特許第5944405号(P5944405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5944405カメラ及び照明による窓ガラス上の雨滴の検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944405
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】カメラ及び照明による窓ガラス上の雨滴の検出
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   G01N21/17 E
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-542369(P2013-542369)
(86)(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公表番号】特表2014-502360(P2014-502360A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】DE2011001749
(87)【国際公開番号】WO2012092911
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年5月2日
(31)【優先権主張番号】102010052968.0
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】クレーケル, デイーテル
(72)【発明者】
【氏名】チヴクア, ラードハクリシユナ
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−315256(JP,A)
【文献】 特開2010−096604(JP,A)
【文献】 特開2007−309655(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/076064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
G01W 1/00− 1/18
B60S 1/08
B60S 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラス(2)の後に設けられた1つのカメラ(1)と、この窓ガラス上に向けられた少なくとも1つの光線(h;n)を発生させるための1つの光源(3)とを有する、雨(4)を検出するための装置において、
前記カメラ(1)は、前記窓ガラス(2)の前に存在する遠隔範囲上に焦点合わせされ、
前記窓ガラス(2)の外側(2.2)から反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)が、前記カメラ(1)上に当たり、前記カメラ(1)上に当たる少なくとも1つの光線(r2;r2′;rh)の光量が、前記カメラ(1)によって測定され得るように、前記光源(3)が、前記少なくとも1つの光線(h;n)を前記窓ガラス(2)へ向け、
前記窓ガラスの内側(2.1)から反射した光線(r1)と当該外側(2.2)から反射した光線(r2又はr2′)及び当該外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)が、空間的に分離された少なくとも2つの光線(r1;r2又はr2′;rh)として前記カメラ(1)上に当たり、前記カメラ(1)上に当たる少なくとも2つの光線(r1;r2又はr2′;rh)の光量が、前記カメラ(1)によって測定され得るように、前記光源(3)が、前記少なくとも1つの光線(h;n)を前記窓ガラス(2)へ向け、
前記光源(3)は、特定の波長範囲内の波長を有する光だけを発生させ、前記カメラ(1)の光路中の、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)で反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)で反射した光線(rh)が延在する領域内に、1つの第1のスペクトルフィルタが配置されていて、この第1のスペクトルフィルタが、前記特定の波長範囲内の波長を有する光を透過させる当該装置。
【請求項2】
