【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
その収縮状態において非螺旋形状を有する弾性バルーンが取り付けられる1つ以上の導管を備え、該バルーンは、膨張時に渦巻き状または螺旋状構造を取ることが可能であるように構成される、バルーンカテーテルシステム。
(項目2)
収縮状態における上記バルーンの長さ、伸び率、および収縮状態における該バルーンの内径の相対値は、上記バルーンが、膨張時に渦巻き状または螺旋状構造を取ることが可能であるように選択される、項目1に記載のバルーンカテーテルシステム。
(項目3)
上記バルーンは、単一のカテーテル導管に取り付けられる、項目1に記載のバルーンカテーテルシステム。
(項目4)
上記バルーンの遠位ネック部は、第1のカテーテル導管に取り付けられ、一方、その近位ネック部は、第2の導管に取り付けられ、該第1および第2の導管は、該導管のうちの1つのシャフトの少なくとも一部分が、他方の導管のルーメン内に配置されるように構成される、項目1に記載のバルーンカテーテルシステム。
(項目5)
内側導管のルーメンを外側導管を囲む空間に連結する少なくとも1つの側面開口部をさらに備える、項目4に記載のバルーンカテーテルシステム。
(項目6)
吸引管をさらに備え、その遠位端は、上記バルーンの近位ネック部に近接して、かつその近位側に位置する、項目1に記載のバルーンカテーテルシステム。
(項目7)
身体通路から粒子状物質を除去するような治療を必要とする患者におけるそのための方法であって、
a)弾性バルーンおよび吸引要素が装着されるカテーテルを提供するステップであって、該バルーンは、収縮時に非渦巻き形状を有し、膨張時に渦巻き状構造を取るように構成される、ステップと、
b)該カテーテルを末梢血管に導入し、除去される該粒子状物質の領域に該バルーンが位置するまで該カテーテルを進めるステップと、
c)渦巻き状構造を取るように該バルーンを膨張させるステップであって、それによって、該粒子状物質は、該バルーンの外面に形成された該渦巻き状チャネルに入り、該バルーンと該血管壁との間で圧搾され、細長くされる、ステップと、
d)該圧搾された粒子状物質を該吸引要素に吸引するステップであって、該吸引は、連続的または断続的に実行され得る、ステップと、
e)任意により、該バルーンを部分的または完全に収縮させ、除去される粒子状物質の別の領域に該バルーンが位置するように、該カテーテルを再び配置し、ステップ(c)および(d)を繰り返すステップと、
f)該バルーンを完全に収縮させ、該カテーテルを患者の血管系から引き抜くステップと
を含む、方法。
(項目8)
除去される上記粒子状物質は、血栓性物質である、項目7に記載の方法。
(項目9)
身体通路から血栓性物質を除去するような治療を必要とする患者におけるそのための方法であって、
a)上文において開示されるように、弾性バルーンが装着されるカテーテルを提供するステップであって、該バルーンは、収縮時に非渦巻き形状を有し、膨張時に渦巻き状構造を取るように構成される、ステップと、
b)該カテーテルを末梢血管に導入し、除去される該血栓性物質の領域に該バルーンが位置するまで該カテーテルを進めるステップと、
c)該バルーンの外面に巻き付く渦巻き状チャネルを有する渦巻き状構造を取るように、該バルーンを膨張させるステップであって、それによって、該血栓性物質は、該渦巻き状チャネルに入り、該バルーンと該血管壁との間で圧搾され、細長くされる、ステップと、
d)該バルーンを収縮させるステップであって、それによって該収縮されたバルーンと該圧搾された血栓性物質との間に空間が形成され、そこに血栓溶解剤が導入されて、血栓の溶解が強化され得る、ステップと、
e)ステップ(c)および(d)を迅速に繰り返すステップと、
f)該バルーンを完全に収縮させ、該カテーテルを患者の血管系から引き抜くステップと
を含む、方法。
(項目10)
身体通路から血栓を除去するような治療を必要とする患者におけるそのための方法であって、
a)上文において開示されるように、弾性バルーンが装着されるカテーテルを提供するステップであって、該バルーンは、収縮時に非渦巻き形状を有し、膨張時に渦巻き状構造を取るように構成される、ステップと、
b)該カテーテルを末梢血管に導入し、除去される血栓の領域に該バルーンが位置するまで該カテーテルを進めるステップと、
c)該バルーンの膨張によって形成される渦巻き状チャネル内において血栓を捕捉するステップと、
d)該捕捉された血栓とともに、血管系を通して身体から該カテーテルを引き抜くステップと
を含む、方法。
本発明者は、思いがけなく、特定の寸法基準を満たす弾性管(すなわち、バルーンまたはシース)が、拡張時に渦巻き状または螺旋状構造を取ることを発見した。特定の従来技術のバルーンとは対照的に、本発明の弾性管は、外側抑制バンドまたは腔内渦巻き形状ワイヤ等の追加の構造特徴を何ら必要とせずに、膨張時に渦巻き状構造を取ることが可能である。言い換えると、本発明のバルーンは、膨張時に渦巻き形状を取る本質的な能力を有し、この能力は、バルーンの構成に使用する材料、バルーンの寸法、およびその両端の各々におけるカテーテルシャフトへのバルーンの取り付けの機能である。このような新規の形式の弾性バルーンは、収縮時に極めて低い断面プロファイルを有し、膨張時に螺旋形状または渦巻き形状を有するという観点から、従来技術のバルーンに対して大幅な利点を有する。
【0013】
