(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の台車1の実施形態の一例について、
図1〜
図23を参照しながら説明する。本実施例における台車1は、走行手段としての車輪2を有する台車本体3と、台車本体3の上部に互いに平行に立設される一対の支持枠部材4と、支持枠部材4間に架設される複数の棚板5とを有している。
【0014】
前記台車本体3は、ステンレス鋼等の金属製の平面視矩形状に形成され、その下部の少なくとも四隅に前記車輪2が垂設されている。前記支持枠部材4は、台車本体3の四隅に立設された柱部材6における台車本体3の短手方向の各辺側の一対の柱部材6から構成されている。
【0015】
前記柱部材6は、上部が上側の棚板5に上下方向に回動自在に連結された第1の節部材7と、上部が第1の節部材7と上下方向に回動自在に連結されるとともに、下部が中間側の棚板5と上下方向に回動自在に連結された第2の節部材8と、上部が中間側の棚板5と上下方向に回動自在に連結された第3の節部材9と、上部が第3の節部材9と上下方向に回動自在に連結されるとともに、下部が台車本体3と上下方向に回動自在に連結された第4の節部材10から構成されている。
【0016】
前記棚板5は、支持枠部材4間における第1の節部材7の上部間と、第2の節部材8と第3の節部材9との間とにそれぞれ架設されている。棚板5は、アルミニウム製の板部材11と、板部材11の下部に板部材11の長手方向と平行に配設された複数の補強杆部材12とを有している。尚、補強杆部材12は、アルミニウム製の中空角柱状に形成されている。また、補強杆部材12は、板部材11の短手方向に所定の間隔を有して互いに平行に配置されている。
【0017】
上側の棚板5は、第1の節部材7の上部に上下方向に回動自在に連結されている。ここで、上側の棚板5と中間側の棚板5との間における柱部材6は、第1の節部材7と第2の節部材8を第1のヒンジ部13を介して上下方向に連結して構成されている。尚、第1の節部材7と第2の節部材8は、第1のヒンジ部13を介して互いの外側面を合わせるように内側に折れ曲がり可能なものとしている。
【0018】
尚、上側の棚板5と第1の節部材7の上部との連結部分では、上側の棚板5の四隅に棚板5の長手方向と平行に配置されたステンレス鋼等の金属板製の第1の棚側連結プレート14と、第1の節部材7の上部に棚板5の長手方向と平行に配置されたステンレス鋼等の金属板製の上側連結プレート15とがボルト・ナット等の第1の連結手段16によって上下方向に回動自在に連結されている。
【0019】
また、第1の棚側連結プレート14は、略L型の板状に形成されており、下向きに配置された一方を上側連結プレート15に回動自在に連結されるとともに、棚板5の長手方向内向き且つ水平方向と平行に配置された他方にはボルト17を備えている。
【0020】
一方、上側連結プレート15には、その上部を内向き斜め上方向に延設した延設部18を備えており、延設部18の内側面に形成された第1の切欠き部19を前記ボルト17の軸部に係止可能に備えている。
【0021】
中間側の棚板5は、柱部材6の中間部における第2の節部材8の下部及び第3の節部材9の上部に上下方向に回動自在に連結されている。ここで、中間側の棚板5と台車本体3との間における柱部材6は、第3の節部材9と第4の節部材10を第2のヒンジ部20を介して上下方向に連結して構成されている。尚、第3の節部材9と第4の節部材10は、第2のヒンジ部20を介して互いの外側面を合わせるように内側に折れ曲がり可能なものとしている。
【0022】
尚、中間側の棚板5と柱部材6の中間部との連結部分では、中間側の棚板5の四隅に棚板5の長手方向と平行に配置されたステンレス鋼等の金属板製の第2の棚側連結プレート21に対して、第2の節部材8の下部に棚板5の長手方向と平行に配置されたステンレス鋼等の金属板製の第1の中間側連結プレート22と、第3の節部材9の上部に棚板5の長手方向と平行に配置されたステンレス鋼等の金属板製の第2の中間側連結プレート23とがそれぞれボルト・ナットからなる第2の連結手段24及び第3の連結手段25によって上下方向に回動自在に連結されている。
【0023】
台車本体3と柱部材6の下部との連結部分では、台車本体3の四隅に台車本体3の長手方向と平行に立設されたステンレス鋼等の金属板製の本体側連結プレート26と、第4の節部材10の下部に台車本体3の長手方向と平行に配置されたステンレス鋼等の金属板製の下側連結プレート27とがボルト・ナット等の第4の連結手段28によって上下方向に回動自在に連結されている。
【0024】
