(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自動係止機構は、前記アクチュエータを移動された任意の位置に保持するために十分かつ予め定められた一定の張力を発生させる単一の作動状態を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカテーテルハンドル。
前記自動係止機構は、前記アクチュエータを移動された任意の位置に保持するために十分かつ予め定められた一定の張力を発生させる単一の作動状態を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のカテーテル。
アクチュエータが初期位置から第2の位置に動くと、カテーテルの遠位部分が静止位置から偏向位置に偏向される請求項5〜8のいずれか一項に記載のカテーテルであって、前記自動係止機構が操作者の入力なしに前記アクチュエータをその第2の位置に留めるよう構成される、カテーテル。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明のカテーテル10の等角図である。本明細書全体を通じてカテーテルという用語は、限定なしに、カテーテル、シース、及び同様の医療器具を含むものとする。
図1に示されるとおり、カテーテル10は、細長い可撓性の略円筒形中空本体12と、本体12の近位端16と連結される人間工学的に付形された作動ハンドル14とを備え得る。作動ハンドル14は、本体12の偏向可能な遠位端18の偏向を制御するよう構成される。
【0019】
一実施形態において、2005年6月28日出願のダドニー(Dudney)らによる米国特許出願第11/170,550号の明細書(本明細書により全体として本出願中に援用される)に教示されるとおり、カテーテル10はいくつかの理由から有利である。第1に、作動ハンドル14は新規のラックピニオン式作動機構を有し、この機構によりもたらされる本体12の遠位端18の操作行程は、先行技術の作動ハンドルと比較したとき大幅に増加する。第2に、この作動機構は作動ワイヤを圧縮しないように構成される。第3に、この作動機構は先行技術の作動機構と比較したとき、使用者により知覚される作動力を最小限とすると共に且つ移動の全範囲にわたりほぼ一定とするよう構成される。第4に、本体12が、遠位端18から本体12を貫通して作動ハンドル14まで延在する3本の作動ワイヤを備える場合、ハンドルは第3の作動ワイヤを作動させるよう構成される第2の作動機構を有する。
【0020】
図1に示されるとおり、作動ハンドル14は、第1のアクチュエータ20、第2のアクチュエータの上部ボタン22a及び下部ボタン22b、上部把持部分24a及び下部把持部分24b、ハンドル14の近位端にある電気プラグ26、及びハンドル14の遠位端にある張力緩和具28を備え得る。上部把持部分24a及び下部把持部分24bは、把持部分24a、24bを横方向に貫通する空間29を画成する。第1のアクチュエータ20は、把持部分24a、24bと枢動可能に連結され、空間29内に備わる。第1のアクチュエータ20は、空間29の中を通して把持部分24a、24bに対し横方向に枢動してもよい。第1のアクチュエータ20がそのように枢動することにより、使用者は本体12の遠位端18を双方向に偏向させることができる。
【0021】
第2のアクチュエータ22の上部ボタン22a及び下部ボタン22bは、それぞれの把持部分24a、24bに摺動可能に連結され、このときこれらのボタンはそれぞれの把持部分24a、24bに沿ってハンドル14の長手方向軸と略平行な方向に摺動可能に移動し得るようにされる。第2のアクチュエータ22のボタン22a、22bがそのように摺動可能に移動することにより、使用者は本体12の遠位端18を第3の方向に偏向させることができる。例えば、
図1に示されるとおり、遠位端18がループ形又は投げ縄形を形成する一実施形態においては、第1のアクチュエータ20が遠位端18を双方向に右か、又は左に偏向させ、第2のアクチュエータ22のボタン22a、22bが遠位端18のそのループ形又は投げ縄形の直径を増加させたり、又は減少させたりする。別の実施形態においては、2004年2月23日出願のラシディ(Rashidi)による米国特許出願第10/784,511号の明細書(本明細書により全体として本出願中に援用される)に教示されるとおり、第1のアクチュエータ20が遠位端18を双方向にループ形にし、且つ遠位端18がなすループ形の程度を増加させたり、又は減少させたりする。第2のアクチュエータ22のボタン22a、22bは遠位端18により形成されるループ形又は投げ縄形を首のところで曲げたり、又は偏向させたりする。
【0022】
図1に示されるとおり、本体12の遠位端18は複数の離間された電極30を備え得る。各電極30は細い導電体ワイヤと接続され、このワイヤは、本体12、張力緩和具28、及びハンドル14を通って電気プラグ26まで延在する。電気プラグ26は、記録装置、モニタ装置、又はRFアブレーション装置などの装置と接続されるよう構成される。様々な材料を使用して本体12を構成できるが、典型的には、ポリウレタン、ナイロン又は任意の好適な非導電性材料で構成される。本体12は、カテーテル10の血液接触範囲の少なくとも一部分として機能し、当該技術分野において周知の方法及び手段により患者の血管内に挿入される。
【0023】
作動ワイヤは、当該技術分野において周知の作動ワイヤタイプのいずれかであり得る。作動ワイヤは、プルワイヤ又は引張ワイヤであり得る(すなわち、作動ワイヤは圧縮荷重を支持するようには構成されない)。作動ワイヤはまた、プル/プッシュワイヤ又は引張/圧縮ワイヤであるようにも構成され得る(すなわち、作動ワイヤは圧縮荷重を支持するよう構成される)。従って、第1及び第2の作動ワイヤに関して、一方の作動ワイヤが緊張状態におかれると、他方の作動ワイヤが圧縮荷重を支える。作動ワイヤは、超弾性ニチノールワイヤ又は他の好適な材料で形成され得る。本体12及びその3本の作動ワイヤの構成に関する詳細な考察は、前述の援用される米国特許及び特許出願に提供される。
