特許第5944391号(P5944391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944391
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】安全カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   A61M25/06 512
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-527144(P2013-527144)
(86)(22)【出願日】2011年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-538617(P2013-538617A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011049428
(87)【国際公開番号】WO2012030663
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年8月26日
(31)【優先権主張番号】12/874,200
(32)【優先日】2010年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512002116
【氏名又は名称】ミラジ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラード、ドン
(72)【発明者】
【氏名】アスバギ、ホーマン
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−521143(JP,A)
【文献】 米国特許第06726658(US,B2)
【文献】 米国特許第05205829(US,A)
【文献】 特表平10−511293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に使用するための安全カテーテル(10)であって、
軸線を規定し、近位端(75)及び遠位端(59)を有する細長いハンドル(12)であって、前記ハンドルは内部チャンバーを備えるように形成され、前記ハンドルから遠位方向に前記軸線に平行に延在する複数の弾力的な指部(66)を有する、細長いハンドル(12)と、
前記患者の前記血管系内への流体アクセスのための部位を形成するためのルアー集成体(16)と、
第1の位置から第2の位置に前記ハンドル(12)の軸方向に移動するために設けられたシャトル集成体(50)であって、前記ルアー集成体(16)が前記ハンドル(12)に嵌合して前記ハンドル(12)の指部(66)が前記シャトル集成体(50)と係合しするようにして前記シャトル集成体(50)を前記第1の位置に保持するようにした、シャトル集成体と、
近位部と遠位部との間で前記ハンドル(12)の軸方向に移動できるように前記ハンドル(12)に装着されたアクチュエータ(80)であって、前記アクチュエータ(80)は、ベース部材(95)と当該ベース部材(95)から遠位方向に延在する複数のレール(102)と前記ベース部材(95)から外側に位置する対向する一対の一体蝶番(110)と、からなり
前記アクチュエータ(80)を近位部から遠位部に強制的に移動するときに、前記ハンドル(12)の前記指部(66)が前記シャトル集成体(50)と係合して当該シャトル集成体(50)を固定するために前記ベース部材(95)が移動して前記ハンドル(12)の指部(66)を保持し、前記一体蝶番(110)が前記ハンドル(12)によって収縮されて近位部の方へ戻るように前記アクチュエータ(80)を付勢し、前記レール(102)は、前記ルアー集成体(16)を押して、前記ルアー集成体(16)を前記シャトル集成体(50)から分離し、
さらに、前記アクチュエータ(80)から力を取り除くと、前記ベース部材前記指部から取り外されて前記ハンドルの前記指部(66)が前記シャトル集成体(50)から解放されるように、前記一体蝶番(110)の付勢力によって前記アクチュエータ(80)が近位部に戻り、前記ハンドル(12)及び前記シャトル集成体(50)を前記ルアー集成体(16)から分離し、前記シャトル集成体(50)を前記チャンバーの内側の第2の位置に後退させる、前記アクチュエータと、
を備える安全カテーテル。
【請求項2】
それぞれの一体蝶番は、斜めに広がる形の一対のアームを有する実質的にY字形であり、前記一体蝶番の前記付勢力は、前記アクチュエータが遠位部の方へ移動する際に前記ハンドル上の構造物によって前記一対のアームが互いの方へ押し付けられるときに生じるようになっている、請求項1に記載の安全カテーテル。
【請求項3】
それぞれの一体蝶番は、前記軸線から所定の半径方向距離のところに位置決めされ、それぞれの一体蝶番は、第1のアーム及び第2のアームを有し、前記アクチュエータは、
それぞれの一体蝶番の各第1の端部を相互接続する第1のアーチ形バンドと、それぞれの一体蝶番の各第2の端部を相互接続する第2のアーチ形バンドと、をさらに備え、
前記第1及び第2のアーチ形バンドは、前記アクチュエータが遠位部の方へ移動するときに前記半径方向距離から移動して前記軸線の方向へ移動し、前記ハンドル上の各ストッパーと係合して前記アクチュエータが遠位方向にさらに移動するのを防止するようになっている、請求項2に記載の安全カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2009年6月29日に出願した米国特許出願第12/494,108号、名称「Safety Catheter」の一部継続出願であり、その優先権及び利益を主張するものである。
【0002】
