特許第5944346号(P5944346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944346
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20160621BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H02K9/06 B
   H02K9/19 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-107025(P2013-107025)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-230356(P2014-230356A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】楳田 段
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−135306(JP,A)
【文献】 特開2010−263744(JP,A)
【文献】 実公昭26−009711(JP,Y1)
【文献】 特開平09−168246(JP,A)
【文献】 特開2001−045725(JP,A)
【文献】 実開昭56−133258(JP,U)
【文献】 実公昭42−018964(JP,Y1)
【文献】 実開昭57−143875(JP,U)
【文献】 特開平07−245914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、この固定子の内孔部分に回転可能に設けられる回転子とをケーシング内に収納した回転電機であって、
前記回転子の軸方向端部に設けられ、回転子と共に回転してケーシング内の空気を攪拌するファンと、
前記固定子の外周に一体的に設けられ、冷却用の水室及びこの水室の端部と一体のフィンを有する中子リングと、
前記固定子及び中子リングの端面と、この端面と対向する前記ケーシングの内面との間に、この内面に沿って設けられ、前記ファンにより攪拌されたケーシング内の空気を、固定子鉄心の端部に露出する固定子巻線のコイルエンド及び前記フィンを経て前記ケーシングの前記内面との間に流す第1の仕切り板と、
前記ファンとは別体で、一端部が前記第1の仕切り板の回転軸側の端部板面が連続するように固定され他端部は回転軸の軸方向に折り曲げられ、第1の仕切り板とケーシング内面との間に流れる空気を、前記回転軸の外周と前記ファンとの間の空間に流す第2の仕切り板と、
を備えたことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記回転子は、前記回転軸の外周に、軸方向に貫通する通気部を介して一体的に取り付けられた鉄心を有し、
前記ケーシング内の空気を攪拌するファンは、前記回転子の軸方向両端部にそれぞれ設けられ、
前記ケーシング内の、前記固定子及び回転子の一端側には、前記第1の仕切り板及び第2の仕切り板が設けられ、
前記ケーシング内の、前記固定子及び回転子の他端側には、前記通気部を通過した空気を前記回転子の他端側に設けられた前記ファンに案内する第3の仕切り板、及び前記固定子及び中子リングの他端面と、この他端面と対向する前記ケーシングの内面との間に、この内面に沿って設けられ、前記ファンからの空気を、前記固定子巻線の他端側コイルエンド及び他端側のフィンに案内する第4の仕切り板を設け、
前記中子リングの外周面には冷却フィンが設けられ、この冷却フィンとこれに対向するケーシングの内面との間に、前記ケーシング内の一端側と他端側とを連通する冷却通路が形成され、
さらに、前記第4の仕切り板とこれに対向する前記ケーシングの内面との間に設けられ、前記第4の仕切り板により、前記固定子巻線の他端側コイルエンド及び他端側端部冷却フィンに案内された空気を、前記冷却通路へ送る機能を有する第5の仕切り板を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転子は、円筒を成す鉄心を有し、この鉄心の内周面がリブにより前記回転軸の外周と間隔を保って一体的に取り付けられ、
前記第2の仕切り板は、前記第1の仕切り板とケーシング内面との間に案内された空気を、前記回転軸の外周と回転子鉄心の内周との間に案内し、