雨(4)が、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)上にないときに、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)上に当たる、前記光線(h;n)の一部の光線(t1)が、前記窓ガラスから出射される光線(t2)より多く反射されるように、前記光源(3)によって発生された前記光線(h;n)の入射角が設定されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、評価装置を有し、この評価装置は、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)で反射した光線(r2;r2′)の測定される光量から、雨(4)が前記窓ガラス(2)の外側(2.2)上に存在するか否かを確認する請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記評価装置は、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)で反射した光線(r2;r2′)の測定される光量を1つの閾値と比較する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記評価装置は、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)で反射した光線(r2;r2′)の、前記カメラ(1)の画像センサ(5)によって測定される露光量の経時変化を算出する請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記光源(3)は、前記カメラ(1)のハウジング内に構造的に組み込まれている請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記光源(3)は、前記カメラ(1)ののぞき仕切り(11)の下に配置されている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記光源(3)は、光を赤外線波長範囲内で発生させ、前記のぞき仕切り(11)の、前記光源(3)の上にある部分範囲内の少なくとも一部が、前記赤外線波長範囲内で透過性である請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記光源(3)は、前記カメラ(1)の回路支持体(12)上に配置されている請求項6〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
空間的に分離された少なくとも2つの反射光線(r1;r2又はr2′)が延在しない、前記光路の範囲内に、第2のスペクトルフィルタが配置されていて、この第2のスペクトルフィルタが、前記特定の波長範囲内の波長を有する光を阻止する請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記カメラ(1)は、画像センサ(5)を有し、第1のスペクトルフィルタ又は前記第1及び第2のスペクトルフィルタは、前記画像センサ(5)の画素上に直接被覆されている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記光源(3)は、集束された光線(h)を発生させる請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記光源(3)によって発生された前記光線(h)は、導光体(13)によって前記窓ガラス(2)へ向けられる請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記窓ガラス(2)の後に配置され且つ窓ガラスの前の遠隔範囲上に焦点合わさせされた1つのカメラ(1)と、前記窓ガラス(2)上へ向けられた少なくとも1つの光線(h;n)を発生させるための1つの光源(3)とを用いることで、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)から反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)が、前記カメラ(1)上に当たるように、前記光源(3)が、前記少なくとも1つの光線(h;n)を前記窓ガラス(2)へ向け、
