特許第5944256号(P5944256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944256
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】防水ボックス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20160621BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20160621BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20160621BHJP
【FI】
   H02G3/14
   H05K5/02 L
   !B60R16/02 610B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-164337(P2012-164337)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-27723(P2014-27723A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】上山 浩二
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−111223(JP,U)
【文献】 実開昭56−136434(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H05K 5/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、該本体ケースの開口を覆うように該本体ケースに取り付けられるカバーと、を備え、前記本体ケースの周壁が、外壁と内壁とを有する二重壁構造とされており、前記カバーと前記外壁との合わせ目から浸入した液体が、前記外壁と前記内壁との間を通されて前記本体ケース外に排水される防水ボックスにおいて、
前記本体ケースに、前記外壁と前記内壁との間隔が異なる幅広部と幅狭部が、前記幅広部における間隔が前記幅狭部における間隔よりも広くなるように形成されており、
前記内壁が前記幅広部の端部から外側かつ前記幅狭部の端部から内側に折れ曲がった繋ぎ部を有しているか、又は、前記外壁が前記幅広部の端部から内側かつ前記幅狭部の端部から外側に折れ曲がった繋ぎ部を有している
ことを特徴とする防水ボックス。
【請求項2】
前記カバーの周壁が外壁と内壁とを有する二重壁構造とされており、
前記カバーの内壁が、前記本体ケースの外壁と内壁との間に位置づけられ、前記カバーの外壁が、前記本体ケースの外壁の外側に位置づけられることを特徴とする請求項1に記載の防水ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される電気接続箱等に用いられる防水ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には多種多様な電子機器が搭載されている。これら多種多様な電子機器に電力供給及び信号伝達を行うために、前記自動車には、適宜箇所に電気接続箱が配置されている。この電気接続箱は、雨天走行時や洗車時において内部に水が浸入するのを防止するために防水ボックスを用いている。防水ボックスは、様々な構造のものがあるが、例えば、複数の電気部品を収容する本体ケースと、本体ケースの開口を覆うカバーと、を備えたものが一般的である(特許文献1を参照。)。また、図8は従来の電気接続箱に用いられている防水ボックスの本体ケースを示す平面図である。
【0003】
図8に示す本体ケース303は、合成樹脂で構成されており、枠状の周壁339を備えている。この本体ケース303の開口は、図示しない合成樹脂製のカバーで覆われる。また、周壁339は、外壁331と内壁332とを有する二重壁構造とされており、前記カバーと外壁331との合わせ目から浸入した水が、外壁331と内壁332との間を通されて本体ケース303外に排水される構造になっている。すなわち、前述した本体ケース303とカバーを備えた防水ボックスは、パッキンを使用せず、周壁339を二重壁構造とすることによって、電気部品に水がかかるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−216648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8の本体ケース303を備えた防水ボックスは、水量が多い場合、二重壁からの排水が追い付かないことがあるという問題があった。