かつ前記回転子の鉄心には、その内周から前記固定子鉄心の内周との間隙に通じる空気孔を設けると共に、この空気孔の、回転子鉄心の内周側入り口部に、この回転子鉄心の内周の空気を回転に伴い前記空気孔に案内するガイド羽根を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固定子と、この固定子の内孔部分に回転可能に設けられる回転子とを、ケーシング内に収納した回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機や発電機等の回転電機において、ケーシング内に、固定子と、この固定子の内孔部分に回転可能に設けられる回転子とを収納した構造のものがある。このような回転電機では、ケーシング内部の各構成部品を冷却するため、回転子の軸方向端部にファンを設け、これを回転子と共に回転させてケーシング内の空気を攪拌するように構成している。また、固定子のコイルエンドと、このコイルエンドと対向するケーシング内面との間に仕切り板を設け、上述したファンにより攪拌され、固定子巻線のコイルエンドを経たケーシング内の空気を、この仕切り板とケーシング内面との間に案内するように構成している。
【0003】
従来の回転電機では、上述した固定側の仕切り板に加えて、回転子に設けたファンの軸方向端部にも仕切り板(回転側の仕切り板とする)を設けている(例えば、特許文献1参照)。このような回転側の仕切り板を設けたことにより、攪拌用のファン周囲のみで冷却空気が短絡的に循環することが防ぐことができ、コイルエンド部を通過する冷却空気量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭42−18964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の構造は、回転側のファンに、さらに仕切り板を設けているため、回転電機の組み立て時、或いは点検時などにおいて、回転子の、固定子内孔に対する挿入操作、及び微調整作業が難しくなり、これらの作業に多くの手間を要した。
【0006】
本発明は、組立性が良く、微調整作業も容易に可能であり、ケーシング内各部に発生する発熱の放熱効率が向上する冷却構造とした回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る回転電機は、固定子と、この固定子の内孔部分に回転可能に設けられる回転子とをケーシング内に収納した回転電機であって、前記回転子の軸方向端部に設けられ、回転子と共に回転してケーシング内の空気を攪拌するファンと、前記固定子の外周に一体的に設けられ、冷却用の水室及びこの水室の端部と一体のフィンを有する中子リングと、前記固定子及び中子リングの端面と、この端面と対向する前記ケーシングの内面との間に、この内面に沿って設けられ、前記ファンにより攪拌されたケーシング内の空気を、前記固定子鉄心の端部に露出する固定子巻線のコイルエンド及び前記フィンを経て前記ケーシングの前記内面との間に流す第1の仕切り板と、 前記ファンとは別体で、一端部が前記第1の仕切り板の回転軸側の端部板面が連続するように固定され他端部は回転軸の軸方向に折り曲げられ、第1の仕切り板とケーシング内面との間に流れる空気を、前記回転軸の外周と前記ファンとの間の空間に流す第2の仕切り板とを備えたことを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定子巻線のコイルエンド部を含むケーシング内各部に冷却空気を効率よく供給することができ、しかも、組立性が良く、回転子の微調整作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る回転電機の内部構成を示す図である。
図2図1で示した第1の仕切り板と第2の仕切り板との関係を、それらの板面方向から見た図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る回転電機の内部構成を示す図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る回転電機の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、電動機や発電機などの回転電機の第1の実施形態を示す図である。図1において、回転電機11は、円筒状の内孔を有する固定子(図1では円筒の上半部のみ図示)12と、この固定子12の内孔内に回転可能に設けられた回転子(同じく図1では上半部のみ図示)13とを有し、これらはケーシング14内に設置されている。
