(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の高出力化の要求に伴い、使用する二次電池セルの数が増えるにつれて、電池ホルダーを構成する筒状の電池収納部の数も増えて、このような外ケースの成形が困難となる。すなわち、外ケースは絶縁性などの観点から樹脂製とすることが一般的であるところ、このような二分割された分割ケースを各々金型で射出成形する場合、筒状の電池収納部の数が増えるに従い、脱型時の摩擦抵抗が増える。よって、高出力化のため、多数の二次電池セルを収納する電池ホルダーを構成しようとしても、金型成型が困難となって製造コストが高騰するという問題があった。
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、多数の二次電池セルを収納しつつも安価で構成可能な電源装置を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、幅よりも厚さを薄くした角形の外ケース12と、複数の二次電池セル11と、前記外ケース12内部で、前記二次電池セル11を保持するための筒状の電池収納部を複数画定した電池ホルダー20と、を備える電源装置であって、前記外ケース12は、厚さ方向に、第一分割ケース12Aと、第二分割ケース12Bに分割されており、前記電池ホルダー20は、前記二次電池セル11を互いに平行姿勢で、かつ前記外ケース12の厚さ方向と平行な姿勢に保持すると共に、前記電池収納部の長さ方向に、第一分割ホルダー21と、第二分割ホルダー22と、第三分割ホルダー23と、に分割されており
、前記第一分割ホルダー21は、前記第一分割ケース12Aの内面に固定されており、前記第二分割ホルダー22は、前記第二分割ケース12Bの内面に固定されており、前記第三分割ホルダー23は、前記第一分割ホルダー21と第二分割ホルダー22との間に介在され、前記第一分割ホルダー21と、第三分割ホルダー23と、第二分割ホルダー22とを組み合わせることで、前記複数の電池収納部をそれぞれ形成して前記二次電池セル11を収納可能とできる。
上記構成により、二次電池セルの使用本数が増えても、二次電池セルを収納する筒状の電池収納部の長さ方向に三以上に分割することで、従来の二分割方式と比べて射出成形時の金型からの脱型を容易にし、製造コストを安価に抑えつつ、多数の二次電池セルを収納した電源装置を実現できる。
【0008】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、前記第三分割ホルダー23はさらに、平面視において左右に二分割された、右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとで構成されており、前記右分割ホルダー23A及び左分割ホルダー23Bは、平面視において左右対称に形成できる。
上記構成により、多数の二次電池セルを収納する第三分割ホルダー23を一層射出成形し易くすると共に、成型のための金型を、小型化して製造コストを削減できる利点も得られる。
【0009】
さらに、第3の側面に係る電源装置によれば、前記右分割ホルダー23A及び左分割ホルダー23Bは、外形を同一形状とすることができる。
上記構成により、同一の形状の右分割ホルダー、左分割ホルダーを、共通の金型で成形でき、一層のコスト削減を実現できる。
【0010】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、前記右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとの接合面において、該接合によって前記二次電池セル11を収納するための筒状の前記電池収納部が形成されるよう、半円状の曲面24が複数設けられると共に、該接合
面に隙間GPを設けることができる。
上記構成により、右分割ホルダーと左分割ホルダーとの接合面に設けられた隙間で金型成形時の製造公差を吸収でき、電池ホルダーをさらに安価に構成できる。
また、この隙間によって二次電池セルの放熱を高め、中間に位置して熱が籠もりやすい二次電池セルの放熱を促進できる効果も得られる。
【0011】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、前記第一分割ホルダー21は、前記二次電池セル11を部分的に収納する筒状の第一分割収納部21aを形成しており、前記第二分割ホルダー22は、前記二次電池セル11を部分的に収納する筒状の第二分割収納部22aを形成しており、前記第一分割収納部21aと第二分割収納部22aの長さを、等しく形成することができる。
【0012】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、前記第三分割ホルダー23は、前記二次電池セル11を部分的に収納する筒状の第三分割収納部23aを形成しており、前記第一分割収納部21aの長さに対する前記第三分割収納部23aの長さの比率を、0.8〜5.0に設定できる。