また、排水量を多くするためには、二重壁の外壁331と内壁332との間隔を広げれば良いが、そうすると、本体ケース303の剛性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、本体ケースの剛性を低下させることなく、二重壁からの排水量を増加させることができる防水ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、本体ケースと、該本体ケースの開口を覆うように該本体ケースに取り付けられるカバーと、を備え、前記本体ケースの周壁が、外壁と内壁とを有する二重壁構造とされており、前記カバーと前記外壁との合わせ目から浸入した液体が、前記外壁と前記内壁との間を通されて前記本体ケース外に排水される防水ボックスにおいて、前記本体ケースに、前記外壁と前記内壁との間隔が異なる幅広部と幅狭部が、前記幅広部における間隔が前記幅狭部における間隔よりも広くなるように形成されており、前記内壁が前記幅広部の端部から外側かつ前記幅狭部の端部から内側に折れ曲がった繋ぎ部を有しているか、又は、前記外壁が前記幅広部の端部から内側かつ前記幅狭部の端部から外側に折れ曲がった繋ぎ部を有していることを特徴とする防水ボックスである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、前記カバーの周壁が外壁と内壁とを有する二重壁構造とされており、前記カバーの内壁が、前記本体ケースの外壁と内壁との間に位置づけられ、前記カバーの外壁が、前記本体ケースの外壁の外側に位置づけられることを特徴とする請求項1に記載の防水ボックスである。また、参考発明1は、請求項1に記載の防水ボックスを備えていることを特徴とする電気接続箱である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明によれば、前記本体ケースに、前記外壁と前記内壁との間隔が異なる幅広部と幅狭部が、前記幅広部における間隔が前記幅狭部における間隔よりも広くなるように形成されており、前記内壁が前記幅広部の端部から外側かつ前記幅狭部の端部から内側に折れ曲がった繋ぎ部を有しているか、又は、前記外壁が前記幅広部の端部から内側かつ前記幅狭部の端部から外側に折れ曲がった繋ぎ部を有しているので、周壁の外壁又は内壁が断面クランク形状となり、周壁の外壁又は内壁が平坦面である場合よりも剛性を高くすることができる。よって、本体ケースの剛性を低下させることなく、二重壁からの排水量を増加させることができる防水ボックスを提供することができる。
【0010】
参考発明1によれば、請求項1に記載の防水ボックスを備えているので、剛性が高く防水性能が高い電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる防水ボックスを備えた電気接続箱を示す斜視図である。
図2図1に示された電気接続箱の分解図である。
図3図2に示された本体ケースの平面図である。
図4図1に示された電気接続箱の幅狭部における断面を示す図である。
図5図4の要部を拡大した断面図である。
図6図1に示された電気接続箱の幅広部における断面を示す図である。
図7図6の要部を拡大した断面図である。
図8】従来の電気接続箱に用いられている防水ボックスの本体ケースを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる「防水ボックス」及びそれを備えた「電気接続箱」を図1〜7を参照して説明する。また、「電気接続箱」は、自動車に搭載されて、前記自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。また、本発明では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックスとも言う。)、ヒューズブロック(ヒューズボックスとも言う。)、リレーブロック(リレーボックスとも言う。)を、総称して以下電気接続箱と呼ぶ。
【0013】
図1,2に示すように、電気接続箱10は、防水ボックス1と、この防水ボックス1内に取り付けられる合成樹脂製のカセットブロック5と、このカセットブロック5に装着される複数の電気部品11,12,13(図4,6に示す。)と、を備えている。
【0014】
上記防水ボックス1は、本体ケース3と、該本体ケース3の上面側の開口30aを覆うように該本体ケース3に取り付けられるアッパカバー2(特許請求の範囲の「カバー」に相当する。)と、本体ケース3の下面側の開口30bを覆うように該本体ケース3に取り付けられるロアカバー4と、を備えている。これら本体ケース3、アッパカバー2、ロアカバー4は、それぞれ、絶縁性の合成樹脂によって構成されており、周知の射出成形によって形成されている。
【0015】
上記本体ケース3は、上面側と下面側とに開口30a,30bが設けられた枠状の周壁39と、この周壁39の内側を仕切った仕切り壁38と、周壁39に設けられた複数のロック受け部36,37と、を備えている。また、周壁39は、周壁本体39aと、この周壁本体39aに形成された切り欠き35に装着されるサイドカバー39bと、で構成されている。前記ロック受け部36は、アッパカバー2に設けられたロック部26と係止する。また、前記ロック受け部37は、ロアカバー4に設けられたロック部47と係止する。