本発明の実施例は、一般に、医療用カテーテルに関するものであり、具体的には、パッシブ・セーフティ・システム(passive safety systems)、制御針後退(controlled needle retraction)、及び可視化ウィンドウ(visualization windows)を有する医療用カテーテルに関係するデバイス及び使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
いくつかの異なる理由から、患者の血管系内への流体アクセス(fluid access)が必要になるか、又は望ましい場合がある。このようなアクセスが望ましい場合、体外流体源と血管系との間に一般的に流体流路が確立される。さらに、定期的な注射を必要とする注入プロトコルが関わる場合、一連の異なる注射に対して繰り返し使用されうる確立された流体アクセス部位が必要になることがある。しかし、このようなアクセス部位を確立するステップは、問題になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に関して、安全カテーテルは、ハンドル、シャトル集成体、及びルアー集成体と相互に作用するアクチュエータを備える。それと同時に、これらの構成要素同士が連携して、患者の血管系と流体的に連通する、ルアー集成体の一部である可撓性のカニューレを位置決めする。この連携において、シャトル集成体がルアー集成体と相互に作用して、カニューレが血管系内に挿入される際にシャトル集成体の一部であるスタイレットがカニューレを硬直させる。カニューレ(つまり、ルアー集成体)が血管系との流体的連通を適切に、且つ効果的に確立した後、スタイレット(つまり、シャトル集成体)を、ハンドルの内側に形成されているチャンバー内に安全に引き込むことができる。しかし、本発明に関して企図されているように、シャトル集成体及びそのスタイレットをチャンバー内に引き込むこのステップが実行されるタイミングをアクチュエータが正確に制御する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
安全カテーテルの好ましい一実施例では、アクチュエータは、安全カテーテルのハンドルに装着され、近位部と遠位部との間で軸線方向移動できるように配設される。構造上、アクチュエータは、ハンドルに位置決めされ、ハンドルの縦軸上に中心を置く円環形ベース部材を備える。これは、ベース部材から遠位方向に平行に延在する一対の対向するレールも有する。それに加えて、ベース部材から半径方向距離のところに外向きにそれぞれ位置決めされたアクチュエータ上に対向する一対の一体蝶番(living hinge)がある。また、ベース部材からこの同じ半径方向距離のところで、一対の対向するアーチ形バンドが一体蝶番を相互接続する。それに加えて、背部パッドがベース部材に装着される。
【0006】
安全カテーテルを組み立てる際に、ハンドル上の遠位に延在する複数の弾力的な指部がシャッフル・アセンブリと係合する。次いで、これらの指部がシャッフル・アセンブリに当接するようにルアー集成体を位置決めする。特に、この係合の目的は、ハンドル内のチャンバーに関して、シャトル集成体を遠位部に静止するように維持することである。また、この係合により、カニューレを硬直させるためにシャトル集成体のスタイレットもルアー集成体のカニューレ内に位置決めされる。さらに、アクチュエータは、ハンドルとルアー集成体との間に位置決めされ、シャトル集成体の上に実質的に位置決めされる。安全カテーテルの組み立てにおいて、アクチュエータは、ハンドル上の近位部に配置され、アクチュエータ上のラッチがルアー集成体をつかんで、シャトル集成体に留める。
【0007】
操作に関して、スタイレットを使用してルアー集成体の可撓性のカニューレを患者の血管系内に適切に挿入した後、アクチュエータを近位部から遠位部に移動する。この移動に際して、いくつかの構造上の相互作用が同時に発生する。1つは、アクチュエータが遠位に前進されたときに、ラッチがルアー集成体を解放し、アクチュエータ上のレールがルアー集成体を押してそれをシャトル集成体から分離することである。もう1つは、同じくこのように前進されているときに、一体蝶番をハンドル上のストッパーの間に押し付けて、近位部に戻るようにアクチュエータを付勢することである。また、重要なことは、ベース部材それ自体が、ハンドルの弾力的な指部に付勢して、シャトル集成体との係合を維持することである。アクチュエータをこのように前進させる動作は、一体蝶番を相互接続するアーチ形バンドがハンドル上のストッパーと接触することでアクチュエータが遠位方向にさらに前進するのを防ぐまで続けられうる。
【0008】
アクチュエータが遠位部に移動されると、ルアー集成体がシャトル集成体から効果的に分離される。しかしながら、シャトル集成体及びそのスタイレットは、カテーテルから遠位に延在したままとなり、アクチュエータが遠位部に保持されている限り、ハンドルによってそのまま操作されうる。しかし、これはすべて、アクチュエータが解放されると変わる。手術者によってアクチュエータが解放されると、一体蝶番の付勢力により、アクチュエータが近位部に戻る。アクチュエータがこのように戻ると、ハンドル上の弾力的な指部からアクチュエータのベース部材も解放される。したがって、指部は、ルアー集成体又はアクチュエータのベース部材のいずれによってももはや抑制されない。したがって、アクチュエータが近位部に戻ると、ハンドル上の指部がシャトル集成体を解放し、これにより、シャトル集成体がバネ駆動力によってハンドルのチャンバー内に引き込まれる。
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす、添付図面は、本開示のいくつかの態様を例示しており、また説明と併せて、本発明の原理を説明するのに役立つが、説明されている実施例は、図示されている正確な配置構成に限定されないことは理解されるであろう。図面中、類似の参照番号は、いくつかの図の中の類似の要素を指す。図面の説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】安全カテーテルのホルダーと係合するシールドとともに示されている安全カテーテルの一形態の側面図である。
