特許第5944394号(P5944394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5944394仕分けパス間でユーザ処理情報を回復する郵便物仕分け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944394
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】仕分けパス間でユーザ処理情報を回復する郵便物仕分け方法
(51)【国際特許分類】
   B07C 3/10 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   B07C3/10
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-529694(P2013-529694)
(86)(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公表番号】特表2013-542065(P2013-542065A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】FR2011051340
(87)【国際公開番号】WO2012038626
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年1月8日
(31)【優先権主張番号】1057658
(32)【優先日】2010年9月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】597038530
【氏名又は名称】ソリステイツク
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デスプレ,オリビエ
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−528386(JP,A)
【文献】 特表2008−529761(JP,A)
【文献】 特開2004−171122(JP,A)
【文献】 特開2007−268466(JP,A)
【文献】 特開2007−000698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 3/00− 3/20
G06Q 50/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便物(P)が仕分機(1)の仕分け出口(S1〜S5)で順序付けて並べられるように仕分機の少なくとも2つの仕分けパスにかけられ、ユーザ処理情報(PF)が少なくとも特定の郵便物に関して第1の仕分けパス時に仕分機で利用可能になり、該ユーザ処理情報は、郵便物の受取人住所ブロックの位置に対応する、郵便物仕分け方法であって、
前記特定の郵便物の第1の仕分けパス時に、当該特定の郵便物の画像を表す第1のグラフィックシグネチャを取得し、データ処理ユニットのメモリ内で、前記第1のグラフィックシグネチャを前記特定の郵便物のユーザ処理情報(PF)と関連付けるステップと、
前記特定の郵便物の第2の仕分けパス時に、当該特定の郵便物の画像を表す第2のグラフィックシグネチャを取得し、前記メモリ内で、グラフィックの類似基準を使用してグラフィックシグネチャの一致に基づいて前記特定の郵便物と関連付けられた前記ユーザ処理情報を回復し(32、33)、回復された前記ユーザ処理情報に対応する前記特定の郵便物の受取人住所ブロックで受取人住所認識を行うステップと、
を含むことを特徴とする、郵便物仕分け方法。
【請求項2】
1組の郵便物が第2の仕分けパスのために仕分機に再循環される間に、それぞれユーザ処理情報に関連付けられたグラフィックシグネチャは、グラフィッククラスの辞書を動的に作成するためにフィルタリングされ、前記郵便物に関連付けられたユーザ処理情報を回復するために、グラフィッククラスと第2の仕分けパス時に計算された郵便物のグラフィックシグネチャとの一致が検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各々のグラフィッククラスが、複数のグラフィックシグネチャの記述子の平均値である記述子を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ処理情報が、受取人住所ブロックの空間位置に関する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ処理情報が、差出人住所ブロックの空間位置に関する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ処理情報が、複数の郵便物に共通する物理的特性を表す情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記情報が、郵便物がプラスチック製包装材を有することを示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記情報が、郵便物が覆われていないタイプの郵便物である、または雑誌タイプの郵便物であることを示す、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザ処理情報が、仕分機操作者によって第1の仕分けパス時に仕分機に提供される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザ処理情報が、仕分機のメモリに予め記録される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザ処理情報が、郵便物の第1の仕分けパス時に仕分機のデータ処理によって生成される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物が機械の仕分け出口で順序付けて並べられるように機械で少なくとも2つの仕分けパスにかけられ、少なくとも特定の郵便物に関して第1の仕分けパス時にユーザ処理情報が仕分機で利用可能となる郵便物仕分け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、特に、大口郵便、すなわち、同じ差出人からの多数の郵便物の仕分けに関係する。例えば、同じ差出人からの均一な郵便物群が郵便物仕分機に投入される「ラン」状況において、仕分機の操作者は、グラフィカルインターフェースを通した前記郵便物の画像内で、光学式文字認識(OCR)の住所認識処理を郵便物の画像内の所定のピクセル領域で機能させるように、受取人住所ブロックの位置の周囲の「フレーム」(「ユーザフレーム」とも呼ばれる)を予め決める必要がある。このように仕分機の操作者からの支援により、とりわけ、認識の失敗率を減らすことができる。
【0003】
また、仕分機の操作者は、郵便物を自動的に処理するのに役立つ他のユーザ処理情報、例えば、差出人の住所ブロックに対応するピクセル領域の画像内の空間位置を入力する必要がある。さらに、仕分機の操作者は、ユーザ処理情報として、郵便物に郵便物が差出人に返送されないようにするための特定の追跡ルールがあることなどを入力してもよい。
【0004】
また、データ処理および機械処理の動作を最適化するために、郵便物の物理的構造を示す情報、すなわち、封筒の郵便物もしくはプラスチック製包装材の郵便物であるか、覆われていない郵便物であるか、または雑誌タイプの郵便物であるかを示す情報が仕分機の操作者によって郵便物仕分機に入力されてもよい。
【0005】
このようなユーザ処理情報は、仕分機のファイル内に予め記録されて、仕分機の操作者によって手動で入力されるのではなく、自動的に取り出されるようにしてもよい。
【0006】
郵便物の物理的特徴、例えば、重量、厚み、または他の物理的規模に関する他のユーザ処理情報が、郵便物の仕分け時に仕分機の周辺機器によって生成されてもよい。受取人住所ブロック領域を含むフレームは、ラニングイン段階の後に、仕分機の処理自体によって決定されてもよい、すなわち、住所ブロックの位置に関する情報が統計的に確実になった時点で、OCR住所認識の結果の信頼度をこの情報の信頼性の尺度とすることができる。
【0007】
郵便物が、特に、同じ差出人からのものであるという点、および非常に似たグラフィック外観を有するという点において均一である郵便物の処理に関するユーザ処理情報の全ては、仕分機の構成または調節に役立つので、種々の仕分けパス時の仕分機の動作を最適化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1519796号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、郵便物の第1の仕分けパス後は、(第1のパスにあるので)均一な郵便物をバッチごとにグループ化できないために、郵便物の第1の仕分けパス後は前記ユーザ処理情報は使用されないという見解から発生したものである。