第1の節部材7間には、ステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第1の架設部材29が架設されている。この第1の架設部材29には、ステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第1の保持部材30の一端が、棚板5の長手方向と平行に上下方向に回動自在に枢設されている。
【0025】
そして、第1の保持部材30の他端は、コイルスプリング等の第1の弾性部材31を介して棚板5の短手側の辺に連結されている。第1の保持部材30の他端の両側には、一対の第1のピン32が設けられており、これらの第1のピン32にはそれぞれ第1のガイドローラー33が着脱自在に装着され、この第1のガイドローラー33を棚板5の補強杆部材12間を転動自在に備えている。ここで、第1の保持部材30、第1の弾性部材31、第1のガイドローラー33によって、支持枠部材4を展開方向に付勢する第1の付勢手段34が構成される。
【0026】
同様に第3の節部材9間にも、ステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第2の架設部材35が架設されている。この第2の架設部材35にも、金属製の角筒部材からなる第2の保持部材36の一端が、棚板5の長手方向と平行に上下方向に回動自在に枢設されている。そして、第2の保持部材36の他端は、コイルスプリング等の第2の弾性部材37を介して棚板5の短手側の辺に連結されている。第2の保持部材36の他端の両側には、一対の第2のピン38が設けられており、これらの第2のピン38にはそれぞれ第2のガイドローラー39が着脱自在に装着され、この第2のガイドローラー39を棚板5の補強杆部材12間を転動自在に備えている。ここで、第2の保持部材36、第2の弾性部材37、第2のガイドローラー39によって、支持枠部材4を展開方向に付勢する第2の付勢手段40が構成される。
【0027】
上側の棚板5及び中間側の棚板5のそれぞれの短手方向の辺には、ステンレス鋼等の金属製の円筒部材からなる第1の把持部41及び第2の把持部42がそれぞれ設けられている。柱部材6における第1のヒンジ部13付近、例えば第2の節部材8の上部間にはステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第1の操作杆部材43が架設されている。同様に柱部材6における第2のヒンジ部20付近、例えば第4の節部材10の上部間にはステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第2の操作杆部材44が架設されている。
【0028】
後述する角部65の台車本体3の長手方向と平行な面には、金属製の角筒部材からなる第3の保持部材45の一端が、棚板5の長手方向と平行に上下方向に回動自在に枢設されている。また、第3の保持部材45の他端には第2の切欠き部46が形成されている。そして中間側の棚板5の長手方向の一辺に備えた中間側連結用プレート47には一対のボルト48を備えており、第2の切欠き部46を前記ボルト48の軸部に係止可能に備えている。
【0029】
各第3の保持部材45の外側面には、台車本体3上に重ねて配置した場合に、互い違いに配置され互いの外側面を保持可能に設けられ、重なり合う第3の保持部材45のズレを防止するステンレス鋼等の金属製の板部材11からなるガイド部材49をそれぞれ備えている。
【0030】
また、台車本体3の長手方向の一辺にも、ステンレス鋼等の金属製の板部材11からなる本体側ガイド部材50を立設し、台車本体3上で折り重なる各第3の保持部材45の外側面を保持可能に備えている。
【0031】
第1の節部材7と第2の節部材8を直線状態に保持する第1の保持手段51として、第1の節部材7の下部の内側面に備えたステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第1の筒部52と、第2の節部材8の上部の内側面に備えたステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第2の筒部53と、第1の筒部52内部と第2の筒部53内部に連続して挿入可能な長さに形成され、第1の筒部52と第2の筒部53を連結するステンレス鋼等の金属製の棒状部材からなる第1のロックピン54と、第1の節部材7と第2の節部材8の直線状態を解除した場合に第1のロックピン54を第1の節部に係止可能に備えた第1の係止部55とを備えている。
【0032】