図2】ルアー集成体、シャトル集成体、及びホルダー・アセンブリを有する図1の安全カテーテルの分解斜視図である。
図3図2に示されている安全カテーテルのルアー集成体の側断面図である。
図4図2に示されている安全カテーテルのシャトル集成体の側断面図である。
図5図2に示されている安全カテーテルのホルダー・アセンブリの側断面図である。
図6図2に示されているシールドの斜視図である。
図7図2に示されているホルダーの斜視図である。
図8図2に示されているルアー又は中空外側部分の斜視図である。
図9図2に示されている本体頂部の斜視図である。
図10図2に示されているシャトル本体部の斜視図である。
図11図2に示されているスタイレットの側面図である。
図12図2に示されているアイレットの斜視図である。
図13図2に示されているバネの斜視図である。
図14図2に示されているカテーテルの側面図である。
図15図2に示されている一方向弁の斜視図である。
図16図2に示されているフィルター又はストッパーの斜視図である。
図17図2に示されているアクチュエータの斜視図である。
図18】シールドを適所に配置した使用前構成に示されている図1の安全カテーテルの側断面図である。
図19】90度回転した形で示されている図18の安全カテーテルの側断面図である。
図19a図19の安全カテーテルの側面図である。
図20】患者の血管系にアクセスするためシールドが構成において取り除かれている状態で示されている図1の安全カテーテルの側断面図である。
図21】90度回転した形で示されている図20の安全カテーテルの側断面図である。
図21a図20の安全カテーテルの側面図である。
図22】アクチュエータ及びルアー集成体が遠位に前進される状態で示されている、図1の安全カテーテルの側断面図である。
図23】90度回転した形で示されている図22の安全カテーテルの側断面図である。
図23a図23の安全カテーテルの側面図である。
図24】ルアー集成体がシャトル集成体及びハンドル集成体から係脱された状態で示されている、図1の安全カテーテルの側断面図である。
図25】90度回転した形で示されている図24の安全カテーテルの側断面図である。
図25a図25の安全カテーテルの側面図である。
図26】シャトル集成体がハンドル集成体内に後退した状態で示されている、図1の安全カテーテルの側断面図である。
図27】90度回転した形で示されている図26の安全カテーテルの側断面図である。
図27a図27の安全カテーテルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきでない。本明細書で開示されている形態の他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明から当業者には明白であり、これは、例示により、本発明を実施するために企図されている最良の態様のうちの1つである。理解されるように、本明細書で説明されている形態では、すべて本発明から逸脱することなく、他の異なる、明白な態様を実施することが可能である。したがって、図面及び説明は、性質上例示的であり、制約的でない、とみなされるべきである。
【0012】
図に示されているように、本明細書に例示されている形態は、スタイレット及び/又は他の任意の硬直化若しくは貫通要素を操作して患者の血管系と流体的に連通するカテーテルを位置決めし、その後、スタイレットを隠して、不注意によりスタイレットで「針刺し」するのを防ぐためのデバイスとして有用なものとすることができる。一形態において、スタイレット又は針カニューレの後退は制御されながら実行され、制御後退により、臨床医からの入力なしで自動的に生じる無制御後退に付随しうる組織損傷を制限するか、又は緩和することができる。
【0013】
患者の血管系内への流体アクセス部位を確立するためにカテーテルが使用される場合、カテーテルは一般的に可撓性である。位置決めされた後、可撓性のカニューレは、患者の不快感を低減し、組織損傷を最小限度に抑えるうえで有利な働きをしうる。しかし、可撓性のカテーテルは、カテーテルの遠位端、又はカニューレが組織を通過し、血管系内で位置決めされうるように、挿入のため硬直化する必要がある場合がある。この硬直は、例えば、カテーテルの内腔内に選択的に挿入されうるスタイレットを使用して挿入時にカテーテルを硬直させることによって達成されうる。硬直したカテーテルを血管系内で適切に位置決めした後、スタイレットをカテーテルから取り出して、可撓性のカテーテルを、そこからの流体の送出又は取り出しのために血管系と流体的に連通したままにすることができる。
【0014】
本明細書で説明されている安全カテーテルの形態は、可撓性のカテーテルが適切に位置決めされた後に可撓性のカテーテルから受動的に後退するスタイレット又は針カニューレを構成する。カテーテルを位置決めしたときにスタイレットを受動的に後退させるステップにより、カテーテルの挿入が完了してからスタイレットを安全に固定することによって不注意による針刺しが生じる危険性を低減することができる。少なくとも一形態では、受動的解放は、後退させるため針若しくはシャトル集成体を自動的に解放するステップを指す。しかし、受動的な解放がなされたとき、針アセンブリが固定位置に自由に入ることができる場合、使用者は、それでも、実際の解放のタイミングを制御しつつ、制御された後退を行うことができることは理解されるであろう。本明細書の形態では、可撓性のカテーテルの位置決めをした後、スタイレットの制御後退を行い、制御後退により、スタイレットを突然の、又は無制御の後退に付随しうる組織損傷を引き起こさずに安全に固定することができる。
【0015】
