特許第5944363号(P5944363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944363
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】アンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/16 20060101AFI20160621BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20160621BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01Q13/16
   H01Q1/38
   H01Q21/30
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-218974(P2013-218974)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-93775(P2014-93775A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】101140224
(32)【優先日】2012年10月31日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513235681
【氏名又は名称】群▲マイ▼通訊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】張 子軒
(72)【発明者】
【氏名】許 ▲タク▼綱
【審査官】 岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−090826(JP,A)
【文献】 特開2006−060266(JP,A)
【文献】 特開2008−259241(JP,A)
【文献】 特開2012−175422(JP,A)
【文献】 特開2011−217190(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0038724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、接地面と、フィードイン部と、放射部と、を備えるアンテナモジュールであって、
前記基板が、互いに反対側に位置するように設置された頂面及び底面を含み、
前記接地面が、前記基板の頂面に設けられて前記アンテナモジュールを接地させ、
前記フィードイン部が、前記基板の底面に設置され且つ折り曲げられて前記接地面の上面まで延在し、
前記放射部が、前記基板の前記頂面を露出するように前記接地面に設けられた開口部であり、
前記フィードイン部の前記接地面の上面に位置する部分の一部を切断するように延在して、溝状のアンテナを構成し、
前記放射部が、第一透かし彫り部と、第二透かし彫り部と、第三透かし彫り部と、を備え、前記第一透かし彫り部と前記第二透かし彫り部とが互いに対して平行に設置され、前記第三透かし彫り部が前記第一透かし彫り部と前記第二透かし彫り部との間に位置し、且つ両端が前記第一透かし彫り部と前記第二透かし彫り部とにそれぞれ垂直に連通されて、閉鎖している「H」型の構造を構成することを特徴とする、アンテナモジュール。
【請求項2】
前記フィードイン部がマイクロストリップラインであることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
インピーダンスマッチングに基づいて、前記フィードイン部の幅、長さ及び形状を調整することによって、前記アンテナモジュールのインピーダンス帯域幅を調整することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記放射部が、前記接地面の表面の導電性金属箔を部分的に透かし彫りして、前記基板の誘電材料を露出させることによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項5】
前記フィードイン部の幅と、前記フィードイン部の前記接地面の上面に位置する部分の長さと、前記フィードイン部の前記接地面の上面に位置する部分と前記第三透かし彫り部との間の距離と、前記第三透かし彫り部の長さと、前記第三透かし彫り部の幅と、を調節することによって、前記アンテナモジュールが第一周波数帯域、第二周波数帯域及び第三周波数帯域の下でそれぞれ動作可能になることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項6】
前記第三透かし彫り部の中央から前記第一透かし彫り部の一端までの距離と、前記第三透かし彫り部の中央から前記第一透かし彫り部の他端までの距離と、前記第三透かし彫り部の中央から前記第二透かし彫り部の一端までの距離と、前記第三透かし彫り部の中央から前記第二透かし彫り部の他端までの距離と、を調節することによって、前記アンテナモジュールの前記第一周波数帯域、前記第二周波数帯域及び前記第三周波数帯域における帯域幅をそれぞれ調節することを特徴とする、請求項5に記載のアンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナモジュールに関し、特により広い帯域幅を備えるアンテナモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、日常生活においてよく利用されている携帯電話機、PDA及びタブレットパソコン等の携帯式通信端末機にとって、無線電波を送受信することにより無線データ信号を伝送又は交換するためのアンテナモジュールは、主要部品の一つである。