【0010】
本発明の目的は、仕分機操作者によって入力された、または仕分機に事前に記録されている、または仕分機のデータ処理によって第1の仕分けパスで生成されたユーザ処理情報を次の仕分けパスで利用できるようにして、前記ユーザ処理情報を関連性のある郵便物に関連付けて使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、郵便物が仕分機の仕分け出口で順序付けて並べられるように仕分機の少なくとも2つの仕分けパスにかけられ、ユーザ処理情報が少なくとも特定の郵便物に関して仕分機で第1の仕分けパス時に利用可能となる郵便物仕分け方法であって、メモリ内で、前記ユーザ処理情報を郵便物の画像を表す郵便物のグラフィックシグネチャに関連付け、前記特定の郵便物の第2の仕分けパス時に、特定の類似基準を使用してグラフィックシグネチャの一致に基づいて前記郵便物に関連付けられた前記ユーザ処理情報を回復するステップを含むことを特徴とする郵便物仕分け方法を提供する。
【0012】
これらのグラフィックシグネチャの記述子は、郵便物のデジタル画像の回転に対して不変であるのが好ましく、そのため連続する仕分けパスにおいてロバストなグラフィックシグネチャのインデックス作成および検索が可能になる。記述子は、マルチスケール分割、例えば、輝度統計量を使用して、グレースケールまたはバイナリフォーマットの郵便物画像のピクセルの局所特徴および全体特徴に基づくものとしてもよい。このような記述子は、例えば、欧州特許第1519796号明細書に記載されている。上記特許文献では、記述子は、一意の仮想郵便物識別子の画像成分に対応する。2つのグラフィックシグネチャ間の類似性のグラフィック類似基準は、例えば、正規化相関係数とすることができる。
【0013】
本発明によれば、1組の郵便物が第2の仕分けパスのために仕分機に再循環される間に、ユーザ処理情報に関連付けられたグラフィックシグネチャは、グラフィックシグネチャのクラスの辞書を動的に作成するためにフィルタリングされ、前記郵便物に関連付けられたユーザ処理情報を回復するために、グラフィッククラスと第2の仕分けパス時に計算された郵便物のグラフィックシグネチャとの一致が検出される。このことにより、仕分機のメモリ内の情報がよりコンパクトになり、グラフィックシグネチャの一致をより効果的に検索することができ、データ交換を減らすことができる。特に、第1の仕分けパスの終わりに仕分け出口容器を取り外す時に、または第2の仕分けパスの初めに仕分け出口容器が再循環される時点で、容器に収容されている郵便物のために生成され、かつユーザ処理情報に関連したグラフィックシグネチャは、当該仕分け出口容器に限定されたコンテキストを有するグラフィックシグネチャクラスの辞書を動的に作成するために、ユーザ処理情報に応じてグループ化されて分類される。また、本発明の方法により、第2の仕分けパスで処理される郵便物で、第1の仕分けパスでユーザ処理情報を持っていなかった郵便物のユーザ処理情報を回復することができる。これは、例えば、2つの異なる仕分機において第1の仕分けパスで集積されていない2組の同様の郵便物で、2組のうちの最初の組の郵便物のみがユーザ処理情報に関連付けられている郵便物に対して適用できる。本発明の方法により、第2の仕分けパスで、2番目の組の郵便物の一部の郵便物のユーザ処理情報を回復することができる。
【0014】
したがって、辞書の各々のグラフィッククラスは、1つまたは複数の同様のグラフィックシグネチャを表している。連続仕分けパスで郵便物仕分機の入口へと再循環される各々の容器は、わずかなコンテキストのグラフィッククラスを有することができ、このグラフィッククラスは前記仕分機の入口にある郵便物のみに適合するように拡張または低減することができる。本発明によれば、各々のグラフィッククラスは、複数の同様のグラフィックシグネチャの記述子の平均値とすることができる記述子を有する。一致を検出するためのグラフィックシグネチャとグラフィッククラスとの類似度の閾値は、必要に応じて、異なる差出人からのものであるが、グラフィック的に類似度の高い郵便物のユーザ処理情報を回復することができるように設定されてもよい。
