【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明に係る口腔疾患の治療剤の実施例に関し、項目順に説明する。すなわち、スギ葉精油,グリセリン,アルギン酸ナトリウム,アロエ葉肉エキス等を成分とし、前述した処方,製造方法によりジェル剤化された本発明実施例ジェル等に関し、次の1〜9の項目順に説明する。
なお、項目1〜4は基礎研究に関し、項目5〜9は臨床研究に関する。
1.抗菌性試験(スギ葉精油)
2.抗菌性試験(本発明実施例ジェル等)
3.安定性試験
4.粘度および硬度測定
5.歯科医師による口腔内所見
6.口腔内環境検査(日和見感染菌)
7.唾液量測定
8.アンケート調査
9.臨床写真
【0042】
《基礎研究について》
多くの高齢者が入居している要介護老人施設においては、例えば日和見感染菌に感染しやすい環境下にある。そこで、口腔内日和見感染菌を対象に、次の各試験を実施した。
・試験項目
項目1.抗菌性試験(スギ葉精油)
項目2.抗菌性試験(本発明実施例ジェル等)
項目3.安定性試験
・日和見感染の原因菌(代表的5種の菌種について試験した)
黄色ブドウ球菌 メチシリン耐性(MRSA)
:Staphylococcus aureus
黄色ブドウ球菌 メチシリン感受性(MSSA)
:Staphylococcus aureus
緑膿菌(Ps):Pseudomonas aeruginosa
肺炎桿菌(K.p):Klebsiella pneumonia
セラチア菌(S.m):Serratia marcescens
・培地:BHI(ブレイン・ハート・インフュージョン)培地,MHB(ミューラー・ヒ
ントン・ブロス)培地,寒天培地(すべて米国BECTON DICKNSON社
製)
・菌株:MRSA(臨床分離株),MSSA(EDA209P),Ps(PA01),K
.p(K.p),S.m(S.m)の5種類
【0043】
《1.抗菌性試験(スギ葉精油)》
まず、スギ葉精油の抗菌性試験として、日本化学療法学会「微量液体希釈法によるMIC測定法」に準じてスギ葉精油の最小発育阻止濃度(MIC:minimum inhibitory concentration)を測定した。
すなわち、スギ葉精油の濃度が0〜10%(体積)になるように、スギ葉精油と可溶化剤(DMSO:dimethyl sulfoxide)と培地を混合し、ミキサーで攪拌後これを100μLずつ96穴プレートに充填した。その後、滅菌生理食塩水で菌量が10
5cfu/mLになるように調製した試験菌液5μLを加え、37℃で24時間培養した。培養後、菌の発育の有無を肉眼で観察し、MICを測定した。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2の結果からスギ葉精油には、日和見感染の原因菌(MRSA,Ps,K.p,S.m)に対して抗菌作用が認められた。
抗菌性試験(スギ葉精油)については、以上のとおり。
【0046】
《2.抗菌性試験(本発明実施例ジェル等)》
抗菌性試験2として、カップ法を用いて、本発明実施例ジェル、その他の試料について抗菌性試験を実施した。日和見感染原因菌については、段落番号0042欄を参照。試料として次の4種類のジェルを調製し、用いた。
・試料A:スギ葉精油有,アロエ葉肉エキス有,グリセリン有,アルギン酸ナトリウム有
(本発明実施例ジェル)
・試料B:スギ葉精油有,アロエ葉肉エキス無,グリセリン有,アルギン酸ナトリウム有
・試料C:スギ葉精油無,アロエ葉肉エキス無,グリセリン有,アルギン酸ナトリウム有
・試料D:スギ葉精油無,アロエ葉肉エキス有,グリセリン有,アルギン酸ナトリウム有
具体的には、段落番号0043欄同様に調製した試験菌5μLを滅菌綿棒にて寒天培地に塗布し、円形のウエル(直径3mm)をあけ、ここに試料A,B,C,Dをいれて37℃で、24時間培養した。培養後、阻止円の有無と阻止円の直径を計測し抗菌性を確認した。