前記カメラ(1)を用いて前記窓ガラス(2)の外側(2.2)から反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)の光量を測定し、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)上の雨(4)を検出するために、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)から反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)の測定される光量を評価することによって、1つの窓ガラス(2)の外側(2.2)上の雨(4)を検出する請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置を使用するための方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置によって1つの窓ガラス(2)の外側(2.2)上の雨(4)を検出するための方法において、
前記カメラ(1)によって、
・第1の画像が、光源(3)の遮断時に録画され、
・第2の画像が、光源(3)の投入時に録画され、
・差画像が、第2の画像と第1の画像とから形成され、
・前記窓ガラス(2)の外側(2.2)で反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)の光量が、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)上の雨(4)を検出するために評価される当該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源及びカメラにより窓ガラス上の雨滴を検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2010/072198号には、自動車の運転者支援機能のために使用されるカメラによる雨検出が記載されている。雨検出のため、2焦点光学系が使用されて、前窓ガラスの部分範囲をカメラの画像チップ又は画像センサの部分面上に鮮鋭に表示する。
【0003】
この考えの欠点は、付加的な光学素子が挿入され、その縁が、画像チップの雨センサ範囲用の光線経路においても、縁の近くにある運転者支援機能用範囲においても、著しい障害を引起こすことである。特に小さい寸法で設けるために、運転者支援範囲及び雨センサ範囲のための焦点合わせ条件は著しく相違しており、それを光学素子の増大される厚さによって補わねばならず、またそれにより障害が増大し、縁の周囲の画像チップにおける利用不可能な広い範囲を生じる。
【0004】
画像チップ上の雨センサ検出範囲と窓ガラスに対応する雨センサ表面との間の異なる光学距離を生じる異なる窓ガラス傾斜において、別の欠点が生じる。更に鋭敏な光学的写像を補償するために、変化するあらゆる組込み状況に光学素子の厚さを合わせねばならない。
【0005】
夜間でも雨滴を検出できるようにするため、国際公開第2010/072198号では、導入素子を介して光を前窓ガラスへ導入し、前反射を介して窓ガラス内を導くことが提案されている。導出素子により、前反射した光がカメラの方へ導出される。前窓ガラス上に水滴があると、光の一部が導出され、もはや導出素子の方へ全反射されない。この場合も、変化されるあらゆる窓ガラス傾斜のために、統合されるカメラ照明装置を変化する組込み条件に機械的に合わせねばならないことが、不利に作用する。
【0006】
米国特許第7259367号明細書でも同様に、カメラによる雨検出が提案され、カメラ開口角の通過窓を窓ガラスにより大きい面積で照明する。カメラはほぼ無限大に焦点を合わされ、従って同時に運転者支援のために利用可能である。遠隔範囲の写像のため、雨滴は画像において障害としてのみ感じられ、画素サイクルに同期してパルス化されるか又は変調される光で記録(録画)される画像の費用がかかる差測定によって検出される。
【0007】
しかしシミュレーション計算及び測定から、このような照明では、光の非常に僅かな部分しか雨滴においてカメラ反射されないことがわかる。この状況は悪い信号対雑音比を生じ、その結果不確実な雨検出を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来技術から公知の装置又は方法の前記の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、
窓ガラス(2)の後に設けられた1つのカメラ(1)と、この窓ガラス上に向けられた少なくとも1つの光線(h;n)を発生させるための1つの光源(3)とを有する、雨(4)を検出するための装置において、