【0012】
固定子12は、円筒状の固定子鉄心の内周面(図示下面)に開溝する軸方向に沿うスロットを複数条有し、これらのスロット内には固定子巻線15がそれぞれ設けられ、それらのコイルエンド151は図示のように固定子12の鉄心両端部から露出している。また、この固定子12の鉄心外周には中子リング16が一体的に設けられている。この中子リング16内には、冷却用の水室17が形成されている。この水室17の端部は、中子リング16の両端からそれぞれ突出しており、それぞれ端部にフィン18を一体に有する。
【0013】
回転子13は円筒形の鉄心を有し、上述した固定子12の内孔と同心の回転軸21の外周に、円板状のリブ22を介して一体的に取り付けられている。この回転子13は、その円筒形鉄心の外周部に永久磁石23を取り付け、永久磁石式電動機を構成している。この永久磁石23を含む回転子13の外周面は、固定子12の内孔の内周面と所定のギャップで対向する。また、この回転子13の軸方向両端部にはファン24が一体的に設けられている。このファン24は、回転子13と共に回転してケーシング14内の空気を攪拌する。
【0014】
なお、上述した永久磁石式電動機は、回転電機11の一例として示したものであり、勿論、永久磁石23を持たない回転子を有する他の方式の回転電機11であってもよい。
【0015】
上述した固定子12及び中子リング16の図示左右の端面と、これらの端面と対向するケーシング14の内側面との間には第1の仕切り板26を設ける。この第1の仕切り板26は、図2で示す板面形状を成し、その板面がケーシング14の上述した内側面に沿って設けられる。そして、回転子13の回転に伴い、ファン24により攪拌されたケーシング14内の空気を、固定子巻線15のコイルエンド151及び水室17と一体の端部フィン18を経て、矢印Aで示すように、ケーシング14の内側面との間に案内する。
【0016】
この第1の仕切り板26に対しては第2の仕切り板27を設ける。第2の仕切り板27は、第1の仕切り板26の回転軸21側の端部(図1の下端)と板面が連続するように設けられている。すなわち、この第2の仕切り板27は、図2で示すように、第1の仕切り板26の内周縁と板面が連続するように設けられており、図1で示すように、ケーシング14の上述した内側面に沿う部分27aと、その図示下端部をほぼ直角に折り曲げ、回転軸21の外周面に沿うよう形成した部分27bとから成る。そして、第1の仕切り板26により、その外面とケーシング14の内側面との間に案内された空気を、回転軸21の外周とファン24との間の空間に案内し、ケーシング14内における循環流を形成する。なお、この第2の仕切り板27の外面には補強部材28を一体に設けている。
【0017】
上記構成において、回転電機11が運転され、回転子13が回転軸21を中心に回転すると、この回転子13の図示左右端部に設けられたファン24も回転し、ケーシング14内の空気を攪拌する。このファン24により攪拌されたケーシング14内の空気は、第1の仕切り板26により案内されて、固定子巻線15のコイルエンド151及び水室17と一体の端部フィン18を経てこれらを冷却しながら上昇する。この後、矢印Aで示すように、ケーシング14内の上面部分にてUターンし、ケーシング14の内側面との間に流れ、下降する。下降した空気は、第2の仕切り板27の図示垂直部分27a及び図示水平部分27bに案内されて回転軸21の外周とファン24との間の空間に流れ、ファン24により再びコイルエンド151及び端部フィン18に向って上昇し、ケーシング14内における循環流を形成する。
【0018】
すなわち、固定子12のコイルエンド151の近傍に設けた第1の仕切り板26に加えて、回転子13の軸方向両端に設けられた攪拌用のファン24の近傍にも第2の仕切り板27を設けたことにより、攪拌ファン24の周囲のみで冷却空気が短絡的に循環することが防げる。したがって、コイルエンド151部分を通過する冷却空気量が充分に確保でき、冷却効率が向上する。また、第2の仕切り板27は、従来のように回転子に取り付けるのではなく、第1の仕切り板26に固定することにより、従来の構造よりも、組立性が良く、微調整なども容易に可能となる。
【0019】
次に、図3で示す第2の実施の形態を説明する。この実施の形態による回転電機11も、図1で示した第1の実施の形態と同様に、円筒状の内孔を有する固定子12と、この固定子12の内孔内に回転可能に設けられた回転子13とを、ケーシング14内に設置した構造である。