【0024】
本発明のハンドル14の一実施形態を詳細に考察するため、ここで
図2を参照する。
図2はその様々な構成部品についてより分かり易く説明するため上部把持部分24aと下部把持部分24bとが分離され、第1の作動機構40が分解されたハンドル14の等角図である。
図2に示されるとおり、ハンドル14の把持部分24a、24bは互いに嵌合して連結するよう構成され、第1の作動機構40及び第2の作動機構42並びに自動係止機構54の筺体及び取付け基部として機能する。第1の作動機構40はハンドル14の遠位部分に取り付けられ、第2の作動機構42はハンドル14の近位部分に取り付けられる。電気プラグ26は、ハンドル14の近位端として機能する近位端アセンブリ46に取り付けられる。
【0025】
図2に示されるとおり、第1の作動機構40は、第1のアクチュエータ20、カバー50を有するギアアセンブリ48、第1の制御アーム52a及び第2の制御アーム52b、並びに自動係止機構54を備える。自動係止機構54には実施形態に応じて数多くの形式のなかのどのようなものも想定できるが、操作者が意識しなくとも、及び/又は操作者からの実際の入力がなくとも、カテーテルの遠位端を適所に保持するよう構成される。
【0026】
カテーテル操作において、操作者は第1のアクチュエータ20又は第2のアクチュエータ22の1つ又は複数を操作して、遠位端18を製造時の当初の位置、又はその零点位置から偏向させることになる。典型的には、カテーテルの遠位端18はその零点位置に向かって戻るよう自然に付勢されており、従って作動ワイヤを通じて第1のアクチュエータ20又は第2のアクチュエータ22に対し零点位置に向かって戻るための圧力を及ぼす。先行技術の装置において、操作者はアクチュエータを適所に保持するか、或いは手技の前又は最中に係止機構を手動で設定することによって、この圧力に対抗しなければならない。本発明では、操作者からの入力なしに、自動係止機構が遠位端を操作者により設定される偏向状態に自動的に保つため、操作者は自由に他の作業を行うことができる。
【0027】
図2に図示されるとおり、自動係止機構54は第1のアクチュエータ20を下部把持部分24bに枢動可能に連結し、1つ又は複数のワッシャ56、ブッシング58及びねじ60、例えば六角ねじを備えることにより自動係止機構54を下部把持部分24bの枢動基部62に一体型ユニットとして装着できる。
図2に示されるとおり、各ワッシャ56のサイズは異なり得る。
【0028】
ギアアセンブリ48を詳細に考察するため、ここでギアアセンブリ48の分解等角図である
図3を参照する。
図3に示されるとおり、ギアアセンブリ48は、フレーム64、第1のピニオンギア66a及び第2のピニオンギア66b、第1のワイヤブロック68a及び第2のワイヤブロック68b、並びにカバー50を備える。フレーム64は、面板70、基部又は床部71、並びに第1の固定ギアラック72a及び第2の固定ギアラック72bを備える。第1の固定ギアラック72a及び第2の固定ギアラック72bはフレーム64の基部71の横方向両側に固定され、その向きは、それぞれの歯面74a、74bが互いに向かい合い、且つフレーム64の長手方向中心線と略平行であるようにされる。面板70は、フレーム64の長手方向中心線と一直線状であり、2つの固定ギアラック72aと72bとの間に配置され、且つフレーム64の基部71と略垂直である。面板70の垂直な側面又は垂直面75a、75bの各々は、略平面状である。
【0029】
図3に示されるとおり、各ワイヤブロック68a、68bは、可動ギアラック76a、76b、略平面状の垂直方向面77a、77b、及び穴78a、78bを備える。各可動ギアラック76a、76bはそれぞれのワイヤブロック68a、68bから下方に延在し、片側に歯80a、80bを、及び反対側に略平面状の垂直面77a、77bを有する。可動ギアラック76a、76bの向きは、それらが互いに略平行となり、それらの歯80a、80bが互いに反対側を向き、且つそれらの平面状の面77a、77bが互いに略平行配置で向かい合うようにされる。
【0030】
各穴78a、78bは、第1及び第2の作動ワイヤのうち一方の近位端を収容するよう構成される。例えば、下部把持部分24bの近位部分に取り付けられる第1の作動機構40の第1の実施形態の上部平面図である
図4に示されるとおり、第1の作動ワイヤ81a及び第2の作動ワイヤ81bは本体12の近位端16から出ると、それぞれの穴78a、78bに収容される。
【0031】
図4に示されるとおり、アクチュエータ20は枢動アセンブリ54により下部把持部分24bに枢動可能に取り付けられる。第1の作動アセンブリ40は、アクチュエータ20の遠位及び張力緩和具28の近位に位置する。一実施形態として、第1のアクチュエータ20は、その最遠位の縁部にある位置指示点82と、アクチュエータ20の横方向両側に位置する第1の開口84a及び第2の開口84bを備えている。
【0032】
図4に示されるとおり、制御アーム52a、52bの近位端は各開口84a、84b内にある。第1の作動機構48の第1の実施形態においては、
図4に図示されるとおり、開口84a、84bは円弧状スロット84a、84bであり、これらの長さは制御アーム52a、52bの直径より実質的に長い。
【0033】
歯車装置をより分かり易く説明するためワイヤブロック68a、68bの上部分が取り外されたギアアセンブリ48の拡大平面図である
図5に示されるとおり、制御アーム52a、52bの遠位端は、それぞれのピニオンギア66a、66bの穴86a、86b内にある。一実施形態においては、各穴86a、86bは、それぞれのピニオンギア66a、66bの軸中心に配置される。別の実施形態においては、