前記カメラ(1)は、前記窓ガラス(2)の前に存在する遠隔範囲上に焦点合わせされ、
前記窓ガラス(2)の外側(2.2)から反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)が、前記カメラ(1)上に当たり、前記カメラ(1)上に当たる少なくとも1つの光線(r2;r2′;rh)の光量が、前記カメラ(1)によって測定され得るように、前記光源(3)が、前記少なくとも1つの光線(h;n)を前記窓ガラス(2)へ向け、
前記窓ガラスの内側(2.1)から反射した光線(r1)と当該外側(2.2)から反射した光線(r2又はr2′)及び当該外側(2.2)上の雨(2.1)から反射した光線(rh)が、空間的に分離された少なくとも2つの光線(r1;r2又はr2′;rh)として前記カメラ(1)上に当たり、前記カメラ(1)上に当たる少なくとも2つの光線(r1;r2又はr2′;rh)の光量が、前記カメラ(1)によって測定され得るように、前記光源(3)が、前記少なくとも1つの光線(h;n)を前記窓ガラス(2)へ向け、
前記光源(3)は、特定の波長範囲内の波長を有する光だけを発生させ、前記カメラ(1)の光路中の、前記窓ガラス(2)の外側(2.2)で反射した少なくとも1つの光線(r2;r2′)及び前記外側(2.2)上の雨(2.1)で反射した光線(rh)が延在する領域内に、1つの第1のスペクトルフィルタが配置されていて、この第1のスペクトルフィルタが、前記特定の波長範囲内の波長を有する光を透過させることによって解決される。
カメラは窓ガラスの後に設けられ、特に車両の内部例えば前窓ガラスの後に設けられ、窓ガラスの前にある遠隔範囲に焦点を合わされる。カメラはなるべく集束用のレンズ及び画像ゼンサ例えばCCDセンサ又はCMOSセンサを含んでいる。窓ガラスへ向けられる少なくとも1つの光線を発生する光源は、少なくとも光線を窓ガラスへ向けて、窓ガラスの外側により反射される少なくとも1つの光線(又は窓ガラスへ向けられる光線の部分光線)がカメラへ当たるようにする。光源は1つ又は複数の発光ダイオード(LED)又は光帯として構成することができる。カメラへ当たる少なくとも1つの光線の光量は、カメラにより測定することができる。
【0010】
本発明は、車両カメラ特に運転者支援カメラにより雨を検出するための簡単であるが信頼できる可能性を示す。実質的に1つの光量のみを測定すればよいので、費用のかかる画像処理アルゴリズムは必要でない。積極的な照明により、装置は、太陽の反射及び強い陰のような外部の影響に対して妨害を受け難い。
【0011】
例えば多光線光源では、雨量は、外側前窓ガラスによるすべての光反射の光量減少を介して、かつ/又は影響を受ける光反射の数を介して求めることができる。
【0012】
好ましい実施形態では、光源により発生される光線の入射角は、窓ガラスの外側に雨がない時、窓ガラスの外側へ当たる光線のうち、窓ガラスから分離される光線より多くが反射されるように調整されている。
【0013】
有利な実施形態によれば、装置が、窓ガラスの外側で反射される光線の測定される光量から、雨が窓ガラスの外側に存在するか否か及びどれ位の雨が存在するかを確認する評価装置を含んでいる。
【0014】
雨を求める評価装置が、窓ガラスの外側で反射される光線の測定される光量を、閾値と比較できるのが好ましい。閾値は、乾いている窓ガラスの場合例えば規則正しい修正により、特に照明の変化される強さ及び/又はカメラの変化される感度に合わせることができる。複数の閾値を使用することもできる。
【0015】
評価装置が、窓ガラスの外側で反射されてカメラの画像センサにより測定される光線の露光量の時間的変化を求めると、有利である。このため画像列をカメラにより記録することができる。
【0016】
好ましい実施形態では、光源が少なくとも1つの光線を窓ガラスへ向けて、窓ガラスの内側及び外側により反射される光線が、少なくとも2つの空間的に分離した光線としてカメラへ当たる。この場合カメラへ当たる少なくとも2つの光線の光量がカメラにより測定可能である。この場合窓ガラスの内側で(直接)反射されてカメラへ当たる光線は、なるべく基準信号として役立つ。なぜならば、この光線の光量は、窓ガラスの外側に雨滴が存在する場合又は存在しない場合不変だからである。
【0017】
ここに提案された照明によるこの検出方式は、必ずしもカメラを頼りにしているのではなく、空間的に分離した2つの光線の光量を求めることができるあらゆる光センサにより利用される。ここに紹介される検出方式が従来のダイオード雨センサに比べて持つ利点は、結合光学系が必要とされず、同時に比較測定のための基準光線が存在することに基いている。