【0013】
さらにまた、第7の側面に係る電源装置によれば、前記第一分割ケース12Aは、平面状の主面と、その周囲に設けられた側壁13とを備えており、前記第一分割ホルダー21の長さが、前記側壁13の高さと同じか、これよりも低く形成することができる。
上記構成により、成形用の金型が厚くなることを回避でき、また脱型時の摩擦力も低減できる。
【0014】
さらにまた、第8の側面に係る電源装置によれば、前記電池ホルダー20が、前記二次電池セル11を100本以上収納することができる。
上記構成により、多数の二次電池セルを収納する電池ホルダーを第一分割ホルダー、第二分割ホルダー、第三分割ホルダーに分割して、金型成形を容易に、且つ安価に行うことが可能となる。
【0015】
さらにまた、第9の側面に係る電源装置によれば、前記外ケース12はさらに、その一面を被覆する側面パネル14を備えることができる。
上記構成により、側面パネルを外すことで外ケース内部に収納された回路基板等へのアクセスが容易となり、メンテナンス時の作業性を高めることができる。
【0016】
さらにまた、第10の側面に係る電源装置によれば、前記外ケース12はさらに、前記側面パネル14に着脱自在に装着される、安全プラグ30を備えており、前記安全プラグ30を抜くと、前記電源装置の出力が遮断されるよう構成されており、かつ側面パネル14を前記外ケース12から外すと、前記安全プラグ30も外されるよう構成できる。
上記構成により、側面パネルを外すには安全プラグを外す必要があるため、メンテナンス時には必ず安全プラグを外して安全な状態が確保されるという利点が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置を例示するものであって、本発明は電源装置を以下のものに特定しない。さらに、本明細書においては、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施の形態1)
【0019】
本発明の電源装置は、載置型の蓄電用設備として利用でき、例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システムに適用できる。このような用途においては、複数台の電源装置を連結して、これらを直列及び/又は並列に接続して出力を増し、電源システムを構築できる。電源システムは、複数台の電源装置を数珠繋ぎに接続して、終端にコントローラーを接続し、各電源装置を制御する。また、このような複数台を連結する形態に限らず、電源装置単体での使用も可能であることはいうまでもない。例えば、日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。
【0020】
ここで
図1〜
図4に基づいて、本発明の実施形態1に係る電源装置100として、系統用の電源装置に適用した例を説明する。
図1は、電源装置100の外観斜視図を示している。この電源装置100は電源ラック等へ立位状態にて挿入し、ラック固定金具17にて固定できる。また電源装置100の側面にはコネクタ部18を設けている。さらに電源装置100の前面には、電源出力を外部に取り出すための一対の出力端子19を設けている。この出力端子19は、正負の端子を両側に離間させて配置することで、高電圧の出力端子19の絶縁性を高めている。また、信号端子であるコネクタ部18を出力端子19の間に配置することで、ノイズの影響を低減する。コネクタ部18には、RS−485等が用いられる。
【0021】
図2は
図1に係る電源装置100の内部構造を示す分解斜視図、
図3は
図2の電池ホルダー20の分解斜視図、
図4は断面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、外ケース12の内側で二次電池セル11を電池ホルダー20に収納し、両側に複数のリード板25を固定し、さらにその両外側から外装パネル50で被覆している。この例では、外装パネル50は金属板とし、リード板25との間で絶縁するため、第一絶縁シート52A及び第二絶縁シート52Bを介在させている。
(外ケース12)
【0022】
外ケース12は、その幅よりも厚さを薄くした角形形状としている。また外ケース12を、コンピュータサーバ業界の標準サイズである既存の19インチラックに設置できる大きさ及び形状に設計することで、汎用性を高め、既存の設置形態に適用できる利点が得られ、特にサーバ用のバックアップ電源として利用できる。
【0023】
外ケース12は、
図1〜
図3に示すように、対向する2枚の主面と、主面の外周を閉塞する側壁13とで構成される。外ケース12は絶縁性部材とすることが好ましく、好適には樹脂製とする。これにより、絶縁性と軽量化を安価に実現できる。また耐久性と熱伝導性を考慮すれば、アルミニウムなど金属製の外ケースも利用できる。この場合は、外ケースの絶縁性が要求されない用途に利用するか、あるいは金属製の外ケースの表面を、ラミネートフィルムやビニールなどの絶縁性部材で被覆することもできる。
