特許第5944299号(P5944299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 昭和電工ガスプロダクツ株式会社の特許一覧

特許5944299加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置
<>
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000002
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000003
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000004
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000005
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000006
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000007
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000008
  • 特許5944299-加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944299
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】加圧気泡含有ドライアイス、及び加圧気泡含有ドライアイス製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/22 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   C01B31/22
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-250628(P2012-250628)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-88303(P2014-88303A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000187149
【氏名又は名称】昭和電工ガスプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】林 祐二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 孝光
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 亜希
【審査官】 塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−279511(JP,A)
【文献】 特公昭41−015410(JP,B1)
【文献】 特開平06−135709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点−78.5℃未満の気体による大気圧を超える加圧気泡を含有し、昇華によりドライアイス表面と前記加圧気泡の間のドライアイスが徐々に昇華し、加圧気泡を維持できなくなったときに破裂することを特徴とする、ドライアイス。
【請求項2】
前記沸点−78.5℃未満の気体が、窒素、エアー、酸素、水素の何れか、又はその混合物であることを特徴とする、請求項1のドライアイス。
【請求項3】
前記沸点−78.5℃未満の気体に添加物を混合されていることを特徴とする、請求項1のドライアイス。
【請求項4】
液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給路と、前記液化二酸化炭素供給路より供給された液化二酸化炭素を内部に噴射してスノー状ドライアイスと二酸化炭素ガスを発生させるスノーケースと、二酸化炭素ガスをスノーケースから外部へ排出するガス排出路と、スノーケース内のスノー状ドライアイスを圧縮成形するピストンとを備えるドライアイス製造装置において、スノーケース内に沸点−78.5℃未満の気体を供給する気泡用ガス供給路を備え、圧縮形成したドライアイスに沸点−78.5℃未満の気体による大気圧を超える加圧気泡を含有させることを特徴とする、加圧気泡含有ドライアイス製造装置。
【請求項5】
スノーケース又はガス排出路に接続された、圧力調整弁を介設したガス圧調整排出路を備えることを特徴とする、請求項4のドライアイス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧気泡を含有したドライアイス及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライアイスは要冷品を冷却する寒剤や、水に浸してスモークを発生させる演出用資材として知られ、近年では特表2009−525172号公報に記載されるように薬品を添加したドライアイスブラスト用ドライアイスも試みられている。
【0003】
このようなドライアイスは、特開平11−116225号公報及び特開平7−61805号公報にあるように、スノーケース内に液化二酸化炭素を噴射してスノー状ドライアイスと二酸化炭素ガスを発生させ、二酸化炭素ガスはスノーケース外に放出し、残ったスノー状ドライアイスをピストンで圧縮し、スノーケース内でブロック状のドライアイスを製造する方法や、スノーケースの一部に設けた透孔より押し出すことで円柱状のドライアイスを製造する方法が行われている。