【0003】
近年、異なる周波数帯域を使用する各種の通信システムが絶えず出現することに伴って、アンテナモジュールも多くの周波数帯域を含むブロードバンドを目指して設計されている。即ち、携帯式通信端末機が異なる周波数帯域を使用する多種の無線通信システムにおいて、正常に信号の伝送を行なうためには、現在のアンテナモジュールは、多種の異なる周波数の信号を送受信しなければならない。
【0004】
しかし、ブロードバンドのアンテナの構造は一般的に複雑であり、現在携帯式通信端末機の小型化、軽量化及び薄型化に伴い、アンテナモジュールのブロードバンド特性を確保しつつ、アンテナモジュールのサイズを小さくするのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、帯域幅が広く、且つ体積が小さいアンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題を解決するために、本発明に係るアンテナモジュールは、基板と、接地面と、フィードイン部と、放射部と、を備える。前記基板は、互いに反対側に位置するように設置された頂面及び底面を含み、前記接地面は、前記基板の頂面に設けられて前記アンテナモジュールを接地させ、前記フィードイン部は、前記基板の底面に設置され、且つ折り曲げられて前記接地面の上面まで延在し、前記放射部は、前記接地面に対して透かし彫り処理が行なわれることによって形成され、且つ前記フィードイン部と前記接地面との重なる部分の一部を切断するように延在して、溝状のアンテナを構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、アンテナモジュールの接地面に対して透かし彫り処理することにより、対応する放射部を形成し、且つ前記放射部とフィードイン部とをカップリングさせる。これにより、本発明は、アンテナモジュールに放射体を別途設置しなくても、アンテナモジュールの帯域幅を広くし、且つアンテナモジュールのサイズを小さくすることができ、さらにアンテナモジュールの製造コストを低減することができ、無線通信装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るアンテナモジュールの斜視図である。
図2図1に表すアンテナモジュールのフィードイン部の平面図である。
図3図1に表すアンテナモジュールの放射部の平面図である。
図4図1に表すアンテナモジュールのフィードイン部と放射部とのサイズを示す平面図である。
図5図1に表すアンテナモジュールが図4に示したサイズを採用した場合に、シミュレーションソフトによるテスト及び実際のテストによって取得したリターンロスを示す図である。
図6図1に表すアンテナモジュールが図4に示したサイズを採用した場合に、測定して得た放射効率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るアンテナモジュール100は、例えば携帯電話機やタブレットパソコン等のような無線通信装置に適用され、音声及び映像等のデータを送受信するために用いられる。また、アンテナモジュール100は、基板10と、接地面20と、フィードイン部30と、放射部50と、を備える。
【0010】
基板10は、ガラスエポキシ基板(FR−4)等の誘電材料からなる。本実施形態において、誘電材料の誘電率はεrである。基板10は、ほぼ平たい直方体であり、頂面101及び頂面101の反対側に設置されている底面102を備える。
【0011】
接地面20は、基板10の頂面101に設けられ、アンテナモジュール100は、この接地面20上に接地される。本実施形態の接地面20は、頂面101にコーティング或いは電気メッキされた導電性金属箔(例えば、銅箔)である。
【0012】
フィードイン部30は、マイクロストリップライン(microstrip line)である。フィードイン部30は、基板10の底面102に設置されるが、その一端は折り曲げられて接地面20まで延在し、且つ接地面20に重なる(接地面20の上面に位置する)。フィードイン部30の底面102に位置する他端は、無線通信装置の内部の無線周波回路(図示せず)に電気的に接続され、無線周波回路から電流を取得して、第一周波数帯域、第二周波数帯域及び第三周波数帯域を含む無線信号を送受信する。無線周波数(RF)回路は、ベースバンド信号を変調し或いは無線周波信号を復調する。本実施形態において、フィードイン部30は、均一な幅を持つ帯状体である。また、フィードイン部30の幅、長さ及び形状は、インピーダンスマッチングに基づいて調整可能である。これにより、アンテナモジュール100は、使用可能な最大のインピーダンス帯域幅を持つことができる。
【0013】
放射部50は、接地面20の透かし彫りによって形成される。より詳細には、接地面20の表面の導電性金属箔を部分的に透かし彫りし、且つフィードイン部30の接地面20における一部も透かし彫りする。即ち、放射部50は、フィードイン部30と接地面20との重なる部分の一部を切断するように、フィードイン部30を通って延在する。これにより、基板10の誘電材料は露出し、溝状のアンテナが形成される。さらに、放射部50は、第一透かし彫り部51と、第二透かし彫り部53と、第三透かし彫り部55と、を備える。本実施形態における第一透かし彫り部51及び第二透かし彫り部53は、直線状の薄板体であり、且つ互いに平行に設置されている。第三透かし彫り部55も、直線状の薄板体であり、第一透かし彫り部51と第二透かし彫り部53との間に設けられ、且つその両端は第一透かし彫り部51と第二透かし彫り部53とにそれぞれ垂直に連通されている。このようにして、第一透かし彫り部51、第二透かし彫り部53及び第三透かし彫り部55は、閉鎖された「H」型の構造を構成する。