尚、第1のロックピン54の上部には、第1の筒部52内部と第2の筒部53内部に連続して挿入した場合に第1のロックピン54が第2の筒部53の下部から抜け落ちるのを防止する脱落防止手段も兼ねる第1の取手部56を備えており、第1の係止部55に形成された第1の係止溝57にはこの第1の取手部56を係止可能に備えている。
【0033】
第3の節部材9と第4の節部材10を直線状態に保持する第2の保持手段58として、第3の節部材9の下部の内側面に備えたステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第3の筒部59と、第4の節部材10の上部の内側面に備えたステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第4の筒部60と、第3の筒部59内部と第4の筒部60内部に連続して挿入可能な長さに形成され、第3の筒部59と第4の筒部60を連結するステンレス鋼等の金属製の棒状部材からなる第2のロックピン61と、第3の節部材9と第4の節部材10の直線状態を解除した場合に第2のロックピン61を第3の節部材9に係止可能に備えた第2の係止部62とを備えている。
【0034】
尚、第2のロックピン61の上部には、第3の筒部59内部と第4の筒部60内部に連続して挿入した場合に第2のロックピン61が第4の筒部60の下部から抜け落ちるのを防止する脱落防止手段も兼ねる第2の取手部63を備えており、第2の係止部62に形成された第2の係止溝64にはこの第2の取手部63を係止可能に備えている。
【0035】
台車本体3の四隅には、台車本体3のコーナー部分の形状に合わせて略L型に折り曲げ形成されたステンレス鋼等の金属製の板部材11からなる角部65を備えている。この角部65の両面には、クレーンのフックやロープ等が係止可能な貫通部66を備えている。
【0036】
角部65における台車本体3の短手方向と平行な面(以下、短手側面という)の上部には、水平方向と平行に備えた第1の水平部67を備えている。そして、角部65の短手側面と第1の水平部67を連続して貫通して形成された第1の溝部68を備えており、さらに短手側面には第1の溝部68内を揺動可能に備えた雄螺子部材69が上下方向に回動自在に枢設されている。また、この雄螺子部材69にはナット70が螺着されているものとする。
【0037】
一方、第4の節部の下部間に架設されたステンレス鋼等の金属製の角筒部材からなる第3の架設部材71の両側の外側面には、前記第1の水平部67に対応する水平方向と平行に備えた第2の水平部72を備えている。この第2の水平部72には、第1の溝部68に対応する第2の溝部73が形成されている。上記の第1の水平部67、第1の溝部68、雄螺子部材69、ナット70、第2の水平部72、第2の溝部73によって台車本体3に対して柱部材6が起立した状態を保持する第3の保持手段74が構成される。
【0038】
また、上側の棚板5の四隅にも、台車本体3の角部65と同様の角部75を備えるとともに、この角部75には車輪受け部76を備えている。
【0039】
尚、車輪2は、例えば自在車輪とし、前記車輪2は、台車本体3の下部に取り付けられる板状の取付部80と、取付部80の下部に備えた回動軸部81と、前記回動軸部81の下部に水平方向に回動自在に備えた支持フレーム部材82と、前記支持フレーム部材82に回動自在に取り付けられた車輪本体83とを備えている。
【0040】
前記取付部80は、金属製の板部材からなり、四隅に第1の取付孔84を備えている。
【0041】
前記支持フレーム部材82は、左右一対の板部材を所定間隔を有して平行に備えた支持部85と、前記支持部85の一方と一体的に設けた円筒部材からなるフレーム本体86とを備えている。
【0042】
ここで、回動軸部81は円筒状に形成されており、取付部80と回動軸部81との間に第1のボールベアリング81Aが配置されているとともに、回動軸部81とフレーム本体86との間に第2のボールベアリング81Bが配置されている。
【0043】
前記車輪本体83は、支持部85間に配置され、支持部85の下部に回動自在に取り付けられている。
【0044】
以下、車輪2の方向制御装置87について説明する。方向制御装置87は、取付部80に取り付け可能な基部88と、前記基部88に回動自在に備え、車輪本体83の水平方向の回動方向を規制する規制部89とを備えている。
【0045】
前記基部88は、略矩形状の板部材からなり、その中央部分を円弧状に切り欠くとともに、その中央部分の円弧状の切欠部分から基部88の一端までを略矩形状に切り欠き、前記基部88の中央部分から一端までを略鍵穴状に切り欠いた第1の嵌合部90を備えた門型或いは馬蹄型に形成されたものである。ここで、第1の嵌合部90における基部88の一方側の開口部分の寸法L1は、少なくともフレーム本体86の直径D1より大きく形成されている。また、第1の嵌合部90における円弧状の切欠部分の直径D2は、回動軸部81の直径D3より大きく形成されている。