【0015】
グラフィッククラスの動的辞書の作成の原理は、グラフィッククラスの現在の辞書に、次の仕分けパスで回復されるユーザ処理情報に関連した新しい郵便物のグラフィックシグネチャをそれぞれ提供することにある。辞書にあるグラフィッククラスとの一致が検出された場合に、当該グラフィッククラスの記述子は、新しいグラフィックシグネチャの記述子と統合することで更新される(更新は、記述子の平均値を計算することである)。それ以外の場合は、新しいグラフィッククラスは、記述子として、新しいグラフィックシグネチャの記述子と共に、辞書内に作成される。
【0016】
このタイプのグラフィックシグネチャの動的グループ化により、大容量のデータベースの管理および郵便物仕分機間または郵便物仕分け場所間での交換が回避される。これらのグラフィックシグネチャのクラスのディレクトリまたは辞書は、仕分け出口容器別に整理分割されたデータベースの一部としてもよい。また、グラフィックシグネチャの動的グループ化により、グラフィックシグネチャの一致を検出するための限定的な検索コンテキストが可能になる。
【0017】
本発明は、上述の欧州特許第1519796号に記載されているSolystic社の「V−Id(R)」技術に従って郵便物の一意の仮想識別子を使用した郵便物仕分け構造に適用できる。この場合、ユーザ処理情報は、前記郵便物仮想識別子に関連して、連続仕分けパスを経て伝達される。ユーザ処理情報を回復することにより、メモリ内で一意の仮想郵便物識別子のインデックス作成および検索のロバスト性を強化することができる。
【0018】
本発明の方法は、以下の特徴を有することができる。
【0019】
前記ユーザ処理情報は、受取人住所ブロックの空間位置に関する情報を含むことができる。上述したように、このタイプのユーザ処理情報の回復により、受取人住所を認識するためのOCR処理のロバスト性、または一意の仮想郵便物識別子のコンポーネントの計算のロバスト性を強化することができる。
【0020】
前記ユーザ処理情報は、差出人住所ブロックの空間位置に関する情報を含むことができる。
【0021】
前記ユーザ処理情報は、複数の郵便物に共通する物理的特性を表す情報を含むことができる。連続仕分けパスを経てこの情報を回復することは、例えば、仕分け出口容器の充填の最適化に役立つ場合がある。
【0022】
以下に、本発明の方法の実施について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】仕分けられた郵便物を収容するための容器が仕分け出口に配設された郵便物仕分機の概略図である。
図2図1に示された仕分機において本発明の第1の仕分けパス時の仕分けプロセスの実施方法を示す図である。
図3図1に示された仕分機において本発明の第2の仕分けパス時の仕分けプロセスの実施方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1において、郵便物仕分機1は、複数の仕分け出口(図示されている例では、5箇所のみ(S1〜S5))を備えた仕分けコンベヤ2を含む。仕分機1は、さらに、各々の郵便物を郵便物にある認識された受取人住所に対応する仕分け出口の1つに向けて案内するように仕分けコンベヤのアクチュエータを制御するために、OCRによる住所認識を実行するのに適した監視/制御システム3(メモリを含むデータ処理ユニット)を含む。
【0025】
参照符号4は、仕分け出口に関連付けられた容器またはトレイを指し、その中に前記仕分け出口に向かって案内された郵便物が収容され集積される。
【0026】
郵便物仕分機1は、種々の郵便物仕分け場所に分散された複数の郵便物仕分機を含むことができる大型の郵便物仕分設備の一部としてもよい。前記郵便物仕分機の監視/制御システム3は、データを交換または転送することができるように通信ネットワーク5を介して互いに接続されてもよい。
【0027】
本発明によれば、郵便物Pは、(例えば、配達員による配達のために)受取人住所ごとに順序付けて並べられるように、同じ郵便物仕分機または2つ以上の異なる郵便物仕分機の複数の仕分けパス、特に、少なくとも2つの仕分けパスで、連続する仕分けパスの間に仕分けされる。
【0028】
一般に、郵便物の宛先に基づいて仕分けするには、前記郵便物が「外部」仕分けセンターと呼ばれる郵便物仕分けセンターの第1の仕分機のパスにかけられた後、前記郵便物が「内部」仕分けセンターの第2の仕分機のパスにかけられる必要がある。