【0014】
図2に示すように、本発明のフィードイン部30は、他の形状であっても良い。例としては、非均一幅を持つ帯状体(a)、屈曲形状(b)及び傾斜形状(c)等が挙げられる。
【0015】
図3に示すように、放射部50の中の第一透かし彫り部51、第二透かし彫り部53及び第三透かし彫り部55が「H」型の密閉構造を構成できさえすれば、放射部50全体を他の構造に形成しても良い。例えば、第三透かし彫り部55が依然として第一透かし彫り部51及び第二透かし彫り部53にそれぞれ垂直に連通する直線状の薄板体である前提下で、第一透かし彫り部51と第二透かし彫り部53とを各種の屈曲形状に設置することができる。
【0016】
図4に示すように、フィードイン部30の幅はWsであり、フィードイン部30の接地面20の上面に位置する部分の長さはLsであり、このフィードイン部30の接地面20の上面に位置する部分と第三透かし彫り部55との間の距離はfであり、第三透かし彫り部55の長さはbであり、第三透かし彫り部55の幅はwである。この第一組パラメータ(Ws、Ls、f、b及びw)を調節することによって、アンテナモジュール100は第一周波数帯域、第二周波数帯域及び第三周波数帯域をそれぞれ作動させることができる。
【0017】
また、図4の平面図において、仮に第三透かし彫り部55の中央から第一透かし彫り部51の一端までの距離がL1であり、第三透かし彫り部55の中央から第一透かし彫り部51の他端までの距離がL2であり、第三透かし彫り部55の中央から第二透かし彫り部53の一端までの距離がL3であり、第三透かし彫り部55の中央から第二透かし彫り部53の他端までの距離がL4である場合、第一組パラメータの調節を基礎として、第二組パラメータ(L1〜L4)を調節することによって、アンテナモジュール100の第一周波数帯域、第二周波数帯域及び第三周波数帯域における帯域幅をそれぞれ調節することができる。
【0018】
具体的には、第一周波数帯域、第二周波数帯域及び第三周波数帯域に対応する中心周波数fr1、fr2及びfr3は、以下の公式(1)〜(3)をそれぞれ満たす。
【0019】
【数1】
【0020】
上記の数式1において、パラメータcは、光速である。εeffは、等価誘電率であり、且つ以下の公式(4)を満たす。
【0021】
【数2】
【0022】
アンテナモジュール100が動作すると、無線信号はフィードイン部30によりフィードインされ、且つフィードイン部30と放射部50とのカップリングを介して異なる長さの電流経路を取得することで、異なる電流信号を生成する。これにより、アンテナモジュール100は、第一周波数(1.575GHz)、第二周波数(2.4GHz)及び第三周波数(5.2GHz)において、相応する共振モードを生成させる。即ち、アンテナモジュール100は、第一周波数帯域(1.555GHz〜1.611GHz)、第二周波数帯域(2.38GHz〜2.834GHz)及び第三周波数帯域(4.66GHz〜6.3GHz)の下で作動でき、且つより広い帯域幅及び好ましい放射効率を取得することができる。
【0023】
図5及び図6を合わせて参照すると、本実施形態では、基板10の厚さh=0.7mm、基板10の誘電率εr=4.2、フィードイン部30の幅Ws=2mm、第三透かし彫り部55の幅w=2.9mm、第三透かし彫り部55の長さb=3mm、フィードイン部30の接地面20の上面に位置する部分の長さLs=5.6mm、フィードイン部30の接地面20の上面に位置する部分と第三透かし彫り部55との間の距離f=29.2mm、第三透かし彫り部55の中央から第一透かし彫り部51の一端までの距離L1=34.5mm、第三透かし彫り部55の中央から第一透かし彫り部51の他端までの距離L2=7mm、第三透かし彫り部55の中央から第二透かし彫り部53の一端までの距離L3=29.6mm、及び第三透かし彫り部55の中央から第二透かし彫り部53の他端までの距離L4=7mmの場合、シミュレーションソフトウェアによるテスト(図5に示す点線)や実際のテスト(図5に示す実線)を問わず、アンテナモジュール100は、第一周波数帯域(1.555GHz〜1.611GHz)、第二周波数帯域(2.38GHz〜2.834GHz)及び第三周波数帯域(4.66GHz〜6.3GHz)において、全てのアンテナの作動要求を満たし、且つ優好な放射効率を有する。
【0024】
上記の実施形態から分かるように、本発明は、アンテナモジュール100の接地面20に対して透かし彫り処理することにより、対応する放射部50を形成し、且つ放射部50とフィードイン部30とをカップリングさせる。これにより、本発明は、アンテナモジュール100に相応する放射体を別途設置しなくても、アンテナモジュール100の帯域幅を広くし、且つアンテナモジュール100のサイズを小さくすることができ、さらにアンテナモジュールの製造コストを低減することができ、無線通信装置の小型化を促進することができる。
【0025】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであるのは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0026】
10 基板
20 接地面
30 フィードイン部
50 放射部
51 第一透かし彫り部
53 第二透かし彫り部
55 第三透かし彫り部
100 アンテナモジュール
101 頂面
102 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6