【0046】
前記基部88の四隅には、前記第1の取付孔84に対応する長孔状の第2の取付孔91を設けている。また、前記基部88の左右両端には、その左右両端を下方へ垂直に折り曲げた軸受部92を備えている。
【0047】
規制部89は、略矩形の板部材からなり、規制部89の中央部分を略矩形状に切り欠くとともに、その中央部分の略矩形状の切欠部分から規制部89の一端までを略円弧状に切り欠き、前記規制部89の中央部分から一端までを略鍵穴状に切り欠いた第2の嵌合部93を備えた門型或いは馬蹄型に形成されたものである。
【0048】
前記第2の嵌合部93における略矩形状の切欠部分の左右両端には、その左右両端を下方へ垂直に折り曲げた左右一対の押さえ部94を備えている。ここで、前記押さえ部94の間隔L2は、一対の支持部85の間隔L3より大きく形成されている。
【0049】
前記規制部89の左右両端には、その左右両端を下方へ垂直に折り曲げた軸部95を備えている。また、前記規制部89は、前記軸部95を介して前記軸受部92に垂直方向に回動自在に備えている。
【0050】
ここで、前記規制部89の回動動作を規制するロック手段96として、規制部89の他端に垂直下向きに立設されたピン部材97と、規制部89の他端に形成され前記ピン部材97が挿通可能な挿通穴98と、ピン部材97の先端に回動自在に備えた抜け止め部材99とを備えている。
【0051】
次に上記構成の台車1の使用方法について説明する。最初に
図13の状態に折り畳まれた状態の台車1を組み立てる方法について説明する。先ず上側の棚板5を組み立てる場合、第1の把持部41をつかみ上側の棚板5を引き上げて第1の節部材7と第2の節部材8を直線状態に展開する。ここで、第1の把持部41をつかみ上側の棚板5を引き上げようとすると、第1の弾性部材31の弾性復元力によって補強杆部材12間を第1のガイドローラー33が外向きに転動して第1の節部材7と第2の節部材8を直線状態に展開する付勢力が付与されるので、折り畳まれた状態の第1の節部材7と第2の節部材8を容易に直線状態に展開することができる。
【0052】
次に中間側の棚板5を組み立てる場合、第2の把持部42をつかみ中間側の棚板5を引き上げて第3の節部材9と第4の節部材10を直線状態に展開する。ここで、第2の把持部42をつかみ中間側の棚板5を引き上げようとすると、第2の弾性部材37の弾性復元力によって補強杆部材12間を第2のガイドローラー39が外向きに転動して第3の節部材9と第4の節部材10を直線状態に展開する付勢力が付与されるので、折り畳まれた状態の第3の節部材9と第4の節部材10を容易に直線状態に展開することができる。
【0053】
続いて、第1のロックピン54を第1の筒部52と第2の筒部53に連続して挿入して、第1の筒部52と第2の筒部53とを連結して第1の節部材7と第2の節部材8とを直線状態に保持する。同様に、第2のロックピン61を第3の筒部59と第4の筒部60に連続して挿入して、第3の筒部59と第4の筒部60とを連結して第3の節部材9と第4の節部材10とを直線状態に保持する。
【0054】
また、延設部18の第1の切欠き部19をボルト17の軸部に係止させた状態でボルト17を締め付け、第1の棚側連結プレート14と上側連結プレート15とを固定して、上側の棚板5に対して柱部材6が起立した状態を保持する。同様に、第3の保持部材45の第2の切欠き部46をボルト48の軸部に係止させた状態でボルト48を締め付け、中間側連結用プレート47と第3の保持部材45とを固定して、中間側の棚板5に対して柱部材6が起立した状態を保持する。
【0055】
さらに、雄螺子部材69を回動して垂直に立てて第1の溝部68と第2の溝部73に連通させた状態としてナットを締め付け、対向する第1の水平部67と第2の水平部72とを固定して、台車本体3に対して柱部材6が起立した状態を保持する。このように、本実施例の台車1は、折り畳まれた状態から組み立てられた状態まで一つも部品を外すことなく一体的に台車1を組み立てることができる。
【0056】
続いて、組み立てられた台車1を折り畳む方法について説明する。先ずは、中間側の棚板5を折り畳む場合、中間側連結用プレート47と第3の保持部材45との固定状態を解除するために、ボルト48を緩めて、第3の保持部材45を台車本体3上に折り重ねる。同様に、第1の水平部67と第2の水平部72とを固定状態を解除するために、ナット74を緩めて、雄螺子部材69を回動させて寝かせた状態とする。