図5に図示されるとおり、各穴86a、86bはそれぞれのピニオンギア66a、66bの軸中心とずれている。
【0034】
第1の作動機構40及び第2の作動機構42の各部を見せるため下部把持部分24bが取り外されたハンドル14の底部平面図である
図6に示されるとおり、各制御アーム52a、52bは、ピニオン66a、66bの穴86a、86b及び第1のアクチュエータ20の開口84a、84bとのそれぞれの接続点間に延在する。従って、
図4〜6から理解されるであろうとおり、制御アーム52a、52bは第1のアクチュエータ20の動きをピニオン66a、66bに伝達するための連繋体として機能する。
【0035】
図5に示されるとおり、各ピニオンギア66a、66bは固定ギアラック72a、72bと可動ギアラック76a、76bとの間に配置され、それらと係合される。各可動ギアラック76a、76bの略平面状の背面77a、77bは、面板70のそれぞれの略平面状の面75a、75bと摺動可能に当接する。
【0036】
図5に示されるとおり、一実施形態において各ピニオン66a、66bにある穴86a、86bがピニオンの軸中心とずれている場合、ピニオン66a、66bが固定ギアラック72、72bの最遠位端に配置されると、穴86a、86bはそれぞれの固定ギアラック72a、72bの最遠位の歯88a、88bの直近に、且つその僅かに遠位に位置し得る。一実施形態において、ピニオン66a、66bがギアラック72a、72b、76a、76bに対し進み過ぎるのを防ぐため、各ピニオン66a、66bのピニオンの穴86a、86bに隣接する外周に沿って歯のないブランク部分90a、90bが存在する。
【0037】
図5及び6に示されるとおり、円弧状スロット92a、92bが、フレーム64の基部又は床部部分71にあるギアラック72a、72b、76a、76bの各対の間に存在する。各円弧状スロット92a、92bは、それぞれのピニオンギア66a、66bが固定ギアラック72a、72bに沿って移動するときに各制御アーム52a、52bの遠位部分が通過し得る経路として機能する。円弧状スロット92a、92bが円弧形状であることにより、ピニオン66a、66bが固定ギアラック72a、72bに沿って移動するとき、各制御アーム52a、52bの遠位部が穴86a、86bの正弦曲線状の移動に従うことができる。
【0038】
穴86a、86bはピニオン66a、66bの軸中心とずれているため、穴86a、86bの中心がピニオン66a、66bの軸中心にある構成と比較したとき、機械的利得が生じる。この機械的利得の結果、作動力が使用者により知覚されるとき、それは先行技術のカテーテルを操作するのに必要な作動力より小さく、且つより一定したものとなる。
【0039】
ここで、
図4〜6を参照しながら、各開口84a、84bが円弧状スロット84a、84bである第1の作動機構40の第1の実施形態の操作が記載される。
図4〜6に示されるとおり、第1の作動機構40がニュートラルな枢動位置にあるとき(すなわち、
図4に図示されるとおり、ワイヤブロック68a、68bが双方ともその最近位位置にあり、且つ位置指示点82が遠位に向いて下部把持部分24bの長手方向中心線と略一直線状になるとき)、各制御アーム52a、52bの近位端はそれぞれの円弧状スロット84a、84bの最遠位部分にある。第1の作動機構40の第1の実施形態のこの構成は、作動ワイヤ81a、81bが引張型又はプル型の作動ワイヤの場合に有利である。より具体的には、作動ワイヤ81a、81bが緊張状態にしかおかれず、決して圧縮されないことにより、作動ワイヤ81a、81bの座屈を回避する場合に有利である。
【0040】
例えば、
図4〜6から理解し得るとおり、第1のアクチュエータ20が第1の方向(例えば、
図4では反時計回り)に枢動すると、第1の制御アーム52aの近位端が第1の円弧状スロット84aの遠位端により係合され、第1の制御アーム52aが近位に引き寄せられる。これにより、第1の制御アーム52aの遠位端が第1のピニオンギア66aを対応する固定ギアラック72aに沿って近位に移動させる。第1のピニオンギア66aが回転することで対応する可動ギアラック76aが近位に駆動される。
図4から理解し得るとおり、これにより対応するワイヤブロック68aが近位に移動するため、このワイヤブロック68aが第1の作動ワイヤ81aを緊張状態にする。
【0041】
アクチュエータ20が第1の方向に枢動すると第1のワイヤブロック68aは第1の作動ワイヤ81aに対し作用するが、概して言えばかかる動作は、第2のワイヤブロック68b又は第2の作動ワイヤ81bに対し何ら影響を有しない。これは、アクチュエータ20が反時計回りに回転しても、単に第2の円弧状スロット84bを制御アーム52bの近位端に沿って摺動させるだけで、第2の円弧状スロット84bの近位端が制御アーム52bの近位端に当たることはないためである。結果として、第1のアクチュエータ20は第2の制御アーム52bを遠位に駆動せず、第2のワイヤブロック68bの遠位移動は生じない。従って第2の作動ワイヤ81bは、アクチュエータ20が第1の方向(すなわち、反時計回り)に枢動されても緊張又は圧縮状態にはならない。換言すれば、第2の作動ワイヤ81bは弛緩しており、自在に動くことが可能である。
【0042】
一実施形態において、アクチュエータ20が枢動されて
図4に図示されるニュートラルな枢動位置に戻っても、第1の円弧状スロット84aの近位端は第1の制御アーム52aの近位端に当たらない。結果として、第1のアクチュエータ20が第1のワイヤブロック68a及びその対応する作動ワイヤ52aを遠位に駆動してニュートラル位置に戻すことはない。代わりに、偏向した遠位端18が第1の作動ワイヤ52aに及ぼす張力によってワイヤ52a及びその対応するブロック52aはニュートラル位置に戻される。
【0043】
この例を続けると、
図4〜6から理解し得るとおり、第1のアクチュエータ20が第2の方向(すなわち、