【0024】
この外ケース12は、第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bに、厚さ方向に二分割されている。第一分割ケース12A及び第二分割ケース12Bは、それぞれ、ほぼ平面状の主面と、その周囲に設けられた側壁13とで構成される。これら第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bは、それぞれ射出成形により形成される。また外ケース12の内部には、二次電池セル11を保持するための筒状の電池収納部を複数画定した電池ホルダー20が収納される。
(電池ホルダー20)
【0025】
電池ホルダー20は絶縁性に優れた部材、好適には樹脂で構成される。ここでは、二次電池セル11は円筒形の二次電池を使用しているため、円筒形二次電池セル11を収納できるよう電池ホルダー20は内部を中空とした円筒状の電池収納部を複数設けている。電池収納部は、円筒形二次電池セル11を周囲の全面を閉塞する。この例では、円筒形二次電池セル11を中心をずらすようにオフセット状態で積層して電池収納部を形成している。
【0026】
電池ホルダー20は、100本以上の二次電池セル11を互いに平行姿勢で、かつ外ケース12の厚さ方向と平行な姿勢に保持している。この電池ホルダー20は、電池収納部の長さ方向に、第一分割ホルダー21と、第二分割ホルダー22と、第三分割ホルダー23とに分割される。第三分割ホルダー23は、第一分割ホルダー21と、第二分割ホルダー22との間で挟持される。
図5の分解断面図に示すように、第一分割ホルダー21と、第三分割ホルダー23と、第二分割ホルダー22とを順に組み合わせることで、複数の電池収納部をそれぞれ形成して、ここに二次電池セル11を収納可能としている。
【0027】
第一分割ホルダー21は、筒状の第一分割収納部21aを複数備えている。また第二分割ホルダー22は、同じく筒状の第二分割収納部22aを複数備えている。これら複数の第一分割収納部21a、第二分割収納部22aは、第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bの主面から各々、略垂直に突出するように設けられている。
(第三分割ホルダー23)
【0028】
さらに第三分割ホルダー23は、同じく筒状の第三分割収納部23aを複数備えている。二次電池セル11は、中間部分を第三分割収納部23aで被覆され、その上面及び下面を、それぞれ第一分割収納部21a、第二分割収納部22aで被覆された状態で、全体を電池収納部に収納されて被覆される。ここでは
図3の分解斜視図及び
図5の分解断面図に示すように、第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bとを、間に第三分割ホルダー23を介在させた状態で組み合わせた状態で、電池ホルダー20が構成され、複数の第一分割収納部21a、第二分割収納部22a、第三分割収納部23aがそれぞれ芯合され、電池収納部が構成されて、円柱状の二次電池セル11を個別に収納するための収納空間が画成される。
【0029】
このように、従来のように電池ホルダー20を単に二分割するのでなく、三分割することで、第一分割収納部21aと第二分割収納部22aの長さを短くでき、この結果、電池ホルダー20を射出成形する際に、金型からの脱型を容易にできる。特にこの例では、第一分割ホルダー21は第一分割ケース12Aの内面に固定されており、第一分割ケース12Aと一体に成型される。同様に第二分割ホルダー22も、第二分割ケース12Bの内面に固定されており、第二分割ケース12Bと一体に成型される。このような電池ホルダー20と外ケースとを一体に成型する構成においては、外ケースと別部材の電池ホルダーを用意することを省き、構成を簡素化できる。その反面、電池ホルダーを二分割する構成では、
図16の分解断面図に示すように、筒状の第一分割収納部21a、第二分割収納部22aの長さL1、L2が、二次電池セルの約1/2必要となるため、二次電池セルの使用本数が多くなるにつれて、これら第一分割収納部21a、第二分割収納部22aの数が増え、脱型時に生じる摩擦力が増大してしまう。かといって、電池ホルダを外ケースと別部材とすると、
図17の分解断面図に示すように、電池ホルダを外ケースに収納する前に、電池ホルダの側面にリード板25を固定する作業が必要となり、組み立て作業が煩雑となる。また、外ケースを左右に二分割して形成すると、脱型時の摩擦力は低減するが、得られる成形物の強度が低下する上、金型が増えることで製造コストも増す。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、電池収納部の長手方向において、電池ホルダを三分割することで、電池収納部の数を減らすことなく、脱型時の摩擦を低減している。この結果、二次電池セルの使用本数が増えても、電池ホルダーや外ケース12の射出成形を可能とし、製造コストの低減に寄与できる。特に、