【0057】
次に、引き上げた第2のロックピン61の第2の取手部63を第2の係止部62に係止させて、第3の筒部59と第4の筒部60の連結を解除する。
【0058】
続いて、一方の手で第2の把持部42をつかんだ状態で、他方の手又は足で第2の操作杆部材44を内側に押し込み、第3の節部材9と第4の節部材10を折り畳む。
【0059】
ここで、第2のヒンジ部20付近に設けられた第2の操作杆部材44を内側に押し込むことで、第2の弾性部材37の弾性復元力に抗して第3の節部材9と第4の節部材10を容易に折り畳むことができる。また、第2の弾性部材37の弾性復元力に抗して第3の節部材9と第4の節部材10を折り畳むため、第3の節部材9と第4の節部材10の急激な折り畳みを阻止して、折り畳み作業の安全性を向上させることができる。
【0060】
次に、上側の棚板5を折り畳む場合、先ずはボルト17を緩めて第1の棚側連結プレート14と上側連結プレート15との固定状態を解除する。次に、引き上げ第1のロックピン54の第1の取手部56を第1の係止部55に係止させて、第1の筒部52と第2の筒部53の連結を解除する。
【0061】
続いて、一方の手で第1の把持部41をつかんだ状態で、他方の手又は足で第1の操作杆部材43を内側に押し込み、第1の節部材7と第2の節部材8を折り畳む。
【0062】
ここで、第1のヒンジ部13付近に設けられた第1の操作杆部材43を内側に押し込むことで、第1の弾性部材31の弾性復元力に抗して第1の節部材7と第2の節部材8を容易に折り畳むことができる。また、第1の弾性部材31の弾性復元力に抗して第1の節部材7と第2の節部材8を折り畳むため、第1の節部材7と第2の節部材8の急激な折り畳みを阻止して、折り畳み作業の安全性を向上させることができる。このように、本実施例の台車1は、組み立てられた状態から折り畳まれた状態まで一つも部品を外すことなく一体的に台車1を折り畳むことができる。
【0063】
また、
図13に示すように折り畳まれた台車1は、上下方向に積み上げることが可能である。この場合、上側の棚板5に車輪受け部76を備えた角部65を設けることで、上側の棚板5上の積まれた台車1の車輪2を車輪受け部76で受け止めて、台車1を積み重ねた場合に、台車1がずれにくくなり、複数の台車1を安定して積み重ねることが可能となる。
【0064】
第1のガイドローラー33及び第2のガイドローラー39の保守点検又は交換については、第1の保持部材30及び第2の保持部材36を第1の弾性部材31及び第2の弾性部材37の弾性復元力に抗して引き下ろして、第1のガイドローラー33及び第2のガイドローラー39を補強杆部材12間から露出させてから行う。ここで、第1のガイドローラー33及び第2のガイドローラー39は第1の保持部材30及び第2の保持部材36に対して、第1のピン32及び第2のピン38が第1のガイドローラー33及び第2のガイドローラー39の軸孔33Aに挿入しているだけの被固定状態で装着されているため、第1のガイドローラー33及び第2のガイドローラー39の着脱を容易に行うことができ、保守点検又は交換を容易に行うことができる。
【0065】
尚、第1の保持部材30、第2の保持部材36及び第3の保持部材45は、いずれも台車本体3の長手方向の一側のみに設けられており、台車本体3の長手方向の他側から出し入れする場合に、作業の邪魔とならず、作業性の効率化を図ることができる。
【0066】
次に上記構成の車輪2の方向制御装置87についてその作用を説明する。まずは、方向制御装置87の取り付け方法としては、第1の嵌合部90の開口部分を支持フレーム部材82のフレーム本体86に通過させて、第1の嵌合部90を回動軸部81に外嵌して、基部88を取付部80の下方に配置する。次に、第1の取付孔84及び第2の取付孔91を介してボルト・ナット等の固定手段100によって、車輪2を台車本体3に取り付けるとともに方向制御装置87を車輪2に取り付ける。
【0067】
次に、方向制御装置87による車輪2の回動方向の規制方法としては、抜け止め部材99を回動させて、ピン部材97と抜け止め部材99を同軸に配置して、抜け止め部材99と挿通穴98との係止状態を解除する。挿通穴98から抜け止め部材99を離脱させて、規制部89を基部88の軸受部92を回動軸として下方へ回動させる。規制部89が下方へ回動すると、押さえ部94の内側が支持部85の外側に当接又は配置され、車輪本体83の回動軸部81を回動軸とした水平方向の回動動作が規制されて、車輪2の移動進行方向が直進方向のみに移動規制される。