図4では時計回り)に枢動されると、第2の制御アーム52bの近位端が第2の円弧状スロット84bの遠位端により係合され、第2の制御アーム52bが近位に引き寄せられる。これにより第2の制御アーム52bの遠位端が第2のピニオンギア66bを対応する固定ギアラック72bに沿って近位に移動させる。第2のピニオンギア66bが回転することで対応する可動ギアラック76bが近位に駆動される。
図4から理解し得るとおり、これにより対応するワイヤブロック68bが近位に移動するため、このワイヤブロック68bが第2の作動ワイヤ81bを緊張状態にする。
【0044】
アクチュエータ20が第2の方向に枢動すると第2のワイヤブロック68bは第2の作動ワイヤ81bに対し作用するが、概して言えばかかる動作は、第1のワイヤブロック68a又は第1の作動ワイヤ81aに対し何ら影響を有しない。これは、アクチュエータ20が時計回りに回転しても、単に第1の円弧状スロット84aを制御アーム52aの近位端に沿って摺動させるだけで、第1の円弧状スロット84aの近位端が制御アーム52aの近位端に当たることはないためである。結果として、第1のアクチュエータ20は第1の制御アーム52aを遠位に駆動せず、第1のワイヤブロック68aの遠位移動は生じない。従って第1の作動ワイヤ81aは、アクチュエータ20が第2の方向(すなわち、時計回り)に枢動されても緊張又は圧縮状態にはならない。換言すれば、第1の作動ワイヤ81aは弛緩しており、自在に動くことが可能である。
【0045】
一実施形態において、アクチュエータ20が枢動されて
図4に図示されるニュートラルな枢動位置に戻っても、第2の円弧状スロット84bの近位端は第2の制御アーム52bの近位端に当たらない。結果として、第1のアクチュエータ20が第2のワイヤブロック68b及びその対応する作動ワイヤ52bを遠位に駆動してニュートラル位置に戻すことはない。代わりに、偏向した遠位端18が第2の作動ワイヤ52bに及ぼす張力によってワイヤ52b及びその対応するブロック52bはニュートラル位置に戻される。
【0046】
図4及び5から理解し得るとおり、歯車構成に起因して、可動ギアラック76a、76b、及び結果としてそれに対応する作動ワイヤ81a、81bの直線近位移動量は、対応するピニオンギア66a、66bの直線近位移動量のほぼ2倍である。これは、可動ギアラック76,76bの近位移動量が、ピニオンギアの固定ギアラック72a、72bに沿った直線近位移動量にピニオンギアの回転移動量を加えた合計となるためである。
【0047】
第1の作動機構40の第2の実施形態を考察するため、ここで
図7〜9を参照する。
図7〜9は、第1の作動機構40が第2の実施形態である点を除き、それぞれ
図4〜6に図示される図と同じである。概して言えば、第1の作動機構40の第1及び第2の実施形態の特徴は同じであり、ただし以下の考察に提供される点を除く。
【0048】
図7に示されるとおり、作動機構40の第1の実施形態の円弧状スロット84a、84b(
図4〜6を参照して考察されるとおりの)とは異なり、第2の実施形態の開口84a、84bは円形の穴84a、84bであり、その直径は制御アーム52a、52bの直径にほぼ等しい。
図7に示されるとおり、制御アーム52a、52bの近位端は各円形開口84a、84b内にある。
【0049】
図7〜9から理解し得るとおり、作動機構40の第2の実施形態において、第1の作動機構40がニュートラルな枢動位置にある(すなわち、
図7に図示されるとおり、位置指示点82が遠位に向いて下部把持部分24bの長手方向中心線と略一直線状である)とき、各ピニオン66a、66bはそれぞれの固定ギアラック72a、72b及び可動ギアラック76a、76bの双方の長さのほぼ中ほどに配置される。この構成により、アクチュエータ20が枢動されると、制御アーム52a、52bは互いに対し逆方向に同程度を移動できる。この動作は第1の作動機構40の第2の実施形態においてもたらされるものであり、これは、第1の実施形態の円弧状スロット84a、84bと異なり、第2の実施形態は円形開口84a、84bであることにより、制御アーム52a、52bの近位端とアクチュエータ20との間に移動が生じないためである。第1の作動機構40の第2の実施形態の構成は、作動ワイヤ81a、81bがプル/プッシュ型又は引張/圧縮型の作動ワイヤである場合に有利である。
【0050】
例えば、
図7〜9から理解し得るとおり、第1のアクチュエータ20が第1の方向(例えば、
図7では反時計回り)に枢動されると、第1の制御アーム52aの近位端が第1の円形開口84aにより近位に引き寄せられ、且つ第2の制御アーム52bの近位端が第2の円形開口84bにより遠位に押し込まれる。それに応じて、第1の制御アーム52aの遠位端が第1のピニオンギア66aをその対応する固定ギアラック72aに沿って近位に引き寄せ、且つ第2の制御アーム52bの遠位端が第2のピニオンギア66bをその対応する固定ギアラック72bに沿って遠位に押し込む。第1のピニオンギア66aが回転することによりその対応する可動ギアラック76aが近位に駆動され、且つ第2のピニオンギア66bが回転することによりその対応する可動ギアラック76bが遠位に駆動される。
図7から理解し得るとおり、これにより第1のワイヤブロック68aが近位に移動するため、このワイヤブロック68aが第1の作動ワイヤ81aを緊張状態にする。同様に、これにより第2のワイヤブロック68bが遠位に移動するため、この第2のワイヤブロック68bが第2の作動ワイヤ81bを遠位に押し込む(すなわち、圧縮する)。
【0051】
図7〜9から理解し得るとおり、第1のアクチュエータ20が第2の方向(すなわち、時計回り)に枢動すると、制御アーム52a、52bの動作は逆になる。従って、第2のワイヤブロック68bは近位に動き(すなわち、第2の作動ワイヤ81bは緊張状態となり)、第1のワイヤブロック68aは遠位に動く(すなわち、第1の作動ワイヤ81aは圧縮又は解放される)。