【0029】
したがって、本発明は、郵便物Pが郵便物仕分機の入口に束で投入される郵便物仕分けに適用することができる。郵便物Pは、仕分機の仕分け出口容器4の中に順序付けて並べられるように第1の仕分けプラン(第1の仕分けパス)に従って仕分けされ、その後、仕分けされて各々の仕分け出口容器4に収容された郵便物Pは、仕分機の入口(または別の仕分機の入口)へと再循環されて、郵便物Pが仕分け出口容器4の中に再び順序付けて並べられるように第2の仕分けプラン(第2の仕分けパス)に従って再び仕分けられ、さらに、配達人による配達に適した順序付けが得られるまで連続した仕分けパスにかけられる。
【0030】
本発明によれば、ユーザ処理情報PFは、例えば、同じ差出人からの1組の均一な郵便物(1ラン)が第1の仕分けパスにかけられる前に、仕分機に入力される。この例では、前記ユーザ処理情報PFはランの郵便物Pの画像内の受取人住所ブロックの空間的座標で構成されると考えられるが、本発明は、他のタイプのユーザ処理情報に適用されてもよく、ユーザ処理情報は操作者によって仕分機に入力されてもよいし、またはデータ処理によって仕分機内で生成されてもよい。
【0031】
図2は、郵便物Pの第1の仕分けパス時の本発明の郵便物仕分けプロセスの実施を示す図である。ステップ20において、ユーザ処理情報PFは、仕分機の操作者によって、例えば、ディスプレイ画面6(図1を参照)を含むマン/マシンインターフェースやディスプレイ画面上のチェック部材7によって、ラン中の郵便物の標準画像9内に受取人住所ブロック周囲のフレーム8を規定する「クリッピング」技術を使用して仕分機に入力される。
【0032】
ステップ21において、ランの第1の郵便物Pは、集積されておらず、仕分けコンベヤ2上を移動される。前記第1の郵便物Pの片面のデジタル画像が、周知のようにカメラなどで撮影され、システム3のメモリに一時的に記憶される。
【0033】
ステップ22において、ユーザ処理情報が郵便物Pに関連付けられている場合、グラフィックシグネチャまたは画像プロファイルが郵便物Pのデジタル画像から導出される。このグラフィックシグネチャは、例えば、上述したように、画像のピクセルの輝度値に基づいて計算されたデジタル記述子を有する。メモリにおいて、グラフィックシグネチャSigの記録は、前記郵便物に適用できるユーザ処理情報PFに関連付けられる。このメモリ内の関連付けは、従来の方式で、グラフィックシグネチャの記録と前記情報PFが記録されているロケーションとの間の論理アドレスリンクによって行われてもよいし、またはユーザ処理情報をグラフィックシグネチャの記録のフィールドに表示することによって行われてもよい。当然ながら、グラフィックシグネチャは、本明細書では、データベースDBで表されているデータベースに記憶されてもよい。データベースは、システム3内部にあるが、郵便物仕分機1から離れた場所に配置されてもよい。図2では、データベースDBはテーブルの形で象徴的に示されており、各列は異なるグラフィックシグネチャ(Sig1、Sig2などによって示されている)の記録に対応する。Sig1などの各々のグラフィックシグネチャは、ユーザ処理情報(シグネチャSig1に対してPFで示されている)に関連付けられる。
【0034】
ステップ23において、プロセスは、特に、前記ユーザ処理情報PFによって規定された郵便物画像の領域内に適用される受取人住所を認識するためのOCR処理によって継続される。当然、ステップ22とステップ23は、本発明の範囲から逸脱しなければ入れ替えてもよい。
【0035】
この仕分けプロセスの段階で、受取人住所はOCR処理によって明確に認識され、ステップ23において、郵便物は仕分けコンベヤ2を通って、認識された住所に対応する仕分け出口、例えば、出口S1に向けて案内されて、対応する仕分け出口容器4に収容されると想定される。システム3において、論理識別子IdTrayが仕分機の各々の仕分け出口容器4に割り当てられて、前記識別子IdTrayは、ステップ22において、データベースDBのメモリ内で、対応する郵便物のために計算されたシグネチャSig1の記録に関連付けられると想定される。
【0036】