その結果を、下記表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表3において、抗菌性は阻止円の有無および大きさで判断される。試料AはMRSAに対して8mm、Psに対して5mm、K.pに対して7mm、およびS.mに対して7mmの阻止円を形成し、本発明実施例ジェルの抗菌性が確認された。また試料BはMRSAに対して10mm、Psに対して5mm、K.pに対して7mm、S.mに対して7mmであった。一方、スギ葉精油を含有しない試料CおよびDについては、いずれの試験菌に対しても発育阻止作用は認められなかった。
これらにより、アロエ葉肉エキスに関しては、抗菌性が見られないことが判明した。又、アルギン酸ナトリウムの溶解に用いたエタノール量では、エタノールの抗菌性も見られなかった。
結論として、本発明実施例ジェル(試料A)の抗菌性が、スギ葉精油によるものであることが、裏付けられた。
抗菌性試験(本発明実施例ジェル等)については、以上のとおり。
【0049】
《3.安定性試験》
安定性試験は、本発明実施例ジェル1種類について、段落番号0046欄同様カップ法を用いて行った。
すなわち、臨床現場での使用を想定し、調製された本発明実施例ジェルを試料として、その保存状態,保存期間を検討した。なお日和見感染の原因菌等については、段落番号0042欄を参照。
・保存状態:冷凍マイナス20℃,冷蔵4℃,室温20℃の3パターン
・保存期間:調製直後から1ヵ月間(4週間)
その結果を、下記表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
表4において、抗菌性は阻止円の有無および大きさで判断される。本発明実施例ジェルは、冷凍保存では塊ができていたが、MRSAに対しては試料調製後から1か月後まで阻止円形成を認めた。しかし、それ以外の試験菌については阻止円の形成が不明瞭であった。これに対し、冷蔵保存および室温保存した本発明実施例ジェルは、MSSAを除きMRSA,Ps,K.pおよびS.mの4種類の試験菌に対して調製直後から1か月後まで阻止円形成が認められた。また、阻止円の大きさに変化は認められなかった。
結論として、本発明実施例ジェルの保存は、冷蔵保存または室温保存が適していることが判った。また、スギ葉精油の抗菌性(段落番号0048欄)に基づき阻止円の大きさに変化が見られなかったことから、本発明実施例ジェルは、保存剤を添加せずとも、冷蔵または室温保存にて調製後一か月間は安定的に使用可能であることが認められた。
安定性試験については、以上のとおり。
【0052】
《4.粘度および硬度測定》
粘度および硬度測定については、次のとおり。機器を使用して、本発明実施例ジェル等の試料について、粘度および硬度を測定した。
すなわち、ジェルの基剤がのび、たれなどの使用感等に影響を与えることに鑑み、その粘度を粘度計HADV2、硬度を光度計TA−XTplusを用いて測定した。そしてまず、次の4種類の試料を調製,準備した。すなわち、4種のジェル基剤を、それぞれスギ葉精油やアルギン酸ナトリウムと共に用いた試料1,2,3,4を、調製,準備した。
・試料1:ジェル基剤を、グリセリン+アロエ葉肉エキス(1.2:1.1,V/V)と
したもの(つまり本発明実施例ジェル)
・試料2:ジェル基剤を、10%キサンタンガム(水に溶解)としたもの
・試料3:ジェル基剤を、グリセリンとしたもの
・試料4:ジェル基剤を、5%キサンタンガム(水に溶解)としたもの
【0053】
まず、粘度については、次のとおり。粘度測定結果を
図1に示す。
すなわち、室温25℃で回転数を上昇させながら、各回転数(rpm)における粘度値(mPa−s)を求めた。
その結果
図1に示したように、どの回転数においても、粘度値は、試料2>試料1>試料4>試料3の順となり、試料1(ジェル基剤をグリセリンとアロエ葉肉エキスとしたもの)および試料4(ジェル基剤を5%キサンタンガムとしたもの)とが、ジェルとして適切な粘度(回転数10rpmで粘度25,360mPa−s〜33,120mPa−s)となった。
次に、硬度の測定結果を、下記表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