本明細書で説明されている形態は、薬液を血管系内に複数回注入するために単一の流体アクセス部位を確立するように位置決めされうるカテーテル・デバイス及びシステムを対象とする。安全カテーテル・システムは、可撓性のカテーテルが自動的にスタイレットから分離され、不注意による針刺しを防ぐためカテーテルの配置後にスタイレットが隠されるように単一ステップの動作で構成され、アクチュエータ及び/又は制御後退を円滑に行わせるための他の解放デバイス、機構、若しくは構成要素を備えることができる。
【0016】
図1及び図2を参照すると、患者の血管系内に挿入するように構成された安全カテーテル10の一形態が形成されている。安全カテーテル10を使用して、限定はしないが、皮下注射器又はIVポンプ(図示せず)などの体外流体源によって繰り返し、又は順次使用されうる、患者の血管系内への単一の流体アクセス部位を確立することができる。一般的に、安全カテーテル10の形態は、患者の血管系内に挿入するために可撓性のカテーテル又はカニューレ22を硬直させるように構成される。カニューレ22が適切に位置決めされた後、安全カテーテル10は、カテーテルから引き抜くために、スタイレット(探り針)36、又は他の好適な任意の硬直及び/若しくは貫通要素を受動的に、及び/又は自動的に解放するように構成される。一形態において、スタイレット36がカニューレ22から受動的に解放されると、スタイレット36はアクチュエータ80(図17)を介してハンドル本体部52内に制御後退を行い、不注意による針刺しを防ぐためスタイレット36の鋭利な遠位先端部42を隠すように構成される。スタイレット36の制御後退は、カニューレ22から受動的に解放された後に、無制御の又は突然の後退に付随する組織損傷を低減するか、又は防止することができる。
【0017】
図1を参照すると、安全カテーテル10の一形態が、事前展開又は使用前構成で図示されている。より具体的には、安全カテーテル10は、テクスチャ表面13及びキャップ若しくはシールド14とともにハンドル12を有するように示されている。例示されているように、シールド14はハンドル12と係合して、安全カテーテル10の露出及び汚染を防止する。シールド14は、カニューレ22及びスタイレット36の露出を防止するように設計された好適な任意の構成をとりうる(図2)。シールド14は、好適な任意の形状若しくはグリップを備え、カニューレ22及びスタイレット36の可視化が円滑になされるように透明であるか又は半透明であるものとすることができる。図6を参照すると、シールド14は、安全カテーテル10が平面上を転がるのを防ぎ、ハンドル12との自動的係合が円滑になされるように平坦部15を備えることができる。シールド14は、確実な結合がなされるようにハンドル12と係合する構成の、1つ若しくは複数の突出部17、又は他の好適な任意の結合部をさらに備えることができる。ハンドル12は、好適な任意の対応する結合手段を備えることができる。
【0018】
図7を参照すると、ハンドル12は、取り扱い、シールドからの分離、操作、又は同様の活動が円滑になされるように、テクスチャ表面13などの、好適な任意のつかみ面を有することができる。安全カテーテルのハンドル12は、一形態では、近位端75及び遠位端59を有する細長いハンドル本体部52を備える。また、ハンドル12は、内部チャンバー77を備えて形成される。操作時に、カテーテルが患者の血管系内に挿入された後、ハンドル本体部52はスタイレットが後退したときにシャトル集成体50(図4)を保持するように構成される。チャンバー77は、不注意による針刺しを防ぎ、再利用を防ぐためにスタイレット36用の一区画として使用される。
【0019】
図1において、シールド14はハンドル12と係合しているように示されており、摩擦による嵌合、スナップ式の嵌合、ネジによる嵌合、シュリンク・ラップ、不正開封防止包装、又は同様のものを含む、シールド14とハンドルとの間の好適な任意の結合が企図されている。一形態では、シールド14が安全カテーテル10の残り部分から取り外された後、シールド14はハンドル12に再び取り付けることができない。
【0020】
図2は、安全カテーテル10の一形態のさまざまな構成要素を示す安全カテーテル10の分解図を例示している。シールド14に加えて、安全カテーテル10は、ルアー若しくは中空本体部分20、カニューレ22、アイレット24、及び一方向弁26を備える。組み合わせると、これらの構成要素は、図示され、図3を参照しつつ詳細に説明されている、ルアー集成体16を構成する。安全カテーテル10は、スタイレット36、フィルター・プラグ40、及びシャトル本体部38を備えるシャトル本体部アセンブリ50をさらに具備し、これは図4にさらに詳しく示されている。図2は、バネ70を中に保持するように構成されたハンドル本体部52と係合する本体頂部54を備えるハンドル集成体63の分解図をさらに例示している。ハンドル集成体63は、本体頂部54上に保持され、本体頂部54に対して縦方向に移動するように構成されているアクチュエータ80をさらに備える。例示されている形態において、ルアー集成体16、シャトル集成体50、及びハンドル集成体63は、複数の段階で互いに相互に作用することによって、患者の血管系に正確に、効果的にアクセスし、血管系に適切にアクセスした後、不注意で針刺しをする危険性を低減する方法が提供される。
【0021】
図3は、ルアー集成体16のより詳細な断面図を例示している。一形態において、カニューレ22は、近位端30及び遠位端34を備え、カニューレ22の近位端30は、アイレット(小穴)24に接合されるか、又は他の何らかの形で取り付けられる。ルアー集成体16を組み立てるときに、カニューレ22を取り付けられたアイレット24は、例示されているように、カニューレ22が本体部分20の遠位端32から延在するように、中空本体部分20の近位端33から嵌め込まれる。カニューレ22及びアイレット24を本体部分20と係合させた後、一方向弁26をアイレット24の近くの中空本体部分20の内側に位置決めすることができる。一方向弁、又は他の好適な遮断構成要素及び/又は選択的アクセス可能構成要素は、安全カテーテル10の操作中にシャトル集成体50(図4)のスタイレット36を中に通せるようにし、スタイレット36を取り外すと封止して、注射器又は同様のものによる適切な取り付けがなされるまでルアー集成体16から流体が流れ出さないようにする。このようにして、ルアー集成体16は、血管系内に留まり、その一方で、さまざまな構成要素を一方向弁を介して接続し、流体を送出するか、又は取り出すことができる。
