特許第5944444号(P5944444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5944444-重量ワーク吊持装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944444
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】重量ワーク吊持装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 19/00 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   B66F19/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-145099(P2014-145099)
(22)【出願日】2014年7月15日
(62)【分割の表示】特願2009-196644(P2009-196644)の分割
【原出願日】2009年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-218376(P2014-218376A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】505034418
【氏名又は名称】株式会社 タイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】浅井 快春
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−047670(JP,A)
【文献】 実開昭50−095757(JP,U)
【文献】 特開平09−112165(JP,A)
【文献】 実開平06−063487(JP,U)
【文献】 特開平05−024800(JP,A)
【文献】 特公昭48−030304(JP,B1)
【文献】 特公昭48−029940(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/02
B66F 19/00
A61G 7/10
B25H 3/00
B67D 7/04
B67D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース上に立設されたポストと、前記ポストの上端部において軸支されてシーソー運動する一部材で一直線状に構成されるシソーアームと、前記シーソーアームの一半部上に設置されるバランスウエイトを駆動するための直動シリンダーである駆動用シリンダーと、前記シーソーアームの他半部上に敷設されるレールと、前記レール上に配置されて前記駆動用シリンダーによって前記レール上を進退駆動されるバランスウエイトと、前記シーソーアームの前記駆動用シリンダー設置側端部に軸支される吊持手段とから成り、
前記ポストの上端部に上方に開くコ字状の軸支部が設けられ、その内側に、やはり上方に開くコ字状のアーム取付部材が支持軸を介して前記軸支部に揺動自在に軸支され、前記シーソーアームは前記アーム取付部材の内底部に固定されることで、前記アーム取付部材と一体となって前記支持軸を軸にシーソー運動し、更に、前記ポストは、上部に前記シーソーアームの回動端を規制する左右一対のストッパーを備えることを特徴とする重量ワーク吊持装置。
【請求項2】
前記ベースは、移動可能及び/又は回動可能にされる請求項1に記載の重量ワーク吊持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量ワーク吊持装置、より詳細には、例えば、25〜30kg程度の金属製製品や金属製部品(以下ワークという)の加工中に、当該ワークを一時的に吊り上げて保持したり、移動させたりする場合に用いる構造簡易な重量ワーク吊持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ワークの加工過程、あるいは、修理や洗浄等の過程において、当該ワークを一時的に吊り上げて保持したり、移動させたりすることがある。その作業は、ワークが軽量であれば人手によって行うことに問題はないが、例えば25〜30kg、あるいは、それ以上の重量物である場合には、その作業を人手によって行うことは困難で、何らかの機械的手段によらなければならない。
【0003】
そのための機械的手段としてクレーンが考えられるが、一般にクレーンは大掛かりなものであって、設置に大きなスペースが必要となり、また、設備コストもかかるため、スペースの少ない小工場において設置するのに適さない。
【0004】
かくして、例えば、25〜30kg程度のワークを、その加工中や修理、洗浄中等において一時的に吊り上げて保持し、あるいは、移動させたりする場合に用いるのに好適な、構造簡易で操作性の良い重量ワーク吊持装置の出現が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−10777号公報
【特許文献2】特開平11−244546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記要望に応えるためになされたもので、例えば、25〜30kg程度のワークを、その加工中や修理、洗浄中等において一時的に吊り上げて保持し、あるいは、移動させたりする場合に用いるのに好適な、構造簡易で操作性が良く、しかも、低コストにて導入し得る重量ワーク吊持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ベース上に立設されたポストと、前記ポストの上端部において軸支されてシーソー運動する一部材で一直線状に構成されるシソーアームと、前記シーソーアームの一半部上に設置されるバランスウエイトを駆動するための直動シリンダーである駆動用シリンダーと、前記シーソーアームの他半部上に敷設されるレールと、前記レール上に配置されて前記駆動用シリンダーによって前記レール上を進退駆動されるバランスウエイトと、前記シーソーアームの前記駆動用シリンダー設置側端部に軸支される吊持手段とから成ることを特徴とする重量ワーク吊持装置である。