硬度については、次のとおり。硬度測定結果は、上記表5に示したように、最大荷重値で、試料2>試料1>試料4>試料3の順となった。そして、試料1(ジェル基剤をグリセリンとアロエ葉肉エキスとしたもの)と、試料4(ジェル基剤を5%キサンタンガムとしたもの)とが、固すぎないと共に軟らかすぎないジェルとして適切な硬度であった(最大荷重値約20g前後程度)。
機器を用いて測定した粘度および硬度から、ジェル基剤としてはアロエ葉肉エキスと5%キサンタンガムが適切であった。しかし、使用感の良さから、ジェル基剤としてアロエ葉肉エキスを採用した。
粘度および硬度測定については、以上のとおり。
【0056】
《臨床研究について》
本研究は、ヘルシンキ宣言に則り昭和薬科大学研究倫理委員会の承認のもとに実施した。要介護施設(T大学老人保健センター)に入所中の施設利用者のうち、書面にて本人または家族の同意が得られた10名を対象者(以下被験者)として、以下の臨床調査を実施した。
・被験者I群:胃瘻造設患者7名(平均年齢86±8.3才)
被験者II群:健常者(自分の口で咀嚼できる患者)3名(平均年齢81±2.5才)
・調査期間:2012年4月1日から〜2012年8月31日
・調査項目:以下の各項目
項目5.歯科医師による口腔内所見
項目6.口腔内環境検査(日和見感染菌)
項目7.唾液量測定
項目8.アンケート調査
項目9.臨床写真
・調査実施方法:
a.被験者I群および被験者II群について事前に、上腕部にて24時間のパッチテスト
を行い、アレルギーの有無を確認した。
b.看護師や介護士は、予め手術用手袋を両手に装着し、被験者I群および被験者II群
について朝昼夕食後、まず通常の口腔ケア(水を含ませたガーゼによる拭き取り)を
実施した。
c.そしてその直後、1回2mLの本発明実施例ジェルを、被験者I群および被験者II
群の口腔内全体に、まんべんなく塗布した。
d.被験者I群および被験者II群について、塗布後2時間は飲食を原則禁止すると共に
、2時間後に残った本発明実施例ジェルはガーゼにて拭き取った。
e.これを14日間にわたって、実施した。その後は、本発明実施例ジェルの塗布を中
止した。
【0057】
《5.歯科医師による口腔内所見》
まず、歯科医師による口腔内所見については、次のとおり。
歯科医師による定期健診を、被験者I群および被験者II群について週1回実施し、舌苔、口唇乾燥、口臭、唾液の分泌等の項目についてVAS法(目視法)にて観察し評価した。
図2に被験者I群(胃瘻造設患者7名)の結果を示した。図中、縦軸の口腔環境スコアについては、各調査項目について、それぞれ最も良好なもののスコアを1点とし、順次悪くなるに従ってスコアを1点ずつ増加させ、不良つまり最悪なもののスコアを5点とすると共に、各被験者の口腔環境スコアを平均値±標準偏差で示した。横軸には、調査日をとった。
塗布10日目には、大幅な改善が見られた。得られた各スコアについて有意差検定(t検定)を行ったところ、口唇乾燥(p<0.001)、唾液分泌(p<0.001)、舌苔(p<0.01)および口臭(p<0.05)となり、塗布前に比べ塗布10日目ではスコアの有意な減少が認められた。
また被験者II群では、唾液分泌について塗布前(3.0±0.47)と塗布10日目(2.3±0.47)でスコアの減少が認められた。
このように、本発明実施例ジェルの唾液分泌促進効果や口腔疾患治療効果が、裏付けられた。
歯科医師による口腔内所見については、以上のとおり。
【0058】
《6.口腔内環境検査(日和見感染菌)》
次に、口腔内環境検査(日和見感染菌)については、次のとおり。
例えば高齢者の誤嚥性肺炎の原因とされている口腔内微生物について、簡易検査法である日和見感染菌検査キットを用い、本発明実施例ジェルの塗布前,塗布3日目について、各被験者(I群およびII群)の口腔内検査を実施した。
・日和見感染菌検査キット:東京都渋谷区千駄ヶ谷5−21−3 株式会社ビー・エム・
エル製
・日和見感染菌:MRSA(黄色ブドウ球菌),緑膿菌(Ps),セラチア菌(S.m)
,β溶連菌
