおいて対応する特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、各情報提供サーバから受信した特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値とを加算したものを分子に、特定の利用者と他のすべての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和と、各情報提供サーバから受信したサンプル数の総和とを加算したものを分母としたときの値を用いて、欠損値を補完する(ステップS404)。
【0134】
そして、補完されたデータベースを用いて、各利用者に対して、有用と推測されるアイテムを判定し(ステップS405)、判定したアイテムの情報を利用者に提示する(ステップS406)。
【0135】
以上、説明したように、本実施形態によれば、各情報提供サーバが、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求め、これらをすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工した統計情報として、情報受領サーバに送信し、この情報を用いて、利用者にアイテムの推薦を行うため、利用者のプライバシを保護しつつ、適切なアイテムを利用者に推薦することができる。また、情報提供サーバが、情報受領サーバに送信する統計情報が、各利用者について、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和をすべて足し合わせた値と、他の全ての利用者とのペアの評価値の差分の総和を求めたときのサンプル数の総和とを復元不能に加工したものであり、また、暗号化処理を行っていないため、処理速度を向上させることができる。
【0136】
なお、アイテム推薦システムの処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報提供サーバ、情報受領サーバに読み込ませ、実行することによって本発明のアイテム推薦システムを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0137】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0138】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0139】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、本実施形態においては、情報提供サーバの数を限定しなかったが、複数であることが好ましい。
【符号の説明】
【0140】
100;情報提供サーバ
200;情報受領サーバ
110;統計情報生成部
111;統計情報生成部
112;統計情報生成部
113;統計情報生成部
120;統計情報送信部
121;統計情報送信部
122;統計情報送信部
123;統計情報送信部
210;統計情報受信部
220;補完部
221;補完部
222;補完部
223;補完部
230;判定部
240:提示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21