【0052】
第2の作動機構42の一実施形態を詳細に考察するため、ここで
図10を参照する。
図10はその様々な構成部品についてより分かり易く説明するため上部把持部分24aと下部把持部分24bとが分離され、第2の作動機構42が分解されたハンドル14の等角図である。
図10に示されるとおり、第2の作動機構42はハンドル14の近位部分に取り付けられ、上部アーム102a及び下部アーム102bを有する第2のアクチュエータ100、第2のアクチュエータ100の上部ボタン22a及び下部ボタン22b、枢動アセンブリ104、上部ピン106a及び下部ピン106b、レバー108、並びに摺動ブロック110を備える。
【0053】
図10に図示されるとおり、作動ハンドル14は、上部ボタン22a及び下部ボタン22bを有する第2の作動機構22を備え得る。第2の作動機構は略U字型の第2のアクチュエータ100を備える。第2のアクチュエータのアーム102a、102bは略垂直方向に並び、且つ互いにずれた状態で平行に配置されて間隙103を形成し、その間隙を通じて第1のアクチュエータ20の近位部が移動する。下部アーム102bは、下部把持部分24bにある長手方向スロット又は溝113内に摺動可能に置かれる。同様に、上部アーム102aは、上部把持部分24aにある長手方向スロット又は溝内に摺動可能に置かれる。
【0054】
図10に示されるとおり、各アーム102a、102bは、ピン106a、106bを収容するためのピンホール114a、114bを有するヘッド112a、112bを備える。上部ヘッド112aは上部把持部分24aの長手方向スロット115を貫通して上部ボタン22aと連結される。同様に、下部ヘッド112bは下部把持部分24bの長手方向スロットを貫通して下部ボタン22bと連結される。下部ヘッド112bは下部ボタン22bの座部117内に置かれ、ピン106bを介して座部と連結される。同様に、上部ヘッド112aは上部ボタン22aの座部内にあり、ピン106aを介して座部と連結される。各ボタン22a、22bは第2のアクチュエータ100のアーム102a、102bと連結されるため、ボタン22a、22bは共に従動する。
【0055】
図10に示されるとおり、ヘッド112a、112bはそれぞれの長手方向スロット115の範囲内を摺動式に移動できる。従って、使用者が第2の作動アセンブリ42を作動させるためにボタン22a、22bを把持部分24a、24bに対し長手方向に摺動させると、アーム102a、102b及びヘッド112a、112bがそれぞれのスロット113、115内で摺動式に移動する。
【0056】
図10に示されるとおり、レバー108が枢動アセンブリ104を介して下部把持部分24bの枢動基部118と枢動可能に連結される。枢動アセンブリ104は、一連のワッシャ120(カテーテルの保管期間における設定又は材料クリープを補償するようベルビルスプリングワッシャを含む)、及び枢動アセンブリ104を枢動基部118に1つの一体型ユニットとして固定するための六角ねじ124を備える。六角ねじ124が適切に締め付けられると、枢動アセンブリ104は使用者がボタン22a、22bを放してもレバー108を適所に保持する張力牽引特性を提供することにより自動係止機構54として作用するように構成される。結果として使用者は、第2の作動機構42を作動させて遠位端18を所定の位置に配置したら、ボタン22a、22bとの接触を維持する必要なしに遠位端18をそこに維持できる。
【0057】
図10に図示されるとおり、一実施形態においてレバー108は、略直線状の縁部119と、直線状の縁部119の第1の端部と第2の端部との間に延在する略円弧状の縁部121とを有するような略半円形である。直線状の縁部119は枢動アセンブリ104に近接し、ほぼ遠位に向いている。一実施形態において、円弧状縁部121の半径は円弧状縁部121と枢動アセンブリ104の軸との間の距離にほぼ等しい。円弧状縁部121はほぼ近位に向いている。
【0058】
第2の作動機構42の構成部品をさらに考察するためここで
図11を参照すると、これは下部把持部分24bに取り付けられた第2の作動機構42の上部平面図であり、上部把持部分24aが取り外されている。
図11に示されるとおり、摺動ブロック110の底側端部は下部把持部分24bの下部溝又はスロット128内に摺動可能に収容される。同様に、摺動ブロック110の上側端部は上部把持部分24aの上部溝又はスロット内に摺動可能に収容される。スロット128はハンドル14の長手方向軸と略平行である。
【0059】
図11に示されるとおり、第3の作動ワイヤ129は本体12の遠位端18からハンドル14内まで延在して摺動ブロック110を連結する。一実施形態において、第3の作動ワイヤ129はまた、遠位先端18の1つ又は複数の電極30からハンドル14の近位端の電気プラグ26までを繋ぐ電線としても機能する。この場合、第3の作動ワイヤ129は摺動ブロック110を貫通し、且つそれと連結される。
【0060】
図11に示されるとおり、摺動ブロック110の近位側面と、レバー108の第1の端部にピン109を介して枢動可能に装着されるクレビス132との間に、ねじ式ロッド130が延在する。ねじ式ロッド130上のねじ山によりクレビス132と摺動ブロック110との間の距離を調節できる。従って、作動ワイヤのレバー108に対する初期位置は、ねじ式ロッド130により調節できる。
【0061】
図11に示されるとおり、アーム134が第2のアクチュエータ100の近位端から摺動ブロック110と反対方向に延在する。連結具136がアーム134の端部とピン138により枢動可能に連結される。ケーブル140が連結具136と連結され、このケーブルはレバー108の円弧状側面121まで、及びその周りに延在して、装着機構142(例えば、ねじ、ボルト、ピン等)によりレバー108と連結される。レバー108の円弧状側面121はケーブル140を収容するよう溝付きか、又はスロット付きである。ケーブル140及びレバー108の円弧状側面121はベルトプーリのように、レバー108が枢動してもケーブル140と枢動可能レバー108との間のモーメントアームが一定のままとなるよう共に動作する。