【0004】
しかし従来のドライアイスは空気中では表面から徐々に昇華し、昇華時にドライアイスが弾け飛ぶ動きをすることはなかった。それにより、拡散性や演出性の低いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−525172号公報
【特許文献2】特開平11−116225号公報
【特許文献3】特開平7−61805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のドライアイスには無い弾け飛ぶ動きをするドライアイス、及びその製造装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、沸点−78.5℃未満の気体による大気圧を超える加圧気泡を含有し、昇華によりドライアイス表面と前記加圧気泡の間のドライアイスが徐々に昇華し、加圧気泡を維持できなくなったときに破裂することを特徴とするドライアイスを提供する。これは、昇華によりドライアイス表面と前記加圧気泡の間のドライアイスが徐々に昇華し、加圧気泡を維持できなくなったときに破裂することでドライアイスが弾け飛ぶ動きをするものである。また、また、気泡用ガス供給路を備えたドライアイス製造装置によって沸点−78.5℃未満の気体をドライアイスに混合して圧縮することにより、加圧気泡を含有するドライアイスを製造する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、沸点−78.5℃未満の気体の大気圧を超える加圧気泡を含有させたことを特徴とするドライアイスにより、弾け飛ぶ動きをするドライアイスを提供する。これにより、高い拡散性及び演出性を備えることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、沸点−78.5℃未満の気体が窒素、エアー、酸素、水素のいずれか、又はその混合物であることにより、弾け飛ぶ動きをするドライアイスを提供するとともに、高い拡散性及び演出性を備えることに加え、各気体によりその効果を特徴付けることができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、沸点−78.5℃未満の気体に添加物を混合することにより、弾け飛ぶ動きをするドライアイスを提供するとともに、高い拡散性及び演出性を備えることに加え、添加物の効果を特徴付けることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給路と、前記液化二酸化炭素供給路より供給された液化二酸化炭素を内部に噴射してスノー状ドライアイスと二酸化炭素ガスを発生させるスノーケースと、二酸化炭素ガスをスノーケースから外部へ排出するガス排出路と、スノーケース内のスノー状ドライアイスを圧縮成形するピストンとを備えるドライアイス製造装置において、スノーケース内に沸点−78.5℃未満の気体を供給する気泡用ガス供給路を備えることで、加圧気泡含有ドライアイスを製造することができる。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、圧力調整弁を介設したガス圧調整排出路を備えることで、加圧気泡含有ドライアイス内の加圧気泡の圧力状態を調節することができる。これにより、弾け飛ぶ強さを調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による加圧気泡含有ドライアイスの概略説明図。
図2】本発明による加圧気泡含有ドライアイスの実施例1の概略説明図。
図3】本発明による加圧気泡含有ドライアイスの実施例2の概略説明図。
図4】従来のドライアイス製造装置の参考例の概略説明図
図5】本発明による加圧気泡ドライアイス製造装置の実施例3の概略説明図。
図6】本発明による加圧気泡ドライアイス製造装置の実施例4の概略説明図。
図7】本発明による加圧気泡ドライアイス製造装置の実施例4の概略説明図の2。
図8】本発明による加圧気泡ドライアイス製造装置の実施例5の概略説明図。
【実施例】
【0015】
図1に示す加圧気泡含有ドライアイス1は、内部に沸点−78.5℃未満の気体の大気圧を超える加圧気泡2を含有している。昇華によりドライアイス表面と前記加圧気泡の間のドライアイスが徐々に昇華し、加圧気泡を維持できなくなったときに破裂することでドライアイスが弾け飛ぶ。
【0016】
図2に示す加圧気泡含有ドライアイスの実施例1は保冷容器3に積載した要冷品4を冷却する場合の使用例で、通常のドライアイスを設置した場合には、ドライアイスは設置部に留まり保冷容器内に拡散せず、ドライアイスから遠い要冷品は冷却され難く、冷却ムラが発生する。しかし、加圧気泡含有ドライアイス1を設置した場合には、前記加圧気泡含有ドライアイスは弾け飛んで保冷容器3内に広く拡散し、要冷品4はムラ無く冷却される。
【0017】
前記実施例1において、加圧気泡含有ドライアイス1の気泡がエアーであれば安価に製造することができる。また、気泡が窒素であれば要冷品4が酸素による劣化を起こす要冷品である場合、加圧気泡含有ドライアイス1から発生した二酸化炭素とともに容器内の酸素を追い出し、要冷品の劣化を防止することができる。前記、酸素による劣化を起こす要冷品は、食品、化学物質、金属粉末などが挙げられ、劣化の原因は酸化や、酸素による雑菌の繁殖が挙げられる。さらに、気泡内に防腐剤や殺虫剤、香料等の添加物を混合している場合は、加圧気泡含有ドライアイス1とともに前記添加物が拡散し、ムラ無くその効果を得ることができる。