・試料採取:まず、各被験者の左上顎臼歯部,相当部,頬側歯頸部の歯垢を、スワブの滅
菌キャップ付綿棒で数回(5往復)擦過した。そして更に、綿棒を180度回転し、数
回(5往復)擦過後、チューブ投入した。採取した試料は、検査室(上記ビ・エム・エ
ル社検査室)にて、判定した。
・塗布前の試料採取:試料の採取は、本発明実施例ジェルの塗布前については、各被験者
の夕食後において、通常の口腔ケアを行ってから2時間経過後に、同一看護師が採取し
た。
・塗布後の試料採取:試料の採取は、各被験者の夕食後において、通常の口腔ケアを行う
と共に、本発明実施例ジェルを塗布してから2時間経過後に、同一看護師が採取した。
その検査結果を、下記表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
簡易検査法である日和見感染菌キットにおける評価を、以下に示す。
被験者の口腔内から採取した試料1mLにおいて、(+1)は菌数10
3/mL、(+2)は10
4/mL、(+3)は10
5〜/mL、マイナス(−)は10
3/mL以下である。菌数が多いほど、また菌種が多いほど、日和見感染症を惹起しやすい口腔内環境と言える。塗布前の検査結果では、被験者I群(胃瘻造設患者)7名中6名において、最低1種類以上の日和見感染菌の存在を認めた。しかし、本発明実施例ジェルを塗布したところ、塗布3日目の検査では、被験者I群6名に明らかな菌数の減少が認められた。
(なお3日目以降、本発明実施例ジェルの塗布を続けると、その効果により唾液量が増加し、もって塗布した本発明実施例ジェルの希釈化,流動化が進行した。そこで、その影響に鑑み、今回の日和見感染菌検査の調査対象からは除外した。)
このように検査の結果、塗布3日目には、本発明実施例ジェルが抗菌作用を発揮することが確認され、本発明実施例ジェルのスギ葉精油による抗菌性が裏付けられた。
口腔内検査(日和見感染菌)については、以上のとおり。
【0061】
《7.唾液量測定》
次に、唾液量測定については、次のとおり。
唾液湿潤検査紙を用い、本発明実施例ジェルの塗布前,塗布3日目について被験者I群の唾液量測定を実施した。
すなわち文献によると、近年、高齢者の3人に1人が口腔乾燥感自覚しているとされている。そして胃瘻造設患者においては、口腔を使用しないことからの機能低下による廃用症候群により、唾液分泌が低下し、口腔乾燥,口唇痂皮により出血が見られるケースも多い。そこで、要介護高齢者や障害者の唾液量測定に有用とされる唾液湿潤検査紙を用いて、唾液量の測定を実施した。
・測定方法:本発明実施例ジェルの塗布前と塗布3日後に、各被験者の舌背部で、10秒
間測定
・唾液湿潤検査紙:神奈川県横浜市神奈川区大口仲町7−9 KISOサイエンス株式会
社製の唾液湿潤検査紙キソウウエット
その測定結果を、下記表7および
図3の(1)図に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
測定の結果は、表7および
図3の(1)に示したように、まず、本発明実施例ジェル塗布前は、被験者である胃瘻造設患者7名中5名は、唾液量が1mm以下であり、歯科医師の定期健診時において、重度乾燥症と診断されていた。この時の7名全員の平均唾液量は0.24mmであり、重度乾燥症である。
これに対し、本発明実施例ジェルを塗布すると、塗布3日目で、胃瘻造設患者7名全員の唾液分泌量が3mm〜7mmに増え大幅な改善が見られた。塗布後の平均唾液量は5mmとなり、文献から正常範囲(3mm以上)の唾液量と判断されるに至った。
なお、下記表8は、被験者II群(健常者:自分の口で咀嚼できる人)3名を対象に、段落番号0061欄に準じ、唾液量を測定した結果である。このように、胃瘻造設患者だけでなく自分の口で咀嚼できる健常者についても、本発明実施例ジェルにより、大幅な唾液分泌量の促進が確認できた。
【0064】
【表8】
【0065】
又、