【0018】
集束されて写像される遠隔範囲の評価に基づく1つ又は複数の別の運転者支援機能のために、カメラが使用されるのがよい。
【0019】
本発明の有利な構成によれば、光源が構造的にカメラ又はカメラのハウジングへ統合されている。この場合光源は、カメラハウジング内のカメラののぞき仕切り又はのぞきホッパの下に設けられているのがよい。
【0020】
この場合光源が赤外線波長範囲にある光を発生し、のぞき仕切りが少なくとも光源より上又は光源の放射方向にある部分範囲において、赤外線波長範囲で透過性であると、有利である。
【0021】
この場合光源がカメラの回路支持体又は基板上に設けられている。
【0022】
光源が例えば(近)赤外線範囲のように特定の波長範囲にある波長を持つ光のみを発生するのがよい。カメラの光路において、少なくとも2つの空間的に分離した反射光線が経過する範囲に、第1のスペクトルフィルタが設けられている。第1のスペクトルフィルタは、この特定の波長範囲にある波長を持つ光を十分通す(例えば赤外線を通す)。
【0023】
空間的に分離した少なくとも2つの反射光線が経過しない光路の範囲に第2のスペクトルフィルタが設けられ、この第2のスペクトルフィルタが、特定の波長範囲にある波長を持つ光を阻止すると有利である(例えば赤外線阻止フィルタ)。
【0024】
第1のスペクトルフィルタ又は両方のスペクトルフィルタが画像センサの画素に直接被覆されているのがよい。
【0025】
有利な実施形態では、光源が集束される光線を発生する。
【0026】
光源により発生される光線が例えばガラス繊維のような導光体により窓ガラスへ向けられていると有利である。
【0027】
本発明は更に窓ガラスの外側の雨を検出する方法に関する。これに対する前提は、窓ガラスの後に設けられて窓ガラスの前の遠隔範囲に焦点を合わされるカメラ、及び窓ガラスへ向けられる少なくとも1つの光線を発生する光源である。光源が少なくとも1つの光線を窓ガラスへ向けて、窓ガラスの外側により反射される少なくとも1つの光線がカメラへ当たるようにする。カメラにより、窓ガラスの外側により反射される少なくとも1つの光線の光量が測定される。窓ガラスの外側により反射される少なくとも1つの光線の測定された光量を評価することにより、窓ガラスの外側の雨を検出することができる。
【0028】
窓ガラスの雨を検出するための好ましい方法は、本発明による装置を使用する。まずカメラにより、光源が遮断される際第1の画像が記録される。続いて光源が投入される際第2の画像が記録される。第2の画像及び第1の画像から差画像が形成される。差画像において、窓ガラスの外側で反射される少なくとも1つの光線の光量が、窓ガラスの外側の雨を検出するために評価される。
【0029】
可視光を照明として有利に使用する際、道路使用者が照明によって妨げられないように注意せねばならない。このため外部の光度により合わされる短い可視光パルスを使用することが提案される。これは、雨センサ画像のため短い露光時間及び画像記録時間を必要とし、それが再び運転者支援機能に少し影響を及ぼす。日中このような光パルスは、直接照明を見る時、知覚されるだけである。夜間には雨検出のために僅かな光しか必要とされない。この場合強度を適当に低く制御できるので、夜でも照明は有害に作用しない。
【0030】
照明の強さの適合は、使用される波長範囲に関係なく、別の利点をもたらす。雨センサ光反射は、日中でもよく目に見え、夜には、写像が飽和して量的評価が妨げられることが回避される。
【0031】
照明は、例えば列をなして設けられている個々の発光ダイオードを介して有利に行うことができる。その代わりに光帯を使用できるであろう。この場合例えば±20°以下の十分方向づけられた放射特性が保証されるのがよい。
【0032】
本発明が図及び実施例により以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】窓ガラスが乾いている場合光路と共に光源及びカメラの可能な配置の基本原理を概略的に示す。
図2】窓ガラスに雨がある場合変化する光路を概略的に示す。
図3】カメラの画像センサにより検出されて雨を推論させる信号を示す。
図4】窓ガラスの内側で反射される光線が一部だけカメラの画像センサに写像される配置を示す。
図5】反射される光線が焦点を合わされる遠隔範囲に重畳されて画像センサに写像される配置を示す。