【0018】
図3に示す加圧気泡含有ドライアイスの実施例2は演出での使用例で、加圧気泡含有ドライアイス1が弾け飛ぶ様子によりイベントで人目を引くことや、映画やテレビ等の撮影の演出で利用することができる。この場合は観覧者や撮影者5と加圧気泡含有ドライアイス1との間に透明な樹脂板6を置くなどして安全を確保することが望ましい。
【0019】
前記実施例2において、圧気泡含有ドライアイス1の気泡がエアーや窒素でも弾け飛ぶ様子を観察することができる。また、気泡が水素の場合は着火源を設けることにより燃焼して、より演出性を高めることができる。さらにこれに気泡が酸素の圧気泡含有ドライアイスを混合することで燃焼を激しくし、演出効果を向上させることができる。
【0020】
図4に従来のドライアイス製造装置の参考例を示す。ドライアイス製造装置10は、液化二酸化炭素供給バルブ31を開とすることで液化二酸化炭素供給路30よりスノーケース20内に液化二酸化炭素を供給する。そのとき、液化二酸化炭素は断熱膨張により冷却され、一部はスノー状ドライアイスとなって前記スノーケースの内部に残留し、残りはガスとなってガス排出路50より排出される。その後、液化二酸化炭素供給バルブ31を閉とし、油圧装置22にてピストン23を前記スノーケース内に押し込み、前記スノー状ドライアイスを圧縮する。圧縮されたスノー状ドライアイスは、前記スノーケースの一部に設けられた透孔21より押し出され、ペレット状のドライアイスとなる。また、図示はしないが、前記スノーケースに透孔を設けずに開閉部分を設けた場合は、ブロック状のドライアイスとして製造することもできる。圧縮の際にスノードライアイス内に残留した二酸化炭素ガスは低温で加圧されるため、気体から固体に変化してドライアイスの一部となり気泡として残らない。前記ピストンは押し込み停止後に後退させ、液化二酸化炭素供給から繰り返すことで製造を継続することができる。
【0021】
図5に示す実施例3は、本発明を実施するための加圧気泡含有ドライアイス製造装置Aであり、前記従来のドライアイス製造装置の参考例と異なる点は、スノーケース20内に沸点−78.5℃未満の気体を供給するための気泡用ガス供給路40を備えた点で、気泡用ガス供給バルブ31を開にして、液化二酸化炭素の供給開始時からスノードライアイスの圧縮開始時までの一部あるいは全部の工程で気泡用ガスを前記スノーケース内に供給することでスノードライアイス内に気泡を生成する。その後スノー状ドライアイスが圧縮される際に気泡も圧縮されて加圧気泡となり、透孔21よりペレット状の加圧気泡含有ドライアイスが押し出される。
【0022】
前記実施例3において、気泡用ガスは貯層や容器から供給されるが、エアーの場合は空気中から供給することもでき、窒素の場合は空気中から窒素製造装置を介して供給することもできる。また、供給するための圧力付加にはポンプやコンプレッサーを用いてもよいが、気泡用ガスが貯蔵された貯層や容器の自圧で足りる場合にはこれを利用してもよい。
【0023】
図6に示す実施例4は、本発明を実施するための加圧気泡含有ドライアイス製造装置Bであり、前記実施例3と異なる点は圧力調整弁61を介設した圧力調整ガス排出路60を備えることで、気泡用ガス供給時にスノーケース内の圧力を調整して加圧気泡の圧力状態を調節することができる。この場合、スノーケース内の圧力が高くなるように前記圧力調整弁を設定すると、製造された加圧気泡含有ドライアイス内の加圧気泡の圧力も高くなり、より強く加圧気泡含有ドライアイスが弾け飛ぶようになる。
【0024】
前記実施例4において、ガス排出路50から分岐して圧力調整ガス排出路60を接続する場合は、ガス排出路50に開閉弁51を設置して気泡用ガス供給時に前記開閉弁を閉止することでスノーケース内の圧力を保つことができる。また、スノーケース20に直接圧力調整ガス排出路60を接続する場合は同様にガス排出路50に閉止弁51を設置することもできるが、図7に示すように圧力調整ガス排出路60及び気泡用ガス供給路40をガス排出路50よりピストン23の進行方向前方の前記スノーケースに接続することにより、ピストン23を前記ガス排出路と前記圧力調整ガス排出路及び前記気泡用ガス供給路の間に移動させることにより、前記ガス排出路を閉止することもできる。
【0025】
図8に示す実施例5は、本発明を実施するための加圧気泡含有ドライアイス製造装置Cであり、前記実施例3及び4と異なる点は、スノーケース20に透孔を設けずに開閉板24を設けることで前記スノーケースの開閉を可能とした点で、スノードライアイスをピストン21にて圧縮後に開閉板を下降させて取り出すことでブロック状の加圧気泡含有ドライアイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 加圧気泡含有ドライアイス
2 加圧気泡
3 保冷容器
4 要冷品
5 観覧者
6 透明な樹脂板
10 ドライアイス製造装置
11 加圧気泡ドライアイス製造装置A
12 加圧気泡ドライアイス製造装置B
13 加圧気泡ドライアイス製造装置C
20 スノーケース
21 透孔
22 油圧装置
23 ピストン
24 開閉板
30 液化二酸化炭素供給路
31 液化二酸化炭素供給バルブ
40 気泡用ガス供給路
41 気泡用ガス供給バルブ
50 ガス排出路
51 開閉弁
60 圧力調整ガス排出路
61 圧力調整弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8