【0020】
固定子12の鉄心に設けられたスロット内には固定子巻線15が設けられ、それらのコイルエンド151は固定子12の鉄心両端部から露出している。また、この固定子12の鉄心外周には中子リング16が一体的に設けられ、その内部に形成された冷却用の水室17の端部は、中子リング16の両端からそれぞれ突出しており、それぞれ端部のフィン18を一体に有する。
【0021】
また、中子リング16の外周面には軸方向(図示左右方向)に沿う冷却フィン161を設ける。この冷却フィン161とこれに対向するケーシングの内面(図示上面)との間には、ケーシング14内の一端側と他端側とを連通する冷却通路が形成される。
【0022】
回転子13を構成する円筒形の鉄心は、固定子12の内孔と同心の回転軸21の外周に、円板状のリブ22を介して一体的に取り付けられている。この回転子13は、永久磁石23を取り付け、永久磁石式電動機を構成しているが、永久磁石23を持たない回転子を有する構造であってもよい。
【0023】
ここで、回転子13を回転軸21の外周に取り付ける円板状のリブ22には、図示左右方向に貫通する通気部221を設ける。すなわち、回転子13は、回転軸21の外周に、軸方向に貫通する通気部221を介して一体的に取り付けられた円筒形の鉄心を有する。
【0024】
これら固定子12及び回転子13の一端(図示右端)側には、第1の実施の形態と同様の第1の仕切り板26及び第2の仕切り板27を設ける。これら第1の仕切り板26及び第2の仕切り板27の機能は、第1の実施の形態で説明した機能と同じである。すなわち、固定子12及び中子リング16の図示右端面と、ケーシング14の内側面との間に設けられた第1の仕切り板26は、回転子13の回転に伴い、ファン24により攪拌されたケーシング14内の空気を、固定子巻線15のコイルエンド151及び水室17と一体の端部フィン18を経て、矢印Aで示すように、ケーシング14の内側面との間に案内する。第2の仕切り板27は、第1の仕切り板26と板面が連続するように設けられ、第1の仕切り板26によりケーシング14の内面との間に案内された空気を、回転軸21の外周とファン24との間の空間に案内し、ケーシング14内における循環流を形成する。
【0025】
さらに、この第2の仕切り板27は、第1の仕切り板26とケーシング14の内面との間に下向きに案内された空気を、通気部221の一端開口部(図示右端開口部)へも案内する機能を有する。
【0026】
一方、固定子12及び回転子13の他端(図示左端)側には、第3の仕切り板37及び第4の仕切り板36をそれぞれ設ける。第3の仕切り板37は、前述した第2の仕切り板27と同じ構造であるが、通気部221を通って図示右端側から流れてきた空気、すなわち、通気部221の他端開口部(図示左端開口部)の空気を、回転子13の他端(図示左端)側に設けられたファン24に案内する。また、第4の仕切り板36は、前述した第1の仕切り板26と同じ構造であり、固定子12及び中子リング16の他端面(図示左端面)と、これらと対向するケーシング14の内側面との間に、この内側面に沿って設けられている。
【0027】
また、この第4の仕切り板36と、これに対向するケーシング14の内側面との間には、第5の仕切り板38を設ける。この第5の仕切り板38は、第4の仕切り板36により、他端(図示左端)側のコイルエンド151及び端部フィン18に流れた空気を、矢印Bで示すように、中子リング16の外周面に設けられた冷却フィン161と、これに対向するケーシング14の内面との間、すなわち、ケーシング14内の一端側と他端側とを連通する冷却通路に向わせる。
【0028】
上記構成において、回転電機11の運転に伴い、回転子13が回転軸21を中心に回転し、これと一体のファン24も回転すると、これらのファン24により攪拌されたケーシング14内の空気は、第1の仕切り板26及び第2の仕切り板27と、第3の仕切り板37及び第4の仕切り板36とに案内されて上昇し、固定子12の鉄心両端部に露出するコイルエンド151及び水室17と一体の端部フィン18を冷却する。
【0029】
この後、ケーシング14内の図示右側では、矢印Aで示すように、ケーシング14内の上面部分にてUターンし、ケーシング14の内側面との間に案内され、下降する。これに対し、ケーシング14内の図示左側では、第5の仕切り板38により、図示左下方への流れが阻止されているため、矢印Bで示すように、中子リング16の外周面に設けられた冷却フィン161と、これに対向するケーシング内面との間に流れる。すなわち、ケーシング14内の一端側と他端側とを連通する冷却通路に流れ、冷却フィン161及びこれと一体の中子リング16を冷却する。