図6】aはフィルタ画素マトリクスとしてのバイエルパタンを示し、bは色のないフィルタ画素マトリクスを持つ変わったバイエルパタンを示す。
図7】光源がカメラののぞき仕切りより下で回路支持体上に設けられている光源及びカメラの別の配置を概略的に示す。
図8】窓ガラスに雨がある場合別の配置の変わった光路を概略的に示す。
図9】別の配置により雨を検出する付加的な可能性を概略的に示す。
図10】窓ガラスに雨がある場合カメラへ当たる光源の主光線の雨滴で反射される成分の測定によって別の配置により雨を検出する付加的な可能性を概略的に示す。
図11】光源からの光が導光体を経て窓ガラスへ導かれる配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は本発明の第1実施例の動作原理を示す。ここに紹介される雨検出は、遠隔範囲に焦点を合わされるカメラ1及び米国特許第7259367号明細書による大きい面の照明とは異なり1つ又は複数の集束される光線hを利用する光源3に基づいている
【0035】
光源3により発生される光線hは、窓ガラス2へ向けられて、窓ガラスの内側2.1及び外側2.2で反射される光線が、空間的に分離した2つの光線r1,r2としてレンズ又はカメラ1へ当たる。遠隔範囲へ焦点を合わせるため、光束の縁が不鮮明に画像チップ5に写像される。しかし両方の光線r1,r2は十分分離されており、そのそれぞれの光量に画像センサ5で測定可能である。
【0036】
この実施例では、光源3の主光線hが使用され、従って光源の光はなるべく集束可能である。空気−窓ガラス境界面(又は窓ガラスの内側2.1)で反射される主光源の成分r1は、基準光線として用いられる。窓ガラスを透過する成分のうち、窓ガラス−空気境界面(又は窓ガラスの外側2.2)で反射されてカメラ1へ当たる成分は、測定光線r2として用いられる。図示されてないが窓ガラス2内で複数回反射される光線の成分は、(窓ガラス−空気の外側(2.2)で反射された後、窓ガラス−空気の内側2.1で)反射される。
【0037】
この配置は、図2により説明されるように、窓ガラスの外側2.2に雨が存在する場合、顕著な信号変化という利点を与える。さて降雨4の場合前窓ガラス2の外側2.2がぬれると、光t1の大部分が分離されるので、それに応じて反射される成分r2′が弱められる(図2参照)。内側2.1により反射される光線r1はその影響を受けない。
【0038】
両方の光線41とr2又はr2′の測定される光量の比較によって、降雨4の場合減少される信号r2′を容易に測定し、窓拭き器を適当に始動することができる。
【0039】
照明3により運転者及び他の道路使用者を惑わさないようにするため、一般に使用されるCCD又はCMOS画像チップ5が高い感度を持つ近赤外光を使用することができる。
【0040】
雑音、昼光、日光及び他の人工光源のような妨害に対して感じないようにするため、光源3を画像読み取りサイクルになるべく同期して部分的に又は完全に時間的に調節して、簡単な差動法により妨害を取除くことが提案される。これは信号対雑音比を改善する可能性である。別の可能性は適当なスペクトル濾波である。即ち光線対r1,r2/r2′が当たる画像チップ5の部分は、光源3の波長に対して高い透過性を持つスペクトル帯域フィルタを備えることができる。
【0041】
図3は、雨検出に用いられる画像センサ5の上部に、例えば光源3として7つのLEDにより発生されるそれぞれ7対の照明反射8,9を示している。これらは無限遠に焦点を合わされるカメラ1のため鮮明には写像されないが、知覚可能である。特に光強度又は光量を測定することができる。上部の照明反射8は、前窓ガラス2の内側2.1で反射される光線r1により発生され、下部の照明反射9は、前窓ガラスの外側で反射される光線r2,r2′により発生される。
【0042】
カメラ画像と同時に運転者支援機能を実現できるようにするため、光束対8,9が運転者支援画像7を妨害してはならない。このため図3において、画像チップ5上で運転者支援画像7外にある範囲6が選ばれる。
【0043】
従って図3は、画像チップ5上における運転者支援範囲7と雨センサ範囲6の分割例を示す。雨滴4がある窓ガラス外側の照明反射9は、強さを弱められている。この照明反射9は前窓ガラス2の外側2.2で反射される光線r2′に由来し、減少された強さを持っている。なぜならば、前窓ガラス2へ透過する光線t1の大部分は、雨滴4により前窓ガラスから分離t2′されてカメラ1′へ反射r2′されるからである。従ってこの照明反射9は、雨4が窓ガラス2の外側に存在するか否かの情報を持ち、その光量が測定信号としてのみ使用可能である。評価は例えば閾値との比較により、これらの複数の照明反射9の光量相互の比較により、かつ/又はこれらの照明反射9の少なくとも1つの光量の時間的変化の分析によって行うことができる。