【0022】
カニューレ22は、患者の血管系内に挿入するのに適した、可撓性の生体適合性エラストマー材料などの任意の材料から構成されうる。カニューレ22は、血液又は他の流体を可視化できるように透明であるか、又は半透明とし、好適な任意の内径を有し、特定の形状若しくは構成への付勢力を有し、剛体であるか、若しくは半剛体であり、及び/又は遠位端33において好適な任意の幾何学的形状を有することができることは理解されるであろう。代替的一形態において、カニューレ22は、アイレット24及び/又は一方向弁26と一体である。ルアー集成体16の構成要素の結合は、接着剤、スナップ式の嵌合、摩擦による嵌合、又は同様の手段などの、好適な任意の係合手段で達成されうることは理解されるであろう。
【0023】
なおも図3を参照すると、中空本体部分20の例示されている形態は、近位端33から遠位端32へ先細りになる一般的に円錐台形の形状を有する。アイレット24の近位端は、ルアー集成体16及びシャトル集成体50の係合時にスタイレット36及びシャトル本体部38の遠位端46を最初に受け付けるように構成される。ルアー若しくは中空本体部分20の外面は、安全カテーテル10の操作時に使用者によってつかまれるように構成された、ギザギザのある表面若しくは隆起のある表面などの、テクスチャ表面35を備えることができる。中空本体部分20の例示されている形態は、本体部分54上の弾力的な指部66と係合するように構成された一対のガイド28をさらに備える。中空本体部分20は、カニューレ22を保持するように、使用者によって遠位に前進されるように、及び/又は本体部分54に付随する弾力的な指部66と係合するように設計された好適な任意の形状又は構成を有することができることは理解されるであろう。中空本体部分20は、対応する1つ又は複数の弾力的な指部66と係合するように構成された、1つ又は複数のガイドなどの、好適な任意の数のガイド28を備えることができることは理解されるであろう。図1及び図8を参照すると、中空本体部分20は、図18図27aを参照しつつさらに詳しく説明されるように、アクチュエータ80(図1)と係合するように構成された一対の横方向フランジ81をさらに備える。
【0024】
ルアー集成体16は、安全カテーテル10から取り外せるように構成され、患者の血管系内への流体アクセスのための部位を確立するように設計される。ルアー集成体が患者の血管系内で適切に位置決めされた後、安全カテーテル10の他の構成要素は、I.V.ライン又は同様のものをルアー集成体16と結合できるように取り外される。ルアー集成体16は、患者の血管系への好適な任意のアクセス手段及び/又は流体送出若しくは抽出手段に結合するための手段を備えることができることは理解されるであろう。
【0025】
図4は、安全カテーテル10に付随するシャトル集成体50の一形態の断面図を例示している。シャトル集成体50は、近位端45及び遠位端46を有するシャトル本体部38を備える。例示されている形態において、シャトル本体部38の遠位端46は、近位端44及び遠位端42を有する針若しくはスタイレット36を保持するように構成された流路47を備える。流路47は、シャトル本体部38の一部にそってシャトル本体部38の遠位端46から近位に延在し、例えば、接着剤、接合、摩擦による嵌合、又は他の好適な任意の機械的係合など、好適な任意の手段でスタイレット36を保持するように構成されうる。一形態では、スタイレット36はシャトル本体部38と一体である。シャトル本体部38の近位端45は、横方向に突き出ている円環状フランジ72を備え、図18図27aにさらに詳しく示されているように、バネ70が円環状フランジ72と本体頂部54上の円環状フランジ61との間に保持される。
【0026】
一形態では、シャトル本体部38は、中にある血液などの流体の可視化が円滑になされるように透明若しくは半透明の材料から構成される。一形態では、シャトル本体部38は、シャトル本体部38の外壁、流路47の近位端、及びフィルター・プラグ40によって画成されるキャビティ49をさらに備える。スタイレット36は、一形態において、血液又は他の流体が遠位先端部42から近位端46へ流れ、そしてキャビティ49内に流れ込むのを円滑にするための中を通る内腔を有する。キャビティ49に入る流体は、フィルター・プラグ40によってトラップされる。一形態では、キャビティ49を画成するシャトル本体部38の少なくとも一部は透明であり、このため、患者の血管系にアクセスすると、血液がスタイレット36の内腔を通り、キャビティ49内に入り、臨床医は血管系が正常にアクセスされたことを確認できる。スタイレット36は、患者の血管系へのアクセスが円滑になされるようにする面取りされた遠位先端部42などの好適な任意の構成を有するものとしてよい。フィルター・プラグ40は、流体がシャトル本体部38から出るのを防ぐように構成され、シャトル本体部と一体であるか、又はシャトル本体部38に接合されるものとしてよい。
【0027】
なおも図4を参照すると、例示されている形態において、シャトル本体部38は、遠位端46のところ、又はその近くに一対の対向する凹み又は平坦部48を備える。平坦部48は、本体部分54(図5)に付随する弾力的なアーム66上に配置された対応する一対の突出部68と係合するように構成される。シャトル本体部38は、好適な任意の数の弾力的なアーム66及び/又は突出部68と係合するように構成された、好適な任意の数の平坦部48、又は他の結合特徴を備えることができることは理解されるであろう。例示されている構成要素の特徴は、実例としてのみ示されており、本明細書で説明されている形態及び方法によるデバイスの動作を円滑にするのに適した任意の構成要素も企図されることは理解されるであろう。