最も一般的な形式において、本発明は、カテーテル管の遠位端および近位端に取り付けられる管状弾性バルーンを備えるバルーンカテーテルデバイスである。膨張時に、近位/遠位方向における任意の大幅な伸長が不可能である(カテーテルシャフトへのその末端の取り付けにより)バルーンは、渦巻き状または螺旋状構造を取る。その収縮状態において、バルーンが取り付けられる導管の周囲の従来的な低プロファイルの線形(すなわち、非渦巻き状)シースとしてバルーンが現れることを強調されたい。この線形シースが渦巻き状構造を取るのは、膨張中だけである。
【0014】
したがって、本発明は、その収縮状態において非螺旋形状を有する弾性バルーンが取り付けられる1つ以上の導管を備えるバルーンカテーテルシステムを主に対象とし、前記バルーンは、膨張時に渦巻き状または螺旋状構造を取ることが可能であるように構成され、前記バルーンは、膨張時に、前記螺旋形状を取るために、ワイヤ、バンド、形成具等の補助的要素の使用を何ら必要としない。
【0015】
本開示において、用語の「近位」および「遠位」は、医師の(または操作者の)観点から定義される。したがって、用語の「近位」は、外側体壁および/または操作者に最も近接するデバイスまたはその部分の側または端部をいうために使用され、一方、用語の「遠位」は、外側体壁および/または操作者とは反対の方向にある構造の側または端部をいうために使用される。
【0016】
好適な一実施形態では、バルーンの遠位ネック部および近位ネック部は、単一のカテーテル導管に取り付けられる。別の好適な実施形態では、バルーンの遠位ネック部は、一方のカテーテル導管に取り付けられ、一方、その近位ネック部は、第2の導管に取り付けられ、前記第1および第2の導管は、導管のうちの1つのシャフトの少なくとも一部分が、他方の導管のルーメン内に位置するように配置される。
【0017】
別の好適な実施形態では、バルーンカテーテルシステムは、吸引要素をさらに備える。本要素の一般的な形式は、低プロファイル断面の管であり、その近位端は、負圧源に連結され、その開放遠位端は、バルーンの近位ネック部に近接して配置される。好ましくは、吸引要素は、カテーテル導管に接合される。
【0018】
別の側面では、本発明は、身体通路から粒子状物質を除去するような治療を必要とする患者におけるそのための方法であって、
a)弾性バルーンおよび吸引要素が装着されるカテーテルを提供するステップであって、前記バルーンは、収縮時に非渦巻き形状を有し、膨張時に渦巻き状構造を取るように構成されるステップと、
b)前記カテーテルを末梢血管に導入し、除去される粒子状物質の領域に前記バルーンが配置されるまで前記カテーテルを進めるステップと、
c)前記バルーンの外面に巻き付く渦巻き状チャネルを有する渦巻き状構造を取るように、前記バルーンを膨張させるステップであって、それによって、前記粒子状物質は、前記渦巻き状チャネルに入り、前記バルーンと前記血管壁との間で圧搾され、細長くされるステップと、
d)前記圧搾された粒子状物質を前記吸引要素に吸引するステップであって、前記吸引は、連続的または断続的に実行され得るステップと、
e)任意により、バルーンを部分的または完全に収縮させ、除去される粒子状物質の別の領域に前記バルーンが位置するように、前記カテーテルを再び配置し、ステップ(c)および(d)を繰り返すステップと、
f)バルーンを完全に収縮させ、カテーテルを患者の血管系から引き抜くステップと
を含む方法を対象とする。
【0019】
本方法の好適な一実施形態では、除去される粒子状物質は、本来は、血栓性または塞栓性である。
【0020】
また、身体通路から粒子状物質を除去するような治療を必要とする患者におけるそのための方法であって、
a)上文において開示されるように、弾性バルーンが装着されるカテーテルを提供するステップであって、前記バルーンは、収縮時に非渦巻き形状を有し、膨張時に渦巻き状構造を取るように構成されるステップと、
b)前記カテーテルを末梢血管に導入し、除去される血栓性物質の領域に前記バルーンが配置されるまで前記カテーテルを進めるステップと、
c)前記バルーンの外面に巻き付く渦巻き状チャネルを有する渦巻き状構造を取るように、前記バルーンを膨張させるステップであって、それによって、血栓性物質は、前記渦巻き状チャネルに入り、前記バルーンと前記血管壁との間で圧搾され、細長くされるステップと、
d)前記バルーンを収縮させるステップであって、それによって前記収縮されたバルーンと前記圧搾された血栓性物質との間に空間が形成され、そこに血栓溶解剤が導入されて、血栓の溶解が強化され得るステップと、
e)ステップ(c)および(d)を迅速に繰り返すステップと、
f)バルーンを完全に収縮させ、カテーテルを患者の血管系から引き抜くステップと
を含む方法を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、身体通路から血栓を除去するような治療を必要とする患者におけるそのための方法であって、
a)上文において開示されるように、弾性バルーンが装着されるカテーテルを提供するステップであって、前記バルーンは、収縮時に非渦巻き形状を有し、膨張時に渦巻き状構造を取るように構成されるステップと、
b)前記カテーテルを末梢血管に導入し、除去される血栓の領域に前記バルーンが位置するまで前記カテーテルを進めるステップと、
c)前記バルーンの膨張によって形成される渦巻き状チャネル内において血栓を捕捉するステップと、
d)前記捕捉された血栓とともに、血管系を通して身体から前記カテーテルを引き抜くステップと
を含む方法を提供する。
【0022】
本発明の上述の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、本発明の好適な実施形態に関する以下の例証的かつ非限定的な例によってさらに理解されるであろう。