図3の(2)図は、市販口腔ケアジェルA、B,Cについて、上述と同様に、唾液湿潤検査紙を用いて塗布前と塗布3日目について、測定を実施した(本発明実施例ジェル塗布後、2ヵ月間は水で湿らせたガーゼで拭き取る通常の口腔ケアのみを行い、2ヵ月後に塗布を実施)。結果は、塗布3日目でも唾液分泌量の増加は、被験者I群(胃瘻造設患者),被験者II群(健常者)共に殆ど見られず、明らかに市販口腔ケアジェルは本発明実施例ジェルより劣っていた。
市販口腔ケアジェルAの主成分は、天然酵素:ラクトペルオキシダーゼ、リゾチームなど、市販口腔ケアジェルBの主成分は、ヒノキチオール、グリチルリチン酸ジカリウムなど、市販口腔ケアジェルCの主成分は、水、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウムなど。
結論として、本発明実施例ジェルの唾液分泌の促進効果が、市販口腔ケアジェルとの比較上からも、裏付けられた。
唾液量測定については、以上のとおり。
【0066】
《8.アンケート調査》
次に、アンケート調査結果については、次のとおり。
被験者I群について、ベッドサイドで日常ケアにあっている看護師や介護士を対象に、本発明実施例ジェルと市販口腔ケアジェルに関し、塗布前と塗布後の変化について、アンケート調査を実施した。
・看護師:8名,全員女性,(平均年齢±標準偏差、45.89±3才)
・介護士:27名,女性12名(平均年齢±標準偏差、32.33±2才),男性(平
均年齢±標準偏差、34.13±3才)
・アンケート対象:日常ケアを行っている被験者の口腔内変化
・アンケート内容:口腔内乾燥の変化,舌苔の変化,口臭の変化について、視覚判断に基
づく回答
アンケート結果を、
図4,
図5に示す。
まず、本発明実施例ジェルについては、
図4の(1)図に示した結果が得られた。すなわち、口腔内乾燥については、変化有97%(変化無3%)、舌苔については、変化有83%(変化無17%)、口臭については、変化有94%(変化無6%)となった。このように、本発明実施例ジェルの使用により、被験者について、口腔内変化を認めるものとなった。
これに対し、市販口腔ケアジェルについては、
図4の(2)図,
図5の(1)図,(2)図に示したとおりの結果となった。すなわち、口腔内乾燥については、変化無が63%,42%,26%と多かった。舌苔の変化については、変化無が74%,58%,42%とほぼ過半数を占めた。口臭の変化については、変化無が84%,79%,47%と圧倒的に多かった。なお、市販口腔ケアジェルについては、0063欄中の記載を参照。
このようなアンケート結果からも、本発明実施例ジェルが口腔内乾燥,舌苔,口臭等の改善効果に優れていることが、市販口腔ケアジェルとの比較上からも、裏付けられた。このように、唾液分泌の促進効果と口腔疾患の治療効果が裏付けられた。
アンケート調査については、以上のとおり。
【0067】
《9.臨床写真》
臨床写真については、次のとおり。
まず、被験者I群の胃瘻造設患者の口腔について、本発明実施例ジェルの塗布前,塗布後,塗布中止後にわたり、経時的変化を臨床的に撮影した。その結果を、
図6に示す。
この
図6の臨床写真を示したように、(1)図の塗布前に見られた口唇痂皮が、(2)図の塗布3日目そして(3)図の塗布7日目に至ると、治療されるに至った。なお(4)図に示したように、塗布14日目を経過し完治していたが、(5)図,(6)図に示したように、塗布中止後しばらく経過すると、口唇痂皮の再発症が見られた。このように、本発明実施例ジェルの塗布による治療効果が、確認できた。
これに対し上述に準じ、被験者である胃瘻造設患者の口腔について、市販口腔ケアジェルの塗布前,塗布後にわたり、経時的変化を臨床的に撮影した。その結果を、
図7に示す。
この
図7の臨床写真に示したように、市販口腔ケアジェルA,B共に、塗布前と塗布後について、大きな変化は見られなかった。つまり、塗布しても口唇痂皮の治療効果は、確認できなかった。なお、市販口腔ケアジェルについては、0063欄中の記載を参照。
このように、臨床写真による市販口腔ケアジェルとの比較上からも、本発明実施例ジェルの口腔疾患の治療効果が裏付けられた。
臨床写真については、以上のとおり。