【0028】
ルアー集成体16(図3)及びシャトル集成体(図4)を組み立てるときに、スタイレット36の遠位先端部42は、中空本体部分20の近位端33から挿入され、一方向弁26に通され、可撓性のカニューレ22に通される。この方法で、スタイレット36は、患者の血管系内に挿入できるようにカニューレ22を硬くする働きをする。スタイレット36の外径は、カニューレ22とスタイレット36との間にシールが形成されるようにカニューレ22の内径とほぼ同じになるように構成することができるが、カニューレ22とスタイレット36との間の好適な任意の関係が企図される。スタイレット36は、シャトル本体部の遠位端46が一方向弁26の近位端に隣接するか、又は近づくまでカニューレ22に通して挿入されうる。安全カテーテル10は、好適な任意の長さのカニューレ22及びスタイレット36を備えることができる。一形態では、カニューレ22は、中空本体部分20と最初に係合したときに露出されているスタイレット36の長さより約1cm短い長さを有するが、好適な任意の寸法及び関係を考えることができる。
【0029】
一般的に、シャトル集成体50は、ルアー集成体16が適切に位置決めされるまで、ルアー集成体16のカニューレ22に十分な剛性を付与するようになっている。位置決めされた後、図18図27aを参照しつつさらに詳しく示されているように、ルアー集成体16は、最初にルアー集成体16をアクチュエータ80で前進させ、次いで、手動でルアー集成体16を安全カテーテル10の残り部分から完全に取り外すことによってシャトル集成体から取り外される。シャトル集成体50が取り外された後、カニューレ22は、その可撓性を取り戻し、カニューレ22の内腔は、流体が中を移動できるようにきれいな状態にされる。
【0030】
図5を参照すると、ハンドル集成体63の一形態は、ハンドル本体部52、本体頂部54、アクチュエータ80(図17)、及びバネ70を備えるように例示されている。例示されている形態では、本体頂部54は、ハンドル本体部52の遠位端59に挿入され、接合されるように構成された一般的に円筒形の近位端58を有する。本体頂部54は、係合したときにハンドル本体部の遠位端59に隣接する外側部分65を有する円環状フランジ61を備える。本体頂部54及びハンドル本体部52は、接合、スナップ式嵌合、摩擦による嵌合を含む好適な任意の結合を有するか、又は代替的一実施例では、一体構造として構成することができる。本体頂部54の円環状フランジ61は、シャトル集成体50(図18図27aに示されている)のシャトル本体部38と組み合わせてハンドル本体部52内にバネ70を保持するように構成された内部67をさらに備える。より具体的には、安全カテーテル10が組み立てられるときに、バネ70は、シャトル本体部38(図4)の円環状フランジ72と円環状フランジ61の内部67との間に位置決めされる。一形態では、バネ70を使用して、操作時にハンドル集成体63に関してシャトル集成体50を並進させるように構成された推進力を選択的に付与する。
【0031】
図9を参照すると、本体頂部54の遠位端69は、本体頂部54から横向きに外へ突出する一対のストッパー71を備える。一対のストッパー71は、それらの間に一対の間隙73(図2)を画成する。アクチュエータ80は、本体頂部54の遠位端69と係合するように構成され、またそれらに対して軸線方向に並進するように構成される。本体頂部54に関するアクチュエータ80の動作は、図17図27aを参照しつつさらに詳しく説明される。本体頂部54の遠位端69から近位に突き出ているのは、その遠位端から横方向に内向きに突出する突出部68を有する一対の弾力的なアーム66である。弾力的なアーム66は、例示されている形態において、弾力的なアーム66と本体頂部54の遠位端69との間の接続点の周りに一体蝶番(living hinge)として枢動するように構成される。突出部68は、図18図27aを参照しつつさらに詳しく説明されるようにシャトル集成体50のシャトル本体部38上の平坦部48と係合するように構成される。
【0032】
なおも図5を参照すると、本体頂部54の一形態は、透明若しくは半透明の本体頂部54の少なくとも一部を備える必要がある。一形態において、ハンドル集成体63がシャトル集成体50と係合するときに、本明細書でさらに詳しく説明されるように、シャトル本体部38のキャビティ49は、本体頂部54の遠位部分と位置合わせされる。図20図21aを参照すると、キャビティ49を覆うシャトル本体部38の透明部分と位置が合わされている本体頂部54の透明な遠位部分69を備えることによって、患者の血管系に適切にアクセスされたことを臨床医が確認できるようにするフラッシュ・ウィンドウ62が形成されている。フラッシュ・ウィンドウ62を備えると、患者体内の安全カテーテル10の適切な配置に関して臨床医が推測する必要がなくなる。血管系へのアクセスが確認された後、図18図27aに従って安全カテーテル10をさらに操作することができる。ルアー集成体16、シャトル集成体50、及びハンドル集成体63は、実例としてのみ説明され、本明細書で説明されている形態により好適な任意の構成において好適な任意の構成要素を備えることができることは理解されるであろう。構成要素は、別々でも、一体型でもよい。
【0033】