【0016】
上記アッパカバー2は、天井壁28と、天井壁28の外縁から立設した周壁29と、周壁29に設けられた複数のロック部26と、を備えている。
【0017】
続いて、防水ボックス1の防水構造について詳細に説明する。防水ボックス1は、パッキンを使用することなく防水性の向上を図るため、図3〜7に示すように、本体ケース3の周壁39が、全周に亘って、外壁31と内壁32とを有する二重壁構造になっている。アッパカバー2も同様に、周壁29が、全周に亘って、外壁21と内壁22とを有する二重壁構造になっている。そして、アッパカバー2が本体ケース3に取り付けられた状態で、アッパカバー2の外壁21よりも内側に本体ケース3の外壁31が位置付けられ、本体ケース3の外壁31よりも内側にアッパカバー2の内壁22が位置付けられ、アッパカバー2の内壁22よりも内側に本体ケース3の内壁32が位置付けられている。また、アッパカバー2の外壁21先端、及び、本体ケース3の外壁31上端は、互いに当接する段付き形状となっている。
【0018】
上記防水ボックス1は、アッパカバー2の外壁21先端及び本体ケース3の外壁31上端に設けられた段付き形状によって水が浸入しにくい構造となっているが、これら外壁21と外壁31との合わせ目(図4〜7において点線で囲んだA部である。)から水が浸入した場合でも、その水が外壁31と内壁32との間を通されてロアカバー4側に排水されるようになっている。また、ロアカバー4側に排水された水は、図示しない水抜き孔から防水ボックス1外に排水される。
【0019】
さらに、防水ボックス1は、車両の前方側に配置される部分が特に水がかかり易い部位であることから、前記特に水がかかり易い部位に位置する本体ケース3の周壁39が以下の構造になっている。すなわち、図3に示すように、本体ケース3の周壁39のうち車両の前方側に配置される一辺には、外壁31と内壁32との間隔h2が他辺と同程度である幅狭部7と、外壁31と内壁32との間隔h1が幅狭部7よりも広い幅広部6と、が形成されている。また、幅広部6の間隔h1は、幅狭部7の間隔h2の約2倍である。このような幅広部6を形成することで二重壁からの排水量を増加させることができるので、電気部品11,12,13に水がかかることを確実に防止できる。
【0020】
また、幅広部6と幅狭部7を構成する内壁32は、幅広部6の端部からケース本体3の外側かつ幅狭部7の端部からケース本体3の内側に折れ曲がった繋ぎ部8を有している。このことにより、内壁32が断面クランク形状となり、内壁32が平坦面である場合よりも本体ケース3の剛性を高くすることができる。よって、車両追突などの衝撃に対しても、本体ケース3内部のカセットブロック5を保護することができる。さらに、この内壁32は、カセットブロック5との間に隙間を作らないように、カセットブロック5の輪郭に沿って断面クランク形状に折れ曲がっている。このことにより、振動によるカセットブロック5のガタつきを吸収することができる。
【0021】
このように、防水ボックス1においては、二重壁からの排水量を増加させたい箇所に幅広部6と幅狭部7とを形成して内壁32の断面形状がクランク形状となるようにしているので、本体ケース3の剛性を低下させることなく、二重壁からの排水量を増加させることができる。
【0022】
また、幅広部6と幅狭部7を構成する外壁31は平坦面となっているが、本発明においては、内壁32を断面クランク形状とする代わりに外壁31を断面クランク形状として幅広部6と幅狭部7を形成しても良いし、内壁32と外壁31の両方を断面クランク形状として幅広部6と幅狭部7を形成しても良い。すなわち、外壁31が幅広部6の端部から本体ケース3の内側かつ幅狭部7の端部から本体ケース3の外側に折れ曲がった繋ぎ部を有していても良い。
【0023】
また、本実施形態の防水ボックス1は、アッパカバー2を本体ケース3にまっすぐに取り付ける構造であるが、本発明においては、カバーの一端を本体ケースに係合させた状態で該一端を中心としながらカバーを回動させて、該カバーを本体ケースに取り付ける構造であっても良い。
【0024】
また、上述した実施形態では、防水ボックス1が電気接続箱10に用いられる例を説明したが、本発明の防水ボックスは電気接続箱以外に用いることも可能である。
【0025】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 防水ボックス
2 アッパカバー(カバー)
3 本体ケース
6 幅広部
7 幅狭部
8 繋ぎ部
10 電気接続部
31 外壁
32 内壁
39 周壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8