【0068】
続いて、前述の方向制御装置87による車輪2の回動規制を解除するには、規制部89を上方へ回動させて、ピン部材97と同軸に配置した抜け止め部材99を挿通穴98に挿通させる。抜け止め部材99をピン部材97と直交するまで回動させて抜け止め部材99を挿通穴98に係止して、規制部89を基部88に固定すると、車輪本体83の回動軸部81を回動軸とした水平方向の回動動作の規制が解除されて、支持フレーム部材82が取付部80に水平方向に360°回動自在となり、車輪2の移動方向の規制が解除され自由な方向に進行可能となる。ここで、固定手段100であるボルトの頭部又はナット等は規制部89の貫通部89Aに収容されるため、規制部89を固定手段100に邪魔されずに基部88に対して上まで回動させることが可能となる。
【0069】
以上のように本実施例の台車1は、車輪2を備えた台車本体3と、前記台車本体3に立設された一対の支持枠部材4と、前記支持枠部材4間に揺動自在に架設された一乃至複数の棚板5とを備えた台車1であって、前記支持枠部材4にヒンジ部として第1のヒンジ部13および第2のヒンジ部20を備え、前記支持枠部材4を折り畳み可能なものとしたことにより、棚板5を台車本体3から取り外すことなく、台車1を一体的に展開・折り畳み可能な構成としたため、部品の紛失を防止できる。
【0070】
また、前記支持枠部材4を展開方向に付勢する付勢手段として第1の付勢手段34および第2の付勢手段40を備えたことにより、棚板5の重量にかかわらず支持枠部材4を容易に展開することができる。
【0071】
さらに、前記付勢手段の付勢力に抗して前記支持枠部材4を折り畳む操作部として第1の操作杆部材43および第2の操作杆部材44を備えたことにより、支持枠部材4を容易に折り畳むことができる。
【0072】
また、前記支持枠部材4を展開状態で固定する固定手段として第1の保持手段51、第2の保持手段58や第3の保持手段74を備えたことにより、支持枠部材4の不慮の折り畳みを防止し、安全性を向上することができる。
【0073】
また、本実施例の自在車輪2の方向制御装置87では、自在車輪としての車輪2に取り付け自在な基部88と、前記基部88に回動自在に設けられるとともに、車輪2の回動動作を規制する規制部89とを備えたことにより、基部88を車輪2に取り付け自在に備えているため、方向制御装置87を別の車輪2に取り付けて使用することができ、方向制御装置87の汎用性が向上する。
【0074】
また、前記基部88と前記規制部89とを固定する固定手段としてのロック手段96を備えたことにより、基部88と規制部89をロック手段96で固定することで、規制部89による車輪2の回動規制と規制解除が容易に切り換え可能となる。
【0075】
実施例上の効果として、方向制御装置87の基部88の四隅に、車輪2の取付部80の第1の取付孔84に対応する第2の取付孔91を設けて、台車本体3の下部に対して、下から方向制御装置87の基部88、車輪2の取付部80の順に配置して、第1の取付孔84及び第2の取付孔91を介してボルト・ナット等の固定手段100によって、方向制御装置87の基部88と車輪2の取付部80を台車本体3に取り付けて、車輪2の台車本体3への取り付け及び取り外しと同時に、方向制御装置87を車輪2に取り付け及び取り外しが行えるため、方向制御装置87の取り付け及び取り外しの作業性が向上する。
【0076】
前記基部88は、略矩形状の板部材11に前記基部88の中央部分から一端までを略鍵穴状に切り欠いた第1の嵌合部90を備えた門型或いは馬蹄型に形成されたものとし、第1の嵌合部90における基部88の一方側の開口部分の寸法L1が、少なくともフレーム本体86の直径D1より大きく形成されるとともに、第1の嵌合部90における円弧状の切欠部分の直径D2が回動軸部81の直径D3より大きく形成されてことにより、基部88を取付部80の下方に配置する際に、第1の嵌合部90の開口部分を支持フレーム部材82のフレーム本体86に通過させて、第1の嵌合部90を回動軸部81に外嵌するという配置が可能となり、既存の車輪2への取り付け及び取り外しが容易に可能となるとともに、取り付け及び取り外しの作業性が向上する。
【0077】
尚、本発明は本実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施例では棚板を上側の棚板と中間側の棚板とし、台車本体を含め全体的に3段の棚としたが、棚板の数は適宜変更可能であり、それに伴いヒンジ部、付勢手段や操作部も適宜変更可能である。また、本実施例上のナットを専用の工具でのみ着脱可能なロックナットとしてもよい。