【0062】
図11から理解し得るとおり、第3の作動ワイヤ129を作動させて本体12の遠位端18を偏向させるとき、使用者はボタン22a、22bを遠位に移動させて、それによりU字型の第2のアクチュエータ100を遠位に移動させる。結果として、アーム134がケーブル140を遠位に引き、それによりレバー108が枢動アセンブリ104の周りに反時計方向に枢動される。この旋回動作によりクレビス132が摺動ブロック110を近位方向に引き寄せる。摺動ブロック110が近位に動いて第3の作動ワイヤ129が緊張状態となり(すなわち、摺動ブロックが第3の作動ワイヤ129を引き寄せ)、それにより本体12の遠位端18が偏向される。
【0063】
本体12の遠位端をさらに偏向させるには、力を強める必要がある。従って、本体12の遠位端の偏向の初期段階で第3の作動ワイヤ129を引き寄せるために必要な力は、遠位端の偏向の最終段階において必要な力より小さい。本体12の遠位端の偏向をさらに増加させるために必要な力の増量は、クレビス132とレバー108との間の構成により対処される。具体的には、クレビス132とレバー108との間の構成が、レバー108が枢動するに従いモーメントアームが変化するような構成とされる。
【0064】
クレビス132とレバー108の枢動アセンブリ104との間のモーメントアームの長さは、遠位先端の偏向の初期段階において(すなわち、ピン109がその最遠位位置にあるとき)最長である。クレビス132とレバー108との間の構成により、モーメントアームの長さは、遠位端18が徐々に偏向される(すなわち、ピン109が近位に動く)に従い減少する。結果的に、ボタン22a、22bにおける機械的利得は、作動ワイヤの張力が小さいとき(すなわち、遠位端の偏向の初期段階において)最小となり、作動ワイヤの張力が大きいとき(すなわち、完全な偏向に近付いている遠位端の偏向の最終段階において)最大となる。
【0065】
図11から理解し得るとおり、偏向した遠位端18を偏向していない形状に戻すためには、使用者はボタン22a、22bを近位に移動させ、それによりU字型の第2のアクチュエータ100を近位に移動させる。これがケーブル140に弛みをもたらすことにより、遠位端18が偏向していない形状に跳ね返るため、偏向した遠位端18に保存されているばね力が第3の作動ワイヤ129を、及び結果として摺動ブロック110を遠位に引き寄せるよう作用することから、レバー108は時計回りに枢動される。
【0066】
使用中、カテーテル10の本体12は当該技術分野において周知の方式で患者に挿入される。操作者はハンドル14を把持し、その親指ともう1本の指との間で第1のアクチュエータ20を操作する。有利には、第1のアクチュエータ20はハンドル14の両側面から突出して動作及び操作を相応に容易にする。第1のアクチュエータ20がハンドル14に対して動かされると、それにより第1の作動ワイヤ78a及び第2の作動ワイヤ78bが第1の作動機構40を介して移動する。結果として、本体12の遠位端18が偏向する。
【0067】
本体12の遠位端18を別の様式で偏向させるには、使用者はボタン22a、22bを親指又は他の指で遠位に摺動させる。これにより第3の作用ワイヤ129が第2の作動機構42を介して移動する。結果として本体12の遠位端18が、第1の作動機構40の作動によりもたらされる偏向とは異なる様式で偏向する。例えば、第3の作用ワイヤ129の移動により遠位端の偏向は、ループ状、らせん状、又はS字形状などの任意の曲線形状となり得る。加えて、遠位端はループ状、らせん状、又はS字形状を含む任意の曲線形状に予め形成されてもよく、第3の作用ワイヤの移動によりその曲線形状が拡がったり、又は狭まったりしてもよい。同様に、第1の作用ワイヤ78a及び第2の作用ワイヤ78bが第1の平面に偏向をもたらし得るとともに、第3の作用ワイヤ129が第2の平面、例えば第1の平面と垂直な平面に偏向をもたらし得る。
【0068】
別の実施形態において、
図2に図示されるとおり、自動係止機構54は第1のアクチュエータ20を下部把持部分24bと枢動可能に連結し、1つ又は複数のワッシャ56、ブッシング58及びねじ60、例えば六角ねじを備えることにより自動係止機構54を一体型ユニットとして下部把持部分24bの枢動基部62に装着できる。
図2に示されるとおり、各ワッシャ56は同じであっても、又は異なってもよい。
【0069】
当業者は理解するであろうとおり、ブッシング58は、一般に入手可能なポリマー、例えば、PEEK、ポリスルホン等、金属、例えば、ステンレス鋼、真鍮等、又は他の材料を含む数多くの材料のいずれによっても構成できる。ワッシャ56は平ワッシャ又は波ワッシャを含む任意の一般に利用可能な形態であり得るとともに、ステンレス鋼、真鍮、又はポリマー材料から構成され得る。ねじ60は任意のタイプのねじ、ボルト、又は接続手段であってもよく、好ましくは六角ねじが挙げられる。枢動基部62を構成する材料は、下部把持部分24bと同じであっても、又は異なってもよい。枢動基部62は下部把持部分24bと一体として構成されてもよく、又は別個の部品であって下部把持部分24bと接着、溶接又は他の方法で装着されてもよい。
【0070】
図2、
図12及び
図12Aに示されるとおり、操作中、ワッシャ56は場合により受け座62a上に置かれる。次にアクチュエータ20が枢動基部62に被せて装着されてワッシャ56又は受け座62a上に置かれる。任意のワッシャ56がアクチュエータ20上に置かれてもよい。ブッシング58がワッシャ56、アクチュエータ20、及び枢動基部62の中に螺入される。次に六角ねじ60がブッシング58、ワッシャ56、アクチュエータ20の中に螺入され、枢動基部62に締め付けられる。ブッシング58は枢動基部62に密着して嵌まることにより、アクチュエータ20が回転運動する間のブッシング58と枢動基部62との間の過剰な横方向の動きを防止することが好ましい。同様に、アクチュエータ20はブッシング58に密着して嵌まることにより、アクチュエータ20が回転運動する間のブッシング58とアクチュエータ20との間の横方向の動きを防止することが好ましい。
