(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944272
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】廃蒸気解消装置
(51)【国際特許分類】
F28B 3/00 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
F28B3/00
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-191801(P2012-191801)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47983(P2014-47983A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】森井 高之
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭57−10995(JP,B2)
【文献】
実開平5−21118(JP,U)
【文献】
特開2004−106251(JP,A)
【文献】
特開昭63−207941(JP,A)
【文献】
特開平7−303877(JP,A)
【文献】
特開2002−371861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 1/00 − 11/00
F28B 1/00 − 3/18
B01D 5/00
F23J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気使用装置から排出された廃蒸気を解消する廃蒸気解消装置であって、
前記廃蒸気に第1面方向を向けた状態で配置された円環状のリング部と、
前記リング部に内蔵された複数のノズルと、
前記リング部と接続され前記ノズルから圧縮空気を排出させる圧縮空気供給管と、
前記リング部の第1面方向とは反対の第2面方向に配置された冷却フィンと
を備える廃蒸気解消装置。
【請求項2】
前記圧縮空気供給管を通過する圧縮空気を加熱する加熱器をさらに備える請求項1に記載の廃蒸気解消装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気蒸し器やスチームオーブンやシュリンクトンネル等の蒸気使用装置からモヤモヤと立ち昇る廃蒸気を解消する廃蒸気解消装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃蒸気解消装置の一例としては、廃液処理装置にヒートポンプを連通して、当該ヒートポンプで廃液の蒸発物を冷却して液化させることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−303877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の廃蒸気解消装置においては、廃蒸気を確実に液化することができない問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、廃蒸気を確実に解消することのできる廃蒸気解消装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蒸気使用装置から排出されるモヤモヤと立ち昇る廃蒸気を解消するものにおいて、立ち昇る廃蒸気の近傍に円環状のリング部を配置して、当該リング部に複数のノズルを内蔵し、当該複数のノズルに圧縮空気供給管を接続すると共に、円環状のリング部の背後に冷却フィンを配置したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の廃蒸気解消装置は、円環状のリング部に複数のノズルを内蔵して、この複数のノズルに圧縮空気供給管を接続したことによって、ノズルから排出される高圧の圧縮空気がベルヌーイの定理に基き円環状のリング部の全体で空気流れを発生して、立ち昇る廃蒸気を吸引して廃蒸気と空気を混合して廃蒸気の温度を低下させて廃蒸気を減少させ、更に、残った廃蒸気は円環状のリング部の背後に配置した冷却フィンで冷却されてモヤモヤと立ち昇る廃蒸気を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の廃蒸気解消装置の実施例を示す構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、円環状のリング部に複数のノズルを内蔵するものであるが、この複数のノズルは、リング部に等配に配置し、あるいは、等配ではなく適宜の位置に配置することができる。
【実施例1】
【0010】
蒸気使用装置1の上部に配置したヒートポンプの凝縮器2と、蒸気使用装置1の右側近傍に配置した円環状のリング部3、この円環状のリング部3と接続した圧縮空気供給管4、及び、円環状のリング部3の背後に配置した冷却フィン部5とで廃蒸気解消装置を構成する。
【0011】
蒸気使用装置1の右側近傍に配置した円環状のリング部3には図示はしないが複数のノズルを冷却フィン部5側に向けて内蔵する。円環状のリング部3の上端に圧縮空気供給管4を接続して、内蔵した複数のノズルから高圧の圧縮空気が冷却フィン部5側へ排出されるようにする。
【0012】
圧縮空気供給管4は、ヒートポンプの凝縮器2を通過させることによって、内部を通過する圧縮空気を所定温度まで加熱してリング部3の複数のノズルに供給することができるものである。
【0013】
円環状のリング部3の背後に配置した冷却フィン部5は、図示はしないが多数枚の冷却フィンを格子状に、且つ、多層状に内蔵する。冷却フィン部5の出口6は、大気と連通する大気開放状態とする。
【0014】
円環状のリング部3の複数のノズルに圧縮空気供給管4から高圧の圧縮空気を供給することによって、ノズルから排出される高圧の圧縮空気がベルヌーイの定理に基き円環状のリング部3の全体で空気流れを発生して、蒸気使用装置1から排出される矢印7で示す廃蒸気を吸引して廃蒸気と空気を混合し、廃蒸気の温度を低下させて廃蒸気を減少させ、更に、残った廃蒸気は円環状のリング部3の背後に配置した冷却フィン部5で冷却されてモヤモヤと立ち昇る廃蒸気を無くすことができる。
【0015】
円環状のリング部3の複数のノズルから供給する圧縮空気の圧力を、蒸気使用装置1で発生する廃蒸気の量に応じて、高くしたり低くして適宜に制御することによって、周囲からの空気の吸引量をできる限り少なくして、廃蒸気を優先的に吸引することができ、廃蒸気をより確実に解消することができる。このように供給する圧縮空気の圧力を適宜に制御することは、圧縮空気供給管4に取り付けたバルブの弁開度を大きくしたり小さくすることによって任意に調節することができる。
【0016】
圧縮空気供給管4は、ヒートポンプの凝縮器2を通過させることによって、内部を通過する圧縮空気を所定温度まで加熱してリング部3の複数のノズルに供給することができ、温まった温風で廃蒸気と混合することによって、廃蒸気の湿度が低下してモヤモヤと立ち昇る廃蒸気をより効果的に無くすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、蒸気蒸し器やスチームオーブンやシュリンクトンネル等の蒸気使用装置からモヤモヤと立ち昇る廃蒸気を解消する廃蒸気解消装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 蒸気使用装置
2 凝縮器
3 円環状のリング部
4 圧縮空気供給管
5 冷却フィン部