【0044】
照明3による妨害を十分に回避するため、画像チップ5の覆いガラス上へ付加的に、運転者支援範囲7の上縁まで、赤外線阻止フィルタを蒸着することができる。更に既に上述したように、雨センサ検出範囲6より上に、照明3の波長の帯域フィルタを蒸着することができる。
【0045】
その代わりに、フィルタを画像センサ5の画素上へ直接塗布することもできるであろう。これは、雨センサ範囲6及び運転者支援範囲7用の異なるフィルタの縁により覆いガラス上に生じる視差ずれが回避されるという利点を持っている。この場合画像色フィルタの現在の塗布に相当する過程が有利であろう。それにより両方の範囲6,7が画素を正確に分離可能であり、それにより製造過程によって生じる付加的な機械的公差幅が回避される。この経過において雨センサ範囲6用色フィルタR,G,Bを設けるのをやめ、それにより雨検出の感度を上げることもできるであろう。
【0046】
図4は、画像チップ5上への照明斑点又は照明反射8の部分的写像を示す。雨センサ用の上部範囲6は、1つの実施例によれば、必ずしも前窓ガラスの内側からの反射8を含んでいなくてもよい。なぜならば、雨4による光の変化は下の光斑点9で見えるからである。従ってこれらの光斑点のみで測定信号として十分であり、例えば光量閾値と比較することができる。測定信号が閾値より大きいか又はこれに等しいと、窓ガラスが乾いていることがわかる。これに反し測定信号が閾値より下にあると、窓ガラス2の外側2.2上の雨が検出される。測定信号が閾値を大きく下回っているほど、それだけ多くの雨が窓ガラス2上に存在する。この実施例は、雨センサ6用の範囲を非常に強く縮小できる可能性を与える。
【0047】
しかしそれにより、この実施例では、基準光量としての図4の上部の斑点8がなくなり、それが照明変動の際不利に作用することがある。この欠点を回避するため、上部光斑点8がまだ部分的に見える範囲内でのみ上部雨センサ範囲6を縮小することができる。これが図4に示されている。
【0048】
図5は、運転者支援範囲7又は遠隔範囲写像と雨センサ範囲6又は照明反射8,9の不鮮明な写像との空間的重なりを示している。画像チップ5又は照明の構造的統合が、光斑点8,9及び運転者支援範囲7の空間的に分離した写像のための十分な大きさを可能にしない場合、例えば運転者支援画像と交互に、雨センサ光斑点の特別画像を記録することができる。このため照明3が、運転者支援画像の記録中に遮断され、雨センサ画像の記録のため再び投入される。これは雨検出のため同時に、差画像が先行する運転者支援画像により形成可能であり、それにより背景信号が強く減少され、理想的に光斑点8,9の雨センサ画像のみが残っている、という利点をあたえる。
【0049】
運転者支援カメラ1は、光学系に対するスペクトルの要求を少なくしかつ/又は一層良好な色検出を可能にするために、しばしば赤外線阻止フィルタを持っている。現在使用されている画像チップ5の個々の画素上の色フィルタR,G,Bは、赤外線スペクトル範囲にしばしば再び高い透過を持ち、従って色選択度を低下する。図5に示されているように、運転者支援範囲7と雨センサ範囲6との空間的重なりでは、赤外線阻止フィルタを使用できないか、照明3の波長を可視範囲へずらさねばならない。
【0050】
赤外光をもはや通さない一層良い色フィルタR,G,Bを使用すると、色フィルタパターンの熟練した選択により、雨センサ斑点8,9及び運転者支援画像7を同時にかつ空間的に重ねて記録することができる。
【0051】
図6のaは非常に普及しているバイヤーパターンR−G−G−Bを示す。図6のbは修正されたパターンR−N−G−Bの例を示し、無彩画素Nは全く色フィルタを持たず、従って可視光及び赤外光に対して透明である。これらの“白い”画素Nのみが、両検出のために使用される。更にこれらは、画像チップ5の動特性及び暗い状況における感度を高めるために、両方の記録の時間的分離の際、運転者支援機能のためにも使用できる。
【0052】
図1及び2には、全反射の角度の近くで窓ガラス2内にある光路を持つ照明3が示されている。そこに示されている配置では、窓ガラス2上に雨滴4が発生する際の信号変化が特に顕著である。光源3は、コンパクトなカメラハウジング外で、カメラ1のずっと下に設けられ、これは構造的な制限及び欠点を必然的に伴う。