【0071】
ねじ60は製造中に張力Tが生じるよう締め付けられることとなる。Tはいくつかの要因を考慮することにより決定され、適用ごとに異なり得るが、遠位端のその零点位置に向かう付勢に対抗するのに十分な張力でなければならない。同時に、Tが大き過ぎると、操作者はカテーテルを作動させるのに大きい圧力を及ぼすよう強いられることになるため、これは望ましくない。現在市販されている典型的なカテーテルは、遠位端を所望の方向に偏向させるために、操作者から作動ハンドルに対し2〜10ポンドの親指の力を要する。例えば、カテーテルは3ポンドの親指の力を要し得る。そのような場合、カテーテルの構造次第では、偏向した遠位端18はそのニュートラル位置又は零点位置に向けて2〜3ポンドの力を及ぼし得る。従って、張力Tは当該の力に対抗するのに十分な大きさ、例えば3ポンド以上に設定される。張力Tはまた、張力Tを増加させるとカテーテルの操作に必要な親指の力が増加することから、操作者が要求されるレベルの親指の力をカテーテル操作に加えるよう必要に応じて増加され得る。ねじ60が締め付けられて所望の張力Tが生じると、ねじ60は固着液により永久的又は半永久的に適所に固定される。
【0072】
ブッシング58はその底部分に、スラット62bと嵌合するよう設計されるノッチ58aが刻まれていてもよい。スラット62bは枢動軸62と受け座62aとの間の空間に位置する。ノッチ58aがスラット62bに接合されると、ブッシング58は下部把持部分24bに対しほとんど回転しないように係止され、そのため、遠位端が所望の方向に偏向する前に操作者により取り除かれるべきアクチュエータ20の「弛み」は低減され得る。好ましい実施形態において、ブッシング58の底部はその外表面上に斜交状又は他のパターンの切込みを有することにより、受け座62aの内側との嵌合又は接着を促進し得る。
【0073】
図12B及び
図12Cに示されるとおり、自動係止機構はさらに緊張部材200を備え得る。例えば、
図12Bに示されるとおり、ベルビルワッシャ202がブッシング58とアクチュエータ20との間に配置され得る。
図12Cに示されるとおり、ベルビルワッシャ204が受け座62aとアクチュエータ20との間に配置され得る。
【0074】
操作中、自動係止機構の構成部品は過剰な高温又は低温により膨張又は収縮し得る。緊張部材200は弛みを取り除くか、又は膨張する余地を与えると同時に、一定の張力Tを維持するよう動作し得る。これにより有利には、操作者はアクチュエータを操作するうえで、製造中に設定されたものと同じ所要レベルの親指の力を確実に感じることとなる。かかる緊張部材は
図12B、
図12Cに示されるとおりのベルビルワッシャか、又は別の緊張装置である可能性もある。上記の
図12A〜12Cに示される位置に加え、緊張部材200は、それが一定の張力を提供し得るような自動係止機構54の任意の他の箇所に配置できる。
【0075】
例えば、
図13Aに示されるとおり、スプリング210などの緊張部材を受け座62aと枢動軸62との間の間隙に配置できる。ブッシング58は枢動軸62の周りに摺動でき、スプリング210上に載置される任意のワッシャ56を載置できる。ベルビルワッシャと同様に、スプリングは、それが比較的一定の張力Tをアクチュエータ20に提供して、アクチュエータ20を動かしたり、及び自動的に係止したりするための親指の力を一定に保つ限り、様々な場所に位置し得る。
図13Bに示されるとおり、スプリング212はワッシャ56とアクチュエータ20との間に位置し得るか、又は
図13Cに示されるとおり、スプリング214はねじ60とブッシング58との間に位置し得る。
【0076】
図14は本発明の別の変形例を図示し、ここではブッシング224がその底部分に刻まれたノッチ224aを備え、このノッチ224aはスラット62bと嵌合するよう設計される。スラット62bは枢動軸62と受け座62aとの間の空間に位置する。ノッチ224aがスラット62bに接合されると、ブッシング224は下部把持部分24bに対しほとんど回転しないように係合され、そのため、遠位端が所望の方向に偏向する前に操作者により取り除かれるべきアクチュエータ220の「弛み」は低減され得る。好ましい実施形態において、ブッシング224の底部はその外表面上に斜交状又は他のパターンの切込みを有することにより、受け座62aの内側との嵌合又は接着を促進し得る。ブッシング224は枢動軸62及び/又は受け座62aにエポキシ接着され得る。
【0077】
ブッシング224は任意の材料、特に耐久性ポリマー、ステンレス鋼、又は真鍮で構成できる。理想的には選択される材料は、長期間圧縮張力下に置かれても耐えるだけの十分な耐性を有し得るとともに、摩擦が低レンジであることによりブッシング224とアクチュエータとの構成部品間の容易な動作を可能にする。
【0078】
ブッシング224はまた、D字形状の上表面232も有し得る。ブッシングはブッシング着座表面234を備え、これが受け座62a上に載置される。ブッシング着座表面234及びブッシング224の側面は、例えば8ミクロンに研磨されることでサイクル耐久性を維持し得る。アクチュエータ220は一体型作動ワッシャ部分222を備える。アクチュエータ220はブッシング224の周りに摺動する。次にD字形状ワッシャ226がD字形状上表面232と嵌合される。ワッシャ228はD字形状ワッシャ226上に間に載置される。次にナット230がねじ式表面236に装着されて張力T、例えば5〜6ポンドの力まで締め付けられ、1滴のねじ固着剤が加えられる。