【0008】
前記ポストの上端部に上方に開くコ字状の軸支部が設けられ、その内側に、やはり上方に開くコ字状のアーム取付部材が支持軸を介して前記軸支部に揺動自在に軸支され、前記シーソーアームは前記アーム取付部材の内底部に固定されることで、前記アーム取付部材と一体となって前記支持軸を軸にシーソー運動し、更に、前記ポストは、上部に前記シーソーアームの回動端を規制する左右一対のストッパーを備える
【0009】
一実施形態においては、前記ベースは、移動可能及び/又は回動可能にされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係る重量ワーク吊持装置は、構成簡易であって低コストにて提供でき、設置にスペースを取らないために小工場等においても手軽に導入することができ、簡単な操作で重量の嵩むワークを一時的に吊持したり、移動させたりすることが容易なる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る重量ワーク吊持装置の一実施形態の構成を示す正面図である。
図2】本発明に係る重量ワーク吊持装置の一実施形態の構成を示す側面図である。
図3】本発明に係る重量ワーク吊持装置の一実施形態の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係る重量ワーク吊持装置の実施例を示す正面図、図2はその側面図であり、該装置は、ベース1上に立設されたポスト2の上端部において軸支され、シーソー運動をするシーソーアーム3を備える。ベース1は、各種加工機械に固定されることがあり、また、キャスターを備え付ける等によって移動可能にされ、あるいは、揺動モータを設置する等によって旋回可能にされることもある。
【0013】
シーソーアーム3を軸支するポスト2の上端部には、上方に開くコ字状の軸支部4が設けられ、その内側に、やはり上方に開くコ字状のアーム取付部材5が配置される(図2、3参照)。アーム取付部材5は、その上部が、支持軸6を介して軸支部4の上部に揺動自在に軸支される。シーソーアーム3は、このアーム取付部材5の内底部に固定されることにより、アーム取付部材5と一体となって若干揺動しつつ、支持軸6を軸に円滑にシーソー運動する。なお、シーソーアーム3は、アーム取付部材5を介することなく、直接支持軸6によって軸支させることもできる。
【0014】
シーソーアーム3の一半部上には、バランスウエイト駆動手段としての直動型の駆動用シリンダー7(通例エアシリンダー)が設置される。また、シーソーアーム3の他半部上にはレール8が敷設され、レール8に跨るようにバランスウエイト9が配置され、バランスウエイト9は、レール8に沿って移動可能にされる。
【0015】
このバランスウエイト9の端面に駆動用シリンダー7のロッド7a先端が固定され、以てバランスウエイト9は、駆動用シリンダー7のロッド7aの進退動作に伴ってレール8上を前進し、あるいは、後退するように動作して、後述するように、ワーク30を上昇させ、あるいは、下降させる。
【0016】
なお、図1に示す例では、シーソーアーム3のレール8敷設側端部に、駆動用シリンダー7よりも大径で高出力の受けシリンダー11(通例エアシリンダー)が配設されている。この受けシリンダー11は、レール8上を移動してくるバランスウエイト9を受けるストッパーとしての役割りを果たすもので、そのロッド11aが伸状態にあるときにその先端部でバランスウエイト9を受け止める役目を果たす(図4(B)参照)。
【0017】
ワーク30の吊持手段は、上端部がシーソーアーム3の端部に枢支される吊持アーム12と、吊持アーム12の下部に配置される操作部13と、操作部13の下側に設置されるフック14とから成る。操作部13は、駆動用シリンダー7を作動させるためのスイッチ15と、受けシリンダー11を操作するための操作レバー16とを含む。なお、図中17、18は、シーソーアーム3の回動端を規制するストッパーであり、必要に応じて設置される。
【0018】
上記構成において、先ず、ワーク30のない状態において、シーソーアーム3の左右のモーメントが釣り合った状態から駆動用シリンダー7が縮動作すると、バランスウエイト9が駆動用シリンダー7側に引かれるため、シーソーアーム3にかかる荷重は、駆動用シリンダー7設置側に偏る。そのため、シーソーアーム3の左右のモーメントの釣り合いが崩れ、シーソーアーム3は、駆動用シリンダー7設置側が下がった状態となる。
【0019】
その状態においてフック14にワーク30を掛け、スイッチ13を入れて駆動用シリンダー7に伸動作をさせると、バランスウエイト9がレール8上を移動し、やがてバランスウエイト9がシーソーアーム3の重量バランスの支点を越える。そして、シーソーアーム3のレール8設置側のモーメントが勝るに至ると、シーソーアーム3が徐々に図1において反時計回りに回動し、ワ−ク30が吊り上げられる。ワーク30を降ろす場合は、逆の操作を行えばよい。
【0020】
このように、本発明に係る装置は部品点数の少ない簡易な構成であって、ワーク30をフック16に掛けた後、単に駆動用シリンダー7を作動させる等の簡単な操作で、ワーク30を任意の高さに吊り上げ、その状態を維持させることができる。また、本装置(ベース1及び/又はポスト2)が可動の場合には、ワ−ク30を任意の位置に移動させることができる。
【0021】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である、従って、この発明は、添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0022】
1 ベース
2 ポスト
3 シーソーアーム
4 軸支部
5 アーム取付部材
6 支持軸
7 駆動用シリンダー
7a ロッド
8 レール
9 バランスウエイト
11 受けシリンダー
11a ロッド
12 吊持アーム
13 操作部
14 フック
15 スイッチ
16 操作レバー
17 ストッパー
18 ストッパー
図1
図2
図3