【0053】
図7及び8は、光源3をカメラ1もっと正確にはカメラハウジングに統合できる、という利点を与える別の配置を示す。(通常LEDによる)照明の開口角が十分大きいと、光源3をカメラ1内に、例えば図示するようにカメラ本体の基板12上に置くことができる。これにより著しい統合利点が生じる。
【0054】
光源3の副次光線nの外側2.2で反射される光線r2と内側2.1で反射される光線r1との相対効果は、よく測定でき、かつ窓ガラス2上の雨滴4を確実に検出できるために十分であることがわかる。
【0055】
照明のために赤外光が使用され、光源3が図7におけるようにのぞき仕切り又はのぞきホッパ11の下に設けられていると、のぞき仕切り11は、少なくとも光源3から窓ガラス2への光線nが通る範囲で、赤外光に対して透明でなければならない。
【0056】
図8は、窓ガラス2の外側2.2に雨滴4が存在する場合の変化を示す。この場合も雨滴4は、窓ガラスから窓ガラスの前の範囲への光の一層強い分離t2′を行う。それによりカメラ1により、窓ガラス2の外側2.2で反射されて部分光線r2′の減少した強さが測定される。
【0057】
この実施例では、光源の主光線hが使用されるのではなく、窓ガラス2における反射を介して少なくとも2つの空間的に分離して部分光線r1;r2;r2′としてカメラ1へ当たる副字光線nが使用される。
【0058】
図1と2及び図7と8に示される検出方式は、古典的な雨センサと同じように、窓ガラス2の外側2.2が湿っている時、光の減少を検出することに基づいている
【0059】
更にこの配置では、主光線hの雨滴4で反射される光rhも、雨を検出するために使用することができる。これが図9及び10に示されている。
【0060】
図9は窓ガラス2が乾いている場合の状況を示している。図7におけるように、副次光線nにより、窓ガラス2の内側2.1で反射される成分rn1が、画像センサ5上で基準強さを生じるが、主光線hは画像センサに写像されない。従って基準光線rn1の照明反射のみが検出される限り、雨4が窓ガラス2上にないことを知ることができる。
【0061】
図10に示すように、前窓ガラス2の外側2.2上の雨滴4により、主光線の僅かな部分が雨滴4において反射されて、カメラ1へ当たる。従ってこの場合1つ又は複数の照明の反射の出現から、基準光線rn1の照明反射に加えて、雨4の存在を推論することができる。
【0062】
雨検出を改善し、有害な環境の影響(変化する背景、太陽の反射、前照灯等)に対して一層頑丈にするために、図7と8又は図9と10の両方の検出方式を組み合わせることもできる。
【0063】
図11は、配置が導光体13を含む別の実施例を示す。カメラ1のハウジングへの照明3の統合を簡単化し、前窓ガラス2の特定の個所へ光線hを導くために、ここでは導光体13が使用される。これにより特に前窓ガラス2の外側2.2で反射される部分光線r2、r2′の(雨検出用)光反射9を、画像チップ5上で運転者支援範囲7外にある範囲へ位置させることが容易になる。雨検出の原理は、図7及び8において説明されたのと同じであり、ただ照明3の副次光線(図7及び8におけるn)の代わりに、導光体13により主光線hが適当に導かれる。
【符号の説明】
【0064】
1 カメラ
2 窓ガラス
2.1 窓ガラスの内側
2.2 窓ガラスの外側
3 光源
4 雨、雨滴
5 画像センサ
6 画像センサ範囲
7 運転者支援範囲
8 窓ガラス内側の照明反射
9 窓ガラス外側の照明反射
10 雨滴における信号変化
11 のぞき仕切り
12 回路支持体
13 導光体
h 主光線
r1 窓ガラス内側で反射されるh又はnの部分
t1 窓ガラス内側で透過されるh又はnの部分
r2 窓ガラス外側で反射されるt1の部分
t2 窓ガラス外側で透過されるt1の部分
r2′ 窓ガラス外側の雨におけるt1に相当する
t2′ 窓ガラス外側の雨におけるt2に相当する
th1 窓ガラス内側で透過される主光線の部分
th2 窓ガラス外側で透過されるth1の部分
th2′ 窓ガラス外側の雨におけるth2に相当する
rh 雨滴においてカメラへ反射されるth2′の部分
rn1 窓ガラス内側で反射されるnの部分
R 赤の波長範囲にある光を透過するフィルタ素子
G 緑の波長範囲にある光を透過するフィルタ素子
B 青の波長範囲にある光を透過するフィルタ素子
N 可視及び/又は赤外線波長範囲にある光を透過するフィルタ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11