【0079】
本発明のこの態様において、垂直方向の荷重経路は有利には、ブッシング224、その着座部234からアクチュエータ220を通じてD字形状ワッシャ226、任意のワッシャ228、及びナット230までにのみ延びる。特に、荷重経路はポリカーボネートの上部把持部分24a又は下部把持部分24bを含まず、従ってこれらの部分に長期にわたり応力がかかることはない。
【0080】
図15に示されるとおり、ワッシャ228はベルビルワッシャ240などの緊張部材に替えてもよい。同様に、
図15A、15Bに示されるとおり、スプリング242又は244などの緊張部材が用いられてもよい。上記に詳述されるとおり、緊張部材は弛みを取り除くか、又は膨張する余地を与えると同時に、一定の張力Tを維持するよう動作し得る。上記の
図15〜15Cに図示される位置に加え、緊張部材は、それが一定の張力を提供し得るような自動係止機構54の任意の他の箇所に配置できる。
【0081】
図16に示されるとおり、アクチュエータ250は柱部258を備えてもよく、この柱部は、下部把持部分24bの枢動基部62及び上部把持部分24aの枢動基部262に被せて装着するか、又はその他の方法で装着することにより上部把持部分24a及び下部把持部分24bに装着されるよう設計される。アクチュエータ250は、スプリング256(例えば引張スプリング又は伸張スプリング)に装着される第1の柱部252を備える。スプリング256は第2の柱部254に装着され、この柱部は下部把持部分24bに装着される。操作中、アクチュエータ250が柱部258を軸に枢動されると、カテーテルの遠位端18が偏向され、遠位端の零点に戻る方向に力Fを及ぼし得る。スプリング256、アクチュエータ250、柱部252、及び柱部254の配置は、アクチュエータがその中間点にあるときスプリングがその最長状態となるようにされる。アクチュエータ250が枢動されてその中間点から離れると、柱部252と254との間の長さは短くなり、ひいてはスプリング256が短くなる。従って、アクチュエータ250の中間点に戻るためには、力F1を及ぼしてスプリング256を伸ばさなければならない。この力F1は力Fと逆向きで、好ましくは力Fを上回る。すなわち、遠位端18により生成される力Fが遠位端18をその零点に戻そうとし、ひいてはアクチュエータ250をその中間点に戻そうとする。スプリング256により生成される力F1は、アクチュエータをその中間点のさらに左又は右に動かそうとし、ひいては遠位端を左又は右に動かそうとする。結果として、スプリング256は自動係止機構における緊張部材200として作用する。当業者に周知のとおり、アクチュエータ250、スプリング256、及び柱部252、254の動きを柱部に関して配置されるギアによって補助することにより、アクチュエータ250の動作中における柱部252と254との間の距離を長く、又は短くし得る。
【0082】
本発明のアクチュエータは数多くの物理的構成を想定でき、図面に示される形状のアクチュエータに限定されない。例えば、アクチュエータ20はT字形状を想定でき、又は円形の可能性もある。
図17に示されるとおり、アクチュエータ280は柱部288を備えてもよく、この柱部は、下部把持部分24bの枢動基部62及び上部把持部分24aの枢動基部262に被せて装着するか、又はその他の方法で装着することにより上部把持部分24a及び下部把持部分24bに装着されるよう設計される。アクチュエータ280は押圧可能なレバー284、282を有してもよく、これらが操作者により押圧されなければアクチュエータ280は枢動しない。レバー284、282はアクチュエータ20内部の係止機構に接続され、回転動作が可能でないうちは解放されていなければならない。
【0083】
図18に示されるとおり、回転可能な柱部290が柱部294のアクチュエータ292と摩擦接触していてもよい。操作中、アクチュエータ292が柱部294を軸に枢動されると、カテーテルの遠位端18は偏向され、遠位端の零点に戻る方向に力Fを及ぼし得る。回転可能な柱部290は、力F2(例えば摩擦力)を克服しなければ回転することができない。従って、力F2は遠位端18により及ぼされる力Fに対抗するものであり、好ましくは力Fを上回る。結果として、回転可能な柱部290は自動係止機構における緊張部材200として作用する。
【0084】
本発明の実施形態がある程度の特異性を伴い上述されたが、当業者は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に対し数多くの変更を加えることができるであろう。本発明のアクチュエータは数多くの物理的構成を想定でき、図面に示される形状のアクチュエータに限定されない。例えば、アクチュエータ20はT字形状を想定でき、又は円形の可能性もある。
【0085】
全ての向きについての言及(例えば、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、上部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、読み手の本発明への理解を補助するために特定する目的で使用されるに過ぎず、特に位置、向き、又は本発明の使用に関して限定を生じさせるものではない。結合についての言及(例えば、装着される、連結される、接続されるなど)は広く解釈されるべきであり、接続要素間の中間部材及び要素間の相対移動を含み得る。そのため、結合についての言及は必ずしも2つの要素が直接的に接続されて互いに固定された関係にあることを含意するものではない。上記の説明に含まれるか、又は添付の図面に示される全ての事項は例示に過ぎず、非限定的であると解釈されるものとすることが意図される。特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の趣旨から逸脱することなしに、詳細事項又は構造に変更が加えられてもよい。