【0030】
なお、この冷却通路内には、通常、固定子巻線15に接続されるケーブル39が設置されているので、このケーブル39も冷却することができる。
【0031】
この冷却通路を通ってケーシング14内の図示右側に達した空気は、矢印Aで示す空気の流れとともに、第1の仕切り板26の外面と、これに対向するケーシング内側面との間に案内され、下降する。下降した空気は、第2の仕切り板27の図示垂直部分27a及び図示水平部分27Bに案内されて回転軸21の外周と、回転子13の鉄心内周との間の空間に流れる。そして、その一部は、図示右側のファン24により再び図示右側のコイルエンド151及び端部冷却フィン18に向って上昇する。また、残りの空気は、円板状のリブ22を図示左右に貫通する通気部221を通って、回転子13の図示左端側に流れる。
【0032】
回転子13の図示左端側に流れた空気は、第3の仕切り板37により、回転子13の図示左端側に設けられたファン24に案内される。そして、このファン24により攪拌されて、再び図示左側のコイルエンド151及び端部冷却フィン18に向って上昇する。
【0033】
このように、左右のコイルエンド151部を冷却する2つの流路のうち、片側(図示左側)を仕切り、水室17を有する中子リング16の背面に設けた冷却フィン161に流すことにより、コイルエンド151に加えて固定子12全体を効率よく冷却できる。
【0034】
次に、図4で示す第3の実施の形態を説明する。この実施の形態による回転電機11も、図1で示した第1の実施の形態と基本的に同じ構造の固定子12、回転子13、第1の仕切り板26及び第2の仕切り板27を有する。第1の実施の形態と異なるのは、回転子13を構成する円筒形の回転子鉄心に、その内周から固定子12の内周との間隙に通じる空気孔41を設けたことにある。この空気孔41は、回転子13の内周面と回転軸21の外周との間の空気を捉えて、固定子12の内周との間隙に導くものである。このため、この空気孔41の入り口部分である回転子13の内周にガイド羽根42を設けると、より効率的に空気を捉えることができる。
【0035】
ここで、第2の仕切り板27は、第1の実施の形態と同様に、第1の仕切り板26の外面とケーシング内側面との間を下降する空気を、攪拌用のファン24近くに案内すると共に、回転軸21の外周と回転子13の鉄心内周との間にも案内する。
【0036】
上記構成において、回転電機11の運転に伴い、回転子13が回転軸21を中心に回転し、これと一体のファン24も回転すると、これらのファン24により攪拌されたケーシング14内の空気は、第1の仕切り板26に案内されて上昇し、固定子12の鉄心両端部に露出するコイルエンド151及び水室17と一体の端部フィン18を冷却する。
【0037】
この後、図1における矢印Aで示すように、ケーシング14内の上面部分にてUターンし、ケーシング14の内側面との間に案内され、下降する。下降した空気は第2の仕切り板27により攪拌用のファン24近くに案内されると共に、回転軸21の外周と回転子13の鉄心内周との間にも案内される。この回転軸21の外周と回転子13の鉄心内周との間に案内された空気は、回転子13の回転により、ガイド羽根42から回転子13に設けられた空気孔41に捉えられ、矢印Cで示すように、固定子12の内周との隙間を経てコイルエンド151及び端部フィン18に流れ、これらを冷却する。
【0038】
これらの結果、コイルエンド151及び端部フィン18に流れる空気量は、図1で示した矢印Aの流れに加えて、図4で示す矢印Cの空気の流れが加わることになる。また、攪拌しづらい固定子12の空気を攪拌できる。このため、これらをより効率的に冷却することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
11・・・回転電機
12・・・固定子
13・・・回転子
15・・・固定子巻線
151・・・コイルエンド
16・・・中子リング
161・・・冷却フィン
17・・・水室
18・・・フィン
21・・・回転軸
22・・・リブ
221・・・通気部
24・・・攪拌用のファン
26・・・第1の仕切り板
27・・・第2の仕切り板
36・・・第4の仕切り板
37・・・第3の仕切り板
38・・・第5の仕切り板
図1
図2
図3
図4