図6は、シールド14のより詳細な斜視図を例示しており、図7は、ハンドル12のより詳細な斜視図を例示している。図8は、中空本体部分20のより詳細な斜視図を例示している。図9は、本体頂部54のより詳細な斜視図を例示している。図10は、一形態においてシャトル本体部38が平坦部90を備える、シャトル本体部38のより詳細な斜視図を例示している。図11は、スタイレット36のより詳細な側面図を例示している。図12は、一形態において円錐状のベベル115を有するアイレット24のより詳細な斜視図を例示している。図13は、バネ70のより詳細な側面図を例示している。図14は、カニューレ22の側面図を例示しており、そこでは、一形態において、カニューレ22は、テーパーを有する遠位端34を備える。図15は、一方向弁26のより詳細な斜視図を例示している。一方向弁は、好適な任意の弁であってよく、例えば、円環状カラー92及びその中にスリット96を有する遠位弁部分94を備えることができる。弁部分94は、スリット96が、例えば、スタイレット36又は他の血管系アクセス若しくは送出デバイス若しくは構成要素によって貫通されなければ通常は封止されるように好適な任意の材料から構成されうる。流体の移動を選択的に制約する好適な任意の弁若しくは構成要素が企図されることは理解されるであろう。図16は、フィルター・プラグ40のより詳細な斜視図を例示している。フィルター・プラグ40は、好適な任意の材料から構成することができ、空気又は他のガスを排出できるようにしながら流体の流れを防ぐか、又は遮るのに好適な任意の構成を有することができることは理解されるであろう。
【0034】
図17は、近位端98及び遠位端100を有するアクチュエータ80の一形態を例示している。アクチュエータ80は、背面サムパッド97、一対の遠位に延在するレール102、及び一対の横方向アーム104を有するベース95を備える。横方向アーム104は、内向きに突出する横方向突出部108を有する一対の遠位保持ラッチ106及び一対の近位一体蝶番110をさらに備える。一体蝶番110の近位端は、アクチュエータ80の近位端のところで部分的円環状バンドを形成する一対の三日月型バンド112によって連結される。アクチュエータ80の動作は、図18図27aを参照しつつさらに詳しく説明される。
【0035】
図18図27aを参照すると、安全カテーテル10の動作の一形態が例示されている。一般的に、安全カテーテルの動作は、シャトル集成体50を、ハンドル12の遠位の第1の位置からハンドル12のチャンバー77の内側の第2の位置へ移動することである。より具体的には、一形態において、シャトル集成体50がハンドル12上の第1の位置にあるときに、安全カテーテル10を使用して患者の血管系内へのルアー集成体16の流体アクセスを確立することができる。この流体アクセス部位を維持するために、ルアー集成体16を安全カテーテル10の残り部分から分離する。ルアー集成体16を安全カテーテル10の残り部分から分離した後、シャトル集成体50をハンドル12の内側の第2の位置まで後退させる。第2の位置に来たら、スタイレット36の鋭利な遠位先端部42をハンドル12のチャンバー77の内側に効果的に隠して、スタイレット36により不注意で、又はうっかりして「針刺し」をするのを防ぐ。
【0036】
図18図19aを参照すると、安全カテーテル10が、スタイレット36を効果的に隠すためにハンドル12と係合するシールド14とともに使用前の構成で図示されている。安全カテーテル10は、デバイスの安全な輸送及び/又は保管のために好適な任意の方法でパッケージ化することができる。
【0037】
図20図21aは、安全カテーテル10が患者の血管系にアクセスするように設計された構成をとるようにシールド14を取り外した後の安全カテーテル10の一形態を例示している。シャトル集成体50が第1の位置にあるときに、ルアー集成体16、シャトル集成体50、及びハンドル集成体63はすべて、相互に作用する。例示されているように、シャトル集成体50のスタイレット36は、ルアー集成体16のカニューレ22内に保持され、シャトル本体部38の遠位端46は、ガイド28内のルアー集成体16の一方向弁26の近位にあり、隣接する位置に置かれる。スタイレット36は、シャトル本体部38から遠位に延在し、一方向弁26に通され、そしてカニューレ22に通される。例示されている構成では、スタイレット36は、患者の血管系内に挿入できるようにカニューレ22を硬直させる。
【0038】
それと同時に、ルアー集成体16の中空本体部分20の近位端33は、本体頂部54の弾力的な指部66の上に位置決めされ、弾力的な指部上の突出部68が、図21に最もよく示されているように、シャトル本体部38の平坦部48と係合する。図20及び図21に例示されているように、中空本体部分を弾力的なアーム66の上に位置決めすることによって、シャトル集成体50がハンドル集成体63に関して移動できないように突出部68を平坦部48内に維持する。ルアー集成体16、シャトル集成体50、及びハンドル集成体63の間のこの相互作用により、シャトル集成体50はハンドル12に関して第1の位置に効果的に保持される。シャトル集成体50が、第1の位置にある間、図20図21aに示されているように、バネ70は、シャトル本体部38上の円環状フランジ72と本体頂部54上の円環状フランジ61との間に圧縮される。バネ70は、シャトル集成体50をホルダー12内に近位方向に付勢するように構成されるが、平坦部48内に弾力的なアーム66の突出部68を保持することにより、シャトル集成体50の近位方向への後退を防ぐ。バネ70は、シャトル集成体がルアー集成体16とアクチュエータ80の両方から解放されるまで圧縮されたままである。
【0039】
なおも図20図21aを参照すると、アクチュエータ80は、本体頂部54と係合し、またルアー集成体16の中空本体部分20の近位端33と係合するように示されている。より具体的には、例示されている形態において、横方向突出部108を有する保持ラッチ106は、中空本体部分20上の横方向フランジ81と係合する。この構成によって、ルアー集成体16は、安全カテーテル10の残りの部分に固定される。図21aを見ると最もよくわかるように、横方向アーム104の首部は、本体頂部54上のストッパー71の間の間隙73内に位置決めされる。アクチュエータのバンド112は、円環状バンド61に隣接する本体頂部54の遠位端を実質的に取り囲む。この位置において、アクチュエータ80は、本体頂部54に固定され、横方向アーム104の一体蝶番110は、弛緩位置にあり、そこでは、横方向アーム104の首部のみが本体頂部54のストッパー71の間の間隙73内に位置決めされる。