ステップ21〜23は、各々の連続する郵便物Pに対して繰り返される。第1の仕分けパスの中のこの処理プロセスの終わりに、1組のグラフィックシグネチャがシステム3のメモリ内で利用可能になる。このシグネチャはユーザ処理情報PFの個々の項目、さらに仕分け出口容器識別子に関連している。この仕分けプロセスにおいて、他のランの第1の仕分けパス時に、他のユーザ処理情報が手動で入力されてもよいし、自動的に生成されてもよい。当然、本発明の方法は、仕分け出口容器識別子が無くても、その場合、第2の仕分けパス時にグラフィックシグネチャの一致を検索するための検索スペースを制限するのに役立つトレイ識別子を作動させることもできる。
【0037】
第2の郵便物仕分けパスのために再循環されるように郵便物で一杯になった仕分け出口容器が仕分機から取り外されると、ステップ24で、グラフィックシグネチャクラスの辞書が動的に作成され、辞書は前記容器(またはローカル辞書またはディレクトリが作成される時に見られるデータベースDBの一部)に関連付けられる。辞書において、辞書の各々のグラフィッククラスSigMeanは、容器に収容されている郵便物で、全部が同じランの一部であり、グラフィック的に同じ画像を有する郵便物に関連付けられたグラフィックシグネチャを表している。上述したように、各々のグラフィッククラスの記述子は、対応するグラフィックシグネチャの記述子に基づいて計算された統合値に対応する、例えば、前記シグネチャの記述子の平均値に対応する。
【0038】
図3は、郵便物Pを仕分けするための第2の仕分けパスの仕分けプロセスを示す図である。プロセスのこの段階で、仕分け出口容器4に収容されている郵便物が、同じ郵便物仕分機1の入口へと再循環されると想定される。ステップ30において、郵便物容器は仕分機の入口に運ばれ、その識別番号IdTrayが仕分機によって認識される。その後、データベースDBの一部または全てが仕分機のメモリにロードされて、グラフィッククラスのミニ辞書が仕分機のメモリ内で利用可能となる。
【0039】
ステップ31において、第2の仕分けパスのために再循環される第1の郵便物Pは、このように集積されておらず、仕分機の仕分けコンベヤ2上を移動される。その後、前記郵便物の面の画像が再び撮影され、現在のグラフィックシグネチャSigcurrentがこの画像に基づいて再び計算される。ステップ31において、辞書のグラフィッククラスSigMeanの1つと現在のシグネチャSigcurrentとの一致を、例えば、正規化相関係数に基づいたグラフィック類似基準に沿って検出するために、データベースDB内の辞書がスキャンされる。ステップ32で一致が検出されると、辞書内で識別された識別グラフィッククラスに関連付けられたユーザ処理情報PFがメモリ内の関連付けによって取り出され、ステップ33において、プロセスは、再びOCRを使用した受取人住所認識処理を継続する。この処理は、特に、ユーザ処理情報PFによって規定された郵便物画像の領域に適用される。
【0040】
この追加の処理は、第1の仕分けパスで入力されたユーザ処理情報PFが寄与することで効果が得られる。第2の仕分けパスにおいてユーザ処理情報を回復することにより、例えば、郵便物の住所認識のロバスト性を強化することができる。
【0041】
ステップ32において一致が検出されなかった場合、仕分けプロセスは、ステップ34において、特定のパラメータ設定のない従来のOCR認識プロセスを継続する。その後、郵便物仕分けプロセスは、ステップ35へと移り、郵便物が仕分け出口に移送され、別の郵便物のためにステップ30に戻る。
【0042】
ステップ31〜35は、仕分機の第2の仕分けパスで収容される連続する郵便物に対して繰り返される。
【0043】
この郵便物仕分けプロセスでは、一般に、1つの仕分機からの仕分け出口の仕分け出口容器で仕分けされ収容されている郵便物は、別の郵便物仕分機の入口へと再循環されることは理解されたい。したがって、第2の仕分けパスで、多数の仕分け出口容器を多数の仕分機にわたって分散することができる。これに関して、一致の検索を加速させるように第2の仕分けパスに対して限られたコンテキストのグラフィッククラスを各々のシステム3の仕分機のメモリのレベルにフィードバックすることが有利である。そのため、各々の容器に関連付けられたグラフィッククラスの動的辞書が第1の仕分けパスの終わりまたは第2の仕分けパスの初めにコンパイルされる。
【0044】
仕分けパス間でユーザ処理情報を回復するための本発明の原理は、第2の仕分けパスの後の仕分けパスにも適用できる。
図1
図2
図3