図5に示すように第三分割収納部23aの長さを長くすることで、第一分割収納部21aと第二分割収納部22aの長さを短くできるので、二次電池セルの使用本数に応じて第一分割収納部21aと第二分割収納部22aを短くして、金型成型を可能とできる。加えて、外ケース12と電池ホルダを一体化したことで、予めリード板25を外ケース12に組み込んだ状態で電池ホルダを構成し、さらに第一分割ケース、第二分割ケースを閉塞した状態でリード板25を二次電池セルの端面電極と溶接できるので、組み立ての作業性も向上できるという副次的効果も得られる。
(右分割ホルダー23A、左分割ホルダー23B)
【0031】
第三分割ホルダー23はさらに、
図6の平面図及び
図7の分解平面図に示すように、左右に二分割された、右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとで構成できる。これにより、右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとの各々の段三分割収納部の本数を減らし、第三分割ホルダー23の射出成形用の金型からの脱型時の抜き摩擦力を低減できる。また、金型自体の大きさも小さくできる。ここで、右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとを、平面視において左右対称に形成し、同一形状とすれば、共通の金型で右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとを形成できるので、各分割ホルダーごとに専用の金型を用意する必要をなくし、金型のコストを一層削減できる。
【0032】
さらに右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとは、
図7の平面図に示すように、その接合面に半円状の曲面24が複数設けられている。これら右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bの曲面24を互いに接合させることで、電池収納部が形成される。ここで、右分割ホルダー23Aと左分割ホルダー23Bとの接合面に、隙間GPを設けることができる。これによって、各右分割ホルダー23A、左分割ホルダー23Bを金型成型する際の製造公差を、隙間GPで吸収でき、これら分割ホルダーの成型精度を緩和して、製造コストの削減にさらに寄与できる。加えて、この隙間GPによって二次電池セル11の放熱を高め、中間に位置して熱が籠もりやすい二次電池セルの放熱を促進できるという副次的な効果も得られる。
【0033】
第一分割収納部21aと第二分割収納部22aの長さは、ほぼ等しい長さに形成することが好ましい。このようにすることで、二次電池セル11の長さ方向に対して両端から均等な長さで保持でき、機械的な強度面でのバランスがよい。また、第三分割収納部23aの長さは、第一分割収納部21aの長さに対して0.8〜5.0に設定する。好ましくは、第三分割収納部23aの長さも、第一分割収納部21aの長さとほぼ等しくする。これにより、二次電池セル11の長さ方向に約1/3ずつ、第一分割収納部21a、第二分割収納部22a、第三分割収納部23aでそれぞれ保持でき、各分割ホルダーに対し均等な応力の分散が図られる。
【0034】
なお、この例では電池収納部を長手方向に3分割した例を示したが、4分割以上とすることも可能である。また第一分割収納部21aの高さは、
図5の分解断面図に示すように、第一分割ケース12Aの側壁13の高さと同じか、これよりも低く形成することが好ましい。これにより、成形用の金型が厚くなることを回避でき、また脱型時の摩擦力も低減できる。
【0035】
第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bは、絶縁性に優れた材質で構成され、例えば、樹脂製とする。ここでは、二次電池セル11は円筒形の二次電池を使用しているため、円筒形二次電池セル11を収納できるように、第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bは内部を円筒状の第一分割収納部21a、第二分割収納部22aを複数設けている。またこの例では、二次電池セル11を13本直列に接続し、さらにこれを24組並列に接続して、計312個を使用している。これにより電圧が約40Vから52Vで、更に容量が最大約20Ahの大容量の電源装置100を構成している。なお、この二次電池セル11の数、配列及び接続に関してはこれに限られるものではなく、必要とされる電圧や出力容量によって変更が可能なことは言うまでもない。