【0040】
図20図21aに示されているように、安全カテーテルは、患者の血管系内に挿入できるように構成される。カニューレ22及びスタイレット36が患者体内に挿入されると、本明細書の形態は、ルアー集成体16が患者の血管系と流体的に連通するように安全カテーテル10が適切に位置決めされたことを確認するステップを含む。血管系に正常にアクセスできた後、血液がスタイレット36の内腔を通り、シャトル本体部38内のキャビティ49内に入る。一形態では、シャトル本体部38及び周囲の本体頂部54は、透明であるため、このフラッシュ・ウィンドウを通して血液が見える。フラッシュ・ウィンドウ62を通して血液が見えるので、臨床医には、血管系が適切にアクセスされたことがわかる。フィルター・プラグ40は、シャトル集成体50のキャビティ49内に入る血液を制限し、血液で運ばれる病原菌が安全カテーテル10から漏れ出るのを防ぐ。
【0041】
図22図23aを参照すると、患者の血管系にアクセスした後、カニューレ22をスタイレット36の遠位先端部42を超えて前進させ、及び/又は血管系のさらに奥に送り込むことができる。カニューレ22を送るのは、臨床医が、例えば、背部パッド97(図23図23a)上に人差し指を置き、アクチュエータ80を遠位に送ることによって行われる。アクチュエータ80が前進されると、保持ラッチ106が外向に曲がり、横方向突出部108をルアー集成体16の中空本体部分20上の横方向フランジ81から係脱する。この係脱により、ルアー集成体16が自由になり、安全カテーテル10の残り部分から取り外せる。同時に、アクチュエータ80が前進されると、レール102がルアー集成体16を遠位に押して、それにより、カニューレ22を患者の血管内のさらに奥に送る。ルアー集成体16がアクチュエータ80によって遠位に押されると、アクチュエータのベース95が移動して本体頂部54の弾力的なアーム66(図23)を覆い、これにより、突出部68は、シャトル本体部38上の平坦部48内にそのまま保持される。この位置では、ルアー集成体16の中空本体部分20は、もはや、弾力的なアームを保持することはないが、アクチュエータ80は、弾力的なアームが横方向に拡大して外れ、シャトル集成体50の後退を許すのを防ぐ。この方法で、カニューレ22は、患者の血管系のさらに奥まで伸張し、その後、シャトル集成体50を解放することができる。この構成は、スタイレット36をハンドル12内に後退させる前に、ある程度の硬さでカニューレ22を送り、必要ならば位置を変更できるので有利であると思われる。アクチュエータ80が前進されると、アクチュエータ上の一体蝶番110(図23a)は、本体頂部54のストッパー71の間の間隙73に通して引かれ収縮する。この収縮で、アクチュエータ80は近位方向に付勢され、アクチュエータが解放されたとき、又はアクチュエータ上の遠位方向の力を小さくすることによって、アクチュエータは近位に移動する。
【0042】
図24図25aを参照すると、カニューレ22がさらに奥に前進された後、ルアー集成体16は、安全カテーテル10の残り部分から取り外され、患者の血管系内に留まることができる。臨床医の指がアクチュエータ80にまだ置いたままで、スタイレット36及びシャトル集成体50を第1の位置に保持し、ルアー集成体16をスタイレット36から離れるように案内できる。例示されているように、アクチュエータ80(図25)は、アクチュエータ80が後退できるまで平坦部48内に弾力的なアーム66の突出部68を保持し、それにより、スタイレットの解放が必要になるまでシャトル集成体を第1の位置に固定している。
【0043】
図26図27aを参照すると、シャトル集成体50は、ルアー集成体16が前進された後任意の時点でハンドル12内に後退するように解放することができる。ルアー集成体16は、シャトル集成体50を後退できるようになる前に、シャトル集成体50から部分的に又は完全に取り外すことができる。後退は、一体蝶番110(図27a)の近位への付勢力がアクチュエータを近位に付勢するように臨床医がアクチュエータ80上の遠位圧力を解放することによって引き起こされる。アクチュエータ80が近位に移動すると、外向きに付勢されている、弾力的なアーム66(図27)は、もはや、平坦部48内に保持されない。弾力的なアーム66が、横方向に拡大できるようになると、弾力的なアーム上の突出部68は、平坦部48から係脱する。シャトル集成体50のシャトル本体部38は、ホルダー・アセンブリ63から係脱された後、ハンドル12内に保持されているバネ70によって付勢されて近位方向に移動する。バネ70は、シャトル集成体50をハンドル12のチャンバー77内の近位方向に付勢し、それにより、スタイレットの遠位先端部42をハンドル12の内側に隠す。スタイレット36をこのようにして隠すことで、不注意による針刺しに付随する危険性を低減することができる。シャトル集成体50がハンドル12内に保持された後、一形態では、スタイレットの遠位先端部42は、本体頂部54上のフラッシュ・ウィンドウ62と位置を合わされる。この形態では、臨床医は、遠位先端部42を確認して、スタイレット36が適切に保持され、もはや危険でなくなったことを知ることができる。
【0044】
安全カテーテル10を操作する方法は、実例のみによって開示されており、そこでは、ステップは、制御された後退を行う構成要素、患者の血管系にアクセスしたときに見るためのフラッシュ・ウィンドウ、及び/又は針若しくはスタイレットが安全な位置に後退したときに見るためのフラッシュ・ウィンドウの好適な任意の構成とともに好適な任意の順序で実行されうることは理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図19a
図20
図21
図21a
図22
図23
図23a
図24
図25
図25a
図26
図27
図27a