(二次電池セル11)
【0036】
二次電池セル11は、外観を円筒形としている。この二次電池セルをリチウムイオン二次電池とすることで、容積と重量に対する出力を大きくできる。ただ、二次電池セルにはリチウムイオン電池に代わって、リチウムポリマー電池やニッケル水素二次電池セルも使用できる。したがって、本発明は、二次電池セルをリチウムイオン電池に特定せず、二次電池セルには、充電できる全ての電池を使用できる。また、図の電源装置100は二次電池セルを円筒形二次電池セルとしているが、これに代えて角形電池も使用できる。ここでは二次電池セル11の円筒形の延在する方向の一端を正極とし、他端を負極としている。
【0037】
さらに二次電池セル11には、温度検出のための温度センサが設けられている。温度センサは二次電池セル毎に設ける他、代表的な位置にある二次電池セルのみの監視としてもよい。温度センサを二次電池セル11の表面に接触させるため、該当する第一分割収納部21a及び第二分割収納部22aには、それぞれ温度センサを配置するための切り欠きが設けられている。
(リード板25)
【0038】
リード板25は、電池収納部にそれぞれ円筒形二次電池セル11を挿入した状態で、各二次電池セル11の端面に露出された端面電極に固定される。このリード板25は、電池ホルダー20に収納された二次電池セル11を並列及び/又は直列に接続する部材であり、薄膜の金属板が使用される。
(リードガイド部26)
【0039】
また電池ホルダー20の側面には、リード板25の配置位置を案内するリードガイド部26を設けている。リードガイド部26はリード板25の外形とほぼ等しくした枠状に形成され、リードガイド部26の枠内に各々リード板25を配置することで、リード板25を各二次電池セル11に固定する際の位置決めを容易に行うことができる。好ましくは、リードガイド部26を二次電池セル11の脱落を防止する仮止め部と兼用する。すなわち、リードガイド部26が電池収納部の開口面に部分的に突出あるいは張り出すように配置することで、張り出したリードガイド部26の一部が電池収納部に挿入された二次電池セル11の端面に当接して、脱落を防止できる。これにより、電池ホルダー20の外部に突出する部材を少なくして形状を簡素化できる。リードガイド部26は、例えば角材状に構成される。
【0040】
また、電池ホルダー20を構成する分割ホルダーの内、端面に位置する第一分割ホルダー21と第二分割ホルダー22とが、外ケース12が一体的に構成されていることから、予めリード板25などを外ケース12に組み込んでおくことで、組立時の作業能率を向上できる利点も得られる。
図3に示す例では、7枚のリード板25を第一分割ケース12Aの外側面に、7枚のリード板25を第二分割ケース12Bの外側面に、予め組み込んでおくことができるので、第一分割ケース12Aと第二分割ケース12Bの間に第三分割ホルダー23と二次電池セル11とを介在させた状態で、各二次電池セル11の端面とリード板25との溶接作業を行える。
【0041】
この例では、24本のリチウムイオン二次電池セル11を並列接続し、それを13段直列にして、定格電流を20Aとしている。この二次電池セル11の数、配列及び接続方法に関してはこれに限られるものではなく、必要とされる電圧や出力容量によって変更が可能なことは言うまでもない。
(開放枠29)
【0042】
さらに
図8に示すように、第一分割ケース12A及び第二分割ケース12Bはそれぞれ、主面に開放枠29を設けている。開放枠29は、第一分割収納部21a、第二分割収納部22aの開口が連通されるように設けられる。これによって、各第一分割収納部21a、第二分割収納部22aに収納された二次電池セル11は、開放枠29を通じて外ケース12内で表出されるため、放熱性が改善される。
(第一外装パネル50A、第二外装パネル50B)
【0043】
図2に示すように、第一分割ケース12A、第二分割ケース12Bの各開放枠29は、それぞれ第一外装パネル50A、第二外装パネル50Bで閉塞される。第一外装パネル50A及び第二外装パネル50Bは、
図2の分解斜視図に示すように、平板状とし、開放枠29とほぼ同じ大きさに形成される。これら第一外装パネル50A及び第二外装パネル50Bは、熱伝導性に優れた材質で構成される。
(第一絶縁シート52A及び第二絶縁シート52B)
【0044】
例えば外装パネル50を熱伝導性に優れた金属製とすることもできる。
図3の分解斜視図に示す例では、外ケース12の各開放枠29は、それぞれ熱伝導性に優れた絶縁部材の第一絶縁シート52A及び第二絶縁シート52Bを、外装パネル50とリード板25との間に介在させることで、金属製の第一外装パネル50A、第二外装パネル50Bを使用しつつ、二次電池セル11の短絡を防止できる。これにより、二次電池セル11の端面を開放枠29に面させ、さらに開放枠29に配された外装パネル50によって外部に効率よく放熱できる。
(回路基板40)
【0045】
外ケース12の内部には、
図3及び
図11の分解斜視図に示すように、回路基板40が設けられる。回路基板40は、電池ホルダの一方の端面に設けられ、外ケース12のいずれかの面と面するように平行姿勢に配置される。この例では、側面パネル14の裏面側に配置されており、側面パネル14を外すことで回路基板40にアクセスでき、メンテナンス時の作業性を高めている。
【0046】
回路基板40は、電池ブロック10の充放電電流を制御する充放電回路や保護回路など、電源装置の駆動に必要な回路及びその構成部品、素子等を実装する基板であり、ガラスエポキシ基板などが利用できる。この例では、回路基板40上には、外部との通信用インターフェースやコネクタ、ダイオード等を実装している。
【0047】
図4の例では、回路基板40を、側面パネル14側に面する姿勢としつつ、側面パネル14と離間させることで空間を設けている。このような構成によって、回路基板40上に実装されたパワー系の半導体素子のような発熱部材を放熱するための放熱空間として利用でき、電池ブロック側に伝熱することを抑制する。
【0048】
回路基板40は、基板ホルダー27内に挿入される。基板ホルダー27は、回路基板40を挿入できる大きさに形成された有底箱形に形成され、回路基板40を挿入した状態で、周壁で回路基板40の周囲を囲む。基板ホルダー27を介して、回路基板40は外ケース12内の定位置に配置される。また回路基板40と二次電池セル11とを接続するため、二次電池セル11の端面と接続されたリード板25が延長されて回路基板40に導通される。
図3及び
図4の例では、リード板25の端縁が延長されて折曲され、基板ホルダー27の周壁には、リード板25の折曲片20aが係止される凹状の切り欠きが形成されている。
【0049】
回路基板40に実装された保護回路の例を、
図9の回路図に示す。この図に示すように、電源装置100の出力端子19及びコネクタ部18は、コントローラーCTと接続されている。なお、この図においては説明のため電源装置一台のみを図示しているが、複数台の電源装置をコントローラーに接続できることは言うまでも無い。電源装置100は、電池ホルダに収納された二次電池セル11を並列、直列に接続した電池ブロックの出力を、出力端子19から出力する。またコネクタ部18もコントローラーCTと接続され、制御信号等のやりとりを行う。電源装置100側では、回路基板40に実装された保護回路で、二次電池セル11の温度や電流、電圧等を監視している。異常が検出された場合は、コネクタ部18を介して異常信号をコントローラーCT側に送り、該当する電源装置を遮断したり、交換やメンテナンスを促すなど、必要な措置を行う。
(安全プラグ30)
【0050】
さらに外ケース12の前面には、
図10及び
図11の分解斜視図に示すように安全プラグ30を備える。安全プラグ30は、外ケース12の前面に固定された側面パネル14に開口されたプラグ装着部15に、挿抜自在に設けられている。安全プラグ30をプラグ装着部15から外すと、
図9の回路図に示すように、高電圧出力の経路が遮断される。これによって、メンテナンス時等において作業者を高電圧から保護できる。
【0051】
安全プラグ30は、
図12及び
図13の分解斜視図に示すように、箱形のブロック体31とし、絶縁性の部材で構成される。またブロック体31の背面からは、一対のリード32が突出されている。リード32同士は、ブロック体31の内部で接続され、短絡されている。また各リード32は板状の金属板で、水平姿勢でブロック体31の背面の上端から突出するように固定されている。さらにブロック体31の下面には、係止機構33が設けられており、側面パネル14に開口された係止孔に係合されて嵌着される。係止機構33は、例えば爪状に成型した樹脂をU曲させてブロック体31と一体に成型して、U曲部分の弾性変形によって係止孔に係止される構成とする。
【0052】
この安全プラグ30は、上部2箇所をリード32で、下部1箇所を係止機構33で、側面パネル14のプラグ装着部15に固定する。このように電気接続用のリード32を、安全プラグ30をプラグ装着部15に機械的に接続する際のガイドとしても兼用している。
【0053】
側面パネル14には、ブロック体31を挿入可能な大きさにプラグ装着部15が開口されている。またプラグ装着部15の開口部の周辺には、ガイド壁16が突出されており、安全プラグ30をプラグ装着部15に挿入した状態でこれを保持する。
【0054】
またこの例では、
図11に示すように、側面パネル14を外ケース12から分解する際には、安全プラグ30も外されるように構成されている。言い換えると、安全プラグ30を分解する際には、必ず安全プラグ30を抜く必要がある。このような構成とすることで、メンテナンス作業時などに外ケース12を分解する際には、必ず高電圧の出力を遮断する構成として、安全プラグを抜き忘れる事態を回避でき、作業の安全性を一層高められる。